第2回定例会一般質問(速報)―大竹議員(6月15日)



(映像は大田区議会ホームページより:28分)

【大竹議員】
日本共産党大田区議団の大竹です。

安倍政権の全世代型社会保障改革の問題点について

【大竹議員】
まず、安倍政権の全世代型社会保障改革の問題点について質問します。
2017年度版厚生労働白書では、高齢者世代に手厚い構造になってきたと言える。しかしながら、高齢者世帯は中所得者の割合が増加し、世代内格差も縮小傾向にある。直近では、現役世代でも世帯所得や賃金の改善傾向が見られてきているとの現状判断を示しています。その上で、高齢世帯向けの社会保障を抑制し、若い世代の支援策を強調した政策に転換する全世代型社会保障改革の政策を提起しています。
その基本ラインは、第2次安倍自公政権が「社会保障制度改革国民会議報告書」2013年8月6日で据えられています。同報告書は冒頭で、65歳以上の高齢者人口の比率は既に総人口の4分の1となりました。これに伴って、年金、医療、介護などの社会保障給付は既に年間100兆円を超える水準に達しています。この給付を賄うため、現役世代の保険料や税負担は増大と世代間対立をあおって、日本の公的債務残高はGDPの2倍を超える水準に達しており、社会保障制度自体の持続可能性も問われていると、公債発行の増加要因は建設国債や税収減にあるにもかかわらず、高齢化にあるよう論じ、「社会保険料と並ぶ主要な財源として国・地方の消費税収をしっかりと確保し、能力に応じた負担の仕組みを整備する」と述べています。
そして、次の三つの戦略で全世代型社会保障改革を推進しようとしています。その第1は、社会保障制度を抑制し、国民へ痛みを強い、自己責任、相互扶助に委ねる。二つ目は、社会保障には消費税引き上げやむなしを迫る。三つ目は、非営利の社会保障を大企業の投資に開放し、解体していく戦略です。
アベノミクス5年間で格差と貧困が広がりました。5年間で大企業の利益は2.5倍に増え、内部留保は80兆円上積みされて400兆円を超えて、株主の配当も1.7倍に増え、役員報酬も1人当たり10%以上に増えました。その一方で、大企業でも従業員の給与は物価の伸び4.8%を下回る4.1%しか増えていません。全労働者では、その平均賃金は年間ベースで16万円も低下しています。
さらに、5年間で社会保障はずたずたになり、医療費負担、介護サービス利用料の値上げや軽度者向けのサービスの給付外し、年金改悪、生活保護の削減を強行し、国民が受けた負担増、給付減は計6兆5000億円に達しました。今後も、医療では病床削減計画の推進、年金では受給開始年齢(現行65歳)を67歳、70歳以上への引き上げなどを狙われています。
全世代型社会保障だと言って、幼稚園、保育所、高等教育の無償化や保育の受け皿拡大を打ち出していますが、来年10月予定の消費税増税10%の引き上げとセットです。しかし、これまでも安倍政権は、消費税増税分は社会保障に回すと言いながら社会保障切り捨てを進めてきました。国民の不安解消には、低所得者により重い消費税増税は中止し、大企業、富裕層に応分の負担を求める税の集め方の改革と、社会保障、子育て、教育を優先する税の使い方の改革こそ必要です。
●区長は、消費税増税を社会保障の持続可能な制度にしていくためには一定の負担は必要と、消費税増税を容認する答弁をしてきましたが、本来、税金は社会保障や教育など国民の基本的な人権保障に優先して確保すべきで、消費税増収に頼るべきではありません。区長の見解をお答えください。

【企画経営部長】
私からは、消費税と社会保障関連経費に関するご質問にお答えをいたします。
区は、平成30年度予算の重点課題といたしました「次代を担う子どもたちの育ちを、切れ目なく応援する取り組み」、「生涯を通して誰もが健やかに安心して暮らせるまちづくり」など、区政の重要施策の取り組みを進めているところでございます。具体的には、保育園待機児童解消に向けた対策の強化や、高齢者の元気のための3要素「運動・栄養・社会参加」に働きかける取り組みなどがございます。社会保障の充実をはじめ、区民の生活向上のためには、ソフト・ハードの両面から総合的に課題解決に取り組むことが重要でございます。これらの取り組みを進めるに当たり、地方消費税の引き上げ分は社会保障制度の根幹を支えていく重要な財源の一つであり、社会保障関連経費の増加に対応するためのものでございます。
一方で、特別区におきましては、消費税率の清算基準の抜本的な見直しによる減収の影響に加え、法人住民税国税化などの不合理な税制改正による減収を合わせると、地方消費税増税分の多くが失われることとなり、社会保障施策の充実を図るための財源が担保されないことが懸念されてございます。地方消費税の清算基準につきましては、あくまで税収を最終消費地に帰属させるという清算基準の本来の趣旨に沿った基準とすべきであると考えてございます。区といたしましては、このような考え方のもと、特別区長会を通じて引き続き国に対して強く働きかけをしてまいります。私からは以上でございます。

住民の命と健康を守る国民健康保険について

【大竹議員】
次に、住民の命と健康を守る国民健康保険についてです。
国民健康保険は4月から都道府県が財政運営の主体となる都道府県化に移行しました。新制度は、被保険者の多くが低所得者であるにもかかわらず保険料が高いという国保の構造問題は何ら解決しないばかりか、負担増と徴収強化が押しつけられようとしています。今年度は23区は全体として統一保険料方式で行うことになり、大田区の保険料値上げは、年1人当たり平均で医療分及び後期高齢者支援分3547円、介護給付分2232円の値上げとなります。しかも、保険料は給付金94%として算定し、6年間の激変緩和期間となり、原則年1%、大田区の試算では、毎年1人当たり1400円弱、6年間で約8000円引き上げられ、年1人当たり12万1988円が約13万円になります。この激変緩和をするために、法定外繰り入れが自治体の赤字解消の名目でしたが、予算案の上では今年度は前年度56億円から33億円へ23億円減らし、将来的にはゼロを目指しており、法定外繰り入れを段階的に解消するとしています。これでは保険料の値上げは天井知らずになります。
今年度から制度創設以来の大改革は動き出したが、国保が抱える構造的な課題が解決されず、改革とは名ばかりになりました。何よりも従来から課題であった保険料負担が重いことです。加入者1人当たりの所得に占める保険料の割合は、健保組合5.6%に対して、市町村国保10.3%と高い保険料となっています。4月30日現在でも滞納世帯が3万4933世帯で33.86%、3割以上もあり、短期証2561世帯、資格証789世帯となっています。保険料が払えず資格証になり、窓口10割負担で病院に行けず、重症化し死亡する例が後を絶たない状況です。
国民健康保険法第1条は、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」としています。国民健康保険は社会保障であると位置づけられており、国民皆保険制度である以上、払える制度でなければなりません。国民の命と健康を守る責任は国にあります。国庫負担を50%に戻すことが何よりも重要です。特別区長会でもこのことは要請してきましたが、構造的な問題が解決されない現状を打開するために区の役割が求められています。
●保険料の引き下げをするために、さらなる国や都への財政負担を求めるべきです。お答えください。
また、国の防波堤としての自治体の役割が問われています。保険料の値上げを抑えるためにも法定外繰り入れを減らすべきではありません、お答えください。

【区民部長】
私からは、国民健康保険についてのご質問に順次お答えをいたします。
国民健康保険制度は、被保険者の高齢化や医療の高度化の進展により医療費が年々増加し、負担と給付のバランスが不均衡となるなど、厳しい財政状況の中で運営を行っているところでございます。本制度は、国民皆保険の基盤として健全かつ安定的な運営を確保すること、将来に向け持続可能な制度を確立することが何より重要となっております。国民健康保険の抱える構造的な問題を解決し、今後も持続させていくために、今年度、制度創設以来の大きな改革が行われました。今回の改革では、国民健康保険の財政基盤を強化するために、財政赤字に見合う公費が投入され、都道府県が区市町村とともに保険者となって、都道府県が財政運営の責任主体となり、国民健康保険制度の安定を図っていくこととしております。
特別区としては、将来的な方向性として、都内保険料水準の統一、医療費の適正化、収納率の向上、法定外繰り入れの解消または縮減を掲げており、平成30年度の特別区の国民健康保険料については、原則的に23区で統一して対応することといたしました。以上のことを踏まえ、国や東京都に対しては、特別区として引き続き財政支援を求めております。一般会計から国民健康保険特別会計に法定外の繰り入れを行うことは、給付と負担の関係が不明確になるほか、健康保険組合、協会けんぽなど、国民健康保険以外の医療保険制度に加入している方に対して負担を強いるなどの課題も含んでおります。国民健康保険の運営に多額の法定外の繰り入れを将来にわたり継続していくことは、新しい制度の趣旨や他の医療保険の加入者との公平性の観点から困難であると考えております。

【大竹議員】
今年度、子どもの均等割の減免や多子世帯の国保料の減免に踏み出す自治体が各地に出てきています。国保の都道府県化のもとでは、地方単独の保険料減免に充てる法定外繰り入れは解消すべき繰り入れと扱われますが、国保法の規定に沿った保険料の減免に充てるための繰り入れは続けてもよい繰り入れに分類されます。国保法第77条は、被保険者に被災、病気、事業の休廃止などの特別な事情がある場合、市町村の判断で国保料を減免できることを規定しています。この規定を活用し、子だくさんを特別な事情と認定することで住民負担の軽減策をすることができます。
国保は子どもも含め世帯内の加入者数に応じて賦課される均等割があるため、子育て支援に逆行するとして、全国知事会は子育て支援の観点からの子どもに係る保険料均等割の軽減を国会に要請(2015年1月8日)、東京都議会は子どもに係る均等割保険料(税)の負担を軽減することを国に求める意見書採択しています(2017年3月30日)。都内でも清瀬市、東大和市、昭島市、埼玉県ふじみ野市等で4月から始まっています。
●区長はこの間、全国市長会を通じて国に求めていくと答弁していますが、ぜひ大田区独自で子どもの均等割の減免を実施することを求めます。お答えください。

【区民部長】
続いて、国民健康保険料の子どもに係る均等割の軽減についてのご質問でございます。保険給付に必要な財源は、国などの公費と国民健康保険被保険者にご負担いただく保険料で賄うことによっております。保険料は負担と給付の関係から応能割と応益割の考え方があります。均等割保険料は、応益割として制度による恩恵を受ける全ての方に対して一定のご負担をお願いしているところです。保険料の軽減措置としては、前年の総所得が一定基準以下の世帯は、均等割保険料の金額から7割、5割、2割を軽減するほか、災害その他特別の事情により生活が著しく困難となるなど経済的事情のある世帯には、保険料を減免する制度が設けられております。ご質問の子どもに係る均等割保険料の軽減措置については、他の医療保険に加入している方との負担の公平性から、国の制度として取り組むべきものと考えております。私からは以上でございます。

入札・契約制度のあり方について

【大竹議員】
次に、入札・契約制度のあり方について質問します。
東京都財政局は先月11日、昨年6月に試行を開始した入札契約改革制度について、今月25日以降に公告等を行う契約案件から実施すると発表しました。入札参加者が1者以下の場合に入札を中止、1者入札の廃止や、一定価格以下の契約案件では予定価格を事後公表から事前公表するなど、試行内容を一部見直すものです。また、競争性の確保などの観点から、入札を辞退した業者への原因調査を強化する方針を示しました。都は原因を探り、発注者としての都の対応改善につなげる考えを示しています。試行では予定価格を事前から事後公表に変更していましたが、本格実施では原則継続とした上で、中小企業が入札に参加しやすいよう、低価格帯の契約に限って事前公表に戻すとし、中小企業は大手に比べて人員体制が十分でなく、夜中まで積算計算することになり、働き方改革に逆行するなどの声が上がっていたと述べています。
大田区でも入札・契約制度改革検討結果報告書が2013年4月に出されています。報告書では、公共調達は税金が原資であることから、調達の過程や結果については、常に透明性、競争性、公平性が強く求められる。入札・契約制度を適正に機能させるためには、前記の点を常に念頭に置き、相互にバランスのとれた総合的な仕組みとして構築していかなければならないとして、この間の取り組みが出され、こうした状況変化に的確に対応していくためには、現状の課題を分析し、今後の入札・契約制度のあり方を整備し直す必要があるから、2011年10月に庁内検討委員会を設置し、今回の検討を行ったものであると結んでいます。
また、入札・契約制度改革における課題と具体的な取り組みで、不落随意のあり方、公正な競争の促進について、不落随契は原則禁止とする。ただし、区事業への影響を勘案し、真にやむを得ない場合に限り、不落随意に移行できることとするとしています。透明性の確保から、具体的な取り組みとして入札監視委員会が設置されましたが、設置のときに年4回開催される予定になっていましたが、2015年度から年2回しか開催されていません。さらなる入札・契約制度の改革を進めるためにも、年4回に戻し、以下の点について十分に審査を行うべきです。
改正入札契約適正化法第1条で適正な金額での契約の締結を法の目的として明確にしており、そのためには、まず予定価格が適正に設定される必要がありますと規定しています。不落随意契約では、2012年度ゼロだったものが、翌年度から7件(2.4%)、21件(6.5%)、22件(7.3%)、23件(8.7%)、そして昨年度は25件(7.8%)と全契約の1割弱程度あります。
●競争性の確保などの観点から、不落随契は原則禁止を貫くため、不落随意契約について区は原因を探り、発注者としての区の対応改善につなげる考えを示すこと、また、入札を辞退した業者への原因調査を強化する方針を示し、区は原因を探り、発注者としての区の対応改善につなげる考えを示すことです。また、中小企業が入札に参加しやすいよう、低価格帯の契約に限って事前公表を行うことを求めます。お答えください。

【総務部長】
私からは、入札・契約制度に関するご質問にお答えいたします。
まず、入札の不調及び辞退についてのご質問でございますが、現在も予定価格の適正な積算や入札の早期発注などにより、入札不調や入札辞退の発生の防止に努めております。また、入札不調等が発生した場合は、必要に応じ事業者の協力も得ながら、議員お話しのような調査も行ってございます。今後もこうした取り組みを通じ、公平、公正な入札の執行を進めてまいります。また、予定価格の事前公表につきましては、事業者の積算に係る負担が減るというメリットが考えられる一方で、積算努力を阻害するデメリットも指摘されております。その上、予定価格帯に入札額が集中するとともに、落札となるべき同額の入札が複数あった場合のくじ引きが増えるなど、競争性を低下させる要因にもなり得ます。このため、現在の方針を変更して事前に公表することは考えておりません。
次に、入札監視委員会の開催回数についてご質問がございました。平成24年に入札監視委員会を設置した当初は、年4回のうち2回は前年庁内に設置した大田区入札・契約制度改革検討委員会の検討状況の確認等に充てておりました。その後、同検討委員会におきまして入札・契約制度の課題に関する一定の整理と改革の方向性が確認できたため、平成26年以降、入札監視委員会の開催回数を2回に変更しております。現在、この方向性に沿って区の入札及び契約は適正に実施されており、入札監視委員会も効果的に機能していることから、現在の開催回数で運営を続けることが適当であると考えております。私からは以上でございます。

以  上

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