(映像は大田区議会ホームページより:63分)
- 松原区長は今こそ平和憲法を守り、核兵器廃絶に向けて行動することを求めるについて
- 2017年度決算から、税金が区民の幸せのために使われたのかについて
- 誰もが必要に応じて、安心して生活できるための介護保険制度の実現について
- 経済最優先の羽田空港機能拡充計画は見直し、区民生活の安全と快適な生活環境を確保することについて
- 大阪北部地震、西日本豪雨災害等を教訓に、緊急の防災対策の必要性について
【清水議員】
日本共産党区議団を代表いたしまして、代表質問を行います。
松原区長は今こそ平和憲法を守り、核兵器廃絶に向けて行動することを求めるについて
【清水議員】
日本列島は次々大きな災害に見舞われています。西日本豪雨被害がおさまらない中、9月4日から5日、台風21号の直撃を受け、大阪府、滋賀県、愛知県をはじめ26都道府県で被害を受け、関西国際空港は高潮被害によって浸水し、全ての機能が停止し閉鎖されました。さらに9月6日には、北海道の胆振東部を震源とする地震があり、厚真町では震度7の北海道史上最大の揺れを観測し、死者41人、全道停電と断水となり、農業をはじめ全ての産業に著しい影響を与えています。被害に遭われた全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げ、国が復興に全力を挙げることを求めます。
まず初めに、日本共産党区議団は、区内25万世帯「大田区政アンケート」をお願いしました。現在、3500通を超える返信が届いています。来年度予算要望、政策に活かしてまいります。本日の代表質問でも参考にしております。
さて、安倍首相が国難としていた北朝鮮問題は、区長も第2回定例会開会挨拶において朝鮮半島の情勢が大きく動いていることに注目していると述べておられましたが、さらに情勢は大きく動き、韓国大統領府は6日、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長による3度目の首脳会談が18日から20日、平壌で開くと発表しました。朝鮮半島の平和定着、完全な非核化をともに進めると強調しています。
日本国憲法と同じ戦争の反省を踏まえつくられた国連は、核兵器保有国の思惑を崩し、昨年7月、核兵器禁止条約を誕生させ、戦争違法化の徹底とともに、対話による平和が世界の流れであることを明らかにしています。しかし、唯一の被爆国の安倍首相は、世界の流れに背を向けています。今、高齢になった被爆者は、まさに命をかけて核兵器のない世界を目指し奮闘し、被爆者が訴える核兵器国際署名への署名を全国知事・自治体首長に呼びかけています。9月12日現在1155、都道府県では20、都内23区では8、都内市町村では14と、首長の署名が日に日に増えています。
●この流れの中、今こそ松原区長は決断し、被爆者が訴える核兵器国際署名に署名し、核兵器のない世界を目指す立場を大田区内外に表明することを求めます。お答えください。
【松原区長】
まず、「ヒバクシャ国際署名」に関するご質問でございますが、「ヒバクシャ国際署名」は、全ての国に対して、核兵器を禁止し、廃絶する条約を結ぶよう求める国際署名運動でございます。集められた「ヒバクシャ国際署名」は、国連総会に平成32年(2020年)まで毎年提出されるとのことです。国連において、そのもととなります一切の核兵器の使用、保有を禁じる「核兵器禁止条約」が平成29年7月、採択され、本年9月4日現在、同条約に批准した国は15か国となっております。
一方、日本政府は、これまで核兵器のない世界を目指し、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる「核兵器不拡散条約」のもとに、毎年「核兵器廃絶決議案」を国連総会に提出するなど、実践的な取り組みを着実に進めており、区といたしましては、現実に即した取り組みと理解をしております。平和都市宣言を行った大田区の責務は、区民の皆様とともに、平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことであります。大田区は、この趣旨に沿って平和都市実現のため、基礎自治体として各種事業を着実に進めてまいります。
【清水議員】
安倍首相は、臨時国会に憲法9条改憲を提出しようとしています。日本共産党区政アンケート中間集計では、9条改憲についての区民の声は、憲法改憲に賛成15%、反対59%、どちらとも言えない19.4%でした。戦争だけは嫌などなどの意見が添えられていました。「大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」と、1984年8月15日、高らかに宣言をしています。
昨年、悪天候により実施できなかった分も含めて盛大に行われた今年の8月15日平和の花火の祭典において、区長は挨拶で、平和の尊さ、恒久平和を述べられています。
●区長は大田区平和都市宣言のとおり、平和憲法を擁護する立場に立たれているはずです。憲法9条改憲ノーの松原区長の決意を伺います。お答えください。
【松原区長】
次に、平和都市宣言を行い、平和憲法を擁護する立場での憲法9条改憲についてのご質問ですが、昭和59年の8月15日、区は、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い「平和都市宣言」をいたしました。平和都市宣言におきましては、「平和という人類共通の願いを込めて大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」と、憲法擁護についてうたっております。
戦後生まれの大田区民が人口の8割を超える中、私たちは歴史の教訓を深く胸に刻み、未来へ継承する責任があります。私は、区民の皆様一人ひとりが平和について考え、平和の尊さを確かめ合い、平和への思いを一つにすることが大切であると思っております。区は、基礎自治体として平和関連事業に取り組むことこそが果たすべき重要な責務であると考え、平和都市実現に向けて着実に歩みを進めてまいります。
【清水議員】
米軍CV22型オスプレイについて、外務省、防衛省は、10月から横田基地へ5機配備について、米国防長の許可に基づき、米側から8月16日に通報があった、配備後の訓練については予断をもって答えられないとしています。横須賀、木更津に近く、空港を抱える大田区でも区内上空をオスプレイが飛行するおそれがあるのではという不安が出ています。7月全国知事会が日米地位協定の抜本的見直しを求める提言で、航空法の厳格適用を求めています。区民の不安に応え、区長もその立場に立つことを要望します。
2017年度決算から、税金が区民の幸せのために使われたのかについて
【清水議員】
次に、2017年、平成29年度決算について質問します。
日本共産党が行った区民アンケートから、区民の暮らしの実態が見えました。消費税8%増税後、暮らしと営業への影響は、よくなったは1.7%、苦しくなったは51.3%、変わらないは39.8%でした。そして、10代、20代、30代の回答も多く、働き方について、低賃金や厳しい労働条件について何とかしてほしいという声もありました。また、税金が高い、どこに使われているかなどの意見もありました。このような区民の実態から、決算はどうだったか、税金が区民の幸せのために使われたのかについて伺います。
2017年度決算では、一般会計の歳入額2556億5385万円余、歳出額2445億5524万円余、歳入歳出差引額は101億9861万円余でした。区の言う黒字は101億円余ですけれども、この問題を考えなくてはいけないと思います。これが区民の負担増による収入増だったということです。まず、決算では前年に比べて公共施設使用料が約8割の使用区分で値上げとなって、負担増となっています。公共施設について区民からは、使用料が高い、壁や椅子のカバーなどがぼろぼろ、マイク等の音響が悪い、社交ダンスができる施設が少ない、予約がとりにくい、半年、1年先でないと予約がとれないなどの苦情が寄せられています。公共施設でやるべきことは値上げではなく、施設整備と増設だったのです。
この負担増が受益者負担を理由に進められたことは、区民から税金を預かり公共の仕事をする自治体として大きな間違いです。さらに区は、公共施設の複合化、集約化を進め、床面積で1割の削減計画を進めようとしています。高齢化が進む中、老人いこいの家や文化センターなど身近な公共施設の整備こそが求められています。川崎市では、長寿命化に施策を転換したほうがコストを削減できるとして公共施設整備計画を進めています。区は今後の人口動静について、人口減でなく当面は微増と発表しました。公共施設整備計画の見直し検討を要望します。
また、4月から学校給食費の値上げで、予算段階で総額1億4000万円、保護者負担増となりました。学校給食の問題では、8月8日、新聞報道等で、品川に本社を置く学校食材会社由起食品が冷蔵保存用に設定された賞味期限が切れた冷凍保存の鳥肉を3年以上前から都内小中学校に1キロ300円で仕入れたものを1キロ700円で売っていた。大田区内の小学校数校も利用していたことが明らかになりました。このような食品を子どもたちが給食で食べていたのかと思うと、品質的には問題ないとのことですが、大変大きな衝撃でした。現場では、給食費が増えても足りず、より安いものをと、どれほどの苦労をしているのでしょうか。その実態は、区はわかっていたのでしょうか。給食費を値上げしながら、このような事態になっていることは大問題です。子どもの貧困対策、食育の充実、大田区の児童・生徒の心身の発達の保障、何より子育て世帯が望む経済的支援につながるために、今、区がやるべきことは、給食費の値上げではありません。保護者負担増を増やすことではありません。学校給食費の無償化です。
さらに区は、9月から保育園保育料を値上げし、保育園に子どもを預けて働くことを受益とし、ゼロ歳児保育は費用がかかるからと、23区初の別建てとし、低所得世帯対策はしたものの、園児約6割が値上げとなり、歳入は3億円余増としました。学童保育料も値上げで、4200万円歳入増となりました。
さらに歳入の問題では、国保住民税の徴収強化を努力して改善され、増収になったとしていますが、負担の公平性と言いながら、あまりにもひどい区民への徴収強化の実態を紹介します。
Aさん、前々年、土地を処分して区民税の本税滞納分を納めました。しかしAさんは昨年、体を壊し、残りの本税分、滞納分を分納でと交渉したところ、職員は売掛金を差し押さえてしまいました。Bさん、脳梗塞で倒れ、仕事ができなくなったところを住民税の滞納で、売掛金と年金合わせて22万円のうち、18万円を区は差し押さえ、Bさんは生活できなくなってしまいました。Aさん、Bさんの例はほんの一部です。このような徴収強化により、生活も営業も脅かされている区民がいるという実態があります。
●これらのことから、決算を見てまいります。決算で101億円余の歳入歳出差引額から見て、消費税8%増の影響で冷え切った区民の暮らしと営業に追い打ちをかけた公共施設の使用料の値上げ等は必要なかったのではないか。お答え願います。
【松原区長】
次に、公共施設の使用料などに関するご質問でございますが、受益者負担の適正化は、サービスのコストに対する負担の公平性を確保する観点から重要でございます。平成29年度に施行しました公共施設の使用料の見直しにつきましては、平成10年度に施行して以来の改定となります。前回の改定以来、消費税率や施設の維持管理経費などに様々な状況の変化が生じ、施設サービスのコストへの反映が必要になっておりました。また、施設サービスのコストのうち、施設使用料収入で賄えない分は区民全体で負担することから、施設を利用されていない方との公平性の確保や施設使用料の基準の明確化、同種別の施設間の料金体系の不均衡の是正が課題となっておりました。こうした状況を踏まえて、統一的な施設使用料の算定についての基本的な考え方を整理し、施設使用料を改定しました。その結果、改定後の施設使用料は減額となるもの、据え置きとなるもの、増額となるものの、いずれもございましたが、施設を利用される方への影響を考慮して、25%を上限とした激変緩和措置を講じているところでございます。
保育園、学童保育の保育料につきましては、平成18年度以来の改定であり、見直しに当たっては、「公平性」、「受益と負担の関係性」、「少子化対策」、「子どもの貧困対策」、「保育の質の確保」の五つの視点から検討を重ね、平成29年度に改定いたしました。今後も社会経済状況の変化を踏まえて、使用料の適正化に向けて継続的に取り組んでまいります。
【清水議員】
次に、歳出では147億6252万円、前年度に比べ45億1511万円増の不用額を出しました。不用額については、何でも予算を使えばいいと言っているわけではありません。効率的執行や契約落差などがありますが、増額が著しく、財源を有効に活用する視点から、できるだけ縮減をと監査委員も指摘しています。不用額の最高は福祉費で62億円余でした。特に区民にとって切実な福祉などに多額な不用額を出したことは問題です。
衛生費の不用額について伺います。衛生費の不用額は6億7872万9311円で、主な内容は、健康診査3億3637万円余、予防接種1億5243万円余などでした。基本健康診査、39歳以下区民健康診査、各種がん検診ともに予定の人数に及びませんでした。受診率を上げるために、特に若年層への受診意識の向上、受診しやすさのために、現在の7月から始まるのを5月から前倒しにする、受診券を忘れた場合でも受診できる対応の整備をする、医療機関の支援として日曜健診の実施ができるよう医師の費用の支援をする、がん検診については、健診とともに受診できる前立腺がん検診等の奨励をする、一部負担金の減額の検討など、各種医療機関から声が上がっていたと思います。執行のための努力が求められていたのではないでしょうか。
9月3日、報道されましたが、大田区の3医師会は、認知症と間違われたりする隠れているてんかんの患者を見つけ出し、うまく治療に乗せていきたいと、認知症検診にてんかんのチェック項目を加え、無料で行っていただいております。医療機関との十分な連携はさらに強化することを求めます。限られた財源の中で衛生費の不用額は区民の命、健康にかかわる問題として、執行率を100%にする努力が必要でした。
●区民に約束した事業は着実に進めることです。そのためには、生活習慣病の予防のための健康診査、がん検診事業は、受診者を増やす手だてを考えるべきで、日曜・祝日受診のための委託料の増額で、区民の命、健康を守る施策の充実を求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、健康診査やがん検診の日曜・祝日受診についてのご質問ですが、がん検診を含む区の各種検診は実施医療機関の通常診療の中で行われており、多くの医療機関では土曜日の受診も可能となっております。また、特定健診、長寿健診などは日曜・祝日も受診できる医療機関があり、区ホームページに掲載するとともに、一覧表として受診票に同封して対象者にご案内しているところです。さらに、子宮頸がん検診と乳がん検診を同時受診できる集団検診は、土日を中心に今年度は32日実施する予定です。
区は、これまでがん検診を含む各種検診の実施につきましては、順次実施期間を延長し、主要な5がんについては期間中であれば人数の制限なく受診できるように、受診環境を整備してまいりました。今後も受診者のニーズと医療機関の事情を勘案し、医師会等の関係団体と十分に調整しながら受診環境の一層の向上に努めてまいりますが、現時点では、日曜祭日の検診受診のための委託料増額は考えておりません。
【清水議員】
区債については、この間、発行の抑制が行われてきました。今決算では、当初44億円区債発行が、補正によって20分の1の2億3200万円余となり、このことは、例えば今後何十年も使用する施設などの整備のために使う税金を現役世代に負担増としたことになります。世代間の均衡の観点からも、必要な起債は行うべきことを強く求めます。このことは、監査委員の報告書でも触れられています。
日本共産党区議団は、2017年第1回定例会において、2017年度予算について見直しを求め、組み替え提案をし、新空港線10億円の積み立てについては減額を求めましたが、2017年決算では新空港線積立金10億円を積み立て、財政基金は過去最高649億円余、公共施設整備積立金は補正で41億円余、年度途中で積み立て367億円余となり、その結果、積立金1329億円余となりました。それらをもとに、大規模プロジェクトを進めています。
大規模プロジェクトの一つの新空港線計画は、前年比の倍の10億円の積み立てで40億円とし、整備主体の設立の目的で1億8000万円計上し、第三セクターの設立に進むことを決定しました。日本共産党区議団は、全国の第三セクター鉄道事業運営会社63社のうち、経常赤字は半数の35社、利益剰余金が累積赤字も40社と6割、とりわけ初期投資の負担などから8社が100億円以上の累積赤字と、第三セクターの破綻が明確になっていることを示し、反対しています。
新空港線の整備主体の設立は東急との出資比率が決まらないからと実現せず、今予算で執行率ゼロ%でした。本来なら次年度は見直しされるはずが、区長は2018年度予算で再度1億8000万円の同額予算を計上しています。地方自治体が鉄道事業にかかわり、多額の税金を投入すべきではなく、第三セクターの出資は破綻への道です。新空港線は素通りになる予定の多摩川線沿線区民からも、本当に必要なのかの声が上がっています。新空港線計画について、区政アンケートでは、賛成24.2%、反対33.1%、どちらとも言えないが35.7%でした。
●区は大規模プロジェクトとして新空港線計画を進めて、整備主体第三セクターに大田区がかかわるのは見直すべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、新空港線の整備主体設立についてのご質問でございます。新空港線は、蒲田駅と京急蒲田駅間のわずか800メートルをつなぐことにより、区内の東西方向の移動が格段に便利になるほか、区内沿線のまちづくりへ寄与するなど、区民の暮らし、安全・安心や区内の地域活性化に大きく貢献する事業であります。
また、羽田空港と渋谷、新宿、池袋などの副都心や、川越、所沢、和光などの埼玉方面へのアクセスが強化されるなど東京圏全体の鉄道ネットワークの強化に寄与するとともに、今後発生が予想される首都直下地震の際の重要な代替路線となり得ることから、国際都市東京には必要不可欠な路線であります。昨年度からは、関係者間で費用負担割合などの協議を進めており、現在も合意形成を図るための重要な局面が続いております。引き続き、新空港線の実現に向けて、一日も早く整備主体が設立できるように取り組みを進めてまいります。
【清水議員】
もう一つの区の進める大規模プロジェクトは、羽田空港跡地開発です。2017年2月、国家戦略地域に指定され、URに土地区画整理事業を任せ、事業者を公募し鹿島建設を中心とする羽田みらい開発株式会社に事業を任せることが決定しました。5.9ヘクタールの土地の購入については、モリカケ問題で国有地売却が暗礁に乗り上げ、2017年度内に実現しませんでしたが、羽田空港跡地開発は、決算年度に大きく動いたことになります。そして2018年6月、区民の税金165億円で土地を購入することが決定し、羽田みらい開発株式会社に50年定期借地で土地を貸し付けて、跡地開発事業を任せる計画が進んでいます。
羽田空港跡地は区民の財産であり、東京都の約束では、東京都が取得し、区が使用することとなっていたはずです。松村区長が2008年、東京都が購入しない場合は大田区が購入するとした経過があります。さらに区長は、区内中小企業のためと羽田みらい開発株式会社の建物内4000平米を1平米6000円で借りるとして、産業経済部の職員も税金も羽田空港跡地計画に多くを回し、2022年開始に期待する施策を進めています。
2020年開始に期待する施策は、区内製造業の存亡の危機の対策にはならず、廃業倒産をとめることはできません。区内の製造業、ものづくりの実態は、仕事量が少ない、単価が親会社の言いなりで低く抑えられたまま。下請法も駆け込み寺も下請企業を支えることにはつながっていません。さらに海外に工場が移転し、技術も流出しているなど、ものづくりの空洞化が進む中、グローバル化、新しいビジネスモデル、マッチングで生き残れるのは数十社程度です。
産業経済費が決算では32億3113万円余、構成比はわずか1.3%です。これは観光国際費47億9095万円余より少ない額で、さらに不用額が1割の3億円余となっています。その少ない中で、羽田空港跡地における産業交流拠点の形成は1億5415万円、IoTなどを活用した取引環境の整備、空港跡地関連業務委託費で100%の執行率となっています。
●区の大規模プロジェクトの羽田空港跡地計画は、現在の区内中小企業支援とならず、区内約3000社の製造業、中小企業を支える今すべきことに重点を置くことを求めます。お答えください。
【松原区長】
区内中小企業を支える今すべきことに重点を置くべきとのご質問でございますが、中小企業支援として今すべきことは、羽田空港跡地での効果をより多くの区内中小企業が得るための仕組みづくりに取り組むことであります。その一つである「IoTを活用した仲間回しによる中小企業の生産性向上プロジェクト」は、大田区のものづくりを高度化し、区内企業の受注拡大を目指しております。大田区には約3500の中小製造業が立地し、一つ一つの工場は小規模でも、ものづくり集積で見ると、切削、メッキ、熱処理などあらゆる加工技術の専門家がそろい、どんなものでも短期間に高精度、高品質に制作できることが強みになっております。
この強みを活かしたものが「仲間回し」であり、「仲間回し」に工程管理システムなどのIoT技術を導入すれば、多数の区内企業が効率的に情報を共有し、ユニットや完成品の製作をまとめて請け負う付加価値の高いビジネスへの転換が可能となります。羽田空港跡地での新産業創造に向けた動きを区内産業につなぐためにも、現に中小企業が参画しているこのプロジェクトを含め、引き続き区内のものづくり産業支援の拡充に努めてまいります。
【清水議員】
決算から見る大田区の子育て支援についてです。
当区議団は、昨年第1回定例議会において、認可保育園待機児問題解決のために認可保育園20園増の提案をしました。20か所など机上の空論、無責任などの批判がありましたが、区は決算年度で私立認可保育園21園を増やし、定員1185名増とした区の努力は評価するところです。しかし、園庭、プールがないなど、命を守り、豊かな保育を保障するハード面の課題、保育士、看護師、栄養士等の職員不足問題、また耐震補強や園舎の老朽化など支援問題がさらに大きな課題となっています。
決算年度に開設された私立認可保育園21園は、100%全て株式会社です。株式会社においては、委託費の中から株主配当分等が引かれることになり、社会福祉法人等と比べ人件費を抑える可能性が心配されています。保育園の人件費率は8から7割と言われている中、6から5割程度の人件費が株式会社で問題となっています。世田谷区では保育の質ガイドラインを作成し、保育の質を担保するために、運営事業者を決定するとき、児童福祉の理念・公共性・公益性を持ち、社会的使命を担っている事業者であること、運営に当たっては安定性・継続性が担保されていること、職員の雇用については、雇用条件、就業規則等が明確で、職員が安定して働き続けることができる給与水準、休暇制度、休憩時間等が整備され、安定的に就業し、生涯を通じて専門性を向上できるよう、期限の定めのない雇用形態で安定が図られるとなっています。
大田区において、区立保育園の民間委託時のガイドラインのみでなく、区内で認可保育園を開設する事業者に対する基準が必要です。そうでなければ、他区は厳しいが大田区ならになりかねず、保育の質が低下するおそれ、働く保育労働者の待遇が低下するおそれがあります。大田区保育の質ガイドラインの作成は、区立、私立認可保育園に入園を希望する区民のみならず、全ての区民にとって大きな安心につながります。
●決算から区は21か所の認可保育園を増やし、2020年度待機児ゼロを目指しています。質の問題に応えるために大田区保育の質ガイドラインの作成を提案します。お答えください。
【松原区長】
次に、保育の質の向上のためのガイドラインの作成についてのご質問ですが、保育園待機児童対策の推進により、保育園の増設が進む中で保育の質の向上を図っていくことは大変重要でございます。区は、平成25年3月に「こころを育てる大田区の保育、保育士の配慮」と題した保育内容についての詳細な手引を作成しております。この手引では、保育の基本方針、保育目標を定めているほか、「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉・表現」の各領域について、園児の発達段階を考慮した年齢ごとの保育の具体的な手法について事例を挙げながら詳細に解説しております。私立保育園等の開設時には、この冊子の内容を基本に事業者への説明会を開催し、保育の質の確保に万全を期しているところでございます。現在、子ども・子育て支援制度に合わせた内容の見直しに取り組んでおり、改定が終了次第、冊子を配布することはもちろんのこと、ホームページでの公開や既設園も含めた説明会の開催など、内容の周知徹底を図ってまいります。
【清水議員】
次に、60年以上、千束地域において子育てを支援してきた洗心保育園が今廃園の危機に立っているという状況について質問します。千束地域は待機児解消の重点地域であり、特にゼロ歳児はこの地域は3園しかなく、洗心保育園はそのうちの一つです。7月に突然、来年度18名のゼロ歳児の募集をしない、5年後には廃園にという発表があり、現在保育を受けている区民だけでなく、次年度入園を希望している区民や地域に大きな不安が広がっています。区はこの問題を5年以上前から関係者から相談を受けていたのに、真摯に対応してきたのかが問われています。運営事業者の法人内の問題とせず、大田区の保育を守る役割を果たす立場で最大の努力をすべきです。
●洗心保育園存続のために区職員を派遣し支援するなど、ありとあらゆる手段を講じて存続に力を尽くすことです。お答えください。
【松原区長】
次に、洗心保育園に関するご質問でございますが、先般、区内にある私立の洗心保育園が、園舎の老朽化等から園舎の建てかえを含めた今後の保育園の運営について抜本的な見直しをする必要があるため、来年度のゼロ歳児の募集を行わないことを発表いたしました。区といたしましても、保育園待機児童対策を積極的に推進しているところであり、また、洗心保育園が長年にわたり地域の皆様に親しまれてきたことからも、大変残念に思っております。洗心保育園には、以前より建てかえについての国、都及び区の補助制度のご案内や、運営継続についての様々な提案をさせていただいておりますが、それらを踏まえたうえで、今回、ゼロ歳児の募集停止を決断されたものと受け止めております。なお、経営再建を目的として区職員を派遣する考えはありませんが、引き続き区として可能な限りの支援をしてまいります。
【清水議員】
次に、公の仕事について質問します。
自治会連合会からの平成31年度要望に、自治会・町会の役員等の担い手不足に伴い、募金活動等における今後のアウトラインを検討することがありました。このことは、役員不足のために今後の活動については範囲を限定してほしいという切実なものです。地域力という名のもとに、国勢調査、一般介護予防事業、認知症の高齢者の支援、災害時の要援護者の対応についてなどなど、様々な公の区の仕事を自治会・町会にお願いしていることに対して矛盾が広がっているということです。また、区施設の清掃の現場では予算が減らされ、働いている人はかわらないが委託会社がかわり、そのたびに働く時間や賃金が減らされ、汚れていると思うところだけすればいいという指示になっているとのことです。
区は保育園、高齢者、障害者施設、図書館等々で民間委託、指定管理等を進めてきていますが、働く職員の賃金と処遇は低く抑えられ、人手不足が続き、人の入れかわりが激しいの心配の声が上がっています。他区では虐待、パワハラ等の大問題も出ています。
私立保育園の保育士等の不足は大きな問題となり、決算でも明らかになりましたが、保育士手当、住宅支援を実施せざるを得ない状況となりました。それでも人手不足は深刻で、人材派遣会社に求人を頼むのに高額な負担をしています。しかし、2019年度区正規保育士を10名採用に当たり、約6倍の59名の申し込みがあったとのことです。一昨年の正規保育士募集では、30名のところ5倍の150名の方の申し込みがありました。区立なら保育士不足は心配ないということです。区立保育園の民間委託は立ちどまって検証する時期ではないでしょうか。
●区が進める官から民へによって、官製ワーキングプアと呼ばれる労働者が増加しています。公とは何かの立場に立ち、委託費の見直しも含め公共施設で働く人々の賃金、労働条件の改善に努力することです。お答えください。
【松原区長】
次に、公共施設で働く人々の賃金、労働条件の改善に関するご質問ですが、区民ニーズが多様化する中、「民間にできることは民間に委ねる」ことを基本に、行政、事業者、NPO団体などの様々な主体がそれぞれの強みを活かして、さらなる区民サービスの向上を図ることは極めて重要であります。区としましては、民間委託などの外部化を行う場合には、受託事業者に労働関係諸法令を遵守させるとともに、従事者の適正な労働条件を確保するよう指導を行っております。また、民営化した事業につきましても、福祉サービス第三者評価、法人監査などの結果に基づき、必要な助言、指導を行い、従業員の適正な労働条件の確保に努めています。引き続き、その徹底を図ってまいります。
誰もが必要に応じて、安心して生活できるための介護保険制度の実現について
【清水議員】
次に、誰もが必要に応じて安心して生活できるための介護保険制度の実現について質問します。
おおた高齢者施策推進プランの「大田区のめざす地域包括ケアシステムの深化・推進~自立支援」が重度化防止につながるのか、今まさに問われています。中でも重点事業として新規事業、介護予防・生活支援サービス事業による自立支援は、要支援の認定を受けている方々に自立を目指して計画を立て、1年で介護保険から自立する、簡単に言えば、要支援の方々を介護保険から外すということです。脳梗塞等の後遺症、長年の持病の悪化等で要支援に認定された多くの高齢者は、現状を維持することだけでも大変なことだと言われています。それを支えてきたのが介護保険だったはずです。自立計画の事例を紹介いたします。
要支援1のAさんは、今までヘルパーさんに買い物を頼んでいましたが、自立目標として、週1回バスで1停留所先のスーパーに行き、ヘルパーさんと落ち合い、一緒に買い物をする。買い物が終わるとAさんはバスで帰り、ヘルパーさんはAさんのアパートまで買い物したものを届ける。1年たち目標が到達できたら自立となり、Aさんは介護保険でヘルパーさんを頼めなくなります。なぜこんなことになるのかと、Aさんは理解できていません。ヘルパーさんがいなければ、重い荷物を持って帰ることはできないと今から不安に思っています。
自立に向けたプランは、利用者が理解し、納得したプランとなっているのか、強要があるかないかが問われています。国の介護保険制度のもと、終了の基準は一律に適用される心配があります。今までのサービスが必要なら自費で、10割負担で、払えない高齢者は区が進めようとしている絆サービスや様々なボランティア、地域力という隣近所の支え合いでやろうとしています。専門性、継続性から、介護保険で受けていたサービスのかわりにはなりません。今まで介護保険制度の中で1週間に1時間でも生活介護を受けて何とか暮らしていた。通所施設に行っておしゃべりができて暮らしていた。それらの高齢者が自立と言われて誰も支援が入らなくなったら、重度化は免れません。
介護事業者の実態も深刻です。大田社保協が区内全介護事業者に行ったアンケートでは、多くの介護事業者から、報酬が激減、続けられない、介護の仕事をする人がいない、たび重なる制度の改変に振り回されている、削減先にありきの変更だという意見があふれています。
●今後、廃業する小規模事業者が増える可能性があります。区長はこのような事態を招いた国の介護保険制度の改悪はやめるべきと国に強く求めるべきです。そして、介護保険事業の責任として、区のすべきことは、自立とされた高齢者を区が責任を持って把握し、重度化を防止するために一般介護予防事業を進める地域包括支援センターの強化と箇所数を増やすことです。お答えください。
【松原区長】
次に、地域包括支援センターについてのご質問ですが、区は、介護保険法に基づき、特別出張所の管轄区域ごとに設定した日常生活圏域の人口規模に応じて地域包括支援センターを適正に配置しております。また、区は地域包括支援センターの第三者評価の結果に基づき業務改善に取り組むなど、質的向上を目指し、機能強化を図っております。高齢者の自立支援については、地域包括支援センターが行う介護予防ケアマネジメントにおいて、高齢者の状態に応じ、相談から課題分析、プラン作成、評価まで効果的・効率的に区が関与する仕組みを構築しております。区は、介護保険制度の理念を踏まえ、今後も自立支援や重度化防止に適切に取り組み、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。
【清水議員】
自立とならざるを得なくなった高齢者の見守り等の対応の一つに、地域の重要な資源として活動しているNPOの力も借りることを提案します。区内には高齢者の居場所づくり、食事支援、体操など高齢者の生活を支えている多くのNPOが活動されています。崇高なボランティア精神、大変な苦労の中で運営されており、職員やボランティアの高齢化、後継者を育てたいが、なりわいとなるだけの経済的な問題、活動拠点の家賃など様々な課題を抱えています。
●区は、「大田区のめざす地域包括システムの深化・推進~重度化防止に向けて」の計画の中でも、NPOを重要な柱としています。持続的な活動を支えるために、公共施設等内への活動拠点の提供や家賃補助等の活動支援が必要です。高齢者の自立や介護予防等の活動を支援し、高齢者を支えるためにも地域に根差して活動しているNPOへの支援をすることを求めます。お答えください。
【松原区長】
次に、大田区介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新総合事業におけるNPO等の地域資源の活用についてのご質問でございますが、NPO団体の様々な活動は、介護予防・生活支援の貴重な受け皿の一つと捉えております。現在、多くのNPO団体が大田区社会福祉協議会の「ふれあい・いきいきサロン事業」による助成などを受けて、健康体操や転倒予防体操、認知症予防体操などの活動をしております。また、NPO団体だけではなく、自治会・町会や民生児童委員協議会、社会福祉法人をはじめとした多様な活動主体が地域の高齢者を支える取り組みを進めています。
こうした介護予防に資する地域団体の活動に高齢者一人ひとりの参加を促し、健康を維持する活動の継続性を図ることは重要な役割です。区は、その中心的な役割を果たし、地域包括支援センターと協働し、地域ごとの特色ある活動をまとめたリーフレットやマップを作成するなど、高齢者、その家族に地域資源をわかりやすくご案内するよう努めています。区としては、高齢者が様々な活動主体による多様な生活支援サービスを受け、健康で自分らしい暮らしを続けることができるよう、今後も取り組んでまいります。
経済最優先の羽田空港機能拡充計画は見直し、区民生活の安全と快適な生活環境を確保することについて
【清水議員】
次に、経済最優先の羽田空港機能拡充計画は見直し、区民の安全と快適な生活環境を確保することについて質問します。
区長は、今までこの質問に対して、空港との共存共栄の立場で、落下物ゼロの十分な安全対策など丁寧な説明を国に要望していると答弁していますが、経済最優先と区民の安全と快適な生活環境の確保とどちらをとるのかが、2020年をあと1年半後に控えた今、問われています。
現状の羽田空港は、旅客数も貨物も増加し、発着回数1日当たり1220回、4本の滑走路は井桁状で、常にハザードエリア、危険なエリアがあり、着陸やり直し、ゴーアラウンドは、気象によるものだけでなく人的要因も約3割を超え、年間400回、危険と隣り合わせというのが現在の羽田空港で、管制の労働者の実態も深刻です。飛行機事故は離発着時に多いといわれ、羽田空港周辺住民が事故に巻き込まれる可能性もあるということです。落下物についても、大阪、熊本で甚大な事故が発生しました。国土交通大臣も落下物ゼロを目指すとしており、ゼロにはできないということは明らかになっています。
機能拡充に伴う新飛行経路計画では、京浜島275社、城南島167社、大田区の中小企業の多くが集中している地域上空を、南風時午後4時から7時まで1時間に90便の飛行機が地上50メートル以下で、A・C滑走路に着陸するということになります。京浜島においては、昭和63年7月、新A滑走路の供用が開始され、地上40から50メートルの超低空で航空機が飛行し、工場の従業員は騒音、恐怖等で耐えがたい状況となり、11月、運輸大臣等に行政訴訟を起こしました。その訴訟の中で当時の運輸大臣は、新C滑走路が供用された段階では、原則として京浜島上空は飛行しないとしたことから、行政訴訟は取り下げをされたという歴史があります。しかし、新飛行経路は裁判を取り下げた歴史的経緯を無視した計画です。経験した方々の裏切られた、何の説明もないの怒りの思いは当然です。精密機械への影響もはかり知れません。働いている人たちの身体的、精神的影響も甚大で、従業員の確保にも、工場としての財産価値にもマイナスになりかねません。
●第2回大田区景観まちづくり賞を京浜島工業団地が受賞されました。全社挙げて環境美化運動活動の取り組みが評価されています。このような中、新飛行経路により、騒音、振動、大気汚染などの環境が大きく変わり、大田区製造業の重要な地域が危険にさらされてしまうことについて、区長はどのように考えますか。安全対策を国に求めるだけでは済まされないことです。お答えください。
【松原区長】
次に、羽田空港の機能強化についてのご質問でございますが、現状の滑走路運用においても、左旋回や北風時の西行きルート、ゴーアラウンドなど、区内上空を航空機が通過する場合がございます。これらの運用等に伴う騒音影響はもちろんのこと、航空機や空港そのものの安全対策につきましても、ご指摘を待つまでもなく、極めて重要なことであると考えております。国や関係機関、航空会社において、日々の安全対策に万全を期すことにより事故が未然に防止され、空港内や空港隣接地域はもちろんのこと、広く区内における安全・安心が確保されていくものと考えます。区では、そのような観点から、国、航空会社など関係機関に対し、航空機の安全等に関する適時の情報提供とともに、落下物をはじめとする安全対策の強化並びにトラブルの未然防止に向けた対策の推進をこれまでも要請してまいりました。引き続き、機能強化提案にかかわらず、航空機の運航による騒音及び安全の問題に関しては最優先で取り組むよう求めてまいります。
【清水議員】
国は、訪日外国人旅行者の受け入れ、国際競争力の強化等、羽田空港の機能強化は不可欠、最重要と、国民に理解が得られるよう説明、それもオープンハウス型の取り組みを進めています。国土交通大臣は、理解が得られるように努力すると国会で答弁を続けていますが、それはまだ理解されていないことを認めているということです。理解されない場合はどうするのかについて、正確に答えていません。
●区民アンケートでは、羽田空港の離発着便数が増えて都心上空を飛行する計画をご存じですかで、知っているは61.8%、知らないは30.1%、増便計画についてどう思いますかでは、賛成19.6%、反対33.1%、どちらとも言えない35.7%でした。区議会へも新飛行計画を含んだ羽田空港機能拡充計画を見直すよう国に求めてほしいなどなどの趣旨のいくつもの陳情が提出されています。特別区議会議長会も国土交通省に新ルート懸念解消を求めています。隣の品川区では、区長選挙が30日投票で行われていますが、新飛行経路が大争点となっています。羽田空港機能拡充計画について区民の理解は得られていないと考え、区長は区に対して丁寧な説明を求めるから、区民の理解が得られていないので進めるべきではないという立場に立つべきです。お答えください。
【松原区長】
次に、機能強化提案についての区民の理解についてのご質問でございますが、先ほども申し上げたところでございますが、羽田空港の滑走路運用により、現況においても、航空機による区民生活への影響が生じております。区では、様々な機会を捉えて、これら現行課題への対応を国や航空会社に要請してまいりました。このような事実を踏まえ、区は羽田空港の機能強化提案を重大なものと受け止め、広く区民の皆様に正確な情報を知っていただきたいと考え、国に対して丁寧な説明の実施を求めてまいりました。
国は、現在までオープンハウス型の説明会を大田区はもちろんのこと、東京、神奈川、埼玉の関係自治体において開催しております。区内では、平成27年7月の第1フェーズ以降、延べ8会場で18日間にわたり開催され、来場者は合計で1510名となっております。このほかにも、羽田空港国内線第1ターミナルにおける情報発信拠点や、特設電話窓口の設置等を通じて、広く地域住民や関係自治体に情報提供を進めております。
繰り返しにはなりますが、区といたしましては、機能強化提案について区民の皆さんにしっかりとご理解いただくことが何より重要であると考えております。国に対して、様々な手法を活用したより丁寧な情報提供を求めてまいります。
大阪北部地震、西日本豪雨災害等を教訓に、緊急の防災対策の必要性について
【清水議員】
最後の問題は、大阪府北部地震、西日本豪雨災害等を教訓に緊急の防災対策の必要性についてです。日本共産党区議団は、この間、この問題で区長への緊急要望を続けてきました。
まず、危険な崖対策について伺います。この間の水害、ゲリラ豪雨と呼ばれる災害は、想定をはるかに超えた事態となっています。区民から、災害時に各地で発生する崖崩れを見るたび、我が家の隣の崖は大丈夫か、崖側の部屋の家族に被害が出るのではと不安だという声が届いています。危険な崖対策は、崖の所有者の問題、資産価値の問題だけではありません。
東京都が指定した土砂災害警戒区域96件、特別警戒区域59件という区内の実際にある危険な崖の存在から見ても、今決算では都市整備費崖対策実施はわずか3件で、あまりにも少ないと思わざるを得ません。対策の強化が必要です。
●危険な崖の改修、改善が進むためには、崖対策は改修工事の助成額を増額することが必要です。そのために、基準を見直すことです。また、地権者が複数であったり、困難であったりする場合は、大田区が調整役の役割を果たし、周辺住民の安心・安全の責任を果たすことです。お答えください。
【松原区長】
次に、崖対策に関する質問ですが、区内には、土砂災害のおそれがあるとされる土砂災害警戒区域が96か所指定されております。土砂災害防止法では、高さ5メートル以上かつ傾斜30度以上の崖が指定要件となっております。こうした規模の大きな崖を整備するには多額の費用が必要になるため、助成制度の上限額を、これまでの一律300万円から、規模に応じて最大600万円となるよう、既に平成29年度に大幅に基準を見直しております。
この制度は、23区の中でも大変有利な助成額であります。また、区では、これまでに区内にある2メートル以上の崖の実態調査を行っております。調査の結果、状態が悪いとされる崖の所有者に対しては、毎年、拡充した助成制度の紹介とともに、改善のお願いをしております。所有者から相談を受けた場合には個別訪問を行い、改修方法の相談にも応じているほか、相隣関係に課題のある方には弁護士相談の窓口紹介もしております。引き続き、拡充した助成制度の積極的な普及啓発を行うとともに、相談に丁寧に対応してまいりたいと思います。
【清水議員】
大阪府北部地震で、小学校4年生の女児が毎日通っていた小学校のブロック塀で命を奪われた悲痛な事故が起こりました。ブロック塀対策については、国、東京都の補助が進み、区もブロック塀改修工事助成事業を発表し、ブロック塀の撤去とその後のフェンス等設置に最大24万円の助成、工事業者は区内業者として事業を進めたことは高く評価しております。今後も区民や業者の状況を踏まえ、施策の充実を要望します。また公共施設の改修、特に学校残りあと1校については緊急に対応を求めます。
今年の暑さについてですが、異常でした。一つの災害と言われています。連日35度を超え、夜になっても30度を下回らない日が続きました。区内で熱中症と見られる救急搬送は、東京消防庁の発表で、7月221台、対前年比141台増、8月126台、対前年比62台増でした。この暑さは命にかかわる事態として、連日、クーラーの利用がテレビ等で呼びかけられました。クーラーはぜいたく、体に悪いと我慢した高齢者に対して、特に重要でした。しかし、区内にもクーラーがない、買えない世帯があることも事実です。
●荒川区では5万円、300世帯、1500万円の予算で高齢者、障害者、子育て世帯のクーラー等の設置助成を実施しています。区も区報等を使って、熱中症対策としてクーラー等の利用を広報してきております。その点からも、高齢者、障害者、子育て世帯にクーラー等の設置の助成を荒川区の例を参考に実施することです。お答えください。
【松原区長】
次に、高齢者などに対する猛暑対策に関するご質問ですが、荒川区での緊急的な取り組みにつきましては、承知をしております。区としては、例年にない暑さへの注意を広く区民に呼びかけ、熱中症予防の必要性を啓発してまいりました。このような状況においては、特に配慮を要する高齢者などの支援を行うことが重要であり、自治会・町会、民生委員、事業者などと協力して飲料水の提供などの対策を講じてまいりました。
さらに、区の呼びかけにより施設のお祭りや地域団体のイベントでは、工夫を凝らし、安全に実施することができました。今後も地域と協力し合い、高齢者などの安全・安心なまちづくりを推進してまいります。荒川区を含めた他自治体の熱中症対策については、実例を注視し、課題を整理してまいります。
【清水議員】
生活保護世帯については、国は4月1日から受給開始となった生活保護世帯には、クーラーを家具什器として設置助成することを決定しました。4月以前に生活保護を受給しているクーラーのない世帯には認めようとしていません。そのことにより、命の危険にさらされている実態が区内にはあります。担当のケースワーカーはつかんでいるはずです。4月以前に生活保護を受給している世帯にもクーラーの設置、修理を支援すべきと国に制度の改善を求めることを要望します。
次に、小中学校の冷暖房設備についてです。大田区は今までの努力で小中学校の教室のクーラーの設置はほぼ完了していますが、体育館の問題です。
本日の代表質問の全ての会派で取り上げられておりますように、現在、冷暖房は体育館になく、扇風機等しかありません。体育の授業や部活動、始業式や終業式をはじめ、様々な行事に体育館が使われますが、児童・生徒の安全のために冷暖房が必要となっています。また、小中学校の体育館は災害時に避難所として運営されることになっています。
●この間、日本国中で災害地域の避難所となっている体育館では、2次被害も発生しています。災害時の避難された区民の命を守るためにも、一刻も早い設置が必要となっています。区内小中学校の全ての体育館に冷暖房の設置の計画をつくり、一刻も早く全校に設置を急ぐことです。お答えください。
【小黒教育長】
区内小中学校全ての体育館での冷暖房の設置についてのご質問でございますが、教育委員会では、体育の授業や部活動における熱中症対策として、31度で厳重警戒を、35度を超える場合には原則中止の指導を、また、気温と水温を足して65度以上の場合はプールの授業を中止するよう指導に努めてまいります。
また、体育館内には、体育や部活動などの際の熱中症予防策として、熱中症の危険度を計測する室温計を設置し、希望する学校には送風機または冷風機等を配備いたしました。今年の夏の「命に危険を及ぼすレベル」の暑さに対して、夏の避難場所としての機能を考慮し、暑さ対策が必要であるというふうに考えております。
今回、改築校2校で地熱を利用した空調設備を、改築予定のない既存校2校でスポット型の空調機を体育館に試験的に導入しております。今後、これらの導入効果の検証に加え、その他の手法についても、後年度の維持管理コストや空調効率の観点で検証し、区の実情に合った対策を検討してまいります。
以 上