(映像は大田区議会ホームページより:36分)
【杉山議員】
日本共産党大田区議団の杉山こういちです。日本共産党大田区議団を代表して質問を行います。
物価高騰から区民の命と暮らしと営業を守る施策について
【杉山議員】
まず初めに、物価高騰から区民の命と暮らしと営業を守る施策について伺います。
日本共産党大田区議団は、5月20日に大田区長に6項目の深刻な物価高騰から区民の命と暮らしを守る緊急対策を求める申入れを行いました。物価高騰は、あらゆる商品、公共料金やサービスに及んでいます。この間、日本共産党が行ってきた区民アンケートには、物価高騰に苦しむ声や、消費税をなくしてほしい、少しでも消費税を減らしてほしいなどの声が数多く届いています。低所得者ほど税の負担率が重く、応能負担に反する消費税に対して、日本共産党は導入当初から反対してきました。さらに、税率が10%になったことで、中間所得層にまで消費税の負担が大きくのしかかっていることが共産党の調べで明らかになっています。
消費税を一律5%に減税すれば、平均的な勤労者世帯で年間12万円の減税になり、食料品のみゼロにする場合の2倍の減税になります。税率を一律5%にすれば、小規模事業者やフリーランスを苦しめているインボイス制度の口実もなくなり、この制度をきっぱり廃止できます。減税効果はそれにとどまらず、物価が下がることで買物がしやすくなり、経済の好循環をつくり出すことができます。1回限りの給付や、一、二年間だけの消費税減税を提案する動きがありますが、それだけでは長引く物価高騰から暮らしを守ることはできません。日本共産党は、消費税を緊急に5%に減税し、さらに廃止を求めます。
そして今、消費税減税のための財源をどうするかが問われています。日本共産党は、大企業や富裕層ばかりを減税してきたゆがんだ消費税の仕組みを元に戻すこと、大企業の法人税率を28%に戻し、1億円の壁を取り払って、富裕層も所得に応じた税金を納めることなどで消費税の引下げに必要な15兆円を確保し、5%に減税できると提案しています。消費税減税は赤字国債でやると主張している政党もありますが、今よりさらに国債を発行すれば、インフレを招き、さらなる物価高騰になりかねません。金利上昇により借金返済の利子が上がって暮らしや営業を圧迫します。また、消費税は社会保障のためと言われていますが、社会保障の財源は消費税ではなく、所得税や法人税も社会保障の財源だということが、6月6日の衆議院の予算委員会の中での田村委員長の石破首相への質問で明らかになりました。社会保障を削ることなく消費税を減税することはできるはずです。
党区議団の2025年度予算編成に関する要望書で、消費税を10%から5%に減税するよう政府に求めることへの区の回答では、「国は、消費税引上げによる増収により、高齢者も若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換し、同時に財政健全化も確実に進めるとしております。こうした中で、社会保障制度に充てていくための安定的財源である消費税は重要であると考えております。区は引き続き、国や東京都の動きはもとより経済動向にも注視しながら、区民の皆様の暮らしを第一に考えた区政運営を行ってまいります」と述べていますが、利益がなくとも払わなくてはならない消費税が中小業者を苦しめています。直ちに対策が必要です。
●そこで伺います。区民の皆様の暮らしを第一に考えた区政運営と言うならば、物価高騰からどうやって区民の暮らしを守るのか、大田区は、地方自治体の役割である住民の福祉の向上のための施策が求められます。時事通信の5月の世論調査では、国民の7割超が消費税の減税を求めています。消費税は低所得者ほど負担が重くなる逆進性の強い税金で、所得の再配分としての役割を果たす社会保障の財源としてはふさわしくありません。社会保障の財源は所得税や法人税を充てるべきです。国に対して消費税を緊急に5%へ減税するよう大田区から求めることです。お答えください。
【鈴木区長】
消費税減税に向けた国への働きかけに関するご質問ですが、消費税は我が国の社会保障制度を支える重要な財源であり、その在り方については国において慎重に検討されるべき事項であります。また、消費税は国税として全国一律に課されるものでありますが、その中から一定割合が地方消費税交付金として地方公共団体に交付され、福祉施策などを推進するための貴重な財源となっております。地方消費税の清算基準の見直しはもちろん、ふるさと納税をはじめとする不合理な税制改正等により、区の歳入は年々減少しております。加えて、地方消費税交付金の原資である消費税が減税された場合、結果として医療、介護、子育てなど社会保障施策をはじめとした公共サービスに影響を及ぼすおそれがあります。区はこれまでも、区民生活や地域経済への影響を注視し、特別区財政に影響があるものについては、特別区長会としても必要に応じて国や都に要望を続けているところでございます。国に対して消費税減税を緊急に求めることは考えておりません。
【杉山議員】
次に、水道、電気、ガス、燃料などの水道光熱費の負担についてです。電気代では、2024年度と比較すると、標準家庭で毎月147円分の負担増となります。物価高騰を受け、夏場の電力需要が伸びることから、5月27日、政府は7月から9月使用分の電気・ガス料金に対する支援を行うことを決定しています。
●東京都が夏期4か月間の水道基本料金を無料にすることを熱中症対策などの一環として始めます。大田区は福祉施設などに水道光熱費の支援を行っていますので、区民にも都の施策に上乗せするなど、区独自で水道光熱費の支援策を求めます。お答えください。
【鈴木区長】
水道光熱費への支援策に関するご質問ですが、物価高騰による影響が続く中、特にエネルギー等の価格高騰が家計に与える影響は非常に大きいものであり、区としても深刻に受け止めております。区はこれまで、国や東京都の動向を注視しつつ、区民の皆様の生活を守り、地域経済の活性化を図る対策を、時期を逸することなく迅速かつ的確に講じてまいりました。他方、国においては、総合経済対策の一環として、今年1月から家庭の電気使用量が最も多い3月までの電気・ガス料金を支援するとともに、今年4月の内閣総理大臣記者会見において、暑くなる夏への対応として、7月から9月の3か月について、電気・ガス料金の支援を実施する旨の発表がございました。
水道光熱費の支援については、電気・ガス料金に対する国の支援策や水道料金に対する東京都の支援策による効果を見極めるとともに、その必要性や有効性、財源の確保、公平性の観点など、多角的に検討する必要がございます。限られた財源の中で、真に支援を必要とする方々に対して効果的かつ効率的な施策を展開するため、今後も区民の皆様の生活実態を十分に把握し、物価高騰対策を含めた総合的な生活支援策について引き続き検討を重ねてまいります。このため、区単独で水道光熱費の支援を行う考えはございません。
【杉山議員】
次に、暮らしの困難を打開するには物価上昇を上回る賃上げが必要であり、中小企業に政治の責任で賃上げを推進する施策が必要です。賃上げの鍵は、労働者の7割が働く中小企業への直接支援です。社会保険料の減免や賃金助成などで中小企業の賃上げを支援することです。群馬県では、ぐんま賃上げ促進支援金として、従業員の賃金を5%以上引き上げた県内の中小企業等を対象に、従業員1人当たり5万円、最大20人、1事業者当たり最大100万円を支給する事業を7月上旬から開始します。さらに、市町村連携で、太田市、渋川市、玉村町、大泉町が上乗せを実施します。岩手、徳島、奈良、茨城県などで中小企業への直接支援の実施が広がってきています。日本共産党都議団は小池知事に、中小企業に1人当たり12万円の賃上げ支援を行うよう申入れを行っています。●そこで伺います。大田区も区内事業者の産業集積の課題として事業承継や人材不足の課題があり、その環境を整えることが必要です。事業承継が行え、地域経済の振興と中小企業者への支援につながる群馬県のような賃上げ促進支援金を大田区独自で区内中小事業者への賃上げ支援策を行い、都にも支援を求めるべきです。また、区内事業者の賃上げ状況を調査することを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
次に、区内中小企業の賃上げ支援策に関するご質問ですが、企業の賃上げは喫緊の課題であり、政府も令和6年度から賃上げ促進税制を強化しております。また、東京都でも中小企業の賃金制度整備等支援事業の中で賃上げについて支援を進めています。一方、区内事業者の事業承継や人材不足の課題については、今年度開始するものづくり等人材確保のための奨学金返還支援事業や、次世代ものづくり人材育成事業などを通じて対応を進めております。さらに区は、制度融資や取引拡大機会の提供など様々な企業支援も実施しております。国や東京都の賃上げ支援の取組や区の企業成長への取組を進めている中、賃上げに特化した区独自の支援策を行うことは考えておりません。区としては、区内事業者の賃上げの状況について、景況調査の活用や、事業者や産業団体などとの日頃の対話を通して把握にも努めており、引き続き、国や東京都の施策や社会情勢を注視しながら、適切かつ効果的な支援を行い、区内産業のさらなる成長を促進してまいります。
【杉山議員】
次に、年金の問題です。年金を物価や賃金の伸びより低く抑えるマクロ経済スライドを温存した年金制度改革法案が6月13日、参議院本会議で自民党、立憲民主党、公明党などの賛成多数で可決成立しました。日本共産党の倉林明子議員は反対討論で、多くの年金生活者の今の困窮に背を向けて、マクロ経済スライドを継続し、今後十数年にわたり年金水準が下がり続けると指摘、今必要なのは、現在困窮する人たちの暮らしを支えるために、物価高騰に見合う年金額の引上げだと強調しました。
マクロ経済スライドの導入から20年で、公的年金の給付水準は実質約1割削減されました。自民、立民、公明3党が基礎年金を底上げするとして同法案を修正しましたが、5年後に再検討するもので、たとえマクロ経済スライドを早期終了しても、今後10年以上、年金削減が継続します。年金水準はさらに実質1割下がり、就職氷河期世代を含む全ての世代の打撃になります。マクロ経済スライドを直ちに廃止すべきです。
そして、女性の低年金は放置できません。低年金の最大の要因は現役時代の低賃金にあります。女性の働き方に壁をつくり、男性の補助的労働にとどめ、女性を低年金に押しとどめる構造を政治がつくってきたことは大問題です。最低保障年金制度の実現に踏み出すことです。巨額の年金積立金の活用や高額所得者の年金保険料の頭打ちを見直すことで、物価や賃金に応じて増える年金にすることが必要です。大田区として国に働きかけることを求めておきます。
次に、異常な米の高騰について伺います。米の価格高騰と米不足は自然現象ではありません。歴代自民党政府の失政の結果です。米は国民の主食です。米不足と価格高騰を打開するには、減反減産から増産へと転換し、市場任せから国が責任を持って安定供給を進めること、あわせて米農家への支援を抜本的に強化する農政への大転換が必要です。現在、大田区内のスーパーなどにも備蓄米が出回り始めていますが、早朝から整理券をもらい、並んでも店の棚に並んだ瞬間に売り切れてしまう。残っているのは5キロ4000円台の米だけで、パンや麺類を増やして、ご飯を減らして生活を送っているのが現状です。この状況を少しでも改善することが必要です。
北海道は道内で子育てをしている約39万世帯に、米と牛乳を購入できる5240円相当の商品券か電子クーポン、または道産米5.5キロを支給する。京都府亀岡市は、ゼロから18歳のこども全員に国産米を1人5キロずつ支給と併せて、市内の商店で使える8000円分のクーポン券も配布する。福井市は子育て世帯に対し、1世帯当たり5000円分の県産米の購入支援券を配る。ひとり親世帯には3000円分を上乗せする。茨城県日立市は、子育て世帯にお米券4400円分を送る。大阪府は、18歳以下のこどもや妊婦を対象に、7000円分の電子クーポン券か食料品などを支給する事業を実施。6月上旬には対象を19から22歳に拡大すると発表しました。埼玉県秩父市や愛媛県今治市では、全ての世帯や住民を支援対象としています。
●そこで伺います。岐阜県土岐市では、米不足で困っている市民を助けるために行っている物価高騰対策として、お米券を1世帯当たり4400円分を全世帯に送る事業は、国の物価高騰対策交付金を活用して始めています。大田区でも物価高騰対策として、低所得者、高齢者、こども等へ土岐市のような支援策など、米不足で困っている区民にお米券を配布することを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
お米券配布に関するご質問ですが、米は日本の食文化の根幹をなす重要な食料であり、米の価格高騰による区民生活への影響については区としても真摯に受け止めております。現下の米価格を落ち着かせ、消費者への米の安定的な供給を確保するため、国においては随意契約による備蓄米の放出を進めているほか、今月13日に閣議決定されたいわゆる骨太の方針では、安定供給に向けて水田政策の見直しの具体化を進め、農地の集約化の支援に関する既存制度の見直し・強化などに取り組むとしています。
区ではこれまで、地域の実情に応じたきめ細やかな物価高騰対策を講じてまいりましたが、お米券配布に当たっては、財政負担や公平性の観点などから慎重な議論が必要であり、全国的な動向や国の支援策との整合性も重要であります。また、米券の配布が一時的な対策にとどまらず持続可能な支援対策として機能するよう、長期的な視点での検討も必要です。区といたしましては、引き続き、国の動向や米価の推移、区民の皆様の生活状況を注視しつつ、総合的に検討を重ねてまいります。このため、お米券を配布する考えはありません。
【杉山議員】
次に、トランプ関税問題について伺います。国内の消費と内需をしっかり支えることが、トランプ政権の横暴と無法から経済を守る上でも必要です。日本経済で最も体力があり、巨額の内部留保を抱えている大企業が慌てふためき、雇用や取引企業を切り捨てるコストカットに走るなら、トランプ関税の被害は拡大し、大企業にとっても深刻な事態に陥ります。リストラ、下請いじめを未然に防ぎ、農業を守り、家計と内需を応援する政策が必要です。
さらに、日産自動車が神奈川県にある追浜工場と子会社の日産車体湘南工場の閉鎖を検討していることが5月17日、明らかになり、問題となっています。京浜工業地帯にある大きな工場が閉鎖することになると、その影響は関東一円の広範囲に及びます。大田区はものづくりのまちとして、自動車関連部品などを製造する工場で栄えてきました。しかし、ある工場では、海外からの仕事がピタリと止まったなどの声も上がっています。
●そこで伺います。トランプ関税問題について、大田区は、トランプ関税措置に対する特別相談窓口を大田区産業プラザ1階にあるPiOフロントに設置したということですが、相談は今のところないと聞いています。トランプ関税問題では特に自動車関連産業にかなり影響が出ると考えられます。区内関連事業者の動向を直接出向き継続的に追跡調査を行い、悪影響が出る前に対策を取ることを求めます。区内企業が相談できる窓口を継続し、これまでの施策の延長線にとらわれない思い切った施策に取り組むことを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
米国関税措置に伴う区内産業支援に関するご質問ですが、区は大田区産業振興協会とも連携し、様々な機会を通じて自動車産業を含む製造業者や金融機関へのヒアリングを重ね、状況把握に努めております。あわせて、事業者への迅速な情報提供とともに、関税の影響対応にも活用いただける融資制度を広く積極的に周知しております。事業者等のご相談に幅広く対応する常設窓口であるPiOフロントでは、引き続き、米国関税はもちろん、今後の社会経済情勢の変化にも対応してまいります。
区はこれまでも、不測の景気変動等にも柔軟に対応できる中小企業経営を後押ししてまいりました。施策の一例として、価格競争力低下を補い、企業価値を高めるSDGsの取組支援や、大田区産業振興協会が実施する新規取引先の開拓支援、新分野や新事業への参入支援などがございます。今後も区は、関税措置による短期的な影響の緩和のみならず、中長期的な経営基盤の強化を支援するなど、地域経済の持続的な発展に向けて柔軟に対応してまいります。
猛暑から区民の命と健康を守る対策について
【杉山議員】
次に、熱中症対策について伺います。
総務省消防庁は既に、2025年6月10日に、6月2日から8日の1週間における熱中症による救急搬送人員数が1711人であることを発表しました。2024年の同時期比441人増となっています。初診時に熱中症を起因とする死亡者は幸いにもゼロ人でしたが、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は20人が確認されています。また、本日6月18日の東京新聞朝刊の記事によると、6月17日、昨日、埼玉県越谷市などで3人が熱中症や熱中症の疑いで亡くなったと報道されています。この夏も猛暑となると予想されており、緊急対策が求められます。
そのような中、大田区の熱中症対策は、クールスポット開設、区施設83か所、民間施設221か所と、地域包括支援センターで経口補水液配布、啓発チラシの配布のみです。啓発チラシには、熱中症は室内で多く発症します、夜間も注意が必要です、エアコンと扇風機の利用などが書かれていますが、エアコンがない、故障している、また、電気代が心配で使用を控えてしまう世帯への支援がありません。
熱中症による健康被害が深刻化しているため、江東区は今年から、経済的な事情でエアコンを購入することが困難な世帯のうち、健康被害を特に受けやすい高齢者世帯を対象に、エアコンの購入、運送、設置、撤去(リサイクル料金も含む)に関わる費用を最大10万円助成します。港区は昨年度に引き続き熱中症対策として実施していますが、助成額を最大8万7000円に引き上げています。多くの自治体で、高齢福祉、環境対策、物価高騰対策、リフォーム助成制度の活用など、目的や対象は様々ですが、エアコンの購入、設置の助成を行っています。
●そこで伺います。クールスポットでは、昼間は休めても夜間は利用できません。兵庫医科大学、服部医師によると、夏の熱中症の約4割は夜間に発症、初期症状はめまい、意識がなくなり立ちくらみ、手足のしびれなどがあり、それらの症状を自覚できないため、睡眠中の熱中症は一層重症化すると述べています。したがって、最長22時までしか開設していないクールスポットだけでは不十分です。23区中10区で実施した省エネエアコンを自己負担なく購入・設置できる助成を行うこと、また、故障しているエアコンの修理代についても助成し、命の問題として取り組むことを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
エアコンの購入、設置、修理に関するご質問ですが、区では、区民の皆様を暑さによる健康被害から守るため、高齢者をはじめ、どなたでもお休みいただける場所として、5月15日から10月15日まで涼み処を開放しております。さらに、区公式Xでの熱中症警戒アラートの発信や、公民連携による大田区熱中症対策コンソーシアムでの取組などを通じて、熱中症対策やその普及啓発に努めております。また既に設置であっても省エネ性能の高いエアコンに買い替えた際などは、東京都で実施している東京ゼロエミポイントの活用を推奨しております。なお、低所得世帯の方は、区や社会福祉協議会が実施している貸付制度を活用することができます。こうした状況を踏まえ、現時点では区としてエアコンの購入、設置、修理に係る助成制度を導入する考えはありませんが、引き続き区民の皆様を熱中症から守る取組を推進してまいります。
大規模開発推進の区政を改め住民本位の街づくりを進めることについて
【杉山議員】
次に、大田区鉄道沿線まちづくり構想では、新空港線の整備は、同時に沿線の価値を高め、まちづくりの起爆剤となり、民間開発による都市開発を促進させる契機となると述べていますが、このことは、開発主体の不動産ディベロッパーでは、このまちの将来や住民の暮らしよりも、どう開発したら大もうけができるかだけで、大型の開発にし、売ったらおしまいとなりかねません。そのことで東京の住宅価格や家賃は爆上がりし、バブル期を超える異常事態となっています。大田区でも、京急蒲田西口のプラウドシティ蒲田のマンションの売り値が、1DK5000万円から3LDK1億9500万円で参考値としてついています。同マンションの賃貸で募集しているのが、1DKで15万円から3LDKで25万円と高額な賃貸料金が不動産屋のサイトで掲載されています。
東六郷にお住まいの80代の女性が、アパートから立ち退きを迫られているが、家賃が高くて今の収入で入れる住宅が見つからないと私のところに住まいの相談がありました。区の住宅・空家相談窓口に相談しながら、2か月がかりでようやく西六郷のほうで住宅が見つかり、入居できました。賃貸物件でも家賃が高騰しており、低所得者が入居できる住宅が今求められています。
●そこで伺います。大田区鉄道沿線まちづくり構想では、新空港線と一体となった大田区内の全ての路線の駅前再開発が目的となっておりますが、新空港線整備と切り離して、どのようなまちにするのか考えるべきです。再開発では大型開発計画となり、商業施設が入った高層マンション建設となり、大企業のもうけの場となります。投機目的の不動産開発で地価高騰、家賃高騰を引き起こし、住みにくいまち、住み続けられないまちになります。お答えください。
【鈴木区長】
新空港線整備と沿線まちづくりについてのご質問ですが、鉄道とまちづくりは車の両輪であり、都市を持続的に発展させるためにも鉄道整備とまちづくりを一体的に進めることが大変重要であります。また、蒲田など区内の中心拠点や新空港線でつながる路線各駅だけでなく、東京圏全体の地域の価値や国際競争力が向上し、まちづくりの機運が高まることが期待できます。
大田区鉄道沿線まちづくり構想は、沿線のまちの将来像の実現に向けて必要な考えを示したもので、各駅周辺の地域特性や限られた空間を最大限有効に活用するまちづくりを目指しています。新空港線整備を契機に、機能更新の時期を迎えている駅及び駅周辺のまちづくり機運も相当程度高まることが予想される中、限られた空間を最大限に有効活用しながら、利便性の高い都市空間の創出を目指し、まちづくりを具体化してまいります。より多くの方に訪れてみたい、住み続けたいと思っていただけるよう、新空港線整備と併せて沿線のまちづくりを着実に進めてまいります。
【杉山議員】
次に、京急蒲田センターエリア北地区の再開発について伺います。京急蒲田センターエリア北地区の0.6ヘクタールは、第一種市街地再開発事業による再開発を目指しています。土地の高度利用を促進し、駅前にふさわしい都市景観、防災機能を備えた地区整備を図ることや、京急蒲田駅前拠点となる地区の形成を図るとともに、公共的空間を創出することで区民のさらなる利便性の向上を図ることを方針としています。
施設計画の概要では、1、2階は商業施設棟、4階から21階がファミリータイプを中心とした住宅約480戸を予定しています。しかし、現在このエリアは約100世帯余りが入居し、約70店舗余りが商売をしています。再開発により家賃が上がり戻ってこられるのか、商売が継続できるのか不安の声も上がっています。また、これまでよりもファミリー世帯が300世帯以上増えることで、学校や公共施設などの不足も懸念されます。この開発に関わる費用は新空港線計画及びまちづくりの中に含まれており、第一種市街地再開発計画になれば区民の税金が投入されます。住民の生活よりもうけを優先するまちづくりにストップをかけ、まちの魅力を残し、コストも節約できる修復型のまちづくりに切り替えることです。住み続けられる大田区にする必要があるのではありませんか。
●そこで伺います。駅前再開発は地権者だけでなく、現在賃貸物件に住んでいる人、店舗を借り営業、商いをしている人、全ての人の声が活かされ、住み続けられる、現在の店舗の営業が続けられるまちにすることを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
駅前再開発についてのご質問ですが、市街地再開発事業は、地域住民の皆様が長い年月をかけてまちづくりの創造と選択を重ね、土地の高度利用の促進、新たなサービス機能の供給、道路やオープンスペース等の整備、建物の不燃化による防災性の向上などを図る事業です。特に、蒲田のまちは戦災復興の土地区画整理事業から既に半世紀以上が経過しているものの、航空法の高さ制限の影響もあり、都市の機能更新が進まないという課題があります。区といたしましては、蒲田駅周辺地区グランドデザインに示すまちの将来像の実現に向け、様々なまちづくり手法を活用し、機能更新を進めていく必要があると考えております。今後も区は、地権者の皆様が主体の取組を支援していくとともに、地域住民の皆様の声を十分踏まえ、周辺環境にも配慮し、合意形成を図っていけるよう指導助言を行いながら、まち全体が活気とにぎわいにあふれ、持続的な価値を高め、発展させていけるよう着実に取組を進めてまいります。
以 上