区議団ニュース2020年10月号(No.285)――コロナ禍から区民の命と 営業を守る区政への転換を(第3回定例会・決算特別委員会 9月10日~ 10月8日)


PDFファイル大田区議団ニュース2020年10月号(No.285)

第6次補正予算で実現

第3回大田区議会定例会(9月10日~10月8日)が開かれ、一般会計第6次補正予算が出され、党区議団はコロナ禍の中で苦しむ区民・中小業者支援の観点から賛成しました。(下図参照)
この中には党区議団が求めてきたものも多く含まれています。

区民要求が実現(6次補正予算)

☆臨時給付型奨学金の創設:今年度1回限り
 〇大学進学生臨時給付型奨学金の創設(15万円、300名)
 〇大学在学生臨時給付型奨学金の創設(5万円、710名)
*区貸付型奨学金を借り入れる方が対象
 〇高校等給付型奨学金の対象者の臨時拡大(8万円、人数増)
☆コロナ感染症対策
 〇感染患者受入医療機関への支援
 〇保育園・児童館・幼稚園、小中学校・特別支援学校への支援
  感染症対策用備品、保健衛生用品等に係る経費助成
 〇すこやか赤ちゃん訪問
  衛生資材の購入や健診時のタクシーチケット配布の増
 〇こども食堂推進事業に対する拡充(1施設170万円に拡充)
 〇区内小中学校への「学習指導サポーター」の設置
☆産業経済支援
 〇空調等操業環境の向上への取り組みに支援
 〇大田区感染拡大防止協力金(都協力金に1社10万・5万円増)
・新空港線整備主体設立予算(1.8億円)を減額
 大田区自らが新空港線を今年度はあきらめたことになります

補正予算にPCR検査助成提案

2度の編成替え動議を提出しました。

1度目 委員会提出

総務財政委員会では、教職員・保育士・学童保育従事者・介護従事者にPCR検査費用の助成を提案。しかし、「無症状者にまで実施することには賛成できない」などの理由により否決。

2度目 本会議提出

介護従事者に限定しPCR検査費用を助成。
しかし、賛成する会派はありませんでした。

手話言語条例可決

大田区手話言語及び障害者の意思疎通に関する条例は、手話が音声言語と同じ言語であり、意思疎通手段として活用し日常生活を営む環境を整えるものであり、条例制定に異論なく、全会一致で可決されました。

区民のくらしと営業を守る3つの条例提案をしました

乳幼児医療費の助成拡充の条例改正

医療費助成の対象者を高校生、年齢を18歳までに拡充することにより、保護者の経済的負担の軽減と、子どもの健全な育成を図るための条例改正です。

区民税・国保料等滞納解決支援条例

区民の暮らしに関わる様々な問題の発生の背景にその者の経済的困窮、教育的課題、健康、地域社会からの孤立その他の生活上の諸課題があることを踏まえ、特別区民税・国民健康保険料等滞納状況の解決及び生活再建を図り、安全かつ安心な区民の暮らしの実現に向け提案しました。

応急小口資金貸付強化の条例改正

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業等による収入減少などによって、緊急的かつ一時的に生活資金が必要な世帯への支援を強化するための条例改正です。

しかし、3条例案の提案に対して、正確さがない、非現実的、救済できないなどの理由で、自民・公明などの反対多数で否決されました。

自治体の在り方が問われた決算――代表質問 黒沼良光議員


(映像は大田区議会ホームページより:58分)
決算年度は、10月から消費税増税10%、台風15号、19号の直撃、コロナ禍など、区民に大きな困難が生じた年度でした。しかし、国保料値上げなど負担増を区民に押し付けながら大規模開発に執着し、新空港線整備、羽田空港跡地開発など進めていますが、大型開発は当初の計画が行き詰まり、破綻したも同然です(詳細は4面に掲載)。

公共施設使用料値上げに「受益者負担」は違法!

公共施設は税金で建設し、人件費も含めて管理します。利用料に「受益者負担」を理由に人件費を含むのは自治法違反の疑いがあり、中止を求めます。
「官から民」は「民」の利益のためです。区は「公助」の役割を果たすべきです。

コロナ禍と災害から命と安全守る新年度予算へ

台風19号災害で避難所は大混乱となり、災害時は人手不足で対応ができません。新型コロナ禍で感染対応保健師の不足も明るみに出ました。職員増が必要です。

戦後最悪の景気から区内中小企業守る施策を

コロナ禍で区内中小企業の営業は深刻です。しかし区は、大企業の求めているデジタル化やスマート社会を促進しています。個人情報をIT大企業が利用し監視社会の懸念があります。

未来を担う子どもたちの教育環境の充実を

来年度から35人学級の拡大を、学校再開当時は「分散登校」が行われ少人数学習の良さを子どもも教師も知りました。そこで来年度からまず小学校3年生と中学校2年生の35人学級を求めます。
試算すると殆どの学校で教室を増築する必要はありません。
子どもたちに素晴らしいプレゼントをしようではありませんかと提案しました。

ケアに手厚い社会・区政を――一般質問 清水菊美議員


(映像は大田区議会ホームページより:28分)

コロナ禍の介護施設における緊急対応

党区議団は約600の介護事業者に緊急のアンケートをお願いしました。多くの事業者が厳しい実態であることが分かり、「コロナ禍における介護施設への緊急対応」についても質問しました。
「消毒液、マスク、手袋等の現物支給を」については、区が適時適切に配布すると答弁しました。
「区独自の介護従事者へ危険手当の支給を」「すべての介護職員と施設入居者へ定期的なPCR検査を」「減収分の補てんを」「介護報酬区分の2段階上位の区分で介護利用料を払っている利用者の負担を区がすべき」については、区は「考えない」と答弁しました。

区民に寄り添ったコロナ禍の生活保護行政へ

次にコロナ禍にて生活が困難になった区民の支援として、国が策定した「生活保護は権利です」のリーフレットを活用するなど周知と広報の努力をすること。生活保護を受けて生き続けてほしいと区が発信すること。
職員の過重負担を減らし被保護者と信頼関係ができ、一人ひとりに寄り添った相談活動ができるようケースワーカーの増員を、と質問しましたが、区は制度の周知は現在も行っており、体制については充実を図っている、適正な配置に努めていくと答弁しました。

大企業奉仕・大型開発見直しを――決算特別委員会・総括質疑 福井りょうじ議員


(映像は大田区議会ホームページより:58分)
165億円で購入した羽田空港跡地を羽田みらい開発㈱に50年賃貸。区施策スペースには月2400万円の賃料を払っているが、未だに入居企業なし。
災害・コロナに弱いコスト削減のみを追及し業務委託などで職員を削減してきました。
その結果職員不足のために保健所はパンクし電話がつながらない。
水害時の避難所は1500人の避難に対し職員は4人で大混乱が起きました。業務委託をやめ職員を採用することを求めました。

住民税・国保料の滞納対策

一昨年の国保の広域化に伴い大田区では国保料の滞納金を徴収するようになりました。
高すぎる国保料のため払えずさらに滞納金を徴収することは生活を破壊することになります。延滞金の徴収はやめることを求めました。
新空港線計画の見直し、補正予算では整備主体の出資金を減額補正しました。先行きの見通しが立たない新空港線は見直しをすべきです。

決算特別委員会 款別質疑 党区議団各議員が提案

世代間負担の公平のため区債発行・指定保養施設の改善を 大竹辰治議員

決算年度の特別区債は、当初予算で57億円が5次補正で31億円余、最終で4億円余になっています。世代間負担の公平の確保のためにも、中長期の計画を示して適正な発行を求めました。
また、指定保養施設の利用者数は、2016年度2万797人を最高に毎年減少、今決算年度は4127人となりました。
直営施設の伊豆高原学園ができ、補助日数が2日に、補助額も3千円が2千円に削減されたことです。改善のために補助金・日数補助を元に戻すことを求めました。

視覚障害者の生活保障・生活保護世帯の電気代補助を すがや郁恵議員

コロナ禍の中で、困りごとが視覚障害者の方から寄せられました。老人いこいの家が4か月間使用中止になったことにより、敬老マッサージも中止になりました。視覚障害者の方は、敬老マッサージが主要な収入源であり、区に対し、敬老マッサージ事業を就労支援として生活を保障するよう求めました。
また、自粛生活の中で熱中症対策は切実です。「電気代が心配でエアコンは付けない」という高齢者が多い中で、まず生活保護世帯から、電気代の補助、エアコン設置を提案しました。
就学援助は、前年度の所得の基準で申請できますが、今年度はコロナ禍で影響を受けた世帯は認めるということを実施しています。
来年度へ継続すること、生活保護基準の引き下げが就学援助引き下げにならないよう求めました。

保育士応援手当の拡充・商店街支援策の強化を あらお大介議員

保育園のICT化は保育現場の業務効率化と保育士の負担軽減などを目的に実施されていますが、抜本的な処遇改善策を実施すること。現在区が独自に実施している保育士応援手当の拡充を求めました。
お休み処については現在増えておらず補助金の増額を求めました。
またコロナ禍の下で苦境に陥っている商店街を救うための支援策の強化を求めました。

すべての世帯や事業所に感震ブレーカーの設置を 杉山こういち議員

昨年に引き続き、感震ブレーカー支給事業について質問しました。
現在、340件の予算にたいして、287件の申請、251件の支給決定、121件が設置完了しています。支給決定がされたが、ブレーカーのタイプにより取り付けられなかったのは18件です。
来年度は200件の設置をめざしているが、今年度は目標を上回る勢いなので、状況次第で見直していくことになりました。支給対象の緩和や一般にも助成し、すべての世帯や事業所に感震ブレーカーが設置されるよう要望しました。

国保料の区民負担の軽減・収納相談活動の改善を 佐藤 伸議員

新型コロナウイルス感染症の影響で収入が落ち込むことが見込まれる世帯を対象に、国保・後期高齢・介護で保険料の減額・免除制度ができましたが、申請数はまだまだ少なすぎます。周知・徹底の強化と同時に、それぞれの窓口での申請となっている中で窓口を一元化し、区民負担の軽減を求めました。
保険料滞納者に対して罰則的な意味を持つ延滞金徴収を中止するとともに、国が認める新型コロナウイルス感染症に関わって保険料の減免された加入者は、もれなく過年度分も含めた延滞金を免除するよう求めました。
区のホームページや督促状、「おおたの国保」などに徴収の猶予や換価の猶予があることを明記し区民へ周知するなど、収納相談事業の改善を求めました。

年度途中の予算減額は問題 しめくくり総括質疑 清水菊美議員

2019年度は台風被害、消費税増税、年度末にはコロナ感染拡大による緊急事態宣言と小中学校休校によって、景気は急激に落ち込み不安と混乱の年度となりました。
このような年度の区の財政運営は区民のためにどんな仕事をし、どこにお金が使われたのかが問われます。予算に計上しながら使わなかった額(不用額)は117億円余となりました。お金はあったのに積み立てられてしまいました。
今第3回定例会に区は第6次補正を提出しました。イベント等の中止による減額補正だけでなく、4月から半年もたたないのに年度途中で事業の予算を確定し減額し、他の事業に流用してしまいました。
具体的には、要介護者紙おむつ等支給事業、入浴券支給事業(生活保護世帯)、平和島駅周辺歩行者環境改善委託、池上駅周辺改善委託などです。区民に約束した事業を途中で放棄したも同然で大問題です。

医療機関の支援を

コロナ禍において大田区内の医療機関の実態について質問しました。区は「厳しい状況と承知している」と答えました。多額の借金を背負い、退職者も出ている中、感染の危険にさらされながら日々区民の命と健康を守ってくれている医療機関へ、大田区として独自の支援策を強く求めました。

陳情採択わずか3件 区民の声に背を向ける自民・公明

第3回定例会の陳情は第1次・2次分含めて、38件が区民から区議会に寄せられました。
固定資産税及び都市計画税の軽減措置の継続について意見書を提出する陳情3件については全会一致で採択されました。
党区議団は、少人数学級を求める陳情5件、羽田空港の増便と騒音に対する陳情3件、新型コロナウイルスに係る検査体制の強化や財政支援の陳情5件を含めた、24件の陳情の採択を求めましたが、自民・公明・令和などの反対で不採択となりました。

区民不在の2019年度決算の問題

第3回定例会で党区議団は、2019年度一般会計決算の認定について、以下の理由で反対しました。

決算年度は、台風災害、10月からの消費税増税、年度末からコロナ感染症等、区民へ三重苦ともいえる状況があり、暮らしや営業への支援が求められていました。

羽田空港跡地・新空港線で大企業・大規模開発優先

大田区発行リーフレットより


羽田空港跡地第1ゾーン(5・9㏊)は、鹿島建設をはじめ出資企業9社による「羽田みらい開発株式会社」(SPC)が、総額540億円をかけて大型施設を建設し、今年7月オープンしました。 大田区は、この土地を国から165億円で買い、600円/㎡で50年間の借地契約をSPCと行い、大企業が莫大な利益を得ることに区が手を貸すことになります。

無駄使い毎月2400万円

また大田区は、当初その一部4000㎡を区施策活用スペースとして6000円/㎡で借り、20ブースに分けて17ブースを区内外における区内産業との親和性の高い企業を誘致する設置目的にし、借主を公募をしていましたが、借主が決まらず、毎月2400万円をSPCに支払う状況が続いており、二重の区民負担となっています。

新空港線に全力

大田区政ファイル(平成25年度版)より(一部修正)


新空港線整備については、「都区の協議は大詰めを迎えており、協議が整い次第、速やかに事業着手する必要がある」との理由で年度末に10億円もの基金を前倒し積み立て、今決算年度で20億円、合計70億円積み立てました。
今定例会で、新型コロナ禍の中で、乗降客、インバウンド数など根拠となる基礎データを全てやり直しすべきとの指摘に対して、「今後、最新の状況を加味した上で、費用負担割合等の協議を行っていく。引き続き、新空港線の早期整備を目指し、全力で取り組んでいく」と答弁しています。

「官から民へ」の職員削減で防災・保健所が脆弱体制

「官から民へ」の名で公的責任を放棄し、民間委託や指定管理者制度をすすめ、非正規職員の配置や臨時職員を活用し、公務員削減をすすめる。
また、効率性を尊重し、規制緩和で全体の暮らし向きが良くなるという新自由主義の考え方は、コロナ禍・激甚災害の中でその脆弱性が明らかになりました。
台風15・19号の災害の対応で、避難所が人手不足で対応ができず大混乱となりました。
保健所体制では、国は1990年の保険所法を改悪し、地域保健法とし、「経済的な利益を生まない公衆衛生」にかかる費用を「無駄なお金」と見なす新自由主義で、「二次医療圏」で広域化し、統廃合を進め、大田区は、1997年4保健所を地域保健法1保健所、4保健福祉センターに組織改正してしまいました。
今回の新型コロナ禍では、保健所に電話をかけても通じない、PCR検査も受けられない事態が起こりました。

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