第2回定例会一般質問(速報)―すがや議員(6月14日)



(映像は大田区議会ホームページより:15分)

明日のくらしに希望の持てる介護などの高齢者支援について

【すがや議員】
まず、高齢者施策についてです。
特に介護の問題は深刻です。介護保険は、高齢者が介護が必要になっても、住み慣れた地域や家庭で生活できるよう、また、家族の負担軽減がなされるよう、社会全体で支え合う制度として2000年4月にスタートしました。20年目となる今、単身の高齢者世帯が増え、要支援1、2に行われていたデイサービス、ヘルパー派遣を介護サービスから外す、特養ホーム、グループホームに入りたくても入れないほど不足しているなど家族の負担はますます増え、介護の社会化からほど遠い深刻な状況です。
先日、年金が入っている通帳を娘が持っていって返してくれない、買い物ができない、食べる物がないという電話が突然入ったので訪問してみると、犬と一緒のひとり暮らし。さわやかサポートに連絡をすると、少し認知症が出ていて、ヘルパーさんを入れて薬の管理が始まったばかりでした。対話の中で、寂しいという言葉がとてもつらかったです。また、ご主人を介護されている方を訪問すると、介護して10年、ヘルパーさんにオムツの取りかえをお願いして、朝早く、2時間だけパートに出ているとのこと。延命はしなくてもいいと担当の先生に頼んであるとも。要介護5、特養ホーム入所を希望していても入れません。
ほかのひとり暮らしのお宅を訪ねますと、以前はつえをついて、ゆっくりだけれども1人で歩いて整骨院に行くことができた。今では、とてもつえをついて歩いてはいけない。タクシーをお願いして病院に行く状況。体の調子は悪くなっているのに、部屋の中を自分で歩けるからと要支援2のままでヘルパー派遣が卒業になりました。このように、公的支援が全く実情に合っていません。これらは介護保険制度の行き詰まりのあらわれです。
●このようなときこそ、国の防波堤となる保険者の役割として、最低でも要支援1、2の介護外しをやめ、もとに戻すことです。お答えください。

【福祉部長】
要支援1、2の方へのサービスに対するご質問ですが、区では、高齢者がその能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援すること、要介護状態になることの予防、要介護状態の悪化防止といった介護保険制度の理念に基づき給付を行っております。要支援1、2と認定された方につきましても、ご本人の希望を聞きながらケアプランを作成し、介護予防サービス及び介護予防・生活支援サービス事業を利用していただいております。区としては、制度趣旨に基づき、個々の認定状況に応じて適切にサービス提供をしてまいります。

【すがや議員】
●また、高齢者をひとりぼっちにさせない、孤独死などを起こさせないために、実情に応じた行政の支援が何より必要だと考えます。お答えください。

【福祉部長】
次に、高齢者を孤立させないための取り組みについてですが、単身高齢者等が増加する中、高齢者の不安を軽減する見守りなどの施策を充実することが重要です。例えば、65歳以上の単身高齢者のうち、登録を希望された方の日常の見守りを行うひとり暮らし高齢者登録や、高齢者の見守りに取り組んでいる区内事業者と連携し、見守り体制を強化しております。また、高齢者が地域において活躍することは、生きがいを持った暮らしにつながるため、就労等の社会参加をはじめ、介護予防の場づくりなどに取り組んでおります。区は今後も、高齢者一人ひとりに応じたきめ細かい施策に取り組み、高齢者が孤立を感じない暮らしを支えてまいります。

【すがや議員】
次に、補聴器についてです。
難聴を放置していると認知機能が低下することがわかってきました。2017年に開かれた国際アルツハイマー病会議で、認知症の約35%は予防可能な九つの原因により起こると考えられる。その中で難聴が最大の危険因子である。また、厚生労働省の新オレンジプランでも難聴は危険因子と指摘しており、認知症予防に難聴対策が急がれます。現段階では加齢性難聴を治療する方法はなく、耳の聞こえが悪いと気がついたら診察をし、早く補聴器を使うこと、また、進行してからは両耳につけたほうが広い範囲の音が立体的に聞こえ効果があります。しかし、問題なのは、補聴器が高額ということです。私の知り合いも、耳の聞こえが悪くなり補聴器をつけたいと病院に相談、試しに補聴器を借りてつけてみたら、雑音が聞こえてとてもつけていられない。もっと調子がいいのをつけようと思ったけれども、高くて購入できないと諦めました。ほかの知り合いも、20万円するので半分を娘に出してもらった、また別の人は、本当は両方の耳に補聴器をつけたいけれども、高くて買えない、電池も1週間に一度は取りかえが必要、8個で1500円かかるなど、助成への切実な声が出されています。
大田区では、現在区の予算で、医師の診断がある70歳以上、住民税非課税者に1回きり2万円助成していますが、豊島区、新宿区や江東区では、東京都高齢社会対策包括補助事業費を活用してさらに拡充しています。
●耳の聞こえが悪いと外に出たくない、人と話をするのがおっくうという声も聞きます。認知症予防対策としても効果があり、ひきこもりを減らし、社会参加を進めるためにも、東京都高齢社会対策包括補助事業費を活用して、大田区の助成額の増額と対象年齢を引き下げ、住民税課税対象者に拡充すること、区民への周知、アフターケアを含め支援を求めるものです。お答えください。

【福祉部長】
次に、高齢者の補聴器購入費の助成に関するご質問ですが、この制度は、聴力機能の低下により家族等とコミュニケーションがとりにくい高齢者に対し助成をするものです。平成28年度からの3年間の申請の実績は、76件、88件、75件と一定の数で推移していることなどから需要に対応できていると捉えており、アフターケアを含めた助成額の増額、並びに対象の拡充については現在考えておりません。
事業の周知については、地域包括支援センターや地域福祉課等でチラシを配布しているほか、区報、区ホームページ、くらしのガイド、高齢者保健福祉のハンドブック、高齢者のための保健福祉サービスガイド等でのお知らせを行っております。今後、区は、都の高齢社会対策区市町村包括補助事業の動向、他区の状況等を含め、助成のあり方について適切に対応してまいります。私からは以上でございます。

お金の心配なく子育てができる支援について

【すがや議員】
次に、お金の心配なく学び、子育てができる支援についてです。
相次ぐ子どもへの悲惨な虐待事件、また、登戸や元農水省官僚による息子の殺傷事件など、かけがえのない命を奪うことは、どんなことがあっても許せるものではありません。しかし、事件をめぐって聞こえてくる偏見の声が、様々な事情を抱えてのひきもこもり状態にある人や家族をますます追い詰めるのは危険です。解決するには、恥だと思わず外部機関とつながることが求められており、相談窓口をはじめ大田区としての支援を求めるものです。
2013年に子ども貧困対策法が成立して5年、見直しが12日、衆議院で成立しました。大田区では2016年に小学5年生と保護者を対象に子どもの貧困実態調査を行い、大田区の子ども約2割が困窮層、周辺層であり、経済的支援が最も求められます。臨時議会で補正予算に子どもの生活応援プラン推進事業、子どもの応援プロジェクト実施にかかわる経費391万円余を組み、夏休みなど長期休暇のときに、不登校児や就学援助を受けている生徒に給食提供、学習支援などを社会福祉法人に委託するものです。子どもの生活応援推進事業の副題が、全ての子どもとその家庭を包摂する地域社会の実現を目指すのですから、支援を必要とする全ての子どもを対象にすること、大田区の責任で行うことを求めます。
さて、経済的支援としては、学校の給食費の無償化をはじめ、憲法で定められている義務教育の完全無償化を実現することだと考えます。大田区では、就学援助費の入学準備金の入学前支給と、国に合わせ金額も小学生4万7380円、中学生5万4070円に増やすなど改善してきましたが、隣の世田谷区では、入学準備金を小学生6万3100円に、中学生7万9000円に拡充しています。また、就学援助の対象を生活保護基準の1.4倍に拡充し、月4000円から5000円かかる給食費については生活保護基準の2.06倍まで広げて、4人家族の年収で約760万円、約3分の1世帯が対象になりました。
●就学援助の拡充は、子育て世代にとって大変助かるとともに、義務教育の完全無償化に向けて待ったなしです。大田区でも、就学援助の対象を生活保護基準の1.4倍に、給食費の基準拡充と入学準備金の増額を求めるものです。お答えください。

【教育総務部長】
私からは、就学援助に関するご質問にお答えいたします。
区の就学援助費の受給資格は、世帯の合計所得が生活保護基準の1.2倍の額に満たない保護者としております。国が平成25年度から生活保護基準を段階的に引き下げる中、区では、引き下げ前の生活保護基準を継続して適用し、子どもたちの学校生活に影響が及ばないよう配慮しているところでございます。支給金額につきましては、都区財政調整制度における積算単価などを踏まえ毎年増額の見直しを実施し、特に新入学用品費につきましては、令和元年度の入学から大幅に増額しております。
また、議員お話しの世田谷区では、小学校における新入学用品費の前倒し支給は令和2年度の入学から実施されますが、大田区では既に平成30年度の入学から実施しており、援助を必要とする時期に速やかな支給が受けられるようにしております。今後も、就学援助費の支給対象や給食費の基準拡充などにつきましては、景気動向や社会経済状況のほか、他区の状況や都区財政調整制度における積算単価などを踏まえ、適切に判断してまいります。私からは以上です。

再質問

【すがや議員】
●東京都高齢者対策包括補助事業がもう出ていて、ここを活用してと言っているんですけれども、動向を見守るというのはあまりにもひどいと思うんですが、いかがでしょうか。お答えをお願いします。

【福祉部長】
この包括補助事業につきましては、今後、この内容が変化することもあると考えますので、そういったことも踏まえまして制度のあり方について適切に対応していくということでございます。

以  上

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