区議団ニュース2022年5月号(No.294)――コロナ対策充実、くらし・営業支援へ/ロシアのウクライナ侵略中止へ、国際世論を


PDFファイル大田区議団ニュース2022年5月号(No.294)

党区議団が新年度予算へ組替え提案

党区議団は第1回定例会で、新年度予算が「感染症の危機を克服し、(略)未来を切り拓いていく予算」と位置づけながら、新型コロナ対策が不十分で、くらし・福祉・防災予算を削減し大型開発をすすめている問題点を指摘し、新年度予算に対して大型開発など不要不急の事業を廃止し、新型コロナ対策の充実やくらし・福祉・営業支援へ事業の新設などを充実する組替え予算を提案しました(下表参照)。
不要不急の事業の廃止では、新空港線の積立基金・整備主体の設立経費・整備促進事業の廃止。海外(セーラム市・大連市)親善訪問・区政施策調査(海外)の中止、同和関連予算の減額。
新型コロナ対策の充実では、感染症患者の受入れ機関への支援助成金増額、区立小・中学校の全児童・生徒に抗原検査キット配付。
くらし・福祉支援では、小・中学校の給食費無償化、特別養護老人ホーム建設費・ショートステイ整備助成(3か所増300床・30床)、高齢者医療費外来半額助成、保育園0~2歳児の保育料無償化、精神障害者2級手当新設、高齢者・こどものインフルエンザ予防接種費用助成、公園トイレの洋式化。
営業支援では、仕事確保のための職員増員(10名)、工場家賃支援(月5万円・500社)、ものづくり経営革新緊急助成、中小事業者の後継者支援(200万円・200人)。
*党区議団の提案は否決されました。引き続き「税金は区民のために」全力を挙げていきます。

歳出(単位:千円)

組替項目 修正増額 修正減額
セーラム市親善訪問の中止 ▲ 5,334
朝陽区・大連市親善訪問の中止 ▲ 2,129
区政施策調査(海外)の中止 ▲ 11,998
人権推進事業のうち同和生活相談の減額 ▲ 12,171
精神障害者2級手当 137,862
特別養護老人ホーム建設費整備助成(3か所増)ショートスティ 1,122,000
高齢者医療費助成(外来分半額助成) 2,430,500
認可保育園0~2歳児の保育料無償化 95,918
新型コロナ感染症受け入れ機関に対する支援助成金 100,000
高齢者インフルエンザ予防接種費用助成 194,750
こどものインフルエンザ予防接種費用助成 296,000
仕事確保職員(10名) 70,000
工場家賃支援 300,000
ものづくり経営革新緊急助成 275,000
中小事業者の後継者支援 400,000
公園トイレの洋式化 135,000
新空港線整備資金積立基金積立金の廃止 ▲ 1,003,193
新空港線の整備主体の設立廃止 ▲ 180,000
新空港線の整備促進事業の廃止 ▲ 3,238
世帯向け家賃助成 40,000
小学校給食費無償化 1,238,191
小学校抗原検査キット 48,825
中学校給食費無償化 505,227
中学校抗原検査キット 18,600
合計 7,407,873 ▲ 1,218,063
補正予算増額 8,625,936

予算特別委員会での論戦 ~ コロナ対策・くらし・環境・教育の充実

総括質疑 大竹辰治区議

補正予算(8次)では、歳入歳出それぞれ合計で35億円余の減額補正を行いましたが、歳入では、特別区税で22億円、特別区交付金で94億円など、150億円の増額がありながら、歳出では、施設整備資金・防災対策基金にそれぞれ20億円積立ています。その結果、基金だけで168億円増となりました。お金が余ったから積み立てたのであり、お金があるならば区民の福祉のために活用すべきと求めました。
・コロナ禍のいま、傷んだ区民生活をさらに負担をかけるべきではなく、世代間負担の公平を図るため特別区債を活用すること。
・新年度予算では、コロナ対策の区独自事業として、中小企業融資などわずかしか計上されていない。足立区は「一番弱っているところに必要な財源を投入していきたい」と、世帯所得200万円以下で住民税非課税世帯に独自で10万円給付します。また品川区では区民一人当たり3万円を給付し、区民に喜ばれています。大田区でもこのような施策の予算化を求めます。
・新年度予算では、デジタル技術の活用による業務を変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に60億円余が計上されている。インターネットやコンピューターを使える人と使えない人との間に生じる格差など課題があり、十分な検証とこれを踏まえた対策をすること。
・今年度中策定の「大田環境アクションプラン」は、2030年の温室効果ガスの削減目標を2010年度比で50~60%にすべきです。すぐに「大田区区役所エコオフィス推進プラン(第5次)」を見直し、「大田環境アクションプラン」よりも高い温室効果ガス削減目標にすること。
・来年度予算に温室効果ガスを減らすために、具体的な対策として太陽光パネルに対する助成を復活すること。
・住民税非課税世帯等に対する臨時給付金は、全ての生活保護者が給付を受けられるように、国に意見を上げて改善を求めること。また区として救済策を行っていただきたい。
・大田区GIGAスクール構想で、教育の後退や、子どもたちが孤立し、学の質を低めてしまうことにならないようにすすめること。

大森西地域の環境改善のために すがや郁恵区議

大森西地区複合化計画により、こらぼ大森(旧大森第六小学校)のプールと体育館棟の解体工事が始まるなど施設の使い方が変わります。地域の方々が行っている事業の継続、防災訓練の実施、樹木伐採の見直し、大森第六小学校の記念碑設置や男子用トイレにおむつ替えベッド、ベビーチェアーの設置等を求めました。
・学童保育では、開桜小学校の放課後広場がコロナ禍で密の状況で行われ、子どもたちの使っているトイレも3階から1階まで降りなければならず、子ども中心の施設に見直すよう求めました。
・区の奨学金制度では、外国人向けのパンフレット発行や印鑑の省略を求めました。
・東邦医大通りの「富士見橋架け替え工事」の遅れについて、東京都議会に地域住民から出された陳情が採択されており、区が東京都と連携して早くすすめるよう求めました。

同和事業の中止、保健師の増員を 黒沼良光区議

同和事業の特別扱いはやめ一般人権事業にすべきです。同和事業の教育相談は、部落もない大田区ではありえませんが、20年間ほぼ同数件続く理由を伺うと、「都会特有の人口流入による」との答弁ですが、政府は逆に、人口流入は部落差別解消に寄与するとしており、大田区の答弁は根拠を失っています。
・区が決めている職員残業上限40時間をはるかに超える残業を、保健所保健師はコロナで強いられているため、改善をすべきと要望しました。「努力する」と答弁したが、兼務で乗り切るのは根本的に解決にならないと指摘しました。

産業経済費の増額を 福井りょうじ区議

新年度の産業経済費は58億4531万円で予算に占める割合は1・92%にしかすぎません。58億4531万円の予算の中身は中小企業融資の利子補給16億6500万円。工場アパートなどの管理費(委託費)8億6160万円。産業支援施設の管理費約7億円。産業振興協会支援6億7803万円。人件費5億6097万円。利子補給・人件費や固定費が多くを占め、残りの予算はわずかに14億円しかありません。
大田区は「ものづくりのまち」と言われ中小町工場が約3000社をあります。また商店街の数も23区で一番多くあります。この予算で十分でしょうか。
大田区は新技術やベンチャー(起業)の支援に特化し、町工場や商店街の支援は不十分と言わざるをえません。今回、産業経済費の予算増額を求めましたが、明確な答弁はありませんでした。

35人学級への対応を充実させよ 杉山こういち区議

小学校の児童数の増加及び35人学級化にともなう学級増への対応に必要な校舎の増築をすすめます。教室数の不足を補うために、蒲田小学校は6クラス、高畑小学校は14クラス、馬込小学校は6クラスの計画です。予算は3校合わせて10億3千万余となります。校舎の改築や建て替えなどは、複合化すると規模が大きくなり、工事が長期化します。児童への負担や学校周辺住民への負担が長引くので、複合化せずに単独での事業で行うことを強く求めます。また中学においても35人学級実現に向けて取り組むよう強く求めました。今後の第7波に備えて、(体温測定のように)スクリーニング検査としての抗原検査キットを家庭で使用することによって、感染者が医療機関を受診するという行動の促進につなげるためにも、小・中学校の児童・生徒への抗原検査キットの配付を求めました。

中小企業支援強化と国保料の収納改善を 佐藤 伸区議

コロナ禍で苦境に立たされている区内中小企業・小規模事業者の皆さんが、この間受けた支援金や給付金が課税対象となり、高額の税金や国保料になることに加えて、区営住宅に入居している方には高額家賃と住居からの立ち退きが迫られる可能性があることから、特段の配慮を求めるとともに、中小企業支援の立場から国に対して課税対象から外すよう要望することを求めました。
また大田区では、国民健康保険加入世帯の27%の世帯が保険料が高過ぎて納期限までに払えない滞納世帯で、短期保険証や医療機関窓口で10割の医療費請求がされる資格証明書を発行し、更に保険料に延滞金をかけて、ペナルティーで保険料の回収をすすめています。厚労省の通知に即した運用改善と、区民の命と健康に直結する、短期保険証と資格証明書の発行と延滞金の徴収をやめるよう求めました。

保育所の感染症対策強化を あらお大介区議

児童福祉費に関連して、保育所の感染症対策について質疑しました。オミクロン株の感染拡大が若年者の中で急拡大している中で、区内各保育園でも厚労省のガイドラインに従って感染症対策を実施しています。しかし、現場での試行錯誤や奮闘にもかかわらず感染拡大を食い止めることは難しいのが現状です。感染症対策への補助の拡充と休園時の代替保育の実施を区に対して求めました。

利用者も従事者も安心な介護へ 清水菊美区議

介護保険特別会計新年度予算は583億円で、令和3年度は報酬の増額改定を見込んだ保険給付でしたが、報酬改定が小幅にとどまったことから2・1%減となっています。認定者数は前年度比プラス2・5%777名増えています。しかし、介護サービス等諸費前年度比マイナス7億370万8千円、介護予防サービス等諸費は前年度比マイナス1億1350万9千円となっています。必要な介護サービスが受けられるよう改善を求めました。
コロナ感染のストレス、重労働、更に低賃金で離職者が増えており、介護労働者の人手不足は後を絶たちません。介護労働者の処遇改善、賃上げは区民へのサービスに直結します。保険料の値上げではなく、国に対し国庫負担割合を大幅に引き上げる改革が必要であることを求めました。

新空港線(蒲蒲線)計画 破たんが明瞭 しかし約12億円の予算計上

松原区長は「今年度内に東京都と費用負担の合意を目指す」と答弁していましたが(左図参照)3月31日まで進展はありませんでした。90億円に。
さらに第三セクター設立のための経費1・8億円を5年続けて計上し、いまだ実現していませんが、今年度も計上しました。
新空港線計画は破たんと言わざるを得ません。実現不可能なものに毎年予算を計上していいのでしょうか。

新空港線計画に対する区長本会議発言

  • 2016年度
    • 4定「事業着手に向けた重要な段階となる」
  • 2018年度
    • 1定「実現がすぐそこまで来ているという手応えを感じている」
    • 2定「合意形成を図るための重要な局面を迎えている」
    • 3定「関係者間で費用負担割合などの協議を進めており」
  • 2019年度
    • 1定「合意形成がなされれば、すぐに動き出せる体制」
    • 臨時会「事業化に向けた関係者調整を一層加速させていく」
    • 1定「新空港線の協議は大詰め」
    • 2定「整備着手に向けて全力で取り組む」
    • 3定「最新の状況を加味したうえで、費用負担割合等の協議を行う」
  • 2021年度
    • 臨時会「事業化に向けた関係者調整を一層加速させる」

高齢者・子育て・営業支援の4件条例 党区議団が提案

党区議団は第1回定例会で、区民のくらし・営業支援のため以下の4件の条例を提案しました。

高齢者入院見舞金支給条例

今年10月から75歳以上の後期高齢者は、医療費の窓口負担が原則1割負担から2割負担に2倍に変更されます。また年金削減、原油価格の高騰による物価上昇、コロナ禍で感染が怖くて外出もできない状況が続くなど、悲鳴が上がっています。このような環境の変化のもとで、医療機関に入院した75歳以上の高齢者に入院見舞金を支給し、入院費を少しでも軽減するための条例です。

世帯向け家賃助成条例

区内の民間住宅賃貸住宅に義務教育終了前の児童を扶養する世帯に、月3万円5年間の支援策です。
定住化の促進に加えて、コロナ禍で一層厳しさを増す区民生活の安定、子育て支援等の福祉の増進に寄与するものです。
都内23区には、ファミリー世帯を支援する様々な家賃助成制度があり、大田区でも区営住宅の募集倍率も高く、区営住宅の建設計画がない中、建設とともに家賃助成制度をつくり、ファミリー世帯への支援を強めるための条例です。

小・中学校学校給食無償化条例

学校給食は食育の一環です。昨年の休校中には学校給食がないことにより、体重が減少した子どももいたこともあり、いかに学校給食が子どもたちの健康に重要なことが明確になりました。
学校給食を無料化し保護者の負担軽減を図るとともに、子育ての支援と教育の充実に大きく寄与し、コロナ禍で収入が減っている子育て世帯も出ており、学校給食費を全額助成することは児童・生徒の心身の健康保持のために急務です。
またコロナ禍で業務が過大となり忙殺されている学校・教職員の給食費にかかる事務が軽減されます。

中小企業・小規模企業振興条例

グローバル企業の海外移転が大きな原因でモノづくりの力が衰退し、日本全体で産業、特に製造業の空洞化が進行しており、大田区でも工場数の大幅減少や仲間回しの解体・減少などが現在も進行しています。
国は小規模企業振興基本法を定め、都は東京都中小企業・小規模企業振興条例を制定しましたが、区は適切な対応をせず今日まで来ました。一日も早く、区長の責務や中小企業・小規模企業を加えるとともに、「ハネダピオ」に重点を移すのではなく、実情に合うように区の大田区産業のまちづくり条例を改める条例です。

これらの条例提案は賛成者少数で否決されましたが、引き続き区民の要望実現のために頑張ります。

新年度予算には反対しました

2022年度予算は「感染症の危険を克服し、ポストコロナに向けて(略)未来を切り拓いていく予算」として、ワクチン接種、重度知的障がい者グループホームの整備など、区民の声に応え評価する施策もありますが、

反対の理由① コロナ対策不十分

新型コロナで痛めつけられた区民への対策が不十分で、更にくらし・福祉の予算を切り捨てています。新型コロナ対策はワクチン関連、業者支援は融資のみで、区民への直接支援がなく、全事務事業見直しで313項目約7億円のくらし・福祉の予算を削減・廃止しました。

反対の理由② 大型開発優先

ポストコロナの方向で大規模開発、公民連携と大企業の儲け優先の「まちづくり」の予算となっています。新空港線計画(蒲蒲線)を「最も重要な事業の1つである」とし、新空港線関連予算12億円を計上して積立基金は90億円余となりました。

反対の理由③ 拙速なデジタル推進

自治体の一層のデジタル化をすすめ、公民連携と職員削減を強引にすすめています。以上3点から党区議団は反対しました。

党区議団は、3月25日第1回定例議会最終日に、新空港線関連予算11億8643万1千円を減額し、区民のために活用する動議を提出しましたが、否決されました(3面参照)。

国民健康保険事業特別会計

未就学児の均等割が半額になったことは評価できますが、約3割の滞納者にも拘わらず均等割額・所得割率とも値上げとなりました。

後期高齢者医療特別会計

後期高齢者医療は今年10月から窓口原則1割から2割負担になりました。

介護保険特別会計

要支援1・2の介護はずしが依然と続いています。区民への負担増やサービス切り捨てとなり反対しました。

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