第4回定例会代表質問(速報)―和田議員



(映像は大田区議会ホームページより:63分)

【和田議員】
日本共産党区議団を代表しまして①国の悪政から区民の暮らしと営業を守る2014年度予算について ②大型開発中止で区政の抜本的な転換を ③子どもの安全を守り成長を保障する保育と待機児対策について ④公有地の活用で区民施設の建設を について質問します。

国の悪政から区民の暮らしと営業を守る2014年度予算について

【和田議員】
昨夜、衆議院本会議で、廃案・慎重審議を求める国民の声を無視して、特定秘密保護法案が強行採決され、自民、公明、みんなの党の賛成で可決しました。どの世論調査でも、国民の7~8割は今国会での成立は急ぐべきでないというものです。25日福島県で開かれた特別委員会の地方公聴会でも、与党の推薦を含め7人の公述人全員が法案に反対または慎重審議を求めました。その声さえ踏みにじって、衆院特別委員会の質疑を打ち切り、委員会も本会議も通過させるという暴挙に、日本共産党区議団は強く抗議します。
法案は憲法が保障する基本的人権を踏みにじるものであり、国民から見て何が秘密かが秘密とされること、情報が秘密にされ真実がわからなければ、国民には憲法違反の戦争さえ食い止める手段がないこと、一般国民も監視、処罰の対象となること、その目的が国民の目、耳、口をふさいで「海外で戦争する国」づくりにあることが明らかになっています。
情報漏えいした場合、最高懲役10年以下で処罰され、状況によっては懲役10年以下とあわせて罰金1千万円以下も課されます。
21日に日比谷野外音楽堂で開かれた大集会は1万人の参加者で会場からあふれました。日本弁護士連合会をはじめ労働組合、市民団体、日本ペンクラブ、憲法や刑法、歴史の研究者、テレビキャスター、日本写真家協会、出版人、演劇人、外国特派員、国際ペンクラブなどが反対の声を上げています。
元自民党幹事長の野中広務さんは、秘密保護法案が与党と野党の一部との「修正」協議で、衆院を通過しようとしていることに昔の「大政翼賛会」のようだと厳しく批判しています。このような危険な法案は「修正」ではなく廃案にするしかありません。
大田区には羽田空港もあり、大田区が特定秘密を預かることになるかもしれません。区長をはじめ、区民にとって無関係ではありません。
●区長、「平和」をかかげる首長として、国民の知る権利を奪い、戦争への道を開く「特定秘密保護法案」は廃案にするよう国に声を上げるべきです。お答えください。

【松原区長】
まず、特定秘密の保護に関する法律案についてのご質問でございますが、特定秘密の保護に関する法律案は、我が国の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿することが必要であるものについて、適確に保護する体制を確立した上で収集・整理・活用することが重要であることから、当該情報の保護に関して、特定秘密の指定や取扱者の制限を通じて、情報漏えいの防止を図り、我が国、国民の安全確保を目指す趣旨であると理解しております。また、本法が拡張して解釈されることにより、国民の知る権利を保障するための報道や取材の自由が制限されるなど、国民の基本的人権が不当に侵害されることがないような配慮がなされると聞いております。しかしながら、国民の中にも様々な意見があることから、充分な審議がなされる必要があると考えております。本法律案につきましては、衆議院の国家安全保障に関する特別委員会で議論されてきたところでございますが、昨日、衆議院本会議で採決され、今後参議院での議論が始められることから、その結果を注視したいと考えております。

【和田議員】
11月15日には、衆議院厚生労働委員会で社会保障制度改悪の手順を定める「社会保障改革プログラム法案」を一部野党の反対討論さえ保障せずに強行採決し、自民党、公明党の賛成で可決しました。
消費税増税と一体の「社会保障改革プログラム法案」は国民の「自助・自立」を口実にした社会保障制度を解体する大問題です。
政府の任務は、「自立・自助のための環境整備の推進」と強調していますが、日本国憲法25条は、国に対して社会保障の「向上及び増進に努めなければならない」と義務付けています。社会保障からの「自立」の推進を国の責務と位置付ける法案は、あきらかに憲法違反の法案です。
介護では、要支援者の保険給付を制限する、特養ホーム入の所者を認知症や知的・精神障害のある方を除き、要介護3以上に原則制限する、一定の所得がある方の利用料を1割から2割に負担増
医療では、70歳~74歳の患者負担を1割から2割に負担増、病床削減で患者の追い出し、入院時の食費などの負担増
年金では、過去の「物価下落」分として2013年10月に1%、2014年4月に1%、2015年4月に0・5%削減、恒久的な支給減や年金課税強化、支給開始年齢の引き上げ
保育では、公的責任放棄の「新システム」、株式会社の参入を促進する「待機児童解消加速化プラン」など負担増と給付減で社会保障制度を大本から変質させる大改悪となっています。
開業医などでつくる全国保険医団体連合会が歯科会員に実施した調査で、政府が狙う70歳~74歳の窓口負担が現行1割から2割にされた場合、78%の歯科医師が「患者の減少、治療中断などの影響が出る」と受け止めていることがわかりました。来年4月から計画している消費税増税についても、52%が増税による患者の受診抑制を懸念しています。
●国の進める社会保障改革は区民の介護、医療、年金、保育などの福祉を根こそぎ奪う重大問題です。推移を見守るなどと言っている状況ではありません。他の自治体からも批判と懸念の声が上がっています。政府と国民の間で攻防が続いている今だからこそ国の悪政から区民を守るために、大田区からも社会保障の改悪に反対の声を上げるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、社会保障改革について国に意見を上げるべきとのご質問でございますが、この社会保障制度改革の目的は、近年の急速な少子高齢化の進展する中で、安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図ることにあります。基本的な考え方として、自助・共助・公助の最適な組み合わせ、社会保険料に係る負担増大の抑制、給付と負担の両面にわたる世代間の公平などを掲げております。現在は、社会保障制度改革の道筋を示したプログラム法案が、国会で審議されており、区といたしましては、引き続き、国の動向を注視してまいります。

【和田議員】
次に2014年度の予算について質問します。
党区議団は11月19日に区長宛に、防災対策や子育て支援、高齢者・障害者福祉、区内中小企業支援など222項目にわたる「2014年度の予算編成に関する要望書」と住宅リフォーム助成の拡充や年末年始の緊急窓口開設などの緊急要望を提出しました。
いま大田区では、生活保護受給者は13,135世帯、16、560人、43人に1人と大変深刻です。就学援助受給者は小学生が6,891人、24・7%、中学生が3,947人、36・4%です。
生活保護費の基準引き下げへの不服審査請求が43世帯以上、国民健康保険料値上げに対して区の窓口へ1万人を超える問い合わせや怒りの声が寄せられました。収納強化を行った中でも国保保険料滞納世帯は35,300世帯、短期証発行3,760世帯、資格証明書発行410世帯と深刻な状況です。
また、認可保育園の待機児童は900人以上、特養ホームの待機者は1,500人もいます。介護保険料は基準額で年間9,600円の引き上げ、後期高齢医療保険料は年間平均8,731円の引き上げ、年金給付も今年10月から減額され、そのうえ、物価値上げの追い打ちで「高齢者や低所得者の長生きは許されないのか」と区民の怒りは頂点に達しています。
地方自治体である大田区の2014年度の予算編成は、国の悪政に直撃される区民の命や暮らし、福祉、営業などを守るものでなければなりません。
生活保護費の引き下げは命にかかわる重大な問題です。これまでにも、3度の食事を2回にしている、入浴は週に2~3回、猛暑の中でも電気代節約のためにクーラーがあっても使わないなど節約に節約を重ねて暮らしているのが現状です。
8月の保護費引き下げに始まった生活保護の改悪は、憲法25条の「健康で文化的な生活」どころか命も守られない福祉切り捨てです。
また、生活保護基準の切り下げで、就学援助をはじめ生活保護基準に連動して基準を設けている自治体の事業でもサービスを受けられなく区民が出ることが問題になっています。
第3回定例会の菅谷議員の代表質問で、就学援助の現行水準を維持するよう求めた質問に、「2014年度以降の取り扱いは、国、都の動向を見ながら判断する」と答弁していますが、動向を見守るのではなく、影響が出ないように区が独自に対策をとるべきです。
世田谷区では生活保護の基準切り下げで、就学援助をはじめ区が独自に行っている施策への影響は63事業あることを明らかにしました。特に影響が大きいのは就学援助です。区は就学援助の実施要項を改正し、一般財源約700万円を支出して、援助の対象外になった世帯がこれまで通り援助を受けられるようにする方針を決めています。就学援助以外の事業でも条例・規則などを改正し、引き続きサービスを受けられるよう措置をとるとしています。
●生活保護の引き下げによって、介護や医療、年金など就学援助以外の事業で影響が出る事業がどのくらいあるのかあきらかにすることを求めます。また、2014年度以降も、就学援助をはじめ他の事業も基準変更の影響が出ないよう世田谷区のように大田区でも独自対策を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、生活保護基準の見直しの影響に関するご質問でございますが、生活保護基準の見直しに伴う影響につきましては、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を十分に考慮しながら対応すべきであると考えております。区といたしましては、他制度への影響に十分に注視しつつ、これまで同様、区民の皆様が安心して生き生きと暮らしていくために、必要な支援を、必要な人に適切に提供をさせていただく考えでございます。

【和田議員】
先日、生活保護の申請に行った区民が、申請するまで3時間かかったという話を聞きました。保健福祉委員会でも実例を示しながら、就労や扶養義務などを理由に申請させない「水際作戦」が行われているのではないかとの党区議団の質問に、調査した結果、水際作戦は行われていないと答弁しています。しかし、実際には申請したくてもさせてもらえないという声があります。
私たちのところに来る相談者の中には「あなたは生活保護を受けられません」と追い返された、「窓口で2回断られた」と議員に相談し、一緒に行ってようやく申請することができたなど水際作戦は行われているのです。
●生活保護の申請は誰でもできるものです。申請の意志のある人にはまず申請をさせることです。お答えください。

【松原区長】
次に、生活保護申請に関するお尋ねをいただきました。各生活福祉課窓口では、面接相談員が相談者の生活状況について詳しくお聞きし、その上で相談者が抱える問題の解決に努めているところでございます。面接相談員が相談者の生活状況をお聞きする中で、生活が困窮している状況を確認した後、生活保護の申請をいただいております。相談者が相談の中で、生活保護の申請意思を示した場合、生活保護申請書を交付し申請いただいております。

【和田議員】
生活保護を申し込むために福祉事務所を訪れる方は、病気や雇用、貧困など様々な問題を抱えています。訪問者の気持ちに寄り添って抱えている問題を解決の方向に一緒になって探すという専門性が求められています。経験豊富な職員が必要なので窓口の職員は頻繁に異動させないことも大切です。
これまでバブル崩壊やリーマンショックなどの厳しい経済状況のもとでも頑張って乗り越えてきた矢口地域の町工場が、先月とうとう廃業しました。とても残念です。
日本一と言われたものづくりの集積地の大田区でしたが、最高で9,000社を超える区内の中小工場は、大企業の下請け単価の切り下げや海外進出、バブル崩壊、リーマンショックなどの影響で、現在は3,500社を切っているといわれています。倒産・廃業があとを絶たず、2012年度は倒産件数96件、従業員699人、負債額221億7,200万円です。
区民の所得からみても、営業所得は前年より12万円減の402万4千円となっており、ものづくりの町大田区の中小商工業者が一段と厳しい環境にあることが表れています。これ以上区内商工業者を減らさない支援が急務です。
補正予算で住宅リフォーム助成1,000万円の増額がされました。この事業が実施されて3年目になり、区民への周知効果や助成率、助成の上限が拡充されたことなどで、利用者が多くなりました。大変喜ばしいことです。申し込みをした区民が、予算を使い切ったのでキャンセル待ちや次年度の申し込みをと言われていましたが、補正予算を組んで増額をとの区民要望があり、また、党区議団も申込者が全員利用できるよう緊急要望をしました。
●経済効果も高く、利用者だけでなく区内業者の仕事づくりにも大きな役割を果たしているリフォーム助成事業は、申込者が全員利用できるよう次年度の当初予算で増額することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、リフォーム助成事業についてのご質問でございますが、この事業は、住宅の質の向上と地域経済活性化を目的として平成23年度から実施させていただいてきました。平成24年度は当初予算額2千万円からスタートしましたが1千万円の増額補正を行い、本年度は、当初予算額3千万円に対して1千万円の増額補正をお願いしているところでございます。リフォーム助成につきましては、先ほども申し上げましたが、これまでの申込状況等を踏まえ、事業の拡充について検討してまいりたいと思います。

【和田議員】
先日、葛飾区の町工場のみなさんがモノづくりの集積技術を生かして、無人の深海探査機「江戸っ子1号」をつくり、試運転をしている模様が放映されました。この仕事に参加したゴム加工会社の社長さんが、「町工場で培った技術が世界に通用する自信を得られた」と熱く語っていました。
大田区でも「下町ボブスレー」でモノづくり技術の健全さを示しました。さらに、第2のボブスレーになることが期待される「小型風力発電機」の研究・製作が進んでいます。東京都の「連携イノベーション促進プログラム助成事業」制度を活用できるように都に申請しましたが、申請件数が400件と多く、残念ながら助成対象から外れてしまいました。
●大田区のものづくり集積を生かした、「小型風力発電機」が実用化することになれば、区内中小工場の未来に明るい希望を与えることになります。ぜひ大田区として助成することを求めます。お答えください。
【和田議員】
第2、第3のボブスレーが続いて生み出されるためにも、再生可能エネルギー関連の技術開発などに新たな助成制度をつくり支援することが大切です。
また、大田区のモノづくり技術を守るには世代継承が欠かせません。中小企業の後継者育成のために青年を雇用する場合、指導、教育、訓練、その他の材料費として、1人につき年額で200万円を3年間助成することを求めます。
●これらのことを実施していくためにも、一般会計予算の構成比1%台の産業経済費はあまりにも少なすぎます。構成比5%に増額することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、産業経済費について、一般会計歳出予算上の構成比を5%台に増額を求める、とのご意見でございますが、大田区では、公益財団法人大田区産業振興協会と連携をいたしまして、市場開拓やマッチングなどにより、中小企業の競争力の強化及び若手人材の育成などの、様々な支援策を実施しております。区の財政が引き続き予断を許さない状況下にあっても、区内産業の集積維持・発展を図ることは区としての重要な役割であると考えております。必要な予算を確保しているところでございます。今後とも、区内産業の発展にとって真に必要な支援について検討し、充実した産業支援策を提供できるよう努力してまいりたいと思います。

大型開発中止で区政の抜本的な転換を

【和田議員】
次に大型開発中止で区政の抜本的な転換について質問します。
第3回定例会では、これまでも計画に上っていた羽田空港跡地の開発や蒲田・大森駅周辺地区の開発、新空港線「蒲蒲線」鉄道事業について、東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決まったこともあり、区長はじめ他の議員からも推進加速を求める発言が目立ちました。
しかし、多額の税金が投入される大型開発は拙速に行うべきではありません。
内容についても区民に十分な周知をされていないうえに、地域の活性化や採算性の保障もありません。
京急蒲田西口駅前再開発事業は、地区面積1haに地下1階、地上20階に商業施設、住宅、駐輪場などの建築物を建設するものです。
公共施設としては、都市計画道路や特別区道の拡幅整備と約1,000㎡のペデストリアンデッキを含む4,400㎡の交通広場を新設します。総事業費は約236億円とされています。
今年の2月に権利変換がすみましたが、再開開発組合の資料によりますと権利変換の対象者で、地権者164人のうち45人、借家権者125人のうち111人、その他の権利者25人全員、合計314人のうち181人が転出となっています。
事業目的には、防災性の向上、市街地に活性化、良好な都市住宅の提供などと掲げられていますが、これまで住んでいた人や商売をされていた人たちが住み続けられなくなったということです。
糀谷駅前地区再開発でもすでに転出する人が出ていると聞いています。
また、区は蒲田駅周辺整備について、2009年度に「蒲田駅周辺地区グランドデザイン」を策定、その後も調査研究会や駅開発検討部会などを設置し、昨年度は「蒲田都市づくり推進会議」の設置と「蒲田駅周辺再編プロジェクト(素案)」を作成しました。
整備の進め方として、プロジェクト策定から5年以内をめどに着手する初動期、10~20年以内を中長期としています。
駐輪場の整備や東西連絡通路の整備は区民の要望でもありますので、すすめていくことは必要です。一方、京急蒲田西口や糀谷駅前と同様に住民追い出しになることが危惧されます。
●地域の商店会の役員さんが、「町が消えてゆく」と話されたと聞いています。地域住民にとっていい街とは安心して住み続けることができる街ではないでしょうか。再開発事業には多額の税金が投入されます。自分が納めた税金を使って、自分が追い出されるまちづくりは間違っています。中止すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、蒲田駅周辺整備の質問についてでございますが、京急蒲田西口駅前地区第1種市街地再開発事業は、平成9年の町会や商店街(など?)からなる四者会を皮切りにいたしまして、平成11年の京急蒲田西口地区まちづくり研究会の発足、平成16年の再開発準備組合発足を経て、まちの皆様の協議の中、合意形成が積み上げられてきたものでございます。長い年月の中で地域住民の皆様が、まちづくりの創造と選択を重ね、まちの不燃化・耐震化を求め、安心で安全なまちの形成と交通結節点としての機能強化が図られようとしております。糀谷駅前地区におきましても同じ様な過程で事業が推進されております。一方、JR蒲田駅周辺地区では公共基盤整備を中心とする事業を区として検討しているところでございます。質問のありましたJR蒲田駅周辺地区では、蒲田駅周辺再編プロジェクト素案を公表し、これも踏まえまして、町会や商店街など、地元をはじめとする区民の皆様と活発な意見交換をしているところでございます。また、素案のパブリックコメントの中では、大変多くの方々に、蒲田駅周辺整備に対する期待の声をお寄せいただいております。区では年度内に、蒲田駅周辺再編プロジェクトを確定させることで、歩行者空間の拡大やバス、タクシーなど交通機能の利便性向上、放置自転車の一掃など、区民生活に密着した施策を極力早期に実行し、暮らしやすいまちの実現につなげていきたいというふうに考えております。

【和田議員】
JR蒲田駅と京急蒲田駅をつなぐ蒲蒲線は、本来の住民の要望からますますかけ離れてきています。もともとの住民の要望は、JR蒲田駅と京急蒲田駅間を便利にしてほしいというものでした。それが途中から東京の西部地域から羽田空港に行く人に便利な交通として、新空港線「蒲蒲線」と名称も変更されました。
第3回定例会の区長挨拶で、「新空港線は、羽田空港から蒲田駅を経由し、東京都心部や東京西部とを結ぶ新たな交通ネットワークとして重要な路線です。オリンピック・パラリンピックを契機に東京に来訪されるお客様の利便向上のためにも、早急な事業採択と整備が望まれるところです。」と言われているように、区民の利便性が目的にはなっていないことがわかります。さらに、「蒲蒲線」という言葉も消えてしまいました。
2009年の「おおた未来プラン10年」作成時には、新空港線「蒲蒲線」の整備促進としていた事業名も後期のプランでは「新空港線の整備促進」と「蒲蒲線」の言葉はなくなっています。この事業が区民のための事業ではないということがますます明らかになってきました。
実施に向けて、東京都などと勉強会を重ねていますが、東京都議会の第3回定例会で日本共産党のそね肇都議会議員の質問に、都は「『蒲蒲線』の整備については、多額な事業費のほか、事業採算性、東急線と京急線との線路幅の違いなど、さまざまな課題がある。」と答えているように、まだまだ大田区と東京都、東急、京急の間で一致していません。
大田区はすでにこの事業の調査などで1億円を超える税金を使い、10億円の基金積み立てをしています。
●区民の利便性が考慮されていない、区民には不要の新空港線は中止して、無駄に税金を使う区政を抜本的に転換すべきです。そして緊急性・必要性の高い認可保育園や特養ホームの増設、保育園・児童館などをはじめとした区民施設の耐震工事や改修・改築などを優先すべきです。そのような税金の使い方こそ地域経済の活性化にもつながると考えますが、お答えください。

【松原区長】
次に、新空港線は中止し、緊急性・必要性の高い認可保育園等の増設、区民施設の耐震工事などを優先すべきではないかとのご質問でございますが、新空港線は、羽田国際空港へのアクセス強化、蒲田地区のまちづくりへの寄与など多くの整備効果・経済効果が期待されることから、時機を逸することなく、事業実現を目指した取り組みを進めてまいります。今後も、待機児童解消対策として、認可保育園や認証保育所、定期利用保育室、グループ保育室の開設支援、特別養護老人ホーム建設の補助などに取り組んでまいります。併せまして、橋りょうの架け替え整備や耐震補強整備、新井宿特別出張所の改築、蒲田駅・大森駅周辺のまちづくり、志茂田小学校・中学校の改築など、区民施設の改修・改築を進め、区民生活の向上のために真に必要となる施策に取り組んでまいります。私は、安全で安心な、誰もが住みやすい、にぎわいのある大田区を実現するために、ソフト面とハード面が一体となって推進されるよう平成26年度予算編成を行っていく決意であります。

【和田議員】
羽田空港跡地の開発については、第1ゾーンが2011年12月に都の国際戦略総合特区「アジアヘッドクォーター特区」に指定されました。アジアヘッドクォーター特区は、「欧米の多国籍企業やアジアの成長企業の事業統括部門や研究開発部門を東京へ誘致し、新技術・新サービスを創出する魅力的な成長市場の創出を目指している」としています。
区長は第3回定例会のあいさつで、「羽田空港跡地に世界中から人、もの、情報が集まる日本のゲートウェイに生まれ変わる予定である」と強調しました。そのために、イノベーションハブ、ものづくりゲートウェイ、コンベンション・展示場の機能を持つ「羽田グローバルアライアンスセンター」の形成を提案しています。しかし、この構想は区内中小企業支援や地域の活性化になるとは考えられません。
安倍政権が掲げる「成長戦略」は「世界で1番企業が活躍しやすい国」として、大企業が大もうけできる国を目指しています。国民の暮らしを豊かにするどころか、貧困と格差を広げる結果しかもたらしません。
「成長戦略」を実行するための「国家戦略特区法案」では、一定の地域を特区に指定し、その区域を「世界で戦える国際都市」「世界で最先端のビジネス都市」に塗り替えるために、規制や制度を徹底的に取り除く「特例措置」を次々と導入します。税金優遇策も準備します。外国企業を呼び込むための基盤も整備します。まさに大企業の利益追求のために至れり尽くせりです。
しかし、減税など、いたれりつくせりのサービスをして、欧米の企業を呼び込んでも、区民のくらしも経済もよくなりません。これまで多国籍企業が利益をあげても、それは労働者や中小企業にはまわらず、株主配当や経営者への報酬を引き上げ、巨額の内部留保をためこみ、金融投機に使われてきたではありませんか。すでに失敗した経済政策です。
いま大事なことは、大幅な減税や規制緩和で多国籍企業を呼び込むことではなく、国際的に協調して、多国籍企業に適正な納税や雇用のルールを守らせる社会的責任を果たさせることではないでしょうか。
この間、世界各国で法人税の引き下げ競争が続き、各国の財源が枯渇し、借金が膨れ上がる、「多国籍企業栄えて国滅ぶ」という深刻な事態が生まれています。この問題については、OECDが「有害な税の競争」と繰り返し警鐘を鳴らしてきましたが、2010年のG20でも是正の必要性が提起されました。このように世界では法人税の引き下げ競争をやめようという流れになっています。「特区」戦略は、世界の流れに逆行するものです。
●これまでも規制緩和をすすめる「構造改革特区」などが導入されましたが、今回の法案では、以前の特区では建前にしていた「地域の活性化」という言葉は消えました。地域の住民生活や産業振興のことなど眼中にないことを示しています。区民の大切な税金を世界の流れにも逆行するこのような開発につぎ込むことは許されません。今すぐ中止すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、国家戦略特区法案と羽田空港跡地に関するご質問をいただきました。跡地第1ゾーンは、国際戦略総合特区制度を活用し、国際化した羽田空港と大田区のものづくり産業の集積との相乗効果を生み出し、地域の活性化と日本の国際競争力の向上に寄与する土地利用を目指しております。現在、国会で審議されている国家戦略特別区域法案では、規制改革その他の施策を総合的且つ集中的に推進し、産業の国際競争力を強化すると共に、国際的な経済活動の拠点を形成するとして、その目的は、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することとされております。9月に、東京都が国家戦略特区に向けた国の募集に応じ、アジアヘッドクォーター特区のバージョンアップを提案しました。この中での空港跡地は、産業の戦略拠点とする考えを基本としております。日本の製造業の国際競争力の向上には、それを下支えする基盤技術の集積や維持・強化が欠かせないところでございます。そのために、新しい市場の開拓や新技術の創造を誘導する仕組みを空港跡地に作り出していきたいと考えております。こうしたことから、この構想は区内中小企業支援や地域の活性化になるとは思われないとの指摘は当たらないものと考えております。羽田空港跡地につきましては、引き続き、特区制度を活用しつつ、国や東京都と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

【和田議員】
●もともと空港跡地は大田区民が住んでいた土地です。返還をさせて、当初の計画どおり森林公園にすることや風力、太陽光パネルなどの再生可能エネルギーを提供する場として区民のために有効に使うことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、空港跡地を区民のために有効に使うことを求める質問でございますが、空港跡地は、羽田空港移転問題協議会が平成22年度に策定をいたしました、羽田空港跡地まちづくり推進計画を基本といたしまして、具体化を目指しているところでございます。この計画では、産業交流支援施設の他、区民の皆様が憩える多目的広場などを形成することとされております。加えて、この広場は、避難場所としての機能も合わせ持つこととしております。また、戦後の強制退去の歴史を踏まえ、羽田の歴史コーナーを導入し、羽田の歴史を次世代へ伝える施設も重要であると考えております。これらのまちづくりに当たりましては、自然エネルギーの利用など、環境配慮の観点からも検討するよう私から指示をしているところでございます。

【和田議員】
●地域経済の活性化と日本経済の危機を打開するには、大企業優遇から大企業の内部留保の活用で働く人の賃上げと安定した雇用の拡大、消費税増税中止、社会保障の再生と拡充、内需拡大など国民の生活支援へ抜本的な転換を図ることです。お答えください。

【松原区長】
次に、地域経済の活性化と日本経済の危機を打開するために、国民の生活支援へ抜本的な転換を図るべきとのご質問でございますが、国内総生産など、国の経済指標は、緩やかながら改善の動きを見せてきております。完全失業率や雇用者数も、徐々にではありますが改善の動きを見せていると認識しております。また、政府におきましては経済団体に対し、賃上げの要請を行っているところであり、一部には、要請に応える動きがあると伺っております。国におきましても、アベノミクスの三本の矢の一つであります成長戦略の一環として、産業の国際競争力の強化を目指す国家戦略特区法案や、地域での創業促進や中小企業の事業再生の支援強化などを盛り込んだ産業競争力強化法案などが議論されているところでございます。今後、成長戦略を実践し、デフレ経済からの脱却、経済再生を目指すことが、国民生活の向上につながっていくのではないかと考えております。また、少子高齢化の進展により、社会保障の担い手が長期的には減少していく中で、受益と負担のバランスを取りながら、社会保障の安定財源を確保するために、社会保障と税の一体改革が進められ、消費税の増税がなされるものと理解しております。本区といたしましては、このような国政における動きを引き続き注視してまいりたいと思います。

子どもの安全を守り成長を保障する保育と待機児対策について

【和田議員】
次に子どもの安全を守り成長を保障する保育と待機児対策について質問します。
来年4月からの入園申し込みが始まりました。区は、待機児対策として3年間で1,000人の保育定員を増やす「大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プラン」を策定し取り組んでいます。今年度は3年目の最後の年度です。
今年の4月には438人の待機児がうまれた中で、450人の定員増を目標にし、目標達成の見込みとの報告です。
しかし、4月時点の認可保育園の待機児童数は900人を超えています。認可保育園に入園を希望しても入園出来なかった子どもたちは待機児童ですから、また認可保育園に申し込むことになります。
認可保育園を希望する理由は園庭があるなどの施設の設備や保育料など様々ですが、保護者の方々は、誰もが子どもの安全が守られる保育園に通わせたいと願っているのではないでしょうか。
大田区でも待機児対策のために認可保育園をはじめ認証保育所、小規模保育所、定期利用保育室、グループ保育、保育ママなどで対応しています。
認可保育園の保育士は全員有資格者ですが、認証保育所、小規模保育所、定期利用保育室では有資格者は6割以上いればよく、グループ保育や保育ママは保育士の資格はなくても子育て経験があればよいとなっています。
厚生労働省の事故報告集計と「赤ちゃんの急死を考える会」の調査によりますと、2012年の1年間に意識不明や骨折を含む負傷事故が前年の75件から127件に増加し、死亡事故も14件から18件に増加しています。18件の死亡事故のうち12件が認可外保育施設で起きています。また、12件の年齢は、0歳児10人、1歳児1人、3歳児1人であり待機児童を含む低年齢の子どもの命が失われています。改めて乳児こそ安全性の担保された施設で手厚く保育されるべきではないでしょうか。
また、保育はただけがをしないように見守っていればよいというものではありません。子どもたちは集団の中で、各年齢で、適切な経験を通して獲得すべきことを獲得しながら成長していきます。成長していく子どもの姿に親も保育士も喜びと感動を共有しながら一緒に成長していくのが保育の現場です。
それを保障するのは、専門職である有資格の保育士集団です。
●保護者が望んでいるのは、子どもの安全が守られ、同時に集団の中で発達することが保障される保育施設です。保育士の配置や資格の有無、保育室の基準など国の最低基準が守られていて、安心して預けることができる認可保育園なのです。待機児対策は、認可保育園の増設でこそ行うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、待機児解消対策は、認可保育園の増設でこそ行うべきとの質問でございますが、増加する保育ニーズに的確に対応していくためには、保育サービス基盤の拡充を多様な手法を駆使しながら図っていくことが、不可欠であると認識しております。大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プランでは、認可保育所の整備の他、認証保育所、グループ保育室の整備、新たな小規模保育所の開設をするなど、様々な手法を用いて、積極的な取り組みを進めてきたところでございます。今後も、待機児童解消に向けた施策を総合的に展開することにより、地域の保育ニーズにきめ細かく対応してまいります。

【和田議員】
保育所において子どもの権利を保障するうえで設備運営基準や最低基準は重要です。そして、児童福祉法により、国、自治体、施設に対し、「最低基準を超えて、常に、その設備や運営を向上させること」が義務付けられています。
最低基準は、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」の保障を具体化するために設定されたものであり、「文化としての児童の生活を保障するに必要な最低の基準」を示したものです。
具体的な施設設備の基準は、0歳・1歳の乳児室(子ども1人につき1・65㎡)またはほふく室(同3・3㎡)、2歳以上の幼児では1・98㎡を必要としています。
屋外遊戯上(園庭)は2歳以上の幼児については、1人につき3・3㎡以上必置となっていましたが、規制緩和で近所の公園などが使用できれば、設置しなくともよいとされました。
しっかり這い這いすることや思いっきり体を動かすなど、乳児のほふく室も幼児の園庭も子どもの発達に必要だから義務付けられているのです。
同じ幼児が生活している幼稚園では、園舎および運動場は、同一の敷地内又は隣接する位置にあることを原則としています。同じ幼児の集団保育を営む環境の基準にこのような格差があることは好ましいものではありません。
●都心では、土地がない、地価が高いなど保育園の建設に大きな課題となっていますが、だからしかたがないと子どもにしわ寄せすることは許されません。園庭もなく、公園にもすぐにいけないようなビルの中に設置するのでなく、子どもの育ちを考慮した条件で認可保育園の増設を求めます。お答えください。

【松原区長】
子どもの育ちを考慮した条件での認可保育園の設置を求めるとのご質問でございますが、認可保育所は、子どもの健全な心身の発達を図ることを目的とした、児童福祉施設であると認識しております。このため、保育所を開設する際には、子どもの健康や安全の確保、発達の保障等の観点から、運営事業者の保育計画を十分精査すると共に、必要な指導を行っております。引き続き、質の確保された保育サービス基盤の整備に努めると共に、テナント型保育所などの手法も駆使しながら、待機児解消に向けて積極的に取り組んでまいります。

【和田議員】
先日、静岡市の待機児童園「おひさま」を視察しました。産休や育児休業明けなど年度途中に入園を希望する子どもが、空きがなく入園出来ないとき認可保育園に入園できるまで保育をする静岡市立の認可外保育園です。
対象は0歳、1歳、2歳児で定員が72名の保育園です。市の待機児童の現状は大田区と同様に、年度途中の待機児童の増加が顕著で、年齢は0歳児から2歳児に集中しています。年度の途中からでも入園できることから、安心して育児休業を活用できます。実際、現在在籍している園児は育児休業明けが多いそうです。
認可外保育園ですが、職員体制や設置基準は認可園と同基準で運営しています。保育士の身分は市の職員です。年度途中から入園できるということは年度初めには空きがなければなりません。このような運営は民間では不可能で公立だからこそできるのです。静岡市には3つの区がありますが、各区に1カ所づつ待機児童園を設置する予定だそうです。
●大田区でも保育園に入園できるかどうか心配で育児休業が取れない、早くから「保活」に奔走しなければならない区民を支援するために、認可保育園の増設とあわせて、区立の待機児童園の設置を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、区立の待機児童園の設置を求めるとのご質問についてでございますが、待機児が多い低年齢児の対応は重要であると認識しております。このため、保育サービス定員の増加に当たり、認証保育所、グループ保育室、定期利用保育事業など、特に保育ニーズが集中する1歳児に重点を置いた取り組みを進めてまいりました。更に、今年度は新たに小規模保育所を3か所開設するなど、待機児解消対策を積極的に進めており、お話の待機児童園の設置は考えておりません。

【和田議員】
2012年8月、保育関係者だけでなく、多くの国民が反対したにもかかわらず、消費税増税法案とともに子ども・子育て関連3法が成立しました。
2015年度実施に向けて政府内でも大田区でも「子ども・子育て会議」が開かれていますが、準備期間が短いうえに、新制度の全体像が明かにされない中で、国レベルで順次まとめられる方針を受けて、「大田区の子どもの命と発達をどう守るのか」「そのための制度はどうあるべきか」という検討よりも新制度の具体化に追われるようなことになってはいないでしょうか。
●新制度になっても実施主体は大田区です。これまでの保育行政を後退させないためには、新制度に不十分な点があればそのしわ寄せを子どもたちに押し付けないよう対策をとることを求めます。また、後退させない保障のために、財政状況も含めて必要な要望を国や東京都にしていくべきと考えますが、お答えください。

【松原区長】
次に、子ども・子育て支援新制度に関するご質問でございますが、平成27年4月に本格施行が予定される子ども・子育て支援新制度では、保育の必要性の認定制度や地域型保育事業の創設など、保育制度の大きな変更が予定されております。区では、現在、保育ニーズを把握するため、就学前と小学生の保護者に対するニーズ調査を実施しております。この調査結果や国から示される新制度の基本方針を踏まえ、大田区子ども・子育て会議でご審議をいただきながら、新制度に向けての検討を行い、計画の策定や必要な条例の整備などを進めてまいります。また、新制度への円滑な移行や財政負担などについては、今後とも、特別区長会などを通じ、国や都に対する意見・要望を伝えてまいりたいと思います。

【和田議員】
現行の制度では、認可保育園への入園希望者は大田区に申し込むことになっていますが、新制度では新制度で運営される施設(認可保育園、認定こども園、保育ママ、小規模保育施設など)を利用するには認定が必要なので、介護保険のように、まず大田区に申し込み、区から発行された認定証をもって希望する保育施設に再度申し込むことになります。
今問題になっているのは、「認定」区分が複雑になっている上に、長時間、短時間など子どものための「保育必要量」の認定がされるかどうかです。
現在の保育園では、朝登園して友達と一緒に過ごして夕方に家庭に帰ることが一般的になっています。このことは、子どもの生活と発達保障の視点や家庭保育と集団保育との望ましい連携からおこなわれているものであり、現行の保育所設備運営基準(最低基準)でも「8時間原則」が定められています。入園する子ども同士が生活と時間を共有し、育ちあう集団保育が成り立ってきました。
保護者の働く時間で、例えば午前中4時間とか、午後の4時間というような認定の保育時間ではこれまで築き上げてきた保育を守ることはできません。
遠足や運動会をはじめ、日本の伝統文化の行事なども成り立たなくなります。
また、短時間の子どもが多い施設では財政上運営が厳しくなります。
●「保育の必要量」の認定を行う場合には、たとえ短時間を設けるとしても、子どもの生活リズムを保障する観点からも安定な保育活動を保障する観点からも、また、保育所経営を後退させないためにも8時間保育を保障すべきと考えます。お答えください。

【松原区長】
次に、保育の必要量の認定についてのご質問でございますが、保育の必要性の認定につきましては、長時間、短時間の2区分とすることとなっております。国の子ども・子育て会議では、主にフルタイムの就労を想定した保育標準時間と、主にパートタイムの就労を想定とした保育短時間の保育の必要量について、検討されてきたところでございます。先日の国の会議において、短時間の一日の利用時間を最大8時間とする政府案が示されており、今後も、国の動向を注視しながら、適切に対応してまいります。

【和田議員】
今、働く人たちの所得が減り続け、社会保障の後退などますます生活が厳しくなってきています。今後も保育園の入園希望者が増え続けることが予想されます。需要に見合った量の保育施設の整備がされなければなりません。
●大田区の保育施設整備の具体化では、「大田区子ども・子育て支援事業計画」に、認可保育園を中心にした整備目標を明記することが必要です。お答えください。

【松原区長】
次に、大田区子ども・子育て支援事業計画には、認可保育所を中心とした整備目標を明記すべきとのご質問でございますが、子ども・子育て支援新制度の施行に向け、本年8月に大田区子ども・子育て会議を設置したところでございます。計画の策定に当たりましては、ニーズ調査の結果、国の基本方針、会議の論議なども踏まえ検討を進めてまいります。お話の整備目標などの今後の待機児童解消対策につきましても、こうした取り組みの中でお示ししてまいります。

公有地の活用で区民施設の建設を

【和田議員】
最後に公有地の活用について質問します。
萩中2丁目にある税関宿舎跡地に特養ホームの建設計画が進められています。住民説明会が終了したあとに東京都に申し込む予定になっています。また、今回の補正予算に計上されましたが、西馬込地域の教員住宅跡にも特養ホーム30床とショートスティ5床の小規模特養ホームが建設されます。
特養ホームの増設を願う区民の声に応えたもので大変良かったと思います。しかし、1,500人の待機者がいますので、まだ足りません。
●引き続き待機者数に見合う特養ホームの建設を求めます。また、建設されても利用料が高くて順番が来たのに入所できないという低所得者のために、国民年金でも利用できる特養ホームの建設を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、都有地等を活用した福祉施設の建設についてのご質問にお答えします。大田福祉工場が立地する用地ですが、施設の改築の予定は、すでに東京都から情報提供を受けております。ただし、改築計画の内容は、未定と聞いております。引き続き、東京都と密接な情報交換を行ってまいります。特別養護老人ホームや認可保育所を、区が用地を購入して建設することは考えておりません。社会福祉法人等に対し必要な支援を行い整備を促進してまいります。今後も情報収集に努め、購入・借り受けが可能な公有地がある場合、区は、改築や改修、新規施設の建設ニーズの有効性の検証を行ってまいります。

【和田議員】
国有地の活用については、2013年4月に特別区長会として、少子化対策担当大臣と厚生労働大臣あてに「待機児童解消対策の強化を求める緊急要望」を提出しました。国有地の保育施設の活用にあたり、未利用国有地等の情報供と償貸与を含む優先的活用、売却時の負担軽減策などを求めています。
区内都有地では、大森西2丁目にある東京都大田福祉工場が老朽化してきたため、改築が予定されています。建築基準法により現在のままでは建て替えができないということから、2棟ある建物を1棟にして土地の一部を東京都に返還するとのことです。
●区として、大田福祉工場の土地について早急に情報の収集をし、障害者の入所施設など福祉施設の建設に大田区が優先して活用できるよう働きかけることが必要と考えます。
また、他の公有地の活用で特養ホームや認可保育園の建設などに積極的に取り組むことを求めます。お答えください。

【松原区長】
最後に、特別養護老人ホームに関する質問でございますが、議員お話のように今年度は30床の特別養護老人ホームの整備を進め、今後も施設整備につきましては、介護保険事業計画の中で適切に定め、取り組んでまいります。また、低所得者の特養入所に際しましては、利用できる負担軽減制度として、高額介護サービス費の支給、食費・居住費の補足給付、生計困難な方への利用者負担額軽減制度がございます。入所に当たりましては、その方の状況に応じて、これらの制度を活用して対応をしてまいりたいというふうに思います。以上でございます。

以  上

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