(映像は大田区議会ホームページより:32分)
【あらお議員】
日本共産党大田区議団の荒尾大介です。
多摩川線沿線まちづくりを口実にした新空港線計画の白紙撤回について
【あらお議員】
初めに、新空港線とまちづくり計画について質問をします。
大田区は7月1日付け組織改正にて、まちづくり推進部から新空港線にかかわる事務を分割する形で、新空港線・まちづくり調整準備室という新たな部署を設置しました。区の考えでは、新空港線整備に関する連絡調整と鉄道整備と連動したまちづくりを誘導するとして、新空港線整備と蒲田駅周辺、東急多摩川線沿線を一体的に整備を進めることを目的としています。
6月18日の総務財政委員会で川野副区長は、「東京都との協議は佳境に入っている。あと一歩のところに来ている」とし、しっかりとした準備室を設置して進めていくと説明していますが、新空港線の整備主体の設立予算1億8000万円の執行率が、2017年度、2018年度と2年連続で0%、つまり整備主体が設立できていないこと、それにあわせて新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会が2年連続で開催できていないこと、2016年4月20日の国土交通省交通政策審議会第198号答申に盛り込まれただけで区が勝手に高い評価と判断していること、東急東横線、東京メトロ副都心線、西武池袋線、東武東上線との相互直通運転によって、東急多摩川線のほとんどの駅に電車がとまらなくなる可能性があり、そうなった場合、地域の活性化につながらなくなること、災害発生時に迂回ルートとしての機能を担うとしていますが、発災時には直通運転がとまるため、その役割を果たせなくなることなどの問題点から、その実現はほぼ不可能に近い状態です。
また、今年3月6日に区と東急電鉄の公民連携によるまちづくりの推進に関する基本協定の締結をした際、東急の髙橋社長が「蒲蒲線は大田区と同じ思い、我々の悲願です」と会見で述べたように、東急の悲願であり、本当の意味での区民の望む計画でないのは明らかです。
この新空港線は、矢口渡から大鳥居までが198号答申に盛り込まれた計画区間であり、現時点で矢口渡から先、京急蒲田までの第1期事業区間までしか示されていません。京急蒲田-大鳥居までの第2期事業区間は全くの白紙です。大鳥居から先の線路につなげるためにフリーゲージトレインの導入が検討されていますが、実現の見通しは立っていません。区は、この新空港線が黒字転換するまでに31年かかると予測していますが、計画が第1期でとまった場合は、これよりもさらに長い年月がかかります。その間、区民の税金が新空港線に注ぎ込まれることになります。
蒲田駅周辺の開発についても、2009年度に蒲田駅周辺地区グランドデザインが策定され、これを具体化するために、4年後の2013年度に蒲田駅周辺再編プロジェクトを策定、グランドデザイン更新が必要になったため、駅前空間や駅舎、駅ビルの建て替えなど、中長期整備計画の検討を進めるとしています。これを新空港線軸に沿う形で東急多摩川線沿線まちづくり、特に拠点駅として下丸子駅と蒲田駅周辺のまちづくりを一体的に推進して新空港線を実現しようという考えのもと、これを都市計画交付金の対象にし、新たな財政スキームを示すとしています。
●お尋ねします。新空港線とまちづくりの一体化は事業規模が増大し、結果として税金が大量投入されて区民の負担が増えることになります。計画を白紙撤回し、新空港線をまちづくりの名で進めるのはやめるべきです。お答えください。
【新空港線・まちづくり調整準備室長】
まず、新空港線事業に合わせた沿線まちづくりについてのご質問ですが、区のさらなる発展、活性化のためには、新空港線整備はもちろんのこと、画一的でない、それぞれの地域特性を活かした沿線のまちづくりを連動して進めることが重要でございます。とりわけ、まちづくりの拠点となる鉄道駅周辺においては、関係事業者と連携した土地利用の再編や交通結節点の機能強化などの課題があることから、将来を見据えた持続可能なまちづくりを積極的に進める必要があると認識しております。また、鉄道沿線の地域にとりましては、新空港線と合わせたまちづくりの進展により、まちの魅力及び回遊性が向上し、国内外の来訪者を取り込めるポテンシャルのある場所として、新たなにぎわいを生み出す契機となります。引き続き区では、地域の皆様をはじめとし、関係機関や鉄道事業者などの関係事業者と連携しながら、駅とまちが一体となった、より利便性の高い魅力的なまちづくりの推進に取り組んでまいります。
【あらお議員】
次に、下丸子1号・2号踏切についてです。7月16日の交通臨海部活性化特別委員会にて抜本的対策についての報告がありました。下丸子駅の改札前の1号踏切は歩行者のボトルネックで、平日朝の通勤ラッシュの時間帯は大変混雑し、遮断機が下りているにもかかわらず、バーをくぐって強引に渡る人もいて大変危険な状態です。ガス橋通りにかかる2号踏切は自動車のボトルネックで、こちらも朝の時間帯に大変混雑します。踏切から環八通りまでの距離も短く、信号も連続しているので、恒常的なボトルネック状態が続いています。
委員会では、歩行者横断施設、下丸子駅舎の橋上化、駅付近の立体化の三つの形式が示され、この中の鉄道立体化が踏切を除去できる唯一の手段であるとの説明がありました。この方法では、下丸子1号・2号踏切だけではなく、鵜の木3号踏切も除去できるとしています。区は課題として、1号・2号踏切は東京都鉄道立体化の検討対象区間の優先20区間に含まれていないこと、立体化には駅周辺まちづくり計画が必要なことを挙げていますが、地域住民の安全と命がかかった重大な問題を、都の検討区間に指定されていないことなどを理由に停滞させていることは問題です。
下丸子1号・2号踏切の問題は長年の地域の課題です。地域住民の方々の多くが、この二つの踏切の解消を要望しています。いつ重大な事故が起こってもおかしくない状態です。今月5日に京急本線神奈川新町駅付近の踏切で快特列車と大型トラックが衝突し、30名を超える死傷者を出した大事故が発生しました。踏切の解消は待ったなしです。京急線での悲惨な事故を繰り返さないためにも、早急に計画をつくり、対策を講じることが求められます。
下丸子の踏切問題について何度か議会で質問しましたが、区は、「下丸子駅周辺の利便性や交通結節機能の向上を視野に入れて、鉄道整備と一体的に検討する必要があると考えております」と繰り返し答弁し、あくまでも新空港線整備とまちづくりとセットで進めるとの立場に固執しています。
●お尋ねします。下丸子1号・2号踏切解消のための計画を早急に作成するとともに、区民の皆さんが望む安全・安心のまちづくり計画を進め、区民の、特に多摩川線沿線住民の利益にならない新空港線計画と切り離して進めるべきです。お答えください。
【新空港線・まちづくり調整準備室長】
下丸子1号・2号踏切に関するご質問でございます。両踏切は、改正踏切道改良促進法に基づく改良すべき踏切に平成29年1月に指定されてございます。このため、令和2年度末までに踏切の抜本的な対策を講じるか、抜本的な対策を盛り込んだ計画を策定することが必要となってございます。この法指定を受けまして、区は、両踏切の抜本的対策をするに当たっての考え方の整理をいたしました。本年7月の交通臨海部活性化特別委員会におきまして、抜本的対策についての基本的な考え方をお示しさせていただいております。その中で、鉄道の立体化が最も有効であるとお伝えしましたが、下丸子周辺のまちづくりもあわせて行っていくことが課題となっていることもお示しさせていただいたところでございます。今後は、先ほども述べさせていただいたとおり、有識者、国、東京都、鉄道事業者との研究会の中で、下丸子1号・2号踏切の抜本的な対策とまちづくりにつきまして、新空港線の整備を大きな契機と捉えて検討を進めてまいります。
区内交通不便地域を解消するコミュニティバスの充実について
【あらお議員】
次に、コミュニティバスの充実について質問します。矢口・下丸子地域を巡回するコミュニティバス、通称たまちゃんバスの試行運転が始まって今年で10年経過しました。地域の皆さんに親しまれ、貴重な交通手段としてもますます重要度を増しているたまちゃんバスですが、2018年度の収支率が50.4%と本格運行移行条件を満たし、今年7月から本格運行が実施されたことを大変うれしく思っております。町会・自治会、地域の皆さんの不断の努力によって支えられてきたたまちゃんバスは、今後、高齢化社会の進展によって、さらにその重要性、必要性を増していきます。
2007年度、大田区コミュニティバス導入検討会では、田園調布、久が原、矢口、中馬込、南馬込、西蒲田、大森東、東糀谷、西糀谷、新蒲田の10か所の交通空白地域が指定され、そのうち矢口、南馬込、西蒲田の3地域に絞り、最終的に矢口地域でコミュニティバスが導入されたという経緯があります。たまちゃんバス試行運転から10年経過、本格運行がスタートした今、先の9地域を含めたその他の地域へのコミュニティバス導入を検討するときに来ているのではないでしょうか。
導入検討会から10年以上が経過し、高齢者の免許返納後の買い物や通院などの移動手段確保、銭湯の減少、趣味の多様化など、区民の状況変化も見られます。また、京急バス路線地域では、この間の路線バス減便によって今後新たに不便地域になる可能性もあることなど、新たな検証も必要と考えられます。
●そこで質問です。たまちゃんバスの経験を活かして、他の交通空白地域にコミュニティバス路線を新設し、将来的に区内を網羅する形になるようなバス路線網を構築するべきです。そのためにも、改めて全区的調査を実施することを求めます。お答えください。
【まちづくり推進部長】
コミュニティバス導入地域の再調査についてのご質問でございます。矢口地域のコミュニティバスでございますたまちゃんバス、こちらは平成21年度から試行運行を9年間続けておりましたが、この間、議会や地域の皆様から試行運行の是非につきまして多くのご意見をいただいてまいりました。このため、一昨年度に本格運行への条件といたしまして収支率が50%以上という基準を設けてございます。そして昨年度、本格運行に向けて地域の皆様と取り組んだ結果、その基準を満たしたことから、今年度本格運行を行ってございます。その中で、運行ルートや運行本数、バス停の位置など、利便性向上に向けた課題であるとか、総事業費から運賃などの収入総額を引いた欠損額の全てを区が補塡するという現状の中、このような欠損補塡のあり方など、収支率以外の新たな課題も見えてきたところでございます。こうしたことから、まずはたまちゃんバスの現状の課題と対応策について今年度検討を行ってまいります。その後、他の交通不便地域へのコミュニティバス導入について方向性を探ってまいりたいと考えてございます。
【あらお議員】
7月9日の検討会議で運賃改定の提案がなされ、過半数の承認を得たとしていますが、2014年の消費税8%増税では運賃を据え置いたものの、今回の消費税増税で10円値上げとなります。本体価格143円に1.10を掛けて157円となり、端数を四捨五入して160円になるための値上げをするとのことですが、増税前の駆け込み需要すら期待できない今の経済状況の中で、運賃値上げをやるべきではありません。
たまちゃんバスの利用者の多くは高齢者です。少ない年金で生活をしている方も少なくありません。そうした方々にとっては、たとえ10円といえども重い負担となります。現に150円で順調に利用者数が増えている中でありますし、値上げをする理由はありません。消費税増税に合わせて機械的に引き上げるやり方は、福祉的観点からも進めるべきではありません。たまちゃんバスは車両更新の時期に差しかかり、そのためには、2年連続収支率50%を超えなければならないとのことですが、それにも悪影響が及ぶおそれがあります。区としても運賃値上げによる影響について検証する必要があり、それを実行すべきでした。
●質問です。10月の消費税増税に便乗した運賃値上げを見直し、福祉的観点から運賃を150円に据え置くことを求めます。お答えください。
【まちづくり推進部長】
次に、消費税率引き上げに伴うたまちゃんバスの運賃改定についてのご質問でございます。旅客運賃改定の取り扱いにつきましては、平成31年3月12日に所管である国土交通省のほうから「公共交通事業等における消費税の運賃・料金への転嫁の方法に関する基本的な考え方」が示されております。これによりますと、「本年10月1日から現行消費税が消費税と地方消費税を合わせて10%の税率となる。消費税は、消費一般に負担を求める間接税であり、これを円滑かつ適正に転嫁し、利用者が公平に負担することが基本である」と、その考え方が示されてございます。この考え方に基づき、国土交通省自動車局より、「2019年10月からの消費税率引上げに伴う乗合バス運賃・料金改定の取扱いについて」が通知をされております。この通知に則り、運賃改定を行うことについて、道路運送法で定められている地域公共交通会議である大田区コミュニティバス等検討会議に区としてお諮りをするために、学識経験者をはじめ、自治会・町会や商店会、バス事業者など、関係者の参加によりまして7月9日にこの会議体を開催し、その場で運賃改定についてのご承認をいただいてございます。したがいまして、10月以降の運賃につきましては予定どおり改定をいたします。
【あらお議員】
現在、コミュニティバスにシルバーパスは活用できません。東京都シルバーパス条例施行規則第4条に、「地方公共団体、民間団体その他の団体の委託を受けて乗合旅客を運送する運行系統」は、シルバーパスの対象区間から除外するとありますが、コミュニティバスは路線バスの運行を補完する役割も担っており、日常的にバスを利用している高齢者の方々からも強い要望として上がっています。シルバーパスが活用できれば、高齢者の方々の買い物などの外出機会を手助けすることにもなり、シルバーパスの目的でもある高齢者の社会参加の助長と高齢者福祉をさらに向上させる効果にもつながることになります。そのためにも、施行規則を変えるよう東京都に対して協議を開始することを求めるべきではないでしょうか。
●コミュニティバスにもシルバーパスが使えるよう、大田区として東京都に強く要望することを求めます。お答えください。
【まちづくり推進部長】
次に、たまちゃんバスへのシルバーパス使用についてのご質問でございます。シルバーパスは、東京都シルバーパス条例施行規則によりまして適用除外が規定されております。この除外規定の中で、「地方公共団体、民間団体その他の団体の委託を受けて乗合旅客を運送する運行系統」についての記載がございまして、コミュニティバスはこれに該当いたします。仮にたまちゃんバスを路線バスとして運行するのであれば、この施行規則の適用になりますけれども、たまちゃんバスは毎年収支欠損額を出していることなどからも、採算性の問題により、バス事業者が単独で運行することは考えられないため、たまちゃんバスへのシルバーパスの適用は難しいと考えます。
民間企業利益第一、区民不在の公園活用の見直しについて
【あらお議員】
次に、公民連携による公園活用について質問します。
大田区は、区内15か所の拠点公園における公民連携推進基礎調査の一環として、今年1月から3月にかけて、田園調布せせらぎ公園及び洗足池公園における民間活力の効果的な導入方策について、民間事業者から意見を聞くサウンディング型市場調査を実施しました。国土交通省は、PPP/PFI事業の発案段階や事業段階において、公民対話型提案手法として、構想提案型、段階提案型の民間提案、セミナー・フォーラム活用型、サウンディング型の市場対話、競争的対話型、段階選定型の事業者選定の六つの手法を示しています。
サウンディング型市場調査は事業化検討の際の一般的な手法ということで、公有地の有効活用について、その活用方法を民間事業者と対話をして活用案作成の参考にするためのものです。これによって市場性の把握、活用アイデア収集、より民間事業者が参入しやすい条件をつくり、結果、民間事業者の参入意欲を向上させるとしています。国が国際競争力の強化の名のもとに、大都市圏での大規模開発推進、公共施設等総合管理計画を全ての自治体につくらせて、その結果、行政サービスや地域コミュニティが後退し、それに拍車がかかっている状態です。PPP/PFI事業も、そうした流れの中で、必要な社会資本の整備、維持更新を的確に進めるとの理由で進められているものです。
こうした中で、都市公園についても、2017年の都市公園法改定によって、飲食店、売店などの設置と、それによって生ずる収益を、周辺の園路や広場の整備、改修を一体的に行う事業者を公募にて選定する公募設置管理制度、いわゆるPark-PFIが設けられました。このPark-PFIの問題点は、公立公園を民間事業者による運営委託管理を積極的に進めるために、サウンディング市場調査などの手法を使って、みずからの生き残りをかけて必死に参入しようとする民間事業者の意見だけをくみ取り、区民の声が入り込む余地がないということです。公園は区民の憩いの場であり、貴重な財産でもあります。そもそも、公共の財産である区立公園の運営整備を民間事業者に託すことに無理があり、区民との関係で矛盾が生じます。それが田園調布せせらぎ公園での樹木伐採の問題などにあらわれているのではないでしょうか。
大田区公園条例第1条には、「公園の健全な発達と利用の適正化を図り、もって区民の福祉の増進と生活文化の向上に寄与することを目的とする。」とあるように、民間事業者との話し合いに熱心になるあまり、区民を置き去りにする公民連携のためのサウンディング市場調査の手法は、区立公園の本来の目的からも逸脱し、区民の利益に反するものです。区は、今後、平和島公園、平和の森公園、大森ふるさとの浜辺公園、大森東水辺スポーツ公園でも同様のサウンディング市場調査を実施するとしていますが、このような調査はやるべきではありません。区がやるべきことは、まず周辺住民や利用する区民の意見を一番に考え、公園の健全な発達と区民の福祉、生活文化の向上をさせる姿勢を持つことです。
●田園調布せせらぎ公園や洗足池公園をはじめ、拠点公園はPark-PFI導入の検討対象となっていますが、区の貴重な財産である公園にPark-PFIはふさわしくありません。導入はやめるべきです。お答えください。
【都市基盤整備部長】
Park-PFIは、管理運営を担う事業者が計画の早い段階から関与いたしまして、施設の整備を事業者みずからが行うなど、民間のノウハウを活かすことができ、都市公園の質や公園利用者の利便性の向上等を目的とする公民連携の管理運営手法の一つでございます。公園の整備、管理運営につきましては、公園の規模、整備する公園の機能、管理運営の内容、立地特性を含めまして、委託、指定管理、Park-PFIなど多様な管理運営手法について検討し、判断してまいります。田園調布せせらぎ公園につきましては、想定される事業スキームがPark-PFIの手法に合わないために、今回の整備において導入は考えておりません。また、洗足池公園につきましては、公園の地域特性や規模を鑑み、公園全体の魅力アップにつながる管理運営手法等の検討を重ねてまいります。さらに、まちづくりと一体となり、区民の皆様と憩いの場となる環境づくりを進めてまいります。
【あらお議員】
区は、今年の1月に公民連携基本指針を策定し、区を取り巻く様々な問題に柔軟に対応するためとして、民間企業との連携を積極的に進めるとしています。昨年6月にセブン&アイグループ、今年8月に日本生命相互会社と包括連携協定を、昨年8月に三菱商事都市開発株式会社とマチノマ大森における連携・協力協定を、今年3月に東急電鉄株式会社とまちづくり推進に関する基本協定を、東電タウンプランニング株式会社と地域貢献型広告に関する協定を締結するなど、名だたる大手企業との連携を強めています。セブン&アイとの協定では、これまでセブン-イレブンのこどもSOSに続き、イトーヨーカドーやヨークマートとの連携も加え、野菜摂取啓発事業、高齢者見守り事業などが加わることになり、これらの重要な仕事をアルバイトがほとんどのコンビニ業界と進めることは労働強化につながり、賃金が上がるとも限らない中で、オーナーや店員を追い詰めることが懸念されています。
この公民連携は、区のありとあらゆる広範な事業を民間企業と連携することで、質の高いサービスの提供、地域課題解決、地域の活性化が図られ、区、民間、区民の三方よしで持続可能なまちづくりを目指すとしています。三方よしと言っていますが、公民連携では、民間企業が行政の仕事を担うことで新たなもうけ口を確保することにつながるだけで、区は地方自治法で示されている住民福祉の増進という本来の役割を果たせなくなり、区民や地域はさらに疲弊するだけで、民間企業だけが持続可能になる、三方ならぬ一方だけよしの状態になります。Park-PFIでも触れましたが、公民連携では区と民間企業との関係だけが強調され、区民不在の区政運営がさらに進められることになります。区政の主役は区民であり、区民不在の中でのまちづくりが区民のためになるはずがありません。コンパクトシティによる集約化や大都市部へのインフラ集中を推し進める公民連携は見直すべきではないでしょうか。
●公民連携を強めることは、地方自治体の役割を民間企業に肩がわりさせ、それによってさらなる利益を上げる、もうけ口を与えることになり、公の役割を大きく後退させます。結果、民間企業の利益が増え、地域コミュニティの衰退を招き、区民の利益が損なわれることになります。このような公民連携はやめるべきです。お答えください。
【企画経営部長】
区は、平成20年にまちづくりの最も基本となる方針を示した大田区基本構想を策定し、区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市 おおた」を掲げました。地域力を、区民一人ひとりの力を源として、自治会・町会、事業者、団体・NPOなど様々な主体が持っている力、それら相互及び区との連携・協働によって、防犯・防災、福祉、子育て、教育、産業、環境、国際交流、まちの魅力づくりなど多様な地域の課題を解決し、魅力ある地域を創造していく力とし、地域を構成する様々な主体が連携・協働することで、地域力はさらに高まるとしてございます。超高齢社会の到来や個人のライフスタイルに関する価値観の多様化、加速度的に進展する情報化社会など、区を取り巻く環境は日々大きく変化してございます。このような変化に柔軟に対応し、持続可能なまちづくりを実現するためには、これまで培ってきた各種団体や学術機関などとの連携・協働に加えて、様々な連携手法を用いてさらなる相乗効果を創出していく必要がございます。区は、今後も民間企業などとの連携を進め、相互が保有する知識、ノウハウ、資源を最大限に活かし、質の高い行政サービスの提供、地域課題の解決、地域の活性化の実現に向けた公民連携の取り組みを進めてまいります。
以 上