第2回定例会代表質問(速報)―藤原議員(6月14日)



(映像は大田区議会ホームページより:53分)

【藤原議員】
日本共産党大田区議団を代表して質問を行います。

北東アジアの平和を目指し、国際都市平和都市宣言をしている区長としての役割について

【藤原議員】
大田区平和都市宣言している松原区長の果たす役割について質問します。
今、日本の政治状況は、安倍首相と安倍内閣が、文書改ざん、隠蔽、文書廃棄、虚偽答弁など、国会の歴史で最悪と言われております。日本共産党は、安倍首相、麻生財務大臣等が、国会で真実を明らかにしたうえで、一日も早く退陣することを求め、さらに野党共闘を強め、退陣に追い込む決意です。
安倍政権が対話否定、圧力一辺倒という態度をとり続けている中で、世界の動きは早く、今年4月には、近くて遠い国と言われた韓国大統領と北朝鮮国務委員長が直接会談を行い、板門店宣言で、朝鮮半島の平和と非核化、人的交流などについて率直な意見を出し合い、実行することを確認されました。この会談には、アジアの人々を中心に歓迎の声が寄せられております。2日前の6月12日には、米国と北朝鮮が歴史上初の首脳会談が行われ、完全な非核化と安全保障で合意、新しい朝鮮半島、北東アジアの平和にとって大変意義ある会談と日本共産党は心から歓迎します。
日本共産党は、4月上旬に朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制構築を一段と進めることを関係各国に要請し、その後に劇的な変化をつくり出す方向が、日本政府を除く各国政府の努力と日本共産党の要請に合致したことは大変うれしい限りです。日本共産党は、今こそ日本政府、安倍政権が国際社会と同じく、積極的に圧力でなく対話による問題解決に方針を変えて、経済や人的交流、拉致問題など北朝鮮政府と関係改善に取り組むべきと思います。
●大田区には、朝鮮半島出身の方々が区内に約3700名余おります。戦前は強制的に労働力として徴用され、戦後数年間は差別や偏見などもありましたが、今は日本国民と一緒に働き、生活され、区内でも各方面での活躍もなされています。朝鮮半島における平和への大きな変化の中で、区内朝鮮学校への支援を再開すべきと思いますが、お答えください。

【小黒教育長】
朝鮮学校に対する支援に関するご質問にお答えします。
「大田区外国人学校振興費補助金」は、北朝鮮による近年のたび重なる核実験や弾道ミサイルの発射など、この間の国際情勢を考慮し、平成28年度から補助金要綱の効力を停止しているところでございます。朝鮮学校への支援を再掲すべきとのご質問でございますが、歴史的な米朝首脳会談が行われたとはいえ、現時点で、補助金要綱の効力停止を解除する考えはございません。引き続き、国際情勢に注意しながら適切に対応してまいります。

【藤原議員】
●大田区は、平和憲法の立場に立って、先輩区議会議員と行政が力を合わせ、1984年8月に大田区平和都市宣言をしました。松原区長は、8月に行われる広島、長崎での平和祈念式典に毎年のように参加されていることは、核戦争をなくし、平和を願ってのことと思います。1984年の本会議で、区議会議員だった松原忠義区長みずから要求されていました大田区平和都市宣言を区役所庁舎前、蒲田駅、大森駅前など人の目に多く触れる場所、何か所かに塔や掲示板ができないかと設置を求めていましたので、平和都市宣言している今、まず初めに大田区役所前に平和都市宣言塔を設置すべきだと思います。答弁を求めます。

【松原区長】
まず、「平和都市宣言」塔設置に関するご質問でございますが、区は、昭和59年8月15日に世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、「大田区平和都市宣言」を行いました。これを記念して、同日に平和の森公園に平和の像「愛し子」を建立いたしました。その際に、平和の像とともに、前面に平和都市宣言文のレリーフを設置し、宣言文の内容が多くの区民の皆様の目に触れるようにいたしました。当時、私も区議会議員として広く平和都市宣言を広める趣旨の質問をいたしました。
その後、区は、昭和61年8月15日の「大田区平和都市宣言記念事業」実施の際に、平和都市宣言の理念を区民の皆様と共有し、さらに広めていくために、新たに蒲田地域の萩中公園と調布地域の多摩川台公園にも平和の像「愛し子」の姉妹作を宣言文のレリーフとともに建立をいたしました。現在も、公園を訪れる区民の民様に日常的に見ていただけるようになっております。大森・蒲田・調布地域それぞれに平和の像を設置していることから、現在のところ、区役所本庁舎前に設置する考えはございません。

CV22オスプレイ配備に反対について

【藤原議員】
次に、オスプレイの米軍横田基地配備について、大田区との関連で質問します。
大田区は、羽田空港を抱えている自治体として、都民、区民の安全・安心を守る立場から、首都東京のど真ん中に、事故率が高く、環境を破壊し、戦争行為に使用される世界一危険な輸送機CV22オスプレイの横田基地配備には、大田区として配備反対の意志を国と都に申し入れるべきです。整備は陸上自衛隊木更津駐屯地、試験飛行は東京湾でと言われ、東京や首都圏中心に、戦争行為の予行訓練も頻繁に行い、羽田空港への民間機の離発着にも影響があるのではないかと大変心配です。
●羽田空港を抱えている大田区は、横田米軍基地に接している自治体と連携し、CV22オスプレイ機の横田基地への配備反対を国や都に強く申し入れることを求めるものです。松原区長の答弁を求めます。

【松原区長】
次に、オスプレイの配備についてのご質問でございますが、安全保障分野は国の専管事項であり、その運用につきましては、言うまでもなく地元住民の生活への最大限の配慮が必要と認識をしております。オスプレイの横田基地への配備に関して、本年4月、東京都及び横田基地が所在する福生市をはじめとします周辺市町は、国に対して「国の責任において、地元自治体や周辺住民に対して、配備に関する事項の早急な説明、迅速かつ正確な情報提供を行うなど、十分な説明責任を果たすとともに、安全対策の徹底と環境への配慮等をアメリカに働きかけること」を要請しております。区といたしましては、その動向を引き続き注視してまいりたいと考えております。

大田区民の将来につないで行く羽田空港跡地活用について

【藤原議員】
次に、羽田空港跡地取得に向けた問題について質問します。
5月25日に開かれた第1回臨時区議会に提案された補正予算(第1次)で、空港跡地第1ゾーン、16.5ヘクタールの一部、5.9ヘクタールを約165億円で土地購入する補正予算案が提案され、本来、大田区が歴史的経緯がありなから、区が購入したことは大問題です。空港跡地に住んでいた方や騒音被害で苦しんでいる区民、住民には、なぜ跡地購入するのかの説明もなく、また、都が取得し区民が活用するという、この間の約束があり、事前に議会にも諮らず、問題です。本来ならば、今日から始まる第2回定例会に提案し、徹底議論をして決めるものです。日程が1日と決まっている臨時議会に提出したことは、議会軽視と言われても仕方ありません。羽田空港跡地はどうして生まれたのでしょうか。
空港周辺の騒音や航空機事故、交通渋滞などの環境の悪化について、当時、大田区と区議会は区民の安全と快適な生活を脅かす滑走路の埋め立て延長反対を国と都に強く申し入れを行った結果、当時の東京都が、防音遮蔽物をつくること、離発着点を海側にずらすことを条件に、国もこの条件を実行すると1度は約束されましたが、1972年に、国は羽田空港を4倍に拡張し、新滑走路をつくる計画が突然発表されました。区民の安全・安心を守るために、1973年10月9日、大田区議会は羽田空港撤去決議がされ、慌てて国、運輸省は、羽田沖の埋め立て案を示し、沖合に空港を移転させることに決まったのです。この提案をもとに、1981年8月6日に、大田区・品川区、東京都、国の三者協定で確認され、沖合展開事業が完了したに後は、土地は東京都か取得する、土地の利用計画は地元の要望を十分に配慮するとし、都民、区民に解放すると大田区に約束したのです。沖合移転で生まれる海上約454ヘクタールの埋立地利用については、1974年の大田区報3月1日号の1面で、10年後には区民の緑地、海上公園にと区民へ約束していたのです。
また、1990年には、羽田空港跡地200ヘクタールを活用し、羽田エアフロントシティ21を発表し、200ヘクタール内に、森林公園や航空博物館、スポーツ施設、地域広場など、跡地は鳥の翼を図にして、区民に知らせたのです。ところが、皆さん、約束を破ったのは国で、当初の跡地200ヘクタールを次は77ヘクタールに、さらに53ヘクタールにと、その53ヘクタールの中から3つのゾーンに分割され、大田区の跡地といっても16.5ヘクタールだけになったのです。しかも、区民の活用できる多目的広場はわずか6ヘクタールです。
●今回の補正予算で約165億円の大田区の持ち出しは、これまで区民と議会に約束してきた空港跡地は三者協定で歴史的経過を重んじ、東京都が跡地を取得し、大田区が使用できることになっていましたが、区長はこの約束を破ったとすれば、その責任が問われます。答弁を求めます。

【松原区長】
次に、羽田空港跡地の取得についてのご質問でございますが、改めて跡地第1ゾーンの取得にかかる経緯をご説明いたします。
平成30年第1回定例会でもご説明を申し上げたところでございますが、空港跡地につきましては、昭和56年に当時の運輸省、東京都、大田、品川両区により、「東京都が取得する方法と時期」について、「関係機関との調整を踏まえ別途協議する」旨の事項を含む「確認書」が取り交わされております。その後も各種の議論が続けられ、平成20年3月に、跡地の土地利用の方向性を定めた「羽田空港跡地利用基本計画」が策定されました。
このような中、平成20年12月の東京都議会第4回定例会におきまして、東京都知事は、羽田空港跡地に係る質問に対し「跡地利用基本計画で定められた土地利用を実現するうえで、都が跡地を一括取得する必然性はない。基本的にそれぞれの施設の整備主体が土地の譲渡等を受けることが合理的」といった趣旨の答弁を行っております。三者協では、跡地利用基本計画や都知事が答弁で示した考え方も視野に入れて、その後も継続的に議論を進め、平成22年10月には「羽田空港跡地まちづくり推進計画」が策定され、議論の結果を踏まえて、「第1ゾーンにつきましては、主に大田区が過去の経緯を踏まえて取得する方向で検討する」とされました。区は、この「羽田空港跡地まちづくり推進計画」で整理された考え方に基づいて諸般の手続きを行い、平成29年9月には、財務省関東財務局により国有財産処理方針が示され、本件土地を区に対し「産業交流施設及びクールジャパン発信拠点施設」の敷地として、時価売り払いすることについて適当とされました。区といたしましては、従前からの経緯を踏まえ、しかるべき手続きに則りながら、今回の土地取得に至ったものでございます。

【藤原議員】
日本共産党大田区議団は、空港の沖合移転計画が終了した暁には、移転後に生まれる跡地は、区民に解放し、緑地公園、区民の憩いの場にすることと、跡地として生まれる約200ヘクタールは条件をつけずに大田区にと、この本会議や委員会でも繰り返し発言してきました。このことは、国も東京都も合意されている問題で、今回、大田区の約165億円もの補正を組む必要はないのです。
東京都が空港跡地の約束を守らなかった理由に、一つには、東京都と国なのです。当時、東京都は、東京湾を埋め立てて臨海副都心開発を目玉に、企業呼び込み大宣伝しましたが、結果は大幅赤字を生み出し、羽田空港埋め立て事業で生まれた土地を約700億円で国に売って、東京湾埋め立ての赤字を埋めるのに使ってしまったのです。もう一つは、2007年10月、羽田空港跡地利用計画(素案)を受けて、2008年5月に、松原区長は都知事に対して羽田空港の跡地について要請を出し、都に跡地を一括して取得していただくよう改めてお願いしたいとしたことと、仮に東京都が取得しない場合においては、大田区が可能な限り取得したいと述べています。
●今からでも遅くはありませんので、約165億円の財政支援を東京都に強く求めるべきです。松原区長の答弁を求めます。

【松原区長】
次に、羽田空港跡地について東京都に財政支援を求めるべきとのご質問でございますが、跡地第1ゾーンの取得については、先ほども申し上げましたように、平成22年10月に策定されました「羽田空港跡地まちづくり推進計画」において整理された考え方に基づき、取得の手続きを進めているところでございます。土地の取得に当たり、現在、跡地第1ゾーンにおいては、土地区画整理事業がUR都市機構により施行されております。この土地区画整理事業では、国庫補助金、都補助金並びに特別区都市計画交付金なども財源となっております。区では、跡地利用の具体的な計画づくりを進める中で、羽田空港の高いポテンシャルを活かした土地利用を念頭に置き、跡地を魅力ある拠点として整備、開発をするための財源として、羽田空港対策積立基金を活用していく旨、適時にご説明を申し上げてまいりました。
この基金を活用することによって、区の一般会計への影響を抑えながら、2020年のまち開きに向けて、跡地まちづくりをさらに前進させることができると考えております。「羽田空港跡地まちづくり推進計画」においては、「まちづくりの進め方」として「本計画に基づき、国土交通省、東京都、大田区は十分に連携を図りながら、施設の立地を促進する」とされており、引き続き、国、都とも協力をしながら事業を進めてまいります。

【藤原議員】
次に、羽田空港の機能強化と増便について質問します。
自民党安倍政権は、この間、首都圏空港の機能強化として、羽田・成田空港への発着回数拡大を計画し、羽田空港の発着する航空機を現在の東京湾上空から都心・川崎上空に変更しようとしております。大田区をはじめ周辺住民にとっては、騒音や墜落、落下物など新たな危険と環境悪化につながると、都心区や川崎市での反対運動はますます高まっています。落下物については、6月4日の参議院決算委員会で、日本共産党、吉良よし子参議院議員の落下物についての質問に対して、5月末までに約半年間で219件も起きていると国交省が答弁しております。
国土交通省の機能強化(増便)について、首都圏の国際競争力の強化、訪日外国人旅行者数の増加、国内各地への経済効果などを理由に、国民からの受けのよい東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに増便するというものです。しかし、今の運行では1時間当たり発着回数は82回が限界で、都心上空に変更した場合、約90回で、発着が集中する時間帯には1分20秒に1機が区内を通過することになります。現在も、城南島や京浜島、大森、東糀谷、羽田地域から羽田空港に向かって着陸体制の航空機がよく見えますが、空港周辺や滑走路で何か事故が起きたら大事故につながりかねないという心配もされております。航空機事故の多くは、離陸3分、着陸8分と呼ばれ、魔の11分、この間、ほとんど大田区内上空を飛行しているのです。大田区民にとって、羽田空港をめぐる歴史は、航空機騒音や墜落大事故などがあり、生活環境と安全・安心問題が高まり、空港の沖合移転が決まったのです。その後、全国からの需要を理由に増便に増便を認めてきましたが、これ以上の増便をした場合には、区民と周辺住民の忍耐の限界に達するのではないでしょうか。2020年をめぐり、航空運輸事業の経済優先のみを重視し、地域住民の生活環境を無視した国交省の羽田空港のさらなる増便計画には、大田区は絶対反対すべきです。
東京オリンピック・パラリンピックで、日本への観光客が大幅に伸びることも増便理由になっておりますが、前後しても、2か月か3か月間だけです。現状でも、対応は可能です。観光客増加を言うのであれば、外国からの観光客増に対応するのであれば、各県の観光地域に訪れてもらうなど、まだまだ余裕のある中部国際空港、関西国際空港など全国に98もの空港があり、多くの空港は赤字経営と聞いておりますので、地方空港の活用を行えば、観光客の受け入れは十分可能です。安倍政権と大企業は、観光インフラ整備に名を借り、主に首都を中心とした大規模開発、国家戦略特区の活用を行うために、アジア一、世界一の一番活動しやすい羽田空港にと狙っているのです。羽田空港へさらなる機能拡充、これ以上の増便を認めることは、区民との約束に反することで、増便計画は、国土交通大臣も否定しない住民との合意を第一にと述べられており、羽田空港への離発着は基本的に海から入り、海に出ることです。
●松原区長が、これ以上の増便を認めない、大事故や部品落下、環境破壊につながる可能性が高い都心低空飛行、ものづくり精密加工の京浜島上空と、川崎市京浜工業地帯石油コンビナート上空は原則飛行しないこと、約束が守られてきている中で、今回の飛行計画増便中止を国に求めるべきです。答弁を求めます。

【松原区長】
次に、国による「羽田空港の機能強化」に関するご質問でございますが、これまでも申し上げてまいりましたが、羽田空港の運用は、現在におきましても、北風時A滑走路北向き離陸左旋回や、着陸のやり直しであるゴーアラウンド、深夜早朝時間帯における離発着など、航空機による区民生活への騒音影響が生じております。このため、区では、あらゆる機会を捉えて、国や航空会社に対して、現行の課題についての対応を要請してまいりました。このような事実を踏まえ、区としては、機能強化提案を重要なものと受け止め、平成28年6月、平成29年5月の2回にわたり、現行課題への対策を含めた要望書を国土交通大臣宛てに提出をいたしました。
国は、区の要請も踏まえ、平成28年7月には「環境影響等に配慮した方策」を公表しております。また国は、昨年10月には新たな落下物等防止のための対策を公表し、現在、総合的な落下物対策の取り組みを進めているところでございます。区は、地域の活性化を目指すうえでは、羽田空港との共存共栄が大変重要であると考えております。そのためには、現行課題に向けた対策はもちろんのこと、機能強化提案に対しましても、広く住民の皆さんに正確な情報を知っていただきたいと考えております。
区といたしましては、機能強化提案に関して、東京都や周辺自治体とも十分に連携しながら、引き続き丁寧な情報提供を進めるよう国に働きかけてまいります。

日本の宝を守る大田区中小企業政策について

【藤原議員】
次に、日本の宝を守る大田区の中小企業対策について質問します。
大田区は、日本のものづくりのまち、加工技術日本一と言われてきておりますか、このままの状態が続けば、その名も消えていくことになります。大田区の産業経済部、産業振興協会等でも、区内中小企業への対策を講じていることは評価するものですが、全国に知られている中小企業のまちとしての取り組み、4年前に発表された工場・商店全数調査による報告書で出されている課題の取り組みについては不十分と言わなければなりません。
日本共産党大田区議団は、2018年度の予算編成に当たって区長に要望を出しましたが、その一つを例に挙げれば、区内中小企業、町工場に対して、予算編成での要望の中小企業活性化支援事業について、以前にあった制度の復活を求めましたが、産業経済部からの回答では、「国や東京都で行っており導入するつもりはありません」との回答で、国や東京都には、これら中小企業を直接支援する制度などはなく、活用されている中小企業は区内にはありません。大田区の回答は、全く事実を調べないでの回答としか思えません。
●また、新製品・新技術開発支援事業は、毎年10社程度であります。あまりにも規模が小さ過ぎます。新しい取り組みとして注目を集めているボブスレー、競技用バスケット車椅子をつくり出したように、高度技術のネットワークを活かした支援をさらに強化するために、現在の新製品・新技術開発予算規模があまりにも小さ過ぎます。せめて10倍以上に拡充することを求めるものです。答弁を求めます。

【松原区長】
次に、新製品・新技術開発支援の予算に関するご質問でございますが、新製品・新技術開発支援事業は、区内のものづくり企業が技術力、製品開発力の向上を図り、高付加価値を生み出すことで区内工業集積の維持・発展に結びつけていくことを目的としており、公益財団法人大田区産業振興協会で実施しております。また、区では、産業集積により相乗効果を生み出す「産業クラスター形成支援事業」に取り組み、今年度、その予算として9000万円を計上しております。この事業は、羽田空港跡地で展開される先端産業分野と区内企業の連携を見据えて戦略的に産業クラスターの形成を進めていくものであり、昨年度に引き続き、障害者スポーツ用の車椅子開発を進めるほか、区内企業の高度な技術力やネットワークを活かして、次世代産業分野のクラスター形成を目指した製品開発に取り組んでまいります。

【藤原議員】
1999年に改定された中小企業基本法は、大企業と中小企業の格差是正策を放棄し、支援策を中堅企業や急成長型中小企業に特化させ、中小企業の保護でなく、強者を育てるとして、小規模・零細業者を切り捨てる大改悪でした。その結果、小規模事業者は全国的にも大幅に激減しましたが、大田区の場合でも、製造業で見ても1998年6033社から、2012年には3967社、2066社が姿を消す、多くは廃業と倒産によるものですが、激減しており、地域経済の底が抜け、雇用の場がなくなりました。政府も1999年の中小企業基本法の改正で失敗に気づき、2014年6月に小規模企業振興基本法が成立し、以降、全国各地の自治体で行政と事業者、個人や団体も参加し、小規模企業振興基本条例づくりが進んでおります。東京都も5月23日に東京の中小企業振興を考える有識者会議を設定し、中小企業振興基本条例制定に向けた取り組みが始まりました。
大田区では、1995年に制定した大田区産業のまちづくり条例がありますが、この条例だけではカバーできない町工場や家族経営業者、建設や商店、サービス業に光を当てた小規模企業振興基本法、いわゆる小規模基本法に基づく条例の制定を提案するものです。大田区産業のまちづくり条例は、全国各地で取り組まれている中小企業振興基本条例にはなっていなく、小さな町工場の願いなどに大田区産業のまちづくり条例は役に立ってはおりません。また、条例制定当時、問題になった大企業と中小企業を同列に置く条例で、大田区の工場減少、特に町工場や1人、2人の小規模工場の廃業が証明しております。
●この小規模企業振興基本法を大田区こそ先頭に立って、区内小規模事業者や各団体に呼びかけて、支援が行き届かない家族経営者や建設業者、商店やサービス業を活性化する取り組みなど条例を制定すべきと思いますが、松原区長の考えについて答弁を求めます。

【松原区長】
次に、小規模企業振興基本法に掲げる小企業者を中心とする活性化支援を盛り込んだ条例制定に関するご質問ですが、区が平成7年に制定した「大田区産業のまちづくり条例」では、企業規模にかかわらず、製造業、建設業、小売業、サービス業など、区内の産業経済活動にかかわる全ての「産業者」が区民及び区と一体となって、産業のまちづくりを推進することを目指すものです。また、同条例が定める基本方針及び基本施策は「小規模企業振興基本法」及び国が策定した「小規模企業振興基本計画」の内容も網羅したものとなっております。したがいまして、現状では、「大田区産業のまちづくり条例」のほかに、新たに条例を制定する考えはございません。
「小規模企業振興基本計画」では、目標達成に向け、ビジネスプラン等に基づく経営促進や需要開拓支援、人材の確保・育成、事業承継などを重点施策として掲げております。区においても、各施策の検証を行いながら、地域の諸条件に応じた施策を展開してまいります。なお、国では、法に基づき、現在、小規模企業振興基本計画の見直し検討に入っており、区としても動向を注視してまいります。

【藤原議員】
大田区の中堅企業の近県への工場移転もとまりません。そのことによって、これまで下請、孫請の町工場の仕事の減少傾向もとまりません。この10年間を見ても、2010年にはポンプの荏原製作所の製造部門が千葉県に、2014年には航空機エンジン修理等されていた大森精工機が干葉県に、女性従業員がNC旋盤を使い部品加工している姿がNHKテレビ等で報道された株式会社南武が神奈川県へ、下町ロケットの撮影で有名になった桂川精螺製作所の生産部門が静岡県に今後全面移転するのではないかと心配されており、輝く星印で有名な鉄塔はなくなったのは寂しい限りてす。区内での中堅、有力な企業の相次ぐ移転が続き、企業立地促進基本計画の具体的な取り組みの弱さがあるのではないでしょうか。
●今後の見通しが不安定の中で、工場家賃、工具や光熱費などの負担も重くのしかかり、自分の代で廃業しようと考えている業者は、工場全数調査でも明確になっております。民間業者が工場訪問し、大田区の宝のものづくり技術と匠を買い取り、他の業者にあっせんできるほど、すぐれた加工技術を持っているのですから、ここでも予算と職員を増やし、町工場の現状と将来についてお話と要望を聞き、廃業しないで、経営に何が必要か、必要な援助はないかなど、具体的に取り組むべきです。例えば、5名規模で経営されていた企業で働く従業員も高齢等が理由で廃業する場合、その工場を大田区が借りて、1人、2人で経営されている業者に入居してもらうなど、ものづくり加工できる工場としてあっせんするなど積極的に大田区として工場を守り、発展させる取り組みを行うべきです。答弁を求めるものです。

【松原区長】
次に、操業を廃止した自社工場を区が借り上げて貸し出すなどの施策に関するご質問ですが、区は「貸工場・工業用地マッチング事業」及び「企業立地促進サポート事業」を実施しております。さらに、区内に工場立地を希望する際は、「ものづくり工場立地助成事業」による移転費用や工場の整備に関する支援がございます。これらの事業を通して、新規立地や事業拡張を希望する経営者の需要に応えることにより、工業用地及び工場施設の維持を図っております。このほか、東京都や東京商工会議所大田支部等、関係機関とも連携し、経営支援をはじめとする各種支援メニューを提供しております。引き続き、区内産業の皆様のニーズを酌み取り、必要な支援をしてまいります。

【藤原議員】
大田区が目指す産業政策、中小企業に対する取り組みの中心は、羽田空港跡地を活用した羽田空港跡地第1ゾーン、5.9ヘクタールに、先端産業と言われる先端技術の集積拠点と現場志向の新しい医工連携、ロボットなどの研究開発企業の集積で、そのためにコーディネーター連携会議や未来を担う企業の成長ステージにあわせた包括的な成長・発進支援に取り組むと述べられております。
これらの事業のもとは、安倍政権と大企業が目指す国家戦略特区の活用によって行われるもので、区内の中小企業の何百社が参加できるのでしょうか。第1期事業への提案グループを見てもわかるとおり、鹿島建設、野村不動産、トヨタ自動車、三菱地所、三井住友銀行など国内トップ企業ではありませんか。ここに区内町工場の何社か参加していけるのでしょうか。埼玉大学の岩見教授が指摘されたとおり、「政府・財界挙げての国家戦略と一体化の開発・増便計画であり、ものづくり中小企業のまちでなく、羽田空港だけがある大田区になってしまう危険がある」と指摘されたとおりです。
●松原区長は、かねがね羽田空港跡地を平成の出島にと言ってこられましたが、区が目指す出島は、国家戦略特区の活用で、世界で一番企業が活躍できる場所を提供するために跡地の取得も急いで決めたのではないでしょうか。区長の目指す跡地を出島として、安倍政権が目指す国家戦略特区で、岩盤を砕く規制緩和、一握りの先端企業が活躍できる規制緩和では、区内中小企業、ものづくりの町工場が区内で営業でき、暮らしが安定できる、区民の暮らしが豊かになるものではありません。国家戦略特区での新産業創出・発進基地にする跡地活用は中止し、区内約3000社への直接支援や大田区の産業のまちの具体的対策を行うべきです。このことこそが区内中小企業、ものづくりのまちを守る生命線を今こそ発揮することが、区長が取り組むことです。松原区長の答弁を求めます。

【松原区長】
次に、国家戦略特区及び区の産業支援に関するご質問ですが、国家戦略特区は、経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成する観点から、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進するために設けられた制度でございます。大田区におきましては、「エリアマネジメントに係る道路法の特例」や「旅館業法の特例」、また「都市計画の決定又は変更に係る都市計画法の特例」を活用しております。
区内のものづくり産業の集積につきましては、高度基盤技術を有する企業群によって構成され、国内の基幹的な産業である製造業を支えてきたものであります。こうしたものづくり作業集積の維持・発展のため、区は公益財団法人大田区産業振興協会とともに、工場の立地や操業環境の整備を促進する各種助成制度の拡充、新製品や研究開発に取り組む企業等への支援、小中学校のものづくり教育から次世代経営者の育成に至る切れ目ないものづくり人材の育成、技術の継承や技術者育成、取引拡大支援など様々な取り組みを行っております。
また、現在、区内への立地・操業を望む企業からの問い合わせは増加傾向にあります。引き続き、これらの施策を着実に推進し、連動させていくことで好循環を生み出し、羽田空港跡地に整備する産業交流施設も最大限活用することにより、企業にとって区の魅力を高め、ものづくり産業集積の維持・強化に取り組んでまいります。

【藤原議員】
次に、6月3日付け、6月5日付けの毎日・朝日新聞に、大田区アスベストによる中皮腫で4人の方が2007年から2017年までに亡くなっていたことが、関係者の話として報道されました。大森南の宮寺石綿の周辺半径500メートルの周辺住民で、石綿工場で働いていたことのない人であり、改めてアスベストによる健康被害が注視されています。
産業のまち大田区には、かつて理想的な建築・緩衝材としてアスベストを扱う工場が100社以上あり、アスベストが将来、健康被害を起こすと国際的にも明らかになった以後も、日本政府はアスベストの使用を奨励してきた経過があります。産業振興の面からも、区民の健康保持のためにも、負の遺産となったアスベストによる健康被害の救済が求められております。まず、大田区としては、アスベスト検診を見直す必要があります。現在のフォローアップ検診を、心配のある方にも広げていますが、このままの規模で続けていては、新たに胸膜プラークのうちにアスベスト検診を受ける機会を失う可能性があり、中皮腫の段階では治療が間に合わないという深刻な事態にもなります。2007年の健康調査は、大森南の宮寺石綿周辺地域に限られていましたので、他の地域のアスベスト工場があった周辺地域の居住歴のある人は、調査対象になりませんでした。区として、検診の周知は、20年、40年以上の長い潜伏期間があるので、周辺に居住していた人や工場周辺の他の企業で働いていた人、既に転居していて他地区に住んでいる人などに広げていく必要があります。
●区は、アスベスト工場、スレート工場が以前操業していた場所を地図で示し、区民が勤務先、居住地を確認し、アスベスト曝露の機会がなかったか、振り返るための情報提供をすることです。お答えください。

【松原区長】
次に、アスベスト関連企業の情報提供に関するご質問ですが、アスベストは、断熱材、耐火被覆、天井材、壁面仕上げ材等の建築材料や家電製品、接着剤等の工業製品など約3000種を超える多くの用途に使われてきました。使用については、昭和50年から段階的に禁止が定められ、平成24年3月に全面使用禁止となりました。
アスベスト関連の企業に関する情報の提供につきましては、厚生労働省が平成17年から実施しております。事業場に就労していた労働者や周辺住民に対し、注意喚起や健康状態を改めて確認する契機とともに、また、地方公共団体などが石綿健康被害対策に取り組む際の情報を提供することを目的に「石綿ばく露作業による労災認定等事業場」として、事業場名称や所在地の公表を行っており、お話の趣旨と一致するものと考えております。
区では、既に建材として建物等に組み込まれ、現に使用されているアスベストにつきましては、解体や改修工事の際に、大気汚染防止法、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例及び大田区特定粉じん排出等作業事務取扱要領に基づき適切に処理するよう指導しております。また、平成19年度から大気環境中のアスベスト繊維数濃度の調査を毎年継続して実施し、安全であることをホームページでお知らせしているところです。今後も、適時適切な情報提供に努めてまいります。

【藤原議員】
●次に、患者会からも要望のある環境省が実施している石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査を行うことです。2007年当時に環境省交渉で申し入れをしたときに、大田区はなぜ地域指定の申請をしたのかと逆に聞かれました。今後、アスベストによる中皮腫、肺がんは、2030年から2040年にピークがあると言われておりますが、この試行調査は、検診が国費で行われておりますので、1000円の費用負担はなくなり、石綿曝露地域住民の不安の解消、石綿関連疾患の早期発見、早期治療、さらには石綿健康被害救済制度による早期支援へとつながります。今、試行調査を行うことは大きな意義を持つものです。お答えください。

【松原区長】
環境省の「石綿ばく露者の健康管理に関する試行調査」への参加についてのご質問ですが、区は、平成21年度からアスベストによる健康不安を抱える区民等を対象とした検診を独自に行うなど、区民の不安の解消や健康被害の早期発見に取り組んでいます。先ほど田中議員の代表質問でお答えしたとおり、希望する方が無料で健診を受けられる環境省の試行調査への参加を含め、引き続き、区民の不安解消に向けて取り組んでまいります。こうした取り組みにより、区民が安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。

以  上

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