第4回定例会一般質問(速報)―大竹議員(11月29日)



(映像は大田区議会ホームページより:17分)

大田区の気候変動危機打開の取組みについて

【大竹議員】
大田区の気候変動危機打開の取組みについて質問します。
気候危機と呼ぶべき非常事態が起こっています。すでに世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが問題になっており、日本でも深刻な影響が表れています。
10月から11月にかけて英国で開かれていた国際気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、成果文書「グラスゴー合意」を採択して閉幕しました。世界の気温上昇を産業革命前に比べて「1.5度に抑える努力を追求する」と明記しました。
2015年に採択された地球温暖化対策の「パリ協定」は世界の気温上昇を「2度より十分低く抑える」ことを掲げ、1.5度以内に抑制することを努力目標にしていました。1.5度目標達成のためには2030年までに2010年比で温室効果ガスの排出を半減し、2050年までに実質ゼロにする必要があります。会議の期間中に目標を引き上げた国もありました。各国の具体的な行動が決定的です。
岸田文雄首相は、アジアの排出ゼロに向けて「日本が強いリーダーシップを発揮する」と言ってCOP26の首脳級会議に出席しましたが、かえって立ち遅れを際立たせました。もともと日本の排出削減目標は2030年度に2013年度比で46%、2010年度比では42%減と、世界の平均より下回っています。
岸田首相は演説で、排出削減目標の上積を表明せず、石炭火力については国内の削減、廃止について言及しませんでした。会議前に発表した第6次エネルギー基本計画は、2030年度の発電量の19パーセントを石炭火力に依存するとしており、石炭火力発電所を九つ新増設する計画です。首相はアジアで石炭火力事業を展開するとも述べ批判を浴びました。
二酸化炭素(CO2)を大量に出す石炭火力発電については表現が当初案の「段階的廃止」から後退したものの「段階的削減」となりました。
しかし、会議中、46か国・地域が、先進国は2030年代、それ以外の国は40年代に石炭火力を全廃するとした声明を発表しました。日本は米国、中国とともに不参加でした。石炭火力に依存し続けることはもはや通用しません。
●日本がただちに具体的な行動を開始するため、削減目標の引上げや石炭火力の廃止に踏み出すことを国に求めることです。お答えください。

【環境清掃部長】
はじめに、国の温室効果ガス削減目標と石炭火力発電に関するご質問ですが、令和3年4月、国は気候変動サミットにおいて温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比で46%削減すること、および50%に高めるに向けて挑戦を続けることを表明しました。5月には2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念とした地球温暖化対策推進法の改正を行ない、10月には第6次エネルギー基本計画を閣議決定いたしました。石炭火力発電を含むエネルギー政策につきましては、国がエネルギー政策基本法により環境保全及び経済社会の発展のみならず、安全保障などの観点から総合的に判断するべき事案であると考えてございます。区といたしましては、地球温暖化対策推進法や国が策定するエネルギー基本方針に則り、鋭意政策を推進するとともに、国や東京都のエネルギー政策等の動向を注視してまいります。

【大竹議員】
「グラスゴー合意」は今後10年間が「決定的」だとし、各国に「加速した行動」を求めました。「各国が今後10年で予定している削減量を積み重ねても世界の気温は2.4度上昇する」と分析が出ています。その上で各国に2030年までの排出削減目標を2022年度末までに再検討し強化するよう求めています。
残された時間は極めて限られています。10年足らずの間に、全世界の温室効果ガス(その大半はCO2)の排出を半減近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。
日本共産党は「気候危機を打開する2030戦略」で、日本ではエネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%まかなえば2030年度までにCO2を2010年度比で50~60%削減でき、2050年に向けて、ガス火力なども再生可能エネルギーに置き換えれば実質ゼロは可能と提案しています。
自治体のゼロカーボンシティー「2050年CO2排出ゼロ」に向けた組みが始まっています。
「2050年CO2排出ゼロ」を表明した自治体は40都道府県、287市、140町村(10月29日現在)で、表明自治体総人口約1億1177万人となっており、東京23区のうち12区が表明しています。
大田区では、国の改正地球温暖化対策推進法が成立し、この改定を踏まえ、策定中の(仮称)大田区環境アクションプランで温室効果ガス削減目標の見直しと、削減に向けた取り組みの強化ついて検討中です。現在の区の目標は、環境基本計画(後期)で温室効果ガス削減目標として、2013年度比で2030年までに26%削減これは2010年度比では2030年まで16%の削減となり、2050年までに80%の削減を掲げていますので、極めて低い目標と取組みになっていました。一日も早く目標の引き上げと取組みが必要です。
全ての自治体が2030年までの地球温暖化対策推進計画を策定し、住民とともに実践の先頭に立つよう、責任を持った取り組みを加速することが求められています。また、地域に還元され、貢献する再生可能エネルギー活用をすすめるために、国の低い基準に合わせるのではなく、自治体が役割を多いに発揮することが求められています。
●まず「2050年CO2排出ゼロ」を表明し、区の取り組みの具体化をすすめること。また、省エネと再エネで2030年度までの区の温室効果ガス削減目標を2010年度比で50~60%に引き上げることを求めます。お答えください。

【環境清掃部長】
次に区の温室効果ガス削減目標についてのご質問ですが、現在大田区は大田区環境基本計画(後期)において区の温室効果ガス削減目標としまして、2013年度比で2030年までに26%の削減、2050年までに80%の削減を掲げ、温室効果ガス排出削減に向けた取り組みを進めているところでございます。その結果、最新の値である2018年度の区の温室効果ガス排出量は2013年度比で9.2%減少となり、目標達成に向けて順調に削減が進んでございます。国は本年5月、2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念としました地球温暖化対策推進法の改正を行いました。この改正地球温暖化対策推進法を踏まえ、現在作成中の(仮称)大田区環境アクションプランに包含する大田区地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガス削減目標の見直しと温室効果ガスに向けた取り組みの強化について鋭意検討を進めているところでございます。2030年までの温室効果ガス削減目標につきましては現計画におけるこれまでの削減実績等を考慮しつつ、法定目標を達成するために必要かつ合理的な目標値を設定してまいりたいと考えてございます。

【大竹議員】
●その実現のために、地元企業と独自の協定や省エネ投資への大田区独自の支援の拡充、断熱・省エネルギー住宅へのリフォーム支援、太陽光発電用パネルの設置などへの助成の復活などの具体的施策をすすめることを求めます。お答えください。

【環境清掃部長】
次に(仮称)大田区環境アクションプランの具体的施策に関するご質問ですが、区は温室効果ガス排出削減に向けた施策と致しまして、区による率先行動、脱炭素ライフスタイルへの転換、脱炭素まちづくりの推進の3分野について、既存の技術や従来型のエネルギー使用を前提とした政策から、今後開発が期待される新技術や新エネルギー等を活用する施策へと計画的かつ段階的に施策を推進していくことが重要であると考えてございます。区は、区施設への先駆的な再生可能エネルギーの導入拡大や省エネルギーの徹底を図ること等の率先行動により、区民や事業者等、多くの方々の賛同と協力の輪を広げながら、プランの目標達成に資する取り組みを実行してまいります。また、公民連携を基本として、地球温暖化対策を実践・共有・発信する区民運動、おおたクールアクションや地球温暖化防止講演会等の各種啓発事業、食品ロス対策事業等を推進することにより、区民の生活や区内事業者等の事業環境の質を保ちながら、温室効果ガスを出さない生活様式やビジネススタイルの転換を促進してまいります。合わせて、脱炭素まちづくりの観点からも効果が高く、既に区が実施している住宅リフォーム助成による省エネルギーおよび高断熱設備の普及にかかる事業や、CO2削減効果の大きいコミュニティサイクルの整備等をさらに推進してまいります。区はプランに掲げる目標の着実な実現に向け、地域特性に合った脱炭素化施策を計画的・段階的に実施することにより、区民や区内事業者との連携・協力をより一層強固のものとして、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

【大竹議員】
次に、グリーン・リカバリーについてです。
脱炭素化、省エネルギーと再生可能エネルギーの推進は、生活水準の悪化や耐乏生活を強いるものでも、経済の悪化や停滞をもたらすものでもありません。それどころか、新しい雇用を創設し、地域経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っています。
経済成長と脱炭素を同時に進めるという認識は世界に広がり、コロナで落ち込んだ経済を立て直すにあたって、グリーン・リカバリー(緑の復興)が世界的規模での大きな課題になっています。
私は、先の第2回定例会でも質問しましたが、「気候変動を抑制する取り組みを、雇用増加と地域振興へのステップと位置付けて、再生可能エネルギーを地域に根付いた固有のエネルギーとする「地産地消」を広範囲に運用することでさらに活性化が図れます。大田区の産業には、小風力発電機、小水力発電機、バイオマス等つくる技術は十分ありますので、地域起こしとして、再生可能エネルギー発電機等の開発を地域振興の柱にする、「グリーン・リカバリーおおた」と位置付け、産業のまち大田区の地域振興にふさわしい取り組みにしようではでありませんか。」との提案です。
松原区長は「今後は、戦略的に都市づくりを推進するとともに、国や東京都の動きを注視しながら、環境・経済・社会の好循環につながる取り組みを進めてまいります。」と答弁しました。
●本気で2050年にCO2排出実質ゼロを目指とするなら、コロナ前に戻る従来型の「経済対策」ではなく、省エネ・再エネの推進を軸にしたグリーン・リカバリーでこそすすめるべきです。お答えください。

【環境清掃部長】
最後にグリーン・リカバリーに関するご質問ですが、グリーン・リカバリーとは、アフターコロナに向け、経済政策が実施される機会を捉え、脱炭素社会の実現など環境を重視した政策を組み合わせることにより、コロナ禍以前とは異なる新たな未来を創造につながる復興を目指すものであると認識してございます。現在区は大田区環境基本計画(後期)において、環境と生活・産業の好循環を礎とした持続可能で快適なまちを実現するため、区民生活と産業、そして環境が調和し、効果的な好循環を伴う地域づくりを計画の基礎に据え、各種事業を実施しております。今後につきましても、区では現在策定中の(仮称)大田区環境アクションプランにおいて、さまざまな課題の解決にあたり、多くのステップをステークホルダーとのパートナーシップを強化し推進することで、環境対策を産業分野における技術革新による発達の機会につなげ、それが次なる成長の輪につながっていく経済・社会・環境の好循環を礎とした地域づくりを目指してまいります。

以  上

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