第3回定例会代表質問(速報)―大竹議員(9月20日)



(映像は大田区議会ホームページより:57分)

【大竹議員】
日本共産党の大竹です。日本共産党を代表して質問いたします。

くらしと福祉・営業の支援を減らして貯め込んだ決算について

【大竹議員】
歴史的核兵器禁止条約を力に核兵器廃絶の実現について質問します。
最初に、緊迫した状況をつくり出している北朝鮮のたび重なる核兵器と弾道ミサイル発射は、世界と地域の平和と安定にとっての重大な脅威であり、累次の国連安保理決議、6か国協議の共同声明にも反する暴挙です。それは国際社会が追求している対話による解決に逆行する行為であり、核兵器禁止条約採決など核兵器のない世界を求める世界の体制に逆らうものです。日本共産党は、強い怒りをもって、この暴挙を糾弾し抗議します。
今の最大の危険は、米朝両国の軍事的緊張がエスカレートするもとで、当事者たちの意図にも反して、偶発的な事態や誤算などによって軍事衝突が引き起こされる現実の可能性が生まれ、強まっていることです。万が一にもそうした事態が引き起こされるならば、その被害は日本にも深刻な形で及ぶことになります。おびただしい犠牲をもたらす軍事衝突は絶対に回避しなければなりません。北朝鮮に対して、これ以上の軍事的な挑発を中止することを厳重に求めます。米朝両国に対して強く自制を求めるとともに、国連安保理議長声明でも現在の危機を打開するために直接対話に踏み出すことを重ねて呼びかけます。特に日本政府は、対話否定論に固執する態度を改め、今こそ対話に踏み切るべきだということを米国政府に説くよう強く求めるものです。
安倍首相は臨時国会冒頭で解散する意向を固めたと報道されています。既に野党4党は、憲法53条に基づく正当な手順を踏んで、森友・加計疑惑など国政私物化疑惑を徹底究明するための臨時国会召集を要求していました。冒頭解散となれば、この憲法に基づく要求を3か月にわたってたなざらししたあげく、葬り去ることになります。冒頭解散は究極の党利党略、権力の私物化であり、憲法違反の暴挙と言わなければなりません。
さて、7月7日、国連で核兵器禁止条約が採択されました。人類史上初の核兵器禁止条約の採択は、日本の被爆者をはじめ、核兵器のない世界を求める世界各国と市民社会の多年にわたる共同の取り組みが結実した、文字どおり歴史的な壮挙です。
8月9日、平和首長会議国内加盟都市会議の第7回総会で、7月に国連での採択を受けて、安倍晋三首相に対し、核兵器廃絶に向けた取り組みの推進についての要請を採択し、要請文を日本政府に提出しました。翌日10日には、平和首長会議第9回総会で、核兵器禁止条約の早期発効を求める特別決議を採択した決議文では、「『世界の都市が国境を越えて連帯し、ともに核兵器廃絶への道を切り開こう』との広島・長崎の呼びかけから始まった『平和首長会議』は、核兵器廃絶のためには、核兵器を法的に禁止する枠組みが不可欠であるとの信念のもと、その早期実現を訴えてきた。この訴えが実を結び、核兵器の禁止を明文化した核兵器禁止条約が、2017年7月7日、国連本部において国連加盟国の6割を超える122か国の賛成で採択された。これはひとえに、被爆者や我々と志を同じくする人々の『核兵器を廃絶すべきだ』という心からの訴えが世界の人々の共感を得て、国々を動かした結果であり、世界162か国・地域の7417の都市が加盟する平和首長会議は、人類の悲願である核兵器廃絶への大きな一歩となる『核兵器禁止条約』の採択を心から歓迎する」と述べています。
●区長は、この首長会議に出席したと聞いています。平和首長会議の一員として、核兵器廃絶のためのメッセージを発信するなど積極的に働きかけていくべきです。お答えください。

【松原区長】
大竹議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、核兵器廃絶のための働きかけに関するご質問でございますが、区では、昭和59年に世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言を行いました。昭和62年から、平和都市宣言の理念に基づき、毎年8月15日に平和都市宣言記念事業「花火の祭典」を開催し、区民の皆様と平和の尊さについて考える機会としております。
一方で、日本を取り巻く世界情勢は刻一刻と変化してきております。今月3日に北朝鮮が核実験を行った際には、区民の生活と安全を脅かす決して許すことのできない極めて遺憾な行為であると抗議声明を発表いたしました。区といたしましては、引き続き平和都市宣言の理念を区の様々な平和都市関連事業を通じて広めていくことが我々に課せられた責務であると考えております。

【大竹議員】
次に、開発推進を転換し暮らし福祉最優先の区政についてです。
2016年度(平成28年度)決算では、一般会計の歳入総額は2583億2737万円、歳出総額は2512億4007万円、歳入から歳出を差し引いた歳入歳出差引額は70億8730万円となりました。今決算年度では、施設使用料の値上げの条例改正による負担増と、予算編成時に指定保養施設の宿泊日数の制限、いきいき高齢者入浴事業の3割の削減、基本健康診査の削減等、区民に身近な事業が削減され、さらに今決算でも事業が削減された内容となっています。
今決算での不用額は102億4741万円、前年度に比べて8220万円、0.80%の減少したものの、2年連続で100億円を超え、多額の不用額を出しました。監査委員の意見書でも、「予算管理上大きな課題がある。多額の不用額を生じた事業を所管する部局は、その原因が効果的な事業執行によるのか、いわゆる契約落差によるのか、あるいは予算見積もりが過大であったのか、しっかりと掘り下げた分析を行い、見極めなければならない」と述べています。
執行率が一番低い款は産業経済費86.89%、不用額は5億722万円で、主なものににぎわい・つながり創出、不用額1億2988万円、執行率60.63%です。この事業で大きく予算をとっているのが新・元気を出せ!商店街事業で、商店街の活性化を促すとともに、地域の核としての商店街機能の充実を図るための事業を進めるため、当初予算で前年度から2400万円増額していました。決して効率的執行や契約落差によるものではなく、予算見積もりに課題があるとするならば、助成金が後払いとなっており、使い勝手が悪いので、改善の努力が必要だったのにされていなかった結果です。
●また、不用額が一番多い款は福祉費32億4098万円で、不用額全体の31.6%を占めています。区民の暮らしと営業の支援で多額の不用額を出しています。暮らし・営業支援を減らした決算ではないでしょうか。お答えください。

【松原区長】
不用額に関するご質問でございますが、各年度の歳入歳出予算については、国や他団体の状況、社会経済状況等を考慮し、区民福祉の向上のため、最少の費用で最大の効果を上げるよう適切に見積もりをした上で編成をしているところでございます。平成28年度予算では、「少子高齢化の進行等、人口構成の変化への対応」、「国家戦略特別区域の仕組みを最大限活用した取り組み」など、四つの重点課題を設定し、特に優先的に予算を配分し、各種事業を推進してまいりました。特に、福祉や産業振興分野においては、23区初となる大田区元気シニア・プロジェクトや、市場規模の大きい次世代ヘルスケア産業への参入につながる産学連携の取り組みなど、将来にわたって区民生活の向上に資する事業を積極的に展開してまいりました。一方で、各事業における執行努力の結果により減となったものや、契約差金などにより一定程度の不用額が発生いたします。今後も引き続き、適切な予算編成及び執行管理を行うことにより、福祉、子育て、安全・安心等、山積する区政課題の解決につなげてまいります。

【大竹議員】
また、特別区債の発行は、収入済額で4億8280万円でした。前年2015年度4億円、2014年度18億円、2013年度42億円余、2012年度49億円余と比べても、2年連続で大きく下回りました。区債は借金ですが、監査委員の意見書でも、昨年度も同様に「区債は世代間の負担の公平と年度間の財政負担の平準化を図る機能を有しています。現在の低金利環境と区の信用力という財産を活用し、金利変動リスクを分散する視点から、適正な公債費負担比率の範囲内において、公共施設やインフラ等の社会資本整備を中心に区債を適切に活用することを検討されたい」と述べています。
特別区債は当初予算では40億円でしたが、補正予算で35億円余減額し、4億円余になりました。それは歳入で特別区民税15億円、特別区財政調整交付金18億円増などによるもので、区民に35億円余の暮らし・福祉の予算が充実できたことになります。
●私も今年度予算特別委員会で提案しましたが、暮らし・福祉充実のためにも、世代間の負担の公平と年度間の財政負担の平準化を図るため、区債の適切な活用を求めます。また、より低利の区債への借り換えを行うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、区債の活用についてのご質問でございますが、区債については、待機児童対策、高齢社会への備え、老朽化した公共施設の機能更新など、今後想定される膨大な行政需要を勘案すると、現段階では、基金の積み立てとともに、将来に向けた発行余力を十分蓄えておく局面と認識をしております。これまでも区債の発行については、その時々の行政需要や財政状況、金利動向などを見ながら、負担の公平性や平準化などにも配慮して対応してまいりました。また、区債の借り換えにつきましては、区債を繰り上げ償還する際に支払う補償金額や後年度負担の平準化、その時々の財政状況などを総合的に勘案して判断しているところでございます。今後の区債の活用に当たりましても、中長期的な視点を持って適宜適切に判断をしてまいります。

【大竹議員】
今決算では、年度末の特別区債は300億円余で、前年度比43億円余減、逆に積立基金は1305億円余で、前年度比94億円余の増となり、何と合計137億円がため込まれたことになります。
●このことは、十分な財源がありながら、暮らしや福祉・営業支援に使われず、ため込まれたことになりませんか。お答えください。

【松原区長】
次に、平成28年度決算における基金及び区債に関するご質問でございますが、平成28年度は、今後一層進展する少子高齢化社会への備えや、老朽化した公共施設の改築など、将来の行政需要に対応するため、計画的に基金を積み立て、適切な残高を確保してまいりました。あわせて、区債につきましても、将来の膨大な行政需要に柔軟に対応していくため、計画的に償還をすることで残高を着実に減少させ、発行余力を十分蓄えてまいりました。区は、これまでも、特別区税などの基幹財源のほか、基金や区債を総合的に活用することで、負担の公平性や平準化などにも配慮し、福祉や産業施策をはじめ、区民の暮らしを支える各種事業を着実に進めてまいりました。引き続き、計画的に基金や区債を活用し、区民目線に立った施策、事業の見直しを進め、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる国際都市おおた」の実現に向けて、持続可能な行財政運営を進めてまいります。

【大竹議員】
そのため込んだ税金はどこに使われるのでしょうか。2018年度予算について、副区長の「2018年度(平成30年度)予算編成、組織・職員定数の基本方針について」の通知で、「空港跡地や新空港線整備については、今後の取り組みの加速化に向けて、大きな転機を迎えている」と述べています。また、3か年実施計画、2017年度から2019年度の歳出の見通しで、新年度(2018年度)は投資的経費が突出しており、前年度の276億円から230億円増と約2倍の506億円となっています。
その使い道として考えられる第1に、同3か年実施計画で新年度は羽田空港跡地第1ゾーンの用地取得を予定しており、もともと区民の土地だった用地を取得するため、多額の税金投入がされると言わざるを得ません。既に鹿島建設グループに公募が決まり、その評価の大きな部分を占めていたのは、地代、月額平米600円でした。延べ床面積も当初案より2.5倍以上にもなっていますので、地代も区予定額の倍以上になってもおかしくありませんし、一体大田区はこの土地で不動産業を始めるのでしょうか。
事業者選定委員会の審査講評では、「先端産業事業では、先端モビリティ・健康医療・ロボティクスの三つの分野で、区内との連携を意識しつつ、全国レベルの企業の集積を構築することが提案されていた」と、区内中小企業支援よりも全国レベルを意識していることです。大田区の自由になる専有面積は4000平米で、全体12万5400平米のわずかに3.18%です。これで区内中小企業支援と言えるでしょうか。
第2の使い道と考えられるのは、新空港線と言わざるを得ません。9月18日、区長が関連18市区長連名による新空港線(蒲蒲線)の早期整備着手に向けた要望活動を実施したことが報道されています。この要望書から見ても、新空港線は区民の利便性の向上より首都圏北西部地域の空港アクセスを著しく向上させるものです。3か年実施計画では、新年度は新空港線の整備推進で国等への手続き申請と実施設計となっており、大田区が第三セクター設立に参加することから、京急蒲田駅までの第1期工事1260億円のうち、国、地方、事業者で3分の1ずつ、420億円となりますが、地方分に加え事業者分の負担も担うことになり、多額の税金投入となります。このように新年度は大規模開発に多額の税金投入が予定されています。
●自治体の本来の役割は、地方自治法第1条でも明らかなとおり、福祉の増進に寄与することです。暮らし・福祉最優先の区政への転換を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、暮らしと福祉に関する区政へのご質問についてでございますが、区は、これまで、大田区基本構想に掲げる将来像を目指し、「おおた未来プラン10年(後期)」に掲げる施策を着実に推進してまいりました。また、社会経済状況や人口構成が変化を続ける中で、未曽有の高齢社会への備えや子どもを取り巻く環境整備等、新たな課題や行政需要にも的確に対応するために、大田区実施計画を策定し、各種事業に取り組んでいるところでございます。
一方で、区財政は健全性を堅持しているものの、景気の先行きの不透明感や、今後、人口構成が変化する中での扶助費の増、公共施設の機能更新など、膨大な行政需要を抱えており、決して楽観視できない状況にあります。こうした状況におきましても、自治体の使命として、地方自治法に規定されている「住民の福祉の増進に努め、最少の経費で最大の効果を挙げる」区政を実現するためには、区民目線に立った事業の見直しや再構築を行うとともに、ハード・ソフト両面にバランスのとれた行財政運営が重要でございます。平成30年度予算編成においても、72万区民の福祉の増進のため、引き続き、地域力の向上、国際都市の推進を目指し、子どもから高齢者まで全ての区民が安全・安心で暮らしやすく、にぎわいと安らぎが調和したまちづくりを一層力強く前進させるよう、実効性の高い予算を取りまとめてまいります。

【大竹議員】
●また、区民への説明責任についてです。副区長の予算編成方針の通達では、予算編成過程の公表で、昨年書かれていた査定内容等の公表が削られました。区民への説明責任を果たし、また、区政参画等を促すとともに、予算編成の質の向上を図るため、予算要求の概要等を公表するとともに、査定内容等の公表を行うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、予算編成過程の公表に関するご質問でございますが、予算編成過程の公表につきましては、区民への説明責任を果たし、予算編成の質の向上を図ることを目的に、平成27年度予算編成から導入をしております。公表の具体的な効果としましては、これまで以上に予算編成の質を高めることができ、それらの結果として、区民サービスの向上や健全な財政運営に資することができる等が挙げられます。平成30年度予算編成におきましても、こうした制度本来の趣旨に沿う形で、予算要求の概要等を公表してまいります。

【大竹議員】
次に、決算年度は私立認可保育園10施設をはじめ、定員を717人増やしました。しかし、今年4月1日発表の大田区の保育園待機児数は572人で、前年度から343人の増となり、都内最大となりました。保育園待機児の算出方式では、厚生労働省が示した新基準で、保護者が育児休業で復職の意思がある場合や休職中の場合は待機児童として算出することとしており、このうち育児休業を延長したケースは、国がこれまで待機児童に含めないことができるとしていたため、自治体ごとにカウントするかの判断が分かれていました。大田区では、新たに今年度から算出方式を新基準に移行し、育休延長を待機児童に含めることとした結果であり、評価できますが、旧基準でも前年度比128人増でした。
党区議団は、今決算年度の昨年第1回定例会の本会議最終日に、待機児は認可保育園不承諾数1800人以上が対象であるとの立場から、認可保育園80人定員20か所の増設の組み替え動議を提出しました。必要な財源は60億円で、区独自の財源は2億2100万円の提案です。今決算では十分財源があったことを示しています。保育園待機児問題は大きな社会問題であり、区政の最優先課題でもあります。保育士不足も深刻で、今年10月1日開設予定の(仮称)ポピンズナーサリースクール西六郷では、保育定員を57人から20人に減らしました。その理由は保育士が集まらなかったからです。しかし、一方で、区立保育園の常勤保育士募集には、30人に対して150人が集まりました。区立では賃金と処遇等労働条件が違うからです。
●新年度はおおた未来プラン最終年で、保育園待機児ゼロを目標にしている2018年度(平成30年度)です。目標実現のためには保育士確保も必要です。認可保育園不承諾数を目標に、区立保育園を含め認可保育園の増設を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、認可保育園の増設についてのご質問でございますが、平成28年度は当初計画を見直し、最終的に717名の増員を図りましたが、待機児童の定義の見直しや想定を超える保育申請の増加などにより、本年4月の待機児童数は572名と前年度より増加する結果となりました。区は、直近5年間で3215名の保育サービス定員を増員いたしましたが、今年度はさらに、現在の待機児童数や来年度の保育申請の増加分を踏まえ、1100名の定員拡充に向け全力を挙げて取り組んでいるところでございます。なお、昨年度策定した大田区実施計画において、平成29年度から31年度までの3か年で計2100名の認可保育園をはじめとした多様な保育サービスの定員拡充により、待機児童解消を図る予定でございます。

新蒲田複合施設は多目的ホールではなく音楽ホールの計画へ

【大竹議員】
次に、大田区民センター跡地に計画している複合施設についてです。大田区民センター跡地の(仮称)新蒲田一丁目複合施設の基本計画の概要が発表されました。複合施設敷地は約2100平米に、保育園、子育て支援スペース、中高生の居場所、地域包括支援センター、高齢者利用施設、文化活動支援施設、区民活動施設が計画されており、文化活動支援施設では400から500人の多目的ホール、区民活動施設では集会室が現在11教室ありますが、8教室になる予定です。
半世紀近い歴史を持つ音楽ホールを持つ大田区民センターは、1970年当時、音楽専用ホールは全国的にも珍しく、JR蒲田駅、東急蒲田駅から徒歩圏である立地条件が幸いして、大田区内外の利用者、来場者に広く親しまれ、都内城南地域における実演芸術の拠点としてシンボル的な地位を保持してきました。大田区民ホールを利用されている方は、アマチュア演奏団体のコンサートやリハーサル、区内外学校の演奏会、発表会、ステージ備品のコンサートグランドピアノを使ったピアノ発表会、映画愛好家団体の映写会などのアート系利用にとどまらず、区内外団体・企業の発表会、研究集会、式典等のビジネス系利用もされています。施設の歴史が長く、設備が老朽化していましたが、ホールの大きな空間容量がもたらすすぐれた音響効果が高く評価されており、CDレコード制作会社がクラシックのプロフェッショナル演奏者を起用した演奏収録にたびたび使用されています。また、この響きのよさに着眼し、吹奏楽コンクールが始まる時期には、コンクール本番に備えて響きのバランスやアンサンブルの仕上がりを整えるホール練習として、中学校、高等学校、社会人の吹奏楽団体によるリハーサルでも多く使われています。区内には、大田区民ホールアプリコ1477席、大田区民センター音楽ホール731席、大田区民プラザ大ホール509席、大田文化の森ホール259席と規模の重複がないため、催事規模により使い分けられていました。
●一般的な多目的ホールではなく、音楽ホールと同規模のすぐれた音響効果が高いホールが求められていますので、これからつくる実施設計で計画すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、大田区民センター音楽ホールの音響効果に関するご質問でございますが、大田区民センター開設後、蒲田地区には区民プラザ、大田区民ホールアプリコが建設され、大規模な音楽ホールは充実しております。一方、大田区民センター施設の老朽化が著しいことから、今年の第1回区議会定例会におきまして、大田区立区民センター条例の一部を改正する条例を上程し、施行日を平成30年4月1日として、大田区民センターを廃止する議決をいただきました。(仮称)新蒲田一丁目複合施設で計画しているホールは、地域の身近な活動の場として、地域の拠点となる施設を目指してまいります。新たなホールは、地域の活動に適した一定の音響効果を持たせ、音楽発表会のほか、地域団体が実施する講演会やイベントなど、多目的に活用できる機能を確保した施設として既に検討をしております。

【大竹議員】
また、音楽ホール外のホワイエ壁面に宮下芳子氏(新宿スバルビル地下「新宿の目」の作家)制作の金属レリーフ「飛翔」が飾られています。左側の作品は輝く太陽の中心に大田区の「田」をかたどり、右側の作品は力強く飛び立つ鳥をあらわし、左右の作品一対で躍進する大田区を表現しています(制作者談)。まだパブリックアートが珍しい時代、当時の大田区がこの音楽ホールにかけた意気込みの高さが感じられます。
●都内城南地域における実演芸術の拠点としてシンボル的な地位を保持してきた音楽ホール壁面を飾る金属レリーフを複合施設に飾る等、保存を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、大田区民センターホワイエ壁面を飾る金属レリーフに関するご質問でございますが、金属レリーフは宮下芳子様の作品で、昭和45年の大田区民センターの開館に合わせて制作されたものでございます。左右一対の作品のおのおのが、高さ3メートル、幅5メートルを超える大変大きな作品でございます。金属レリーフの取り扱いにつきましては、関連部局が多角的に検討しているところでございます。

【大竹議員】
●複合施設の残りの敷地2400平米の活用については、「今後、蒲田西地域のまちづくりを総合的に検討して決める」と説明されていますが、区民の貴重な財産ですので、早期に計画を発表すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、(仮称)新蒲田一丁目複合施設の残りの敷地の活用についてのご質問ですが、大田区民センター解体後の敷地の活用につきましては、地域ニーズに応じた施設、地域力の拠点となる施設として、将来のまちづくりを見据えた施設整備を行ってまいります。(仮称)新蒲田一丁目複合施設建設後の残地につきましても、今後の蒲田西地区の総合的なまちづくりの中で、将来的に土地の有効活用が図れるよう検討をしているところでございます。

真の改革で区民の命と健康を守る国民健康保険について

【大竹議員】
次に、真の改革で区民の命と健康を守る国民健康保険についてです。
国民健康保険(国保)は、加入者の年齢構成が高く医療費水準が高い、所得水準が低く保険料負担が重く、保険料の収納率が低い等、構造的課題があります。今年度も保険料は平均7252円、介護分2410円と値上がりし、区役所に7月末まで1万件を超える問い合わせがありました。毎年のように保険料が上がり、区民から高過ぎる保険料に悲鳴の声が上がっています。
2018年度から新制度が始まります。都道府県が財政運営の責任主体となる「国民健康保険制度創設以来の大改革」と言われています。来年度から都道府県が国保の保険者となり、区市町村の国保行政を統括・監督する仕組みが導入されます。新制度が始まると、都道府県が国保事業に必要な費用を各区市町村に納付金として割り当て、区市町村が保険料を賦課徴収し、都道府県に納付することになります。各区市町村の納付金負担額は、それぞれの区市町村の医療費水準、被保険者の所得水準、被保険者数を指標に都道府県が算定します。
昨年秋から今年初めにかけて、各都道府県は新制度導入に向けて納付金、標準保険料率の試算を行い、五つの道府県が仮算定値を発表していますが、その結果は、多くの市町村で大幅な国保料の引き上げとなり、住民、関係者に衝撃が走ったことから、厚労省は急遽ガイドラインの見直しを行い、6月に改定ガイドラインを発表、さらに3回目の試算に当たっての係数についても明らかにし、その試算結果を8月31日まで報告するよう都道府県に通知しました。これを受け、都道府県は3回目の試算を行っています。また、試算結果の公表については、都道府県や市区町村の判断に任せるとしています。
東京都については、この間、2回の試算を行っていましたが、都民にも各自治体にも公表していません。3回目の試算については、8月下旬の区市町村との連携会議に報告し、9月の都国保運営協議会で明らかにするとの情報も寄せられています。今回の改定ガイドラインでは、保険料負担抑制のための新たな財源措置などには触れておらず、今でも高過ぎる保険料を下げるものにはなっていません。
●住民負担増、給付費削減を推進するという枠組みは変わりません。このような大幅な保険料値上げにもなりかねない新制度に対して、区として国と東京都にどのような働きかけをしているのかお聞かせください。

【松原区長】
次に、国民健康保険制度についてのご質問ですが、新しい国保制度の開始に際し、国に対しては、全国市長会を通じて、平成30年度以降の公費拡充を確実に実施すること、今後の医療費の増加に確実に対応できるよう、国による財政支援を拡充し、財政基盤の強化を図ることなどを求めております。都に対しましては、特別区長会として、国に対して国費の投入方法について検討するよう働きかけをすること、国の示すガイドラインを踏まえた保険料の激変緩和措置だけではなく、都の責任において被保険者の保険料負担に配慮したきめ細かい激変緩和措置を講じることを求めております。高齢化の進展、医療の高度化など、医療費が増える中で国民皆保険の基盤である国民健康保険制度を将来にわたり持続可能な医療保険制度とするため、区の役割をしっかり果たしてまいります。

【大竹議員】
新制度では新しい仕組みとして、都道府県のもとに財政安定化基金が設置されます。基金の主な業務は、区市町村が保険料の収入不足で納付金を完納できない場合や、給付費の急増で財政が困難になった場合に貸し付けを行うことです。貸し付けを受けた区市町村は、その返済が義務づけられています。厚労省は、この財政安定化基金の導入により、今後は国保も収納不足や医療費の増加に対応した公費の独自繰り入れは必要なくなるという考え方を示しています。
また、保険者努力支援制度の新設で、区市町村、都道府県の医療費削減や収納率向上の努力を国が判定し、成果を上げていると判断した自治体に予算を重点的に配分する仕組みです。制度導入は2018年度からですが、既に2016年度から、保険者の努力を国が評価し、調整交付金の配分に傾斜をつける仕組みをスタートさせています。さらに、都道府県は「国保運営方針」を策定し、指導することになります。厚労省は、2016年4月、この「国保運営方針」の基本的考え方を示す「国保運営方針ガイドライン」を策定しました。そこで強調されているのが国保財政の赤字の解消です。同ガイドラインで、厚労省は、国保の赤字とは、決算補塡等目的の法定外繰り入れと繰り上げ充用金の増加額の合算額であると規定、それぞれどのような対応をするのかを細かく指示しています。
2015年度、全国の区市町村が実施した法定外繰り入れは総額3856億円でした。そのうち3034億円が、厚労省が解消を求める繰入金となります。その中で一番大きな部分を占めるのは、保険料の負担緩和を目的とした繰り入れ2496億円です。厚労省の繰り入れ解消計画が実行されれば、全国で高過ぎる国保料のさらなる引き上げが起こることは明らかです。新制度がスタートすれば、解消すべき繰り入れと続けてもよい繰り入れも色分けされ、国や都道府県から繰り入れ解消を求める圧力を受けることになります。
しかし、地方自治を規定した憲法のもと、区市町村が実施する福祉的施策を政府がとめることはできないという原則は守られています。厚労省も、新制度の導入後も国保会計への公費繰り入れは「自治体でご判断いただく」と答弁しています。大田区の法定外繰り入れは昨年度58億円余で、被保険者1人当たり3万8000円となっています。
●新制度になっても区の独自繰り入れを守ると同時に、国から投入される3400億円の中の低所得者対策や子どもの被保険者が多い自治体への支援など、住民に役立つ部分を活用して負担軽減を図るべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、国保制度改革に伴う保険料の負担軽減についてのご質問ですが、平成30年度から区市町村国保の財政赤字に見合う規模の国の公費を拡充することにより、一般会計から法定外の繰り入れを行わずに国保事業を運営できる仕組みになります。区市町村が国保事業を維持運営するために行ってきた一般会計からの法定外の繰り入れについては、計画的に解消、削減すべきものとされています。保険料の負担軽減策としては、現在は所得割と均等割のうち、均等割の割合を小さくすることや均等割額の軽減措置を実施しています。新しい国保制度におきましても、所得の低い方や子どもの多い世帯の方については、保険料負担が過度に重くならないよう一定の軽減措置が必要です。所得の低い方に対する負担軽減措置を拡充することや、子どもに係る均等割保険料を軽減する支援措置を創設することについて、引き続き国と都に求めてまいります。

【大竹議員】
高過ぎる国保料を抜本的に引き下げ、将来にわたって保険料高騰を抑えていくには、国庫負担割合を引き上げ、国保の財政構造を抜本的に変えるしかありません。かつての給付費の6割という国庫負担水準を回復し、さらに不断の拡充を行っていくことこそ、国民皆保険を持続可能にする唯一の道です。国庫負担増の必要性については、今回の国保改革を協議する席で、全国知事会が政府に1兆円の国庫負担増を要求するなど、幅広い共通認識となっています。
各地で区市町村が独自に行っているひとり親世帯、子育て世帯、障がい児のいる世帯などへの国保料の減免を実施することとあわせて、貧困層、境界層を対象とする保険料や窓口負担の恒常的な免除制度を区独自に確立すべきです。また、低所得者や中間層に過酷な負担を強いる不合理な保険料算定式で、特に国保改革に向けた国と地方の合意で子育て支援への逆行が指摘され、今後の検討となった子どもの分の均等割については、引き続き見直しを求めていくべきです。
●これら新制度に当たり、定率国保負担割合を引き上げや、保険料、窓口負担の減免制度の拡充、収納対策の抜本的転換を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、国保制度改革後の運営についてのご質問ですが、新しい国保制度においても、国と都の負担を合わせて保険料給付に必要な額の50%を公費で賄う枠組みになっております。国に対しては、国庫負担割合の引き上げなど、国保財政基盤の拡充・強化を図り、国の責任と負担において実効ある措置を講じるよう求めております。国保保険者が予期しない医療費の増加が生じていることや、医療技術の進歩に伴う高額医療費の増加が見込まれることから、特別財政支援措置を講じること、新国保制度の開始に際して区市町村の負担増は決して招かないよう、国の責任において万全の対策を講じることも求めております。新しい国保制度にあっても、保険料は国保事業の重要な財源であることに変わりはありません。平成30年度以降の保険料の負担については、制度の仕組みや負担と給付の公平の観点からご理解をいただくよう、わかりやすく説明するとともに、減免制度を十分周知し、保険料の納付相談についても引き続き丁寧に対応してまいります。

安心と将来を見通した公共施設としての臨海斎場について

【大竹議員】
次に、将来を見通した公共施設としての臨海斎場についてです。
7月14日の地域産業委員会で、臨海斎場使用料の改定について報告されました。改定の趣旨では、臨海斎場の使用料については、3年前の2014年度の臨海斎場議会の決定によって、3年を目途に見直すこととしています。使用料のうち火葬料の設定に当たっては、火葬事業の原価相当額として、施設利用者に適正な受益者負担を求めるものです。前回2015年の改定から3年経過する2018年度から火葬料改定します。
背景として、①臨海斎場の火葬需要の増、②施設更新と財政基盤の確保、③近隣斎場との比較では、桐ヶ谷、東京都瑞江葬儀所と比べて低料金になっており、利用者の負担額に大きな差がある。今回の改定内容として、前回改定時の内容を引き継ぎ、火葬事業に係る直近の経常経費をもとに火葬料を算定するとして4万円に改定する。8月の臨海斎場組合議会で決定するものです。来年4月から臨海斎場の火葬料が4万円になります。3年前の2015年度に2万3000円が1.5倍の3万4500円の値上げになった、3年後見直すとして今回の値上げとなったことです。
私は3年前の2014年第3回定例会でも質問しました。そして、公共斎場は、他自治体では住民に対して無料が多く、値上げを検討するならば無料を検討すべきと提案しました。しかし、「施設利用者に適正な受益者負担を求めるものです」と値上げされ、さらに今回の値上げとなりました。火葬場は人生の最後にお世話になる公共施設であり、受益者負担の考え方は当てはまらないものであり、多くの自治体が無料で行っています。
臨海斎場条例の第1条で、住民の福祉の増進を図るために設置及び管理運営されており、関係5区の共同の公営斎場です。関係5区が毎年負担している負担金は6億円余で、そのほとんど、約5億9000万円が公債費として、臨海斎場建設のために起債した公債費の償還に使われており、来年度、2018年度(平成30年度)には償還が完了します。その後の負担金はどのようになるのか、区民に明らかになっていませんが、大幅に減ることが予想されます。この負担金を区民に還元することはできないでしょうか。大田区の負担金は全体の約6割弱の3億円余で、例えば2015年度の年間死亡者数は6205人です。1人4万円の火葬料を6205人に払うとすれば、2億4820万円あれば火葬料を無料にすることはできます。臨海斎場以外の他の火葬場使用者には4万円の補助金を出すと、全ての区民の火葬料は無料にできます。
●人生の最後にお世話になる火葬場ですので、区独自で区民の火葬料を無料にする助成制度を提案します。お答えください。

【松原区長】
次に、区民の火葬料を無料にする助成制度の提案についてでございますが、公営斎場である臨海斎場は、平成16年1月に開設されました。火葬件数は、平成16年度の4046件から28年度は7177件と年々増加している状況です。臨海斎場の火葬料については、火葬にかかる経費に相当する額を利用者にご負担いただくことが、民間の火葬場を利用する方との公平性の観点から適正な受益者負担であり、火葬経費に基づき算出しております。27年度の改定では、3年ごとに火葬料を見直すこととして、今回、直近の火葬にかかる経費を参考に火葬料を1.16倍とし、年々増加する火葬需要を見据えて、火葬炉の増設など、今後は臨海斎場の施設整備に組織区の貴重な財源を集中させていただくことが求められており、区独自に火葬料を助成することはいたしません。なお、死亡者が組織区の実施する生活保護の被保護者である場合などは、臨海部広域斎場組合臨海斎場条例施行規則に基づき、使用料を減額しております。

【大竹議員】
現在の4式場では1週間待ちとも言われていますので、今でも利用が多い式場の増設を求めます。また、炉についてですが、当初8基から2011年度に10基に増設しましたが、利用人数は、2020年度は8000人と想定し、2004年度の2倍近くになっている。今後の人数増に合わせて計画的な増設計画をつくり、将来を見通して炉の増設を求めます。さらに、保冷庫では、2011年11月に提出された大森南のご遺体保管所営業によって損なわれた生活環境改善を求める陳情を受けて、2014年度に20を24に増設されましたが、大森南では生活環境が改善されていません。まだ足りないので増設を求めます。
●式場、炉、保冷庫の計画的な増設計画をつくり、将来を見通した増設を求めます。お答えください。

【松原区長】
最後に、式場、炉、保冷庫の増設計画についてでございますが、臨海部広域斎場組合では、既に臨海斎場の施設整備を今後の重要な課題として位置づけ、組織区とともに施設整備に関する基本構想の作成に着手しております。火葬需要は年々増加傾向にあり、臨海部広域斎場組合、組織区ともに、適切な規模の施設整備の必要性を認識しております。基本構想の作成に当たっては、火葬需要の動向のほか、葬儀の多様化といった視点も考慮して検討を進めていくことが必要でございます。区といたしましても、臨海部広域斎場組合を中心に組織区と情報共有し連携しながら、利用者の需要に合致した施設整備となるよう取り組んでまいります。

【大竹議員】
近年、ペット愛好家が増えています。ある調査結果では、犬と猫だけの数字ではありますが、全国で犬が1034万6000頭で、猫が995万9000頭という調査結果が発表されています。ちなみに、日本の総人口は1億2691万人です。1人で複数頭を飼われている人もいますので、正確な計算にはなりませんが、約16%の人が犬か猫を飼っています。犬と猫で2000万頭を超え、さらにその他の種類のペットが加わると、どれほどの数字になるのでしょうか。
このような状況から、城南島など区内のペット火葬炉もふえてきています。また、公共斎場でもペット火葬炉が増えてきています。臨海斎場でもペット愛好家のためにペット火葬炉建設を要望します。
以上で質問を終わります。

以  上

カテゴリー: 議会の動き・政策・発言集 パーマリンク

コメントは停止中です。