- 開発推進を転換し、くらし・福祉最優先の区政へ
- 司法の場においても話し合いでの解決を――中央防波堤埋立地の帰属問題
- 税金を使った海外訪問に区議会自民党8人だけが、改選後も3年連続で参加
- 一層の規制緩和となる民泊新法(住宅宿泊事業法)の撤回を
第3回定例会(9月20日から10月16日)で、党区議団は高齢者と子ども支援のため2つの条例を議員提案しました。また、区民の皆さんとの世論と運動で、就学援助入学準備費用が3月支給に前進しました。
介護応援手当条例(月2万円支給)を提案
党区議団は、区内に住み、要介護3以上と認定された在宅の寝たきり又は認知症の状態にある人に、月2万円の手当を支給する「大田区おとしより介護応援手当条例」を提案しました。
対象者は2017年6月現在、特養ホームなどに入れない、居宅介護サービスを受けている在宅の9151人です。特養ホーム入所者の3倍いる在宅介護の人を応援します。かつて都は、老人福祉手当の助成をしていました。
他会派は、要介護高齢者と家族に支援は必要と認めましたが、「現金給付ではない他の方法で」と否決してしまいました。
就学援助を生活保護基準の1.3倍へ条例を提案
党区議団は、就学援助を拡充する条例提案しました。内容は、現在の就学援助の準要保護基準を生活保護世帯の1.3倍(現在は1.2倍)にし、支給費目の中に学習に欠かせないメガネを加えるものです。他会派は「現在の制度で十分である」等の理由で反対しました。
就学援助費の入学準備費用が3月に支給へ前進
準要保護基準世帯に支給される就学援助費の中で、区立小・中学校に入学する1年生に支給される入学準備費用がこれまでは、入学後の7月頃に支給されていましたが、来年度から、入学前の3月に支給することになり、区報でも掲載されました。
大田区は、これまで特に小学1年生は、入学前の把握が難しい、転出した場合などの対応の難しさを理由としましたが、党区議団は、6年前から繰り返し改善を求めてきました。
小学校入学には約5万円、中学入学には約7万円かかるといわれていますが、現在の準備費用は小学校23,210円、中学校26,210円なので実態に合うよう引き上げることを求めています。
開発推進を転換し、くらし・福祉最優先の区政へ
第3回定例議会で、大竹区議が代表質問、あらお区議が一般質問に立ちました。また、2016年度の予算の使いかたを審議した決算特別委員会では、総括質疑を福井区議が、福祉費、教育費等の款別についての質疑を、黒沼、金子、清水、すがや、あらお区議が行いました。
区民に身近な事業を削減し貯め込みを大規模開発に 代表質問 大竹辰治
さらに事業が削減された決算
2016年度は、一般会計で約70億円が使い残されました。
今決算年度では、施設使用料値上げの条例改正による負担増と、予算編成時に指定保養施設の助成金削減に続き宿泊日数の制限等、区民に身近な事業が削減されました。 さらに、決算でも区民のくらしと営業に関わる支援では、多額の不用額(予算に計上しながら使われなかった額)約102億円も出し、福祉費の不用額は、約32億円で一番多く、全体の31・6%を占めています。
また、歳入では、特別区債(借金)の発行で、当初予算では40億円でしたが、特別区民税、特別区財政調整交付金などの増収があり、補正予算で約4億円に減額し、増収を区民のくらし・福祉の予算に使わず区の借金返済にまわしました。
その結果、年度末の特別区債は301億円で前年度比約44億円減、逆に積立基金は、約1284億円で前年度比約91億円の増となり、なんと合計135億円が貯め込まれたことになります。
大規模開発に多額の税金投入
溜め込んだ基金の使い道として考えられる第一は、羽田空港跡地第1ゾーンの用地取得です。
もともと区民の土地だった用地を取得するために多額の税金投入を予定しています。
第二の使い道と考えられるのは新空港線です。
新空港線の整備推進で、大田区が第三セクター設立に参加することから、京急蒲田駅までの第一期工事1260億円のうち、国・地方・事業者で3分の1ずつ420億円となりますが、地方分に加え事業者分の負担も担うことになり、多額の税金投入となります。
大竹区議は、自治体の役割であるくらし・福祉最優先の区政への転換を求めました。
高齢者を守る新総合事業を/教員の長時間労働の改善を 一般質問 あらお大介
介護保険では、要支援者が介護保険制度から外されました。来年度から第7期事業が始まり、新総合支援事業に移行しても従来通り、区が支援し、現状を維持するよう改善点を提案しました。
教育では、学校の複合化で、教育環境を悪化させないこと、また、教育委員会が区立小・中学校教員が、長時間過密労働である勤務実態を校長・副校長のヒアリングと共に独自に調査すること、保護者が滞納している給食費を小学校教員が集めている勤務実態を示し、労働時間軽減のため、区が、子どもたちのために職員の増員をするよう求めました。
また款別質疑では、区内中小業者数は減少傾向、景況も改善が見られない中、区内ものづくり産業で発注者と区内業者のマッチングを促進させるために「ものづくり連携コーディネーター」の増員と区内企業技術技能別データベース整備、「ものづくり経営革新緊急支援事業」の復活を求めました。
大田区から核兵器廃絶の発信を/1日も早い保育園待機児解消を 総括質疑 福井りょうじ
大田区は核兵器廃絶に向けて平和都市宣言を行っており、区長に核兵器廃絶の立場で行動することを求めました。
9月11日に全会一致で採択された国連安保理決議は、北朝鮮に対して経済制裁強化の措置を決定するとともに、「対話を通じた平和的・包括的な解決」を呼びかけています。危機打開と問題解決のためには、経済制裁強化と一体に、「対話による解決」の道に踏み出すことです。とりわけ米朝両国の直接対話がいよいよ求められています。
今年は7月に国連で核兵器禁止条約が122か国の賛成で採択をされました。核兵器廃絶に大きく踏み出しました。一番のポイントは核兵器を持つことが違法であると明記したことです。核抑止力も否定をしています。このような中で松原区長が平和首長会議に参加し、採択されたナガサキアピールでは、「条約への参加を全加盟都市から自国の政府に働きかけていく。特に、核保有国と核の傘の下にいる国々の政府には強く働きかけていく」とあります。
平和首長会議加盟都市の大田区長として政府に対して核兵器禁止条約に批准するよう呼びかけることを求めました。また、「雪谷高校定時制の存続」待機児解消の目標の1年延期を批判、「待機児を今年度中にゼロにすること」なども質問しました。
入札制度の改善と指定管理者制度の見直しを 清水菊美
大田区の昨年度の公共施設の入札は、不調20件、不成立11件となっており、区民の要望である身近な公共施設の改築等が計画通り進んでいないことは問題です。中でも、森ケ崎海岸公園のトイレ工事は、長年近隣住民が求めており、区が海辺の散策路と重点としているが、入札が2回も不調になっているので、精査し改善を求める。
障害者施設を5年間と期間を定める「指定管理者制度」は事業の継続性、人材育成の観点から見直しすること。また、施設の職員のメンタルヘルスについて十分な配慮が必要で、人手不足の解消や健診の充実を求めました。
職員の健康増進と区立保育園の民間委託は中止を すがや郁恵
大田区の職員は、約20年間で、2000人余削減され4000人が、72万区民のために仕事をしています。減らされた分を民間委託しても、業務内容は複雑になりメンタルヘルス等病欠者が増えており、区民のために、区の職員を増やすこと、削減した健康診断の2次検診を復活して職員の健康を守ること、子どもたちのために、20年間採用していない学童、児童館で働く職員の採用を開始することを求めました。さらに、民間で困り果てている保育士確保には、来年度2園の民間委託中止こそが、大田区の最も果たす役割であることを指摘しました。
同和事業は即時廃止と高すぎる国保保険料の改善を 黒沼良光
大田区の同和相談件数は減り続け年133件、月11件余なのに、相談体制は相変わらず1日3時間、週3回で非常勤相談員の時給は概ね4500円で、こんな税金の無駄使いは即刻中止を求めました。国保では、2005年度は平均約7万9千円だった保険料が11年後には11万1千円と1・42倍へ、一方、国保加入者の平均所得は130万円台にまで落ち込み、滞納世帯が3割にもなっています。高すぎて払えない保険料の引き下げと区独自の軽減策、破綻した国保制度の改善を求めました。
障害者の緊急一次保護事業の充実を 金子悦子
障害者の緊急一時保護では、重度の動けない障害者は対象になるが、障害が軽度の医療的ケアが必要な人はどこでも受入れがないために、大変です。親がペースメーカーを取り換える手術を受けるために、成年に達した子どもを預けようとしたら、区内に預ける場所がなく、三多摩の施設しかなかったという方や、夜だけ在宅酸素を行っている人が歩けるという理由で支援が受けられません。対策ではさぽーとぴあが、この役割をどう果たすかが課題です。現在検討中とのことでしたので、区民の方の要望を実現するよう、強く求めました。
請願・陳情結果
第3回定例会で不採択となった陳情は下表の通りです。
なお、新空港線(蒲蒲線)の建設について区民に説明会を開くことを求める陳情、就学援助の新入学用品費を入学前に支給するよう求める陳情は継続審査となりました。
不採択になった陳情に対する各会派の態度 ○は賛成、×は反対 右の丸数字は会派の議員数 件名 |
結果 | 共産 | 自民 | 公明 | 無印 | 民進 | 緑 | フェア民 | 改革 | ネット | 無所属 | |
⑧ | ⑯ | ⑫ | ④ | ③ | ① | ① | ① | ① | ① | |||
国民健康保険料の均等割額の見直しを切望する陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | |
核兵器禁止条約を日本国が批准するよう意見書を提出することを求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | |
保育所職員に対しての更なる処遇改善を求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | |
横田空域の一部返還等の状況変化がある場合区民に事前にお知らせ頂きたいと願う陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | 棄権 | ○ | × | ○ | × | |
国民健康保険料の引き下げを求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | |
新・航空機騒音調査地点に関し、滑走路に近い「京浜島地区」の追加を求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | |
地元大田区の願いに逆行する羽田空港飛行経路の見直し案を心配する陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | ○ | ○ | × | ○ | × | |
羽田空港機能強化に関わる飛行経路等変更後も現飛行方式が継続されることを求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | |
(羽田空港機能強化関連)RNAVによる同時並行進入飛行採用に関する情報開示の陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | × | ○ | × | ○ | × | |
国民健康保険の特別区統一保険料率維持を求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | 棄権 | ○ | × | 棄権 | × | |
新地点での航空機騒音調査に、デシベルでの表示、評価を求める陳情 | 不採択 | ○ | × | × | × | × | × | ○ | × | 棄権 | × | |
北朝鮮のミサイルに備えた避難訓練等の実施を求める陳情 | 不採択 | × | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × |
司法の場においても話し合いでの解決を――中央防波堤埋立地の帰属問題
中央防波堤の埋立地の帰属を江東区と大田区が40年以上も争っている問題で、都が任命した「自治紛争処理委員会」がまとめた調停案が16日発表され、大田区13・8%、江東区86・2%となり、不合理な調停案の受諾に反対し、訴訟を起こすことを第二回臨時会で議決しました。
党区議団は、この海面は、江戸中期以降「私たちの漁場、畑、生活の糧を得るところ」で、真冬の寒さが厳しいなかでも重労働で海苔の養殖を行ってきており、
その多くは大田区民によるもので、一般漁場以上の区域として考えられ、調停案は歴史的経過が無視されていると主張。
また、海苔の篊柵により利用海面の境界が明確であった実態があり、現在の水際線で判断された不合理な内容であると指摘しました。
なお、この地は大型再開発ではなく「公園やスポーツ広場、文化・芸術等」となるよう提案しました。
税金を使った海外訪問に区議会自民党8人だけが、改選後も3年連続で参加
10月23日(月)から28日(土)まで
ドイツ連邦共和国 バイエルン州 ミュンヘン市
スイス連邦 チューリッヒ州 チューリッヒ市
参加議員は 伊藤 和弘議員 塩野目 正樹議員 深川 幹祐議員 渡司 幸議員
(1人あたり約109万円(旅行会社の内訳費による))
11月6日(月)から11月10日(金)まで
中華人民共和国 北京市朝陽区 大連市
参加議員は 高瀬 三徳議員 大森 昭彦議員 鈴木 隆之議員 伊佐治 剛議員
☆昨年は、視察の様子が全国ネットで報道され、区民から批判の声が上がりました。
党区議団は、親善遊好は大切だと考えますが、緊急な視察項目はなく、区民のくらしがたいへんな時に区民の税金で海外訪問に行くこと、国保料、保育料などの値上げに自民党は賛成し、区民に負担増を強いていること等を理由に反対しました。
海外訪問は中止させましょう!
一層の規制緩和となる民泊新法(住宅宿泊事業法)の撤回を
大田区は、2016年1月に国家戦略特区法に基づき、外国人滞在施設経営事業(特区民泊)を開始しました。大田区の特区民泊は許可制であり、一定の条件を付しましたが、利用者、近隣住民の安全・安心の民泊事業と言いながら、違法民泊の調査や規制もできていません。その上、2017年6月に国が成立させた住宅宿泊事業法は、届出だけで事業開始できる、宿泊名簿がつくられないなど、いっそう規制緩和となり、利用者と住民の安心安全が保たれないものです。特に行政庁が違法民泊の実態をつかめないというのが、重要な問題です。大田区の特区民泊の事業も、後退させかねない住宅宿泊事業法は、撤回すべきです。
大田区は、政令改正に伴い最低の滞在期間を3日に短縮、住宅宿泊の制限を行う区域及び生活環境悪化防止のための規定を行う等、区民へパブリックコメントを募集しました。
区の説明では、マンションなど集合住宅で民泊を始めようとする場合には、マンション管理組合が議決をする必要があり、総会が終了している場合は、理事会の決定でも対応できるとしています。