代表質問映像(大田区議会ホームページ)
【清水議員】
日本共産党区議団を代表して区長に質問します。先ず悪政から、深刻な区民の暮らしを守る「防波堤」の役割を持った区政の運営を求めて質問します。
安倍首相は22日オバマ大統領との首脳会談を行い、TPP交渉に関して「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」とし、「なるべく早い段階で決断したい」とTPP参加交渉に踏み出す考えを明言しました。しかし「日米の共同声明」では「交渉の場で主張することは認めるが、結果がどうなるかわからない、なんらの保障を与えるものでない」というものです。TPPに参加することは日本の経済主権を投げ捨てて、食と農業を始め医療、保険、知的財産権などあらゆる分野に「アメリカ流」の仕組みが持ち込まれ「日本が、アメリカ言いなり、アメリカの食い物」にされてしまいます。自民党の中にも反対の公約を掲げて当選した議員も多数おり、国論を二分している大問題を国民抜きにすすめることは到底許されません。安倍首相は、国会内外での議論の場で日本の首相として態度を明らかにしなければなりません。松原区長は21日所信表明でTPPについて一言の発言もありませんでしたが、大田区民のくらし営業にとっても大きな影響がある問題として、しっかり区民を守る立場で意見を国に上げていただきたいと要望します。
「日米の同盟の絆が復活した」と安倍首相は喜びマスコミの異常な持ち上げで、TPP参加、原発ゼロの見直し、集団的自衛権の行使、普天間基地の辺野古移設など、国民の安全と生活に重荷を押し付ける危険な道を進もうとしています。日本共産党は亡国の道へ突き進ませないために、一致する団体・個人のみなさんと共同し全力を尽くします。
悪政から深刻な区民の暮らしを守る区政へ
【清水議員】
日本共産党区議団は昨年12月から2012年度区民アンケートを実施しています。2月27日現在2,680通を超える返信がありました。各項目にびっしりとご意見が書き込まれているのが特徴で、区政への関心の高さが感じられる調査となっています。
アンケートでは、くらしと営業が悪くなったが48%と多くの区民のくらしが厳しい実態があります。
この間、働く人の所得・雇用者報酬は1997年を起点として、14年間で88%まで落ち込みました。同じ時期に欧米諸国の雇用者報酬は1.3倍から1.9倍とどこでも増えていることと比較して、賃下げが続いている日本社会は、発達した資本主義国で他に類を見ない異常なものとなっています。「働く人の所得が減り続け、経済成長が止まった」文字通り「例外国家」といわなければなりません。大田区の給与所得者の所得金額も減り続けています。それがデフレ不況の原因です。この打開のカギは国民の所得を増やすことです。
しかし、安倍自公政権は、民主党との三党合意で消費税増税を来年4月から8%に、再来年10月から10%に引き上げようとしています。消費税増税について党区議団のアンケートでも、区民の声は、反対50%、賛成18%、消費税が増税になったら暮らしに影響があるかについては、大いにある60%、多少あるが32%合わせて92%のかたがたが「消費税増税になったら暮らしに影響がある」とこたえています。「保険料や税金が引かれ年金が減り続けている不安だ。消費税が増税されたら節約しかない」「食品や命に係るものには基本的に税を掛けないで」「現在でもぎりぎりなので増税されたら生活できません。せめて、食品や日地用品には増税しないでほしい」等々、アンケートには区民の暮らしが深刻になっていることが現れており、「増税になったら暮らせない」という声があふれています。消費が上向きにならなければ景気の回復につながりません。商店街では大型店の進出、通信販売の激増も影響し売り上げが落ち込み、個店が次次と廃業しています。後にはコンビニなどのチェーン店が目立っています。ある連合商店街会長は「毎月のように商店街の店が『歯が抜けるように』減っていく。もし消費税が増税されたら大田区の商店街はなくなってしまう」と話されています。
中小零細企業、製造業の現場では、消費税増税を見込んで今から単価の引き下げを強要されているなど無法な親企業の横暴にさらされています。区内の中小企業、商店街、サービス業、建設業者などなどは廃業や倒産に追い込まれています。
●区長は先の議会で「国に消費税増税中止を求めるべき」との党区議団の質問の答弁で、消費税増税については「低所得者対策に期待している。推移を見守る」と答弁していますが、しかし低所得者対策は見送られ実施の保証もありませんし、実施されたとしても増税の負担は大変大きいのです。区長は区民の暮らし営業の状況をみるならば、国に対して消費税増税中止を求めるべきです。お答えください。
【松原区長】
まず、消費税増税についてのご質問ですが、ご案内のとおり消費税増税は、わが国の急激な少子高齢化などに対応するため、社会保障制度の安定財源確保を図る観点から法律改正されたものでございます。消費税の増税に当たりましては、税率の引き上げが経済等に与える影響を踏まえた、各種措置の検討を行うべきことを、政府に義務付けているところでございます。
暮らしの面から申し上げますと、低所得者に配慮する観点から、軽減税率制度などの措置や、商工業者向けの側面といたしましても、消費税率の引き上げに伴う販売価格への転嫁について、中小企業者が適切に転嫁できるような、法制上の措置等の具体化を実現するものとされております。
国によりますこのような対策の具体化によりまして、国民生活や商工業者への影響に一定の配慮がなされるものと理解しております。
また、本年1月24日に、政権与党から平成25年度税制改正大綱が示され、今後の検討の基本的な考え方が示されているところでございます。
当区といたしましては、今後も引き続き、国等によります具体策の検討状況を注視してまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、区といたしましては、区民が住み慣れた地域で安心して暮らすために、社会状況の変化に柔軟に対応し、区民生活の安定と、区内産業の活性化を図ってまいりたいと考えております。
【清水議員】
次に生活保護基準の引き下げについて質問します。生活保護は憲法25条で保障されている最低の生活基準であり「最後のセーフティーネット」です。安倍内閣の生活保護削減方針の最大の柱は、食費や光熱費などの日常生活に欠かせない生活扶助費の基準を今年の8月から3年に掛けて引き下げ、扶助費670億円を減額する計画です。今回の削減は過去に例を見ない大幅なもので最大10%削減される世帯、月2万円もカットされる夫婦と子ども2人の世帯も生まれます。貧困世帯に更なる貧困を強いる削減計画は、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した憲法25条に反しています。
生活保護基準の引き下げは、現在受給している区民から受けられなくなる方を出すだけでなく、生活保護を受けていない多くの区民の負担増につながる可能性があります。生活保護基準に合わせた非課税世帯の基準で決まっている介護保険料、介護利用料、障害者自立支援医療の負担上限額、障害福祉サービス負担上限、公営住宅家賃の減免、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の減免措置、保育料減免、国民年金保険料減免、高額療養費などなど少なくとも40以上の制度に影響します。労働者の最低賃金も引き下げになりかねません。現在大田区の生活保護受給者は2012年10月現在12,970世帯、16,489人で、毎年増加しています。病気、失業や廃業で収入を立たれた方、年金でくらせないかたがたなどが利用し生きることが出来ています。
●区長は区民の命と暮らしを守るために、安倍内閣が進める生活保護基準引き下げに断固反対すべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、生活保護基準ついてお尋ねをいただきました。生活保護基準につきましては、一般国民の消費水準の動向に即して、毎年、国において改定されております。
今回の見直しは、社会保障審議会生活保護基準部会の5年に1度の専門的かつ客観的な評価・検証を踏まえるとともに、物価の動向を勘案して実施されるものと認識しております。
実施に当たりましては、生活保護受給者や自治体への周知等に要する期間を考慮して、3年程度かけて段階的に実施するなどの激変緩和措置を講じることになっております。
したがいまして、区としては、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
【清水議員】
「就学援助」制度は低所得世帯の児童生徒の学用品や給食費を支給する制度で、2011年度区内で就学援助を受けている小中学校の児童生徒は10,301人。生活保護を受けている要保護801人とあわせて11,202人で、公立小中学校児童生徒数の合計は39,076人で29%に当たります。生活保護基準の引き下げでそのうちの3%から3.6%程度が、生活保護基準が引き下げになれば、親の収入は増えていないのに援助を受けられない可能性があります。大田区では生活保護基準の1.2倍(1.3が改悪されて)が認定基準とされ、就学援助は児童生徒の教育のために無くてはならないものです、就学援助制度の拡充こそが求められているのに、誰もが等しく教育を受けることが出来るとした憲法にも違反します。田村厚生労働大臣は1月29日の記者会見で「生活保護基準の引き下げが就学援助制度に影響が出ないよう文部科学省と調整したい」と発言しました。下村文科相大臣も「就学援助の支給基準が下がって受けられない人がでないようにしたい」と発言しました。
●大田区長は、大田区で生活保護基準の引き下げにより就学援助が受けられなくなる児童生徒は一人も出さないことです。お答えください。
【清水教育長】
私からは、生活保護基準の引き下げにより就学援助が受けられなくなる児童・生徒が出ないようにすべきではないかとのご質問にお答えします。
就学援助費は、生活保護世帯のほか、世帯の所得が生活保護基準の1.2倍未満の世帯の児童・生徒の保護者を対象としております。
そして、その支給認定の対象となる世帯の所得は、前年中の所得を元に決定する取扱いとなっております。また、認定の基礎となる生活保護基準についても、前年度の基準を適用しています。
したがって、平成25年度の就学援助費の支給認定には、改正前の平成24年度の生活保護基準が適用されるため、改定による影響は生じないものと考えております。
平成26年度以降の取扱いについては、政府による生活保護の基準改定の詳細が判明してから、適切に判断してまいります。
区民要求にこたえ、福祉向上、地域経済振興を目指す新年度予算へ
【清水議員】
次に、新年度予算についてですが評価できる点として、
・約20倍の経済効果が昨年度明らかになったリフォーム助成の拡充。
・小学校1・2年、中学1年の35人学級の実現は少人数学級で児童生徒への行き届いた教育の実現への大きな前進です。
・発達障害児への支援事業の新規は、昨年、日本共産党区議団が医師会の協力を得ておこなった学習会でも保護者、祖父母、保育士等の多くの参加があり関心の高さと区民の強い要望がでました。正しい理解と早期発見早期支援で、小学校入学後に不登校になったなど多くの問題で悩む区民を支える1歩になったことは、わかばの家の拡充と共に大きな前進であると評価します。
・保育園・小・中学校給食食材の放射能測定と、区民に無料で食品の放射能測定を行っている大田区放射能物質測定室は23区内で唯一の施設として注目を集めています。
・大田区で生まれたすべての赤ちゃんを訪問し、子育てを支援する健やか赤ちゃん訪問、
・がん検診の拡充、ことに乳がん子宮がん検診受診機会を広げる施策、
・高齢者の熱中症予防対策の拡充と提案してきた区内施設を使ってのクールスポットの設置等、区民の声に応え、わが党も要望しており評価できます。
・都市型経費老人ホームの開設支援、認知症グループホーム開設支援についても高齢者の住まいの確保の深刻な状況の改善の一助になると思います。
・(仮称)障害者総合サポートセンターの設置は、障害のある方々へのサポートする拠点として期待されており評価できますが、24時間相談体制、センターまでいけない方々へのアウトリーチ機能の充実、就労支援には障害に応じたきめ細かい援助、そしてショートステイ施設のような居住施設の充実で住み慣れた大田区で安心して暮らしていけることなどのつよい要望を十分聞いて、単なる箱物にならないことです。運営は区が責任を持つものとし経費削減優先の民間委託はしないことを要望します。
区長は新年度予算案のスローガンを「防災力を強化し、活力と魅力あふれるまちづくり」としていますが、区政への世論調査で今回1位となった「防災力強化」も弱く、津波対策でも河川に近い多くの区民の不安にこたえるものになっていません。区民のくらしを切り捨て「まちづくり」だけが強化された区民不在の予算になっています。
予算案の問題の第一は、予算編成方針で、「既存事業の枠組みにとらわれなることなく、廃止・縮小・統合・アウトソーシング等を含めた見直し、再構築を主体的・積極的に断行すること」とし、区民生活を支えていた事業の廃止、縮小はあわせて40事業以上で、総額約10億円となります。
廃止の事業の中で、
・長寿高齢者介護保険料支援事業は、100歳以上の高齢者の介護保険料無料の支援で「100歳まで生きた甲斐があった。区が保険料を払ってくれる。ありがたい」と感謝されていたのですが廃止となりました。
・母子栄養食品支給は事業整理による新規受付終了です。
・小規模企業検診助成は、事業見直しにより助成申請は平成24年度健診受診分で終了です。健康診査の補助金1人3,500円は、中小企業の多い大田区内の労働者の健康のためにも、会社の経費削減にも喜ばれていました。
・高齢者等住宅確保支援事業は高齢者世帯の住み替え助成でしたが、対象者数の減を理由に縮小されています。
予算編成の方針で歳入不足122億円と見込み、特別区債と、繰入金で補うため、財政基金から72億円となりました。その結果財政基金は2013年度見込みで348億円となります。
2011年度から歳入減を理由に財政基金を繰り入れており、「多額の繰り入れで財政基金があと数年でなくなる」と区民のくらし・営業に係わる事業を縮小・廃止してきましたが、実際は年度末の繰り入れは大幅に縮小され2011年度は当初68億円から19億円へ、2012年度は当初65億円から今回の5次補正では12億円になりました。
●当初の額の財政基金の繰入金を使えば、何も事業の廃止・縮小は必要なかったのではないですか。区民生活を支えてきた事業の廃止・縮小はやめ、さらなる区民施策の充実こそ行うべきです。
【松原区長】
次に、地震や津波対策に関するご質問でございますが、平成25年度も引き続き総合防災力を強化するため、前年度比16%増の26億円の防災関係予算を計上いたしました。
区民の命を守るための対策として、スタンドパイプの追加配備や津波総合対策の推進、学校防災活動拠点の整備、臨海部の防災対策の強化、備蓄物品の充実等の防災力強化事業などを実施していきます。
さらに、区民の皆様が安全で安心できる、災害に強いまちづくりの視点から、橋梁の補修や耐震補強の整備、区道の路面下空洞調査などを実施してまいります。
次に、財政基金を使い事業の廃止・縮小は見直すことができる、とのご意見をいただきました。
平成25年度予算では、ハード・ソフト両面での総合防災力の強化や、医工連携など新たな産業分野への支援策、障がい者総合サポートセンターの建設、魅力あるまちづくりなど、区民生活や区内経済を支え、未来を見据えた新たな取り組みに積極的に予算配分をいたしました。
一方で、増加する社会保障関連経費や待機児童解消施策、公共施設の維持更新など、多額の経費を必要とする行政需要にも応えていく必要があります。
こうした予算編成を可能とするためには、事務事業の効率化に努め、当初の役割を終えた事業や期待した効果が得られなくなった事業などについての評価や見直しが必要となります。限られた財源を最適に配分し、効果的・努率的な行政運営を進めることが必要と考えます。
平成25年度予算では72億円の財政基金を投入しておりますが、事業の必要性や優先度の精査、執行方法や経費の見直しなどを全庁的に進める中で、財源不足額の縮減を図ったものでございます。区民生活や区内経済に必要不可欠な事業を、着実に推進できる予算編成が行えたと考えております。
【清水議員】
各地で待機児の問題が連日ニュースに流れ深刻な事態は大問題となっています。区内認可保育園の2013年4月入所申請審査は現在おこなわれていますが、今年度も希望者が多く、認可保育園申し込みをしても入所できないこどもが1200人を超しています。納得できない保護者が連日庁舎の3階窓口で、「どうして保育園に入れないのか、うちの子どうしたらいのか」と訴えています。
●詰め込みではなく保育の質を守って、入所できない子どもたちへの緊急対策を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、保育園の緊急受け入れについてのご質問でございますが、計画的に保育サービス基盤の拡充を図る必要があると考え、大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プランを策定し、保育サービス定員の拡充に努めてまいりました。
平成23年度と24年度の2か年で3か年プランの目標事業量1,000人のうち、すでに約800人の保育サービス定員増を図りました。
平成25年度においても300人の定員拡大を目標としており、これを着実に推進してまいります。また、今後の地域における待機児童数の状況を見ながら、適切に対応してまいりたいと思います。
【清水議員】
わが党議員団にも「生活も厳しいし働きたい、しかし、派遣の仕事はやめているためポイントが低いと言われた。どうしたらポイントをふやせるのですか?」「保育ママさんに1年預けたが、認可保育園不承諾となった、4月から仕事をやめなくてはならないのか」などなどの相談が多数寄せられています。今、若者の二人に一人、女性の二人に一人は非正規雇用です。産休、育休が取れない派遣やアルバイト等で働いていた女性は妊娠と同時に仕事をやめざるを得ません。父親も非正規や自営業の場合もあります。祖父母が近くに住んでいたとしても生活のために働いている、病気もあり孫の面倒はとても見られないかたが多くいます。認可保育園に入れない場合は認証保育所にといわれますが、認証保育園では1ヶ月の保育料が6万円から8万円以上、母親の収入の半分以上が保育料ではとても生活できません。そもそも認可園が不足しているからです。区民の置かれている状況をよくみることです。これから仕事探す場合も、パートでも自営でも誰でも希望したら認可保育園に入れるのは当たり前の子育て支援策が必要です。認可保育園に子ども預けて安心して父親、母親、祖父母も働くことが出来き、大田区への税収増にもつながります。
●認可保育園を増設しても待機児童が生まれているのは、区が把握している待機児童の数が実態を反映していないことが問題です。区民の「保育ニーズ」は、認証保育所、保育ママさんに預けていても認可保育園を希望している保護者が多いということです。新年度予算では「テナント型認可保育園」3施設新設補助がありますが、待機児童数に応じた認可保育園を増設すべきです。お答えください。
【松原区長】
待機児問題の改善についてのご質問でございますが、待機児童の解消のためには多様な主体と連携・協力することが大切であると考えております。
今後も、認可保育所の新規開設のみならず、待機児解消に向けた施策を総合的に展開することにより、地域の保育ニーズにきめ細かく対応してまいります。
【清水議員】
認可保育園、特養ホーム、高齢者住宅、区営住宅、文化センターなどの区民要求に応えるために、地方債を有効に使うことも可能です。
先日発表された平成23年度版の「OTAシティ・マネージメントレポート」では、「平成23(2011)年度の区民一人あたりの負債額は13.9万円で、平均的な値である30~100万円を大きく下回っています。」「現在世代負担比率と将来世代負担比率を比較することで適正を分析できます。」として、大田区の将来世代負担比率が8%であることに対して、「区では、近年起債抑制を行ってきたため、平均的な数値とされる15~40%下回っています。将来世代の負担を抑えることは財政負担の軽減という点では大変重要なことですが、極端な抑制は現在世代に過度な負担を強いることになりかねないことに留意しなければなりません」としています。
●現役世代と将来世代の負担の適正化を図るためにも、区民要求に応えるため地方債を活用してすべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、地方債の有効な活用についてのご質問をいただきました。
地方債の発行は、予算の議決を経た上で、地方財政法の規定に基づき行っております。公共施設や都市基盤施設の整備に係る経費につきましては、長期にわたり区民の皆様が利用するものとして、現役世代だけではなく、将来世代にも負担を求めることが経費負担の公平性から見て適切であり、起債に適した事業と考えられます。
平成25年度予算では、特別区債として60億円を計上いたしました。障がい者総合サポートセンターの建設や仲六郷二丁目複合施設、嶺町小学校の改築などの公共施設の整備、橋梁の耐震整備などの都市基盤施設の更新のための財源として活用する予定でございます。
平成24年度予算では、森が崎保育園の改築にも活用しております。また、大田区総合体育館の整備に当たっては、平成21年度から平成23年度までの3年間にわたり、大田ドリーム債を発行しております。
特別区債の発行につきましては、健全な財政運営を維持しながら、財源確保策のひとつとして適切に活用してまいります。
【清水議員】
第2の問題点は、区民のくらし・福祉を切り詰めながら、一方で大規模開発事業が予算を圧迫していることです。京急関連駅周辺のまちづくり事業45億6900万円余で、京急西口駅前再開発が新年度からいよいよ始まります総事業費215億7千万円のうち区費70億6千万円、国費75億6千万円です。糀谷駅前再開発では総事業費193億円のうち区費55億3千円、国費48億円となります。また、京急線の連続立体交差事業に係る街路事業15億9,969万9千万円で前年度比12億円の増となり京急蒲田駅東口開発等です。これから京急線の駅前開発へ多額の税金が投入となります。また、新空港線(蒲蒲線)の積立金は、2013年度は当初から5億円積立てる計画で合計10億円となります。「厳しい財政」といいながら、「新空港線計画推進の大田区の意思を示すため」の積立金です。総額1,080億円と言われている新空港線(蒲蒲線)は、大田区民のためより、埼玉、渋谷方面から羽田空港への利用客のためであり、区民の利便性向上にはなりません。多摩川線沿線は全駅素通りで、踏切も開かない時間が大幅に増えます。また東急蒲田地下駅で乗り換えになり、京急蒲田駅とはつながらず、産業プラザ近くの地下になることなど、本来のJR蒲田と京急蒲田を結ぶ蒲蒲線から大きくかけ離れてしまいました。さらに東京都が事業の採算性の理由から難色を示しており、京急電鉄も消極的です。関係4団体の合意が図られていません。
●「厳しい財政環境の中」というのであれば、新空港線(蒲蒲線)の積立金5億円をはじめ大型開発に多額の税金の投入ではなく、区民のくらしや営業にこそ使うべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、新空港線「蒲蒲線」に関する質問につきましては、新空港線「蒲蒲線」整備により、区内の移動が便利になるほか、まちづくりへの寄与、羽田空港へのアクセス強化、災害時の迂回ルートの確保など、区民の暮らしや、区内の地域経済活性化にも大きな効果が期待されるところでございます。
このような観点から、新空港線「蒲蒲線」の早期実現のため、大田区としての堅固たる意志と工事着工の準備資金として、平成24年度に「新空港線整備資金積立基金」5億円の積み立てを行ったところでございます。
平成25年度予算案では、積立基金としての主旨を勘案し、さらに5億円を積み立てることといたしました。
今後も継続いたしまして、大田区民にとって、より利便性の高い事業となりますよう、検討を進めるとともに、新空港線「蒲蒲線」整備を実現するため、国や東京都、鉄道事業者等に対して、さらに強く働きかけをしてまいります。
【清水議員】
羽田空港跡地開発については、新年度予算案では空港跡地関連調査1050万円、国際戦略総合特区事業の推進75万6千円ですが、2013年度も引き続き国際戦略総合特区アジアゲートウエイ構想に乗じて羽田空港跡地開発を進めることとしています。第1ゾーンは、モノづくり産業の再生のため国や地域を超えた産業連携ネットワークによる交流拠点・産業交流施設を建設し、合わせて区民が憩える多目的な広場を予定しています。産業交流施設はいくつかの案がありますがかかる費用はいずれも土地取得費用を含まず200億円前後とされています。ライフラインの整備には約80億円を見込んでいます。
特区に指定されたことによるメリットを生かし用地取得を優遇されることや建設費用の補助等に大いなる期待が寄せられていましたが、現状は一向に進まず、ことに東京都の方向は前都知事が国際展示場とホテルをいう発言がさらに混迷を深めています。「大田区主導でなく民間の力を借りなくては進まない」という声も聞こえます。東日本大震災を経験し、空港周辺住民は津波、火災、液状化等の被害に応じた避難場所の確保に強い関心を持っています。
●第1ゾーンは広域避難場所であり、「一刻も早く区民に帰してもらいたい」の区民の声にこたえるべきです。そのために跡地に大型施設の建設はあきらめ多目的広場として整備を急ぐことを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、羽田空港跡地についてのご指摘でございますが、空港跡地第1ゾーンの一部は、現在避難場所に指定されております。
このため、土地利用に当たりましては、区民の憩いの広場として、災害時には、地域の方々が安全に避難できる、多目的広場の整備に向けて取り組んでおります。
また、羽田空港に隣接する跡地の高いポテンシャルを活かし、区内産業の競争力の源泉となる中小企業のものづくり基盤技術の集積を維持、強化するために検討を進めております産業交流施設は、国内外の企業や研究機関との交流・連携を図る拠点施設としての機能を考えております。
この施設での広域的な産業連携によって、区内中小企業の新市場・新技術を創造し、販路の拡大につなげたいと考えております。
羽田空港対策積立基金は、このような防災に資する憩いの広場や産業連携拠点の整備など、空港跡地のまちづくりに向けた財源として、有効に活用してまいりたいと思います。
【清水議員】
また、「ものづくり産業の再生のため、国や地域を超えた産業連携ネットワークによる交流拠点・産業交流施設を建設する」と、跡地に大型施設を建設することを産業経済、区内製造業のためとしていますが、今、後継者対策を含む対策を急がないと大田区のモノづくりは続かないといわれています。モノづくりの街大田区といいながら総予算の約1.5%の産業経済費では少なすぎます。
●新製品、新技術への支援では、より多くの区内中小企業が個性を活かし、フレキシブルに使えるように改善・拡充を求めます。後継者対策についても、表彰制度も重要ですが具体的に雇用が出来るような支援を求めます。そのために産業振興のための171億円の羽田空港対策基金を産業経済費に使って、区内中小企業への直接支援を増やすこと。そして産業経済費を大幅に増やし産業のまち・中小企業の街にふさわしい予算にすべきです。お答えください。
【清水議員】
第3の問題点は、区は民間委託や指定管理者制度で非正規雇用をつくりだしデフレ不況に追い打ちをかけていることです。
現在区内では、すでに民間委託は1万件以上、指定管理者制度も119か所となっています。
昨年の第3回定例議会で、民間委託先の労働者が、本来法令順守が当然なのに、最低賃金さえ保障されていない実態が党区議団への内部告発で明らかになりました。民間委託や指定管理者制度で、経費削減とサービス向上を掲げていますが、実態は委託先の人件費の削減を招いています。求人広告でも、委託先の図書館や給食調理の募集が行われていますが、時給千円程度で年間2,000時間働いても200万円程度です。さらに現在の大田区役所の非正規雇用の人数は約1,750人にも上り、先の定例会で出された職員給与の削減で平均年間1万3,000円となり、10年間で職員給与は54万8千円下がっています。民間給与を上回っているからと職員給与を引き下げるという、官民が給与引き下げ競争を続ければますます購買力が低下し、景気回復どころかさらに内需を冷え込ませる悪循環を生み出すだけです。今、国や区が行っている施策は景気回復にはまったく逆であり、これではデフレ不況は抜け出せず、税収増はあり得ません。
今年度の包活外部括監査では、大田区内の6つの区立特養ホームの運営をしている長寿園について「黒字である」「区からの援助は打ち切るのが当然」と意見が出ています。しかし、現在の長寿園で介護の現場を支えている労働者の実態は低賃金、人手不足、寿退社は女性ではなく若い男性で言われています。つまり賃金が低すぎて結婚したら生活できないので退職せざるを得ないという意味だそうです。洗濯物をたたむ等の仕事は、近隣の老人クラブの方々のボランティアに支えられています。他の民間との差について問題にされますが、区立として困難事例も多く受け入れ、区内の介護を支えている重要な施設です。他の民間特養ホームはほとんどが全室個室で費用が高く、入れない区民が多くいます。4人部屋などの多床室の区立特養ホームは民間に入れない区民のために貴重な施設です。
●長寿園への区支援の打ち切りはしないこと。指定管理委託費用の削減はやめることです。また、4月から児童館が民間になりますが、福祉・教育・子育ての部門への民間委託や指定管理者制度は中止を求めます。お答えください。
【松原区長】
特別養護老人ホームのご質問でございますが、指定管理にかかわる委託料につきましては、来年度におきましても、医療的ケアの充実のための医師の配置など、利用者へのサービスを維持・向上させるために必要な経費を計上しております。今後も、内容を精査し、適正な予算計上に努めてまいります。
次に、児童館の民間委託についてのご質問でございますが、児童館の民間委託の目的は、厳しい財政状況の中で、児童館事業に対するニーズに迅速・柔軟に対応し、効率的にサービスを提供するために、民間事業者のノウハウを活用し、更なるサービスの向上を図ることでございます。
また、民間委託に当たりましては、児童や保護者に不安を与えることのないように現行サービスの質を確保することを重視するとともに、民間事業者の柔軟性を発揮し、多様なニーズに対してより迅速・柔軟に対応できるよう適切な団体に運営を委ねてまいります。
【清水議員】
次に国民健康保険、ことに保険料の値上げについて質問します。
党区議団は今月15日松原区長に国保について緊急に申し入れをしました。
国民健康保険制度は、憲法25条に基づき発足した国の制度であり、国保法第1条には「社会保障と国民保健の向上に寄与する」と明記されています。他の社会保険に加入できない自営業者や高齢者や無職者などが入る「国民皆保険」の制度であり、もともと財政基盤の弱い保険制度であり、加入者の圧倒的多数が年収200万円以下といわれています。2011(平成23)年4月1日から2012(平成24)年3月31日までに国保料の滞納世帯は37,893(約2割)、差し押さえ滞納処分は96世帯、窓口で10割全額治療費を払わなくてはならない資格証が496世帯、保険料を払うまでの短期証は4,432世帯でした。大変深刻な事態です。)
滞納世帯が増加する背景には、高過ぎる国民健康保険料、非正規雇用者の増大などの新たな貧困層の拡大があります。国庫負担の大幅な削減が国保料の引き上げにつながり、払いたくても払えない状況を生み出した最大の要因でもあり、法の精神からいっても区民が払える保険料への値下げこそ必要です。そのために国や都の財政支援の強化が必要です。
大田区では昨年度(2011年度)から保険料の算定を旧ただし書き方式に変更をしたために、税控除を受けている低・中所得世帯や障害者、家族人数の多い世帯での保険料負担が特に重くなりました。激変緩和措置が講じられていましたが、それも今年度で終了予定となっています。
党区議団は昨年11月15日にも大田区長に対し「経過措置の延長や区独自の施策で、値上げをしないこと」を要望しましたが、1月10日の地域・産業委員会では経過措置終了に伴い「特別区独自の新たな減額措置を検討する」旨報告されました。しかし2月15日の特別区長会総会で4月からの国民保険料を大幅に値上げする案を確認されました。
新たな軽減措置で、対象を住民税非課税世帯に狭めて13年から14年で軽減策をおこないますが、経過措置を受けていた対象世帯のわずか23%だけになります。
国保課にモデルケースを出していただくよう何度も要請していますが、出ていません。おおよそですが、年収200万円の65歳以上の年金受給者夫婦2人非課税世帯の場合軽減策を入れても7万4,319円から8万5,886円、16%の負担増になり、給与所得者4人世帯500万円以下が軒並み負担増になります。「更なる値上げでは滞納世帯は増加し、医療にかかれない区民が出てきます。今回の値上げは医療費や検診費の伸び、賦課方式の変更と軽減策の廃止縮小などに加え、全体を押し上げている要因は、後期高齢者医療費支援金と介護納付金があります。国の医療改悪と国庫負担金の削減が 国保加入者の保険料負担増と、一般財源からの繰り入れ増による自治体の負担増になっています。国に対しこのような医療改悪に強く意見を述べていただき、
3月7日に大田区の国保運営協議会が開かれ、大田区の保険料が正式に決まるわけですから、区独自でも以下の点について要求します。
1. 国民健康保険料の旧ただし書き方式への移行に伴う激変緩和措置を継続すること。
2. 均等割の保険料を値上げしないこと。
3. 値上げの是非については、広く区民に情報を提示し、意見をきいて決められるしくみにすること。
4. 保険料を抑えるために、国民健康保険への国庫負担割合を増やすことを国に求めるとともに、東京都にも財政支援を求めること。
●一般財源からの国保財源への繰り入れを増やしてでも、国保保険料のこれ以上の引き上げをやめるべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、国保料の激変緩和措置の継続や、来年度の保険料についてのご質問ですが、平成23年度からの賦課方式の変更に伴い、2か年間実施した23区独自の経過措置は24年度で終了しますが、平成25年度は住民税非課税の方を対象に所得から50%を、同じく26年度は25%を控除する新たな軽減策を実施する予定でございます。
国保財政は、一人当たりの療養給付費の増や後期高齢者支援金の増の影響により、医療費が年々増加し厳しい財政運営を強いられています。
このような状況を踏まえますと、被保険者の皆様にも一定の負担をお願いせざるを得ないことになりますが、保険料の算定については、被保険者の過大な負担とならないよう充分に検討を重ねてきているところでございます。
また、国保運営協議会には被保険者の代表の方にも参加いただき、会議を公開して審議をいただいております。
一般会計からの繰入に関しましては、他の医療被保険者との負担公平の観点から、これ以上繰入を増やすことは困難であると考えております。
未利用地の積極的な活用で福祉施設の増設を
【清水議員】
次に、大田区が未利用地の積極的な活用で、福祉施設を増設することについて質問します。
党区議団アンケートでも、特養ホームの増設が53%、学童保育の増設20%、保育園の増設(待機児解消)37%と、また区営住宅、シルバーピア等の住まい、身近な公共施設への要望が出されています。特養ホームの相談も大変深刻です。妻を近くの特養ホームに入居させたいと相談にきたOさんは昨年88歳でなくなられました。脳梗塞後遺症でほぼ寝たきりで認知症の妻を15年以上介護されてきました。子どもはいないため、介護のすべてをOさんが担ってきました。何度も申し込みをしてもOさんが介護できるとして順番が回ってきませんでした。Oさんは身体の具合が悪くても家事と妻の介護をし続けてきましたがついに胃がんで倒れました。自分のなき後の妻の生活、居場所のことを心配し続けて亡くなりました。妻は区内の特養ホームに入れず、今は遠い千葉県にいます。生活保護の高齢者は区内に入居できる施設はほとんどないのが実態です。生活保護を受けているから仕方がないと、見ず知らずの土地に行かねばならない心情を考えると心が痛みます。都市型軽費老人ホームの整備に1億7,894万円計上されていますが、介護が必要な場合は入居できません。2012年9月末現在特養ホーム入所希望者は前月1,860人です。第5期介護保険計画では特養ホーム新設目標は2014年までに100床以上となっていまが2013年度予算案には整備計画はありません。
●計画実現のため2013年度途中でも整備を進めることを求めます。民間任せにしないで区が責任を果たすべきです。また区の計画は待機者に見合った計画となっていません。緊急に見直しが必要です。お答えください。
【松原区長】
また、整備計画のご質問でございますが、第5期介護保険事業計画におきましては、平成24年度から平成26年度の計画期間中に特別養護老人ホーム1施設100床規模、また、介護老人保健施設1施設100床規模の整備をめざし、現在、積極的に事業者の参入支援を行っております。
今後とも、必要整備数を把握し、計画的に整備を進めてまいります。
【清水議員】
区は民間業者が手を上げるのをまっていますが、都内は地価が高いため採算が合わないと参入が大変少ない状況となっています。しかし江東区は旧農林水産研修所跡地(塩浜1丁目)を活用して「社会福祉法人こころの家族」(所在地大阪府堺市)が、特別養護老人ホーム98床、ショートステイ12床50年間定期借地権設定契約により整備・運営、2015年7月開設予定となっています。世田谷区では都立梅が丘病院の跡地、「地域のためのエリア」に特養ホーム20から30床、老健を建設予定です。同じく世田谷区は国有地を活用して保育園の増設がすすんでいますが、現在3箇所目が建設されています。日本共産党大田区議団は特養ホーム、認可保育園等の建設のために国・都・区有地の未利用地の活用を求めてきました。なかでも萩中2丁目東京税関萩中住宅1・2号棟、本羽田2丁目旧郵政宿舎は、空き家状態となっており、「国の財産である土地を放置しないで、大田区民に遣わしてほしい」「空き家のまま数年経つが、防犯上も心配だ」の意見が地元からでています。先日、わが党区議団と、近隣住民の皆さんと、国会衆議院会館にて財務省と日本郵便株式会社、関東運輸局国土交通省より国家公務員官舎の今後について説明を受けてきました。
国有地の売却手続きの3ヶ月間は地方公共団体からの取得要望の受付を行い、受付期間中に要望がない場合には一般競争入札により売却されるそうです。なお、廃止が決定した国家公務員住宅跡地の活用については、「地域の整備計画に資するために地方公共団体からの取得要望を 受け付ける以前から緊密な連携を図っています。」とされています。萩中2丁目の東京税関住宅は2月1日よりホームページにて売却の通知がされていると説明がありました。
●萩中2丁目の東京税関住宅の土地を取得するため、4月30日までに大田区が財務省に取得要望を上げるべきです。お答えください。
また、本羽田2丁目の旧郵政省本羽田住宅は、現在は日本郵便株式会社の所有です。政府より東日本大震災の避難住宅として指定されていましたが1世帯も受けずに、もうすぐ指定解除となるので、その後建物を解体して売却の予定で、原則は競争入札となります。
もう1ヶ所 西糀谷1丁目の気象庁住宅は現在入居中ですが、昨年12月廃止が決定し、2015年(平成27年)7月31日までで入居者は退去の予定で、その後は売却の予定です。廃止が決まった時から区には情報が届いているはずです。この土地は京急かまた駅に近く、3方が公道に面し、隣の関東財務局糀谷住宅と糀谷住宅広場は「国家公務員住宅としてのこす」ことが決まっています。
財務省は国家公務員住宅の廃止後の土地の売却は、復興財源が必要だからと、地元自治体への優遇も定期借地権もつけないと説明しています。説明を受けた住民の方々は「そもそも国民の税金で買われた土地であり、国民の財産だ。何年も放置したままで勿体無かった。福祉施設等に使い国民のために使ってほしいと望んでいるのに時価で売るとは納得できない」「このままではマンション業者や、宗教団体が買ってしまうのではと周りの区民が心配しています。」の感想が寄せられています。
土地はあります。無いのは区の決断です。
●これらの土地を始め区内には国,都、区、東京メトロ等の未利用地があります。取得して区民の切なる願いである特養ホーム、保育園、区営住宅、高齢者住宅等の公共施設に活用することを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、処分される国有地等を取得し福祉施設への活用を、とのご質問でございますが、売却・貸付可能な国有地がある場合には、国はホームページに掲載するとともに、地元自治体に直接情報を提供し、優先的に売却等を行うことになっており、区では、その都度、迅速かつ慎重に検討しております。
現在、萩中2丁目の旧東京税関官舎について、財務省からの売却照会がきております。
西糀谷1丁目及び本羽田2丁目の用地については、現時点では、活用、処分含め未定とのことでございます。
照会がなされている萩中2丁目の用地については、現在、区の施設需要に照らし用地取得の可能性について精査しております。
ご指摘の特別養護老人ホームや保育園については、区が土地を購入して施設の整備を行うことは、考えておりません。
大気汚染から区民の健康を守る施策を
【清水議員】
最後に、大気汚染から区民の健康を守る施策をについて質問します。
PM2.5が中国からの飛来で突然問題になっているかのようですが、日本ではすでに大問題となっており、環境基準値は2009年9月に欧米諸国から10年も遅れましたが出来ていました。東京の公害喘息患者さんたちが、命をかけて戦った東京大気汚染裁判で自動車の排ガスによる健康被害に対する賠償と汚染物質の排出差し止めを求めた結果です。ようやく出来た基準ですが、しかし安心とは到底いえません。大きな問題点は1日平均値で安全を図っていることです。PM2・5の値は1日の中で大きく変動します。ディーゼル排気ガスから発生するのが1次発生で、第2次発生は大気中の有害物質が紫外線を浴びて発生するものです。よって午後2時前後がもっとも高い値になると言われています。喘息患者さんにとって、このPM2・5を吸い込むことは喘息を悪化させる大変危険なもので1~2時間後に発作がでる場合や、5~6時間後の場合もあるとのことです。また今までは喘息にかかっていなかった方が、吸い込むことによって発症する可能性もあります。1日の平均ではなく1時間ごとの値を知ることが命に係るのです。
大田区の大気汚染障害者認定状況は 2012年12月末現在合計5,011人。内訳は18歳未満620人、18歳以上4,391人でした。喘息患者数は区民の4~10%はいるであろうといわれています。また風邪や過労などの折に喘息を発症する可能性は大きく、大田区の2012年新規認定者数は15歳から18歳未満32人、18歳以上424人もいる状況です。
国土交通省は大気汚染裁判の和解後も道路を作り続け、緑化対策も遅れています。大田区は環七、環八、国道15号、産業道路、首都高速等の幹線道路があり、それぞれ拡幅も進んでいます。また羽田空港は第4滑走路が完成し、C滑走路の延長、国際ターミナルビルも1.5倍へ工事が進んでおり年間便数を44万7千回に増加する計画です。2011年区が緊急に羽田旭町、東糀谷、羽田地域の大気汚染を測定した結果、大気汚染が他地域より高いことがわかりました。2月18日環境省は自治体に測定局の整備促進と財政的支援を検討する方針を示しました。今後は注意報の発令などの整備についても検討されています。
喘息患者数が多く、新規患者も増え続け、環境も悪化している大田区は
●PM2.5が1時間ごとに測定できる機器を設置した測定局を区独自で設置すること。大気汚染の深刻な羽田空港周辺・臨海部に近い地域(大森東、南、糀谷、羽田)は区の有害大気汚染物質の一般測定局もありません。設置を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、大気汚染測定局の増設についてのご質問にお答えいたします。
区内の大気汚染状況は、大田区の8局と東京都の4局を合わせ、12局で常時監視しているところでございます。
PM2.5につきましては、都環境局に平成22年度から平成24年度末までの配備計画があります。現在、一般局の東糀谷局1局で測定をしておりますが、さらに、今年3月末までに、自動車排出ガス測定局の3局で追加配備される予定でございます。本年4月より、都の測定体制が強化されることから、当区としましては、当面、この体制の中で数値を把握するとともに国の動向を注視しながら、区民の皆様に適宜情報提供してまいりたいと考えております。
【清水議員】
現在東京都がおこなっている大気汚染医療助成制度は、喘息治療の際の自己負担分を無料にするという制度です。公害喘息で苦しんでいる患者さんたちが命をかけて、国と自動車メーカーを相手に起こした裁判が和解した際、国、自動車メーカー,東京都が医療費無料化制度を実現したものです。その期限は今年8月です。患者さんたちや家族、支援者の方々が「なんとしても続けてほしい」と、東京都への要請行動を繰り返しています。都知事宛の「東京都の大気汚染医療助成制度の存続を求める要請書」は蒲田医師会、大森医師会も含む都内27の医師会から提出され東京都の来年度予算化されています。この制度は安心して医療が受けられるよう継続されるべきです。息が出来ない苦しさは患ったものしかわからないといわれていますが、これ以上喘息患者を増やさないこと、現在治療中の患者さんに安心して治療が受けられる制度を存続すること。
●区長は公害喘息患者の命を守るために、国、自動車メーカー、東京都に「大気汚染医療助成制度」の存続を強く求めてください。期限付きでない助成制度の継続を求めてください。お答えください。以上で全質問をおわります。
【松原区長】
次に、東京都に対し大気汚染医療助成制度の継続を求めよ、とのことでございますが、本制度は、東京大気汚染訴訟の和解に基づき、東京都が条例によって実施している医療費助成制度で、区は、申請受付、認定審査、医療券の発行を行っております。
本制度につきましては、平成24年都議会第3回定例会での質問に対して、知事本局長が、和解条項に基づく制度見直しについては、平成25年8月以降に、施行時期も含めさまざまな視点から検討する、また、現に助成を受けている患者の方々については、見直し内容が決まるまでの間に急な影響が生じないよう必要な措置を検討する旨の答弁をしております。区としては、こうした都の動向を注視してまいります。