区議団ニュース2020年5月号(No.282)――新年度予算 区民の暮らし営業を守る区政へ/新型コロナウイルス感染対策に全力


PDFファイル大田区議団ニュース2020年5月号(No.282)

新型コロナウイルス感染症 緊急申し入れと事業者訪問

世界的に広がりを見せている新型コロナウイルスの感染症により政府の緊急事態宣言による各種イベントの中止など、消費税増税の影響がある中で外食産業等区内経済に大きな影響が出ています。 外出自粛が求められている中、区民からは「いつまで自粛すればいいのか。先行きが見えない」「感染が怖く家にいる。散歩が出来ないのでストレスが溜まる」「子どもが一日中家にいる。プリントだけでは学力の面で不安がある」「大田区も発熱外来や検査体制を作って」などの声が上がっています。

緊急申し入れ

党大田区議団はこの間、松原区長に緊急申し入れを行ってきました(5月8日までに5回)。
長期化が予想されている中、融資の申し込みが殺到している中で速やかに融資を受けられるよう体制を図ること。事業継続のために、家賃やリース代等の固定費の補填について国や都に支援策を求め、区も支援すること。学生が学業を続けるために、授業料や家賃等の生活費の支援策を国や都に求め、区も支援すること。介護事業所の感染症対策の必要経費、デイケア中止などによる減収分を全額補償すること――などを求めました。

事業者訪問

外出自粛要請で売り上げが激減する中で、党区議団は区内の小規模事業者を訪問し新型コロナウイルス問題の現状を聞くとともに東京都感染拡大防止協力金や国の持続化給付金制度を紹介し事業継続ができるようにお手伝いをしています。
事業者からは「制度を知らなかった。ありがたい。さっそく申請したい」「何とか継続できるようがんばりたい」との声が寄せられました。党区議団は引き続き取り組んでいきます。
日本共産党は外出自粛・休業要請と一体の補償、検査体制強化と医療現場への本格的財政支援を求めています。

第1回定例議会 区民の暮らし営業を支え、大型開発には反対

すがや郁恵 代表質問


(映像は大田区議会ホームページより:62分)

人権を尊重し、区民のいのちを守る区政に

第1回定例議会は、昨年10月からの消費税10%への増税の影響と新型肺炎(COVID-19)の影響が拡大しはじめ、羽田新飛行ルート・増便の実機での飛行訓練など区民への負担が深刻になる中で行われた、まさに、区民の命とくらしがかかった議会でした。

大型開発を中止し区民の暮らし最優先に

区長は新空港線開発を「自分の悲願である」とし、第5次補正で10億円積み増して、計68億円に。更に際限なく積み立てようとしています。また、新年度予算では、都との協議が行きづまっているのに、整備資金を4年連続1億8千万円予算化し、さらに、蒲田駅などまちづくりと一体に開発を進めています。一方、4庁舎にあった保健所を統廃合したことが、今回のコロナ問題では、対応の遅れなど区民に大きなしわ寄せになっています。
また、中小企業への影響を区として調査することを求めたことに対し、国の調査を見守るとし、さらに、受益者負担の名のもとに総額8000万円の施設使
用料の値上げを提案したことは、住民福祉の地方自治体の役割を投げ捨てており許されません。

社会保障の拡充を

国は全世代型社会保障として、高齢になっても働くことを求め、75歳以上の医療費窓口2割負担をはじめ医療や介護、国保など改悪を進めています。
大田区として、国の横暴に反対し、予算を拡充して負担軽減するよう求めましたが、国の動向を見守るとしか答えない情けない区の姿勢です。

多様性を認め合う大田区に

ジェンダー平等、SOGIなど性的マイノリティをはじめ、賃金格差、障害があってもなくても、子どもでも高齢者でも、分断することなく、一人一人の人権を尊重する社会の実現が求められます。区が区民の声を聞いて男女平等の条例を作る事、また、区立中学校における制服の選択の自由を提案しましたが、区は教育委員会が個別の相談に応じると答えるにとどまりました。
これからも、ジェンダー平等の区政実現のため頑張ります。

杉山こういち 一般質問


(映像は大田区議会ホームページより:24分)

●区内中小企業の支援につながる羽田空港周辺地域の開発について

問 インダストリアルパーク羽田と羽田空港跡地第1ゾーン区施策活用スペースの事業が、事業費に見合った経済効果及び区内中小企業の仕事づくりに活用されているのか、毎年実績検証する体制をつくるべきです。
答 区内企業との取引機会等及び雇用創出や消費拡大を期待する。

●区民の命と暮しを脅かす羽田空港機能強化・増便中止について

問 1月30日からの実機飛行確認では予測値を超えた騒音であり、区民生活を脅かすとの認識立つべきです。国に、騒音対策ができなければ、増便の中止を求めるべき。また、降下角3・5度の引き上げは騒音対策にならなかった。世界のほぼ全てのパイロットが経験したことのない降下角3・5度は危険極まりない。即中止を国に申し入れるべきだ。更に、新飛行ルートでB滑走路西向離陸により、飛行機事故や落下物に伴うコンビナート火災や有毒ガスの発生の恐れがあり、区は防災対策をたてるべき。
答 国にさらなる騒音対策、安全確保の徹底を求めていく。また、国主催の訓練へ参加し、適切な対応に努め役割を果たす。

予算特別委員会

清水菊美 総括質疑

消費税増税の影響が甚大な中、新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態を受けて、区内中小企業や飲食業、給食納入業者等は経営がひっ迫している。緊急に区内調査をして緊急融資制度の創設し誰でもかりることができるよう柔軟な対応を求めました。さらに雇用が不安定になっている中、一人親世帯や非正規雇用の区民への生活の不安に支援することを求めました。
新空港線計画ついて、区長は今年度中に東京都と費用分担について確定し計画が進むという最終段階と常に発言しているが、多額の税金が注がれるのに区民には説明がないのは不誠実である。また新空港線計画を蒲田駅まちづくり開発と連動で進めるとしているが、京急蒲田、糀谷駅前開発のように多額の財政がかかったが、区民は住み続けられず、多くの個人商店は移転や廃業となってしまった。東急電鉄や大企業の儲けに繋がる計画は見直すことを求めました。
羽田空港跡地開発は鹿島建設グループと公民連携との名の元に進められている。健康寿命延伸の施策も大学病院に委託しデータ分析をAI等で行うとしているが、ソサエティ5.0等の国や財界が進める施策に載るのではなく、がん検診の無料化など具体的な予算を拡充することを求めました。

黒沼良光 款別質疑

同和予算は廃止すべき

大田区の同和事業は44年前に解同品川支部の糾弾会に屈服した時から始まりましたが部落はありませんので出生者も地域を限定したごみ処理問題もありません。しかし昨年も教育相談33件、就職相談20件とのことですが発生するはずがありません。それで1288万円余も予算化しています。一般人権相談として行うべきです。

生活保護を生活保障に!

生活保護受給者の不正受給は0・5%に過ぎないと厚生労働省の発表です。捕捉率は保護を受けられるのに受けていないひとの割合です。実は日本は2~3割しか受給していません。フランスは9割です。フランス並みになれば区内消費も活性化します。改善を求めて頑張ります。
高すぎる国民健康保険料は均等割を無くせばほぼ半額になります。実現のため頑張ります。

大竹辰治 款別質疑

2018年度からはじまった介護保険第7期事業ついて質問しました。新年度予算でも前年度から減額し3年間続きました。その原因が、介護予防・生活支援サービス事業(総合事業)で減額していることを指摘しました。
第7期事業から本格的に始まった総合事業は、要支援1、2の方が介護保険から外され、自治体の裁量で行われており、期間を1年間として決められているからです。事業者の皆さんからも「継続を求めたが包括に必要ないと言われた」、「継続と終了の基準が分からない」との声が出されており、介護サービス期間を1年間とせず拡充を求めました。
また、保険料も3年ごとに上がり、保険料基準月額では2000年度3070円が第7期事業では6000円にもなり、2021年度から始まる第8期事業計画の介護保険料引き下げに使うことを求めました。

福井りょうじ 款別質疑

大田区は政府からの臨時休業するよう要請を受けて3月2日から春季休業まで休校することを決めました。
2月27日夕方に安倍首相が表明しました。翌28日には対応しなければならないために現場が大混乱となりました。この判断は専門家からの意見を聞かず、科学的知見ではなく政治的判断で行ったことが明らかになりました。
このような状況の中で、款別質問にて①子どもの学習権を保障して子どもの教育環境を整えること②公園での児童の遊びを認めること③給食の再開などを求めました。大田区の対応はまさに国の方針を受けての対応であり区独自の方針がありません。区が独自に判断し子ども達の心身のケア、教育環境の整備を引き続き求めていきます。

佐藤 伸 款別質疑

昨年の消費税増税に加えて新型コロナウイルスの感染拡大によって窮地に立っている区内中小企業・業者の支援強化を求める質問を行いました。まず、区内業者を対象にした経営環境・景況の緊急調査を行い、どの業種や分野にどのような影響が出ているか実態を把握し、その実態に即した支援策を緊急に打ち出すよう求めました。特に3月2日からの一律休校によって、学校給食が休止している中で、給食食材納入業者の実態を把握したうえで必要な支援を行うよう求めました。
また、緊急融資の返済期間の延長や元金返済を据置く期間の延長をするなど利用しやすい融資制度への改善を求めました。続いて、家賃やリース料への直接支援をする制度を作り、大田区行政が考えられる支援をしっかり行うよう求めました。

あらお大介 款別質疑

衛生費と土木費について質疑に立ちました。 
まず衛生費について、大腸がん検診が1年限定で無償化されることをうけ、継続を求めました。がん検診は2014年度から有料となり、翌2015年度は受診者上限を撤廃して受診者数が増加したものの、2016年度からは減少に転じたことから、当初区が検診有料化によって「区民の健康意識が向上する」結果にならず、受診者数も増えなかったため、有償化方針の撤回し、無償に戻すことを求めました。
土木費について、田園調布せせらぎ公園が民間事業者に指定管理するためサウンディング市場調査の手法を用い、区民の声よりも民間事業者の声を優先させている区の姿勢を批判しました。

条例提案

(A)大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例

現在議員が議会に出席する際、日額3000円が支給されています。あまりに高額です。委員会で反対の理由として幹事長会に提案しないで条例提案というやり方なので反対というものでした。

(B)大田区心身障害者福祉手当条例の一部を改正する条例

精神障害者の人には1級4500円の支給のみで、2級にも支給対象を広げ、支給額を拡充する改正です。「現金給付的な施策は、政策的効果が乏しい」との意見がありましたが、精神障害者1級の人の半数以上は入院しており、むしろ2級の人こそ、経済的な基盤の確保が難しく、社会参加をするためには、経済的支援が必要です。

(C)大田区就学援助費支給条例

より多くの子ども達が安心して学べる環境を整えることを目的に、支給対象を生活保護基準の1.2倍から1.3倍に拡充するものです。

条例案 共産 自民 公明 令和 立憲 つらぬく フェア民 ネット 無所属 区民 都民ファ
(A) × × ×棄権1 × ×
(B) × × × × × × ×
(C) × × × × × × ×

A~Cは各条例案、丸数字は会派人数、 ◎は提出者、○は賛成、×は反対

新空港線(蒲蒲線)計画は中止を

新空港線整備案
(大田区ホームページより)


日本共産党大田区議団は新空港線(蒲蒲線)計画の中止を求めています。

中止を求めているこれだけある理由

●区民のためにならない

新空港線(蒲蒲線)は池袋・渋谷方面からの乗り入れを前提としています。そのため8〜10両編成になります。多摩川線は3両編成のため多摩川線のほとんどの駅は通過することになり多摩川線沿線の区民は新空港線を利用できません。

●1260億円の事業費

1260億円という巨額な事業費で区財政が圧迫されるのは必至。しかも、1260億円は2016年に区が発表した金額です。しかも、この金額は3年後の消費増税や物価高も想定しているとし、金額に信ぴょう性が疑われます。1260億円以上かかることも。

●第三セクターは全国で次々と破たん

整備主体を第三セクターで進める計画です。このやり方は全国的にみても次々と破たんしています。赤字になれば区民の税金で補てんすることになりかねません。

●計画が進んでいない

第三セクターの設立のための予算を4年連続で計上。しかし、調整が難航し設立が未だにできていません。

●自治体の仕事ではない

そもそも自治体の仕事は住民の福祉の増進であり鉄道事業は大田区の仕事ではありません。今からでも中止することは出来ます。党区議団は引き続き中止を求めていきます。

羽田空港の跡地開発

大田区発行リーフレットより


区内中小企業の支援につながる羽田空港周辺地域の開発に転換すべきです。
大田区は田空港跡地第1ゾーン16・5ヘクタールのうち第一期事業予定地5・9ヘクタールを国から約165億円で購入し購入した土地を鹿島建設、大和ハウス工業など9社が出資する「羽田みらい開発株式会社」に月額平米単価600円で50年間定期借地し、その第1ゾーンをイノベーション・シティーと命名しました。この跡地開発に国家戦略特区を使い、世界で一番ビジネスをしやすい環境をつくることを目的にしています。
●第1ゾーンの区施策活用スペース「羽田研究開発ラボ」の17ブースには、半分しか応募がなく、外国企業は誘致できていません。
●地方自治体として、中小零細企業が活用でき、物作りの大田の町が再生するように取り組むべきです。

公共施設使用料値上げ

区は、消費生活センターの各室はじめ約930区分の「公共施設」使用料、約8000万円値上げを決めました(実施は来年度)。
「公共施設は地方自治法で住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」と定義し、基本的に税金で賄うこととしています。管理責任として施設管理のための人件費と減価償却は基本的に租税で賄います。住民が公共施設を利用する時は、行政責任として区民が可能な限り利用しやすいようにすることです。区の利用料値上げの根拠とした「受益者負担」は臨調・行革から始まりましたが、租税で賄うべき人件費と減価償却費を管理責任として税で賄うべきものを、行政責任としての使用料に紛れ込ませてしまい、二重取りになっているのです。税金で建設された公共施設は今日、誰でも使うようになり、受益者負担という特別利益を得ていることは無くなり、税内負担を原則とすべきです。しかも今回の大田区の受益者負担は、ただ単純に負担と受益を結び付けて、人件費、減価償却も含んでの提案です。このようなでたらめをただせば値下げもできます。

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