第2回定例会一般質問(速報)―福井議員(6月15日)



(映像は大田区議会ホームページより:13分)

【福井議員】
日本共産党の福井亮二です。

区民無視のリニア中央新幹線について

【福井議員】
リニア中央新幹線について伺います。
そもそも日本共産党は、リニア中央新幹線について国会で計画の中止を求めています。それは多くの問題を抱えているからです。リニア中央新幹線はスピード性重視で、東京から大阪までをほぼ最短距離で貫く計画です。
手つかずの自然が残る南アルプスをトンネルで貫通し、マグニチュード7超の地震を起こす危険のある活断層を七つ横断、岐阜県の予定地にはウラン鉱床が点在し、工事による渇水、出水の危険性が指摘されています。収支では、概算額では約9兆円の中に約3兆円の財政投融資となっています。JR東海は、2013年、当時の山田社長が「リニアは絶対にペイしない」と言っているくらいです。JR東海の事業ですが、3兆円の財政投融資をめぐり、赤字必至の事業に巨額の公的資金を投入すればツケは国民に回ります。
この事業は、情報公開法、一般競争入札の情報開示、事業評価制度も適用外であり、チェック機能が公共事業と比べてもあまりにも不十分です。その結果どうなったのか。2017年までに計24件の工事発注に対し、大林、大成、鹿島、清水のスーパーゼネコン4社が独占禁止法違反で起訴されました。しかし、公共事業ではないために指名停止にはなりませんでした。このような異常な事態の中で事業が進められています。
この間、JR東海が大田区内で説明会を行いました。東雪谷非常口新設工事説明会、大深度地下使用許可申請にかかわる説明会です。この説明会はあくまで工事の説明会、大深度地下に関する説明会であり、そもそもリニア中央新幹線とは何かの説明はありませんでした。区内での説明会でリニア中央新幹線について質問があると、「ホームページをご覧ください」と言うだけで説明がありませんでした。多くの区民が、このリニア中央新幹線がどのようなものなのか自体知りません。また、工事説明会2回、大深度地下に関する説明会は1回しかありません。これでは不十分です。
●そこで質問します。大田区主催でJR東海を呼び、区民向けにリニア中央新幹線についての説明会を開くべきです。お答えください。

【まちづくり推進部長】
私のほうからは、中央新幹線に関する二つのご質問についてお答えをさせていただきます。
まず、説明会でございますが、JR東海に確認したところ、品川・名古屋間の事業説明、東雪谷非常口新設工事や環境影響評価に関係する説明会を大田区内でこれまで13回開催しているとのことでございます。また、JR東海は、沿線自治体の区域内でも同様の説明会を開催しております。本事業はJR東海の責任において説明会を行うべきであるため、区主催での説明会の開催は考えておりません。なお、以前、交通臨海部活性化特別委員会で大竹委員のほうから同様のご要望をいただき、JR東海に伝えたところ、「問い合わせの対応ができる体制を整えているので、いつでもお問い合わせください」との回答をいただいております。

【福井議員】
このリニア中央新幹線の約8割がトンネルであり、都心部は大深度地下で行われます。そもそもこの大深度地下法自体が憲法29条の財産権侵害であることが指摘され、現在裁判で争われています。この法律は土地所有者等の同意なく使用権が設定できるものであり、国交省のホームページでは、通常は補償すべき損失が発生しないとして、事前に補償を行うことなく使用権の設定ができます。さらにひどいことは、このルート真上の住民(地権者・所有者)に周知すらされていません。2016年10月の衆院国土交通委員会の質疑でも、国は国家的プロジェクトと位置づけしているにもかかわらず、「ルート上に何名の地権者がおられるかといったようなことは把握されていない」との答弁でした。
5月に大深度地下の説明会のときに質問があり、「土地所有者にどのように伝えるのか」との質問に対し、「ホームページをご覧ください。または事務所にお越しください」との回答でした。つまり、JR東海の姿勢は、ホームページを見るか、聞きに来いとの姿勢です。この大深度地下法は使用権を設定するものであり、所有権は変わりません。人の土地を通過するにもかかわらず連絡しないのは一般常識では考えられません。大深度地下の使用許可申請のため出された資料にあるルート上の所有者十数件を訪問しましたが、その中で対話できた全員が、リニア新幹線が家の地下を通ることは知りませんでした。
●そこで質問します。大田区として区民の命、財産を守る立場から、JR東海に対して大深度地下のルート上の所有者・地権者に直接説明すること、また、希望者に対しては家屋調査を行うことを求めるべきです。お答えください。

【まちづくり推進部長】
続きまして、JR東海が大深度地下ルートの上の所有者に対する対応についてというところのご質問でございますが、大深度地下使用の定義では、通常利用されない空間であるため、公共の利益となる事業のために使用権を設定しても、通常は補償すべき損失は発生しないとなってございます。中央新幹線の路線上の所有者に対して、これまでもJR東海は、大深度法第13条の規定により、支障となる井戸等の物件があるかどうかの調査をするために各戸訪問して確認していると聞いております。また、先ほども申し上げましたとおり、JR東海はこれまでにも説明会を開催し、また、問い合わせにいつでも対応できる体制を整えているということでございますので、区からJR東海に改めて直接所有者に対しての説明や家屋調査を求める考えはございません。私からは以上でございます。

子どもの安全を守るための野辺山学園について

【福井議員】
次に、野辺山学園について伺います。この質問については、先ほど深川議員が質問されましたが、教育の環境を整えるという点では一緒だと思いますので、再度質問したいと思います。
5月29日付けで大田区教育委員会名で「平成30年度野辺山学園移動教室の日程及び実施場所の変更について」の文書が、5月30日に区立中学校の1学年保護者の皆様へと中学校で配付されました。この文書では、施設の運営及び食事の提供において、事業の安定的な遂行に支障をきたすことが認められ、そのために事業実施は困難と判断いたしました。6月以降は日程及び実施場所を変更して実施することといたしましたとの内容でした。6月1日以降を延期するにもかかわらず、その3日前の5月29日の連絡ではあまりにも遅過ぎます。直前の延期に本当に子どもたちは残念がっていました。担当課に確認したところ、今年度から委託事業者を変更したとのことでした。5月から10月までの契約期間ですが、1か月ももたずに委託事業者の業務遂行が困難になり、6月以降はできないとのことで今回の事態となりました。原因究明と再発防止が求められています。
●まず、現在教育委員会が行っている委託事業について、労働環境を含め、法令遵守、業務遂行状況のチェックをするように求めます。お答えください。

【教育総務部長】
初めに、教育委員会における委託事業に対するチェック機能に関してのご質問です。区の契約では、労働基準法など関係法令の遵守規定を設けております。また、日々の履行内容につきましては、都度、現場担当者が確認しており、委託料の支払いに当たっては、業務日報等、定められた様式による報告書を添付させ、教育委員会の事業担当者が業務の履行と遂行状況を確認した後、執行しております。今回の野辺山学園の移動教室事業のように履行内容に不備や異常が生じた際には、事業者への指導など適時適切な対応に努めているところです。なお、委託契約の事業者につきましては、本来、競争入札が原則ですが、安全確保など事業の性格上、サービスの質を優先確保する事案につきましては、プロポーザル方式による事業者選定を実施しているところです。引き続き委託事業の適正な執行管理に努めてまいります。

【福井議員】
区内中学校の第1学年の保護者から情報提供いただきました。この中学校では、6月に移動教室を予定していましたが、6月上旬の説明会を変更して今回の経緯の説明がありました。学校側の説明では、9月に3泊4日から2泊3日に変更して長野県方面で調整しているということでした。つまり、区内の中学校の中で、移動教室が2泊3日と3泊4日に分かれるという事態であり、教育の機会均等については、教育委員会はどのように考えているのでしょうか。
学校側の今回の経緯の説明の中で、委託事業者の人手不足が原因であり、アレルギー対応が不十分であったことが報告されました。つまり、現状の委託費では十分な人員が確保できていないことのあらわれだと考えています。区の事業を委託しているにもかかわらず、そこで働く人のワーキングプアがあってはならないと思っています。先ほど深川議員の質問に対して、部長から「入念な引き継ぎを行った」という答弁がありました。しかし、実際にはこういった事態が起きているわけです。
●継続的・安定的な事業を求めるのであれば、委託にせずに大田区が直接事業を担うべきです。野辺山学園の委託事業をやめるべきです。

【教育総務部長】
次に、野辺山学園の運営に関するご質問ですが、野辺山学園の移動教室事業は、昭和48年の開園以来、給食調理等に関しましては委託事業として実施しております。こちらについては、今後も区が直接事業を実施する考えはございません。
なお、野辺山学園の移動教室事業は、先ほども申し上げましたが、5月から10月末までの半年間という限定的な期間実施する事業であることや、近年、全国的にも人材不足の状況にある雇用環境の中で、現地での安定的な人材確保が年々大きな課題となっており、事業継続か民間施設の活用か、あるいは既存施設の利用など、中長期的な視点で検討してまいります。私からは以上です。

以  上

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