(映像は大田区議会ホームページより:32分)
- 利用者本意の区立障害者福祉施設整備基本計画の見直しについて
- リニア中央新幹線大深度地下トンネル掘削工事から地域住民の生活と住環境を守ることについて
- 避難行動要支援者を守るための個別避難計画作成支援について
【あらお議員】
日本共産党大田区議団のあらお大介です。通告に従い、順次質問を行います。
利用者本意の区立障害者福祉施設整備基本計画の見直しについて
【あらお議員】
まず、区立障害者福祉施設整備基本計画についてです。
区は、おおた障がい施策推進プラン(2021~2023年度)で、日中活動の場の整備で、特別支援学校の卒業生等が利用する日中活動の場となる生活介護施設等を確保していくため、区立施設の機能を見直し、拡充・強化を図るとし、具体的に生活介護施設の定員増を図るため、新井宿福祉園、大田生活実習所を改築、南六郷福祉園、くすのき園を増築すると発表しました。
昨年12月1日の健康福祉委員会での所管事務報告、区立障害者福祉施設整備・活用方針の実施についてによると、南六郷福祉園、くすのき園の改修、増築は、南六郷福祉園の定員を123名から203名に増員し、両施設の間に5階建ての建物を増築し、そこの2階から5階部分にくすのき園が入る形となります。大田生活実習所は敷地分割し、多目的ホールを解体し、新たに東棟を建設、定員は53名から80名に増員、旧施設の建物は、南六郷福祉園、新井宿福祉園の仮移転先として活用、新井宿福祉園が完成した後に旧施設を解体し、西棟を新たに建設し、定員は80名で、東棟と合わせて定員160名、新井宿福祉園は敷地を最大限活用し、1階部分に送迎バス駐車場を設置し、定員を40名から63名に増員するとしています。
この計画について、地域住民や利用者とその家族の方々から、計画自体がほぼ出来上がっている状態で公表されてきたと受け止めざるを得ないといった声を多く伺っています。この間、党区議団は、各障がい者関係団体と懇談を行い、この整備基本計画について、この計画の内容はほぼ決められた段階で出されたもので、変更はできないのでしょうかと心配する意見がありました。
この整備基本計画については、いくつかの問題点があります。まず一つ目、区立障害者福祉施設整備・活用方針がどういった過程を経てつくられたのかが不明だという点です。区立障害者福祉施設整備基本計画も概要版のみで、全体は公開されていません。パブリックコメントで、南六郷福祉園、くすのき園に短期入所と緊急一時保護の機能を設けてほしいという意見について、区は、区立障害者福祉施設整備・活用方針の中で置き込むと答弁していますが、この活用方針がいかなるプロセスを経て策定されたのか明確ではありません。ここで問われるのは、当事者参画がなされた上で作成されたものなのかということです。
障害者基本法第10条2項「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のために施策を講ずるに当たっては、障害者その他の関係者の意見を聞き、その意見を尊重するよう努めなければならない」と規定されているように、当事者参画は計画を策定する上で必須であり、その過程が明らかになっていない以上、疑問を持たざるを得ません。
●そこで伺います。区立障害者福祉施設整備基本計画の策定段階で、障がい当事者や、その家族の意見がしっかりと反映されていないと言わざるを得ません。障害者基本法で示されている当事者参画、私たち抜きに私たちのことを決めないでという最も重要なプロセスを経て、計画の見直しを行うことを強く求めます。お答えください。
【福祉部長】
まず、大田区立障害者福祉施設整備基本計画の策定過程への当事者の参画についてのご質問ですが、本計画は令和3年3月に策定したおおた障がい施策推進プランに掲げた日中活動の場の整備を具体化するものです。プランの策定に当たっては、障がい者、ご家族約6200人を対象に実態調査を行い、生活のご様子や必要とされるサービスについて調査を行っております。また、障がい者やご家族、学識経験者、弁護士、医師など専門職も参画した大田区障がい者施策推進会議において多角的なご意見を伺っており、計画のまとめに当たってはパブリックコメントを実施し、当事者を含め多くのご意見をいただきました。
こうして策定した施策推進プランを基に、昨年11月に区立障害者福祉施設整備・活用方針を公表した後は、各施設において、利用者やご家族への説明を行い、家族会としておまとめいただいたご意見を整備計画に反映いたしました。さらに、基本設計段階から施設利用者の当事者、施設利用者の当事者ご家族から要望等を聴取しており、ご意向に沿うよう対応してきております。こうしたことから、計画の見直しを行うことは考えておりません。
【あらお議員】
二つ目は、活用方針が、区立障害者福祉施設整備基礎調査と区立障害者施設整備・活用検討委員会での協議が計画の理由、根拠となっていると述べられていますが、障がい者施策推進会議の議題、報告、資料にもなく、ホームページへの掲載もないため、情報開示が不十分であるということです。関係者の方々に対しては納得できる説明が必要です。伺います。
●活用方針の作成の理由、根拠となっている区立障害者福祉施設整備基礎調査、区立障害者施設整備・活用検討委員会の資料を、区のホームページに掲載するなどして十分な情報公開を行うことを求めます。お答えください。
【福祉部長】
次に、区立障害者福祉施設整備基礎調査及び区立障害者施設整備・活用検討委員会の情報公開についてのご質問ですが、これらについては、令和元年度に作成した障害者福祉施設整備・活用方針に先立って実施をいたしました。この整備・活用方針の策定に当たっては、今後の施設利用の需要の増加を見込み、現在の施設の老朽化の程度、敷地にどのような規模の施設を新たに建設することができるのかといった基本的な条件について、区の施設整備部門とともに専門的な調査を行いました。この検討委員会では、こうした調査結果や、区が把握している通所を希望される方の人数、必要とする支援内容などを総合的に検討し、活用方針を取りまとめました。今後の需要数の見込みなどについては、各特別支援学校の卒業年次ごとの人数など詳細にわたるため、当事者に配慮すべき情報も少なくありません。これらを含め、広く一般的な公開になじむものではないことから、今後もホームページでの公開の予定はございません。
【あらお議員】
三つ目は、施設の大規模化は、決して利用者の安全や生活の質、支援プログラムの質を高めることにはつながらないということです。各施設で定員が拡充されることについては、在宅者を出さないという点でやむを得ないとの声もありますが、施設の大規模化によって安全面での不安や戸惑いの声も聞かれます。
大田生活実習所に通所している利用者のご家族は、「親として心配なのは、来年、ホールと中庭が取り残されることになっていること。体に障がいのある子は、手を伸ばす、足を伸ばすといった体を開放的に伸ばせる、知的に障がいのある子は情緒安定のためのカームダウンとしての中庭の存在が大きいので、そこが来年夏以降なくなるのは自傷他害が増えるのではと不安。日中活動の場を計画段階から確保する場を考えてもらいたい」と心配の声を寄せられました。また、別の方は、「大田生活実習所は自宅から遠いが、利用する決め手となったのは園庭だった。今後も利用者は増えるので建て替えには感謝している。工事が長期間に及ぶので、その横で利用者が生活していかなければならない。自閉症の子は周囲の音に敏感に反応したり、食事の後は庭を散歩するなど毎日同じペースで活動を維持しないと生活が乱れたり落ち着かなくなることがあるので配慮してほしい」と話していました。
大田生活実習所の庭には、中央に大きな木、周囲には桜の木があり、施設利用者のみならず地域の方々にとっても良好な環境であり、貴重な地域資源です。この貴重な園庭が今回の計画でなくなろうとしているのです。公共施設適正配置方針で区は施設の複合化、大規模化を推し進めていますが、この基本計画も目いっぱい活用し大規模化させるものです。この計画では、大田生活実習所、南六郷福祉園、くすのき園敷地内にある広場や園庭はなくなり、環境が大きく変わってしまいます。重い障がいのある人はとりわけ環境の変化に敏感であり、心身の安定や生活の質を確保する上で配慮が不可欠となります。また、園庭や広場はくつろぎや憩いの場として、避難時の空間として、出火時をはじめ防災上極めて重要です。福祉施設の建設に当たっては、火災時における安全を最大限考慮する必要があります。そのことは施設で働く職員、事業者のやりがい、働きがいにも通じることです。パブリックコメントにも、「南六郷福祉園、くすのき園は定員203名、大田生活実習所は160名と今までにない大人数体制となる。増築するとはいえ、既存の敷地内にこれだけの人が日中に集団生活を過ごすというのは安全性に問題を感じる。活動空間を確保し、伸び伸びした活動が行えるような施設整備をお願いしたい」との意見があり、これに対し区は、「関連法令関連法令を遵守して、安全性を確保した建物としてまいります」とのみ答えています。法令遵守は当然ですが、その上で利用者一人ひとりの安全・安心、安定を保障する空間づくり、多様なプログラムを展開できる視点は法令遵守と同じくらい重要と考えます。
福祉施設での火災事故の教訓から、施設を可能な限り小規模化していくことこそ今求められています。それは、防災上の観点だけではなく、日中の生活の場として利用者の安心とくつろぎをもたらし、QOLの向上のためでもあります。そうした視点が欠落しているような計画は改めるべきです。
●そこで伺います。定員増のための障がい者施設の増設は、大規模施設建設ではなく、小規模施設を地域バランスを考慮し、数多く配置するよう計画を変更するよう求めます。お答えください。
【福祉部長】
次に、小規模施設を地域バランスに考慮して配置することについてのご質問ですが、特別支援学校通学者が増えていることから、卒業後の通所先の確保が早急に必要とされています。こうした需要に応じるためには、計画的かつ速やかに必要な規模の施設を建設し、定員を拡大する必要があります。また、今回改修改築の対象となる4施設は、障害特性への配慮や、専用の活動スペースを十分に確保することなどが必要とあり、各地域に配置されている他の施設との複合化などにはなじまないと考えます。
一方、施設規模を大きなものにすることで、障がいのある方からのご要望の多い短期入所機能を設置することができます。また、これまで培ってきた地域との結びつきをより一層深めるための地域との交流スペースを確保することもできます。さらに、職員の応援体制の充実につながり、緊急時の対応や24時間の職員体制を必要とする短期入所事業などにも柔軟に対応ができるようになります。これらの計画には、利用者の障害特性を熟知している職員の知見も反映し、必要な機能の整備をしてまいります。こうしたことから既存施設の敷地等を有効に活用することで、適時的確に需要の拡大に対応してまいります。
【あらお議員】
今回の計画の対象となっている施設のみならず、大田区の各施設は長年にわたり地域との関わりを大切にしてきました。利用者とその家族、地域の人たちがイベントやお祭りなどで互いに協力してきました。施設が大きく変わる中で、これまで積み上げられた関係性が維持できるのかどうかが大きく問われます。地域全員の皆さんの理解なくして、この計画は進んでいきません。今回の改築、増築する各施設周辺の地域には、この計画を全く知らなかったという方もいらっしゃいました。
●そこで伺います。これまで積み上げられた地域住民の皆さんとの関係をよりよいものとするために、十分な理解や協力を盛り込んだ上で計画を改めることを求めます。お答えください。
【福祉部長】
次に、施設と地域の関係の維持についてのご質問ですが、これまでも今回の計画の対象となった四つの施設それぞれに、地域と一からつくり上げてきたお祭りがあり、交流を深めてまいりました。また、施設で利用者が日々取り組む作業には材料の提供をいただくなど、日常的に地域との自然な交流があります。改修改築計画について地域に説明をした際にも、お祭りが続けられるようにしたいとのご要望をはじめ、今後の良好な関係づくりを期待するご意見をいただいております。施設整備に当たっては、計画の中に基本理念として、地域と培ってきたつながりを維持、発展させる地域づくりを掲げております。また、基本方針には地域との交流を新たに広げられる機能を設置するとしており、さらなる交流の活性化を目指しています。現在基本設計を進めており、地域交流スペースの設置などハード、ソフトの両面から検討を進めています。また、災害時には福祉避難所として地域の支援を必要する方々のよりどころとなれるように設計を進めているところです。引き続き、地域との連携を重視し計画を進めております。
リニア中央新幹線大深度地下トンネル掘削工事から地域住民の生活と住環境を守ることについて
【あらお議員】
次に、リニア中央新幹線大深度地下トンネル工事について伺います。
JR東海は、去る8月27日、29日、9月1日に、品川区、世田谷区、大田区の住民を対象に、大井町きゅりあん大ホールにて、中央新幹線第一首都圏トンネル新設シールド掘進工事説明会を行いました。説明会ではJR側から、シールドトンネルの工事の概要、計画の中身、施工手順とその概要、工事工程、工事用車両の運行と安全対策、環境保全措置等が説明され、参加者からの質疑が行われました。リニア新幹線計画の経過は、2014年10月に工事実施計画が認可、2018年10月に大深度地下使用が認可、2019年12月に北品川非常口が完成し、2021年現在、安全対策の実地確認に主眼を置いた調査掘進を開始する準備をしているとされています。説明会には私も参加し、多くの方から工事への懸念や心配する意見が多数出されました。にもかかわらず、JR東海の回答は、安全に工事を進める、心配しないでといった答弁の繰り返しで、参加者の方々の不安や不満を払拭できない、納得のできない説明会だった印象を受けました。
沿線住民の方々が心配しているのは、大深度地下工事そのものへの不安です。昨年9月の東京外環道のシールドトンネル工事における調布市内での陥没事故を受けて、同様の事故が起こるのではないかという不安が払拭されていない中、工事をやらないでほしいというのが住民の多くの切実な思いです。調布市の陥没事故については、大深度地下トンネル工事との因果関係があったと結論づけられたことで、これまで国土交通省が大深度地下工事は地上に影響がないとした前提が大きくて崩れたことになります。JR東海が事前に家屋調査を実施するとしているのも、地上への影響があることを踏まえた上でのものです。
6月8日の説明会で、JR東海によると、調布市での陥没事故の原因は施工管理の不備と特殊な地盤であったことを理由にしています。リニア大深度地下工事の品川駅から川崎市中原区の等々力非常口までの北品川工区エリアの地盤は上総層群北多摩層に位置し、広く分布している。この地層の特徴は、砂と粘土の中間である固結シルトと呼ばれる固く締まった地層が多いことが、自治体などが実施した既存の調査とJRが実施した独自のボーリング調査で確認されているので、特殊な地盤は存在しない。調布市のような事象が起こらないように施工管理を徹底するから大丈夫と説明しています。また、JR東海は、私たちは地盤を知り尽くしていると豪語していましたが、JRが独自に実施したルート直上のボーリング調査箇所数は、北品川工区だけで5か所しかなく、既存調査の参考箇所数も圧倒的に少ない中で工事を進めていこうという姿勢は問題です。
大田区は、1981年に東京23区で初めての試みとして、建築関係者からボーリングデータの協力を得て地盤地質調査を行いました。動機は、東京都から大田区の地形が多岐にわたり危険度の高い地形と指摘されてのことです。リニア新幹線の区内ルート、上池台、東雪谷、石川町、田園調布の各地域の地層は、表層部の関東ローム層の下位に、かつて海成堆積物が分布しているのが特徴で、その下位に、かつての河床堆積物である砂礫層の分布が特徴です。地盤の固さを表すN値では50以上は固いと言われますが、雪谷、田園調布では10から15を示すところがほとんどです。N値50の半分にもならず、かなりの軟弱地盤と思われます。
シールドマシンがこの地下を通れば、振動の発生によって住民の中に健康を害される人や家屋への被害が発生するおそれがあります。かつての大田区の調査と今回のJR側の説明には大きな乖離があり、5か所のボーリングをしたからとの説明では、到底住民の皆さんを納得させることはできないと考えます。
●そこで伺います。JR東海が言う安全対策を徹底するには、既存のボーリング箇所数では全く不十分です。このままでは区民の安全・安心は守れません。そうである以上、区として工事の中止を、国とJR東海に求めるべきです。お答えください。
【まちづくり推進部長】
まず、工事における安全対策についてのご質問ですが、JR東海からは、東京の地盤については、これまでに多くの学術的な調査が行われており、国土交通省の土地分類基本調査、東京都の東京地盤図など既存の研究報告書から、計画路線位置には固く締まった地盤が厚く存在するとの説明を受けております。また、計画段階において、既存ボーリング調査の結果を広く収集するとともに、JR東海の判断により独自にボーリング調査を実施して、地盤の固さや重さなどを詳細に調査し、計画路線周辺の地質の状況を把握しているとの説明がありました。今後、JR東海は、この調査掘進時を含め、本掘進時にも、シールドマシンに新たに設置された土砂サンプリング装置を用いて掘削土の状態を直接確認しながら工事を進めると聞いております。これらの調査掘進等の結果を含め、区民へ丁寧な説明を行うよう事業者であるJR東海へ求めてまいります。
【あらお議員】
JR東海は、この間実施した説明会で住民の理解を得たと認識しているようですが、理解が得られているとは到底思えません。田園調布地域では、JR東海がリニアのルートを公表した当初から、地域住民の有志の皆さんがこの計画の問題を早くから指摘し、大深度トンネルが直上の住民、地権者に知られることなく工事を進められることを、多くの住民の皆さんが知らなかった、知らないうちにトンネルを掘られる可能性があることを指摘し、活動してきました。本来であるならば周知活動はJRがやるべきことですが、大深度地下法や国の見解は、地上に影響はないとなっていたので、地上の地権者や住民の同意を得ることなく工事を進めようとしていたのです。しかし、調布市の陥没事故が大深度地下工事との因果関係が認められた以上、JR側にはルート沿線住民に対して真摯な説明が求められます。
●そこで伺います。工事概要等について、区はJRに対し、各地域ごとに説明会を開き、住民に十分な説明をさせるべきです。お答えください。
【まちづくり推進部長】
次に、シールドトンネル工事に対する地域住民への説明についての質問ですが、JR東海に確認したところ、今年度開催された工事概要などの説明会は、工事沿線の対象となる方の利便性や感染症対策を考慮して品川区で会場を設定したと聞いております。今後は工事情報を適時周知する取組として、地元説明の機会を拡充し、トンネルの屈伸時期に合わせて順次地域で説明する場を設けるとともに、工事の進捗状況の書面によるお知らせの配布、24時間工事情報受付ダイヤルを開設することを公表しております。
区でも引き続き、ホームページや区報を活用し、JR東海と連携しながら説明会などの情報を周知するとともに、地域の皆様の不安が払拭できるよう、JR東海には工事の安全対策を含めた丁寧な対応を求めてまいります。
【あらお議員】
今月3日、私は、我が党の山添拓参議院議員の国土交通省のリニア新幹線大深度地下トンネル掘削工事についてのヒアリングに参加しました。このヒアリングで国交省担当者は、大深度地下法は地上に影響を与えないという前提ではない、地上に影響が出るかどうかは実際工事してみないと分からないという回答したことに大変驚きました。国の認識は「地上に影響はない」はずだったのに、ここにきてそれを反故にするような、なかったかのような発言をすること自体大変問題であり、大深度地下法そのものを問わなければいけません。国交省が地上に影響がないという認識だったからこそ、外環道工事を進めたNEXCOやJR東海が大深度工事を進めてきたのです。国土交通省の態度は、監督官庁として無責任と言わざるを得ません。
この事業はJR東海の1民間企業の単独事業となっていますが、国が財政投融資3兆円を投じている国家プロジェクトでもあります。3兆円の原資は税金です。リニア新幹線は従来の新幹線の4倍もの電力を消費します。静岡県の川勝知事が、静岡県にかかるルートが大井川の上流に位置し、トンネルができることによって大井川の水量が減少するとの懸念から工事を許可していないことも明らかとなっています。工事をめぐっての問題も各地で発生し、住民訴訟も起こされ、環境への悪影響を及ぼすことは明白です。SDGsにも逆行する事業であり、計画は破綻をしています。
●そこで伺います。JR東海は追加の調査をせずにトンネル掘削工事を強行しようとしています。これ以上調査をしないのであれば、住民を危険にさらすことになります。住民の生活を守るために、区として、国とJRに対する工事の中止を求めるべきです。お答えください。
【まちづくり推進部長】
最後に、シールドトンネル掘削工事についてのご質問ですが、JR東海は本年6月8日に開催した説明会において、安全・安心に工事を進めるための取組を説明しております。安全性を確保する具体的な取組としまして、地表面の高さや傾斜角度の計測、巡回監視、生活環境の保全に関する取組として、騒音・振動計測、事前の家屋調査の実施を行うとしております。さらに、本年8月27日、29日、9月1日の説明会におきましては、適切な施工管理、掘進時の変異や振動等の計測を行い、周辺への影響を確認するとしております。
区は、今後予定されている大田区内の工事においても、安全対策が適時適切に行われているか注視するとともに、事業者であるJRへ適切な対応を求めてまいります。
避難行動要支援者を守るための個別避難計画作成支援について
【あらお議員】
次に、避難行動要支援者の個別避難計画作成支援について質問します。
2019年台風19号の被害は、区民の防災意識を高める契機となりました。特に多摩川沿いのエリアでは、川の越水により水害の危機に直面する可能性が高まったことから、治水対策や避難の在り方など防災対策の強化を区に求める声が高まっています。その中でも、高齢者や障がい者の方々を災害から守るために、個別避難計画を作成することは大変重要です。多摩川沿いに住む視覚障がいを持つ高齢者の方から、避難しようと思ったけれども、どこからも何の連絡もなかった、だから動かずに家にいたとのお話を伺いました。このときは幸いにも、この地域では大規模な浸水はありませんでしたが、仮に多摩川が越水し、浸水被害が発生していたら、この方の命は守られなかったかも知れません。
2013年の災害対策基本法の改正により、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障がい者等の避難行動要支援者について、避難行動要支援者名簿を作成することが市区町村の義務とされ、今年の法改正にて、避難行動要支援者について個別避難計画を作成することが市区町村の努力義務とされました。これは、2019年台風19号など、ここ最近の自然災害では、高齢者や障がい者の方たちが被害に遭うケースが増えていることを受け、災害時避難支援を実効性のあるものにするのに、個別避難計画が有効とされたためです。
今年5月に発表された避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針改定のポイントの個別避難計画の作成に関する留意事項では、1、福祉専門職の参画、2、避難支援をする者の確保、3、避難支援をする者の負担感の軽減、4、避難訓練の適切な実施、5、個別避難計画情報についての避難支援等関係者への提供、6、施設から在宅に移る避難行動要支援者については速やかに避難行動要支援者名簿に記載し、避難行動に切れ目が生じないように留意等とあります。平時から関係者との連携を密にし、備えておくことが避難支援を迅速に進める上で重要になってきます。
実際にはどうなっているのか。車椅子を利用している障がい者の家族の方から伺った話では、地域の避難訓練に参加した際、避難所には要支援者用の部屋が二、三室用意されていたが、要支援者を判別するのは受付の人決めてくださいと。待機の際には床に座らせて。福祉避難所の1・2階が水没した際は、人も入れて100キロにもなる車椅子ごと担ぎ上げて避難をさせることになっているなど、訓練の段階での不十分さが露呈をしているのが現状です。そのためにも個別避難計画作成を急ぎ、関係者との連携協議を早急に進めなければいけません。
内閣府は、法改正を受けて今年5月から個別避難計画モデル事業を実施し、来年3月に成果発表会を開きます。東京都からは江戸川区の事業がモデル事業に指定され、福祉専門職や地域避難支援者と要支援者が平時から顔の見える関係性の構築を進める取組となっています。
●そこで伺います。個別避難計画作成については、努力義務でおおむね5年程度を目途に作成となっていますが、区長の責任がより明確になりました。誰一人取り残さず、命を守る立場を貫き、早期に個別避難計画作成のための方針を作成し、関係機関への連携強化を進めることを求めます。お答えください。
【福祉部長】
最後に、個別避難計画の作成についてのご質問ですが、本年5月の災害対策基本法の改正により、個別避難計画の作成が努力義務とされました。区はこれまで、在宅で人工呼吸器を使用している方を対象に災害時個別支援計画を策定しております。また、昨年度から高齢者・障がい者向けのマイ・タイムライン講習会を開催し、風水害時において、お一人おひとりの状況に応じた避難行動計画について考えていただく機会を設けております。さらに、日頃からの備えの重要性を周知するため、家屋倒壊等氾濫想定区域内にお住まいの方に対して、避難に関する啓発チラシを5月に送付いたしました。地域における支援関係者の皆様とは、区が避難行動要支援者名簿を台風の到来時期に備えて更新し、提供することで、日頃から見守り活動や災害対策での支援の充実を図ってまいりました。区としては、高齢者や障がい者が円滑に避難行動を取れるよう、個別避難計画の作成含め、地域や関係機関との連携による支援対策について引き続き取り組んでまいります。
以 上