第1回定例会一般質問(速報)―杉山議員(2月24日)



(映像は大田区議会ホームページより:18分)

【杉山議員】
日本共産党大田区議団、杉山公一です。
初めに、一言申し上げます。報道によると、ウクライナにおいて、複数の都市で24日、本日未明、ロシア軍の空爆が始まり、南部などの地域に軍事侵攻が開始されたとのことです。今回のロシアによるウクライナへの軍事侵攻と、ウクライナ東部での親ロシア勢力が支配する二つの地域を独立国としてロシアが承認したことは、国連加盟国の主権、独立、領土保全の尊重、武力による威嚇禁止を表明している国連憲章、国際法の基本原則に違反した侵略行為です。日本共産党は、この暴挙を断固糾弾するとともに、独立承認と軍事侵攻の速やかな停止を強く求めるものです。
それでは、質問に入ります。

区民の健康を守るための航空機騒音の規制強化について

【杉山議員】
羽田空港機能強化、増便、新飛行ルートが、区民の命と健康、財産を脅かすものであり、到底許されるものではありません。今すぐ中止をという観点から質問します。
なぜ命と健康、財産を脅かしているのか。その一つが騒音の問題です。大田区では、1973年10月9日の議会において、区民生活の安全と快適な生活環境が確保されない限り、羽田空港の撤去を要求するとの決議を経て、1977年6月12日、羽田空港移転促進住民大会が開催され、5地区の住民約1000人が参加し、地元選出の衆参両議員、都議会議員、大田区議会議員、大田区長も出席し、大田区民の生活環境と自然環境を回復させるためには、羽田空港沖合移転を早期に実現せよとの決議が満場一致で採択されました。その後、羽田空港移転問題協議会において、18項目の問題点が確認され、1983年に当時の運輸大臣が羽田空港沖合展開基本計画を決定し、騒音問題の解消などが盛り込まれ、羽田空港の沖合移転工事が着工し、騒音も沖合に移転しました。当時の住民の要望を自治体が後押しするという、自治体本来の姿がありました。
2020オリンピック・パラリンピック開催の訪日外国人旅客の増加と、その後のインバウンドによる旅客需要の増加を見込み、国際線の増便のための羽田空港機能強化、増便、新飛行ルートが2020年3月29日から住民から反対の声がある中で開始され、南風時の15時から19時までの約3時間において、都心上空を羽田空港のA・C滑走路に着陸し、B滑走路を西向きに離陸するという運用が行われてきました。これにより、騒音が沖合展開で遠のいたのに、移転前の状況に戻ってしまいました。羽田空港は沖合移転で24時間空港となり、深夜、早朝も貨物便が運航されるなど、住民の睡眠への影響が出ています。これまでに議会に出された陳情でも、うるさくて寝られないので、深夜、早朝の飛行を規制してほしいなどの声が出されています。また、騒音によるストレスが生活環境を脅かしているなどの声も上げられています。
国土交通省は騒音の規制を、環境基本法第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境上の条件につき、生活環境を保全し、人の健康に資する上で維持することが望ましい航空機騒音に係る基準で、専ら住居に供される地域をLden57デシベル、それ以外をLden62デシベルとしています。新仲七町会館では、最高値83.9デシベルを超える単発騒音も計測されていますが、Ldenに換算するとLden51デシベルとなり、規制値の範囲内に収まってしまいます。
日常生活での一般的な騒音レベル、日常生活で静かだと感じるのは45デシベル以下です。望ましい音のレベルでは、45から60デシベルであると言われています。東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例では、日常生活等に適用する規制基準を定めており、これを超える騒音を発生させてはならない旨が規定されています(条例136条)。区域や時間帯により、40から70デシベルに規制されています。
●そこでお聞きします。環境基本法により、航空機騒音に係る基準で規制されていますが、東京都の都民の健康と安全を確保する環境に関する条例では、日常生活等に適用する規制基準を定めており、これを超える騒音を発生させてはならない旨が規定されています(条例136条)。羽田空港周辺住民の健康影響を低減するためには、騒音の規制を強化するべきではありませんか。環境基本法による航空機騒音に係る基準をより厳しくするよう、国に働きかけることが必要ではありませんか。お答えください。

【環境清掃部長】
初めに、航空機騒音の規制の強化のご質問ですが、航空機騒音の環境基準は、環境基本法に基づき、地域類型ごとの基準値が告示され、その類型は都道府県知事が指定することになってございます。航空機騒音は、時間帯補正等騒音レベルであるLdenが評価指標として規定され、測定についても環境省がマニュアルを定めており、区では、このマニュアルに基づき、航空機騒音を測定しております。3か所の航空機騒音調査地点における測定値は、いずれも環境基準値を下回っております。また、航空機騒音と健康に関しましては、様々な機関などで研究報告されていることは、区としても承知しております。航空機騒音が直接健康に与える影響などにつきましては、その因果関係を含めて、明確な結論が示せる段階ではないと認識しております。区は、これまでも国に対し、騒音の規制強化ではなく、実情に応じた各種騒音軽減策の実施を求めてまいりました。区では、引き続き、軽減策の効果に関する検証や評価を含め、こうした対策の強化徹底を国に求めてまいります。

脱炭素社会実現のため、羽田空港における航空機のエンジン排気ガスによる環境破壊、温暖化防止について

【杉山議員】
次に、増便すれば増便するほど、航空機の排気ガスが増加し、人体に与える害悪も増えます。そして、地球温暖化を推し進める温室効果ガスも増えます。
2018年の世界の二酸化炭素排出量は約335億トンにも及びました。その中で、航空機からの排出量は7億4680万トンで、全体の2.2%です。航空機からの排出量において、日本は4番目に多い2342万トンの二酸化炭素を排出しています。日本の航空機からの二酸化炭素排出量削減策は、ICAO―国際民間航空機関の国際基準に従うとしていますが、持続可能な航空機燃料の開発と利用、カーボンオフセットの購入で、実際の二酸化炭素排出量削減策にはなり得ていません。
5番目に排出量の多いドイツでは、2217万トンを排出していますが、燃料を持続可能な航空機燃料に置き換える、国内旅客の20%を空路から鉄道による移動に変更、ヨーロッパ領空の迂回路を減らし、飛行経路を最適化し、燃料の消費を抑えることで、二酸化炭素の排出を減らす、航空業界のゆがみを排除し、カーボンオフセット及び削減スキームの調整、エネルギー供給、建物とシステムの技術、EVなどへのシフト、空港の小売・ケータリング事業では、使い捨てプラスチックの排除など、非常に細かい二酸化炭素排出量を具体的に削減する対策が進められています。
●そこでお聞きします。経済優先、もうけ優先の増便ではなく、ドイツのように、地球環境に優しい、人にも優しい経済にすること。地球の温暖化を防ぐには時間がありません。2030年までに増便に規制をかけ、二酸化炭素排出を減らしていくことです。脱炭素社会の実現に向けて取り組む大田区として、羽田空港を抱える大田区として、航空機及び空港関連から排出される二酸化炭素の削減も待ったなしです。国や東京都と連携して、羽田空港を含む大田区全体で温暖化効果ガスを2030年度までに2010年比で60%減らす対策を取ることです。お答えください。

【環境清掃部長】
次に、羽田空港を含む大田区全体での二酸化炭素排出削減についてのご質問ですが、国内航空の二酸化炭素削減は国の責任において取組が進められ、国際航空につきましては、国別に排出量を算定することが困難なことから、国際民間航空機関であるICAOの枠組みの中で加盟国が取り組むこととされております。国内航空における二酸化炭素削減については、機体の軽量化、代替燃料の導入などの検討が国において進められております。空港施設における温室効果ガス排出量につきましても、2030年度までに2013年度比で46%以上削減することを目標として検討を進めております。こうした流れを踏まえ、国は羽田空港を含む21の空港を重点調査空港に選定し、脱炭素の計画をつくり、重点的な取組を進めることとしております。区は、国による空港の脱炭素化に向けた重点的な取組について、区の温室効果ガス削減目標の達成に大きく貢献するものと考えております。大田区は2050年度までに脱炭素社会の実現を掲げております。その実現に向けて、羽田空港のみならず、区民、事業者等との連携により、着実に取組を進めてまいります。

区民の命と財産を脅かす航空機事故のリスクを軽減することについて

【杉山議員】
次に、飛行回数が増えれば増えるほど、航空機事故のリスクも増えます。騒音被害を減らすために、ゴーアラウンドを減らす取組が国土交通省から2021年11月26日付けで大田区空港まちづくり本部宛てに出され、本年4月1日より運用が開始されようとしています。この問題で日本共産党大田区議団は、2021年12月24日に国交省とレクチャーを開催しました。そのときに質問しましたが、小さな部品欠落に対して、できる限り運航便に影響が出ないよう、タイミングを調整して点検を行うことで、ゴーアラウンド減少に向けた取組を行うは、これまでは部品欠落の報告が上がれば、直ちに滑走路を閉鎖して、滑走路に部品が落ちていないか安全点検するのが常でした。これは航空行政の安全に対する規制緩和であり、許せるものではありません。小さな部品の大きさ、重量などの定義はあるのかとの質問に対して、大きさなどの定義はないとの答弁は言語道断です。羽田空港の着陸は2分から4分の間隔で降りてきます。どこを、どのようにすれば、タイミングを調整して点検するのでしょうか。
宮崎空港に行政視察に行ったときに滑走路の点検状況も見ましたが、小石1粒も見逃すものかと広大な滑走路を点検していました。これが安全を担保しているあかしです。
私は前職で42年間、航空機のエンジン整備を担ってきましたが、米粒大の異物でも航空機エンジン内部に吸い込まれると、内部の部品の損傷を招き、内部が大きく破壊される事例を数多く見てきました。安全を保つためには手抜きはできません。
2022年2月12日には成田空港で落下物が発見されたとの報道がありました。11日に上海から到着した貨物機のものと見られています。A滑走路脇の草むらで、長さ4.4メートル、幅60センチ、重さ60キログラムの部品が発見されています。千葉県は国土交通省へ、日本貨物航空からの部品欠落事故については、着陸時の空港内とはいえ、欠落部品も大きく、看過できるものではない、一歩間違えれば人命にも関わる事故が発生したことは憂慮に堪えない、事故原因究明と再発防止について、改めて成田空港を利用する各航空会社へ徹底した指導を行うとともに、地域住民の不安を解消するため、落下物防止対策にさらに万全を期すよう要請しています。これまで万全の対策をしてきたはずですが、落下物、欠落部品はなくなりません。
世界の民間航空機事故は、2012年から2021年の10年間で約100件起きています。2021年10月19日、米国のテキサス州ヒューストンの空港で発生した事故では、MD87型機が離陸に失敗し、滑走路を外れ、フェンスを破って草むらに突っ込み、炎上しましたが、幸いにも、けが人が2人で、死亡事故には至っていません。草むらですから、大事に至らなかったのです。
羽田空港B滑走路西向き離陸中に同様の事故が起きる危険性もあります。B滑走路の西の端から1200メートル先にはキングスカイフロント、1500メートル先には各種液化ガス及び圧縮ガスを製造、販売する工場があります。事故が起これば、大惨事になります。大田区に大きな影響が及ぼされます。大惨事を引き起こさないためには、川崎のコンビナートに向けて離陸しないことです。安全より経済優先では駄目です。
●そこでお聞きします。事故や落下物を減らすことはできても、なくすことはできません。区民生活の安全と快適な生活環境を確保するのも自治体の役割であり、より安全な飛行方式に戻すべきです。小さな部品欠落に対して、できる限り運航便に影響が出ないよう、タイミングを調整して点検を行うことで、ゴーアラウンド減少に向けた取組を行うは、航空行政の安全に対する規制緩和です。部品欠落の報告が発せられたら、部品の大小にかかわらず、即座に滑走路を閉鎖して安全確認を行う、元の状態に戻すべきです。また、羽田空港の機能強化、増便、新飛行ルートの運用を中止し、以前の飛行方式に、海側から降りて、海側に飛び立つ方式に戻すことを国に働きかけることです。お答えください。

【空港まちづくり本部長】
私からは、羽田空港の運用に関するご質問にお答えをいたします。
この間、区では、地域からのご要望を受け、国に対し、ゴーアラウンドの減少を進め、騒音影響の軽減に努めることを要望してまいりました。これを受け、国では、検討を重ね、航空機の安全性に対するリスクの低い小さな部品の欠落に対しては、できる限り運航への影響が出ないように、タイミングを調整して滑走路点検を実施する取組を本年1月から新たに実施しております。国は今回の運用に関して、過去の運航データや研究機関等による検証により、航空機の運航の安全性に対するリスクが低いと考えられること、海外空港においても同様の事例があることから、安全上のリスクに変わりなく、問題はないと考えるとしております。国が安全を確保しつつ、騒音低減につながる取組を進めたことを評価しております。また、国では、航空機の運航について、落下物防止対策を含め、何重もの安全対策を積み重ね、事故発生を防ぐための取組を行っております。区といたしましては、航空機の安全は最優先で確保しなければならないものであると考えてございます。飛行経路の設定等につきましては、国家としての航空政策であり、国の責任において判断していくものと認識しておりますが、環境対策や安全対策などの確実な取組とともに、さらなる対策の強化徹底を強く求めてきたところでございます。今後も、国が実施する騒音対策や落下物防止対策を含む安全対策などの取組状況を注視し、引き続き万全を期すよう求めてまいります。
なお、2月11日の成田空港における落下事案につきましては、国土交通大臣に対しまして、徹底した原因究明や再発防止を図るなど、取組を一層強化するよう、区長が副会長を務めております全国民間空港関係市町村協議会として申入れを行っているところでございます。

以  上

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