(映像は大田区議会ホームページより:62分)
- 改憲を急ぐ岸田政権に対し平和憲法を守ると述べている区長の見解について
- 新自由主義から転換し、地方自治の本来の役割を果たし、全ての区民が輝く新年度予算について
- いのちとくらしを守る緊急コロナ対策について
- 新空港線計画は中止し、住民本位の下丸子・蒲田のまちづくりについて
- 保育士、幼稚園教諭、放課後児童支援員等ケア労働者を支える区の支援について
- 国際都市にふさわしいジェンダー平等を進める大田区の施策について
【清水議員】
日本共産党大田区議団を代表して質問を行います。
改憲を急ぐ岸田政権に対し平和憲法を守ると述べている区長の見解について
【清水議員】
まず初めに、平和の問題です。
自公政権は、バイデン政権による日米軍事同盟強化の圧力の下、敵基地攻撃能力保有を積極的に検討し、空母や戦闘機を購入すると8000億円もの補正予算を組むなど、軍事費を増加し、自衛隊を明記した9条改憲の策動を加速化しています。戦争する国づくりへの暴走です。岸田首相は、2021年12月6日、所信表明演説で、「いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化いたします」と述べました。敵基地攻撃能力とは、他国をせん滅することで、全面戦争を意味しています。それを保有するということは、現憲法でも国際法上でも許されるものではありません。今までの自民党の憲法解釈は、他国を攻撃するような攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではないというものでした。
国民は改憲を望まず、軍事費をGDP比1%の枠を超えて増やすより、コロナ対策、防災対策、賃金引上げ、医療や介護の社会保障の安心を希望しています。今、政治が行うことは、憲法を守り活かすことです。日本共産党は、9条を守れ、憲法を活かせの大運動を国民とともに取り組み、5月3日の憲法記念日まで1000万人署名運動に全力を挙げております。
日本共産党大田区議団は、毎定例会で、区長に大事な問題として平和憲法を守ることや核兵器をなくすために自治体の長として見解を質問してきました。今までの区長は、「平和都市実現のため、引き続き基礎自治体として平和関連事業を着実に進めてまいります」と答弁されています。今第1回定例会は、岸田首相が就任し、所信表明を行い、国家予算が発表された直後の大田区議会です。
●そこで、区の代表として、平和憲法を守る立場に立つ区長に、敵基地攻撃能力保有についての見解を伺います。お答えください。
【松原区長】
まず、敵基地攻撃能力の保有についてのご質問でございますが、岸田首相は、令和3年12月6日に行われました所信表明演説の中で、「我が国を取り巻く安全保障環境は、これまで以上に急速に厳しさを増しています」として、「国民の命と暮らしを守るため、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していきます」と表明されました。また、岸田首相は、令和3年12月17日に開かれました参議院予算委員会において、いわゆる敵基地攻撃能力の議論は、昭和31年の鳩山内閣における判断を政府として引き継いでおり、憲法等の法的な視点から可能であるという判断をしている旨の発言をされております。区といたしましては、これまで繰り返し申し上げているとおり、平和都市宣言を行った区の責務として、区民の皆様とともに、平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくという趣旨に沿って、平和都市宣言実現のため、引き続き基礎自治体として平和関連の各種事業を着実に進めてまいります。
新自由主義から転換し、地方自治の本来の役割を果たし、全ての区民が輝く新年度予算について
【清水議員】
次に、新年度予算について伺います。
2022年度予算一般会計は3008億7000万円余、前年度比約71億円、2.4%増となる予算で、歳入については、特別区民税の増収が見込まれ、前年度比1.4%増の765億円、特別区交付金は大企業の収益増で11.9%増の750億円となっています。予算には区民の願いが実現したものがあり、評価します。それらは、防災対策では、田園調布水防センター建設、がけ等整備工事助成、旧耐震基準の建物除去工事助成、無電柱化の進展です。子育て対策では、離婚前後の世帯への支援、周産期医療事業補助、2か所目の中高生ひろば、少人数学級と児童数増に伴う3小学校の増築は評価するものです。
一方で、13小中学校の改築計画の多くが学校以外の福祉施設等との複合化・大規模化となっており、工事期間の長期化など問題です。また、保育士応援手当と宿舎借り上げ支援事業の継続は評価しますが、法外援護の処遇費の削減はしてはなりません。福祉部門では、重度知的障がい者グループホームの整備促進、8050問題やひきこもりなどの複合的課題を抱えた世帯支援、(仮称)特養ホーム大森東の整備補助、平和島キャンプ場リニューアルなどの公園の整備やバスケットコートの整備、脱炭素社会の推進に向けての戦略の策定は、気候危機打開への自治体の責務として大変重要です。
2022年度予算のスローガンは、「感染症の危機を克服し、ポストコロナに向けて、変化する生活・価値観を捉え、ひととまちが成長を続ける未来を切り拓いていく予算」ですが、これは昨年2021年7月21日通知した、ポストコロナに向けて、事務事業の見直しを一層強化し、削減計画である職員定数基本計画を進める立場を表明した基本方針と全く同じです。
方針が出された昨年7月は、コロナ感染拡大第5波の直前でした。それ以降、デルタ株感染者が急増し、8月には区内でも自宅療養者が2000人を超えて、医療を受けることができず命を落とされた方も出ました。しかし、各部での予算査定の最終時期の10月から12月は感染者が減り続け、12月はゼロの日が続きました。収まったかのように見えましたが、海外では新たな変異株、オミクロン株の感染が始まり、第6波の不安が広がっていました。そして、年が明けた1月からオミクロン株の第6波は急激な感染爆発となり、大田区の感染者数は最高1日1500人を超え、2月20日現在で感染者は累計5万1146名となっています。保育園、学校などの子どもの感染が広がり、さらに家庭内に広がっています。
このような約6か月間の区内の状況で、昨年7月の予算編成方針を見直すことなく、ポストコロナ、コロナ感染が収束した後を柱にした予算編成にしてきたのは問題です。何よりもコロナ対策が第一の予算編成が必要です。3回目のコロナワクチン接種は高齢者さえ今年度中には終わりません。5歳から11歳への接種もこれからです。オミクロンに替わる新たな変異株のおそれも出ています。内閣府の言う景気の持ち直しは、まさに期待であり、区内の景気が上向くにはまだまだ時間がかかります。
●伺います。新年度予算の柱をポストコロナとしている限り、区民の命を守る予算になりません。今こそコロナ対策と、痛めつけられた区民を支えるために全力を注ぐ予算にすべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、令和4年度予算に関するご質問ですが、本予算案は、感染症の危機を克服することをテーマの一つに位置づけ、保健所の体制強化やワクチン接種の加速化、安定した医療提供体制の確保など、これまで実施してきた様々な取組の成果を踏まえ、効果的な施策を盛り込みました。私は区長として、感染症対策に万全を期し、区民生活に必要な施策をちゅうちょなく実施し、73万区民を全力で守り抜く区政運営を行ってまいる所存です。また、コロナ禍においても、国土強靱化や自治体DXの推進など、今後加速させるべき行政課題を改めて認識いたしました。感染症をはじめ様々な危機に対しては、臨機応変に対応しながらも、「未来を切り拓いていく豊かな地域社会」をポストコロナの将来像とし、区民の皆様と共有する必要がございます。このため、新しい日常はもちろん、予防医療や介護、健康寿命の延伸といった、お一人お一人の行動変容を促進するとともに、包摂的な地域づくり、デジタル技術の活用や脱炭素、SDGsなど、時代の潮流を意識した行政サービスの向上、区内経済の発展に向け、必要な施策を予算案に盛り込みました。今後とも、強固で弾力的な財政基盤の下、地域社会をより一層豊かにし、力強い成長を実現できるよう、希望あふれる未来を切り拓く区政運営を進めてまいります。
【清水議員】
区民の暮らし、中小企業の苦難に寄り添った施策がどうしても必要なんです。待ったなしの状況です。コロナ感染拡大によって売上げが減っている区内商店街の声があります。仕入れ先が潰れた、新たな仕入れは必ず値が上がる、卸が次々潰れて仕入れ先がない、商売ができない、給湯器や便器が入ってこないために工事が進まない、融資の返済が始まるが、仕事は依然として厳しいという声です。最新の「大田区の景況」でも、「次期も苦しい」がほとんどです。まん延防止が3月6日まで延長になった飲食業、食料品製造業、小売業、半導体等の不足で部品が入らず仕事が減っている製造業、建設業、ガソリン値上げで苦悩している運輸業、介護など、区内の多くの中小企業の実情を見るならば支援策が必要です。委託ではなく、区が区内の実情を調査し、対策を打つことです。
医療機関において、支援助成金の予算が僅か1億円です。区内病院への支援は、コロナ患者を受け入れた際の1人10万円の補助はありますが、コロナ感染患者を受け入れるには病床を減らすことになりますので、コロナ患者数だけの助成では到底間に合いません。また、外来だけの医療機関も、ワクチン接種、発熱外来、自宅療養者の管理など尽力してくださっております。医師、看護師の人手不足も深刻です。陽性者や濃厚接触者となった職員が出勤できない事態が出ています。区内のある診療所は、1か月100万円以上、1年間で約1500万円以上の赤字で、借金に頼らざるを得ない事態と伺いました。病院の場合はその10倍以上、年に数億円の赤字と聞いています。国や東京都の支援を待つのではなく、収入が減少している全ての医療機関に大田区独自の支援が必要です。
厚生労働省アドバイザリーボードの2月16日の報告書の公表は、療養者数、重症者数及び死亡者数の増加が継続している、死亡例は2月1日から18日で2641人で、1月の366人の6.6倍、過去最多のペースを続けている、コロナ危機が始まって以来、一番深刻な事態だ、また、救急搬送困難事例は直近でもコロナ前の5倍の数が続くなど、依然として非常に深刻な状況が続いているとして、救急医療が逼迫、崩壊の危機にあると強調しています。政府は危機的状況を国民に発信し、オミクロン株の特徴に即した対策が必要です。全国知事会も緊急提言を出しました。
そのような中で、大田区は補正予算(第8次)を提出しましたが、この逼迫した状況の対応となっていません。医療機関や中小企業支援がなく、コロナ対策はないどころか、コロナワクチン予防接種予算は執行見込みによる8億7800万円の減額となっています。そして、公共施設整備資金積立金約20億円、防災対策基金20億円を積み立て、財政基金約95億円、公共施設整備資金積立金33億円を基金に戻しています。基金だけで168億円となります。コロナ対策を緊急に行うことのできる財源はあるのにかかわらず、積立てに回すということです。
足立区では、一番弱っているところに必要な財源を投入していきたいと、200万円課税世帯5万9000世帯に給付金10万円、予算額59億円を区独自の支援策として行うと発表しました。北区は、区独自で福祉事業所や医療機関に給付金1事業者当たり50万円を基本に、施設特性や定員によって加算するとしています。
●伺います。コロナ禍の区民の命、健康、営業を守る施策を実現するための財源はあるではないですか。補正予算を緊急に組むべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、感染症対策に関する補正予算を編成すべきとのご質問でございますが、区は、新型コロナウイルス感染症対策を現下における区政の最重要課題と位置づけ、これまで約2年間にわたり、財政対応力を最大限発揮しながら、通算で17回にわたり補正予算を編成するなど、切れ目なく多岐にわたる対策を講じてまいりました。特に、予算編成時とは大きく状況が変化した令和2年度においては、年度途中にありましても情勢の変化を踏まえた事業見直しを図り、区民生活や区内経済を守る必要な施策を柔軟かつ機動的に講じてきたことは、私の基本的な施政方針です。
令和3年度も、保健所の体制強化や医療提供体制の確保など感染症対策はもちろん、厳しい状況に直面する区民や事業者の皆様への必要な支援、区内経済の回復を軌道に乗せる取組など、積極的に施策を講じてまいりました。さらに、我が国全体で実施するワクチン接種や各種給付金についても適切に実施できるよう、早期に予算措置や執行体制を構築するなど、機を逸することなく尽力をしてまいりました。いかなる災害からも区民を守る危機管理を徹底することは区の基本的な責務でございます。私は区長として、区の総力を結集し、この難局を乗り切れるよう区政のかじ取りを力強く進めてまいります。
【清水議員】
我が党は、この間、一貫して、いつでも誰でも何度でも無料で安心して受けられる検査体制を国、都、区に求めてきましたが、新年度予算には、保健所が実施する医療機関を介さない高齢者施設、区内事業所等で陽性者が発生した場合の濃厚接触者への検査、PCR検査検体回収等に6089万円が計上されています。しかし、規模があまりにも少ない。その理由は保健所の体制によるものと思われます。
現在、大田区職員感染状況ですが、2月1日から2月14日で陽性者が174人、濃厚接触者は140人が事故欠勤となっているようです。感染拡大がかつてない勢いで区職員の中に広がっており、様々な公務にも影響が出ています。コロナ感染により休園となった保育園では保育料の返還の事務、学校では休校時の給食費の返還の事務など、新たな業務も増加しています。そんな中でも感染症対策課へ職員を兼務で出しています。現在のフェーズ9では、他部署職員が発生届処理に夜間想定で7人、疫学調査に20人、健康観察に兼務保健師・衛生監視21人となっています。感染症対策課が体制を組めないから他部署からの職員を派遣していますが、職員を出した残された職場の負担の増大は計り知れません。いつまで続くか分からないコロナ感染拡大の中で、兼務対応は限界と言わざるを得ません。
●伺います。区民の命、健康を守るための保健所体制の強化は、正規の職員、保健師の増員が必須です。新年度、保健所体制予算の見直しを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、保健所の体制強化に関するご質問ですが、区は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、感染症対策課の人員体制を適宜強化して対応をしてきたところです。昨年9月には、業務継続計画(BCP)等を踏まえて、年度途中に人員配分の見直しを行うなど、感染状況を注視しながら、体制強化に向け継続的に取組を進めております。また、保健師については、大田区職員定数基本計画に基づく適正な管理の下、職員を増員しているほか、会計年度任用職員の活用や福祉部の保健師を兼務配置しており、人員体制の強化を図っております。現在、区内の新規陽性者数を指標としたフェーズに応じて全部局からの職員の応援を実施しているところですが、引き続き、区民の安全・安心のため、全庁が一丸となって取り組んでまいります。
いのちとくらしを守る緊急コロナ対策について
【清水議員】
次に、緊急コロナ対策について伺います。
日本共産党大田区議団は、1月28日、第21次コロナ感染症対策緊急要望を区長と教育長に提出しましたが、その中で、第6波の感染急拡大の下で、保健所の陽性者への健康観察業務が追いついていない状況で、他部署からの応援や委託、派遣の配置増で体制強化を図っていますが、1日1500人から2000名の新規陽性者が発生しても対応できる体制と、場所の確保を早急に進めることを強く要望いたしました。
●伺います。現在の保健所体制は、1日陽性者を1000人とし、必要職員数140人としたフェーズ9までしかありません。しかし、この間、大田区の陽性者は1500人を超えた日もありました。それに見合った保健所体制、フェーズの設定が必要です。お答えください。
【松原区長】
次に、新型コロナウイルス感染症対応に関する保健所の体制整備についてのご質問ですが、区は、昨年夏の第5波で保健所業務が逼迫したことを受け、第6波以降に備えた保健所体制整備に関する計画を策定し、1日当たりの陽性者数に応じてフェーズを9段階に分け、段階的に人員体制を増強し対応しています。体制強化を図るとともに、医師会や訪問看護ステーション、助産師等の関係機関との連携強化を進め、併せて国のシステム活用など業務の効率化に取り組んでいます。保健所体制としては、1日当たりの陽性者1000人以上を想定し、必要職員数を140人と見込む最高レベルのフェーズ9で対応は可能と考えております。今後の感染拡大状況に応じ、柔軟に体制を整えることで、引き続き区民の安全・安心を守ってまいります。
【清水議員】
区は、1日150人を超えたフェーズ4から既に健康観察の全数実施は取り止め、My HER-SYSを積極的に活用としています。国の方針に沿ってのことですが、若い人や軽症者を選別して外し、必要者のみとし、基礎疾患がある人や50歳以上の高齢者のみの対応としています。自宅療養者へ保健所からの電話による健康観察は、委託と派遣職員と兼務保健師が行っています。全ての自宅療養者への観察、支援を強化することを求めます。
濃厚接触者について伺います。現在、療養中の陽性者は約1万人と言われています。その陽性者の家族は濃厚接触者として、最終接触した日から7日間を健康観察期間として自宅待機となっています。さらに、フェーズ4から疫学調査をトリアージ基準に基づき実施しているため、現在、区保健所は濃厚接触者について把握していません。何名かも分かりません。陽性者の何倍もの人数と想像できますので、2万人以上でしょうか。
現在、多くの相談が区議団にも来ております。家族が陽性で濃厚接触者だが、自分が感染したのか検査が受けられない、保健所に電話をかけてもつながらない、ようやくつながったらかかりつけ医に行ってくれと言われたが、かかりつけ医は来ないでと言うなどです。家族が陽性になったことで濃厚接触者となった区民は、今、本当に困っています。濃厚接触者は来てはいけないと言われているモニタリング検査所や指定薬局に検査に行こうとする人まで出ています。食料がなくなった、生活用品がなくなったと外出せざるを得ない事態です。これでは感染は広がる一方です。
感染拡大を止めるためには、濃厚接触者を把握し、適切な支援が必要です。社会福祉協議会を中心に2月1日から緊急食料支援が行われていますが、広報はされておりません。限定的です。必要な方に届いていないという問題があります。また、東京都が2月8日より、無症状の濃厚接触者で希望者へ抗原検査キット配布事業を開始していますが、これはホームページから申込書を入手して、記録して、協力医療機関を探して出かけていって、PCR検査キットをもらって自宅で唾液採取して、都委託の民間検査機関に送付となるようです。高齢者やインターネット環境がない方などは困難が予想されています。
●伺います。濃厚接触者の方々の命、健康、生活を守るための施策を緊急に行うことです。濃厚接触者を放置しない対策を大田区は示すことを求めます。また、濃厚接触者として判断もされず、検査も受けられない区民に適切な対応を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、新型コロナ感染症の濃厚接触者への対応についてでございますが、1月以降の感染急拡大に伴い、区では陽性者への対応として、高齢者や持病のあるハイリスクな方を優先して対応しております。濃厚接触者の対応としては、国の方針に基づき、高齢者施設等に重点を置き、幅広くPCR検査を実施できる体制としており、適切な感染対策につなげております。また、同居家族については、医療機関での対応に加え、東京都の検査キット配布事業などを周知しております。今後も感染状況に応じて適切に対応をしてまいります。
【清水議員】
PCR検査キットが現在区内では不足している状態で、東京都が指定した区内薬局でも品切れと言われることが多くなってきています。どこへ行けば検査ができるかの相談が後を絶ちません。高額な自己負担でやむを得ず受けている人もいます。発熱外来を実施している医療機関でもなかなか手に入りにくく、症状があっても検査が受けにくい状態だと伺いました。
高齢者施設、医療機関、障がい者施設、保育園、幼稚園、小中学校など、ハイリスクな施設で働く労働者への定期的な検査を国、東京都とも連携して、さらに集中して行うこと。テレビ放映されましたが、世田谷区では、学校、障がい者・高齢者施設、保育園、児童館等へPCR検査をするためにバスを改造した特別車両を導入して、その場所に行って検査をする体制を取っているとのことです。
●大田区でも独自の検査体制の施策を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、新型コロナ感染症に関して、施設従事者への幅広い検査に関する質問です。現在、高齢者施設等での従事者に関する検査は、希望する施設において東京都の補助事業で対応をしております。小児関係の施設については、定期的な検査ではなくて、症状がある際に速やかに受診するよう依頼をしています。今後も、国や東京都と連携し、感染状況に応じて適切に対応をしてまいります。
【清水議員】
オミクロン株の感染が子どもたちに広がっています。コロナ感染拡大で子どもたちは大きく傷ついています。様々な行事が中止になり、楽しい保育園、学校生活も制限を受け、感染におびえています。体力、学力に今後影響が出ることが心配されています。職員も同様にすさまじいストレスを抱えながら日々子どもたちを支えています。職員が3回目のワクチン接種をいち早く行うことが感染拡大を広げないために重要になってきました。その際、ワクチン接種による発熱や腕の痛みなどの副作用が予測されますので、各職場ごとに計画的な実施が必要です。練馬区では特別枠を確保して実施していると報道されました。
●伺います。保育園、幼稚園、児童館、学童、小中学校、障がい者施設などの職員へ3回目のワクチン接種を優先して行うことを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、新型コロナワクチンの優先接種に関するご質問ですが、区は、新たな変異株に対応するため、ワクチン接種の前倒しに迅速に対応し、既に接種が可能な18歳以上の方の接種間隔を6か月に短縮しております。これに伴い接種対象者が急増することから、エッセンシャルワーカーなどに優先的な接種が可能となる体制を整えました。区は、1月に開始しております高齢者施設の入所者を対象とした巡回接種の際に、希望する施設従事者にも同時に接種を行うとともに、集団接種会場でも専用の接種日を設けて接種を進めております。また、一般向けの集団接種会場でも、区内在住の教職員や保育関係、高齢介護・障害福祉事業の従事者のための優先枠を設け、2月16日から予約受付を開始するとともに、区外在住の方には、東京都や国の大規模接種会場などの情報も提供し、そうした事業に携わる方々の接種が早期に完了するよう鋭意取り組んでおります。
【清水議員】
次に、防災・減災対策の予算の避難行動要支援者の個別避難計画の作成について伺います。予算額1285万6000円で、対象者に案内を送付し、高齢者については福祉専門職に作成を委託するための予算です。災害時に避難が困難な高齢者、障がい者、妊産婦らの支援が求められており、区は今まで町会等との共助と助け合いを重視してきましたが、町会からは名簿を渡されても町会では難しい、困難であるとの声や、介護事業者からは丸投げされた感があり、人手不足、日常業務に追われる中、大変との声を聞いています。
区は、策定方針を国の方針に基づき3年計画で対象を1万8000人としているにもかかわらず、2022年度は障がい者500人、高齢者600人、合計1100人としています。対象者を限定し、主に風水害においてリスクの高い方から作成するとして、優先度は地域のハザード状況、本人の心身の状況、本人の居住状況を判断基準としています。高齢で障害がありながら1人で暮らしている方から、ふだんは何とか暮らしているが、多摩川の近くなので、19号台風のような水害のときに、どこにどうやって逃げていいのか不安という声がありました。この方は対象になるでしょうか。対象にならなかった障がい者の方や高齢者への支援が引き続き求められております。介護専門職への委託の予算は組まれましたが、ケアマネ等の負担が増えることが心配されています。また、共助という隣近所や町会やボランティア等の支援の受入れは地域差があり、課題となっています。
●誰一人取り残さないという視点から、災害時における避難行動要支援者への安全な避難のための計画策定に関しては、案内配付は外注し、作成は福祉専門職に委託です。区が責任を果たすことを求めます。また、今回対象となっていない障がい者、高齢者への災害時の避難について、状況把握はどのように進めていくのか、お答えください。
【松原区長】
次に、個別避難計画に関するご質問ですが、令和3年5月の災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者について、区市町村による個別避難計画の作成が努力義務化されました。これを受け、区は、おおむね令和6年度中までを目途に作成することを令和4年修正版の大田区地域防災計画に明記をしました。今後、災害時において危険度が高い地域にお住まいの方や、避難行動要支援者本人の心身の状況及び居住実態などを考慮した上で、順次計画の作成を進めます。高齢者については、日頃から状況を把握している福祉専門職のご協力を得ながら、区が主体的に作成をしてまいります。同時に、本人や家族などの自主的な計画づくりが進むよう支援をいたします。これまでも、区の災害対策の普及啓発や避難行動要支援者名簿を活用した地域における支援関係者との連携を図ってまいりました。今後も、地域の様々な団体や関係機関などとさらに連携を強め、区民の命を守る実効性のある個別避難計画の作成に取り組んでまいります。
【清水議員】
次に、6億1628万4000円の区におけるデジタルトランスフォーメーションの取組について伺います。自公政権が進めようとしているデジタル改革は、国民の命を脅かし、科学技術を権力や財界の利益本位に弄ぶ危険な内容を持つものです。成立したデジタル関連法は、教育、健康、介護、子育て支援などの住民サービスに直結する個人情報の宝庫である自治体が保有する情報を吐き出させようとしており、地方自治体には2025年度までに行政の手続きの98%をオンライン化する目標を押しつけています。
オンライン化では、窓口業務を削減し、職員を減らすことを目的の一つとしていますが、職員からは不安の声が上がっています。地方公務員の削減は、災害時、非常時への対応能力喪失、低所得者や高齢者、障がい者のサービスの切り捨てになりかねないからです。
最も問題なのはマイナンバーカードです。ポイントをつけるなどして、あの手この手で全ての国民にマイナンバーカードを押しつけています。健康保険証としての運用を開始しましたが、コロナ逼迫している医療機関はそれどころではなく、機器をそろえることができず、使える医療機関はごく僅か5.6%となっています。マイナンバーカードは必要ないのです。個人情報や利用履歴の漏えいに多くの国民が不安を持っています。EUに比べて日本は、個人情報を外国企業や海外に移転し放題です。プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。
●国の施策のままに区はマイナンバーカードの発行に力を注いでおり、新年度予算でもマイナンバー普及促進・利活用関連に1億2421万6000円の予算が組まれており、出張所でもマイナンバーカードを発行する体制を強めていますが、デジタル化の基本は、区民の個人情報が守られ、住民の福祉の増進のためのデジタル技術の活用とすることです。マイナンバーカードを取得しない区民にサービスの差が生じないようにすることを求めます。また、オンライン化による職員削減はやめることを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、マイナンバーカードを取得する方、しない方でのサービス格差及びオンライン化による職員の削減についてのご質問ですが、国は、デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を目指すこととしており、マイナンバーカードの取得は行政サービスを受けるために区民が選ぶことができる手段の一つです。区としては、マイナンバーカードの取得の有無にかかわらず、分け隔てのない行政サービスの提供に向けて、デジタル技術の活用を進めてまいります。また、手続きのオンライン化は、時間、場所を問わず手続きが可能になるとともに、業務効率化を図り、貴重な人的資源を喫緊の課題に振り向けることで、さらなる区民サービスの向上につながると考えます。今後も、区民の多様なニーズに対し、きめ細かなサービスを展開することで、区民生活のさらなる向上を目指すDXを鋭意推進してまいります。
新空港線計画は中止し、住民本位の下丸子・蒲田のまちづくりについて
【清水議員】
新空港線計画について伺います。
新年度予算で、区の方針では、コロナ対策が成功し、コロナが収束した後に進めるとしていた新空港線整備計画に11億8574万8000円を計上しました。内訳は、整備主体設置のための費用1億8000万円と、整備資金の積立て10億円、当初予算での積み増しとなり、整備資金の積立て合計は90億円余となります。この間、区長は議会の発言で、「新空港線整備計画を私が先頭に立って全力で取り組んでまいります」と述べていますが、計画は進んでいません。新空港線実現のため、まちづくりと一体で進める計画にするための東京都との新空港線及び沿線まちづくり等の促進に関する協議の場は、これまで4回開かれました。協議の内容は、沿線開発の動向、事業費の縮減の検討、それを踏まえて需要予測や収支採算性を精査、都区負担の考え方を整理、その前提となる乗換え利便性、動線を整理といった内容です。
区が最終段階と強調してきたにもかかわらず、計画そのものはコロナ禍での社会情勢の変化で大幅な変更を余儀なくされているのが現状です。東京都と大田区の費用負担割合が決まれば、整備主体となる第三セクターがすぐにでも設立できると区は強調してきましたが、事業費の縮減や、B/Cの前提となる需要予測や収支採算性の練り直しをせざるを得ない状況は、計画そのものが進展しているどころか後退していると言わざるを得ません。にもかかわらず、コロナ禍で苦しんでいる区民がいる中で、毎年コロナ以前と変わらない10億円以上の予算を計上することは異常としか言えません。
新年度予算の基本方針で、区は全事務事業の見直しを一層強化するとし、財政の質を高め、健全性を維持し、大胆な発想で施策の新陳代謝に果敢に取り組むと言っています。そして、認知症高齢者グループホームの運営支援や緊急保育事業を、実施を希望する施設がないということを理由に廃止しました。災害時における動物保護活動、学校職員研修、高齢者火災安全システムなども縮小・廃止としました。新空港線整備計画の予算は、この事務事業見直しの対象とせず、まさに聖域として計上されています。
●伺います。この5年間、毎年、整備主体設立の予算1億8000万円が計上されてきましたが、結果、事業主体は設立されず、全額不用額となってきました。予算とは、住民に対して、この年度にどれほどの公租公課を義務づけることになるか、また、その見返りとして、どんな行政サービスを行って福祉向上に努めることにするのかを約束するものです。区長は、この5年間、予算を計上しながら、それを実現できなかった理由をしっかり検証し、区民に説明をすべきです。予算はその年の区長の公約ですから、当然その責任があります。それができないのであれば新空港線計画はやめるべきです。新空港線整備資金積立金は廃止をして、コロナ対策に区長が先頭に立って取り組むことを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、新空港線に関するご質問ですが、区は、現在、コロナ対策に最優先で取り組んでいるところです。その一方で、新空港線は区にとって最も重要な事業の一つであります。新空港線が整備されることで、区内の移動の利便性が向上するとともに、羽田空港との新たな鉄道ネットワークが構築され、東京圏全体の交通ネットワークが強化されます。また、単なる鉄道整備だけではなく、蒲田など沿線まちづくりと連携して行うことにより、地域の活性化にも大きく寄与するものでございます。現在、協議の場において、今年度内の都区費用負担割合の合意を目指し、鋭意協議を進めているところです。また、新空港線整備資金積立基金は、協議が調い次第、速やかに第三セクターを設立し、事業を滞りなく実施するために必要な財源となります。以上のことから、新空港線事業の中止及び積立基金の廃止は考えておりません。
【清水議員】
次に、新空港線整備に関連した沿線まちづくりについてです。新年度予算では、蒲田駅周辺地区まちづくりに8億1322万1000円、下丸子駅周辺まちづくりに2609万9000円計上されています。下丸子駅周辺まちづくりについては初めての予算化です。下丸子駅については、駅改札の1号踏切、ガス橋通りにかかる2号踏切が、踏切道改良促進法に基づき、抜本的な対策が必要な踏切に指定されていることを受けて、踏切対策と併せて駅周辺のまちづくりを進めるとしています。
この間、下丸子駅周辺地区のまちの将来を考える会が、自治会・町会、地元商店会、産業団体、地域に本社・事業所を置く大手企業等が参加し、これまで3回勉強会を開催しています。区は、下丸子1号・2号踏切の抜本対策として、下丸子駅立体化によって解消し、併せて駅前広場の設置を含めた駅周辺のまちづくりを進めるとしています。また、このまちづくり計画では、大田区民プラザをはじめ、地域の公共施設を複合化する案となっています。公共施設は地域に分散して配置することにより地域住民の福祉の向上に資するものであり、複合化を進めるべきではありません。大田区内の駅周辺まちづくりは、駅前に巨大な高層建築物を建てて、結果、これまでその地域で生活し、営業してきた区民を追い出す計画が進められてきました。京急蒲田駅や京急糀谷駅がその例です。
●伺います。下丸子駅周辺まちづくり計画は住民が主人公の立場で進めるべきです。踏切対策は長年の地域の課題です。まちづくり計画とは切り離して進めることを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、下丸子駅周辺のまちづくりに関する質問ですが、下丸子のまちづくりは、下丸子1・2号踏切が改正踏切道改良促進法に基づき、抜本的な対策が必要な踏切に指定されたことを受け取組が始まりました。区では、平成30年度から踏切の対策と合わせたまちづくりの方向性について検討を進め、令和3年3月に下丸子駅周辺地区のまちづくり構想(案)をまとめたところです。今年度は、この構想(案)を基に、関係者で構成された勉強会を設置し、第1回を昨年10月に開催するなど、これまでに3回開催しております。来年度も引き続き勉強会を開催し、踏切の対策と合わせたまちづくりに向けた検討を深度化しながら、地域の皆様の意見を反映したまちづくり構想の策定に向けて取組を進めてまいります。
保育士、幼稚園教諭、放課後児童支援員等ケア労働者を支える区の支援について
【清水議員】
次に、ケア労働者を支える区の支援について伺います。
保育園、幼稚園、学童等の職場では、換気、消毒、でき得る限りのあらゆる努力を重ねても感染は抑えられず、子どもと職員に感染者が拡大しています。乳幼児はマスクはできません。職員の苦労は延々と続いています。しかし、専門的な知識と技能を身につけた保育園、幼稚園、学童等のケア労働者の賃金は、平均から月約8万円少ないのが実情です。
岸田政権は2021年11月9日、公定価格審議会を開催し、ケア労働者と言われている保育士等、幼稚園教諭、学童指導員、介護を対象にして、収入の3%程度、月額9000円を引き上げるための措置を2022年2月から前倒しで実施すると通知しています。2月、3月分は一括で手当としてよい、4月から9月は基本給上乗せ、もしくは手当とするよう、当面の措置としてよいとなっています。月平均約8万円も低いと言われているのに、僅か9000円では桁が違うという声があります。さらに、国が支援するのは、国の配置基準数、保育園で言えば約70年前に決めた基準数のみです。各保育園では職員配置基準の2倍前後の職員を雇用しており、実際の各職員への支給額が僅か9000円の半分以下になりそうです。
このようなやり方に対して、国へ改善の要望を出すことは当然ですが、職員の加配は必要だから配置しているのですから、労働者1人に9000円の賃上げとなるよう区が補塡することを求めます。お答えください。
また、10月からは国が3分の1、都道府県が3分の1、区市町村が3分の1で賃上げとなるとしています。自治体が実施する方向にならなければ、僅かな賃上げが僅か8か月間で終わることになりかねません。特に、学童保育で働く労働者は継続されるのかと不安の声が上がっています。また、保育士は、法外援護の処遇費削減4600円予定のため、実質の賃上げはさらに僅かになります。日本共産党は、民間も公務も正規も非正規も全てのケア労働者の賃上げを国会で求めています。
●伺います。ケア労働者の処遇改善は利用者である大田区民に返ってくるものです。区は、私立だから、民間だからとせず、保育園、幼稚園、学童等のケア労働者が10月からも引き続き9000円の賃上げが確保できるよう対応することを求めます。ケア労働者が支える区となることを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、保育士等に対する処遇改善事業に関するご質問ですが、国は、保育士や放課後児童支援員等の処遇改善のため、本年2月から収入を3%程度引き上げるための措置を実施することとしました。これに伴い、区は、賃金改善を行う事業者に対して、当該処遇改善に要する費用を補助することといたしました。事業の実施に当たっては、事業者に対する補助が従事者の処遇改善に確実に反映されることを確認し、担保できるよう、各事業者から事業開始前に改善計画書を、また、事業完了時に実績報告書の提出を義務づけることとされています。
令和4年10月以降の処遇改善事業に対する区の対応に関するご質問ですが、現在、国は、令和4年10月以降については、子ども・子育て支援交付金での対応を基本として検討するとしております。なお、保育士については公定価格において、また、放課後児童支援員については補助金で実施することとされておりますが、国の負担については現時点では明らかになっておりません。今後は国の動向を確認しながら適切に対応をしてまいります。
国際都市にふさわしいジェンダー平等を進める大田区の施策について
【清水議員】
次に、国際都市にふさわしいジェンダー平等を進める大田区の施策について伺います。
同性パートナーシップ制度の導入についてですが、日本共産党大田区議団は、2019年第3回定例会で導入のための条例提案を行うなど実現を求めてきました。東京都が同性パートナーシップ制度を2022年度中に導入する方針を明らかにし、素案を発表しました。人権尊重条例の理念を踏まえ、パートナー関係にある性的マイノリティーの生活上の不便の軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげるとともに、多様な性に関する都民の理解を推進するために創設するとし、住宅や医療の行政サービスを受けることができるよう検討していくとしています。
パートナーが同性というだけで、病院で家族としての面会、付添いや手術の際の同意判定が許されない、民間・公営住宅の賃貸契約ができにくいなど、同性婚が認められていないため、当事者が受けている不利益はあまりにも大きいものがあります。憲法が認める個人の尊厳、婚姻の自由、平等権から、同性婚を認める法整備をすべきです。世論調査では約75%が同性婚に賛成です。世界では29の国と地域で同性婚が可能となっています。
既に制度を導入している世田谷区では、災害弔慰金、公務員の公務中の死亡の遺族補償を配偶者に支給する制度を、同性パートナーも受け取れるように制度を改正しました。国分寺市では、市営住宅の入居をパートナーシップ制度で宣誓したカップルも入居対象に加えるよう条例を改正しました。来年度予定の区も多くあります。
●国際都市を標榜している大田区として、東京都の同性パートナーシップ制度の導入を積極的に捉え、制度を導入し、公正証書の発行の助成、区営住宅の入居受入れや災害弔慰金、公務中の遺族補償等を同性パートナーも受け取ることができるよう積極的な施策を求めます。お答えください。
【松原区長】
同性パートナーシップ制度の導入についてのご質問ですが、令和4年度中に東京都パートナーシップ宣誓制度の導入が予定されております。東京都の素案によりますと、平成30年に制定した東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例の理念を踏まえ、パートナー関係にある性的マイノリティーの生活上の不便等の軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげ、多様な性に関する都民の理解を推進することを目的としております。
具体的には、東京都が、パートナー関係にある当事者からの宣誓と届出に基づき、受理証明書を発行し、都民向けサービス事業への活用や民間事業者の各種サービスでの活用などが想定されております。また、東京都が都内区市町村との受理証明書の相互活用に関し調整を図るとされています。このようなことから、区における同性パートナーシップ制度の導入につきましては、東京都や都内他自治体等の動向を注視した上で、その導入効果や影響など様々な視点から慎重に対応してまいります。
【清水議員】
次に、痴漢被害について伺います。大田区男女共同参画個別目標で、あらゆる暴力の根絶の施策として、DV被害の対策とともに、あらゆる暴力の根絶に向けた意識の啓発がありますが、痴漢についての項目はありません。痴漢は日々たくさん起きている犯罪で、性差別に基づく暴力であり、人権問題で、決して許されないことです。
日本共産党都議団が2020年8月から11月の期間に行ったネットアンケートに1435人もの声が寄せられました。一人ひとりの声の記述はA4用紙400枚に及び、約77%は電車内です。小学生のときから何度も被害に遭う、暴力、脅し、盗撮もあり、周りが助けてくれたのは僅か6.4%で、被害者は孤立し、声を上げられず、警察や公的機関に通報したことがある人は5.3%でした。被害者の中には、その後の人生に大きな傷と打撃を受け、電車に乗れない、仕事を辞めた、1人で外出できなくなった、フラッシュバックで勉強に支障がある、男の人が怖くなったなど、痴漢という犯罪に遭ったことで深刻な打撃を受け続けています。
さらに、被害を訴えることができなくなる、被害者を黙らせる二次被害として、そんな格好をしているあなたが悪い、触られるうちが花、何で逃げなかったのかなど、被害者に落ち度があるかのような無理解と偏見があります。この二次被害が加害者を野放しにし、被害者の口を塞いでいます。また、「痴漢に注意」のポスターがありますが、これでは痴漢に遭ったのは、あなたの不注意となってしまいます。被害者が悪いのではありません。痴漢の加害者、中でも常習犯は依存症で治療が必要です。だからこそ、痴漢は犯罪であり、被害者がどれほどの苦しみを受けるか理解させることが再生の治療につながります。
日本共産党都議団は、痴漢ゼロの東京をと議会質問を繰り返し、東京都交通局長は、被害に遭われた方の心に一生の傷を負わせることになりかねない行為であり、決して許されないという重要な認識を示し、都営交通では「痴漢盗撮は犯罪です」のポスターや車内アナウンスが実施されています。
●伺います。区長に、大田区から性暴力、痴漢ゼロを表明することを求めます。そして、JR、東急、京急等の公共交通事業者に「痴漢は犯罪です」のポスターや放送を駅構内、車内で通年実施し、職員の増員、意識の啓蒙、女性専用車両をつくるなどの申入れを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、性暴力、痴漢被害ゼロへの取組についてのご質問ですが、警視庁が実施した痴漢被害の実態調査では、令和2年の都内で発生した痴漢の検挙件数は約1300件で、場所別の発生状況は、電車内が25.4%、駅構内が26.3%と、半数以上が駅に関連した場所であることが分かっています。このような状況を踏まえ、平成22年から関東エリアの鉄道事業者と警察が連携して車内や駅構内での放送による呼びかけや、ポスターの掲出等による痴漢撲滅キャンペーンを行っております。
なお、区では、男女共同参画推進プランの個別目標に「あらゆる暴力の根絶」を掲げております。DVやセクシュアルハラスメントをはじめ、痴漢などの性暴力の根絶には、社会における男女間の格差解消や意識啓発が重要です。今後も、様々な機会を通じて意識啓発、あるいはあらゆる暴力の根絶を進め、誰もが尊重される安全・安心なまちづくりに全力を挙げて取り組んでまいります。
【清水議員】
次に、女子の月経時の安心について伺います。昨年、こども文教委員会に生理の貧困対策として、トイレの個室に生理用ナプキンを置くことを求める陳情が上程されました。その際、区教育委員会の見解は、トイレ個室に置くのではなく保健室で対応することで、必要とされるときに生理用品を配付するだけでなく、児童・生徒の健康状態や生活上の課題を把握することができますということで、陳情は不採択となりました。
先日、葛飾区が、全区立小中学校の女子トイレに生理用品を配置する来年度予算を計上したと新聞報道されました。記事によりますと、経済的な理由で生理用品を用意できない女子に保健室で配付していたが、対面での受取りに抵抗を感じる子もいる、子どもに貧困を申告させるのは酷であるなどの意見で、自由に使えるようトイレ個室の配置を決めたとのことです。港区では、区有施設、小学校5・6年、中学校の女子トイレの個室、子ども中高生プラザのトイレなどに生理用品が設置されています。日本中で、今、トイレの個室に生理用ナプキンを置くことが広がっています。貧困対策だけでなく、持ってくるのを忘れたとき、急に生理になったとき、保健室まで行けない子がいます。服を汚したらどうしよう、毎回の生理のたびに不安な思いでいる子どもたちへの対応が必要です。
●教育長は15日の所信表明で、「子どもたちが安心して快適に学ぶことができる環境を整備することは、教育において最も大切なことの一つです」と述べられました。伺います。初潮を迎える小学生から10代の女子の心身の形成、安心して学習に取り組める環境づくりのために、トイレ個室に生里用ナプキンを置くことは大事な問題です。子どもたちの人権を守ることにつながります。大田区も一刻も早く区内小中学校女子トイレ個室に、トイレットペーパーと同様に生理用ナプキンを配備することを求めます。お答えください。
【小黒教育長】
区立小中学校の女子トイレへの生理用品配備についてのご質問です。生理の問題はとてもデリケートであることから、区立小中学校では、養護教諭が中心となって、児童・生徒に寄り添った丁寧な対応に努めているところです。女子トイレへの生理用品の配備は、気兼ねなく生理用品を使用できるメリットがある一方、児童・生徒の健康状態や生活上の課題を把握するには困難もあります。また、経済的な事情や虐待の可能性がある場合には、生理用品を配るだけでは根本的な解決にならないと考えています。そのため、現時点では、保健室に生理用品を常備していることを女子児童・生徒に周知し、保健室において対応することで、児童・生徒の健康状態や生活上の課題の把握に努めております。
以 上