(映像は大田区議会ホームページより:29分)
コロナ禍から区民生活を守る区施策について
【福井議員】
コロナ禍から区民生活を守る区施策について伺います
日本共産党大田区議団は、この間各団体や区民のみなさんと懇談や、区内のすべての介護事業所に郵送によるアンケート調査を行いそのことを踏まえて11月17日に松原区長に来年度の予算要望について申し入れを行いました。
懇談やアンケートに寄せられた声を中心に質問を行います。
保育園の問題です。保育園の職員や園児が新型コロナウイルスに感染した場合、症状がなく厚労省が定めている感染可能期間に出勤・登園していない場合は休園となりませんが、職員や園児に症状がある場合、保育園は休園となります。そして保健所の指導として感染者以外も自宅待機を要請されます。ある休園となった園児の保護者からお話を聞きました。「園児だけで自宅待機は出来ず、ベビーシッター利用支援事業は紹介があったがベビーシッターが確保できず利用開始まで最短でも1週間かかるといわれ、休みを取らざるを得なかったた」とのことでした。また別の保護者はどうしても休みがとれず、友人・知人・親戚に頼み込んで10日間面倒みてもらった。とのことでした。制度があっても実際は機能しない場合は改善が必要ではないでしょうか。そこで質問します。
●ベビーシッター事業の紹介に留まらず保育園が休園になった場合は大田区が取りまとめベビーシッターを確保すること。保育園の休園は保健所の指導によるものであり保護者に責任はありません。仕方がなくベビーシッターを頼んだ場合は大田区が負担をすべきです。お答えください。
【こども家庭部長】
保育園休園時におけるベビーシッターの利用についてですが、新型コロナウイルス感染拡大に伴うベビーシッター利用支援事業は、東京都の実施要綱に基づき、各区が実施しています。区では保育園の休園と同時に保育園と連携して手続きに必要な書類を送付し、保護者が速やかにご利用いただけるよう努めています。ベビーシッター事業者は、東京都が認定し、日中の利用の場合、1時間あたり2,250円を上限に助成を受けています。利用者は、1時間あたり150円で、低廉な料金でご利用いただけるようになっています。また、ベビーシッターの研修やその確保についても東京都が広域的に取り組んでいます。以上のことから、ベビーシッターの確保や利用者負担額の助成について、区が独自に行うことは考えておりません。
【福井議員】
次にPCR検査について伺います。
東京都では高齢者や障害者の入所施設を対象に、PCR検査などの費用を支援する補正予算が成立しました。
また、世田谷区ではPCR検査(社会的検査)を区内の介護事業所の職員を対象に実施しました。その結果、今月18日までに無症状の感染者が区内の特養ホームの職員と入所者15人の陽性が判明しました。入所者は医療機関に入院し、職員は入院かホテルおよび自宅で療養しています。症状のない人への社会的検査で多数の陽性者が見つかったことは、新型コロナ感染症「第3波」のもと、感染リスクの高い医療機関や介護施設等への定期的な検査を速やかに実施、感染拡大と重症化を防ぐことの大切さを改めて示しています。
世田谷区のHPによれば、検査の目的は施設利用者への感染を未然に防ぎ重症化をさけること。早期対応ができること。施設内でのクラスターを抑制することをあげています。
対象施設には介護事業者・障害者施設に加え児童養護施設等・保育園・幼稚園の職員・小・中学校の教職員が対象者になっています。
コロナ感染が不安で学校に行きたくない生徒児童もいます。ある調査では1校あたり平均で3人いるというデーターもあります。児童生徒の不安を少しでも解消するには教職員へのPCR検査の実施です。保育園でも保護者から同様な声があがっています。
世田谷区のHPでは財源については区が行う社会的検査が国の通知により行政検査となることから、全額、国の負担となる見込みです。とあり区の負担が増えるわけではありません。
そして今、感染者は毎日のように過去最高の感染者数となっています。PCR検査体制を拡充することは医療崩壊を防ぐことにもつながります。
●保育従事者、区立小中学校の教職員へのPCR検査の実施を求めます。お答えください。
【健康政策部長】
PCR検査を実施の社会的検査に関する質問ですが、PCR検査の結果はあくまでもその時点のものであること、検査結果も完全ではないことから、急速に感染拡大が続いている現状では、必要な検査を必要な対象者に迅速に実施することが優先すべきと考えております。
【福井議員】
次に各障害者団体との懇談の中で多く上がった要望の1つは障害者(児)の居場所の問題です。親亡き後の居場所の問題も深刻ですが、コロナ禍で障害者(児)の保護者や介護人がコロナ感染または疑いで入院・待機を要請された場合の対応です。この問題では昨日、他党の議員も質問しました。一人では生活が出来ない障害者(児)がいます。国立感染症研究所の積極的疫学調査実施要領によれば感染者の同居家族はすべて濃厚接触者となります。
そのため家族が陽性になれば障害者本人は濃厚接触者となり自宅待機・健康観察が保健所から要請されます。
●今回、第7次補正予算で福祉費の中に障害者・高齢者の在宅要介護者の受入体制整備事業が組まれました。このことは評価できます。障害の状況によって入所できない障害者(児)が出ないような緊急一時入居施設の拡充を求めます。お答えください。
【福祉部長】
新型コロナウイルスへの家族の感染に伴う、障がい者への対応についてのご質問ですが、区は、これまでも、障がいのある方が、緊急の事情により見守りが必要となった場合に、在宅、施設等さまざまなサービスを組み合わせ、支援を行ってまいりました。昨今の感染症の状況を鑑み、本定例会の補正予算に「新型コロナウイルス感染症に係る在宅高齢者・障がい者支援事業」により、環境の変化に配慮の必要な障がいのある方が、それぞれにあった場所で支援を受けながら、家族の回復を待つことができます。障がい者施設をはじめとした地域の資源を活用しながら、今後、適切に取り組んでまいります。
【福井議員】
コロナの影響は学生にもでています。
全国大学生活協同組合連合会の調査によれば回答者の約4割がストレスを抱え、やる気が起きないが約5割をしめています。今、大学を辞めざるをえないと考えている学生が5人に1人に達している状況です。
1日の食費が500円以下が約2割、900円未満が約55%となっており生活が厳しい状況がでています。コロナの影響でバイトが出来ず収入が減少し経済的な不安や悩みが多く寄せられています。学生支援緊急給付金などの活用はされていますが、多くの学生は受給していない状況です。緊急支援金は主にバイト生計を立てている人に対してであり、慢性的に苦しい人は使えない問題や貸付型の給付の場合限度額までかりているので借りられない。との声がありました。その背景には高すぎる学費を賄うために多くの学生がアルバイトをせざるを得ない状況にあることです。今年5月、衆議院に日本共産党、立憲民主党・国民民主党などの共同会派で学生支援法案を提出しました。(1)大学院、大学、短期大学、専門学校などに通う全学生を対象に授業料の半額免除(2)アルバイトの収入が減少した学生などに最大20万円の緊急支援(3)2020年度中が返還期限の奨学金の返済が困難な場合、その返済の免除―の三つの柱となっています。何よりも国の責任で高すぎる学費を引き下げることです。大田区でも補正予算で給付型奨学金制度を創設しました。
このことは大田区の英断です。しかし、コロナが終息になっても高い学費のままでは学生の生活はよくなりません。
●大田区の給付型奨学金制度を来年度以降も継続をすることを求めます。お答えください。
【福祉支援担当部長】
経済的に厳しい状況にあっても、学生が修学を断念することがないよう、区が奨学金制度により支援していくことは重要であると認識しています。大学等の高等教育については、今年度から国が、授業料等の減免措置や給付型奨学金により、世帯の所得に応じた支援を拡充しております。高校教育については、国の就学支援金制度が拡充され、東京都の授業料減免制度とあわせた支援が図られています。区はこれらを踏まえて奨学金制度の見直しを行い、今年度から、高校進学前に一人8万円を給付する制度のほか、区内の福祉職場への人材定着に寄与することを目的とした人材確保型特別減免制度を創設いたしました。さらに、新型コロナウイルスの影響により家計が急変した世帯を支援するため、大学等に進学又は在学する方を対象とした臨時の給付型奨学金をこの秋に実施いたしましたが、現段階では今年度限りの対応と考えております。区といたしましては、これまで申し上げておりますとおり、今後も、国や東京都が実施する学生支援の動向を注視し、奨学金制度全体の在り方について、検討を続けてまいります。
【福井議員】
第5次補正予算では高齢者・子どものインフルエンザ予防接種費用助成行われ区民からも喜ばれています。インフルエンザは新型コロナウイルスと症状が似ているためにインフルエンザへの予防対策は医療崩壊を防ぐうえでも大切な対策です。「インフルエンザ予防接種がコロナの重症化リスク減少に関係」とのアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究者らがだした論文があります。一言でいうと「インフルワクチン接種率の高い地域では新型コロナ死亡率が低い」という内容です。
このような論文の著者に共通しているのは、「予防接種を受けている人は、そうでない人に比べ健康に注意している傾向が高く、高齢者の場合には、いろいろな病気を抱えている人ほど、医師に勧められて予防接種を受ける可能性が高いことなどに注意が必要である」と述べています。予防接種費用の助成を行うことで意識の向上につながり手洗いマスク着用などの徹底にもつながります。
子どものインフルエンザ予防接種助成も大切です。インフルエンザで最も重い合併症が、インフルエンザ脳症です。死亡率は約30%で、後遺症も約25%の子どもに見られる重篤な疾患でもあります。6歳未満の小児を対象とした研究では、発病を防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は、60%と報告をされています。ワクチン接種をしなかった人の発病率、リスクを基準とした場合、接種をした人の発病率リスクが、相対的に60%減少しています。
●高齢者のインフルエンザ予防接種費用助成・子どものインフルエンザ予防接種費用助成を来年度以降も継続することを求めます。お答えください。
【健康政策部長】
予防接種助成制度に関する質問ですが、令和2年度は季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備えて、インフルエンザの重症化予防、発熱患者の増加による医療機関の混乱を防ぐため、高齢者への自己負担全額助成、および1歳以上中学3年生までの子どもへの一部助成を実施しました。今後、新型コロナウイルス感染症についてはワクチンが開発され接種が開始される見込みであることから、今後のインフルエンザ予防接種の助成制度については、感染状況や国および東京都からの様々な情報を確認しながら対応したいと考えます。
【福井議員】
新型コロナウイルスの影響で利用者が減ったり感染対策で出費がかさんでいる介護事業者がでています。わが党区議団が行ったアンケート調査でも回答して頂いた事業者の66%が収入が減ったと答えています。
その中で介護事業者の声をお伝えします。総合事業の介護報酬を以前の水準に戻してほしい。要支援の方々で大田区のみが卒業制度がある。いつ感染者が出てしまうかわからない恐怖・ストレスを感じている。などの声が上がっています。利用者が感染の不安でディサービスを控えているケースが少なくありません。適切な介護サービスを受けられないと筋力や気力が弱まり介護度が上がったり病気が重症化する場合があります。ある方はディサービスを控えてしまったために引きこもりになり認知症がすすんでしまいました。また別の方は以前は一人で杖をつけば歩けていましたが現在、寝たきりに近い状況になってしまいました。適切な介護サービスが受けられないとこのような悪影響が出ています。
厚生労働省は6月から利用者の同意を条件に利用実態を上回る報酬支払の特例を認めています。しかし、このやり方では実際の利用時間より多く申請をするので現実的には使用できる時間が短くなってしまいます。
連日、感染者が過去最高を記録する中で先行きが見えない。終息の見込みがない状況の中で大田区が安心して介護を受けられる環境づくりを急いで行う必要があります。この状態がつづくと介護事業者が撤退をせざるを得なくなり、区民が必要な介護サービスを受けられなくなります。その結果、病気が進み医療費も増加することが懸念されます。補正予算で介護事業者への支援行っていますが、不十分であり区民の命と健康を守るためにも拡充が必要です。
●大田区として介護事業者へ事業継続の補助を行うことを求めます。
【福祉部長】
介護事業者への支援に関するご質問ですが、介護サービス事業者において、新型コロナウイルス感染症対策に関する衛生物品等の経費が発生していることは、区としましても把握しています。区では、8月から介護事業者に対してサービス継続緊急支援金の支給を行ってまいりました。東京都でも、かかり増し経費の補助事業を行っていますが、区の支援金が役立ったとの声を、事業者からいただいております。今後、希望する介護事業者へ手袋やゴーグルなどの必要な衛生物品の配付を予定しております。このようなことから現段階では、介護事業者への更なる支援金の交付を行うことは考えておりません。
調布市の道路陥没事故とリニア中央新幹線の関連について
【福井議員】
調布市道路陥没事故とリニア中央新幹線との関連で伺います。
そもそもわが党はリニア中央新幹線計画については中止を求めています。
スーパメガリーじょん構想の中に盛り込まれています。世界からヒト・モノ・カネをひきつけ、日本の成長を促すという中身です。
最終とりまとめが2019年5月に出されましたが、この中では訪日外国人旅行者数が増加している、3大都市圏間が約1時間で結ばれ人口7000万人のスーパーメガリージョンを誕生させればグローバルマーケットで羽ばたくようになるとバラ色に描いています。
しかし、コロナ禍でこの考え方を抜本的に見直すことが求められています。
ICTの活用でリモートワーク・ズーム会議など進められています。インバウンドを見込めなくなりました。移動そのものが見直しをされることになりました。
さらにこの計画自体JR東海の社長は、13年9月の記者会見で「リニアは絶対にペイしない」という趣旨の発言をしています。
そのため政府は財政投融資3兆円を無担保でJR東海に貸付を行っています。
リニア中央新幹線の工事の影響は様々なところに出ています。大井川の水減少や、ゼネコンの談合、トンネル残土の問題など起きています。
そしてなによりも問題なのが大深度地下法です。
政府は「大深度地下は通常利用されない空間であるので、公共の利益となる事業のために使用権を設定しても、補償すべき損失が発生しません。このため、本法律は事前に補償を行うことなく大深度地下に使用権を設定することができます」としています。そのためJR東海は土地所有者に対して十分な説明や調査をおこなっていません。
このような時に東日本高速道路のシールド工法による外環道の工事により調布市の道路陥没事故が起きました。「大深度地下法」は安全で安心であるという安全神話はくずれました。これまで安全であることを理由に家屋調査や空洞調査は行われておりません。法律には例外的に補償の必要性がある場合には、使用権設定後に、補償が必要と考える土地所有者等からの請求を待って補償を行います」とあるだけです。法律では「当該損失を受けた者は、第二十一条第一項の規定による告示の日から一年以内に限り、認可事業者に対し、その損失の補償を請求することができる」とあり1年を過ぎてしまえば補償の請求はできなくなってしまいます。補償のルールを見直して家屋調査や地中空洞化調査を行い本当に安全なのか再検討をすべきです。
この間、JR東海は事業説明会でシールドトンネル工事の説明で「本事業においては、騒音や振動の影響はありません」と明記しています。
しかし、事実として大深度地下法を活用し、シールド工法を用いて掘削を行っていた調布市での道路陥没事故が起きました。
リニア中央新幹線も同じ大深度地下法を活用しシールド工法によって工事が進められます。区民の不安な声は当然ではないでしょうか。区民のいのちや財産を守る立場から大田区として
●JR東海に対して外環道工事における陥没事故調査の結果、因果関係と安全対策が明らかになるまでシールド工事の着手を行わないように指導するよう国に申し入れることを求めます。お答えください。
【まちづくり推進部長】
工事についての国への申し入れについてのご質問ですが、調布市における陥没については、現在東京外かく環状道路のトンネル工事との因果関係を究明するための調査が実施されていると聞いております。この陥没に関して、赤羽国土交通大臣が11月6日の記者会見の中で発言しております。その内容は、「東日本高速道路株式会社において、引き続き、陥没箇所、空洞確認箇所およびその周辺の監視を重点的に行うとともに、原因究明に必要な調査や空洞を補填するための準備作業を早急に進めているところと承知しており、国土交通省としても、住民の皆さま方の不安をできるだけ速やかに取り除けるよう、調査や原因究明にしっかりと協力してまいりたい。」とコメントしております。このため区としては、その調査の経過を注視しております。中央新幹線は、国土交通省の指導監督のもと、事業者であるJR東海が進めております。安全安心に工事を進めることは、事業者の責務であり、今後もその責務を果たすべく適切に進められていくものと認識しております。これまでも区は、中央新幹線についての区民の声などを、国土交通省に伝えており、引き続き沿線自治体として必要に応じて対応してまいります。
【福井議員】
道路陥没事故後、リニア中央新幹線事業計画上の住民の方に話を聞いてきました。道路陥没事故については非常に関心が高かったです。そして自分の土地の下を通ることに非常に不安を覚え補償はしてくれるのかと逆に質問がありました。
道路陥没事故は調査中ですが、陥没した現場近くの地中に、空洞があることが次々に明らかになりました。付近の住民は不安をさらに募らせています。
わが党はリニア中央新幹線計画は白紙撤回を求めていますが、どうしても工事をすすめるのであれば、せめて安全性の確認を再度行うこと。地権者に説明をしっかりと行うこと。補償制度を明らかにすることなどが必要です。
現在、東雪谷1丁目では非常口新設工事が進められており非常口土留壁(どどめかべ)工事は今年度中に終わる予定となっています。そして来年度以降にシールド工法による工事が始まる予定です。先日、国土交通省に話を聞きに行きましたが、「現時点ではJR東海が工事の変更や中止をすることは聞いていない」予定通り進めていくと思われるとのことでした。
住民の理解と合意がない限り工事をすすめるべきではありません。
●大田区としてシールド工事の開始は住民説明会を行い、住民の理解と合意を得てから行うようJR東海に求めてください。お答えください。
【まちづくり推進部長】
説明会についてのご質問ですが、去る平成30年8月23日に開催された、第8回首都圏大深度地下使用協議会において、区はJR東海に対し、環境への配慮、沿線住民および地権者に対して適切な対応を求めております。これに対しJR東海は、「今後、ルート沿線の皆様には、工事内容やスケジュールについて、お知らせする予定」であることや「質問があれば適切に対応する」ことを回答しております。今回改めてJR東海に確認したところ、「工事の進捗に応じて適切に説明を行っていく」とのことであり、現在もこの考えに沿って進めていると認識しております。区はこれまで、中央新幹線に関して区民の方から寄せられたご意見・ご要望について、JR東海に伝えるとともに、適切な対応を求めてきているところであります。今後とも、同様の対応を適宜適切に行ってまいります。
以 上