(映像は大田区議会ホームページより:61分)
- 開発優先・区民おきざりとみられる決算について
- 高齢者の尊厳を切り捨てる介護から、安心の介護について
- 一人ひとりの子どもが大事にされる、子育て支援について
- 騒音、大気汚染、事故の危険性が増す羽田空港機能強化について
- 再質問
【清水議員】
日本共産党区議団を代表して質問します。
開発優先・区民おきざりとみられる決算について
【清水議員】
まず初めに9月9日に北朝鮮は5回目となる核実験を実施しました。核兵器のない平和を求める全世界から抗議があがり、大田区松原区長、大田区議会議長も厳重な抗議の声明をあげました。日本共産党は、強く抗議するとともに「核・ミサイル開発を放棄させるために北朝鮮を6か国協議の対話のテーブルにつかせることはいよいよ急務であり、国際社会が一致団結し、制裁措置の強化を含め政治的外交的努力の抜本強化を求め、核武装強化の道を進むことは北朝鮮にとっても未来のない道であることを強く指摘する」声明を発表しました。
平和の問題についてです。ほぼ1年前の9月19日未明、安倍自公政権は安保関連法を多くの国民が夜を徹して国会を囲み反対の声をあげる中、強行採決しました。しかし、諦めない多くの国民の運動は戦争法廃止、立憲主義守れ、「野党は共闘!」へと広がり参議院選挙。都知事。都議補選へとつづきました。自衛隊が海外で戦争できる条件がつくられ11月にも戦況が激化している南スーダンに派遣する準備が進められています。他の国の部隊が攻撃された時自衛隊も駆けつけて反撃できるようになっています。戦後 憲法9条の下自衛隊員が、一人の外国人も殺さず、一人の犠牲者もだして来なかった平和主義の歩みを断ち切り、安倍政権は改憲に大きく突き進んでいます。戦中生まれの松原区長が身はもって体験した戦争体験に基づき、大田区平和都市宣言を当時の大田区議会に呼びかけ採択したことは区民からも高く評価されています。東京オリンピック・パラリンピックを成功させるためにも、区民の暮らしを豊かにするためにも松原区長は、区民とともに平和憲法擁護の声をあげ、安倍政権に対し抗議をする勇気を持っていただきたいと思います。
●北朝鮮の核武装につながる核実験に強く抗議し、核兵器のない世界を強く求めている松原区長に、国内外に核兵器の廃絶を呼び掛ける「大田区非核都市宣言」を行い、来年3月15日の70周年記念日に発表していただきたい、平和憲法擁護を区民に発信するよう求めます。お答えください。
【松原区長】
非核都市宣言制定についてと、平和憲法擁護についてのご質問ですが、大田区では昭和59年8月15日に平和都市宣言を発表して以降、様々な取り組みを通じて、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願ってまいりました。この大田区平和都市宣言のなかで、大田区は核兵器のない平和都市であること、そして平和憲法を擁護することをしっかりと謳っております。この平和都市宣言の理念に基づき、毎年8月15日に行なっている大田区平和都市宣言記念事業「花火の祭典」は、区民の皆様と共に平和の大切さについて考える祭典であり、区内外から多くの方にお越しいただく夏の風物詩として定着しております。先の大戦を実体験した世代の方々が徐々に少なくなっているなか、このような事業を通じて平和の尊さを次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことが、我々に課された責務だと考えております。
【清水議員】
舛添前都知事の都民の税金の無駄遣い等に都民の怒りが沸騰し、辞職によって新都知事が誕生しました。小池百合子知事は、区民の食の安全に大きく影響する築地市場の豊洲市場への移転を延期としました。日本共産党都議団の調査で判明したずさんな工事の解明や有害物質の安全性など都民に説明するとしています。また、9日の会見では待機児解消に向けた緊急対策と補正予算案を発表しました。日本共産党都議団が求めてきた、都有地の活用、保育所の整備費、借地料の補助や、保育士等の宿舎借り上げ支援の対象者の採用後5年目までの制限を撤廃、事故が相次ぐ認可外保育施設の質の向上のため巡回指導チームを編成など、補正予算案の規模は126億円。これらの対策によって保育サービスの今年度整備数を計画より5000人多くすることを目指しています。一方 認可保育園が政策の中心に据えられていない、保育士の給与改善が具体化されていない、保育の質の低下を招く保育所の規制改革などの問題点もあります。
●東京都の緊急対策を受け、区は保育士等宿舎借り上げを来年度も行うこと、勤続年数の制限を設けないことを、10月1日の保育士就職フェアに間に合うよう発表することを求ます。お答えください。
【松原区長】
宿舎借り上げ制度についてのご質問です。本事業については、区内の保育事業者の人材確保を支援するための有効な支援策であると認識しております。今年度は、対象施設をこれまでの私立園に加え、公設民営園を含め、対象職種についても、保育補助者及び調理員・栄養士まで拡大しています。さらに、区内に限定していた宿舎要件を近隣の自治体まで緩和し、実施しているところです。今回発表された東京都の補正予算では、宿舎借り上げ支援の対象期間を5年以上に延長することが掲げられております。今後、詳細を確認し、事業者に対して周知してまいります。
【清水議員】
次に開発優先、区民おきざりとみられる2015年大田区決算について質問します。
2015年度の国の予算の特徴は1.「社会保障のため」と言って3%もの消費税大増税を強行しながら、社会保障の切り捨てを進め2.大企業には2年間で1・6兆円もの大減税をばらまき、3.3年連続増額となる大軍拡の予算でした。
党区議団は国の社会保障の改悪による区民負担軽減のために、もっとも身近な自治体である大田区は、区民の命と暮らし守る「防波堤」となるよう求めました。
2015年度(平成27年度)決算は、一般会計予算現額は2587億9681万円で歳入歳出差引額は126億4348万円でした。歳入は過去最高でした最も伸びたのは、2015年4月からの消費税5%から8%の増税に伴う地方消費税交付金71億1337万円の増でした。また、特別区民税10億9834万円の増は「各種の経済政策の効果による緩やかな景気回復基調や区への転入者増による納税者増によるもの」としています。しかし、実質賃金は5年間連続下がり続けており、給料が若干上がっても増税、物価高で決して区民の暮らしがよくなっていません。さらに、監査委員の意見では、区民税、保育園負担金等の収納対策を公平性の確保の観点として強化していることを評価し、「差し押さえを視野に入れた滞納対策や、委託による収納対策を進め」としています。暮らしはよくなっていないのに、収納対策強化を強め、また、新たな歳入の確保になると施設使用料の見直しを評価し、今後も自主財源の確保や行政サービス提供の効率化に向けて、企業が行っている手法を取り入れ、新たな歳入確保を進めるよう提言しています。
これらから見える2015年度決算の歳入の特徴は、「過去最高でしたが、最も伸びたのは消費税の増税によるもの」であり、まさに区民の暮らし、中小企業の営業を苦しめ、区内の景気を落としたものではないでしょうか。
前年度に比べ、高齢者・ひとり親家庭の住み替え家賃助成、小規模事業所健診廃止、指定保養施設を4か所減らし、補助金も3000円から2000円へ減少、がん検診は有料化など、福祉切り捨ての決算となっています。さらに、生活保護費では年金で暮らせない、病気等を理由に高齢者世帯が増えています。エアコンが買えない、電気代がかかるので使えないなど熱中症のおそれがありました。命綱である在宅酸素療法をしている方からは1か月2万円以上かかる電気代の支援を求めています。高齢者からは、1回200円で年間36回、公衆浴場が利用できる70歳以上の対象の「いきいき高齢者入浴事業」を江戸川区、江東区のような回数制限をなくしてほしい。障がい者の方々からは、要望をあげても「予算がない」と言われ何も言えない。そんな声があります。
消費税増税により地方消費税交付金のうち社会保障財源分として区には76億2129万円がありました。しかし、福祉費は予算現額・支出済額とも前年度比で52億円余の増で社会保障財源分の76億2129万円を大きく下回り、不用額も約34億円も出しています。
●区民の生活の実態を見るならば年度途中に福祉の充実のために、積極的に補正予算を組み区民の声に応えることができたのではないでしょうか、お答えください。
【松原区長】
福祉の補正予算のご質問についてですが、平成27年度当初予算では、待機児童解消に向けた対策強化等、産みやすく育てやすい環境を整備するとともに、高齢者の在宅生活を支える24時間サービスの拡充等、地域包括ケア体制の構築といった社会保障に関する施策を積極的に進めてまいりました。これらの施策に取り組むために、地方消費税交付金のうち社会保障財源分については、社会福祉や社会保険、保健衛生といった、消費税法に規定する社会保障施策に要する経費の貴重な財源として充てているところです。また、平成27年度は、特別養護老人ホームの整備や待機児童対策等において、次年度の当初予算を待つことなく、積極的に補正予算を編成し、区民ニーズに応えてきたところです。こうした、時機を捉えた的確な対応によって、平成27年度も、区民の暮らしを支える様々な取り組みを着実に進めたものと考えております。
【清水議員】
防災では「総合防災力の強化で、倒れない・燃えない街づくりを推進し、70万区民の安全・安心を守る役割を確実に果たす」の目標でした。命を守るセット事業の全戸配布は大変評価できますが、自助努力を第1として、「避難所にはなるべく来ないように」とし、自分の命・財産は自分で守ることを最優先としています。高齢者、障害者など災害時要援護者対策の推進で家具転倒防止器具支給は155件でした。更なる努力が求められます。また、家具転倒防止取り付けに行った業者から「家具より先に家が壊れそうなところに住んでいる高齢者が心配」との声がありました。旧耐震のマンションの問題も深刻です、住民の高齢化が進んでいる場合も多く更なる丁寧な支援が求められています。
●旧耐震の建物の耐震化について区は把握しているはずです。殊に高齢者、障害者世帯には更なる手立てが必要です。耐震化工事の上限額引き上げ、助成率拡充を「命を守る」対策として求めます。お答えください。
【松原区長】
耐震化工事の助成に関するご質問ですが、平成18年度に耐震化助成事業を導入して以来、区民ニーズに合わせて制度を改善してまいりました。最近の大きな改正としては、平成26年度に、費用を分かりやすくしてほしいという区民の二一ズに合わせ、木造住宅の耐震診断料を定額化するとともに、助成上限額も引き上げています。更に、分譲マンションの改修のための助成上限額を1,000万円から3,000万円に拡大しました。こうした取り組みにより、平成27年度までの実績として、木造住宅では約700棟、分譲マンションでは18棟750戸の耐震化に繋がりました。更に本年度から、建物全体の耐震改修工事を行うことが困難な高齢者や障がい者の方に対して、寝室など特定の部屋の強度を高める「耐震シェルター」の設置助成を、所得にかかわらず全ての高齢者や障害者の方が利用できるように対象者の範囲を拡大いたしました。引き続き、様々なニーズに応じた助成事業をご紹介し、利用につなげていくことで、区民の命を守る安心・安全なまちづくりを進めてまいります。
【清水議員】
次に、「保育園待機児童解消に向けた対策強化など、生みやすく育てやすい環境を整備する」という目標はどうだったかについてです。区は待機児童数を154人と発表しわが国で最も削減できたとし、当初予算で420人の保育サービスの拡充をするとしました。しかし認可保育園に申し込んで入れなかった児童数は減ることがなく、党区議団は2015年度予算の私立認可保育園3施設では不十分と待機児童ゼロを目指して、認可保育園20か所約1600人分の予算の編成替えとして提案したような対策が必要だったことが明らかになりました。
また、0,1,2歳対策を強めた結果、3歳児の待機児童の問題が深刻です。幼稚園があるではないかの意見がありますが、保育園と幼稚園は設置目的が違います。就学までの認可保育園の増設がどうしても必要です。
3月に区内の無認可保育所で生後6か月の女児が死亡した痛ましい事故がありました。認可保育園に入園できず、やむをえず無認可保育所に預け、高い保育料のために母親は夜間も働いたそうです。「認可保育園に入園できていたら」と思わずにはいられません。このような事故は2度と起こしてはなりません。
●認可保育園に入園を希望しているが入園できずやむを得ず小規模、認証、保育ママ等で保育を受けている児童、そこにも入れず育休の延長、等々区は把握しているはずです。新年度は、認可保育園の不承諾数を待機児童として対策をすべきです。お答えください。
【松原区長】
認可保育園の不承諾に基づく待機児対策についてのご質問ですが、厚生労働省は、平成28年4月1日時点での保育所等の定員や待機児童の状況を取りまとめ、9月2日に公表いたしました。新聞報道では、国の待機児童にも数えられていない潜在的な待機児童(隠れ待機児童)の記事もありますが、その中には、既に認証保育所等を利用している児童数も待機児童として含まれております。区としては、自治体が独自に補助を出している認証保育所等は、都内特有の状況に応じて設置されており、大都市における待機児対策として、非常に有効な施策であると認識しております。現在、当初計画を500名かち600名に修正し、来年度に向けた保育所整備を進めております。引き続き、待機児解消に向けて、認可保育所をはじめ、小規模保育所や認証保育所などの多様な保育サービス基盤の整備に努めてまいります。
【清水議員】
一方で、積立基金現在高は1192億9298万円となり前年度比91億8404万円と過去最高でした。特別区債は344億5400万円で前年度比62億7897万円の減となりました。区民の声に応えず区の借金は減らし続け、積立金は増やし続けています。そして、街づくりは大きく進み、大型開発事業計画も着々と進んでいます。京急蒲田西口周辺地区は決算額44億5640万円です。再開発ビルは地下1階から3階までが商業施設、4階から20階がマンションで大手不動産が売買したが、管理費も高く区民の約6割が戻れません。駅前はきれいなりましたが、立ち退き等で解体した多くの商店は高いテナント料のためにビルの中で商売をする店はごくわずかです。京急糀谷駅周辺地区開発は決算額で15億2021万円、駅前広場、2棟のビルの建設工事が行われています。京急蒲田駅西口同様にマンション部分は大手不動産が売買しています。商業施設には大手スーパーが入ることになっており、近隣商店街は影響を心配しています。
そして新空港線整備促進事業です。世界で一番ビジネスしやすい街「東京」の都市環境づくりに大きく寄与するために早期実現を目指すと、5億327万円の積立金と、1531万円の整備促進事業で調査委託、宣伝の幟旗、チラシ等に使われました。区は大田区案として東急矢口渡駅から京急蒲田駅付近までの案を発表しました。しかし、東急多摩川線沿線の住民からは生活環境の悪化に対する不安が増大し、連合町会からは東急多摩川線は地下化してほしいといった要望もでています。本年7月15日国土交通省 東京圏における今後の都市鉄道の在り方に関する小委員会にて、新空港線「蒲蒲線」は、総事業費が矢口渡駅と京急蒲田駅付近までだけでも1300億円とし、矢口渡駅から大鳥居間の費用は1800億円、今まで発表してきた1080億円の倍近い額が示されました。依然事業者が決まっておらず、一体どれほどの大田区の負担になるかはいまだ明らかではありません。大田区民にとっての利便性より「孫、子の代」まで多額な借金を負わされることになるのは明らかです。
●2015年度の積立金は、財政基金54億円余、公共施設整備積立金55億円余、新空港線積立金5億円余が積み立てられ、前年度比で91億円余増合計1192億円余と過去最高となり、大型開発をすすめるための財源確保の決算ではないでしょうか、お答えください。今回の決算からも、2017年度予算は将来のためと積立金に積立てるのではなく、今困っている区民の声に応え、くらし、子育て、営業優先の予算を組むべきです、お答えください。
【松原区長】
平成27年度決算及び平成29年度予算編成に関するご質問ですが、平成27年度は、今後も増加が見込まれる扶助費や公共施設の機能更新など、将来の行政需要に対応するため、計画的に基金を積み立てました。併せて、待機児童解消に向けた対策や高齢者施策の強化、首都直下地震への備え、公共施設の更新やにぎわいのあるまちづくり、様々な産業振興施策など、区民の暮らしを支える各種事業を着実に進めてまいりました。平成29年度の予算編成にあたっても、4つの重点課題である「未来を拓く子どもたちや若者の成長を支える取り組み」、「誰もが健康でいきいきと活躍できるまちづくり」、「災害に強く安全で安心な生活基盤の確立」、「地域の資源と強みを活かし、国際都市おおたの成長を牽引する取り組み」に特に優先的に取り組むことにより、区民福祉のより一層の向上につなげてまいります。
【清水議員】
<公共施設白書 公共整備計画>ついて質問します。決算額1019万3163円で作成した大田区公共施設白書、大田区公共施設適正配置方針は、区民の財産である公共施設の多くは老朽化により同時期に改修新築が集中する。人口減少、区民税等の税収減が予想されるため、積立基金を確保し、複合化、多機能化、集約化し、施設の建設や開発の際には民間資金活用で効率化を図るとしています。特に小中学校は複合化と高層化、特別出張所は多機能化を図るとしていますが、区民の財産である公共施設が不便になり、大規模化となり建設工事等は大企業に仕事が回ることになります。志茂田中学校の建て替えの例では新蒲田福祉センター、老人いこいの家等の複合化で大規模施設となったことで、工事の契約は準大手企業が代表のJVとなり、150社の下請けのうち区内業者には2%、3社しか仕事がまわりませんでした。また大田総合体育館は多額の区民の税金を投入し運営は民間に任せています。ラズ大森の例では区が出張所、図書館の使用料を支払っていますが、使いにくいの声が増加しています。羽田、西糀谷老人いこいの家の閉鎖は代替施設が遠くなり、歩いていけないなどの高齢者から楽しみを奪うことになりかねません。総務財政委員会が視察に訪れた福岡市は「すでにあるものは活かす」とアセットマネジメント計画を策定し、これまでは減価償却の考え方から築40年から50年で建替え等を実施してきたが、施設の長寿命化の設定を鉄筋コンクリート造りは70年、木造は40年~50年、軽量鉄骨は25~50年とし、アセットマネジメント推進部68名のうち60名が建築、電気、機械の技術職で、市有建築物等の整備及び維持管理にかかる技術指導及び技術支援をしています。大田区の場合は築40年以上経過した施設を老朽化とし、建て替えおよび大規模改修にかかるコストを今後45年間で総額6047億円 年134億円と試算していますが、メンテナンス等の長寿命化でコストを削減できるのではないでしょうか。多額の税金投入する大規模化ではなく身近な公共施設を大事に長持ちさせる計画に見直すことです。
●適正配置方針を実現するための5つの柱に「適正な維持管理、長寿命化による財政負担の平準化およびライフサイクルコストの削減」があります。メンテナンス・長寿命化に対応する現在の区の体制は不十分と言わざるをえません。福岡市のように専門職を配置しての強化を提案します。その際 区内事業者に協力を得ることも検討すべきです。また、公共施設の建て替えや大規模改修に、世代間の公平の観点から、区債の十分な活用を検討することを求めます。決算では区債はマイナス補正しています。お答えください。
【松原区長】
公共施設のメンテナンス・長寿命化の体制強化に関するご質問ですが、区では、すでに公共施設の整備に係る専門の職員を配置し、業務に当たっております。さらに、「大田区公共施設適正配置方針」を着実に推進する体制を整備するため、本年4月に施設整備課と施設保全課を設置しました。施設整備課は公共施設の適正配置や長寿命化の計画を策定し、施設保全課では計画を踏まえた公共施設の維持・保全を実施することで、それぞれの施設の実情に応じた適切な管理を’行うこととしています。今後も、両課が連携し、再配置や長寿命化などの様々な手法を実施することにより、公共施設の適正な維持管理に努めてまいります。
区債の活用についてのご質問ですが、区債については、今後一層進展する少子高齢化への対応や、老朽化した公共施設の改築などの行政需要に応えるにあたり、現段階では、基金の積立とともに、将来に向けた発行余力を十分蓄えておく局面と認識しております。これまでも区債の発行については、その時々の行政需要や財政状況等をみながら、負担の公平性や平準化等にも配慮し、対応してまいりました。今後の区債の活用にあたっても、中長期的な視点を持って、適宜適切に判断してまいります。
高齢者の尊厳を切り捨てる介護から、安心の介護について
【清水議員】
高齢者の尊厳を切り捨てる介護から、安心の介護について伺います。先日90歳の女性から、50歳の寝たきりの息子さんの特養ホームの入所をまっているが、「第1希望の特養ホームの順番が25番であるが、いつになったら入れるのか」と相談がありました。区の特別養護老人ホームの現状は2015年度13施設1464床で、2016年度には3施設195床開設し、さらに矢口3丁目に30床、千鳥2丁目に84床程度の整備計画を進めていますが、一日千秋の思いで入所を待っている区民の実情に見合った計画とは言えません。今入所している誰かが亡くなるのを待っているのが実態です。待機者数が、特養ホーム優先入所第一次評価結果2015年3月と2016年3月と比較すると1500人から1360人と減少したように見えますが、これは国の介護制度の改悪によるものです。要介護1,2は特養ホームに申し込みはできなくなりました。区はパンフレット「みんなの介護保険」に「要介護1,2の方も生活が著しく困難な場合は特例的に入所できる」と説明していますが、要介護1が83人から25人へ、要介護2が180人から74人へ減少、明らかに減少しており入所の制限があったと思われます。そしてどうせ入れないからと申し込めない方も大勢いらっしゃいます。
東京都高齢者福祉施設協議会のアンケート調査によると、待機者は14・4%減少、61・2%の施設が減少の原因は入所基準を要介護3以上とされたこと、また利用料の2割負担の導入、食費・居住費を補助する「補足給付」の縮小によって入所のハードルが上がったとしています。また視覚、聴覚障がいのある方々は特養ホームで安心して暮らせるのか不安を抱えています、特養ホームの質と量の拡充が必要です。現在の計画件数では事態に見合っていません。世田谷区では2025年度までに1000人分の整備をする目標を明らかにしています。世田谷区の目標を知った区民から「大田区でも何としても特養ホーム建設を進めてほしい。」の声が上がっています。特養ホーム建設の課題は土地の問題です。
●土地の確保で真の待機者数に見合った特養ホーム建設計画の見直しが必要です。お答えください。
【松原区長】
特別養護老人ホームの整備計画についてのご質問ですが、在宅生活が困難になった高齢者が、それぞれの状況に応じて必要な介護サービスを受けられる特別養護老人ホームを整備することは重要な課題と認識しております。区では、第6期介護保険事業計画において、西馬込2丁目に30床、萩中2丁目に81床、大森西4丁目に84床の特別養護老人ホームを、今年度、開設いたしました。現在、矢口3丁目の30床について整備を進めており、さらなる整備に向けて積極的な取り組みを推進しております。今後とも、特別養護老人ホームの整備にあたっては、来年度策定の「第7期介講保険事業計画」の中で、適切に検討してまいります。
【清水議員】
また5月1日開設予定であった大森西「特養ホーム花みずき」で介護職員が集まらず開設が1か月延期となったことは、深刻な介護労働者不足を再認識しました。
●特養ホーム等の介護施設の建物を作ってもそこで働く労働者がいなければ事業はできません。介護制度の処遇改善の報酬は労働者には十分に届きません。介護労働者への支援として保育士等の家賃補助制度と同様の制度の実施をすべきです。お答えください。
【松原区長】
介護人材の育成・確保に向けた支援策についてのこ質問ですが、介護人材の育成・確保は、区としても、喫緊の課題と認識しており、重要事業の一つに位置付けております。そのため、介護人材確保の施策として、今年度は、区内介護事業者、ハローワーク大森と区が連携して、毎月1回、ハローワーク大森を会場に「おおた介護のお仕事定例就職面接会」を開催するとともに、年5回の予定で、「介護就職セミナー」を実施し、新たな介護人材の掘り起しを行っております。また、介護職員の育成・離職防止対策として、特に離識率が高いといわれる就労して1年未満の介護職員に対するフォローアップ研修等、介護事業所に従事する方々に対する育成研修を実施しております。東京都においては、今年度、福祉避難所の指定等を受けている介護保険事業所を運営する事業者に対し、職員宿舎の借り上げに必要な経費の一部を助成する事業を開始しております。区としましては、こうした国や東京都の動向を踏まえ、引き続き適切に対応してまいります。
【清水議員】
区が2016年度から移行している<新総合事業について>伺います。これまでの制度と大きく違うのは、今までの要支援1,2の介護は介護保険制度での訪問型はヘルパー、通所型はデイサービスなどの利用から、区市町村財源の新総合事業に移行するということです。介護が軽度の人には丁寧な審査会での介護度の決定から、チェックリストで仕分け要支援者にもなれない方も出ます。地域包括支援センターにケアプランが任されます。国の方針は、軽度者は地域でみる、重度者は専門職を有する事業者でと誘導し、要支援1・2を介護給付から外そうとしています。現行の訪問型、通所型と、多様な緩和した基準によるサービス、住民主体によるサービス等にわかれ、さらに非該当や非申請の人と同じ「自立した生活が送れる元気度アップの一般介護予防事業」に振り向けるということになります。大田区2016年2月の介護保険業務状況で介護保険認定者31、015人のうち、要支援1 4、165人、要支援2 4、566人、認定者の約28%です。これらの方々が介護サービスを今まで通り受けられなくなる可能性があります。国は新総合事業」について、NPO、ボランティアなどの「多様な主体による多様なサービスの提供」を推進するとしていますが、<ボランティアの育成>については、現場の現状は研修をしても人が集まらないといわれており、絶対数が足りないと心配されています。
例えば、老人いこいの家を改修したシニアステーションは一般介護予防事業です。浴室はシャワーに改修する計画で入浴サービスを受けたい人はムリであり、車の送迎もありません。事業者とボランティアで事業が行われることになりますが、事故がおきた際の責任など、利用者、ボランティア、事業者とも不安があります。生活支援は、町会、自治会等のつながり所謂「ご近所さんの助け合い」や有償ボランティア、シルバー人材センターによる「絆事業」等の活用が検討されていいますが、従来のヘルパーによる訪問サービスは、ただ、掃除、洗濯、調理、買い物だけでなく、利用者の身体の変化等にも気を配ることができる介護のプロが行っていたのです。良いサービスを受けたい場合は自己負担でと、民間サービス会社が営業を始めています。要支援になれなかった人はもちろんですが、
●要支援1・2と認定された人が、従来の介護保険制度のサービスと同等の介護サービスを受けられるようにすべきです。お答えください。
【松原区長】
介護予防・日常生活支援総合事業についての質問ですが、介護予防の取組みにより、高齢者の願いである、いつまでも健康で元気に暮らせる施策を区が推進していくことは、重要であると認識しております。現在、区は、国から示された訪問介護・通所介護サービス事業者をみなし指定できる経過措置を活用し、総合事業への円滑な移行を行っています。この事業のサービスは、地域包括支援センターの最適なケアマネジメントにより、利用者の状況に応じて、専門的なサービスも従来通り提供しております。区は、介護保険法の趣旨に基づき、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域で、自立した日常生活を営むことができるよう、引き続き適切に対応してまいります。
【清水議員】
また、新総合事業の場合の報酬が今後どうなるか介護事業者は不安を抱えています。東京商工リサーチの調査によると、今年1月から8月までの老人福祉介護事業者の倒産件数が62件に達し、過去最高を記録した昨年76件を上回る勢い。介護報酬が特養やデイサービスで、2015年4月に大幅に引き下げられたことが影響、特に10人以下の小規模デイサービスは報酬の下げ幅が大きく影響が顕在化しているとのことです。区内の介護事業者からは、「介護労働者の確保が難しい、今後 制度がどうなっていくのか怯えながらやっている」との声を聴きます。総合事業の給付額が低く抑えられれば、要支援1,2の軽度のサービスは受けない事業者もでてくるでしょう。さらに介護事業所が減れば、利用者は介護難民化してしまいます。
●区の責任として行われる新総合事業において、介護事業者にはサービスに見合った単価の保証とすること。介護事業者の撤退や倒産廃業を防止することを求めます。お答えください。
【松原区長】
介護予防・日常生活支援総合事業におけるサービス事業者についてのこ質問ですが、現在、区の総合事業は、介護保険の予防給付サービスと同じ報酬単価で訪問型・通所型サービスをスタートしております。また、区は、専門性を要する介護事業の関係者と協議を重ね、より質の高いサービスやケアを引き続き提供できるよう準備しております。区としては、今後も引き続き地域包括ケア体制の構築を目指し、適切に事業を進めてまいります。
【清水議員】
次に介護認定が下がった区内で一人暮らし90歳女性の事例です。退院後に要介護4から、要介護2へ、そして今回さらに要介護1に変更になった通知が松原区長名で届きました。認知症はありませんが股関節骨折後遺症等々で歩行することはほとんどできませんが、気丈に室内をはいずって掃除もして生活しています。屋外にはシルバーカーにしがみつき、以前の2倍3倍以上時間かけて近所に買い物に行っています。ヘルパーは週1回しか入りません。認定調査員の心無い言動に傷つき、「私のような年寄りは死ねと言われているようだ。大田区で生まれ育ち、戦争で大変な苦労をした。結婚し子どもを産み育て、夫の介護を5年以上して見送った。人様に迷惑かけては申し訳ないと思っているが、このようなみじめな体になり情けない。」。「認定調査員は介護の認定を下げることを優先しているのか、区の指示なのか「早く死にたい」と涙ながらに訴えています。党区議団には、この女性のように「介護認定が下がった」という相談が多く寄せられています。
●認定調査員は高齢者の実情をしっかり把握し、審査会においてはそれに基づいて判定をしていただきたい。高齢者の尊厳を守り一人一人にあった介護サービスが受けられるよう、区は保険者としての役割を果たすことを求めます。お答えください。
【松原区長】
要介護超定についてのご質問ですが、要介護認定は、介護サービスを必要とする方のいわゆる「介護の手間」を審査判定するものです。適正に要介護認定を行うことは、介護サービスを過不足なく提供することにつながります。区としては、日頃から、区の認定審査会の審査判定が、一律の基準に基づき、バラツキのない公平な結果となるよう、認定審査会委員や認定調査員への研修、模擬審査を実施するなど、認定の適正化に努めております。そのことが、介護保険制度の持続可能性を高め、高齢者の尊厳を守ることにつながるものと認識しております。
一人ひとりの子どもが大事にされる、子育て支援について
【清水議員】
<認可保育園保育料改定について>伺います
区は10年間保育料について検討してこなかったことを主な理由に、認可保育園保育料の「改定」と言いながら、65%が値上げ1億7千万円の負担増となる計画を発表し今定例会に議案提案しています。まず初めに負担能力に応じた階層の見直しにより、これまでの27階層が30階層に拡大されましたが、最高限度額を引き上げ、更に細分化し応能負担を進めることを求めておきます。計画では「保育料の階層区分における税額幅の見直し」として、各階層の税額幅をできる限り均等にすると、3歳以下の新C11階層以上すべてが値上げとなり、最高で月8300円もの大幅な値上げになっています。これでは家計に大打撃となる負担増で、子育て支援に逆行するものです。改定の大本の考え方は「公平性」と「受益者負担」です。保育サービスを利用していない家庭との比率を示して公平性を強調しています。そして0歳児は1,2歳児と比べて2倍以上の経費がかかり、高額となるとしていますがとんでもないことです。区民の間に分断と対立を持ち込み、行政水準を引き下げることは行政が絶対にやってはいけないことです。0歳児保育の配置基準は子ども3人に保育士1人は法令に基づくものです、看護師、栄養士など配置も都の基準を遵守して行われています。経費がかかるのは当然です。負担の公平、受益者負担を理由に0歳児保育料を単独設定し大幅値上げとなれば、子どもを産むことをあきらめざるを得ない世帯も出てきます。「少子化対策の視点」と相いれないものです。
●0歳児保育料を単独設定することに反対し撤回を求めます。お答えください。
【松原区長】
0歳児の保育料を単独設定することに関するご質問ですが、この度の改定にあたり、「大田区保育料・学童保育料検討委員会」を設置し、多様な角度からご議論いただきました。検討委員会がまとめた報告書では、限られた財源の中、少子化の進展や子どもの貧困対策などの社会的課題に対して、的確に対応していくためには、定期酌に保育料の見直しを検討する必要があるとされております。改定案では報告書で示された方向性を踏まえ、.園児一人あたりの保育料が他の年齢児クラスに比べ高い0歳児については、受益と負担の関係性の支援(視点)から単独設定といたしました。なお、設定にあたっては、家計への影響に配慮し、顕著に高くならないようにしています。
【清水議員】
2人目の児童に対する保育料減額幅の拡充と区市町村民税均等割のみ世帯の保育料の低減等、についてです。党区議団の提案が実り今回初めて「子どもの貧困対策の視点」が入り、他区より高かった区市町村民税均等割課税のみの世帯の保育料を低減したことと、2人目の子どもに対する保育料軽減額幅の拡充を行ったことは評価します。しかし、年齢が離れていて同時期に保育園に在園していない場合年収360万円を超えていると減免になりません。年収にかかわらず減免が求められます。
●同時期に第2子以降が保育園に在園していない場合も減免することを求めます。お答えください。
【松原区長】
第2子以降の保育料の減免についてのご質問ですが、この度の改定では、同一世帯で認可保育所・小規模保育所に複数の児童が在籍している場合の2人目の児童の保育料を半額から6割減といたします。また、幼児教育の段階的無償化に関する改正として、多子世帯に係る特例措置の拡充を図ります。具体的には、年収約360万円未満の世帯の保育料認定については、第1子の年齢制限を撤廃いたします。加えて、年収約360万円未満のひとり親世帯の保育料については、第1子を半額に、第2子以降は無料にいたします。いずれも、多子、低所得世帯に配慮した内容となっております。
【清水議員】
学童保育料は、2人目以降の児童に対する見直しと、低所得世帯への負担の軽減を見直しは軽減策であり評価します。しかし、通常利用保育料の見直しと夏休み利用保育料の見直しは負担増となります。また学童保育の施策は、退職不補充で職員を採用せず、非常勤化、民間委託などで後退が問題です。学童保育施策の拡充・改善のために職員の新規採用を求めます。
区は、10年間保育料見直しをしてこなかったことも保育料改定の理由にしていますが、保護者の実態調査をしていません。保育料の値上げがどれほどの負担になるか把握しているのでしょうか。年収200万円以下の労働者が1000万人を超え、実質賃金が5年間連続後退し、個人消費が2年連続後退している中、保護者の生活状況は、10年前と比べ良くなっていません。子どもの6人に1人が貧困という中、「子どもの貧困対策」は大事な視点としながら利用者世帯の実態調査もせず値上げ先にありきは認められません。次に、大幅な負担を課すにもかかわらず、区民への説明は不十分であるという点です。区民説明会を2回開き、パブリックコメントもやっているとしていますが、忙しく働き、子育てをしている保護者がどれだけ知りえるでしょうか。大幅な改定するのであれば、保育園ごとに区が出向いての丁寧な説明が必要です。説明会の場で参加者から「全保護者に徹底するべき」と求められたのち「大田区保育園・学童保育料改定の考え方について」という資料を1部玄関に置きました。これでは説明責任を果たしたとは言えません。パブリックコメントは、異例の227通という多くの意見が寄せられましたが、中には「値上げは苦しいが、保育士などの給料を上げ、保育園がよくなるのなら賛成」との意見もあったように、誤解している区民もいます。また区の資料を見ても、来年度の階層がどこになるのかも大変不明瞭です。そもそも、保育料は児童福祉法56条で「家計に与える影響を考慮して」としています。かかる経費は、国、都、区が負担すべきです。ところが、国が財源を一般財源化し、削減したのです。それを受益者負担として保護者に求めることは間違いです。住民の福祉増進という自治体の役割を果たすべきです。
●区民へ十分な説明もなく、「公平性」「受益者負担」を押し付け、65%の値上げ1億7千万円の負担増、となる「保育園・学童保育保育料の改定」は中止することを求めます。お答えください。
【松原区長】
区民への説明についてのご質問ですが、改定にあたり、区民説明会のほか、認可保育所、小規模保育所、児童館施設の全ての保護者の方々、約15,000人に対しパブリックコメントの意見募集用紙を配布し、300件を超えるご意見をいただきました。中には、待機児童問題の解決を望み、改正に賛成するご意見がありました。保育料が増額となる対象者が65%とのことですが、これは、現状の利用者を改定案に照らし合わせた場合の試算です。施行予定の来年9月の保育料の切り替えでは、あらためて28年分の世帯収入に基づき見直します。世帯によっては、二人目の減額やひとり親など低所得世帯に対する軽減措置により、保育料が下がるケースもあります。引き続き、待機児童の解消に向け、保育の質を確保した保育サービス基盤の拡充や放課後児童の居場所づくりなど、子育て支援環境の充実に取り組んでまいります。
【清水議員】
<子どもの貧困対策>の重要な施策である就学援助について質問します。党区議団は生活保護基準が1.2倍では、救えない世帯の子どもたちのために就学援助基準の引き上げと、学習に欠かせない眼鏡購入費も認めることなどの要望を上げ続けてきましたが、いまだ区は改善の方向を示していません。しかし、この間、子どもの貧困対策が進む中で、国は就学援助の入学準備金について改善策を出しています。本年5月24日の参院文教科学委員会で日本共産党田村議員の質問で入学用品費が小学校入学20470円、中学校23550円は実態と大きくかい離しており引き上げが必要であることと、入学準備金は入学前に支給することを求めたところ、国は改善策を考える必要があるとし、入学準備金は「児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給できるよう十分配慮するよう通知しているが、市町村に引き続き働きかけていく」と答弁しています。文科省初等中等教育局長は2015年8月24日付で「平成27年度要保護児童生徒援助費補助金の事務処理について」通知で、「入学準備金は児童生徒が援助を必要とする次期に速やかに支給できるよう十分配慮する」としていますが、生活保護世帯だけでなく就学援助対象児童生徒にも同様の適用が広がりつつあります。すでに八王子、板橋、などで実施され、足立区では中学入学時については見直しの検討がされています。区立小中学校に入学する際の費用の増大は子育て世代にとって深刻です。殊に中学校では、制服、体操服、カバン、靴、上履きなど、「7万円以上もかかり驚いた」との声があります。中学校入学時に必要な制服等の購入は小学6年生の2月から3月です。中学1年生への援助ではなく小学6年生への援助とすれば問題なく支給できるはずです。現在小学6年生の就学援助認定者数は905人です。
●就学援助の拡充生活保護基準の1・3倍に拡充すること、中学校、入学時の入学準備金の前倒し支給を求めます。お答えください。
【津村教育長】
就学援助基準、及び就学援助費の前倒し支給に関する質問にお答えします。本区の生活保護に準じる世帯の認定基準については、生活保護基準の1.2倍未満の世帯を対象に支給しております。平成25年度から、生活保護基準が段階的に引き下げられた一方で、区では、生活保護基準の見直しが就学援助制度に影響しないよう、暫定的に、引下げ前の生活保護基準に据え置いています。現行の生活扶助費等に対応する認定倍率につきましては、社会経済状況等を踏まえながら、今後適切に判断してまいります。また、新入学用品費の前倒し支給については、受給資格の確認や支給方法、あるいは他自治体への転出入があった場合の二重支給の問題など課題があると考えております。今後とも、援助が必要な児童・生徒に速やかに支給できるよう、取り組んでまいります。
騒音、大気汚染、事故の危険性が増す羽田空港機能強化について
【清水議員】
羽田空港機能強化について伺います。2020年から実施しようとしている都心上空からのAC滑走路への着陸と、B滑走路からの離陸に伴う増便で羽田空港の機能を強化するというのが「羽田空港機能強化計画」です。7月28日「第4回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」で特別区長会会長である荒川区区長の発言を受けて一部のマスコミは「23区は新飛行経路案を含む計画に合意した」と報道しました。大田区内でも「私たちの知らないところできまってしまったのか?」の声が上がりました。羽田空港対策特別委員会では「大田区は合意したのか」と質問したところ「重く受け止めている」「区民の安心、安全のために今後も意見をあげていく」と答えています。また、8月16日日本共産党区議団は区長へ緊急要望しましたが、「重く受けとめている、空港のある区としてしっかりと意見をあげていく」との対応でした。大田区、区長は今こそ、羽田空港騒音解消のために撤去決議を全会派であげた大田区議会の歴史に立つときです。空港沖合移転に伴い、海から入り、海から出るという約束が、反故にされ続け、現在も過密なダイア編成の中、約2分に1機の離発着が繰り返され、爆音を伴うゴーアラウンドが繰り返され、周辺住民は騒音、大気汚染、事故の危険の中で早朝夜間も安眠も脅かされて暮らしています。我慢も限界です。羽田空港機能強化の余地はありません。撤回しかありません。国土交通省は、自治体の要望や住民意見等を踏まえ環境等に配慮した方策として、羽田地域に多大な騒音や事故の危険性の大きいB滑走路から24機の離陸を4機マイナスの20機へ、A滑走路からの離陸がマイナス1機の21機へ、C滑走路からの離陸はプラス5機に変更案を出しました。これは改善策にはなりません。そもそもB滑走路からの離陸は現在ゼロなのです。
大田区は最も事故の危険性の高い離陸、着陸数分間に位置する区として、区民への説明が十分になされていない中で、今以上に羽田空港の騒音、大気汚染、事故の危険性が増す羽田空港機能強化の計画を受け入れてはなりません。
最後に伺います。
●区民への説明も不十分な中での計画の強行は許されないことを国に求めるべきです。お答えください。
【松原区長】
国による羽田空港機能強化提案に関するご質問です。第4回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会で国は、「羽田空港機能強化に係る環境影響等に配慮した方策」を示しております。これによりますと、運用の工夫によるB滑走路からの出発機の便数削減のほか、環境対策としては、低騒音機の導入促進や、新たな測定局設置による騒音監視の方策等、安全対策としては、空港でのチェック対策構築等による落下物の未然防止策の強化や、引き続き安全監督に万全を尽くすとともに、羽田空港に乗り入れる航空会社に対して安全対策の徹底を要請するとしております。今回の提案に限らず、区民の安全・安心にもつながる、空港及び航空機の安全確保は、国、航空会社等関係団体・機関が一丸となり、’最優先で取り組むべき課題であると考えております。区としましては、より一層の安全対策、騒音対策とともに今後も丁寧な情報提供を進めるよう、強く国に要請してまいります。
【清水議員】
羽田空港のある大田区が、本当に豊かに安全に暮らせる街となるよう強く要望して質問を終わります。
再質問
【清水議員】
●はじめの大田区非核都市宣言について質問致しましたが、区長の答弁は現在行われている平和都市宣言の取り組みについてのみでした。核兵器の廃絶を呼びかける大田区非核都市宣言についてお答えください。
【松原区長】
先ほども答弁させてもらいましたけど、核のないという言葉をちゃんと入れてるんですね。それから平和憲法を守るということも言っていますから、実質上はそういう形になるんではないかというふうに私は解釈しています。
以 上