2012年第1回定例区議会(2月23日~3月27 日)が開かれました。区民のくらしや営業に関わる新年度予算案等を審議する定例会です。
新年度予算案は、総額2264億円余で、前年度比44億円余、1・9%の減額予算です。その予算には、区民の皆さんの声や党区議団が主張してきたことが実現しています。(下表参照)
しかし、区民のくらしや営業に係る分野には昨年に続きマイナス5%のシーリング(減額)をかけて、95事業が縮小・廃止されました。
一方で、京急蒲田西口駅前再開発等で都市整備費は34億円増、さらに羽田空港跡地計画、新空港線蒲蒲線、蒲田・大森駅周辺開発等、大規模開発を聖域にしています。
党区議団は、不要不急の大規模計画を見直し、縮小・廃止される事業を復活させ、区民の切実な願いである、3つのゼロ(75歳以上の医療費・保育園の待機児・特養ホームの待機者)を実現するため、予算の編成替えの動議を提出しました。(次ページ)
党区議団から、予算特別委員会副委員長
党区議団は区民の声が反映する議会にするため、正副委員長は会派人数に応じて選出することを求めてきました。党区議団は今後も民主的な議会改革に取り組みます。
実施・拡充が決まった主な事業
◎小児緊急医療支援事業(小児科医の雇用経費・事業経費一部助成)
◎高齢者肺炎球菌ワクチン助成の拡充(70歳から5年ごと→毎年へ)
◎都市型軽費老人ホームの整備
◎20ヶ所の地域包括支援センターに職員を各1名増員補助
◎認可保育園建設・新設補助
◎耐震診断・耐震助成事業の拡充
◎区立保育園・民間保育所・福祉避難所の防災備蓄物品の確保
◎住宅リフォーム助成の拡充(助成率5%→10%、限度額10万円→20万円など)
党区議団の質疑で前進させた事業
◎大田区総合体育館を災害時の物資集積所や帰宅困難者対策・避難場所として活用
◎特養ホーム建設計画(544床)を明らかにさせた
◎小学1・2年生の学級編成を35名にすることを確認
4月からの区民負担増
年金支給額 | 物価下落を反映するとして今年6月に0.3%減、12月に0.9%減 |
---|---|
介護保険料 | 標準月額4,900円(+800円)年58,800円(+9,600円)へ |
国民健康保険料 | 平均月額7,940円(+67円)年95,277円(+798円)へ |
後期高齢者医療保険料 | 平均月額8,179円(+728円)年98,149円(+8,371円)へ |
年少控除廃止 | 6月から年少扶養控除廃止で住民税増税(子ども1人あたり月2,750円増税) |
子ども手当 | 児童手当に名称変更、所得制限導入 |
公的保育 | 新システムで公的責任の大幅後退を検討、保育園探しは保護者の自己責任に |
4月から、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料がいっせいに値上げされ、支給額が削減された年金から天引きされることになります。
大田区の本来の役割は、国の悪政から区民のくらしや福祉を守ることですが、大田区の新年度予算は、民主党政権がすすめる国民に「消費税増税と社会保障の改悪」を押し付ける政治に追い討ちをかけるものとなっています。
くらし・営業支援 予算の編成替えを提案
党区議団は区長提案の新年度予算に対して区民の願いにこたえる予算の編成替えを求める動議を予算特別委員会・本会議で提案しました。
財源は不要不急の事業の廃止で減額したものと、財政基金384億円余を取り崩すことで確保できます。財政基金は歳入が少ないときのために積み立てているものです。
党区議団の動議は賛成者少数で否決されましたが、引き続き実現のためにがんばります。
組み替え動議の提案
不要不急の事業の廃止 | 予算額(単位:千円) |
---|---|
親善訪問調査の中止 | ▲9,570 |
セーラム市親善訪問調査の中止 | ▲4,762 |
人権推進事業のうち同和対策に係る経費の減額 | ▲4,924 |
国際戦略総合特区推進事業の減額 | ▲4,002 |
蒲田駅周辺のまちづくり減額 | ▲49,054 |
大森駅周辺のまちづくり減額 | ▲19,461 |
新空港線「蒲蒲線」の整備促進事業減額 | ▲10,466 |
予算で廃止・縮小された事業の復活 | |
電話訪問 | 8,687 |
福祉電話貸与 | 6,208 |
準福祉電話 | 6,834 |
心身障害者世帯住み替え家賃助成 | 707 |
ひとり親世帯住み替え家賃助成 | 1,006 |
出産こども一時金事業 | 22,325 |
生活保護世帯への入浴券 | 43,535 |
母子栄養食品事業 | 1,375 |
くらし・福祉・営業の充実 | |
75歳以上高齢者外来医療費半額助成 | 2,200,000 |
特別養護老人ホーム1箇所建設費 | 2,860,000 |
認可保育園4箇所増設費用 | 640,000 |
ものづくり経営革新緊急助成 | 275,000 |
中小事業者の後継者支援 | 1,000,000 |
食材放射能測定機器の購入 | 3,000 |
放射能測定器購入 | 6,780 |
合 計 | 6,973,218 |
党区議団 区内各地を放射線測定
昨年の東日本大震災による、東京電力福島第一原発事故の放射能汚染は区民に大きな不安をもたらしています。
党区議団は大田区環境保全課と同型の測定器を購入し、大気中の放射線量の測定を区内全域で行っています。
党区議団の調査で区が除染を行った場所(上表参照)は、除染措置を行い、放射線量が指標値未満となったことを確認し、立入禁止措置が解除されました。
ご要望に応じて測定を行っておりますので、測定したい場所がある方はご連絡ください。
党区議団の調査で区が除染を行った場所
南久が原区道 | 最大0.31μSv/時→0.17μSv/時(1月27日除染) |
---|---|
東糀谷防災公園 | 最大0.89μSv/時→0.09μSv/時(2月2日除染) |
入新井西公園 | (交通公園)最大0.57μSv/時→0.13μSv/時(3月7日除染) |
大田区は0.25μSv/時(マイクロシーベルト毎時)を指標値として、これを上回る場合は除染するとしています。区の測定・除染状況は大田区ホームページ《東日本大震災に関するお知らせ→放射線に関する情報→区内の放射線量の測定結果について(定点測定以外の測定結果)》に随時掲載されています。
労働環境の改善と適正な賃金を 大田区で公契約条例を
大田区は「民間の活力を活かす」として外部委託や指定管理をすすめていますが、新聞折込の求人広告では外部委託された特養ホームの調理補助は時給900円、区役所受付事務で900円などと紹介されています。
このような低賃金・ワーキングプアを解決する手段の一つが公契約条例です。下請業者・労働者へのしわ寄せを防ぐためにも契約にかかわる労働者の労働環境の整備を図り、契約業者も安心して仕事ができるようにするため、条例を制定する必要があります。
ILO第94号条約では「公契約で働く労働者に均等待遇を保障する」となっています。野田市や川崎市など全国に広まりつつあるのはそのことを証明しています。
この間、党区議団は全会派に呼びかけ学習会を2度開き、今議会で条例提案を行いました。賛成少数(下表参照)で否決されましたが、引き続き実現に向け区民との共同を広げます。
新年度予算案・議案に対する各会派の態度
( )内は会派の議員数 | 結果 | 自民(16) | 公明(12) | 共産(9) | 民主(6) | ネット(2) | みんな(2) | 無所属(1) | 緑の党(1) | 日本(1) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大田区一般会計予算 | 可決 | ○ | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ |
大田区国民健康保険事業特別会計予算 | 可決 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
大田区後期高齢者医療特別会計予算 | 可決 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
大田区介護保険特別会計予算 | 可決 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | × | ○ |
大田区公契約条例(党区議団の議員提案) | 否決 | × | × | ○ | × | ○ | × | ○ | ○ | × |
区民の願いにこたえる議会に 請願・陳情結果
請願や陳情は、行政に住民の意思を反映させるための制度であり、提出は住民の権利です。
今回の採択は4件
今回は、「軽度外傷性脳損傷の周知についての陳情」および「国への意見書提出を求める陳情」、「UR住宅を公共住宅として居住者の居住の安定を求める陳情」、「東邦医大通りバス停に屋根と椅子の設置を求める陳情」が全会一致で採択されました。
一方で、14件の陳情が不採択になりました。
給食食材の放射能検査機器を購入してほしいなどの区民の切実な声がありました。また、既に区が改善した陳情を「願意が達成された」と不採択にしましたが、区民の要望にこたえ採択することが議会の本来の仕事です。
◎請願・陳情は誰でも出せます
今後も請願・陳情を積極的にお寄せください
今議会で不採択となった請願・陳情
〈○は採択を主張、 ×は不採択を主張〉 ( )内は会派の議員数 |
結果 | 自民(16) | 公明(12) | 共産(9) | 民主(6) | ネット(2) | みんな(2) | 無所属(1) | 緑の党(1) | 日本(1) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
矢口地域の交通安全に関する陳情 | 不採択 | × | × | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ |
学校給食の食材など大田区独自で放射性物質の測定を求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | ○2 ×4 |
○ | × | × | ○ | × |
大森西図書館多目的室の使用予約日を3ヶ月、せめて2ヶ月前にすることの陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | ○ | × | × | ○ | × |
国民健康保険料の値下げと減免制度の延長並びに介護保険料値下げを求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × |
消費税増税・社会保障改悪に反対する意見を国会に届けることを要望する陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × |
医師・看護師・介護職員等の大幅増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護を求める請願 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × |
ゆうゆうくらぶの浴室を、公衆浴場なみに利用できることを求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | × | ○ |
子どもの医療費を18歳まで無料化を求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × |
大田区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に関する陳情 | 不採択 | × | × | ○ | ×5 退1 |
○ | × | × | ○ | × |
区指定の災害時避難所施設に太陽光発電システムの設置を求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | ○ | × | × | × | × |
国民健康保険料の引き下げを求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × |
国保料・介護保険料・後期高齢者医療制度へ都並びに国の財政支援強化を求める陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | ○ | × |
環状8号線区民プラザ入口交差点改良工事並びにそれに伴う交差点角地買収に関する陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × |
多摩川8緑地に関する陳情 | 不採択 | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × |