第3回定例会代表質問(速報)―大竹議員(9月12日)



(映像は大田区議会ホームページより:54分)

【大竹議員】
日本共産党区議団を代表して質問します。

消費税増税中止を国に求めくらし優先の区政について

【大竹議員】
まず、地方自治体のあり方について質問します。
国と地方自治体との関係は、対等、平等の関係です。また、地方自体が国の悪政から住民を守る防波堤の役割を果たすことです。松原区長は、国や都に言うべきことは言ってきたと事あるごとに述べていますが、自治体の役割を果たすうえで、次の2点について区のあり方が問われています。
その一つが消費税の増税です。消費税の税率10%への引き上げまで、あと半月余となりました。政府は新聞の全面広告を使って、増税実施に向けた宣伝に躍起です。しかし、国民の不安と懸念は全く払拭されていません。経済情勢は、8月上旬に発表された今年4月から6月期の国内総生産(GDP)が低い伸びにとどまったことなどにも示されているように、いよいよ悪化が鮮明です。米中貿易紛争の激化で、国際経済の先行きも不透明です。こうした中での増税強行は許されません。
消費税の増税による家計や中小企業の負担増は、消費や景気を冷え込ませます。実際、2014年4月に安倍政権が消費税率を8%に引き上げてから、長期にわたって消費の低迷が続いています。とりわけ深刻なのは、安倍首相の政権復帰以来、戦後最長の景気拡大といくら宣伝しても、経済情勢が昨年末以来、消費の不振に加えて、国際経済の悪化が顕著になり、ますます不況色を強めていることです。消費税を導入したときも、増税したときも、こんなにひどい経済状況ではありませんでした。安倍政権は、2015年10月に予定した10%への引き上げを2回にわたって延期したとき、日本経済や世界経済の悪化を理由にしましたが、今はそれ以上に深刻です。
8月30日付けで、東京新聞が大田区の中小零細企業の実態を報道しています。大田区の中小零細企業の経営者は、取引先への納入価格に増税分を上乗せ転嫁できないと不安を募らせている。多くの中小零細企業は下請で立場が弱く、元請からの値下げ圧力に逆らいにくい。政府は監視を強めてきたが、下請増税分を肩がわりするケースが後を絶たないおそれがある。消費税は、法人税と違って赤字でも納める義務があるため、増税分を納入価格に上乗せしにくく、中小零細企業にとって経営のおもしとなる。専門家は、増税後に中小零細企業の倒産が増えるほか、消費税の滞納も招くと懸念していると述べています。
また、党区議団の消費税の緊急調査で、八百屋さんは夫婦で経営しており、レジを約100万円で購入したものの、3分の2の補助金で上限が20万円だったので、80万円の負担となった。税率も8%、10%ばらばらで混乱している。10月からの増税で売り上げが下がると心配しています。中華料理店では、レジの改修を見積もってもらったが、自己負担が多いのでやめた。この中華料理店やすし屋さんでは、出前は8%なので出前はやめることにした等でした。区内の中小零細企業の経営者にとっては深刻です。
●大田区の消費税増税による影響について、実態を調査し、対策を求めます。お答えください。

【松原区長】
まず、消費税について増税の影響に関するご質問でございますが、国は、消費税率引き上げに伴い、幼児教育の無償化や社会保障の充実による支援、軽減税率制度の実施、複数税率に対応したレジの導入支援、キャッシュレス・ポイント還元事業など、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとしております。加えて国は、事業者間の取引については、中小企業者等がしわ寄せを受け、増税分を負担させられるような事態を防ぐため、消費税率引き上げに際しても、不当な行為がなされないよう、引き続き監視や周知を厳格に行っていくこととしております。
また、区におきましても、消費税率引き上げが住民税非課税者や子育て世帯への消費に与える影響を緩和するとともに、地域における消費を喚起・下支えすることを目的に、プレミアム付き商品券事業を現在実施しているところでございます。このように、国及び区があらゆる政策を講じているほか、加えて「ものづくり産業等実態調査」等の各種調査を実施しているため、改めて実態調査を行う予定はございません。

【大竹議員】
参議院選挙の世論調査でも、増税に反対が多数です。読売26日付けの調査でも、反対が49%です。増税強硬に全く道理はありません。
安倍政権は、消費税率の10%への引き上げに対して万全の対策をとると言い張り、キャッシュレス取引でのポイント還元やプレミアム付き商品券の発行、景気の下振れリスクにはちゅうちょすることなく対策をとるといいます。しかし、制度を複雑にするだけで効果が薄い対策に巨費を投じるぐらいなら、増税をやめるべきです。ポイント還元に必要な中小商店の登録申請は8月末で、まだ対象者の約2割です。これで増税を強行すれば、混乱の拡大は必至です。増税前に国会での十分な議論もなく、増税を強行する安倍政権の姿勢は全くの暴走です。
消費税について区長は、党区議団の区として区民の暮らしを守る立場から国に対して消費税増税に反対すべきとの質問に、政府として軽減税率等十分な対策をしている、持続可能な制度にするためには一定の負担はやむを得ないと答弁してきました。
●地方自治体の本来の役割である区民の暮らしを守る立場から、今からでも消費税増税は中止すべきと国に意見を上げるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、消費税増税の実施に関するご質問でございますが、国は、消費税率に引き上げによる増収により、高齢者も若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換し、同時に財政健全化も確実に進めるとしております。安定した社会保障制度を構築するためには、財源確保は重要な課題であります。社会保障制度改革推進法は、「国民が広く受益する社会保障に係る経費をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する経費に係る主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てる」と定めております。「社会保障と税の一体改革」による社会保障の充実と安定化は、皆で支え合い、誰もが安心して生活できる持続可能な社会の実現に寄与するものであり、その仕組みの中で、消費税は重要な財源であると考えております。区は、消費税引き上げによる経済等への影響の把握に努め、引き続き、区民の暮らしを第一に考えた区政運営を行ってまいります。

羽田空港機能強化に反対し区民の安全優先区政について

【大竹議員】
二つ目は、羽田空港機能強化についてです。
8月8日、国土交通省は、国際競争力強化や訪日外国人旅行客の受け入れ拡大などを口実に、羽田空港を発着する航空機が都心上空を低空飛行する新たな飛行ルート案を決定し、2020年3月29日より新飛行経路の運航を開始し、羽田空港において国際線を年間約3万9000回増便することを公表しました。
党区議団は、機能強化(新飛行ルート案)によって起きる問題の対策ははっきりせず、また、区民からも様々な意見、不安が出されている現状では到底容認できる状況にないことは明らかとの立場から、以下の申し入れを行ってきました。
7月29日、7月30日に開催される羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会(第1回)について出席される副区長は、現状での羽田新飛行ルート案に反対の意見表明をするよう、緊急申し入れを行いました。8月5日には、党区議団を含む16名の区民・区議会議員の連名で要望書を多くの大田区民の納得のないままの状況では、大田区として新飛行ルート案を容認することはできないので反対することと申し入れました。8月7日、大田区として羽田空港新飛行ルート案に明確に反対することを再度要望します。
また、この間、大田区として反対の意思表明をしなかったのはなぜかと松原区長に公開質問状を提出していました。7日に行われた協議会で、新飛行ルートの運用について、長谷川明副知事が国の案に沿って着実に進めてほしいと容認、翌日の国土交通省が20年3月29日から運行を始めると発表しました。我が党都議団の情報公開請求で、東京都の意思表明に当たって事前に関係市区に議事内容の確認とともに、都の意見書案についての意見が求められ、大田区も含めて全ての自治体がなしと回答していることがわかりました。
●大田区は、都の意見書案に異論を述べなかったことは、長谷川明副知事の容認と同じ立場ではないですか。お答えください。

【松原区長】
次に、機能強化に係る東京都の「意見案」に異論を述べなかったことは、副知事の「容認」の意見表明と同じ立場ではないかとの質問でございますが、議員お話しの東京都の「意見案」は、8月1日に書面開催された「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」幹事会において、情報共有、確認を求められたものでございます。「意見案」は、国主催の「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」において、東京都が国に伝える意見骨子案で、その中に、国に伝える「関係区市の意見」が挙げられていました。この「関係区市の意見」につきましては、これまで区が要望してきた内容が盛り込まれていることから、特段、意見は申し上げておりません。議員お話しの長谷川副知事の「機能強化の実現に向け着実に進めてほしい」という意見は、東京都としての意見であり、大田区に意見を求められたものではないと考えております。

【大竹議員】
新ルート案は、南風時年平均4割の離着陸は午後3時から7時の実質3時間について、1時間当たり80回を90回に増やす計画で、様々な問題点が指摘されて、住民の不安も広がっています。この間、基本とする運航方式であった海から入って海に出るが変更になり、都心上空を低空飛行することになり、騒音、落下物、環境悪化等指摘されています。また、国土交通省が追加対策で騒音を少しでも軽減するとして、飛行機の着陸時の降下角を現行の3度から3.5度に引き上げると打ち出しました。これに対して、航空評論家で元JAL機長は、世界の大空港では、降下角は3度です。パイロットにとっては、降下角は0.1度変わるだけで外の景色、高さが全く違って見えます。かつて世界一着陸が難しいと言われた香港啓徳空港―現在は閉鎖―でも、降下角は3.1度でした。降下角3.5度は、世界のほぼ全てのパイロットが経験したことのない急角度になる大問題ですと語っています。
8月16日の区議会特別委員会で、国土交通省の新飛行ルート案の決定についての報告があり、議論になりました。8月8日の記者会見で、石井国土交通大臣が、関係自治体等からいただいた騒音・落下物対策や引き続きの情報提供に関するご意見、ご要望をしっかり受け止め、丁寧に対応していくことを前提に、地元の理解が得られたものと判断したところですと述べられているが、7月30日の区市連絡会で、羽田空港の地元大田区は理解をしたと述べたのか等、質問しました。特別委員会での区の答弁は、国の責任において対策等を行っていくものと考えている。区として国に対し対策と丁寧な説明を求めていく。さらなる対策と丁寧な説明を求めていく。極めて区民の立場、自治体の立場に立っていないものです。
●国は増便の影響により新たに発生する危険、騒音、落下物の増大、環境悪化など対策を打ち出しましたが、最大の対策は増便しないことです。住民の安全・安心、暮らしを守る地方自治体としての役割を発揮し、新飛行ルート案の撤回を求めるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、住民の暮らしなどを守る自治体としての役割を発揮し、新飛行ルート案の撤回を求めるべきとのご質問でございますが、国土交通省は、航空機の新飛行経路の設定等、機能強化については、国の判断、責任で実施するとしています。区は、区民生活への影響が懸念されることから、提案当初から重大なものと受け止め、国に対し様々な要望をしてまいりました。
国は、これらの要望に対し、騒音影響の軽減に向けた「環境影響等に配慮した方策」や「落下物対策を含む安全対策」を講じてきております。さらに、この7月には、追加対策として、低騒音機の導入促進に向けた国際線着陸料の再見直しを行うとともに、B滑走路西向き離陸については、これまで区が強く要望してきたことを踏まえ、長距離国際線の制限、機材制限等の方策を打ち出しています。区は、地元自治体の責務として、今後も、国に対し、これらの対策の確実な実効性ある取り組みと、新たな技術や知見を活かしたさらなる対策の強化を強く求めてまいります。

2018年決算とくらしに希望が持てる新年度予算、新基本計画について

【大竹議員】
次に、2018年度決算と2020年度予算と新基本計画についてです。
今決算は、一般会計の歳入総額は2829億9227万円、歳出総額は2769億5689万円、歳入歳出差引額は60億3537万円となり、歳入歳出差引額から繰越金を引いた実質収支は46億1999万円となりました。
党区議団は、今決算については、予算についての問題を指摘し、転換を求めてきました。
第1は、不要不急の大規模開発を推進していることです。予算編成の方針でも、羽田空港跡地や新空港線整備については、今後の取り組みの加速化に向けて、大きな転機を迎えていると述べていました。今決算では、羽田空港跡地第1ゾーン、5.9ヘクタールを第1次補正予算により165億円で土地購入をしたことです。それを鹿島建設をはじめ出資9社による羽田みらい開発株式会社に平米600円で50年間の借地契約を行いました。50年間で計算すると、土地の借地料は212億5000万円になります。総建設費540億円と合わせての合計752億5000万円となります。しかし、大田区は区施策活用スペース4000平米を平米6000円と評価して賃貸しますが、それが全体の平米単価として、総床面積13万1000平米に換算すると4716億円となります。羽田みらい開発株式会社は、総額752億5000万円の投資で、最低で計算しても4716億円の収入が入ることになり、差し引きで3963億5000万円となり、約4000億円の利益を得ることになります。莫大な利益を大企業が得ることに区が手を貸すことになっていることです。
そもそも国家戦略特区は、世界で一番ビジネスをしやすい環境をつくることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制、制度の緩和や、税制面の優遇を行う規制改革制度です。また、羽田空港跡地における水辺活用に係る社会実験事業が始まります。第2ゾーンの水辺整備、ソラムナード羽田緑地に1億3000万円で整備しましたが、その前にできる住友不動産・東京国際空港プロジェクトチームがつくるホテル3棟1704室のための整備と言わざるを得ません。さらに、新空港線整備資金積立基金積立金は、当初10億円、第4次補正でさらに10億円と合計20億円積み立てとなり、決算年度で58億円となりました。
第2に、区民へは、区民への相次ぐ値上げで負担増を押しつけていることです。前年度に受益者負担を理由に、4月から施設使用料、小中学校給食費、学童保育料の値上げで、9月から保育園の保育料の値上げ、今決算年度で臨海斎場火葬料の値上げを行いました。
第3に、一層の民営化と非正規職員の配置や臨時職員を活用していることです。その結果、積立基金は1189億円余となりました。
●今決算を踏まえて、新年度予算、新基本計画についての提案です。公共施設は4年ごとに使用料を見直す計画ですが、再来年4月、4年目になります。このような公共施設の値上げ等、これ以上、区民への負担増をやめるうえでも、大規模開発から区民の暮らしや福祉、子育て、教育、産業支援の転換を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、区が推進する事業の方向性に関するご質問でございますが、区は、これまでも国民の生命と財産を守り、福祉を向上させ、未来を担う子どもへの積極的な支援など、様々な取り組みを進めてまいりました。
一例を申し上げますと、防災対策基金の創設をはじめとする各種防災・災害対策や、子どもの貧困対策、小中学校の改築や体育館の暑さ対策、「新産業創造・発信拠点」の整備、区民の暮らしを支える各種事業を着実に進めてまいりました。区は、大田区基本構想で掲げる区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」の実現のため、これら防災や福祉の増進はもちろん、日々の生活における利便性や快適性などの一層の向上に向けて区政の推進に引き続き取り組んでまいります。

【大竹議員】
新基本計画の策定が始まります。現在、再来年に向けて新基本計画の策定に取り組んでいきますが、委託先が有限責任監査法人トーマツとなっていますが、丸投げすることなく、広く区民意見を入れていくことです。
●党区議団は、各種団体の皆さんと新年度予算に対する懇談を行ってきました。その中で、障がい者団体等の皆さんから、区に要望しても区政に反映されない、自分たちの声を十分聞いてもらいたいとの要望でした。障がい者の皆さんをはじめ、広く国民の意見を聞く場を設けていくべきです。そのためにも、新基本計画策定懇談会の区民や障がい者枠を増やすべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、新基本計画策定懇談会に参画する区民や障がい者の枠を増やすべきとのご質問でございますが、区は、平成20年10月に大田区議会が議決した基本構想の実現に向けて、大田区10か年基本計画を推進してまいりました。基本構想は、20年後の大田区の目指すべき将来像を提示し、今後の大田区のまちづくりの方向性を明らかにした基本となる考え方であり、区民と区政の共通目標で区政運営の指針というべきものです。
そのことから、おおた未来プラン10年(後期)の策定に際しましても、区民の声を聞きながら施策ごとに実現したい大田区の姿を示し、達成度をわかりやすく示すなど区民目線の計画づくりに取り組んでまいりました。社会環境が急速に変化し、価値観が多様化する時代を迎え、これからの大田区を支え、未来につなげていく源は、区民一人ひとりの力です。そのことを念頭に、新基本計画の策定に当たりましては、「新基本計画策定懇談会」をはじめとして、パブリックコメントや区民説明会に加えてワークショップを開催するなど、これまで以上に広く区民の皆様にご参画いただく予定です。10代の若者から高齢者、子育て世代や外国人区民など多様な区民の方々からご意見をいただき、新たな時代に即した区民のための基本計画として策定してまいります。

【大竹議員】
●子育てでは、今年度末までの待機児解消です。3か年実施計画では、今年度末で待機児ゼロの計画になっていますが、実現できるのでしょうか。見通しと決意をお聞かせください。
また、現時点で待機児ゼロの見通しがついていなければ、区民への約束を守るため、区立認可保育園の増設を今年度中に進めるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、保育園の待機児童対策についてのご質問でございますが、今年度は、これまでの需要動向等から、待機児童解消に必要と考えられる850人の保育サービス定員の拡充を予算化しており、現在までのところ、順調に準備が進んでおります。保育園待機児童対策は、子育て支援の最重要施策として、今後もしっかりと取り組んでまいります。

【大竹議員】
●また、大田区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業がありますが、保育従事職員に宿舎1戸当たり月額8万2000円補助されており、20万円の基本給に約7万円が加算され、手取りが1.4倍になり大変助かっていると大変喜ばれています。補助率が国2分の1、都が4分の1、区が8分の1、法人8分の1となっていますが、東京都は来年度補助金廃止の方向を打ち出していると聞いていますが、都に廃止しないように求めるとともに、廃止した場合でも、都の分を区が補塡し継続するよう求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業についてのご質問でございますが、保育従事職員宿舎借り上げ事業支援は、国の補助率に都が上乗せと対象を拡大する形で実施されており、国は事業の終期を設定しておりませんが、東京都は、令和2年度までの時限措置であることを表明しております。東京都の補助の終了は、私立保育園の運営ばかりか、保育士個人の生活にも影響を与えるため、区といたしましては、その動向に注意を払うとともに、他区と連携をいたしまして、東京都に補助金の継続を強く要望してまいります。

【大竹議員】
次に、公契約条例、手話基本条例の制定についてです。
党区議団は、今定例会に大田区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例案、大田区学校給食費助成条例案の二つの条例案を提案しています。さらに、提案したいのは公契約条例、手話基本条例です。
公契約条例では、新宿区議会が今年6月21日、全会一致で採択しました。都内では9番目となります。これまで区の要綱で公正入札の確保や労働環境の下支えを行ってきましたが、今秋予定されている消費税増税や東京五輪後の景気落ち込みに対応するためには新たなルールが必要だとして、条例化にかじを切ったもので、施行は10月からです。公契約制度は、労働者への適正な労働条件や処遇を確保し、ダンピング防止を図ることにより公共サービスや公共工事の質の向上、地域経済の活性化などが図られるものです。
手話基本条例の制定についてです。先日、健康福祉委員会の視察で、石狩市の手話推進事業について調査してきました。石狩市では、2013年5月に手話に関する基本条例検討会の設置、同年12月16日、全国市区町村初の手話基本条例を市議会において全会一致で可決しました。基本条例では、手話は音声言語である日本語と異なる言語であり、耳が聞こえない、聞こえづらい聾者が、物事を考え、会話に使うものとして生まれてきました。障害者の権利に関する条約や障害者基本法において言語として位置づけられた手話を市民が使いやすい環境にしていくことは市の責務であり、今こそ、その取り組みを進めていくことが必要であると宣言しています。
制定後、2014年3月から施策の推進方針を策定し、推進方針に基づき、具体的には、手話の普及啓発では、市民向け手話出前講座、研修や学習のための教材づくり、市職員対象・事業所向けの手話研修会、小中学校での手話出前授業等です。情報取得と環境づくりでは、手話による行政情報の発信、ICTの活用づくり、意思疎通支援の拡充では、手話通訳者の人材育成、環境整備、派遣制度のあり方の検証等です。
この間、全国で手話言語法制定に対する意見書が採択されてきました。その結果、2016年3月3日、全国1788全ての自治体で採択されました。大田区では、2014年6月20日採択されました。その後、全国手話言語市区長会、2016年発足250市区から現在553市区、東京都は22区13市が加盟、大田区も加盟しています。手話言語条例や施策に関する情報交換、手話言語法の制定を目指すとしています。
●手話言語条例の制定状況は、26道府県、254市区町村合計で280自治体に広がっています。23区では、江戸川、荒川、豊島、足立、墨田、葛飾、板橋の7区が制定しています。大田区でも公契約条例、手話言語基本条例を制定するため、まず検討会設置を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、公契約条例の制定についてのご質問でございますが、労働台帳の整備、報告など受注者側の負担増や適用範囲、対象業務、賃金水準の設定等の課題があることを確認しております。また、法的な問題や実効性の有無などの検証も必要でございます。今後も、引き続き、適正な労働環境の確保と公共サービスの質の向上に向け、公契約条例の制定に限定せずに検討を進めてまいります。
次に、手話言語条例に関するご質問でございますが、手話の普及を進めることは、聴覚に障がいのある方が円滑に情報を取得し、意思疎通できるだけでなく、社会参加の機会を広げるうえでも大変重要でございます。区では、各種イベントへの手話通訳者の配置、区役所窓口におけるタブレット端末を使用した遠隔手話通訳サービス等を実施しております。
一方、東京都においては、平成30年10月に施行された「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」の中で、「言語としての手話の普及」を共生社会実現のための基本的施策の一つとして規定しております。区といたしましては、手話の普及について、引き続き、国、東京都及び他自治体における動向を注視してまいります。

【大竹議員】
次に、生活保護のケースワーカー職員の増員についてです。
ケースワーカー職員の定数は、社会福祉法16条で、市、特別区では、240以下であるときは3とし、被保護世帯数が80を増すごとに、これに1を加えた数としています。以前は法定数であったが、1999年公布の地方分権一括法で標準数(目安)となりました。
大田区は、被保護世帯数を現業員が担当する世帯数は、大森生活福祉課90、調布96、蒲田88、糀谷・羽田85世帯と、平均で89世帯となっています。配置すべき職員の標準数より、大森5人、調布4人、蒲田6人、糀谷・羽田1人、合計16人不足しています。現業員の勤続年数も平均で3年間となっていますので、経験を積んだ職員が対応することも求められています。
●職員1人当たり80世帯の国の基準を守って、職員の増員を求めます。区長の答弁を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、ケースワーカーの増員についてのご質問ですが、社会福祉法では、生活保護法の適用を受ける被保護世帯数により、いわゆるケースワーカーなどの人数が標準として定められております。この標準の人数を踏まえ、適正に定数算定したうえで、各生活福祉課に職員を配置しております。今後も生活保護事務の適切な執行に向けて、適正な職員配置に努めてまいります。

区内中小企業の展望について

【大竹議員】
次に、羽田空港跡地第1ゾーン第1期事業における区施策活用スペースについてです。
区施策活用スペースの入居事業者公募が始まります。設置目的では、羽田みらい開発株式会社と区の役割を明確にし、当該スペースでは、国内外における区内産業とも親和性の高い企業を誘致するとともに、入居テナントや区内外の研究機関等と区内事業者とが交流できる機会を創設することにより、区内産業に対する跡地効果を広め、また跡地開発全体での新産業創設、発信に寄与するとして、三つのゾーン、誘致ゾーン、交流空間ゾーン、バックオフィスゾーンをイメージしていますが、このような呼び込み型は全国で破綻しています。
区施策活用スペース4000平米は、全体10万1000平米のわずか3.0%となっており、その確保のために165億円の財政投入をしたのでしょうか。それは、50年間で羽田みらい開発株式会社から借地料として212億5000万円入りますが、大田区は土地購入費165億円、賃貸料144億円、合計309億円払うことになります。結果としては、羽田みらい開発株式会社との間では212億5000万円入って、309億円払うことで合計96億5000万円の区の負担増となり、赤字となることになります。
また、この間の関連事業費は、スタートアップとの連携創出、海外人材連携構築、受発注主体構築検証、建設モニタリング、IoT仲間まわしプロジェクト等、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成で、委託料のみで2018年度では2億4498万7000円、2019年度は3億229万2000円と、産業経済費の約6%を使ってきました。
●当該スペースは、区内外における区内産業との親和性の高い企業を誘致する設置目的でも述べていますので、区内中小企業の仕事づくりを目的としていることを公募に入れ、毎年、実績検証の体制をつくることです。お答えください。

【松原区長】
次に、区施策活用スペースが区内中小企業のためになるかとのご質問でございますが、区では、区施策活用スペースの一部に企業等を誘致して、賃貸料を徴収することから、一定の歳入の確保が見込まれ、ご質問のあるような額の歳出増になることは想定しておりません。企業誘致に関しては、入居希望企業の先進性や財務状況などを評価させていただく基準を定めて、選定を行う予定でございます。開設後についても、区内企業への波及効果が高まるようにすることが重要です。そのためには、区と産業振興協会が連携した産業支援を通じて、入居された企業とのコミュニケーションを図り、区内企業への橋渡しなどを行うことで、誘致した企業による区内への効果を高めてまいります。

【大竹議員】
●現在、区内中小企業全てに対して、ものづくり産業等実態調査を行っていますが、5年前の調査に基づき、現状の調査分析を行い、課題について明らかにしていくとのことですが、結果を受けて、中小企業基本法に基づき、今緊急に求められていることを整理し予算化すること、具体的に、後継者支援、工場家賃助成、固定資産税への支援することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、ものづくり産業等実態調査の結果を受けての対応に関するご質問ですが、現在、調査を実施しております「ものづくり産業等実態調査」については、区内ものづくり産業の取引構造の変化や、事業承継を含む将来の人材育成などにも目を向け、直近の実態の把握に努めていくもので、今夏、区内企業の皆さん方にアンケート調査をお願いし、順次回収を行っているところです。ヒアリング調査もあわせて実施しており、今後、回収結果を分析し、報告書にまとめていく予定です。現在も時機に応じた支援を行っていますが、調査結果については、(仮称)大田区産業振興構想を策定する中で、新たな支援内容としての検討も行います。その際には、当然のことながら中小企業基本法の理念も踏まえてまいります。

高齢者も現役世代も安心できる第8期介護保険事業について

【大竹議員】
最後に、介護保険についてです。
2021年度から第8期介護保険事業が始まります。計画の策定に向けて、社会保障審議会の介護保険部会で制度改正議論がスタートしています。介護保険部会の議論では、2022年から、いわゆる団塊の世代が75歳以上に到達し始め、2025年には全て後期高齢者になります。その後、2040年にかけて高齢化のスピードは鈍化しますが、担い手となる現役世代が急速に減少していきます。このため、介護保険財政が厳しくなるとともに、サービス提供の要となる人材の確保も厳しくなってくることから、介護保険制度の持続可能性は極めて重要なテーマとなってきます。検討課題として、給付と負担の大胆な見直し、事業所・施設の大規模化、介護人材の確保などが挙げられています。2019年度中に改革案を詰め、20年に改正法案を提出予定です。さらに具体的には、ケアプランの有料化、利用料3割負担の導入、要介護1・2外し等の改悪で許せません。
次に、要支援者への総合事業についてです。
大田区発行の「みんなの介護保険」のパンフでは、「自分らしい生活を続けるために」をうたい文句に、介護保険・総合事業サービスが説明されています。パンフでは、65歳以上の方が地域を担当する地域包括支援センターに相談に行きます。基本チェックリストか要介護認定を受けます。認定によって、生活機能の低下が見られる人と要支援1・2になった人が介護予防ケアマネジメントとして、地域包括支援センターで本人と家族が話し合い、自身の目標を持ったケアプランを作成してもらい、介護予防・生活支援サービス事業が利用できます。介護予防・生活支援サービス事業には、訪問型と通所型があります。低下しかけた日常生活機能を取り戻し、維持しましょう。ケアマネジャーが6か月で中間評価、1年で期末評価と一定期間ごとに効果を評価し、プランを見直します。この一定期間が多くの自治体で1年間と定められており、卒業、終了という言葉が使われており、高齢者の実態を無視していると問題になっています。
●この間の党府議団と事業者の懇談でも、事業者からケアマネジャーが継続を考えていても地域包括支援センターが終了というのでやめざるを得ない、継続と終了の基準がわからない、サービスがなくなることで日常生活能力が悪化しないかと不安の声が出されていることです。日々変化する高齢者の実態に合わせないで、総合事業のサービス期間を1年間と決めることはやめるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、介護予防・日常生活総合支援事業についてのご質問ですが、区は、介護保険法の趣旨に基づき、高齢者の自立支援・重度化防止に向けて、総合事業の取り組みを進めております。介護事業者による支援を行うに当たっては、利用者の状況に応じて、原則1年間の目標を設定しております。サービスを1年間で切り替えるかどうかは、期末に実施するサービス評価会議において、取り組みの効果、必要性を検証し、判断しております。利用者が主体的に目標を定め、機能訓練や生活訓練に取り組むことで、より自立した日常生活を営めるよう、区は、今後とも、高齢者一人ひとりに寄り添い、取り組んでまいります。

【大竹議員】
また、総合事業の終了後のサービスについての不安の声も出されています。終了後は一般介護予防事業が利用できますが、訪問サービスでは絆サービスがあります。しかし、社会福祉協議会のボランティア約100人、シルバー人材センター登録約74人、担い手登録中、実際に活動に至っている方は多くないと聞いています。
要支援の介護度別居宅サービス利用者数は、2017年度で5530人います。例えばその半分が総合事業サービスを継続したとしても、残りの方の4割近く、1000人以上の方が何らかのサービスを受けることになります。それも毎年高齢者が同じように増えていきますから、事業者の皆さんとの懇談の中でも、受け皿が足りな過ぎると大田区への責任を問う声が出されていました。
●総合事業の事業者サービス終了後の通所訪問の充実を求めます。訪問事業の社協のボランティアやシルバー人材センターの絆サービスの充実や新たな支援体制の構築を行うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、総合事業の通所型・訪問型サービスについてのご質問ですが、区の総合事業には、介護事業者による専門性の高いサービスと、住民を主体とする多様なサービスがあり、支援を要する高齢者が選択できる幅を広げております。「絆サービス」については、大田区シルバー人材センターの会員の活用も推進しております。今年度からは、さらに大田区社会福祉協議会に登録しているボランティアなどにも、担い手になっていただくための研修に取り組んでおります。今後とも、利用者の自立につながるよう、担い手を増やしていくための取り組みや、研修によるサービスの質の向上に努めてまいります。

【大竹議員】
さらに深刻なのは、今決算年度は、第7期介護保険事業の最初の年度です。総合事業が本格的に始まった年度であります。介護保険事業特別会計決算では、総合事業である3款1項地域支援事業の執行率は72.62%で、不用額が7億8000万円、1目介護予防・生活支援サービス事業費の執行率は58.63%、7億3000万円の不用額を出しており、1節の介護予防・生活支援サービス事業費の執行率は61.69%で不用額は5億6000万円、介護予防ケアマネジメントの事業費の執行率は44.05%で、不用額は1億7000万円となっています。多額の不用額を出したことは、それだけ介護サービスが受けられなかったことになります。また、前年度決算と比べても、地域支援事業は4億6000万円、19%の減、1目介護保険・生活支援サービス事業費は5億4000万円、34%、1節の介護予防・生活支援サービス事業費は6億7000万円、43%も減っています。前年度決算からの減額は、前年度と比べても介護サービスを受けられなかったことになります。前年度から比べても、要支援者の皆さんのサービスである総合事業が大幅に減額していることが決算からもわかります。その結果、介護給付費準備基金に当初6億9000万円だったものが、補正予算で5億1000万円増額し、合計12億円の積み立てとなりました。
●決算上からも、総合事業で介護切り捨てです。総合事業の充実を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、総合事業の充実についてのご質問でございますが、区は、介護保険法に定める地域支援事業として、総合事業に取り組んでおります。おおた高齢者施策推進プランに基づき、健康を維持している方の介護予防から、フレイルの兆候が見られる方、自立を目指す方の生活支援まで、切れ目のない支援を目指しております。
平成30年度においては、介護保険特別会計の一般介護予防事業費を増額し、介護予防普及及び啓発事業を充実してまいりました。このことにより、元気アップ教室などの介護予防普及啓発事業に、前年度より約3万5000人多い延べ8万3000人以上の方が参加をしております。利用に当たりましては、地域包括支援センターが高齢者の相談を受けてから、要介護・要支援の認定申請、ケアプラン作成、サービスを利用開始に至るまで、一人ひとりの状況に合わせた適切なマネジメントを行っています。区は、今後も関係機関と連携して、地域の特性に応じたサービスの充実に取り組み、高齢者が住み慣れた地域で、自立した日常生活を営むことができるように、適切に対応してまいります。以上でございます。

以  上

カテゴリー: 議会の動き・政策・発言集 パーマリンク

コメントは停止中です。