区議団ニュース2021年11・12月号(No.291)――新型コロナから区民の命・くらしを守る区政を


PDFファイル大田区議団ニュース2021年11・12月号(No.291)

コロナ禍で苦しんでいる区民の支援が不十分

今決算には、認可保育所整備、小中学校体育館等空調設備の整備、高校生への給付型奨学金の創設など評価できるものがあります。
しかし反対の理由の第1は、年度途中に基金に積み立てながらコロナ禍で苦しんでいる区民の支援が不十分だったことです。
第2の理由は不要不急の大規模開発を推進していることです。

新空港線について

区は「東京都との協議は大詰めを迎えており」と言いながら、6次補正で整備主体の設置予算1億8000万円を削除しました。それにもかかわらず新空港線整備資金積立基金は補正で10億円を積み立て、合計で約80億円となりました。整合性がありません。

羽田空港跡地開発

また大田区は羽田イノベーションシティが地域活性化につながると宣伝をしていましたが、決算では羽田みらい開発㈱に賃料として2億6426万円を払いながら、ブース家賃収入は608万円となっています。これでは到底、区民の理解は得られません。わが党は新空港線(蒲蒲線)の白紙撤回、羽田イノベーションシティの見直しを求めています。
反対の第3は、職員増ではなく、一層の民営化と非正規職員の配置や臨時職員の活用で、区民サービスの質の低下が心配されていることです。会場利用での応対が不親切との声も聞こえてきます。
保健所体制も全庁あげて取り組むとしながらも、大半が兼務による体制強化であり、保健師の残業時間は過労死ラインをはるかに超えています。これでは区民も職員も守れません。職員増を図り体制を強化する必要があります。
以上の理由から決算の認定は反対しました。
コロナ危機は、日本社会がかかえるさまざまな矛盾を浮き彫りにしました。医療と公衆衛生を切り捨て、「使い捨て」の雇用を広げ、国民に「自己責任」を強いてきた新自由主義を続けていいのか、目先のもうけのためにかけがえのない地球環境を破壊し、気候危機をもたらした経済社会を続けていいのか、問われています。そして、命と暮らしを何よりも大切にする政治に転換するべきです。

羽田空港跡地第1ゾーン

羽田空港跡地第1ゾーン
HANEDA INNOVATION CITY CONCEPT BOOK(羽田みらい開発株式会社)より

区民生活より大企業奉仕の姿勢 決算特別委員会・総括質疑 佐藤 伸議員


(映像は大田区議会ホームページより:59分)

大田区の作成した新空港線ポスター

大田区の作成した新空港線ポスター

決算について、①区民の切実な声に応えなかった決算、②コロナ禍でなにより命を守る新年度予算、③気候危機を打開する大田区でのCO2排出ゼロの取り組み、④インボイス制度導入で困難さを増す、中小・零細事業者支援について等を質問しました。
昨年度決算はコロナ禍で区民の生活と営業支援が切実に求められている中で、都内の他自治体では現金給付をはじめ家賃支援や給食費支援など独自に支援策を展開しましたが、大田区では限定的になりました。さらに、今後2年間で350億円の財源不足が見込まれるとして、区が行っている全事務事業の見直し・再構築する方針で、区民生活に関わる分野の切り捨てが決算で明らかになり、今年はコロナ禍で見送られた区施設の使用料の値上げを来年度は行うことを表明しました。一方で、羽田空港跡地開発では昨年度、2億円以上の損失を出しながら見直す考えがないことが明らかになり、区民生活より大企業奉仕の姿勢がはっきりとしました。

開発ではなく福祉の増進こそ 代表質問 福井りょうじ議員


(映像は大田区議会ホームページより:60分)

原則自宅療養の撤回を

政府が8月3日、重症患者と重症化リスクの高い患者以外は「原則自宅療養」という重大な方針転換を行ったことは、コロナ患者を事実上「自宅に放置」する無責任きわまるものです。いまだに「原則自宅療養」という方針を撤回していません。政府に対して撤回をするよう区に求めましたが、区は注視するに留まっています。

350億円の財源不足 だが都市づくり進める

予算編成方針に今後2年間で約350億円の財源不足を見込んでいて、事務事業の見直し・再構築を徹底して、2020年度、2021年度で事業の必要性を再精査し、廃止を含めて検討することをあげています。つまり財源不足が大前提となります。そのために見直し・廃止を行う一方、「成熟した都市」をつくっていくとの方針です。区民が望んでいない新空港線と一体としたまちづくりの撤回を求めましたが、区長はすすめていくと強弁しました。

総量抑制を進める

予算編成に既存事業の総量抑制が盛り込まれました。大田区の予算の半分以上占めるのが福祉費です。本来の自治体の仕事は開発やまちづくりではなく「住民の福祉の増進」です。既存事業の総量抑制方針は地方自治法に反するものです。今年度予算では事務事業見直しで廃止されたものは、リフト付き福祉タクシー運行委託、障害者の法外ショートステイ事業に対する補助、スポーツ教室・健康相談・水泳教室、産業クラスター形成支援事業などが廃止されました。
予算額が前年度50%以上縮小した事業は、福祉費を見ると応急小口資金貸付金、特別介護人派遣、身体障害者奨学金貸付、緊急保育・大田区次世代育成支援緊急対策整備事業などがあります。そして国保料の値上げ、来年度は施設利用料値上げです。総量抑制と施設利用料の値上げの中止・撤回を求めましたが、残念ながら明確な答弁はありませんでした。

障害者福祉施設整備は当事者の声の尊重を 一般質問 あらお大介議員


(映像は大田区議会ホームページより:32分)
区立障害者福祉施設整備基本計画について、区は特別支援学校卒業生の日中活動の場を確保するための定員増に備えるためとして、一部の生活介護施設の改築・増築すると本計画で発表しました。この計画の問題点は各施設が大規模化されること、計画策定の段階で障害者基本法に示されている当事者参画「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という最も重要なプロセスを経ていないかのような内容であることを指摘し、計画の見直しを求めました。また、区民への本計画の情報公開の徹底と、施設の大規模化ではなく地域バランスを考慮し、小規模施設を数多く設置することを求めました。

リニア工事の中止を

リニア中央新幹線について、JR東海が大深度地下トンネル掘削を強行しようとしていることで、調布市で起こった外環道シールドトンネル工事による陥没事故がリニア工事でも発生する恐れがあるとして、ルート沿線エリアの住民の皆さんが不安に感じていることから、区として住民の生活と安全を守る立場に立って国とJR東海に対し工事の中止を要請するよう求めました。

要支援者の個別避難計画を

要支援者の個別避難計画作成支援について、今年、災対法の改正で計画作成が自治体の努力義務となり、5年程度を目途に作成することとなり、区が早期に方針を作成し、関係機関との連携を求めました。

陳情採択わずか3件 区民の声に背を向ける自民・公明

◦沖縄戦戦没者の遺骨が含まれる土砂を埋め立てに使用しないよう求める意見書採択の陳情
◦エアコン設置費用の助成制度を求める陳情は、共産、エール、フェア民が採択を求めましたが、自民、公明、令和、無所属、フォーラムが不採択としました。
◦大田区の子どもたちと子どもに関わる人たちに優先的にワクチン接種等の施策をお願いする陳情
◦感染拡大防止のため区内のPCR検査を無料にすることを求める陳情
◦区立学校の女子トイレ(個室)に生理用品の無償配備を求める陳情3件は共産党とエールが採択を求めましたが、自民、公明、令和、エール、無所属、フォーラムが不採択としました。
◦固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続について意見書の提出に関する陳情3件については、全会一致で採択されました。
◦呑川下水道工事に関する陳情は、工事の変更を求めており、フェア民は採択、共産党は必要な工事として不採択の態度を表明し、不採択となりました。
◦議会改革を求める陳情(「開かれたよりよい大田区議会となるように」と、27項目の提案)は、共産党は採択を求めましたが、他の全ての会派が不採択とし、不採択となりました。
党区議団は区民からの請願・陳情は内容を精査し、出来る限りその趣旨を汲んで採択を求めています。

区民の暮らしと営業を守る3つの条例提案をしました

エアコン購入に7万円の補助

エアコンがない区民に対して、環境性能100%のエアコンを区内業者から購入する際に最大7万円助成するものです。
今年も熱中症で緊急搬送人数は区内では6月から8月で141人で、高齢者80人となっています。高齢者の熱中症対策と気候危機は、私たちにとっても緊急に解決しなければならない問題です。

第2子の保育料を無償に

保護者が安心して子どもを産み育てることができ、保育園を利用できるように、0歳~2歳の保育料の負担額算定を見直すための条例案です。現在、保護者が4割負担しているものをゼロにするものです。約1億1000万円の財源で実現できます。

中小企業1社に50万円を1000社に支援

かつて大田区が行った「ものづくり経営革新緊急支援事業」は大きな成果を上げましたが、今こそその経験を生かすべきと「大田区ものづくり経営革新支援事業」を提案しました。区は「有効に支援できた」と総括しています。1社50万円を1000社対象に5億円の規模としました。しかし否決されました。

特別委員会 款別質疑 党区議団各議員が提案

保健所の保健師を兼務でなく正規で増員を 黒沼良光議員

新型コロナが日本の社会、経済の弱点を映し出しました。保健所数がほぼ半減されたことです。感染拡大にともない保健師など職員が休日返上などですさまじい残業が発生し、8月まで、最高残業時間は109時間にも及んでいます。決して過労死自殺など起こしてはなりません。保健所感染体制の抜本的増員を求めました。

高齢者の補聴器助成の引上げを 大竹辰治議員

高齢者の補聴器助成の限度額2万円の引上げ、支給年齢を70歳から65歳まで引下げるとともに、都の補助事業(区の助成の2分の1)の活用の求めに、補助事業は都に申請中との成果もありました。
また、地球温暖化防止の取り組みをすすめていくうえで、現在23区のうち18区で実施している住宅用太陽光発電パネル設置に補助の復活を求めました。

コロナ感染で休園した保育園に支援を すがや郁恵議員

新型コロナ感染症に職員が感染し、休園になった認可保育園に区の支援の強化を求めました。また、区が75歳以上のがん検診無料を有料化したことは許されない、無料に戻すよう強く求めました。
区には最盛期に188カ所あった銭湯が現在は35カ所になり、銭湯難民が発生している。これ以上減らないよう区が継続支援をするよう求めました。

少人数学級の早期実現を 杉山こういち議員

現在、小学校の3年生から6年生の36人以上の学級数は小学校102、中学校120という答弁であるが、すべての小学校での35人学級早期実現を求めました。
また、中学校でも国会で畑野議員(当時)の質問に菅首相(同)が「検討する」と答弁しており、大田区としても実施を求めさらに30人学級の実現をも求めました。

特別障害者手当の周知徹底を あらお大介議員

特別障害者手当は、障害者手帳を持っていない要介護4~5の方でも受け取れる可能性があるという国の制度ですが、そのことがほとんど知られていないのが現状です。制度周知には医師の理解が不可欠であり、区内3医師会や地域包括支援センターなどの福祉関連事業所等への周知徹底を求めました。
国保特別会計では傷病手当金について、執行件数が少なく実績ベースで予算を減額したことを批判し、予算の拡充を求めました。

精神障がい者支援と高齢者の住まいの確保を 清水菊美議員

精神障がい者支援について
廃止したわずか約20万円(年)の家族会支援事業は、不安やストレスを抱える家族を支える大事な事業であり復活を。相談体制はピアカウンセリングなど質の向上と件数の拡充を。計画や施策の検討の際に当事者の参加を求めました。
高齢者の住まいの確保について
高齢者が民間賃貸物件を探す際、孤独死等の懸念で貸し手が少なく困難な例が多い。現在の居住支援協議会の見直しを求めました。シルバーピア・高齢者アパート・区営住宅の増設計画はない。新設を求めました。

決算で明らかになった大企業・大規模開発優先のムダ使い

羽田空港跡地開発は地域経済活性化につながらない

テナントゾーン施設概要

大田区産経部資料より

羽田跡地計画でグローバルウイングスが昨年一部開所しました。大田区は羽田イノベーションシティの区施策活用スペースを、地域経済の活性化などを理由に事業を推進していますが、17区画(左図参照)6事業者8区画に過ぎず、その結果、昨年度の羽田みらい開発㈱に賃料を、大田区は2億6426万円を払いながら区画の家賃収入は608万円しかありません。当初の目的は何ひとつ達成されず区民の理解は得られません。区施策活用スペースは見直しをするべきと求めています。

新空港線計画は破綻寸前

空港線整備について、松原区長は都との協議をすすめており、最終段階に入ったと議会で繰り返して発言していますが、この間、都・区の協議は3回行われており、事業費の確認等初歩的な段階で、都・区の負担割合も決まらず、JR空港アクセス線の整備がすすむなか、破綻寸前の計画です。
区は新空港線(蒲蒲線)の大田区内の効果について、「①鉄道を利用した東西交通が便利に!②鉄道整備とあわせて沿線のまちづくりを推進!③大田区における経済波及効果は約1400億円!」
しかし、新空港線ができても、蒲田駅は通過駅になると自民・公明党の議員からも言われていますし、区内東急多摩川線沿線で停車が検討されているのは下丸子駅だけで、ほとんどの駅は蒲田駅まで通過駅であり、沿線まちづくりの推進や活性化につながりませんし、区民の利便性の向上にもなりません。

新型コロナワクチンの3回目接種について

医療従事者の方などへ向けた新型コロナワクチンの追加接種

○概要
新型コロナワクチンを2回接種した場合であっても、接種後の時間の経過とともにワクチンの有効性や免疫原性が低下することが報告されています。
このことから、新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)の実施についての方針が国から示されました。
大田区においても、国の方針に基づき接種体制を構築しております。
このたび、医療従事者の方への接種及び高齢者施設等入所者の方への接種について、スケジュール等が決まりましたので、お知らせします。
なお、上記対象以外の方に関する接種スケジュール等については、決まり次第、あらためてお知らせいたします。
(注釈)追加接種の接種券等は、2回目接種から概ね7カ月以上経過した方から段階的に送付します。送付にあたっては黄色の封筒でお送りします。
(大田区ホームページからの転載です)

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