第4回定例会一般質問(速報)―金子議員


【金子議員】
私は、行政の責任で防災対策を、保育園の待機児解消のために、少人数学級の早期実施について、質問します。

行政の責任で防災対策を

【金子議員】
まず、防災対策についてお聞きします。
2011年3月11日の東日本大震災と12日の福島原発事故を経て、阪神淡路大震災の教訓なども踏まえ、大田区の防災体制が、拡充されつつあります。スタンドパイプや学校避難所の実際の運用のしかたなどが前進しました。災害時要援護者名簿はまだ課題が残っています。災害時要援護者名簿は、区が責任を持って作り上げるべきです。
そのために、行政はなにをすべきか、です。高齢者の独り暮らし世帯や高齢者のみの世帯を個々訪問する、という方法もあります。障害者世帯なども、災害時要援護者として把握するために、すでに出来上がっている名簿で訪問すること。登録されていない人も訪問すること。介護保険で、認定を受けて介護サービスを受けていない人を訪問すること。老人クラブなどで会合に来られなくなった人を訪問するなどいろいろなアプローチができます。大田区が自ら実施することで、個人情報保護を担保しながら、必要な行政サービスにつなげることができます。昨年大田区でも、震災後計画停電が実施されようとして、人工呼吸器を在宅で使用している人や在宅酸素使用者の安全確保が問題になりました。
群馬県太田市では、4300人の高齢者を400人の職員で全員訪問する「おとしより見守り隊」事業を始めました。「民間の宅配業者などに見守りや通報の協力を求めるケースは多いが、市の直営は全国初の試み」と11月20日の東京新聞夕刊が報じていました。全国で孤独死が相次いだのを受け、清水市長が「行政が市民の暮らしを守る仕事を人任せにしてはいけない」と、今年の10月から消防部門を除く75課の係長代理級以上の約400人で、この「おとしより見守り隊」を結成しました。今月中に4300名の1人暮らしの高齢者全員を訪問する予定で、「職員の顔を覚えてもらう」ということです。
太田市では、すでに民生委員と市の社会福祉協議会のふれあい相談員が、月に1,2回高齢者宅の定期訪問をしています。これに加えて、職員が訪問する利点は、個人情報を守れる人員を一度に確保できるということです。11月中に訪問した後は、継続して見守る必要のある400人について、12月から週に1回誰かが巡回できる予定です。「心配して、わざわざ足を運んでくれ、ありがたい」と住民は好意的に受け止めています。訪問時に「ごみが出せない」「買い物する場所がない」「周囲に空き家が多い」など声が寄せられ、まちの課題が肌身で感じられると職員からは感想が出されています。
●大田区では、65歳以上の独り暮らし高齢者については、要援護者名簿として、3年前に国の補助事業で作られたということですが、災害時要援護者名簿として確立する必要があります。この名簿は、町会などに渡してまさかの時に訪問して安否確認をしてもらうというより、大田区の責任で運用も保管もすべきです。作られた名簿に新たな対象者も加えて1年ごとに確認する作業は必要です。そのためにも、個人情報を守れる職員が訪問する体制を作り、その後の見守り体制を区が責任を持って作り上げることが必要です。お答えください。

【福祉部長】
災害時要援護者名簿の更新と活用に関するご質問でございますが、現在、ひとり暮らし高齢者、在宅の要介護高齢者、障害のある方などを中心に、日々登録の勧奨を行いながら、毎年1回、名簿の更新を行っているところでございます。本年5月現在、約3万人の方が登録をしておられます。その際、ご本人の同意を得るとともに、名簿の管理につきまして徹底し、個人情報の保護に留意しているところでございます。
名簿につきましては現在、地域の自治・町会、民生児童委員、さわやかサポート、消防署等に提供し、災害時の支援体制作りはもとより、地域での普段の見守り、さらには火災の発生時などにもご使用していただくようお願いしております。これからは登録者を増やしていくことも大事でございますし、地域の力を生かしながら、見守りや支援体制作りの強化に努めていきたいと考えております。以上でございます。

【金子議員】
次に、被災者の救援業務の構築についてです。いつくるか、わからない地震、津波そしてあってはならないことですが、原発事故も起きないとは言えません。それらの災害にいつでも対応できる準備が必要です。特に発災直後の救援を速やかに行うためには、今回の東松島支援でも、罹災証明書発行が大変で、何時間もかかった例があるそうです。負傷者や持病の悪化で入院が必要な人の搬送から、医療の確保。また、避難所にどういう方が避難されたか。避難所に避難した方々への救援物資の配布や、自宅にいた人たちへの支援をどうするか。全壊・半壊した家を再建するためにどう支援するか。倒壊家屋の管理の問題やがれきの撤去について。亡くなられた方があれば、遺体の保管場所から、お棺の調達、火葬の手配など、あらゆる行政サービスが、一時に求められることが、予想されます。しかもその時、区役所自体が被災することや、職員も被災すること、区役所機能がほとんど失われるかもしれないことも想定しておく必要があります。
これらの準備は、起きてからでは間に合いませんから、あらかじめシステムを構築しておくことです。阪神淡路大震災の時に、西宮市では、被災直後から職員自らがプログラムを作成し、被災者救援業務をシステム化しました。縦割り行政で、役所内の横の情報共有ができないままにしておかないことです。
●被災者救援業務を大田区でもシステム化しておくことです。お答えください。

【防災・危機管理担当部長】
私のほうから災害時業務のシステムに関するご質問につきまして答弁させていただきます。
まず、システムに関してですけれども、一例として西宮市の被災者支援システムがあります。
現在、東京都では、文部科学省と共同開発した「り災証明発給システム」と「被災者台帳管理システム」で構成された「被災者生活再建システム」がありまして、このシステムの導入を進めている区があります。
大田区としても、被災者の救援業務への活用として検討をしており、実際このシステムを活用した東京都総合防災訓練で実施された「り災証明発行訓練」に参加しております。
今後も引き続き他区の導入状況も踏まえながら検討してまいりたいと思います。

【金子議員】
防災対策の最後に、遅れている海抜標示と津波避難ビルについて質問します。品川区でいちはやく海抜標示が行われ、第3回定例会で大田区でも海抜標示と津波避難ビルにするための補正予算が組まれました。11月にはできるはずでしたが、防災・安全対策特別委員会にも遅れた理由が示されません。
●最近、鹿児島市に出かけましたが、鹿児島中央駅に、海抜標示とともに「この地域の避難ビルです」と書いたプレートが取付けてありました。8特別出張所管内だけとせず、全区に広げ、特に出張所や地域庁舎などにはもれなく掲示すべきです。避難ビルを明示しておくことも大切です。お答えください。

【防災・危機管理担当部長】
次に、海抜表示の設置についてですけれども、現在、区内全域を2メートルメッシュで算出する標高調査を行っております。そして順次、調査の終わった地域から、現在すでに海抜表示サインを取り付けています。
また、海抜表示サインや津波避難ビルとして指定した公共施設や民間建物への表示サインにつきましては、本年度、臨海部及び河川沿いの8特別出張所管内に優先して掲示していく予定でございます。以上です。

保育園の待機児解消のために

【金子議員】
少子化は、日本の将来にとって存亡の一大事です。そういう認識が大田区にはあるのでしょうか。区民の方が、子どもを安心して産み、育てられる環境を整えることが、行政の責務ではないでしょうか。
こういうときに、長時間と短時間の働き方で、点数を決め、介護保険のように保護者が自分で保育園への入所交渉を行い、自治体が保育の実施に責任を持たなくなる「子ども・子育て新システム制度」の撤回を国に要望すること、区は導入しないことを求めます。
現在保育園の入所待ちをして、保育ママさんに預けて働いている人に第2子の妊娠が分かりました。現在保育園入所のポイントは24点です。ところが、来年6月に出産予定になり、喜んでいたところ、4月になれば産休にまだ入っていない段階で、本人のポイントが4点になり、夫の分と合わせて15点になります。それが、11月に「保育園入所のしおり」を繰り返し読んでいてわかり、この予約減点にとても納得できないと訴えてこられました。
「保育園の入園・転園申し込みのしおり」の22ページには、選考についてQ11.平成25年4月入園の申込みをしましたが、出産の予定があります。選考と入園後の在園期間は、どのような扱いになりますか?A出産の時期により異なります。入園希望月の前後2か月以内の平成25年2月から6月中に出産予定があるときは、4月入園の選考時は「妊娠・出産」として選考し、指数は4点です。在園期間は出産予定月の2か月後になります。期間終了後、引き続き通う必要があるときは再度申し込みが必要です。ただし、再入園も選考となりますので、再入園できない場合もあります。と書かれています。
生まれてから、申し込みをしなさいといいながら、第2子が生まれないうちにその子の産休分を前倒しで第1子の勘定に入れるというのは、どう考えても納得できません。6月中に生まれるのであれば、4月に入園できた第1子のお子さんは、産休明けの9月には退園させられることになります。出産時期が8月だと条件が違うのですから、このお母さんはとても納得できません。仮に退園して、では2人とも次年の4月に必ず入れると保障されるわけではありません。9月から働くというのであれば、ポイントは元に戻るようですが、産休明けから働くということになり、育休制度は活用できないことになります。
窓口では、「これでは、子どもを産むなと言っているのと同じですよ」とたまりかねていったところ、「そういうわけではありませんが、決まりは決まりですから、その通りにやります」とけんもほろろの対応でした。
このやり方は、4月に保育に欠ける児童ができるだけ少ない方がいい、待機児童は少ないほどいい、という区の姿勢を反映したものではないでしょうか。
第2子の出産時期によって、第1子の保育条件が取り上げられるのは、問題です。4月入園のために、育休を早めに切り上げる例もあります。私は、育休制度は使えませんでしたが、職場の後輩にはできるだけ育休を取るよう勧めてきました。長く働き続ける母親のためにも、子どものためにも育休は大切です。
●産休に入る人も安心して保育してもらえるように、第2子の生まれ月で、第1子の保育が取り上げられることはあってはならないと思います。この項目は削除すべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
私からは、保育園の待機児解消に関わるご質問に順次お答えいたします。
まず最初に、出産に関わる入園先行指数についてのご質問についてでございます。ワーク・ライフ・バランスの観点からも、育児休業を安心して取得できる環境作りは、大変重要であるという風に認識してございます。
議員ご指摘の事例でございますけれども、入園選考に当たっての保育に欠ける要件に関わるものという風に認識してございますけれども、これについては、入園月の前後2か月以内に出産予定がある場合には、原則として、出産により保育に欠けるものと判断いたしまして、これに基づき、入園選考指数を決定しております。ただし、就労の継続について配慮する観点から、産前産後休暇の取得後、引き続き就労する場合には、就労により保育に欠けるものと判断いたしまして入園選考を行っております。
なお、現在、「大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プラン」に基づきまして保育施設の整備を進めておりますが、安心して育児休業を取得できますよう、育児休業からの復帰で保育ニーズの集中する1歳児に重点を置いて、保育サービス定員の拡充を図っているところでございます。

【金子議員】
やはり、根本的には待機児童を解消する対策が必要です。みらいプラン修正版で、平成30年度(2018年度)に、待機児童ゼロでは、とても現実に合いません。保育サービス定員は、20年度135人、21年度417人、22年度541人、23年度427人で、10,938人になりました。待機児童は24年度で392人ですが、待機児童に数えない、保育ママさんや認証保育所に入って認可保育園を希望する乳幼児が含んだ数を反映する旧定義で数えると、788人です。
●待機児童対策本部の3か年で1000人という計画では、達成しても待機児童はゼロにはなりません。来年度が3か年計画の最終年度ですが、保育ママさんや認証保育所を含んだ計画では、結局新たな待機児童になってしまうのです。この実態を反映した計画に変え、待機児童ゼロに見直すことです。お答えください。

【こども家庭部長】
次に、「大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プラン」の計画変更についてのご質問でございます。増加する保育ニーズに対応するため、昨年8月に「大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プラン」を作成いたしまして、地域の保育ニーズに合わせて、プランの着実な推進に努めているところでございます。
ただ、今年4月1日の待機児童数の状況が厳しいことから、3か年プランの平成24年度の目標事業量は320人でございますが、この目標事業量に上乗せするよう、現在取り組んでいるところでございます。

【金子議員】
また、認証保育所は保育料が高いことが保護者の経済的負担を重くしています。1か月の保育料は、所得によって決められる認可保育園と違い、所得に関係なく支払います。区内の認証保育所の平均保育料は約7万円で、10万円以上という施設もあります。
大田区では認証保育所の保護者負担軽減として1人目のお子さんに1万円、2人目以降に2万円の補助がありますが、とても足りません。
さらに設置基準として子ども1人当たりの面積や保育士の配置なども認可保育園より低く設定されていますし、園庭がなくてもよいなど子どもの発達にとって決して良好な環境とは言えません。近所の公園も早く出かけて場所取りをしなければならないとも聞いています。
●認可保育園に入園申し込みをしたが入れず、やむなく認証保育所に入所して高い保育料を支払っている保護者には、認可保育園の保育料と同様の保育料となるよう差額を補助すべきです。お答えください。
認証保育所はあくまでも待機児対策として認可保育園の補完的役割として位置づけ、待機児ゼロは園庭のある認可保育園の増設でこそ実現すべきです。

【こども家庭部長】
次に、認証保育所保育料の保護者補助に関するご質問についてでございます。認証保育所の入所要件や提供される保育サービスにつきましては、認可保育所とは異なっておりまして、保育料の比較においては、必ずしも同一には論じられないと考えてございます。
ただし、認証保育所の保育料は、所得に応じた設定とはなっておりませんので、一部のご家庭においては、利用料がご負担となっているということもございます。
このため、子育て支援策の一環といたしまして、認証保育所の利用者には、児童1人当たり月額1万円、2人目以降は月額2万円の補助を行っているところでございます。
これによりまして、保護者負担が一定程度、軽減されるものと考えております。

【金子議員】
●西糀谷の気象庁宿舎、本羽田の郵政宿舎、東京税関萩中住宅などの国有地に保育園や学童保育施設をつくるため、区から積極的に国や都にはたらきかけるよう求めます。また、区民施設などの建て替え時に複合施設建設などで認可保育園を増やすこともすべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
次に、糀谷・羽田地域の国有地に保育園や学童保育施設を作ることについてのご質問でございます。
まず、保育園の新設につきましては、現在、区が直接建設するのではなく、民間事業者の設置を中心に推進しております。また、学童保育施設につきましては、できる限り学校内に設置できればと考えているところでございます。
次に、区民施設の建て替え・更新時に複合施設で保育園を増やすことにつきましては、既存保育園の改築に合わせまして、できる限り定員増を図ってまいりたいと考えてございます。

【金子議員】
19年度から24年度までの間に、大田区は20年度に共同実施で、22年度は区独自に区立保育園の保育士の新規採用を行いました。それぞれ10名程度の募集に、163名、306名、合わせて469名の保育士さんが申し込み、受験された方は合わせて339名で、27名採用されました。こんなにたくさんの方が受験されたということは、働きたい保育士さんがこんなにいる、ということです。非常勤で働かざるを得ない、契約社員で1年ごとに契約更新を行い、昇給しないなど、希望を持って働き続けられないことが、どんなに保育の専門家である保育士を傷つけているのか、残念な状況ではないでしょうか。
●区立保育園に、正規雇用の保育士を新規採用すべきです。平成30年までに11の区立保育園の民間委託計画を見直し、区の直営で運営することです。お答えください。

【こども家庭部長】
最後に、区立保育園の民営化計画を見直すべきとのご質問についてでございます。社会経済情勢の変化などにより、保育ニーズが急増する中で、多様な保育ニーズに応えるためには、多様な運営主体との連携・協働による保育サービス基盤の拡充が不可欠と認識しております。このような観点から、区立保育園の民営化計画を推進しているところでございます。
今後は、区立直営園18園を地域の保育サービス水準向上のための主導的な取り組みを行う拠点園といたしまして、他の区立保育園については、順次、民営化してまいります。なお、現在のところ、保育士を採用する予定はございません。私からは以上でございます。

少人数学級の早期実施を

【金子議員】
最後に、少人数学級について質問します。昨今深刻になっている、小・中学校のいじめ問題の解決のためにも、行き届いた教育環境を確立することが重要です。東京都は、これまで一貫して少人数学級に反対していましたが、都教委が、共産党都議団の質問に答えて、「少人数学級は効果が上がっている」と初めて認めました。党区議団も少人数学級について、いままで実施を求め、主張し続けてきましたが、35人学級が、ようやく小学校1・2年生に実施されました。他の学年についても新年度から35人学級を実施すべきです。文科省が35人学級のための概算要求をしたということです。これは国民、子どもたちに対する約束であり、必ず実施すべき政策です。
●小学校については、2012年度(平成24年度)5月1日現在の在籍者数に基づく35人編成での学級数を、学務課から出していただきましたが、館山さざなみ学校を含めて60校900学級から962学級と62教室が必要になります。池上第2小学校と小池小学校が4教室必要ですが、3クラスが4校、2クラスが10校、1クラスが22校です。22校は教室増をしなくても対応できます。中学校については、同じく2012年5月1日現在の在籍者数に基づく35人編成での学級数では、28校311学級から350学級、39学級増で実施できます。3クラス増3校、2クラス増9校、1クラス増12校で、そのままで対応できる学校は4校です。いじめが最も問題になるのが、中学生であることを重視する必要があります。その意味からも、いじめ対策からもクラス増を図るべきです。国や東京都にも支援を求めて、クラス増を図るべきです。お答えください。

【教育総務部長】
私からは教育に関する質問に対して順次お答えいたします。
まず、小学校全学年で35人以下学級を編制するには教室を増やす必要があるから、国や東京都にも支援を求めるべきであるというご質問と、中学校でもいじめ対策の意味からも少人数学級とするべきとのご質問に一括してお答えいたします。
本年度から大田区では、国や都の方針を踏まえまして、特にきめ細かな教育が必要とされる小学校2年生までの低学年のクラス編制を原則として35人以下としております。35人以下学級を全学年に拡大した場合には、教室の確保が問題になることも想定されますが、建築基準法上の制限などから増築により、これを確保することは非常に困難でございます。
全学年での35人以下学級の実施が必要となった場合には、ティーム・ティーチングの導入などにより実質的に少人数学級のメリットを確保していくことが現実的な対応策であると考えているところでございます。
一方、国におきましては、35人以下学級を推進している文部科学省と、少人数学級の実現は必ずしも教育の向上につながらないとする財務省との間で少人数教育そのものが議論となっておりまして、教育委員会といたしましては、国の少人数学級の推進についての議論を注視していきたいと考えております。

【金子議員】
●小学校については、適正規模・適正配置と言いながら、4校統廃合しました。将来、少人数学級にかならずなると、提案してきましたが、返す返すもったいないことでした。ところが、大田区小・中学校の適正規模及び適正配置に対する教育委員会の基本的な考え方が、未だにホームページに公表されています。この適正規模は、小中学校のそれぞれ12学級から18学級としており、全学年とも150人を下回る小規模校のケースとしています。この基本的考え方に沿って小学校を統合すれば、周囲の学校の児童数が増え、少人数学級実現のための教室確保がますます困難になります。この考え方は撤回すべきです。お答えください。

【教育総務部長】
次に、これまでの小・中学校の適正規模及び適正配置に対する基本的な考え方に沿って統合を行えば、その影響で周囲の学校の少人数学級実現が困難になるから、この考え方を撤回すべきではないか、との質問でございます。
平成12年に策定いたしました「大田区立小・中学校の適正規模及び適正配置に対する教育委員会の基本的考え方」は、より良い教育環境の整備のための考え方を整理したものでございまして、学級規模によって変わるものではございません。
現在、この考え方に沿って統合を行う具体的な計画はなく、また今後、計画を策定する必要が生じた場合も、周辺校において学級編制の基準を満たせるかどうかも含めて、慎重に検討を行ってまいりますので、ご指摘のような影響は出ないものと考えております。

【金子議員】
次に、いじめ問題についてです。文科省が11月22日に発表した調査では、今年度14万4千件が「いじめ」と認知されたと公表しました。昨年1年で7万件ですから、今年の前半だけで2倍を超えています。
文科省は学校・教員が積極的に「いじめ」を認知するようになったことや、子ども・保護者の意識が高まり、「いじめ」を訴えやすくなったこと、アンケート様式を工夫した教育委員会があったことなどをあげています。
いじめの具体的な中身は、「冷やかしやからかい、悪口や脅かし文句、嫌なことを言われる」が66・8%で最多。ついで「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、けられたりする」25.3%「仲間外れ、集団による無視」が24.7%となっています。「生命・身体の安全が脅かされるような事態にいたるおそれがある」とされた深刻ないじめは278件あり、文科省は「いずれも解消したか、解消に向けて対応している」としています。いじめの調査に当たって、文科省は「いじめは、どの学校でも、どの子どもにも起こりうる問題である。いじめを許さない学校を作るとともに、日頃から児童生徒が発する危険信号を見逃さないようにし、いじめの早期発見・早期対応を進めるために、各学校は、いじめの問題への取り組みについて、それぞれの実情に応じた適切な点検項目に基づく定期的な点検を行い、点検結果を踏まえて取組の充実を図る必要がある」と、求められる取組で述べています。ところが、2011年に文科省が行った「いじめ問題への取組状況に対する緊急調査」結果では、点検項目を設け、定期的に点検し、点検結果やこれに基づく課題を全教職員で共有していると90%以上の学校が回答しています。体制を取っても、いじめは教職員の知らないところで起こっていると考えなければなりません。
この状況の中で、全国で14万4千件といういじめの件数は、子どもたちや教職員、保護者の人権感覚がより研ぎ澄まされてきた、ともいえるのではないでしょうか。
9月3日報告の大田区のいじめの件数は小学校が179件認知され、解消件数125件、中学校が130件認知され、113件が解消されたとのことですが、少ないのではないのか、十分拾えたのかという疑問があります。教職員の多忙化、ストレス、長時間労働など気付けない状況もあるのではないでしょうか。「いじめ半減」数値目標では、いじめ隠しを助長することも指摘されています。
日本共産党の志位委員長が28日に「『いじめ』のない学校と社会を」日本共産党の提案を発表しました。提案の理由は、「いじめが深刻な社会問題になっています。克服は大人の責任、日本社会全体の責任で取り組まないといけない大問題であ」り、「専門家、教育現場の方々、いじめにあった被害者の方に詳しく聞き取りを重ね、ご意見や知恵を総結集する形でまとめ」たものです。第1の提案は、「いじめ」から子どもの命を守るーいじめ対応の基本原則の確立です。①学校と教育行政の基本原則として「安全配慮義務」を明確にする②ささいに見えても様子見をせず、全職員、全保護者に知らせる③子どもの自主活動の比重を高め、いじめをやめる人間関係をつくる④被害者の安全を確保し、加害者にはやめさせるまで対応する⑤被害者・遺族の知る権利を尊重するーこの5つです。そのうえで教員の「多忙化」の解消や35人学級の推進など「いじめ」解決に取り組むための条件整備を具体的に示しました。第2の提案は、子どもたちに過度のストレスを与えている教育と社会を変えることです。子どもたちの強いストレスがいじめの背景になっており、過度の競争教育をなくすことを提起しました。「新自由主義の経済政策で弱肉強食がはびこり、社会全体が『いじめ社会』になっています。子どもの声に耳を傾け、人間的連帯に包まれた社会へと政治のゆがみを正していく必要があります」と指摘しました。そして、国民的議論をおこし、国民的合意形成の必要性を強調しています。
●子どもの命が最優先の原則を、学校に確立すべきです。学校のどんな都合より子どもの命が優先されることを明確にして、すこしでも「いじめ」の可能性があれば教職員、保護者ぐるみで対応するなど確かな対応を確立すべきです。お答えください。

【教育総務部長】
次に、いじめへの対策についてのお尋ねでございますが、いじめは重大な人権侵害であると考えております。東京都へのいじめの件数を報告後、それぞれの対応状況を把握する調査、11月の「子どもの心サポート月間」には、悩みやストレスを抱えていないかどうかを把握するための学校生活調査と面談を実施いたしました。
いじめの対応では、被害の子どもの心に寄り添うことに重きを置いて、関係者からの聞き取り、保護者との面談、スクールカウンセラーの活用、外部機関との連携などを組織的に行うことを学校に指導してまいりました。
引き続き、子どもたちが「いじめは絶対に許さない」という認識を持つことができるよう学校を指導し、未解決のいじめについては、引き続き解決に向けて対応してまいります。

【金子議員】
いじめ問題に詳しい大阪千代田短期大学の広木克行教授は、「いじめに向き合う場合に、どこからがいじめでどこからがいじめではないという線を引くことは重要ではありません。いじめにつながる子どもたちの表情や行動、人間関係の変化をつかむことが大事です」「いじめられた子どもは、いじめの初期の段階で誰かに相談していることが多い」「訴えるのは、最初だけで、その訴えを軽視すると、おとなに対する不信感が生じて相談しなくなります」。「子どもたちが声をあげられないのはなぜか。教師が子どもたちの声に気づかないのはなぜか。
国連子どもの権利委員会が指摘した『過度に競争的な教育こそ』学校の空気を暗くしている元凶です」と述べています。子どもを追いつめる「競争」「自己責任」は、同時に教師自身も、競争の中で子どもを追い立てる役割を担わされています。
大田区立の小中学校が、8割の子どもが満足しているから、それでよしとせず、みんな1人残らず楽しく登校できる学校になるために、どうすればよいのでしょうか。広木教授は「教育行政を市民に開かれたものにしていく努力、地域で子どもたちが豊かに遊び成長する機会を提供する努力、親と教師が交流する場や、専門家とともに学ぶ場の創出、そうした努力を一つずつ積み重ねていくことが、悲劇から子どもを守る地域づくりの第一歩になる」と述べています。
●学校を良くするには、地域の人々に応援して、見守ってほしいと学校関係者に言われました。民主的な学校運営、住民参加の学校づくりが求められています。教育行政を市民に開かれたものにしていく努力は、教育委員会の固有の仕事ではないでしょうか。お答えください。

【教育総務部長】
次に、教育行政を市民に開かれたものにするためにどう対応するかというご質問でございます。
これまでも安心・安全な学校づくりに向けまして、地域・保護者のご理解とご協力をいただくために、開かれた学校づくりを推進しております。例えば、各学期に1回以上の学校公開日・公開週間を設定し、ゲストティーチャーとしてご協力をいただくこともございます。さらに、夏季休業中に開催されている「夏のわくわくスクール」では、地域の方の力をお借りして特色ある講座づくりをしている学校も数多くございます。また、地域連絡協議会委員による学校関係者評価を生かして、学校教育の充実に努めているところございます。
来年度は全校で、学校支援地域本部の設立を目指して、地域の皆様が教育活動をサポートしていただく態勢を一層充実してまいります。

以  上

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