第2回定例会一般質問(速報)―村石議員(6月20日)



(映像は大田区議会ホームページより:17分)

区民の足をまもる交通施策の充実について

【村石議員】
日本共産党大田区議団の村石まい子です。私からは二つのことについて質問いたします。
初めに、区民の足を守る公共交通について伺います。
国の規制緩和の下、タクシー運転手不足を解消するために、第二種運転免許を持たない一般ドライバーがタクシー会社とパート雇用契約を結び、地域、時期、時間帯を限定して、自家用車を利用して運行する日本型ライドシェアがこの4月から始まりました。南蒲田の京急線高架下に新しくできた日本交通系列の日交ひかり株式会社もライドシェアを始めています。このタクシー会社では、環七通りの内側をその範囲にして、タクシーの運行が少ない夜間にGOアプリを使っての予約を受けて運行しているということです。
しかし、ライドシェアは、運転手不足と言いながら、規制緩和によるタクシー業界潰しになりかねません。日本のタクシーは安心・安全で良質なサービスが提供される乗り物と言われていますが、ライドシェアの導入によって乗客の安心・安全が脅かされたり、サービスの低下も懸念されます。昨年の臨時国会の予算委員会で、自民党の小泉進次郎議員は、「タクシーは嫌なお客さんがいても拒否できないが、ライドシェアは拒否できる。お客さんのことを評価できる」などと、とんでもないことを述べております。これでは障害者や高齢の方々などが、手間がかかるからと避けられるということも起きかねません。このような政府・与党の下で進められるライドシェアでは、乗客の安心・安全は守られない、タクシードライバーの処遇も守られず、公共交通の代替輸送とならないことは明らかです。
5月31日に国土交通省が取りまとめた地域の公共交通リ・デザイン実現会議とりまとめが公表されましたが、ここには「多様な主体による交通サービスの提供等を柔軟に取り入れる」と記述され、ライドシェア制度の柔軟運用などを提言する一方で、国や行政による公共交通事業者に対する財政的支援などへの言及はなく、民間任せの姿勢が表れています。それに対して、6月13日に全国知事会は、ライドシェアの規制緩和や新たな法制度について、慎重な議論を求める緊急要望を斉藤国土交通大臣に提出しています。
しかし、大田区交通政策基本計画の基本方針には、「既存の交通手段だけではなく、カーシェアリングやライドシェアなどの仕組みや、超小型モビリティやパーソナルモビリティ、自動運転車などの新たな交通手段の活用、ICTと交通との連携など、交通に関わる新しい技術の活用も念頭において取り組む」と記載されています。
●そこで伺います。区民の安心・安全を脅かし、タクシー労働者の賃金、労働条件の引下げにつながりかねないライドシェアを、今後の活用も念頭に置くとして大田区の交通政策基本計画に載せたことは問題であり、交通不便地域の解消にはつながりません。公共交通に責任を持つ大田区として見直すことを求めます。お答えください。

【まちづくり推進部長】
区では、社会情勢等の変化や交通に関わる技術的な進展などを踏まえ、交通政策基本計画について令和6年3月に中間見直しを行いまして、よりよい交通環境の実現のため、交通政策の実現を図っております。交通政策基本計画では、ライフスタイルに応じて様々な移動手段を選択できる交通サービスを提供するため、既存の交通手段だけではなく、カーシェアリングやライドシェアなど、交通に関わる新しい技術の活用も念頭に置いて交通政策に取り組むこととしております。
平成6年4月からサービスが開始されました、いわゆる日本版ライドシェアにつきましては、地域の移動手段の不足を解消するため、東京など一部の地域を対象としまして、タクシーが不足する曜日や時間帯を限定し、タクシー事業者が運営主体となりまして、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ事業となります。区としましては、引き続き、ライドシェアに関してその動向につきまして注視するとともに、地域公共交通についての施策を交通事業者と連携しながら計画的に展開し、地域の皆様が安全・安心に移動できる交通環境の実現のために取り組んでまいります。

【村石議員】
そして、交通不便地域だけでなく、各地域の相次ぐ路線バス減便で移動に支障をきたす区民の皆さんの声が私のところにもたくさん届いています。バスの本数が減ったので、一本逃すと次のバスまで長いこと立って待たなければならないのでつらいです、ある路線は4時以降一本もバスがなくなり、買物に行けなくなった、また、本数が減ったためにバスが座れないほど混むようになったなどなど、本当に皆さん困っておられます。バスの本数が減ったことで家に籠もりがちになった、友達と会う機会が減った、病院の回数を減らしたなどという生活への悪影響も出ています。お年寄りが外に出歩かなくなると社会的つながりが薄くなり、認知症にもつながってしまいます。
そもそも、バス運転手不足の根本にあるのは低賃金と長時間労働です。大田区交通政策基本計画では、「産業、福祉、観光、防災など、多様な分野と連携しながら交通に関わる取り組みを推進することにより、質の高い生活を送ることができるまちづくりに寄与することを目指す」となっているのですから、この危機を打開するためには、事業者任せではなく、バス運転手の待遇改善に直接つながる補助や助成を考えていかなければなりません。
●そこで伺います。京急バスは、昨年9月に東邦大学経由の大森―蒲田間で、平日の大森駅発が13便、蒲田駅発が14便削減され、主な時間帯は10分間隔から15分間隔になってしまいました。また、3月には約30の路線で最終バスの時間が1時間、中には1時間半も繰り上がり、区民の足を直撃しています。公共交通に責任を持つ大田区として、この危機に対する打開策を求めます。

【まちづくり推進部長】
路線バス事業は厳しい経営状況にあり、運転手の高齢化や大型二種免許取得者の減少等を背景としまして、全国的に運転手不足が深刻な問題となっております。さらに、このような状況の中、労働時間に関する規制が変更されまして、いわゆる2024年問題の影響もあり、路線の減便や廃止事例も散見され、区でも一部そういう状況がございます。こうした中、地域の生活を支えるバス輸送の維持や安全の確保の観点から、運転手の安定的な確保と育成は課題となっているところでございます。
現在、自動運転技術の進歩に伴い、バス事業者においては、自動運転バスの実証実験の取組を進めており、区においても、自動運転バスの実証実験エリアを拡充して、内陸部でも進めてまいります。また、国においては、二種免許取得費用の一部助成や事業者による人材確保・養成の取組支援を行っております。区としましては、引き続き、国、都及び近隣区の動向を注視するとともに、交通事業者をはじめとしました多様な主体と連携しながら、地域公共交通の維持・確保に取り組んでいます。

【村石議員】
さらに、路線バスの増便以外にも区民から要望が出されています。病院へ通院するのに乗換えなしで直接行けるコミュニティバスが欲しいなどの要望です。大田区交通政策基本計画では、「行政や交通事業者のみならず、区民や地域の団体、一般事業者なども主体的かつ自発的に参画し、連携・協力しながら取組を推進」するとなっています。
●伺います。2010年から始まった大田区コミュニティバス、通称たまちゃんバス設置の際の大田区コミュニティバス等検討会議設置要綱を参考にして、交通不便地域解消はもとより、区内の交通政策について検討を急ぐべきです。その際には、区民アンケートやパブコメだけでなく、計画の段階から町会、民生委員、地域包括支援センター、住民有志などが参加した検討会議を各地域で行い、具体化させていくことが求められます。お答えください。

【まちづくり推進部長】
区内には、コミュニティバス、たまちゃんバスの運行により改善されている矢口地区を含めた10か所の公共交通不便地域が存在しております。たまちゃんバスは、平成21年10月から、この公共交通不便地域を改善するため、矢口地区におきましてコミュニティバスの試行運行を開始し、令和元年7月に、地域公共交通会議に位置づけられております大田区コミュニティバス等検討会議におきまして承認され、現在、本格運行に移行しております。また、池上駅・西馬込駅接続エリアと蒲田駅接続エリアでは、デマンド型交通の実証実験を令和5年7月から1年間にわたり実施しております。区としましては、たまちゃんバスの様々な課題について十分検証を行うとともに、デマンド型交通の評価・検証を行い、交通不便地域の改善に向け、交通事業者や地域住民をはじめとする多様な主体と連携しながら、様々な交通手段を活用することにより区民の皆様の足の確保に努めてまいります。

区民の安心・安全を脅かす特区民泊制度を区民の声を生かして改善することについて

【村石議員】
次に、民泊制度について質問します。
大田区は、2016年に他の地域に先駆けて大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドライン、いわゆる特区民泊制度を、そして2018年に大田区における住宅宿泊事業に関するガイドライン、いわゆる国による民泊新法ガイドラインを決定し、本格的に民泊事業が開始されました。東京オリンピックでのインバウンドを見越し、規制緩和で始まった民泊が、コロナ禍以降、急激に増えています。2023年3月末は、特区民泊は区内103施設でしたが、今年の5月24日時点で177施設となっています。また、民泊新法による届出民泊は、同じく2023年3月の85室から、2024年4月11日現在で183室に増えました。
私の住む地域でも民泊が続々と増えています。その様子を伺うと、夜遅い時間にうるさいことがあります、事業系ごみとして出すというごみ出しのルールが守られず迷惑だなどの声がありました。また、これから民泊が開設されるという近所の方からは、民家と民家の間が1メートルもなく、庭先のような私道を通ったその奥に民泊ができるようだが、家の軒先を知らない人が通るのは心配です、火災や地震のときの避難などできるのでしょうかと不安を募らせています。区は、これらの声にしっかりと対応し、民泊による被害を絶対に出さないようにする責任があります。また、民泊開設の申請が急増する中で、窓口になっている生活衛生課の職員の体制強化も必要です。
●そこで伺います。住民の安心・安全を脅かす民泊事業ガイドラインは見直しが必要です。少なくとも区は、地元住民が不安だと意思表示しているところには、問題点を再度調査するなどして、拙速な申請承認はしないよう制度を変える、また、民泊を始めたところでも、近隣住民から問題点が提起された施設には速やかに調査・指導するなど、住民の安心・安全のために区が責任を持って対応していくべきだと思います。お答えください。

【健康政策部長】
民泊制度においては、旅行客の受入れ環境整備と地元住民の安全・安心を両立することが重要です。このため、区では、民泊を実施する事業者向けのガイドラインを策定し、消防法に合致する消防設備、ごみ処理を含めた施設内外の清潔保持等の一定のルールを設け、関係法令やガイドラインの遵守を求める事前指導を行っています。また、事業者に対し、民泊施設周辺住民に向け書面により事業開始前に事業内容を周知することや、住民から事業説明会の開催について求めがあった際には誠実に対応するよう指導をしています。さらに、騒音等の苦情が発生した際には、区職員が現場確認を行い、事業者に対する改善指導を実施するとともに、平常時にも緊急連絡先ステッカー掲示や周辺環境に関する巡回確認を行っております。平成28年の制度開始以降、区では、大田区宿泊事業法施行条例の改正案に対するパブリックコメントや所管する生活衛生課へのご相談など、様々な形で区民の皆様からのご意見を伺ってまいりました。これらを踏まえ、引き続き、地元住民の安全・安心の確保を最優先に、現行のガイドラインに基づいて、事業者への監視指導等を継続しながら適切に対応してまいります。

以  上

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