第4回定例会代表質問(速報)―すがや議員(11月26日)



(映像は大田区議会ホームページより:60分)

【すがや議員】
日本共産党大田区議団のすがや郁恵です。まず、私が車椅子使用のときなど、ご配慮をいただきました全ての皆様にこの場から感謝申し上げます。ありがとうございました。

憲法を生かした地方自治体のあり方について

【すがや議員】
それでは、質問に入ります。まず、憲法改憲の問題です。
自民党や日本維新の会が、総選挙後、改憲発言が相次いでいます。今回の総選挙結果、衆議院では自民、公明に加え、日本維新の会で改憲勢力が3分の2以上を占め、岸田首相は、開票翌日の1日、党是である憲法改正を積極的に進めたいと発言、米中対立激化の中で、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調した日米首脳共同声明(4月16日)を背景に、安保法制に基づく自衛隊の参戦体制の強化、敵基地攻撃能力の保有の検討など、戦争する国づくりへの危険な動きを進めています。その後、自民党の憲法改正推進本部を改め、憲法改正実現本部に名称を変える動きや、憲法改定を実現する体制強化が図られ、国会での議論を首相が指示する事態になっています。また、同時並行で、自衛隊を海外派兵型につくり変える動き、軍事費を国内総生産GDP比で2%にしていくという動きが進んでいます。
総選挙の後、日本維新の会と国民民主党は憲法改正議論の加速で合意しています。この動きの狙いは、憲法9条改定の国会発議をすることに置かれています。しかし、どの世論調査を見ても、改憲、ましてや憲法9条改憲を決して国民は望んでいません。中国の覇権主義を問題視していますが、これは国際法に基づき冷静に包囲していくことが必要です。軍事に軍事で構えれば際限のない大軍拡の悪循環をつくり出し、東アジア地域の平和と安定にとって重大な逆流と危険をつくり出します。
これまで平和や憲法9条の問題についての党区議団の質問に、区長は度々花火の式典など平和推進事業名を挙げることにとどまり、憲法9条については、国防は国の専権事項であるとして、現在の憲法9条を守る態度を明確にしておりません。
●そこで伺います。憲法9条を守る姿勢を区民に明確にすべきです。お答えください。

【松原区長】
まず、憲法九条を守る姿勢についてのご質問でございますが、昭和59年8月15日、区は世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言を致しました。平和都市宣言におきましては、平和という人類共通の願いを込めて、大田区は平和憲法を擁護し、核兵器のない平和都市であることを宣言するとしております。私たちは歴史の教訓を深く胸に刻み、未来へ継承する責任があります。私は区民の皆様、1人ひとりが平和について考え、平和の尊さを確かめ合い、平和への思いを1つにすることが大切であると思っております。基礎自治体である区は平和関連事業に取り組むことこそが果たすべき重要な責務であると考えており、引き続き平和都市実現に向けた着実な歩みを進めてまいります。

【すがや議員】
11月8日、岸田首相が設置した新しい資本主義実現会議の緊急提言でまとめた内容は、民間企業の技術革新を国が支援することを基本とするとしながら、特定大企業の施策に結びつくような施策が目立ち、アベノミクスの9年間の延長でしかありません。
しかし、国民生活の実態は、内閣府が15日発表した2021年7月から9月期の国内総生産(GDP季節調整値)速報値は、物価変動を除く実質で前月比0.8%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は3.0%、マイナス成長は今年1月から3月期以来2四半期ぶり、また、2020年度の自殺者は前年より935人、15.4%増え、7026人、男性が微減だった一方、女性が増え、全国の自殺者が11年ぶりに増加に転じると発表しました。新型コロナ感染拡大による労働環境の変化が自殺者の増加につながる要因の一つと考えられるとしています。また、賃金引上げした企業は2年連続の減少、来春の就職内定者も71.2%です。このようなときだからこそ、地方自治体は国の悪政の防波堤になることが必要です。
かつて地方自治体の灯台と呼ばれた蜷川京都府知事は、日本国憲法や地方自治法が制定された間もない時期から、憲法を暮らしに活かす取組を支え、住民が自治の主役となって地方の政治に参加することが日本の民主主義の土台になるために、国の言いなりになるのでなく、住民一人ひとりの生活と権利を守り、課題を解決しました。また、超党派で辺野古の新基地建設を押しつける国の横暴に立ち向かっている沖縄、最近では板橋区が区独自の支援策として、中小業者の売上げが減った事業者には最大50万円の給付、青森や岩手県のように、灯油の高騰価格に対し、生活困窮者冬季特別対策事業費補助を計上するなど支援策を出しています。
●そこで伺います。今、区がやるべきことは、憲法をしっかり守る地方自治体の在り方が求められています。お答えください。

【松原区長】
次に憲法を守る地方自治体のあり方についてのご質問ですが、私はこれまで法第92条にある住民の意思による住民自治と国とは独立した団体自治の考え方に基づき、また第94条の地方公共団体の権能である法律の範囲内で、区議会の皆様にご決定頂いた地域力を生かした大田区まちづくり条例等の地域特性を踏まえた条例を制定し、区民福祉の向上及び地域の発展のため、機を逸することなく機動的に対応してまいりました。引き続き地域課題の克服に必要な行政サービスを安定的に提供し、ポストコロナを見据えた活力ある地域社会の実現に向け、中長期的な視点のもと生活をしっかり守ってまいります。なお、憲法をはじめとする法令遵守は国民の義務であり、とりわけ公務員である区職員を束ねる行政責任者として当然の責務であります。

新型コロナ感染症の影響から区民のいのち、くらしを守るための来年度予算について

【すがや議員】
次に、来年度予算についてです。
党区議団は、コロナ禍の中、大変困難でしたが、区内各団体との懇談を対面やリモート、要望書を提出してもらうなどして行い、実態調査や寄せられた区民の声を踏まえ、予算要望を検討し、練り上げ、11月24日、松原区長に来年度予算について、要望書432項目、重点44項目、新規21項目を提出いたしました。ぜひ予算に反映されるよう求めるものです。
区民の実態は、生活保護受給者が1万3243世帯、1万5753人(今年4月末現在)、就学援助は小学生4832人、16.2%、中学生2563人、22.9%(今年6月末現在)、区のコロナ禍による徴収猶予があっても国保滞納2万6111世帯、28.0%(今年10月末現在)と深刻です。国民健康保険料等の値上げ、年金給付の毎年減額と物価高騰が襲っており、多くの区民から悲鳴が上がっています。大田区の景況(2021年4月から6月期)の各業種別業況の来期の予測では、製造業は多少持ち直すと予想されているものの、建設業、運輸業は悪化傾向が大きく強まると予想されています。
日本一と言われた高度な技術のものづくり集積地の大田区でしたが、最高で約9000社あった区内中小工場は、現在は3000社を割っているとも言われています。倒産、廃業が依然として後を絶ちません。政府が中小企業淘汰の政策を取る中で、ものづくりのまち大田区の中小企業経営者や勤労者が一段と厳しい環境にあります。
●そこで伺います。今、大田区がやるべきことは、効率化の名の下に行われてきた新自由主義からの脱却です。例えば、総量規制や事務事業の見直しの名の下に、保育の質の確保のために区が私立保育園に支援している法外援護費、職員処遇費1人4600円は削減しないことや、生活保護、介護保険、健康政策、障がい児者支援の強化を求めます。来年度の予算編成は、地方自治体の役割である住民福祉増進、住民が主人公であり、区民の命、暮らし、営業を応援する、誰一人取り残さない視点で臨む必要があります。お答えください。

【松原区長】
次に来年度予算に関するご質問でございますが、区はこれまで累次にわたる補正予算を編成し、必要な施策に予算や人員を振り向けてまいりました。緊急に対応すべき行政課題が生じた際は、たとえ年度途中にありましても、事業の見直しを図り、区民生活や区内経済を守る必要な政策を柔軟かつ機動的に講じることは区長として、私の基本的な施政方針であります。区に求められる区民福祉の増進とは、福祉施策はもちろんのことを国内産業を活性化や災害に強い魅力あふれるまちづくりなど、区民生活をより豊かにするために必要な幅広い施策に取り組むことと捉えており、令和4年度予算においてもその考え方を軸に編成してまいります。今後の歳入見通しは、一定の増収を見込んでおりますが、社会経済状況の変化や多様化・高度化に伴う膨大な財政需要に応えていくためには、歳入に対し、歳出な大幅に不足する厳しい財政環境が続くことを想定しております。このため、既存事務事業の見直しを進め、施策の新陳代謝を促進することが不可欠であります。1つ1つの事業の実効性や効率性を高め、効果を最大限に発揮させるため、これまで以上にメリハリを利かせた予算となるよう尽力をしてまいります。

【すがや議員】
11月15日、区は総務財政委員会に2022年度予算編成過程の公表について、当初要求状況の報告がありました。各部局から予算編成、予算要求が上がってきました。2022年度当初要求額、歳出が3128億円となり、歳入は2904億円で、財源不足は225億円との乖離があるとしています。そこで財源不足額の解消については、歳出において査定を経て、必要に応じて歳出額の精査を行うことにしています。しかし、歳入を見てみますと、2021年度当初予算額では、繰入金が179億6700万円であったものが、2022年度当初要求額は76億4300万円となり、100億円以上も減額されています。昨年度同様に繰入金をした場合、一気に乖離は約半分となります。乖離額は繰入額によって大きく変わるため、225億円の財源不足の根拠はありません。
●そこで伺います。委員会での質疑の中で、査定を経て精査する中で必要なものにはしっかりと予算を増やすものもあるとの答弁がありました。しかし、2021年度予算編成過程の公表の付属資料では、特に福祉費を見ると、当初要求額から区長査定で予算を増やしたものは何一つありませんでした。逆に削られたものは、保育所の運営費補助、民間保育所に関する法外援護、老人いこいの家の事業運営費、福祉避難所備蓄品の配備などでした。財源不足に名を借りた福祉削減のやり方は見直すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に福祉削減のやり方を見直すべきとのご質問でございますが、私は区長就任以来、障がい者総合サポートセンターの設置など、障害がある方への支援はもちろん、シニアステーション事業や介護予防施策、特別養護老人ホームなどの施設の整備といった高齢者施策、こどもの生活応援など貧困対策、待機児童の解消に向けた施策、産後ケアや児童虐待防止に向けた対策など、多くの施策を具体化し、区民福祉の向上に尽力してまいりました。令和元年度決算を見ますと、民生費の割合は54.7%に上り、他の特別区や市区町村平均と比較しても、高い水準となっていることから、これまで多くの資源を投入し、施策の充実を図ってきたと考えております。ご指摘は当たらないものと認識をしております。今後もお子さんや高齢者、障害がある方など、誰もが活躍できる包摂的な地域づくりの実現に向け、精力的に取り組んでまいります。お話の予算編成過程におけるプロセスについてですが、令和3年度予算は厳しい財政環境の中での予算編成となりましたが、限られた財源の中で山積する区政の諸課題に的確に対応していくため、効率的で実効性ある施策を構築致しました。その中には、予算編成過程において、必要に応じて区長として増額措置をした事業もございます。なお、令和4年度予算編成過程の公表において財政基金繰入金を計上していないとのお話ですが、本基金は財源が著しく不足する場合などに活用することにより、年度間の財源を調整する機能を有しており、当初を要求時点や財政見通しといった収支の推計において計上するものではございません。

【すがや議員】
また、予算過程の公表に新空港線積立基金10億円が計上されていることは問題です。2016年4月20日、国土交通省交通政策審議会答申に新空港線が盛り込まれ、区は高い評価を得たと表明し続け、2017年度以降、新空港線整備資金積立金への基金積立てと、整備主体となる第三セクター設立のための費用1億8000万円を初めて計上しました。しかし、2020年度からは東京都との協議の場が設けられ、まちづくりの要素も加味した話合いがされましたが、費用負担割合の決着はついていません。費用負担割合以前の計画そのものの検討が振り出しに戻り、一から練り直さなければいけない状態になっています。そして、この協議の場は、今年度はまだ1回も開かれていません。毎年予算計上しているにもかかわらず、関係者合意に至らず、整備主体は設立できないままとなっています。
区長は定例会で新空港線について次のように述べています。2016年第4回定例会、事業着手に向けた重要な段階となる、2018年第1回定例会では、新空港線の実現がすぐそこまで来ているという手応えを感じている、第2回定例会では、合意形成を図るための重要な局面を迎えている、第3回定例会では、関係者で費用負担割合などの協議を進めており、2019年第1回定例会では、合意形成がなされればすぐに動き出せる体制、第1回臨時会では、事業化に向けた関係者調整を一層加速させていく、2020年第1回定例会では、私の熱い思いを小池知事にお伝えし、今年度内に合意形成が整えられるよう、不退転の覚悟を持って取り組む、新空港線の協議は大詰め、2020年第2回定例会、整備着手に向けて全力で取り組む、2020年第3回定例会、最新の状況を加味した上で、費用負担割合等の協議を行う、2021年第1回臨時会、事業化に向けた関係者調整を一層加速させる、そして先ほどの挨拶です。このように何度も繰り返し発言されています。また、副区長も2019年2月の総務財政委員会で、東京都の補助金の協議は最終段階と述べるなど、この1年から2年の間、協議は大詰め、最終段階の答弁を繰り返していますが、計画は全く進展していません。
区は、事務事業見直しで区民生活や福祉の増進のための事業を容赦なく削減する一方で、この新空港線計画を聖域化し、コロナ禍の下で区民の生活と営業が苦境に陥っている中、リモートワークの定着など社会の在り方も激変する中で、従来と変わらずに予算計上しています。
●そこで伺います。進展の見通しがない新空港線計画にこれ以上毎年10億円もの積立金の予算を計上することをやめ、計画を白紙撤回することです。また、基金約80億円を廃止し、コロナ禍で苦境に陥っている区民を救うための資金として活用することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に新空港線についてのご質問ですが、まず区の感染症対策の対応でございますが、感染症の拡大防止や区民生活、区内経済を支えるための施策とし、令和2年度は9次にわたる補正予算で、令和3年度においても、当初予算及び現在4次にわたる補正予算を編成し、迅速かつ的確に対応しているところでございます。新空港線の計画については、今後の区政の発展に欠かすこともできない事業であり、何としても実現させる必要があります。その実現に向けて、協議の問題については協議の場において合意形成に向けた協議を行ってきており、現在、次回の協議の場に向けて、事務レベルでの調整を鋭意進めるなど、検討は着実に進んでおります。空港線整備資金積立基金は合意形成後、第3セクターの設立及び設立後の円滑な事業実施のために必要な資金となるものです。区の持続的な発展には、将来を見据えた計画的な投資とその財源確保の視点が必要であり、区財政運営の状況を見ながら、今後も基金を効果的に活用していくことで、安定した財政運営の実現が可能となると考えております。これらのことから、新空港線整備積立基金の廃止は考えておりません。

【すがや議員】
次に、羽田イノベーションシティについてです。羽田イノベーションシティは、羽田空港跡地第1ゾーン整備方針に基づいて、七つの重点プロジェクト等によって世界と地域をつなぐ新産業創造・発信拠点を形成するとして計画を進めています。党区議団の第3回定例会での代表質問で、ハネダピオ内の区施策活用スペースが昨年度決算で、施設を管理する羽田みらい開発株式会社に賃料として大田区は17ブース分2億6426万円支払ったのに対して、入居企業からの家賃収入は僅か608万円となっていたことから、当初の目的は見えず、これでは到底区民の理解は得られないことから、区施策活用スペースは縮小するなど見直しを求めました。
区長は答弁で、24時間国際拠点空港である羽田空港に隣接する立地優位性を最大限活かし、世界と地域をつなぐゲートウェイとして、人、物、情報を呼び込み、新産業の創造と日本のものづくり技術や国内各地の魅力を国内外に発信するための新産業創造・発信拠点として、公民連携で取り組む新たなまちづくりが羽田イノベーションシティ整備事業であり、(中略)この新しいまちと区内に集積する高度な中小企業をつなげ、新たなビジネスチャンスを創出・発信していくための環境がハネダピオであり、(中略)ハネダピオは区内産業の活性化と地域の発展に必要不可欠なものと考えており、見直しは考えておりませんと答えられています。羽田みらい開発株式会社と連携し、互いの強みを活かしつつ、ハネダピオに拠点室を設け、引き続き事業推進を図るとしていますが、区施策活用スペースは、ようやく先月10月に全17ブースの入居企業は決定しましたが、9月末時点で区に家賃収入が入る契約まで至ったのは6社8区画にとどまっています。
●そこで伺います。9月24日の羽田空港対策特別委員会で示された羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)モニタリング報告では、事業全体の成果・経済波及の創出の項では、事業実施期間が1年、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりデータ把握が困難と分析している等、コロナ禍の下で事業の本格実施が遅れ、事業による経済波及効果など成果は見えない状況です。区施策活用スペースの全ブースへの入居企業が決定した中で、当初からの目的である地域経済の活性化など、区内のものづくり事業者への効果がしっかりと現れるか調査分析した上で、区施策活用スペースでの事業などを実施されるよう求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、羽田イノベーションシティ・ハネダピオについてのご質問ですが、本事業は、区内産業の一層の発展を目指しながら、地域課題の解決を目指して行く取り組みとして、区議会のご決定の下、進めている長期プロジェクトであります。コロナ禍にも関わらず、区政策活用スペースハネダピオでは全区画の入居がきまり、また交流空間のピオパークではセミナーなどの開催も始まり、参加者からは皆一様に取り組みの方向性について賛同の声と、大きな期待を頂いております。私も何度も現地に足を運び、意欲ある企業の方々から前向きの話を毎回のように伺うことで、地域経済への波及効果が生じ始めているという確かな手応えを感じております。この手応えを確信に変えていくために、区は更に加速的に事業を展開し、地域経済を持続的に発展させていくイノベーションの拠点づくり、更にはスマートシティーの整備に全力で取り組んでまいります。

【すがや議員】
次に、支援を必要とする区内事業者に対して東京都が行った時短協力金についてです。区内の飲食、カラオケ、スナック等の事業者の多くは、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の実施中に、コロナ感染拡大防止のために休業や営業時間の短縮、アルコールの提供の中止や時間制限等で経営の危機に陥っていたところ、国、都の時短協力金を申請して何とか持ちこたえていました。
この協力金を、税務当局は、売上げの補塡であり、雑収入として課税対象であるとしています。課税対象となると、納付する所得税額だけでなく、住民税、そして国民健康保険料、後期高齢者医療保険料や介護保険料まで大幅に上がります。例えば、年間売上げ約300万円で経費200万円、営業利益100万円の個人事業主飲食店で、時短協力金が約1400万円の場合、住民税144万円、国民健康保険料99万円など、概算して600万円以上の納付になります。緊急事態宣言は解除されたが、客はなかなか戻ってこない、売上げは上がってこないとの声がある中、協力金は本当に助かった、命がつながった、しかし、600万円もの税金を払えるか心配、店を閉めなければならなくなるなど、そういった声が出ています。
●そこで伺います。協力金を受給した飲食店等の現状を把握し、区の裁量でできる区民税、国民健康保険料、介護保険料の徴収の猶予や減免の対応をすることを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、区民税等の徴収の猶予や減免についてのご質問ですが、新型コロナウイルスの影響により事業の休止や収入の減少があった場合などで、区民税の納付が困難な方につきましては、個別具体的な実情を充分に把握した上で、徴収の猶予やや減免の制度はご案内しております。制度の適用にあたりましては、法律や国の通知等に基づいて適正に対応しており、区民税につきましては、事業が著しい損失を受けた場合などに徴収の猶予の制度を適用しております。また、保険料の減免につきましては、主たる生計維持者の事業収入等の減少などが要件となっております。今後も個々の事業や生活状況を具体的に聴取し、区民に寄り添いながら丁寧に対応してまいります。

【すがや議員】
次に、新型コロナ感染第6波対策についてです。本年7月半ばから東京の新規陽性者数は1000人を超え、8月半ばに連日5000人超えとなりました。医療が逼迫し、治療を受けられないまま自宅で亡くなる方が相次ぐ医療崩壊に至りました。コロナで亡くなられた方は、都内で7・8月には300人以上となり、入院できずに自宅療養中に亡くなられた方は、8月には31人に上ったことが明らかになりました。先手の対応が取られていれば医療崩壊は避けられ、多くの命を救うことができたのではないかと思うと残念です。
小池都知事は、自宅もある種、病床のような形でやっていただくという原則自宅療養という方針を撤回していません。自宅療養は事実上の自宅放置であり、命の責任を家族に押しつけ、訪問や在宅の医療従事者に重大な判断の責任を押しつけたのです。政治の責任は重大です。
しかし、そのような中、墨田区では重症者、死者ともにゼロでした。1床当たり100万円を補助することで、抗体カクテル療法を行える緊急対応病床の確保を目指しました。シャワー設備がないことでコロナ病床にはできないが、短期間なら入院受入れが可能という病床を33床用意できたとのことです。また、保健所の人員体制については、第4波のときの1.25倍、約125人に増やして、自宅療養者全員に血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターを配付し、24時間体制で自宅訪問する健康観察チームを五つ整えたということです。墨田区の事例は、今後予想される第6波に向けて大きな参考になるのではないでしょうか。
現在、陽性者が激減し、区内でも陽性者ゼロが続いています。落ち着いていると思われているこの時期こそ、体制を整えることが求められます。
●そこで伺います。区が医療機関と連携して医療体制の拡充、入院ベッド数の確保をすること、また、保健所体制の強化、保健師など関係職員の増員、研修含め体制の強化を行うことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、新型コロナ対策、医療体制及び保健所体制に関するご質問ですが、第5波では感染者数が急増し、入院病床が不足したため、自宅療養者が増加しました。これらを受けて、東京都では第6波に向け各医療機関へ更なる病床を確保を要請しており、感染者数によりフェーズを分けて対応することとされています。区は医師会等との連携をさらに強固にするほか、区内のコロナ患者受け入れ病院へ、入院患者対応の補助を継続しており、今後も連携して対応してまいります。保健所の体制につきましては、新規感染者数に応じて柔軟に応援体制を拡充する考えです。業務の効率化など、執行方法の見直しにも合わせて引き続き取り組むことで、総合的に保健所の執行体制を整え、区民の安全安心を確保してまいります。

【すがや議員】
一方、インフルエンザの大流行の予測が報道されています。昨年の感染が低かったことからです。インフルエンザワクチンの供給量が65%にとどまっているとされていますので、近くの医療機関に行っても不足のためにワクチン接種ができなかったなどの不安の声も広がっています。ワクチン確保など医療機関と連携し、区民の不安に応えることを要望します。
昨年度は感染すると重症化となりやすい高齢者に、コロナ感染者の病床確保に影響があるため、年度途中でワクチン接種を無料とし、子ども1回当たり2000円の助成金がありました。しかし、今年度は、高齢者は2500円の自己負担となりました。また、子どもは1回当たり1000円の助成となり、自己負担が増えました。コロナ収束するには二、三年かかるとも言われています。インフルエンザ感染対策がまだ必要です。
●そこで伺います。昨年度はインフルエンザワクチン助成を年度途中に補正予算で行いましたが、新年度は高齢者、子どもともに無料とする予算を当初予算で組むことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、インフルエンザワクチンの助成に関するご質問ですが、令和2年度はコロナワクチンがまだ国内では接種できず、新型コロナとインフルエンザ同時流行も予想されたため、新型コロナ対策としてインフルエンザワクチンについて、高齢者ならびに小児において助成制度を創設しました。令和3年度においては高齢者ではコロナワクチンを接種できる環境が整ったため、インフルエンザワクチンの助成制度は終了とし、小児はまだコロナワクチンが接種できないので、助成制度を設けています。今後、コロナワクチンの高齢者への3回目接種や小児における接種も開始が検討されており、現時点ではインフルエンザワクチンの来年度の助成については検討しておりません。

【すがや議員】
また、コロナ禍で区内の景気は落ち込んだままであり、区内中小零細業者の仕事がない、年を越せないの声に応える年末対策を、区でできることは全てやる立場で対策を立てるべきです。
また、生活困窮者が減っていません。閉庁となる年末年始、休暇中の対応について、寄り添った相談体制が求められます。昨年12月29日から1月3日の間、蒲田生活福祉課に専用相談窓口と電話を設置して対応されました。その結果、電話や来庁の相談があり、生活保護の申請、自立施設入所、住居確保支援金などの対応がありました。対応していただいた職員の皆様に感謝いたします。現在、コロナ陽性者の数は減っており、感染は落ち着いたように見えますが、区内外で実施されているフードバンクを訪れる人々は減っていません。生活相談も増えています。
●そこで伺います。年越しが困難という区内業者へ公共施設の修理・修繕工事などを前倒し発注して仕事おこしをすること、本年は年末年始の相談専門窓口を本庁舎、出張所等で実施し、命と生活を守る寄り添った相談や食料配付など対応することを強く求めます。お答えください。

【松原区長】
次に公共の施設修理・修繕の工事の前倒し発注に関するご要望でございますが、これから年内工事発注を追加するのは、工事の設計期間の確保と建設業法で定められた契約上、必要な見積り積算期間を考慮しますと難しい状況でございます。これまでも公共工事につきましては、早期の発注や年間を通じた区内業者との業務量の平準化に努めてまいっているところでございます。今後も業界団体からの要望も踏まえまして、計画的な工事発注に努めてまいります。
次に、年末年始における生活困窮者の対応についてのご質問ですが、新型コロナウイルス感染症のなどの影響による生活に困窮した方への支援を迅速に行うことが重要となります。生活福祉課や大田区生活再建就労サポートセンターJOBOTAにおいて、相談者の個別の事情を丁寧に聞き取り、寄り添い型の相談支援を行っております。区民の利便性を考慮し、11月25日に萩中集会所においてJOBOTAの出張相談会を開催し、12月1日には蒲田地域庁舎においても年末年始に向けて出張相談会を開催します。引き続きハローワーク大森や、大田区社会福祉協議会などの関係機関とも連携し、区民が相談しやすい環境を整えてまいります。また、年末年始における区民からの緊急連絡や相談について、本庁舎宿直室でお受けしましたら区職員が速やかに対応いたします。コロナ禍における社会情勢の変化も捉えつつ、寄り添った相談を受けるとともに食料を配布するなどの緊急対応も実施してまいります。

大田区公共施設等総合管理計画は区民の声を反映させた計画に転換することについて

【すがや議員】
次に、公共施設等総合管理計画についてです。
国は、2013年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~」の下、各地方公共団体に対し、速やかに公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するための計画、公共施設等総合管理計画を策定するよう要請しました。国の背景、理由となっているのは、1 公共施設の老朽化、改修・更新費用などの増大、2 人口減少、少子高齢化に伴う利用需要の変化、3 地方財政の悪化であり、公務・公共サービスの民営化などです。
区は、それに応え取り組んできましたが、大田区公共施設等総合管理計画の別冊として、大田区公共施設等総合管理計画に基づく取組み事業、2021年度から2026年度、5年間を作成し、効果的・効率的な施設マネジメントを推進していくというものです。公共施設は地域社会のコミュニティの核であり、住民のサイクル全体を通して福祉の増進を図り、社会経済活動を営む基礎をつくるものです。一律的な削減ありきでなく、施設の設置目的は住民の暮らし、地域の実態、将来の姿を見極め、まちづくりの一環として住民の参加、合意形成を図って進めるべきです。問題は、計画によって住民の暮らしや地域がどうなるかというものです。それがしっかり検証された取組み事業になっているのかが問題です。まして新型コロナ感染症もありました。
6年前作成の大田区公共施設白書では、区が保有する施設を将来も保有し続けるために必要な費用は、今後45年間で約6071億円、1年当たり約135億円の支出が必要な費用となる。一方、大田区公共施設整備計画の前期5年間の実績額(学校施設・区民施設)の平均額は、1年当たり約135億円の支出がさらに必要となる。また、将来必要となる費用のうち、大きな割合を占める学校等施設は、2019年から2025年にかけて年間約100億円の費用がかかることが見込まれており、その後、一旦減少するものの、2030年から2033年にかけて再び年間100億円程度の費用がかかることが予測されていますとしています。
総面積を1割削減する方針や、跡地の有効活用として土地の売却による新たな財源確保も方策として出していますが、区民施設の削減や跡地売却は許せません。
●そこで伺います。これまで公共施設整備計画では、例えば道路、橋梁、学校施設など、それぞれの財政の規模をつくり公表していました。財源についても、国・都支出金等、特別区債、基金繰入金、一般財源が示されていました。しかし、今回の公共施設等総合管理計画には財政が示されていません。財政規模の見通しを示すべきです。また、区の公共施設整備基金積立金は、9月現在、391億6430万9000円です。新年度予算編成過程の公表では、さらに20億円積み立てる計画です。基金の見通しについて、どれだけ必要なのか区民に明らかにすべきです。お答えください。

【松原区長】
次に公共施設整備にかかる今後の財政規模や、基金への積立の見通しに関するご質問ですが、現在区の公共施設につきましては、約半数が築40年以上を経過しており、こうした施設の更新にあたりましては安全安心の確保をはじめ、利便性の一層の向上を意識しながら計画的に取り組みを進めていく必要があります。このような中、区では大田区公共施設等総合管理計画においてインフラを含む公共施設全体を今後の更新費用について、年平均で約160億円、45年間の総額で約7200億円とお示しさせていただきました。一方公共施設整備に係る財源構成につきましては、おおた未来プラン10年(後期)において区全体の財政フレームを公表する中でお示しておりました。また、公共施設整備資金積立金の積立につきましては、施設整備に掛かる環境の変化に柔軟に対応するとともに、区全体の財政見通しを的確に捉えながら計画的に取り組んでまいります。

【すがや議員】
次に、所管する公共施設のうち、対象となる377施設282棟について、各公共施設の改築、長寿命化、修繕の計画を作成し、計画的な保全、改築を行うことで建物を長く安全に使い続けるとともに、財政負担の平準化を図ることとしています。これまで区は党区議団の質問に、学校施設は何代にもわたって使用するから、世代間の公平性から必要なときは区債を発行してでも進めると答えてきましたが、学校施設について、改築するのか長寿命化にするのか具体的に示されていません。
学校施設では、築30年以上の建物が全体面積の約78.6%を占め、老朽化が進んでいるとしています。耐震基準別で見ると、1981年の旧耐震基準の建物が全体床面積の約65.9%、414棟、約39.9万平米を占め、1971年以前の柱の帯筋の間隔に関する建築基準法改正前に建設された施設が全体床面積の約38.2%、168棟、約23.1万平米を占めています。学校の建て替え工事は待ったなしです。
しかも、区の計画では、入新井第一小学校、赤松小学校、東調布第三小学校、馬込第三小学校、東調布中学校等、学校整備は複合化で進めていますから、計画作成にも時間がかかり、工事期間も長期間になり、児童・生徒にも大きな負担となります。児童・生徒のためにも学校は学校のまま整備することです。
複合化では、大森西地区公共施設整備計画についても問題があります。これから住民説明会、1月11日に大森西特別出張所の移転、解体工事(アスベスト、騒音問題)、旧大森第六小学校、現こらぼ大森の既存校舎取壊しが2025年、そして2026年から建設二期工事が始まり、2028年までの計画です。7年間かかりますが、その間もこれまで地域住民が大事に培ってきた協働の継続は図られるのか全く分かりません。出張所、区民センター、シルバー人材センター、保育園など多数の施設が入る大型複合施設になるだけで、地域住民、関係団体で築き上げてきた区民協働が壊されてしまいます。
また、これまで区立羽田保育園が羽田文化センターと複合化されましたが、保育室の中に太い柱が保育活動の妨げになるようにそそり立ち、園庭は狭くなり、旧羽田保育園に常設されていたようなプールもないなど、複合化には様々な問題があります。
●そこで伺います。大型にするから時間もかかり、これまで利用していた人には遠くなったり不便になったりします。災害のことを考えても、施設はいろんなところにあったほうがいいのです。(仮称)大森西二丁目複合施設整備計画をはじめとした複合化計画は見直しを求めます。お答えください。

【松原区長】
複合化計画の見直しについてのご質問ですが、公共施設の整備につきましては、社会情勢の変化に加え、財政状況との整合性を踏まえながら、適切に取り組みを進めていく必要があります。区は公共施設全体について、総合的かつ計画的な管理を行っていくための基本的枠組みを示すことを目的に、大田区公共施設等総合管理計画を策定し、施設の複合化や多機能化を施設整備の1つの方法として捉え、効果的・効率的な施設マネジメントを推進しております。こうした中、(仮称)大森西二丁目複合施設につきましては、利便性の向上や防災拠点機能の強化などを踏まえ策定した大森西地区公共施設整備基本計画に基づき、整備を進めております。施設整備にあたりましては既存建物を活用することで、整備コストの縮減や工期の短縮が図られるほか、工事期間中においても継続して区民サービスを提供することが可能となります。今後も引き続き施設の複合化など効果的・効率的な施設マネジメントを推進し、変化する行政事業に的確に対応するとともに、区民サービスの向上に取り組んでまいります。

【すがや議員】
次に、複合化で空いた土地を活用することになっている大田区の児童相談所の整備計画についてです。大田区が大田区児童相談所基本構想・基本計画を発表したのは2018年です。基本構想・基本計画には、児童相談所の施設整備計画スケジュールとして、1年目基本設計、2年目実施設計、3年目から4年目建設工事、5年目開設としていますが、計画の発表から既に3年がたっています。今回、新型コロナ感染症の影響により、整備計画に関わる周知や意見聴取に時間がかかったというのが主な変更理由で、(仮称)大森西二丁目複合施設整備計画のスケジュールの変更が各常任委員会で報告されました。計画では、大森西特別出張所の解体工事の入札が12月から、解体工事にも約1年間程度かかりますから、児童相談所の建設と開設はさらに遅れます。
●そこで伺います。児童相談所の整備は子どもたちの命を守るためにも喫緊の課題です。基本構想・基本計画には5年で完成となっていますから、予定どおり進めることです。お答えください。

【松原区長】
次に児童相談所の整備に関するご質問ですが、大田区児童相談所基本構想・基本計画では、児童相談所の目指す姿や運営方針など区が児童相談所を実現するための方針を定めております。この中で施設整備スケジュールについては設置場所の確定後、別途検討する旨を定めております。現在地域との合意のもと基本設計を進めており、今年度中に実施設計に着手する予定でございます。一時保護所や面接室などの設計にあたりましては、引き続き子どもの権利擁護の視点も含めた計画を進め、建設工事・開設準備に取り組んでまいります。なお、開設までの間も、東京都児童相談所との連携を一層強化しながら、こどもの生きる権利や育つ権利を守り、児童虐待防止に取り組んでまいります。

どの子ども達も置き去りにしないための区の支援について

【すがや議員】
次に、ヤングケアラーの問題です。私は、地域の方から、中学1年生のお子さんが車椅子使用の障害のある父親と見られる人を世話している、学校に行けているのか心配、父親らしい人が大声を出していた、何とかしてあげることはできないかなど相談を受けました。問合せをした福祉では、親子の所在は確認できましたが、子どもの状況について改善できるまでの対応はできていません。学校に問合せすると、父親の面倒を見ていることの把握をしている、休みがちであることが分かりましたが、家庭の中まで入り込めないというものでした。また、子ども家庭支援センターにも相談しましたが、はっきりしたことは言ってもらえず、通報の記録には残っているのでしょうか。個人情報保護は大切です。しかし、その子どもがその後どのように対応してもらっているのか、民生委員や地域の方、NPO団体の方々も心配をし、何か手助けをしたいと思っていても何もできず、もどかしい思いをしている状況です。
18歳未満の子どもが、勉強や仕事をしながら幼い兄弟の世話や、病気、障害のある家族の介護をしているヤングケアラーが社会問題になっています。藤沢市では、2016年に市内の公立小学校・中学校・特別支援学校の教職員55校1812人を対象にヤングケアラーについての調査を実施、55校1098人から回答、アンケート調査の結果から、支援が必要な子どもたちの存在が認識され、子どもたちを困った子ではなく困っている子として捉え、児童支援担当教諭の配置などの支援を行っています。また、ヤングケアラーを早期に発見して支援につなげるため、都道府県として最初に高校生対象に実態調査に取り組んだのは埼玉県でした。
厚生労働省・文部科学省の両省が行った4月に公表した初の実態調査は、全国の公立中学1000校、全日制の高校350校を抽出し、ともに2年生を対象にインターネットを通じて回答を呼びかけました。この調査では、「世話をしている家族がいる」と答えたのは、中学2年生の5.7%、平日平均4時間ケアをしていることが分かりました。全日高校生の4.1%、1クラスに約2人の割合で世話をする家族が「いる」と回答、親に代わって幼い兄弟のケアをすることも浮き彫りになりました。世話や介護のために宿題や勉強の時間が取れないという、学校に行きたくても行けないというケースもあり、これは子どもの学ぶ権利にも関わる問題です。
国のプロジェクトチーム(共同議長厚生労働・文部科学省の副大臣)が5月17日、学校や地域で早期に発見して支援につなげるための報告書をまとめました。報告書には、保育サービスに加え、家庭での家事や子育て支援をするサービスが必要ともしています。
●そこで伺います。国も自治体独自の調査を全国で促進するよう求めています。大田区教育委員会がアンケートを取るなどして実態調査をすることを求めます。さらに、相談体制の強化については、厚生労働省・文部科学省の調査で、「今の自分の状況について話を聞いてほしい」と回答したヤングケアラーも一、二割いたことを重視して、SNSの活用なども取り入れ、相談できる場所が必要であるとしています。大田区でも相談体制に取り組むことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次にヤングケアラーの実態の把握や相談体制に関するご質問ですが、ヤングケアラーは法律上の定義はありませんが、厚生労働省によりますと一般に本来大人が担うと想定されている、家事や家族の世話などを日常的に行っているこどもとされております。本年教育委員会において実態調査は実施しておりませんが、おおたこどもの生活応援プランの策定の基礎資料とするために、関係機関や地域活動団体など支援者へのヒアリング調査を実施しました。その中で、支援者からはこども本人や家族が現状に問題があると認識してないことがあり、支援の進め方が難しいとの声をいただきました。区ではこどもの抱える家事や家族の世話の負担による影響などの複合的な問題に対し、学校教育センター、こども家庭支援センター、児童館、中高生ひろば等においてカウンセラーの増員や居場所の増設など相談支援の充実に取り組んできました。今後も引続きこどもの問題を受け止め、適切な支援につなげる体制の整備に取り組んでまいります。

【すがや議員】
次に、ヤングケアラーについては、自らがヤングケアラーと自覚していないこともあるなど、自らSOSを出すことは難しいことから、周囲の大人がヤングケアラーである子どもに気づき、声をかけることが大切です。これをできる大人としては、学校の教職員や福祉、医療の支援者、民生委員や近隣の人たちです。しかし、この連携が不十分であることを今回実感いたしました。個々の支援の体制は本当に難しく、なかなかスムーズにいきません。それでも、学校と福祉、子ども家庭支援センターなどの連携がスムーズにしていくためには、それぞれがどのような支援ができるのか、互いに知ることが大切なのではないでしょうか。
●そこで伺います。子どもたち一人ひとりの状況を把握しながら、個別に具体的に支援計画をつくっていくことが大切です。大田区は、教育委員会と福祉部が連携して支援体制を早急につくることです。また、教職員や福祉、医療、民生委員など、これらの人たちの啓発研修が必要です。お答えください。

【松原区長】
最後に、いわゆるヤングケアラーへの支援体制や関係機関への啓発研修に関するご質問ですが、現在、区民の複雑・複合化した課題に対し、包括的に相談支援を実施する体制について検討を進めています。検討にあたりましては問題を受け止めた機関から個別の支援を実施する機関へと連携を図るために、福祉・医療・教育等それぞれの分野で取り組んでいる内容について相互の理解を深めています。昨年度、要保護児童対策地域協議会において、家族の介護や世話をすることで、自らの育ちや教育に影響を及ぼしているこどもの状況について共通理解を図りました。引き続き医療機関、介護使用受給証など地域の支援者への啓発にも取り組んでまいります。

以  上

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