(映像は大田区議会ホームページより:57分)
- 暮らしと営業を直撃する消費税10%増税中止を国に求めることについて
- 区民の暮らしと福祉、営業を守る2019年度予算要望について
- 羽田空港跡地第1ゾーン整備計画は区内中小企業支援に転換を、について
- 高齢者が安心して暮らせる介護体制の抜本的な見直しについて
- 区民の命と健康を支える社会保障としての国民健康保険について
【あらお議員】
日本共産党大田区議団を代表して、通告に従い順次質問します。
党区議団は今年区民アンケートを実施し3623通もの回答が寄せられました。区民の皆さんから寄せられた切実な声を区政に活かすために引き続き奮闘することを申し上げ、質問に入ります。
暮らしと営業を直撃する消費税10%増税中止を国に求めることについて
【あらお議員】
はじめに、消費税10%への増税について質問します。安倍首相は消費税の10%への増税をスケジュール通り来年10月に実施すると表明しています。憲法25条は「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、全ての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定されています。それを具体化するには生活に係るものには課税をしないことです。国民の所得が増えないときだからこそ「民主的税制」の確立が求急いで求められます。民主的税制の原則は、①総合累進課税で応能負担、②生活費非課税、③勤労所得に軽度の課税、の3つです。その原則から逸脱しているのが消費税です。
GDP(国内総生産)は今年7月~9月期の最新値で年率換算1.2%マイナス、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金指数も厚生労働省が発表した9月の毎月勤労調査の速報値で0.4%マイナスと、国内経済が冷え込み、収入が減少している中での増税は国民生活に破壊的なダメージを与えます。特に大田区は大小さまざまなものづくり企業、町工場が集積しており、増税の影響は計り知れません。「大田区の景況(平成30年4月~6月期)」の景気予報では小売りが下から2番目のF、建設、運輸が下から3番目のE、来期の予測ですべての業種の景況がD~Gと悪化する見通しで、各業種のコメントでも「人手が足りない」「顧客の減少で売り上げが減っている」「仕入れ先からの値上下げ要請が激しい」「大企業は過去最大の収益というが、我々は切り下げられた単価で何とか凌いでいる」など、深刻な状況がつづられています。
安倍首相は消費税増税の口実として、「お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度への転換」を掲げていますが、同時に社会保障改悪案が財務省から出されています。その中身は、医療では75歳以上の窓口負担2倍、風邪などの少額受診に追加加算、かかりつけ医以外を受診すると追加負担、湿布・漢方薬などの薬剤自己負担引き上げ、高額な新薬を保険適用から除外、介護では要介護1・2の生活援助サービスを保険給付から除外、介護保険の利用者負担を原則2割引き上げ、老人保健施設や介護療養病床などの多床室の室料相当額を自己負担にする、子育て分野では保育園・幼稚園などの給食費は無償化の対象外、児童手当の所得制限強化で抑制、国・自治体が保育園・幼稚園に支払う費用の抑制など、高齢者から子どもまで全世代に負担を押し付けるものです。区民アンケートでは、消費税が8%増税で暮らしと営業への影響について、「よくなった」1.4%に対して「苦しくなった」51.0%と全体の5割にのぼっています。消費税10%への増税については、「賛成」12.2%に対し「反対」60.9%と反対が賛成を圧倒しています。家計で最も負担に感じているものについては、「税金」「保険料」「食費」が上位に挙がる結果となりました。区民所得が増えない中で税の負担感が重いことが、アンケート結果からうかがわれます。
これまで歴代内閣は消費税増税の口実に社会保障の充実をうたってきましたが、それが今やだれの目から見ても嘘であることは明白となっています。
●消費税の増税が区民生活、区内経済に大打撃を与えることについて、区長はどうお考えですか?従来通り消費税は社会保障を支える上で必要だというのであれば、その認識を改めていただきたい。お答えください。
【松原区長】
まず、消費税増税の影響についてのご質問でございますが、今後少子高齢化の進展に伴い、生産年齢人口比率の減少が予測される一方で、扶助費が増加し、更なる財政負担の増加が見込まれております。引き続き社会保障の充実と安定化を図るためには財源確保は重要な課題であります。社会保障制度改革推進法の定めによりますと、国民が広く受益する社会保障にかかる費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から社会保障給付に係る主要な財源には消費税および地方消費税の収入を充てるとされています。安定した社会保障制度の構築は、持続可能な社会の実現に寄与するものであり、その仕組みの中で消費税は貴重な財源でございます。現在国におきまして消費税10%引き上げに伴い、食料品等の生活必需品の消費税率を低くする軽減税率の導入、中小の小売事業者等に対しては電子的な受発注システムの改修等の支援など、個人や企業向けの様々な実質的な景気対策も審議されており、その動向も注視してまいります。
【あらお議員】
今の経済状況の下での消費税増税は論外です。強行すれば消費不況を一層深刻化し貧困と格差拡大に追い打ちをかける破局的な影響をもたらすことは必至です。消費税は29年前の導入時から「社会保障のため」と言われてきましたが、導入後、国民から累計372兆円を集めた一方で法人税は累計291兆円も減っており、ほとんどが大企業を中心とした法人税減収の穴埋めに回されているのが実際です。社会保障の削減額は3兆4500億円、一方大企業減税は4兆円です。とりわけ研究開発減税は大企業に大きな恩恵をもたらしました。財務省の資料によれば2016年度は総額5926億円ですが89.1%は大企業に適用されています。減税額が最も多かったのはトヨタ自動車の841億円で、最近カルロス・ゴーン容疑者逮捕で話題の日産自動車は267億円など特定の大企業に偏っています。輸出関連大企業の輸出戻し税の還付金もトヨタ自動車は3633億円、その結果資本金1億円以下の企業の実質法人税は18.1%、大企業は10.4%に留まっています。このことは、中小企業からの平均年間消費税徴収額19兆円の3割が大企業の還付金となっていることを示しています。消費税増税時にインボイス(適格請求書)制度が導入されます。商店街では空き店舗が増えてきていますが、そんな中頑張っている中華料理屋さんからは「テイクアウトは8%、店で出すのが10%なんて、やってられないよ」。パン屋さんからは、「うちは現金しか扱ってないよ、カードなんてムリ、とにかく税金払うのが大変だよ、来年店があるかどうか」との声が挙がっています。ポイント還元、プレミアム商品券などその場しのぎの、目くらましの対策をするくらいなら増税そのものをしないことです。消費税増税で中小小売業の営業が壊され、不況が一層進みます。
中小企業の町、大田区は消費税増税の影響を大きく受ける行政として財政再建を消費税で、というのはもはや通用しないという立場に立つことが求められます。
●国の悪政から区民を守る基礎自治体の大田区として国に対し消費税10%増税中止を求めるべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、消費税の引き上げについてのご質問ですが、消費税率10%への以降は来年の10月1日に実施されることとなっております。この税率引き上げによる増収により、子ども子育て、医療、介護、年金等の社会保障の充実と安定化が図られるとともに将来世代の負担の先送りが軽減されることにつながります。社会保障と税の一体改革による安定した社会保障制度の構築は皆で支え合い、誰もが安心して生活できる、持続可能な社会に寄与するものであり、その仕組みの中で消費税は重要な財源であると考えております。
区民の暮らしと福祉、営業を守る2019年度予算要望について
【あらお議員】
次に2019年度予算要望について質問します。日本共産党大田区議団は11月14日、2019年度予算編成に関する要望書を松原区長に提出しました。共産党区議団はこの間各種団体の方々と懇談し、実態調査等で寄せられた区民の声を踏まえて予算要望書をまとめたものです。計431項目の要望について速やかに検討を行い、実現することを強く求めるものです。
区民の実態は深刻です。消費不況が長引き、格差と貧困が広がり、暮らしと営業が追い詰められています。国民健康保険料の値上げ、年金給付の減額、異常な円安による物価高騰に区民から悲鳴の声が挙がっています。区内の生活保護受給世帯数は今年5月末現在で全世帯数390,683世帯のうち13,537世帯、29世帯に1世帯が生活保護受給世帯です。就学援助は今年4月末現在小学生5,047人(17.3%)、中学生2,754人(25.2%)となっています。
倒産・廃業が後を絶たず、2017年の倒産件数は87件で、前年より22件、33.8%に増加しています。区民の所得から見ても、納税者の平均で2017年度営業所得は420万1,000円で前年度より3,000円減、給与所得は397万1,000円で前年度より36,000円増となっていますが、所得が消費税増税分に追いつかず、区内中小企業経営者や労働者が一段と厳しい状況に置かれていることがわかります。
このような状況にもかかわらず、この間の大田区政は、区民生活を支えてきたあらゆる分野の施策を縮小・廃止し、「適正化」「受益者負担」を理由に、昨年度は区内公共施設使用料や区立小中学校給食費、9月から認可保育園・学童保育の保育料の値上げをすすめ総額5億円に及ぶ負担を区民に押し付け、さらに今年度は臨海斎場の火葬料が値上げされ、今後は自転車駐輪場の値上げも狙っています。その結果、積立基金の現在高は今年9月時点で1,069億円余となっています。
区は新年度予算編成方針で、「区民目線に立った事業の選択・見直し・再構築を徹底することにより、財政規律を維持する視点が重要である」として、施設使用料でも、今後4年ごとに見直しを行うことを明らかにしています。
公共施設は地方自治法で住民福祉の増進の目的をもってその利用に供するための施設としています。公共施設は、住民自治と住民生活の向上に役立つものとして、多くの区民に利用されてこそ、その目的が達成されると言えます。
使用料値上げの根拠に人件費と減価償却を加えていますが、減価償却は施設建設にかかった費用を回収するもので、区民の税金で建てた施設になぜ納税者の区民がこの分も使用料として負担しなければいけないのか全く説明がつきません。また、人件費は納税額で賄うべきで、それを使用料に含めるというやり方を自治体がとるべきではありません。問題なのは、一人でも多くの区民に利用してもらう立場ではなく、施設を利用する人としない人との負担の公平性や、受益者負担という理由で使用料を決める民間方式で値上げをしていることです。誰もが利用できる安い料金であることが必須条件です。そのことを度外視して、利用者に二重の負担を押し付けることは、やめるべきです。
●「受益者負担」や「適正化」を理由にした施設使用料負担増の押しつけは止め、値下げすべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、公共施設の使用料に関するご質問でございますが、受益者負担の適正化はサービスのコストに対する負担の公平性を確保する観点から重要でございます。平成29年度に施行致しました公共施設の使用料の見直しにつきましては、平成10年度に施行して以来の改定となります。前回の改定以来、施設の維持管理経費などにさまざまな状況の変化が生じ、施設サービスのコストへの反映が必要になっておりました。また、施設サービスのコストのうち施設使用料収入で賄えない分は区民全体で負担することから、施設を利用されていない方との公平性の確保や、施設使用料の基準の明確化、同種別の施設間の料金体系の不均衡の是正が課題となっておりました。こうした状況を踏まえ、基本的な考え方を整理して、施設使用料を改定致しました。その結果、改定後の施設使用料は減額となるもの、据え置きとなるもの、増額となるもの、いずれもありましたが、施設を利用される方への影響を考慮して25%を上限とした激変緩和措置を講じているところです。今後も社会経済状況の変化を踏まえ、公共施設の使用料の適正化に向けて継続的に取り組んでまいります。
【あらお議員】
また、予算編成方針では「長年の重要課題であった新年度は羽田空港跡地のまちづくりや、新空港線整備の早期実現に向けた取り組みなど大規模プロジェクトが進展し、間近に東京2020オリンピック・パラリンピックが控えるなか(中略)区政運営を着実に推進していく必要がある」と述べ、羽田空港跡地第1ゾーン5.9haの整備、新空港線(蒲蒲線)計画、JR蒲田・大森駅、京急雑色駅前再開発などに積立基金、区税投入を進め、区民無視の大規模開発事業に拍車をかけています。
新空港線(蒲蒲線)計画は2016年4月20日の国土交通省交通政策審議会答申「東京圏における今後の都市鉄道のありかたについて」に盛り込まれたことを受けて2017年度予算で整備主体の設立のための出資金として1億8000万円が計上されましたが、執行できず2018年度で再度計上、それと合わせて整備促進事業290万円、整備資金積立基金に10億205万6000円が計上されました。約12億円の予算を計上していながら、計画の進展が区民に見えていません。この計画で一番影響を受けるのが東急多摩川線沿線地域の住民の皆さんです。新空港線が実現することで、沿線がどう変わるのか、どのような影響を与えるかということについて、区側からの詳細な説明がありません。JR・東急蒲田駅と京急蒲田駅間800mをつなぐことで東西交通の結節点となり、利便性が向上することのみ繰り返しています。しかし、区民にとってそれがどう影響するのか、多摩川線沿線住民にとっての利便性や地域活性化について、具体的な説明がありません。委員会で新空港線関連報告が少ないのはなぜか、との委員の質問に対し、「東京都と費用負担割合で水面下の動きはしているが報告すべきものではない」と答弁がありました。これでは区民の理解を得られず、税金の無駄遣いと言わざるを得ません。
●新空港線(蒲蒲線)計画は中止し、白紙撤回すべきです。また整備資金積立基金に積み上げられた約48億円の積立金は区民の暮らしを支える財源として活用することを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、空港線に関する質問で質問でございますが、新空港線事業は大田区が30年にわたって取り組んできた区の悲願の事業であります。蒲田駅と京急蒲田駅のわずか800mをつなぐ新空港線は区内の東西移動利便性が大きく向上するとともに、羽田空港と渋谷・新宿・池袋などの副都心や埼玉方面とのアクセスが強化されるなど東京圏全体の鉄道ネットワークの強化に寄与するものであります。また、災害時の代替ルートの役割も担うものであります。整備にあたっては沿線の活性化に寄与するよう、駅周辺のまちづくりもあわせて進める予定であり、中止は考えておりません。また新空港線整備資金積立基金につきましては後年度の財政負担の軽減を図るために必要なものであり、工事着手時期を見定めながら、引き続き積立金を継続してまいります。1日も早く合意形成を図り、新空港線整備の早期実現に向け、全力で取り組んでまいります。
【あらお議員】
区政の緊急の課題として、小・中学校体育館の冷暖房機の設置があります。
既に、国や東京都が補正予算を組んで積極的な対策が取られています。23区でも中央、文京の2区が既に設置済み、台東、江東、豊島、荒川の4区が来年度中に全校設置計画を持っており、港区23年度まで、練馬区は28年度をめどに全校に設置する予定です。各区で急速に取り組みが始まっています。
今夏の暑さや地震などの災害を受けて、都は今月16日、市区町村の小中学校の体育館にエアコンなどの空調設備を設置する費用として81億円や、ブロック塀の整備補助9億円を含む、総額92億円の補正予算案を発表し、12月の定例会に提出すると報道されています。大田区も補正予算を組むなどして区民に姿勢を示すべきです。
●国や都の動きに合わせて、大田区でも小・中学校の体育館に冷暖房機を設置する計画を早急に作り、設置の取組をすすめるべきです。お答えください。
【松原区長】
次に学校体育館の冷暖房器の設置についてのご質問ですが、今年の夏は命に危険を及ぼす暑さが続き、様々な学校活動を取りやめる事態となりました。児童・生徒の健康と安全な教育環境を守るために、まずは早急な暑さ対策が必要と考えており、現在、緊急的な対策について検討しているところです。また、今後は避難所としての利用の観点から学校体育館の空調化についても区の現状にあわせて効果的で効率的な対策を検討してまいります。国や東京都の動向を注視し、財政支援制度の情報収集等に努め、安全・安心な学校環境の整備に向けた検討を進めてまいります。
【あらお議員】
新年度予算に対する組織・職員定数の基本方針でも、従来通り「効率的な人員配置」「外部化の再検証」が述べられ、一層の民営化と非常勤職員の設置や臨時職員を活用しようとしています。
スマートワーク宣言を発表して2年になろうとしています。全庁で実施する3つの改革として(1)意識改革、20時退庁、毎週ノー残業デーの徹底、(2)業務のスリム化、(3)事務事業の見直し、事業の選択と集中、統廃合とありますが、言葉だけで人を増やさずに残業時間の短縮だけを求めるのは無理があり、労働強化となります。そうなると、次に考えられるのが仕事の外部化です。
組織・職員定数の基本方針で、外部化の再検証で一層の民営化と適切な非常勤職員の設置及び臨時職員の活用を進めようとしています。党区議団は、行政が本来行うべき仕事、住民の福祉の増進を進めるためには、アウトソーシングで丸投げではなく行政が責任を持って取り組むことが大切だと考えます。アウトソーシングの多くはコスト削減ありきでサービス向上につながりません。
以前にも述べましたが、国保年金課が窓口の一部業務委託をしています。この委託により、職員数で言えば15人分の削減ができたと報告がありました。しかし、委託先ではその仕事を15人で行っているのではなく、平均して約20人、繁忙期は約30人で対応に当たっています。つまり1人当たりの人件費を下げて人を増やすやり方です。ワーキングプアにつながるのも明確です。また、窓口業務のアウトソーシングは偽装請負ではないかと指摘もあります。
●公的責任の放棄につながるアウトソーシングはやめるべきです。また、ワーキングプアにならないように区がしっかりと把握することが求められます。
世田谷区では公契約条例ができ時給を引き上げ、給食調理や学校の非常勤職員の賃上げとなりました。障がい者の雇用にも適用されています。行政がしっかりと労働者の賃金を把握し、改善することは公共事業や区民サービスの質の向上につながります。大田区での公契約条例の制定を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、アウトソーシングおよび公契約条例に関するご質問ですが、まずアウトソーシングにつきましては民間にできることは民間に委ねることを基本に行政・事業者・NPO団体などの様々な主体がそれぞれの強みを生かして区民サービスの向上を図ることは極めて重要であります。区ではこれまでも幅広い分野において民間事業者との連携を進めてまいりました。今後とも効果的、効率的な連携環境の構築を通じ、区民サービスの更なる向上を図ってまいります。
次に、公契約条例についてでございますが、労働台帳の整備、報告など受注者側の負担増や適用範囲、対象業務、賃金水準の設定等の課題があることを確認しております。また実効性の有無などの検証も必要です。労働者の賃金が上昇基調にある現時点においては、幅広い議論を進めながら適正な労働環境の確保を図ってまいります。
羽田空港跡地第1ゾーン整備計画は区内中小企業支援に転換を、について
【あらお議員】
次に羽田空港跡地第1ゾーン整備について質問します。区は羽田空港跡地第1ゾーン16.5haのうち第一期事業予定地5.9haを国から約165億円で購入し購入した土地を鹿島建設、大和ハウス工業など9社が出資する「羽田みらい開発株式会社」に月額平米単価600円で50年間定期借地し、先端産業拠点・クールジャパン発信拠点を整備・運営することで5月9日事業契約を締結、10月31日には200人近い関係者が出席して起工式が行われました。区長は式典で「大田区は、区内中小企業をはじめとする地域経済の活性化と国の成長戦略に資するまちづくりを進めるため、この地に日本のものづくり技術や日本の魅力を国内外に発信する「新産業創造・発信拠点」の形成を目指しています。」と発言されました。しかし、この空港跡地整備事業で、区内のものづくり中小企業の支援がどこまでできるのかは疑問です。施設規模概要を見ますと、総延べ床面積約125,400㎡の内ベンチャーオフィス・研究開発ラボ約15,500㎡に区施策活用スペースが約4,000㎡入ることになりますが、全体のわずか3%にとどまっています。
更にこの4000㎡は、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)募集要項によれば200㎡または100㎡ごとに区切ることができ、各区画で三相交流電源が取れるなど、既存の工場アパートとよく似た仕様になっていますが、
●4000㎡の区施策活用スペースは、これまでの施策の延長線上に過ぎず、区内中小企業の支援にはなりません。この3%のスペースで、区長の言う区内すべての中小企業の振興、地域経済の活性化が実現するのでしょうか?計画の見直しを求めます。
【松原区長】
次に、産業公交流施設において区が借り受けるスペースに関するご質問ですが、区では羽田空港跡地第1ゾーン整備方針において、羽田空港跡地への先端産業分野の企業誘致や競争プロジェクトなどによって区内中小企業の技術力向上や区内中小企業への発注などの波及効果を見込んでおります。こうしたことから区が借り上げるスペースのみならず、羽田空港跡地開発の全体の産業集積によって区内中小企業の振興や地域経済の活性化を力強く後押しするものであります。このため区では必要なスペースを借り上げ、このスペースの入居企業等と跡地全体の産業集積との連携により、更なる地域産業の活性化を目指してまいります。
【あらお議員】
今月の地域産業委員会で「産業支援施設のあり方及び今後の方向性について」の報告がありました。それによると、「区のものづくり産業は、基盤技術産業がベースであり、成長ものづくり分野との親和性も高い。ものづくり産業を中心とした多様な分野の産業集積は、国内外からのあらゆるニーズに対応できるだけでなく、区内に雇用を創出し、地域経済を活性化させるなどの効果が期待できる。」と述べています。また基盤技術はリーディング産業が変化をしても一部が変わるのみでその多くの技術は新産業を支えると位置づけています。つまり、大田区は基盤産業なくして新産業なしという立場に立っていると言えます。しかし、区はあくまで羽田空港と跡地周辺のインフラを活用した産業支援にこだわっています。それは、地域未来投資促進法に基づく基本計画によるものです。同法の目的は先端産業に偏ったもので、大田区の基盤産業をはぐくむものではありません。
羽田空港を軸に据えた産業施策では根本的に大田のものづくりを支援することには繋がりません。2014年、区が実施した「大田区ものづくり産業等実態調査」所謂「全数調査」でも区内操業のメリットとして一番多かったのは「材料・工具が入手しやすい」24.1%で、「空港が近い」が最も少ない5.4%となっています。区内中小企業・町工場にとって羽田空港が近いということは必ずしも操業面でのメリットにならないことは、このことからも明らかです。この時点で区内の業者と区との認識のずれが生じ、産業支援施設のあり方・方向性についても考え直す必要があります。
大田区産業振興施策を進めるうえで大事な点は、中小企業は地域ネットワークを活かしたものづくり産業が「地域産業経済」の支え手として、また雇用の担い手としていることに着目し、区内中小企業への思い切った対策、支援が必要だということです。
●全数調査で明らかになった課題、要望、改善点を踏まえて産業振興・発展への取り組みを進めるには、産業経済費を現在の約30億円から倍増しなければいけません。産業経済予算の倍加を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、産業経済費の規模についてのご質問ですが、区ではこれまで工場の更新や拡張を通じて区内で操業を継続しようとする中小企業や、新たな技術開発や市場参入に挑戦する中小企業に対し、さまざまな支援を行ってきました。平成26年度に実施したものづくり産業等実態調査の検証に基づいた新たな施策の一例として小規模事業者の制度活用を促進するものづくり工場立地助成の拡充がございます。また事業承継や創業支援、区外企業の区内立地促進等の産業振興策は引き続き力を注ぐベき事業であり、着実に取り組んでいるところです。今後は羽田空港に近接するメリットも最大限活用するために空港跡地整備を通して国内外から多様な人・もの・情報を集めてまいります。その結果、区内ものづくり産業の振興に大きく寄与するものと考えます。区ではこうした施策を立案するにあたっては、これまでの調査や地域からの要望等を踏まえており、予算につきましても施策の実施に必要な額を確保しております。今後も選択と集中などの方針に基づき、必要な額の予算を措置させて頂き、適切に執行してまいります。
【あらお議員】
●「中小企業憲章」に基づき、区独自の「大田区中小企業条例」の制定を求めます。またその条例を生きたものにするために、中小企業経営者・業者・金融機関・区職員等で構成される「中小企業振興会議」を設置し、業者の皆さんの声を産業施策に活かすべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、中小企業憲章に基づく大田区中小企業条例の制定および中小企業振興会議の設置に関するご質問ですが、区は大田区産業のまちづくり条例を制定しており、新たに条例を制定する考えはございません。なお本年10月に川口市で開催され、大田区も参加した中小企業都市サミットでは、ものづくりを中心とした中小企業が集積する7都市が人材確保や事業承継といった喫緊の課題について意見交換を行い、川口宣言として取りまとめたほか中小企業経営の継続と新たな事業展開への支援策を提言文として国へ提出致しました。引き続き国や東京都とも連携を密にし施策を展開してまいります。区はこれまでも事業者のみなさまの声を産業施策に活かすべく一般社団法人大田工業連合会をはじめ、東京商工会議所大田支部、各金融機関等と連携・協力するとともに、大田区産業振興協会の機能も活かしながら、中小企業の振興に取り組んでおり、新たに会議体を設置することは考えておりません。
高齢者が安心して暮らせる介護体制の抜本的な見直しについて
【あらお議員】
次に介護福祉施策について質問します。
区は2016年4月から介護予防・日常生活支援総合事業を開始し、今年度からは区独自基準による運用をスタートさせました。この介護予防・日常生活支援総合事業はこれまで実施されてきた介護保険サービスの予防給付のうち、訪問・通所サービスと地域支援事業の中の一次・二次の介護予防事業を組み合わせ、介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業に改変したものです。これによって要支援者の訪問通所サービスは保険給付から外され、区市町村の地域支援事業に組み込まれました。経過措置として保険サービスと同等の「みなし事業」も終了し、サービス利用者、事業者とも厳しい状況に置かれつつあります。
共産党区議団は各団体との予算要望懇談会で医療福祉団体から出された新総合事業の実態を知ることになりました。その団体が事業所に実施したアンケートで新総合事業に関連した予防をいくつか紹介します。①処遇改善加算(手当)を出してほしい。②1年(半年)で卒業(終了)を前提としたけマネジメントや地域ケア会議での強要が怒らないように指導してほしい。③利用回数制限の撤廃、介護保険と同様の月額払いにしてほしい。④卒業(終了)後の受け皿が必要。⑤総合事業でも入浴加算を新設してほしい。など、切実な要望が出されました。
新総合事業ではそれ専任で関わる職員を配置することができず兼任となるため一律に処遇しなければならず、新総合事業サービスを引き受ければ、それだけ事業所の持ち出し分が増え事業が困難になること。サービス終了問題は利用者にとって切実で不安に思っている人が多い。目標設定、終了基準、本人説明の方法に曖昧な点がある。通所・訪問とも利用者が減少し、このままでは事業継続が困難。地域資源開発に予算を拡大すること、自費利用への補助金創設を。こうした実態を踏まえた要望を受けて大田区として対策をとる必要があります。
●処遇改善加算は介護保険サービスのみに加算されるもので新総合事業には同様のものはありません。総合事業の担い手を減らさないためにも、処遇改善加算と同等の区独自の助成制度を設けるべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、大田区介護予防・日常生活支援事業、いわゆる新総合事業における処置、処遇改善加算についてご質問ですが、多くの議論を重ね、現場の声も十分に反映し、当該加算相当分は、基本報酬に含めた方が適切であると判断しました。新総合事業の訪問型・通所型サービスの報酬、運営基準については、実際にサービス提供を行っている関係団体等と協議を重ね、構築したものです。区は、今後も関係団体などとの連携を図りながら、引き続き、より質の高いサービスを提供できるよう努めてまいります。
【あらお議員】
先日、訪問ヘルパーをされている方から、総合事業サービスを卒業した方、Aさんの話を伺いました。Aさんは78歳女性、要支援2で一人暮らしです。両下肢の具合が悪く、歩行がやや不自由で長距離歩くことは困難です。現在区内の病院の整形外科にバスを乗り継いで定期的に通院しています。
今年3月にサービスが終了してからは、家の中の掃除もままならず、ゴミ出しも困難なため、生活環境が悪化しており、時々知人の方が見えたときには買い物をお願いしているとのことでした。また、地域包括支援センターから見守りキーホルダーを取りに来てほしいと連絡があったときには、「足が具合悪いから取りに行くことはできない」と言って、自宅に届けてもらったそうです。しかしその後の訪問連絡は一切なく、放置状態となっています。このままではAさんは状態が悪化し、介護度が悪化する可能性があります。適切なケアマネジメントを実施し、介護予防に取り組まなければいけません。サービスを卒業したら、それで終わりなのでしょうか?これが介護予防があるべき姿なのでしょうか?要支援の人であれば、その名の通り支援が必要なのであり、卒業後であっても適切な対応やケアマネジメントが求められるのではないでしょうか。これは「卒業」ではなく介護サービスからの追い出しに他なりません。
●「卒業」後の高齢者をしっかりサポートするために地域包括支援センターがしっかりとアフターフォローをし、高齢者を孤立させない、また状態を悪化させないための体制を整えるべきです。そのためにも地域包括支援センターの職員増員と体制を整備することを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、新総合事業についてのご質問ですが、新総合事業によって自立した方の多様な受け皿づくりにつきましては、平成28年度からシニアステーション事業に加え、平成30年度からは区内の老人いこいの家全館で要支援者を含む介護予防の通いの場の拡充に取り組んでおります。また地域包括支援センターについては高齢者見守り支え合いコーディネーターや機能強化対応職員を配置し体制を強化しております。区は高齢者の通いの場と地域包括支援センターの連携を密にすることで、高齢者を皆で守り地域ぐるみで介護予防に取り組む支え合いの体制づくりを進めてまいります。
【あらお議員】
特別養護老人ホームについて質問します。
現在区内には小規模ホームも含め18の特別養護老人ホームがあり、現在西糀谷1丁目の気象庁宿舎跡地に19か所目の特養ホームが建設されることになりました。「おおた高齢者施策推進プラン」のなかでも、2019年度と2020年度に定員75人の施設の計画が示されています。
区民の要望に応え、施設整備を推進している姿勢は評価できます。しかし、現在区内の特養ホーム入所待機者は第二次評価対象外の方も含め、1,334人となっています。制度改変によって特養ホーム入所用件が原則要介護3以上となっても、なお1,000人以上の方が入所を待っている状態です。入所が叶わず、亡くなられる方も後を絶ちません。
そうした方々も結局は家族介護に頼らざるをえなくなり、現役世代の「介護離職」問題がより深刻になっています。
「介護離職」の件数は総務省の就業構造基本調査では、全国で年間約10万人に上るとされています。政府は「介護離職ゼロ」を掲げていますが、それに係る施設整備予算は483億円と大変少ないものとなっています。
介護保険制度は「介護の社会化」を目指し、これまで家族に頼ってきた介護を社会全体で支えるようになるはずでした。しかし現状は家族介護に頼らざるを得ず、「介護離職」や「老老介護」などの問題が一向に解消されていません。そうした中で、特養ホームの建設は早急に進めなければいけません。
●特養ホームの増設を待機者数に見合った数をスピード感を持って推進すべきです。その際区の役割を明確にするため、区立のホームも建設することを求めますお答えください。
【松原区長】
次に、特別養護老人ホームの整備についてのご質問ですが、在宅生活が困難となった高齢者に対して必要な介護サービスを提供する特別養護老人ホームの整備は重要な課題です。区は第6期介護保険事業計画期間中に4施設225床の特別養護老人ホームを整備致しました。また今年度から実施している第7期介護保険事業計画に基づき、特別養護老人ホーム ケアホーム千鳥を4月に開設致しました。更に現在、西糀谷1丁目の国有地に新たな整備を進めております。今後も、特別養護老人ホームなど施設サービスについては、在宅サービスとのバランスを十分勘案し、介護保険事業計画に基づき、社会福祉法人の事業ノウハウを活用した整備を進めてまいります。
【あらお議員】
また、特養ができても利用料が高すぎることで利用できない方がいます。お金のあるなしに関わらず、誰もが安心して入れる特養ホームが必要であることを求めておきます。
区民の命と健康を支える社会保障としての国民健康保険について
【あらお議員】
最後に、国民健康保険について質問します。
所得は低いのに保険料はいちばん高い”――この不公平をただすのは政治の責任です……国保加入者の平均保険料(一人当たり)は、政府の試算でも、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍という水準です。東京23区に住む給与年収400万円の4人世帯が、協会けんぽに加入した場合、保険料の本人負担分は年19.8万円ですが、同じ年収・家族構成の世帯が国保加入だと保険料は年42.6万円、じつに2倍以上の格差が生じています。このような大きな格差が生じている最大の原因は、国が国庫負担率を削減してきたからです。高過ぎる保険料を引き下げ、国保の構造的な問題を解決するためには、公費を投入するしかありません。全国知事会、全国市長会、全国町村会なども、国保の定率国庫負担の増額を政府に要望し続けており、2014年には、国民の保険料負担の公平性と将来にわたる国保財政の基盤強化の視点から、公費を1兆円投入して、協会けんぽ並み負担率にすることを政府・与党に求めました。
●日本共産党は11月1日に「高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げ、住民と医療保険制度を守ります」という提案を発表しました。全国知事会など地方6団体と同様の提案です。区長も当然この立場にたつべきです。お答えください。また、そうであるならば、国に要望するだけでなく、法定外繰入を継続すべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、国民健康保険に関する質問についてお答えします。まず法定外繰入の継続についてのご質問ですが、今年4月に国民健康保険制度改革が行われました。この制度改革は、財政赤字に見合う新たな公費拡充を行うことで、法定外の繰入は解消される仕組みとなることから、計画的に削減、解消すべきものとされております。一般会計から国民健康保険特別会計に法定外の繰入を行うことは、給付と負担の関係が不明確になるほか、国民健康保険以外の医療保険制度に加入している方に対して、結果として負担を強いることになります。保険料のご負担が過度に重くならないようにすることは十分認識しておりますが、国民健康保険の運営に多額の法定外の繰入を将来に渡り継続していくことは、新しい制度の趣旨や、他の医療保険の加入者との公平性の観点からも、困難であると考えております。特別区では特別区長会として保険者への更なる財政支援と被保険者の保険料負担軽減策を、かねてから国に要望しております。保険料の負担軽減のあり方については、制度の趣旨を踏まえ、都内保険料水準の統一を将来的な方向性としている23区の中で、対応をしてまいります。
【あらお議員】
国保料が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高くなるもう一つの大きな要因になっているのは、国保にしかない「均等割」という保険料算定です。
被用者保険の保険料は、収入に保険料率をかけて計算するだけで、家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが、国保料は、所得に保険料率をかける「所得割」、世帯員の数に応じてかかる「均等割」です。大田区では基礎分と支援金分で年5万1千円となっています。子どもの数が増えるほどこの均等割りが増えることになります。
「まるで人頭税」「子育て支援に逆行している」という批判の声があがり、全国知事会などの地方団体からも「均等割」見直しの要求が出されています。
“人間の頭数”に応じて課税する人頭税は、古代に作られた税制で、人類史上でもっとも原始的で過酷な税とされています。それが21世紀の公的医療制度に残っているのです。この時代錯誤の仕組みこそ、国保料を低所得者や家族が多い世帯に重い負担にしている最大の要因です。
しかし、均等割は、法律で必ず徴収することが義務づけられています。だからこそ、区独自の減免制度が必要になってきます。
●清瀬市では高すぎる保険料の要因となっている「均等割額」を第2子から半額にする負担軽減策を実施しています。大田区は7割・5割・2割の減免制度があると言っていますが、例えば自営業の夫婦、子ども2人の4人家族で所得が270万円の場合、国保料は約44万円になります。そのうち家族の人数に応じてかかる均等割額に減免は適用されず51,000円×4人で20万4000円になります。「低所得者の多くが加入しているのに一番保険料が高い」という不公平を正すため、清瀬市のように大田区として、均等割の独自の負担軽減策を講じるべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、国民健康保険料の均等割額の軽減についてですが、国民健康保険の均等割保険料は、制度から等しく利益を受けることに対する応益分として、ご負担頂いております。23区の国民健康保険料は、所得割と均等割の賦課割合を58:42と、均等割の割合を低く抑え、所得の低い方の負担を配慮したものとなっております。また、保険料の低所得者に対して、均等割額軽減措置を実施しております。加えて災害、その他の特別の事情により生活が著しく困難となるなど経済的事情のある世帯には、保険料を減免する制度を設けております。ご質問の、均等割保険料の軽減措置につきましては、国の制度として取り組むべきものと考えております。なお、全国市長会の総意として、子育て世帯の負担軽減を図るため、子どもに係る均等割保険料を軽減する支援制度を創設することについて、国に要望しております。
【あらお議員】
現行の国保制度には、災害などで所得が激減した人の保険料を“一時的・臨時的”に免除する仕組みはありますが、常設の免除制度はありません。“一時的に困った人は助けるけれど、ずっと困っている人は助けない”という矛盾した制度になっています。
大田区の国保運営協議会にだされた今年2月17日の資料によれば昨年12月時点で、差し押さえ504件差し押さえ処理による収納255件そして執行停止が1635件となっています。
財産調査の徹底を行った結果約7割の方が差し押さえるべき財産を持っていなかったことが分かりました。つまり「払わないのではなく払えない」ということです。
保険料が滞納すると保険証とりあげ、短期証、資格証明書となります。区内の国保滞納世帯数は36,204世帯で加入世帯の35.9%に及びます。短期証・資格証の発行件数は今年9月末時点で、短期証1957件、資格証668件となっています。お金がなく保険料が払えない方が、病院の窓口で10割払えるでしょうか。
●日本医師会などの医療関係者も、国民皆保険制度をまもるために、保険証の取り上げをやめるよう求めています。金の切れ目が命の切れ目にならないようにするために保険証の取り上げはやめることを求めます。また、国税徴収法151条に換価の猶予が、国税通則法第46条に納税の猶予があります。困難で生活に支障をきたすような場合は、納税の猶予と換価の猶予の立場に立ち滞納者の生活実態をよく聞いて親身に対応することを求めます。お答えください。
【松原区長】
保険事業に関わる保険給付を滞りなく行っていくための貴重な財源であることに変わりはありません。保険料の徴収が滞ることになれば、国民健康保険事業の維持運営にも支障が生じることにつながってまいります。保険料のご負担が厳しい方については、生活状況などを詳しくお話をうかがうとともに、ご相談の内容に応じた窓口をご案内するなど、丁寧に対応してまいります。引き続き、関係法令を遵守し、適切に対応してまいります。
以 上