第2回定例会一般質問(速報)―大竹議員(6月12日)



(映像は大田区議会ホームページより:29分)

コロナ感染症から区民のいのちと健康を守るPCR検査等医療・検査の抜本的充実について

【大竹議員】
まず、コロナ感染症から区民の命と健康を守る医療・介護について質問します。日本共産党は今月4日、「医療・検査の抜本的強化、くらしと営業を守り抜くために――感染抑止と経済・社会活動の再開を一体にすすめるための提言」を発表しました。新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されましたが、経済・社会活動の再開は感染防止をしながら段階的に進めていかなければなりません。感染拡大を抑止するための医療・検査体制を抜本的に強化して、安心して経済・社会活動の再開に取り組めるようにすることと、「自粛と一体の補償を」の立場で、大打撃を受けている暮らしと営業を支えることを一体に進めることを強く求めます。
特に、感染流行の第2波に備え、医療と検査体制を抜本的に強化することが求められます。安心して経済・社会活動を再開していく上で、感染者を早期に発見し、症状に応じた医療と隔離を行う必要があります。そのためには検査の在り方を根本から見直し、大規模に行える体制を整えることが必要です。日本の人口当たりPCR検査数は、韓国は日本の8倍、米国は14倍、欧州諸国は20から30倍と、諸外国に比べて桁違いの少なさです。発熱など強い症状がある人だけを対象にしてきたこれまでのやり方と発想を根本から転換して、受動的検査から積極的検査への戦略的転換を政府が宣言するよう求めます。PCR検査センターは、当区でも医師会の協力により、先月21日から週2回、40人程度の検査が区内1か所で行われていますが、さらなる拡充が必要です。杉並区は3か所、世田谷区は4か所設置しています。東京都医師会の感染症担当、角田 徹副会長は、東京都医師会では都内の47の地区医師会に対し、地域の行政と医師会が一体となったPCRセンター設置への働きかけを行ったと4月17日に会見しています。広島、岩手、愛知など18道府県の知事が、感染拡大を防止しながら経済・社会活動を正常化する緊急宣言を発表し、これまでの受動的検査から感染者の早期発見、調査、入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換を提言しています。
●区内には三医師会があるわけですから、3か所のPCRセンターをつくるよう、国や都の支援を受けながら医師会と協力してつくることを求めます。お答えください。

【健康政策部長】
まず初めに、新型コロナウイルス感染症のPCR検査センターに関する質問ですが、現在運営している大田区地域外来・検査センターについては、区は、区内三医師会とご相談させていただいた上で1か所開設し、PCR検査を行っております。また、大田区地域外来・検査センター以外にも医療機関での専門外来も継続しており、検査体制は確保されております。さらに、6月より唾液によるPCR検査も可能になりました。鼻や口から検査をする方法に比べて医療従事者が検査時に感染するリスクも減るため、このような検査方法も今後普及していくかと思われます。検査方法は日々変化をしておりまして、今後も感染拡大の状況を見ながら検査体制について判断をしてまいります。

【大竹議員】
日本医師会の有識者会議が、PCR検査が進まなかった最大の理由は、国から財源が全く投下されていないことだと指摘し、PCR検査センターの設置・維持に必要な予算を4694億円と試算しています。ところが、安倍政権の第2次補正予算は366億円と1桁違います。
●PCR検査を医師会とも協力して進めるため、国に数千億円規模の予算を確保して、設置費用の全額を国が責任を持つよう求めるべきです。お答えください。

【健康政策部長】
続きまして、PCR検査センターの設置費用についてのご質問でございますが、先ほど申し上げましたとおり、現在、PCR検査は大田区地域外来・検査センターのほかに、専門外来を設置している医療機関でも十分対応をしております。また、検査方法の種類も増えております。区は、現状の制度の中で必要な検査ができる体制を維持し、感染拡大防止対策を実施していきたいと考えております。
次に、保健所の予算や人員体制についてのご質問でございます。区は、平成9年4月に、それまで4か所に分散していた保健所を1か所に集約した後、平成28年度に効果的な感染症対策を推進するため、地域健康課の感染症対策業務を新設した感染症対策課に集約をいたしました。この指揮命令系統の一元化によりまして、感染症など広域的で緊急な課題に迅速に対応するとともに、その基盤となる情報を一元管理し、健康危機管理機能を強化いたしました。今回の新型コロナウイルス感染症対策において、保健所は帰国者・接触者相談センターの運営、検体搬送、病院との間の受診・入院調整、軽症者等の健康状態把握、東京都との連絡調整など、急激に増大した業務量に直面をいたしました。この事態に対し、部内の保健師のみならず、福祉部の保健師も含めて兼務発令をし、動員したほか、電話相談業務の委託を行い、人員、体制を緊急に強化いたしました。現在、新規感染者数が減少したことを受けて、この応援体制の規模を徐々に縮小しているところでございます。

【大竹議員】
次に、削減された保健所体制の強化に踏み出すことについてです。この間、エボラ出血熱、エイズ、SARS、MERS、新型コロナウイルスなど、毎年のように新興感染症が発見されています。感染症への取組の強化は人類的な課題です。ところが、自民党政治のもとで、医療費削減、社会保障費抑制が続けられ、我が国の保険・公衆衛生の体制は大きく弱体化してしまいました。保健所はこの30年間で半分に減り、職員定数は7000人も減らされました。地方衛生研究所の予算、人員も連続的に削減されました。大田区でも1990年度まで蒲田、糀谷、大森、雪谷の4か所で、その後、1か所に削減されました。新型インフルエンザを総括した2010年の政府報告書では、国立感染症研究所や検疫所、地方自治体の保健所や地方衛生研究所を含めた感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化が提言されましたが、実際には公務員削減を優先し、正反対のことをやってしまっています。
●政府報告書のとおり、大田区でも保健所の予算を増やし、人員体制を緊急に補強するとともに、定員増に踏み出すことを求めます。お答えください。

【健康政策部長】
保健所の人員については、今回のような感染症拡大の局面に合わせて平時から配置するのではなく、感染症発生時に全庁を挙げた職員応援体制の実施、外部委託の導入など、一時的に急増する業務に機動的に対応できるよう、区対策本部の指揮下で対処をしてまいります。その体制の中で、保健所における所要人員及び予算について考えてまいります。

【大竹議員】
次に、公社荏原病院の病院独立法人化についてです。新型コロナウイルス感染が拡大する中、都立の墨東病院と駒込病院、都保健医療公社の荏原病院と豊島病院の4病院は、都内にある厚生労働省感染症指定医療機関の指定病床数の68%を占めています。4病院は、ウイルスが外に拡散しないよう保つ陰圧病床を設置し、病床も余裕を持たせ、感染症対応経験を持つ医師、看護師を配置しています。感染症や周産期医療、緊急医療、島嶼医療など、専門性が高く採算が困難な行政的医療を担っているのが都立コロナ公社病院です。
ところが、小池知事は昨年12月の都議会本会議で、全ての都立公社病院の独立法人化を突如表明しました。独立法人化は、公共性が高い分野でも民間手法を取り入れて効率化、独立採算を優先する手法です。この方針素案には都民から1511件の意見が寄せられ、多くが独立法人化に反対するものでした。3月には、独立法人化の準備をやめ、直営の堅持を求める署名3万人分以上が都議会に提出されました。しかし、都は、2022年度内をめどに独立法人を設立する方針を3月末に決定しました。
独立法人化された各地の公立病院では、一般会計からの繰入金が削られ、多額の欠損を出すなど経営危機に陥っていることが明らかになっています。独立法人設立から10年を迎えた神奈川県立病院機構は、2018年度25億円の経常損失を出し、繰越欠損金は94億円に達しました。神奈川県の財政支援が独立法人化前の2009年度の132億円から2017年度は99億円に削られました。
●公社荏原病院等の独立法人化はやめ、都立に戻すよう都に意見を上げてください。お答えください。

【健康政策部長】
最後に、都立病院の独立行政法人化に関するご質問でございますが、都が今年3月に策定しました都立病院を地方独立行政法人化する目的は、超高齢社会の本格的な医療の担い手不足など、医療課題がさらに深刻化していく中でも、都立病院の役割である行政的医療の安定的・継続的な提供を引き続き確実に果たしていくためと説明をしております。都立病院の運営には都民の税金が投入されていることから、最少の経費で最大のサービスを提供することは現在の経営形態であっても同様であり、これまでも不断の経営改善努力を行ってきているということでございます。都立病院の独立行政法人化は、そのメリットを活かした人材の機動的な確保のほか、柔軟な契約手法の導入などにより、新たなニーズへの対応や、さらなる行政的医療等の一層の充実を図り、都民の医療ニーズに確実に対応し、将来にわたって誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京を実現するためと説明をしております。区は、今後も都立病院として求められる行政的医療の提供、地域医療を支える病院としての役割を果たしていくものと期待をしております。

危険手当の実施と第8期介護事業計画の充実について

【大竹議員】
次に、危険手当の新設についてです。医療従事者や新型コロナウイルス感染症対策でご苦労されている方々に敬意と感謝をと、5月29日はブルーインパルスが、6月1日は花火が全国で打ち上げられましたが、感染リスクの高い医療、介護、障害福祉サービス等業務の職員に対して手当や支援金を実施することこそ急務です。実施する自治体も増えてきました。杉並区は区職員への特殊勤務手当の支給を、新型コロナウイルス感染者受入れ先等において、区民等の生命及び健康を保持するために緊急に行われた措置に係る一定の業務について、日額4000円を超えない範囲内で、特例の防疫等の業務手当を支給するため、4月30日の区議会臨時会で議決しました。品川区では、介護・障害福祉サービス業務継続支援金交付事業を行うことを発表しました。申請額の基準は事業所ごと、勤務に従事した職員数(常勤換算)の合計数に4万円を乗じた額です。
厚生労働省は5月15日、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業等に対するサービス継続支援事業の実施について」を発表しました。新型コロナウイルスの感染者が発生した特別養護老人ホームなどの職員に対して手当を助成する事業を創設することになりました。危険手当に相当するもので、施設の消毒やマスクを購入する際の費用も盛り込まれています。厚生労働省によると、15日時点で全国の介護施設・事務所で新型コロナに感染した入所者や職員は少なくても446人おり、うち39人が死亡しています。同事業は2020年度第1次補正予算で対応する方針で、総事業費は103億円、国が3分の2、都道府県などが3分の1を負担します。また、国の第2次補正予算でも、医師や看護師らに最大20万円の慰労金が計上されました。
●国の第2次補正予算や新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業等に対するサービス継続支援事業等を使って、医療、介護、障害福祉サービス等業務の職員に対して、手当や支援金として区の独自の上乗せした危険手当の新設を求めます。お答えください。

【福祉部長】
新型コロナウイルス感染症の手当に関するご質問ですが、政府は、令和2年度補正予算で新型コロナウイルス感染症の流行に伴う各種支援事業を打ち出しました。国の第2次補正予算の中で、新たに介護、障害施設などの事業所職員を新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の事業対象としました。当該事業では、感染症や濃厚接触者に対応した事業所に勤務し、利用者と接した職員に20万円、それ以外の事業所で勤務し、利用者と接した職員に5万円を給付することとしており、職員に対して適切な支援が国から行われていると考えています。こうしたことから、区としましては、今のところ職員を対象とした単独支援を行う考えはありません。事業対象者が国の包括支援事業等の制度を利用する場合は、適切な相談や助言を行ってまいります。

【大竹議員】
次に、第8期介護保険事業計画についてです。来年度から第8期介護保険事業計画が始まります。まず、第8期介護保険事業計画では、サービスの後退は許されません。私は今年の第1回定例会予算特別委員会で総合事業について質問しました。要支援1・2の高齢者の可能な限り住み慣れた地域で自立した生活を送り続けることができるよう、元気な高齢者を増やしていくことを目的としているのが総合事業(地域支援事業)です。第7期事業では、期間を1年間と決めてサービスが削減されました。その結果、見込額と予算額の合計差引額は、地域支援事業費で9億円余、標準給付費の見込額で20億円余となります。合計で予算上からも約30億円の剰余金が出ることになります。
介護保険料は3年ごとに見直しのたびに値上がりし、保険料の基準月額は、介護保険制度が始まった2000年3070円から第7期事業で6000円に、18年間で約2倍になり、2024年の第9期事業では8300円と予想されており、負担能力の限界が予想されています。
●第7期の余剰金である介護給付費準備基金の全額を使って2021年度から始まる第8期事業の保険料引下げを行うべきです。お答えください。

【福祉部長】
次に、第8期介護保険事業計画に対するご質問ですが、介護保険事業計画は3年間ごとに計画を策定し、その中で保険料算定の基礎となる指標などを示しております。実際の保険料算定に当たっては、計画期間で進展する高齢化、賃金や物価の上昇などを加味した介護サービス需要を推計、3年間で収支が均衡するよう保険料を設定する必要があります。一方、今般の新型コロナウイルスの流行に伴う急激な景気後退など、予測し難い社会情勢の変化にも被保険者に特別の負担を強いることなく、区として対応していく責務があります。区民に安定したサービス提供を継続することは区としての大きな務めで、介護給付費準備基金の使途、介護保険料の決定につきましては、関係法令を遵守し、今後、適切に対応してまいります。

コロナ禍だからこそ安心・安全の羽田空港の運用について

【大竹議員】
次に、コロナ禍だからこそ安心・安全の羽田空港の運用についてです。新型コロナ感染症の影響で航空需要が激減し、羽田を発着する航空機、国際線で95%減、国内線80%減などとなっています。こうした中で、増便のための都心上空ルートが運用されています。今年のゴールデンウイーク後の1週間では、平均の発着回数は1時間当たり17便です。計画は1時間当たり90便ですので、2割弱にとどまっています。
国は3月25日の参議院予算委員会で、「減便で余裕が生じている期間を助走期間と捉えて、騒音測定結果データの蓄積、分析などを行う」と答え、「助走期間については、新型コロナウイルスの影響により減少している需要が回復するまでの期間を助走期間として、必要なデータの蓄積等を行ってまいりたいと考えております」とも答えています。それは極めて不誠実な態度であり、助走期間がいつ終わるか分かりません。党区議団は増便・新ルートそのものに反対ですが、増便のためならやむを得ない、こう考えてきた人たちにとっても、それでは何のために我慢するのか分からないということになります。
また、データ集積のためと言いながら、この間、データというのは公開されていません。国は、3月29日以降の運用データの公開については、「現在集積をしておりますので、まだ取りまとめ中でございます。どのような形で公表するかは、関係自治体等とも相談しながら対応してまいりたいと思います」と述べています。
●関係自治体として国に公表するよう求めるべきです。お答えください。

【空港まちづくり本部長】
最初に、羽田空港の新飛行経路の運用に関わるデータの公表に関するご質問でございますが、新飛行経路の南風運用は4月3日から運航が開始されております。新型コロナウイルス感染症の影響により減便が継続していることから、国においては引き続き、これまで示してきた騒音測定の推計平均値を大きく上回る数値が測定された場合の原因究明を行うとともに、必要に応じたさらなる騒音対策の検討のため、データの蓄積、分析をさらに進めているとのことです。
一方、区はこの間、新飛行経路の南風運用の騒音測定状況などの情報提供、航空に関わる情報公開を国へ要望してきたところでございます。これにつきましては、既にご報告しているとおり、新飛行経路運用開始直前の本年3月26日、区長自ら国土交通省に参り、要望書を手交しております。区としましては、国に対し、新飛行経路に関わるデータについて、区はもとより区民の皆様へ情報提供するとともに、新飛行経路の運用に関わるデータのみならず、現行運航におけるゴーアラウンドやイレギュラー運航、大気汚染その他航空に関する情報を適切かつ確実に公開するよう引き続き求めてまいります。

【大竹議員】
新型コロナで外出自粛が要請されて、多くの方が自宅にいる中を、減便している中で飛行機が上を飛んでいくと、これに耐え難いという声が起こっています。今、緊急事態宣言が一部解除された中でも、東京との移動というのは控えるように政府としても呼びかけています。政府が求めている新しい生活様式では、規制や出張は控えるべきだとも言っています。IATA(国際航空運送協会)が、国際線の2019年レベルの回復は2024年だと予想しています。また、旅行社の調査では、「58%は最初の旅行は国内にしようと考えている。86%は旅先での隔離を心配している。国際線に乗るという需要はなかなか回復しない」と述べられています。今、コロナでいろいろな影響を受けて、航空会社の経営すら危ぶまれています。
●この増便・新ルートだけはコロナと関係なしに進めていくのでしょうか。国会の答弁では千葉県との確認書を理由にしていますが、昨年12月25日で、コロナ感染症が流行した前で理由になりません。増便・新ルートが必要なほどの需要回復というのは残念ながら当分望めない。その間、少なくとも中止するよう身近な自治体として国に求めるべきです。お答えください。

【空港まちづくり本部長】
次に、新型コロナウイルスの影響を踏まえた新飛行経路運用に関するご質問でございますが、減便している中における新飛行経路の運用につきましては、国においては、データの蓄積、分析、助走期間以外に、管制・運航者双方の熟度を高めるためなどとしております。また、千葉県では、これまで県内において長年にわたり羽田空港の騒音を負担してきたことから、千葉県内における騒音軽減を求め続けてきた経過もございます。このことから、新飛行経路運用開始の決定を受け、国と千葉県は文書により機能強化後の千葉県下の騒音影響軽減について確認したものと理解しております。新飛行経路の運用は千葉県内における騒音影響の軽減も含めた施策であるとも考えられることから、区でも千葉県の歴史的な背景に関しましては重く受け止めております。区としましては、区内における騒音影響の軽減措置など、必要な対策につきまして引き続き国に求めてまいります。

以  上

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