(映像は大田区議会ホームページより:23分)
補聴器の購入助成事業は都の制度を活用し拡充することについて
【すがや議員】
日本共産党大田区議団、すがや郁恵です。
まず、補聴器の購入助成事業は、都の制度を活用し、拡充することについて質問します。
高齢になって会話が聞こえにくい、何度も聞き返した、聞こえているふりをしたなどの経験や、補聴器の値段が高くて年金では買えない、片方の耳だけでも20万円以上するなどの声や陳情など、多く聞いてきました。党区議団は、その声を区政策で実現したいと、2023年第1回定例会で高齢者の補聴器購入補助事業の条例提案をはじめ、組替え動議、本会議質問や款別質疑、委員会などで繰り返し求めてきました。
東京都は、2023年までは高齢社会対策区市町村包括補助事業によって、区が補聴器購入費助成制度を実施する場合、その費用の2分の1補助を実施してきましたが、2024年度からは独立した新規事業として、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業の補助が開始されました。2025年度予算には特別に高齢者の暮らしへの支援という項目をつくり、389億円の予算には、高額シルバーパスの利用者負担の4割軽減とともに、補聴器購入費を支援する個別の補助事業を継続しました。
党都議団の補聴器に関する質問に小池都知事は、加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要でございまして、都は今年度の予算から、より多くの自治体で高齢者への補聴器支給などの取組が進みますよう、補助要件の明確化、普及啓発に係る補助の拡充など、支援の強化を図っておりますと答え、補聴器を支給する区市町村への補助金額を、住民税非課税者に対しては1人当たり14万4900円、住民税課税者には半額の7万2450円、その2分の1を区市町村に補助、普及啓発経費、補助率10分の10、に関わる補助の拡充など、支援の強化を図っています。その結果、補聴器補助事業の実施や拡充する自治体が、東京都福祉局長の答弁では、52自治体での事業実施に必要な経費を計上するとしています。都が上限額を13万7000円から14万4900円に引き上げることに伴い、補助を拡充する自治体が相次いでいます。
大田区では、補聴器の助成について、2010年度から他区に先駆けて行っていたので、党区議団は評価していました。2024年度に都の補助金を活用して、対象年齢を70歳から65歳以上に、補助額の上限額は2万円から3万5000円、所得制限ありへと拡充しましたが、近隣区で比較すると、品川区は満65歳以上、上限額7万4250円、2024年度から所得制限を撤廃、目黒区は65歳以上、上限額5万円、世田谷区は65歳以上、上限額5万円、渋谷区は65歳以上、上限額は4万5000円、港区は60歳以上、住民税非課税上限14万4900円、住民税課税者は上限7万2450円と、他自治体が大田区を上回って助成しています。
●そこで伺います。聞こえの問題は人権に関わることであり、格差なく実施していくことが重要です。そのためには、大田区が年齢は60歳以上、所得制限の撤廃や補助額を3万5000円から東京都の上限額、あるいは、せめて他区並みにまで引き上げることを求めます。お答えください。
【福祉支援担当部長】
区では、高齢者の聞こえのコミュニケーション支援の重要性に鑑み、東京都の補助金制度を活用し、令和6年度に高齢者補聴器購入費助成事業について、対象者要件を70歳以上から60歳以上へ拡大し、助成限度額を2万円から3万5000円へと引上げをいたしました。あわせて、健康政策部と連携をいたしまして、聞こえのセルフチェック表と補聴器購入費助成事業の案内を掲載したチラシを作成、活用いたしまして、地域包括支援センター等の窓口で、加齢性難聴の早期の気づきを促し、医療機関での受診勧奨を行っております。これらの取組の効果もあり、令和6年度の助成実績人数は前年度比約160%となってございます。現時点では、対象者の拡充や、助成限度額をさらに引き上げる考えはございませんが、引き続き、本事業の利用状況の推移や他自治体の状況等を注視しながら、高齢者の聞こえに関する気づきを促し、早期の医療機関への受診勧奨を進め、高齢者のコミュニケーション機会の確保や社会参加の推進等に取り組んでまいります。
【すがや議員】
また、東京都の高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業の実施において、費用の半額を区市町村が負担しなければならないことがハードルになっていますので、東京都が10分の10補助することを求めること、千代田区や世田谷区が助成している18歳から59歳までの中等度難聴者に支援することを求めておきます。
次に、東京都の補助事業を活用することについて質問します。
特に介護労働者は低賃金、人手不足が深刻です。足立区では、今年度4月から足立区福祉サービス事業所職員家賃支援事業を始めました。賃貸住宅の費用の一部、3万円を支給することにより、不足している福祉人材の就労支援と定着の促進を図ることを目的とするとしています。区単独予算です。世田谷区は、東京都の高齢社会対策区市町村包括補助事業を活用し、地域密着型サービス事業所を対象とした世田谷区介護職員等宿舎借り上げ支援事業を実施しています。また、東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業は、介護職員や介護支援専門員の居住手当を1万円から2万円支給することも行っています。
●そこで伺います。ケア労働の担い手の定着や人材確保のためにも、他区が行っているように、東京都の補助事業を調査し、活用して、福祉の向上を図るべきと考えます。お答えください。
【福祉部長】
区では、これまでにも大田区介護保険サービス団体連絡会などとの連携による就職相談・面接会を定期的に開催しているほか、令和6年度からは、裾野を広げて人材を確保していくため、介護助手導入支援事業を実施しております。また、支援スキルの向上に向けた研修会や、ハラスメント、メンタルヘルス等に関するセミナーを実施し、区内福祉事業所における働きやすい職場環境の整備を支援することで、福祉人材の定着にも取り組んでおります。これらの取組の一部には、既に東京都の補助事業を活用し、財源の確保に努めております。このほか、人材確保や福祉の仕事の魅力発信に向けたイベント等の開催に当たりましては、東京都が実施している人材確保事業の担当者にご協力いただくなど、東京都との連携による相乗効果を高めながら取り組んでおります。引き続き、補助事業の効果的な活用や、東京都との連携を図りながら、福祉人材の確保定着に向けた取組を推進し、区内福祉サービスの質の向上に努めてまいります。
大田区の仕事を担う委託職員の待遇改善するための公契約条例制度について
【すがや議員】
次に、大田区の仕事を担う委託職員の待遇を改善するための公契約条例の制定について質問します。
日本共産党は、あなたの要求を聞かせてくださいのアンケート活動に取り組みました。その中には、学童保育に関する実態と要望が書き込んであり、切実な内容でした。内容は、教室に80人、長期休暇は90人、学校施設の限られた施設を放課後こども教室と共用している。部屋の狭さと遊び場、トイレなどをぜひ見ていただきたいと思います。校内だけに放課後のこどもたちを集約することの弊害を憂いています。何らかの原因で学校に行き難くなっているこどもにとって、学校以外の地域の中で安心して行ける場所、見守る大人がいる場所が必要です。将来、まちづくりを担うこどもたちを校内だけにとどめないでほしいと思います。不登校はひきこもりにつながることもあり、地域の知り合いや通える場所を大切にしてほしいです。児童館の活用を願います。
さらに続けて、職員の人数、待遇については、多様な家庭環境、外国人子女も増え、丁寧な対応が必要にもかかわらず、対応が難しくなっている現状があります。それに見合った人員の確保と予算が必要と考えます。職員が安心して子育てができる、働き続けられる給与の確保が必要です。就学とともに働くご両親も増え、学童保育の需要は高まっています。学童保育に在籍するこどもの数に見合った施設の確保、学童保育に関わる職員、支援者の待遇改善を視察の上、ご検討をお願いしますというもので、短い文章の中に現在の学童保育の問題点が指摘されています。
学童保育は、保護者が仕事に出ているなど、帰宅しても看護する大人がいない児童に対して、放課後に遊びや生活の場を確保し、児童の健全な育成を図る事業です。もともとは区が保護者の願いに応え、区立で学童保育を行っていたのを、民間にできることは民間にと民間委託が広がり、現在では、多くを委託事業者が担っています。
●そこで伺います。学童保育は、人件費が総経費の8割を占めると言われています。これまで党区議団は予算要望の中に、民間委託で働く学童保育施設職員は低賃金で身分が不安定である、賃金引上げなど処遇改善を求めましたが、区は、国が令和4年2月から放課後支援員等を対象に、収入を3%程度引き上げるための措置を実施するとしたことを受け、賃金改善を行う事業者に対して補助金交付を実施したと回答していますが、個人の収入が増えたという声は聞かれません。区として、学童保育従事者に対する調査を行うべきです。お答えください。
【こども未来部長】
区では、令和4年2月から、学童保育施設に勤務する職員の賃金を3%程度引き上げるため、賃金改善を行う事業者に対して、処遇改善に要する費用を補助しており、学童保育施設職員の処遇改善策を講じているところでございます。学童保育事業者の運営費に係る予算措置に当たっては、運営委託を行っている事業者に対し、見積書の提出を求めるとともに、その内容についてヒアリングを行っております。本来、賃金引上げなどの処遇改善については、事業者自らの責務として行うものでありますが、人材確保の観点からも適正な賃金となるよう、事業者と話し合いながら、人件費を含め、事業運営に必要な経費を算定しております。また、事業者に実施報告を求め、事業予算が適切に執行されているか確認を行っており、改めて区として学童保育施設職員に対する調査を行う予定はございません。引き続き、学童保育施設職員の適正な人件費の確保に努め、安定的な学童保育事業を推進してまいります。
【すがや議員】
また、学童保育だけでなく、保育、介護、障害などで働くケア労働者の賃金の低さは社会問題になっています。今年度、新たに公契約条例を制定した品川区、文京区、豊島区を含め、東京23区では、16区が公契約条例の制定を行っています。賃金条項があるのは15区です。杉並区は新年度予算で労働報酬下限額を1231円から13.7%アップの1400円に、工事、製造の請負契約の下限額は1619円に改定しました。
先ほど区長から、公契約条例についてしっかり検討していきたいという特別な発言がありました。大歓迎です。
大田区は、まず、先行して行っている区の調査を行い、人材確保に課題のある学童、保育や介護、障害、給食、栄養士、図書館、施設管理、整備など、特定業種別の賃金下限額の設定など、賃金条項を持つ公契約条例を制定し、地域経済や労働条件の底上げを図ることを求めます。
地域住民が利用しやすい大森西地域力推進センターについて
【すがや議員】
次に、地域住民が利用しやすい大森西地域力推進センターについて質問します。
先日、大森第二小学校100周年のときに埋めたタイムカプセルを50年ぶりに開封する式が行われ、関係者の皆さんの熱意を強く感じるものです。22年前に大森第六小学校と統廃合し、現在は開桜小学校となっています。
大森第二小学校、大森第六小学校は、それぞれに地域の教育を担ってきた学校の歴史があり、地域住民が大いに悩み、考えた学校統廃合問題でした。大森第六小学校は、地域活動の拠点として、学童保育や児童館機能を置き、運営は、全国でもあまり例のない、地域の町会長がNPO法人こらぼ大森を立ち上げるなど、地域の皆さんが支えてきた施設です。その後、区の方針が、大森西保育園、大森西特別出張所、地域包括支援センター大森、大田区シルバー人材センター大森分室、大田区福祉作業所大森西分場などが入る複合施設計画になり、9月開設の予定で1期工事が進められています。名称は大森西地域力推進センターです。
先日、施設使用料金などの説明会があり、そこに参加した方から声が届きました。大森複合施設の体育館は、2時間半、全面利用で1万6200円です。区立小学校は大体2000円前後で利用できます。社会教育団体に登録していると料金はかかりません。建て替え前のこらぼの体育館もそのくらいの料金でした。区内の小中学校体育館は空いているところが少ないため、利用が難しいのが現状です。値上げは困りますのご意見です。
新しい施設を造ると、施設使用料の激変緩和措置が適用されないため、使用料金が高額になります。受益者負担の適正化と称して、地域住民が利用しにくい施設にしていいのでしょうか。見直しを求めます。
杉並区では、区内に点在する集会施設など、公共資源のネットワークは、区民と共に地域の課題を解決していく拠点であり、施設使用料の見直しを実行中としています。こどもの自習スペースとして、空き室の無料開放を試行、高齢者も多世代も利用しやすいように、高齢者の体育施設の減免を視点としています。大田区同様、施設利用者と未利用者の負担の公平性の確保や、受益者負担の適正化の観点も持つとしていますが、現下の物価高騰の社会状況を踏まえ、現行の使用料を据え置くとしたとのことです。
●そこで伺います。大森西地域力推進センターの説明会に出て、体育施設などの利用料金の高額に、利用するのは無理、この施設を利用するのをやめますなど、区民が利用できない場所になりつつあります。こらぼ大森の成り立ちや歴史からして、大森西地域力推進センターこそ、地域住民と共に課題を解決する努力を区がすべきです。そのことによって憩いの場所になります。お答えください。
【地域未来創造部長】
当センターは、大森西地区における地域づくりの拠点として、各施設が連携し、相乗効果を高めることにより、地域力の向上に寄与することを目的に設置いたしました。体育室等の使用料につきましては、施設サービスを利用する方とそうでない方との公平性を確保するとともに、施設サービスの維持向上を図りつつ、質の高い公共空間を将来にわたり継続的に提供できるよう、施設使用料の基本的な考え方に基づき、適正に算定をしたものでございます。公の施設の性質に鑑みまして、全額納付を基本とはしておりますが、実際の運用では、青少年対策地区委員会や障がい者団体といった公益的な団体や活動などの利用者支援、利用促進等の観点から利用者負担を軽減する減免等を行うほか、1枠当たりの時間設定の見直しなどを行いまして、使用料を抑える工夫等も講じております。
区民活動支援施設「こらぼ大森」は、これまで20年以上にわたりまして、地域住民自ら主体的に運営し、つながり、助け合いなど、区民活動の拠点として育まれてきた経過がございまして、地域づくりを進める上で大きな強みと認識いたしております。現在、施設の事前利用申込みを行っておりますが、地域の皆様からのご期待の大きさを改めて感じているところでございます。新たに生まれ変わる大森西地域力推進センターは、この地で育まれた協働の力を活かしながら、複合施設として有する機能連携を図り、地域の皆様に親しまれる施設として、これまで以上ににぎわいの創出をはじめとした地域づくりに貢献できるように取り組んでまいります。
以 上