東日本大震災の被災地を視察しました


日本共産党大田区議団(大竹、清水、佐藤区議、梶谷事務局員)は、5月10・11日の2日間、宮城県東松島市、福島県いわき市を視察しました。

東松島市


津波で大きな被害を受けた東松島市大曲地区

被害-死者1029人、行方不明者800人、全世帯1万5千のうち、全壊3千・半壊6千世帯、床上浸水6~7千世帯、流された車1万5千台、現在避難所は55箇所3200人~3300人
長谷川市議の仲介により、阿部市長、総務部長と懇談し、その後長谷川市議と津波の被害の大きかった大曲地域を視察。
懇談で市長は、2003年に発生した宮城県北部地震の経験をいかして防災計画を作り「災害に強い町作り」を勧めていたと自負していたが、3月11日の大地震・津波はすべての面ではるかに超えていた。
また、復興計画、生活再建を市民に示すことが今大事で、「現状の激甚災害法等の改正と、国の明確な財源の確保を示してほしい。」旨を強く要望され、今後の大きな課題は仮設住宅と、ごみの撤去である。仮設住宅は来月中旬までに75%、1500世帯を目指している。がれきの撤去にかかる費用は市のごみ処理費の136年分にもなると予想されており、すべて国庫補助でない限り到底できない。
さらに、市長が「職員削減をしたバチがあたったと思っている」と語っていましたが、災害時に大きな役割を果たすのが、市職員のマンパワーであることが今回の大震災で痛感されている。大震災から約1ヶ月間職員は家や家族を失った職員も大勢いた中で庁舎に泊り込みで対応をしてきた。市ではこの間42人の職員を削減したが、現在大田区を初め他自治体から43人分の職員を派遣してもらっている。
その他にも、消防団は避難を呼びかけている中、8名が殉死されたが、少ない体制の中で行方不明者の捜索に死力をつくしていた。市民は「どんなに消防団が必要かよくわかった」と言っていること。
防災無線は停電の際は使えない、予想をはるかに超えた巨大な津波の被害、死亡者の棺が足りない、土葬の決断、2年後の改葬の際の費用、瓦礫の中の貴重品の管理等々、防災計画を作成する際には想像も出来なかった事態を乗り超え現在も真っ只中の市長の話には圧倒されました。
また、大田区の対応には「頭が下がる思いです」と述べ、応援の大田区職員は他地域の人たちと比べると、「目の色が違う、海・河川を抱えている自治体として災害対策亜を学ぶ姿勢があり、本当に真剣に働いてくれている」と、大田区の対応に心から感謝されていました。
大田区の防災計画では広域避難場所は羽田空港であると説明すると、「それは大変、あぶないですよ、死に行くみたいなものですよ」とも述べていました。


東松島市のがれきの集積所

いわき市

いわき市内と津波被害の大きかった薄磯(うすいそ)地区を視察、その後日本共産党市議団(高橋明子、みぞぐち民子市議)と懇談。
いわき市の現在の問題は地震、津波による被害の復興支援と原発問題である。
いわき市には過去に津波の被害はなかった。防災計画に入っているかさえも把握していなかった。津波にさいしての防災訓練もしておらず警報が出されたかどうかも正確でない。情報の寸断、通信網の寸断は防災計画では把握仕切れなかった盲点であった。
市内の死亡者301人は4月11日の余震の際のがけ崩れで3人死亡以外は津波による被害であった。行方不明者数は現在も不明。被害の多かった地区の高齢者も「ここには津波は来ない、来たことがない」と避難しなかったようだ。久ノ浜、勿来の漁場は破壊されて漁業に多大な被害が出ており、薄磯、豊間の浜近くの工場も津波で破壊され、小田原にまで出していたかまぼこ産業は崩壊している。
原発問題は深刻である。殊に佐藤知事が3号機プルサーマルを進めてきた責任と、市長も「いわきは10キロ以上離れているから安全」と言い続けてきたが、日本共産党は議会でも一貫して危険性を追及してきた。今回の福島第1原発の爆発事故は人災であり、東電と国は全面補償すべきと強く申し入れている。
現在の住民の不安は確かな情報、確かなデーターがないことである。子どもを外で遊ばせてよいか、布団ほしてよいか、洗濯は大丈夫か、畑の作物や山菜は食べても大丈夫かなど、目に見えない恐怖と戦っている。日本共産党は科学的に見えるデーターに基づいて市民に提供するために、現状の放射能の正しいレベルと避難のレベルを市民に伝えること。現在庁舎に1箇所しかない測定器を14箇所に設置を要望している。
原発の風評被害による市産業への影響は甚大で、農作物は新橋のアンテナショップでは完売したが、お台場では多くが売れ残ってしまった。製造業にも影響が出ており、工業製品も2重3重に包装しないと出荷できない、単価をたたかれるなどの被害を受けている。またスパリゾートハワイアンズ(常磐ハワイアンセンター)では休業のためパート労働者は解雇となっている。旅館業も解雇者を出している。ハローワークは行列となっており、市では内定が打ち切られた新卒者65名を雇用、300人はパートで雇用する緊急対策をしている。

視察の感想

現実は想像を超えていました。こんなにも破壊された姿に言葉もない状態になりました。自分の町にこのような災害が起きたとき、立ち向かうことが出来るのだろうか。議員として働かなくてはならないが出来るだろうか。このことをずっと頭から離れませんでした。
東松島市では、市長が懇談してくれたことに感謝すると共に、長谷川市議の日ごろの活動と、震災後の昼夜を分かたずに奔走しているであろうと思うと感動しました。
いわき市では津波の被害、地震の被害だけでも甚大なところなのに、原発問題が本当に深刻でした。東電、国、県、市が安全であると言い続けてきたことへの怒りを痛切に感じました。
大田区の防災計画の見直しは一刻の猶予もできません。また、原発問題に関しても大田区放射線被害対策について、緊急に対応しなければなりません。区内に1つもない測定器の設置と、正しい情報知識の共有を区の責任で行わなくてはなりません。

(旧ホームページに2011年5月13日掲載)

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