第2回定例会代表質問(速報)―藤原議員



(映像は大田区議会ホームページより:53分)

【藤原議員】
日本共産党大田区議団を代表して質問します。

改憲政治と消費税増税路線の破たんについて

【藤原議員】
質問に入る前に、5月23日に開かれた臨時会で決定した役職配分について一言申し上げます。党区議団は、区民の声が反映するために、議席数に応じた役職配分を求め、議長や各幹事長に申し入れをしてきました。さらに、5会派14名で議会の民主的運営を求める要望を提出しました。しかし、臨時会において一部は改善されましたが、不正常な状態が続いております。日本共産党大田区議団は、今後も、他会派、区民とともに、公平な議会運営となるために全力を挙げて取り組みます。
参議院議員選挙に大きく影響を与えると注目された沖縄県議会議員選挙が6月5日に投開票が行われ、結果は、翁長知事を支持する与党が過半数の27議席をかち取る大勝利となりました。日本共産党は1名増の6議席に躍進しました。米軍基地撤去、新基地建設反対、日米地位協定の全面見直し、基地に頼らない暮らし実現のために奮闘するものです。
4月に沖縄県うるま市で起きた女性遺体遺棄事件に怒りの続く中、今度は米兵の飲酒運転事故も発生し、重傷者が出ています。綱紀粛正、再発防止と何回、何百回聞かされても痛ましい事件は続き、沖縄県民の痛みと苦しみは消えません。再発防止には米軍基地撤去と米軍の本土帰還しかないのです。安倍首相は、毅然と米政府に向かって、米軍基地と海兵隊の撤去、帰還を求めるべきです。
憲法と平和を守る取り組みについて。
原爆投下をした国のオバマ大統領の広島原爆資料館視察と平和記念公園での発言は、国内外の平和と核兵器廃絶を願う人々から歓迎されております。日本共産党も評価し、唯一の被爆国である日本が、米国の核の傘にしがみつくことなく、核兵器廃絶の先頭に立つことを呼びかけています。
第2次安倍政権が誕生してから、平和憲法の改憲の動きが音を立てて進んでいます。一昨年7月のクーデターのごときの集団的自衛権行使容認を閣議決定し、昨年9月には自公連立政権と補完勢力が安保法関連11法案、戦争法を強行採決しました。自衛隊が海外の紛争地域に武器を持って派遣できる体制を確立しようとしています。国の最高責任者が守るべき憲法99条を投げ捨て、憲法違反を公然と行っているのです。
昨年から日本共産党区議団は松原区長に、区長としての平和の取り組み、安倍政権の目指す憲法無視の安保法制、戦争法についてどのように考えているのか質問してきましたが、区長の答弁は、安全保障は国の専管事務であり、国の動向を注視するとの答弁でした。
全国首長の中でも、憲法を守る立場、戦争をする流れに反対する立場を表明する首長が増えています。墨田区長は、日本共産党区議団の質問に、安全保障については、国防にかかわることなので、認識を述べることは差し控えるが、憲法を遵守する立場については、首長として当然なことと考えると、明確に平和憲法を守ると答弁しています。
●2016年は、平和憲法公布70年、大田区制70周年の節目の年です。区制70周年を迎える大田区の区長として、国の動向を注視するのではなく、大田区平和都市宣言の立場で、平和憲法を遵守するという姿勢を明確にすべきです。答弁を求めます。

【松原区長】
まず、憲法と平和への取り組みについてのご質問でございますが、大田区では、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、昭和59年に平和都市宣言を行っております。また、大田区は、平和首長会議に加入し、世界各国の都市と平和への連帯を図るとともに、平和の映画キャラバン、平和と原爆のパネル展、地球歌の日コンサート等、様々な平和関連事業に取り組んでまいりました。このうち、8月の平和強調月間に行われます平和都市宣言記念事業であります花火の祭典では、これまでに長崎市長をお招きしたほか、広島市長からのビデオメッセージを上映するなど、平和の尊さや大切さを若い世代に語り継いできました。今年度の特徴といたしましては、大田区制70周年に合わせまして、例年より2000発多い7000発の花火の打ち上げを予定しております。また、この7000発の花火の一部に、ああ区民の方や小中学生の願いを込めたメッセージを張りつけ、平和への思いを天高く届けてまいります。平和な都市を築いていくことは、区の重要な責務だと考えております。今後とも、こうした取り組みを通じまして、区民の皆様とともに平和な世界を願ってまいりたいと思います。

【藤原議員】
次に、アベノミクスの失敗と消費税増税について質問します。
●その前に、都民の大きな関心事である都知事問題についてです。区内の床屋さんや美容院、銭湯、居酒屋など、どのところに行っても、この問題が会話の中心です。都知事問題で、あんな人とは思っていなかった、なぜ辞職しないのかなどの話があふれています。各種調査によると、8割の都民が辞職すべきと答えています。区長は2014年2月の都知事選挙で、JR蒲田駅前で石破衆議院議員、自民・公明都議会議員等と一緒に舛添都知事候補への支持を訴えています。この間の都知事の政治資金流用、私的問題等について、都民の辞職すべきとの声に区長はどのように考えているのか、答弁を求めます。

【松原区長】
次に、区長は前回の都知事選で舛添知事を支持したが、今回の問題を受けて、現在の区長としての考えを問うということでございますが、舛添東京都知事の一連の政治資金流用問題に対する質問ですが、政治というのは信頼が第一であると私は考えます。都民に対しまして、しっかりと説明責任を果たしていただくことが何より大切であると考えております。現在、都議会開会中でございますので、その推移をしっかりと見守ってまいりたいと思います。

【藤原議員】
消費税増税について、区長は、この間、党区議団の質問に対して、消費税は社会保障分野に必要なもので、今後、少子高齢化社会の進展に伴いまして、生産年齢人口比率の減少が予想される一方で、扶助費が増加し、さらなる財政負担の増大が見込まれております、そのためには社会保障制度の安定財源確保は重要な課題であります、消費税の引き上げ分は、地方税法によりまして、2014年、2015年度の歳入増を見込んでおりますと答弁されております。新年度予算編成でもアベノミクスの効果を述べ、四半世紀ぶりに経済効果の兆しと評価しました。
安倍政権は、発足直後に3本の矢を発表し、昨年秋には新3本の矢を発表し、現在に至ります。まともな総括もしないで、次から次へと新しい矢を乱れ撃ちしても、当たることがないのではないでしょうか。円安と株価は大株主などの富裕層と大企業には巨額の利益をもたらしましたが、実体経済の活性化にはつながらず、マイナス金利という形で行き詰まりが鮮明になりました。しかも、国民の財産である年金資金を使っての株価のつり上げという政権の市場介入で、国民に大きな被害をもたらしました。
しかし、待てど暮らせど、アベノミクスの効果は大田区内には一向に回ってきません。この2年間だけでも、中小企業、町工場は400社近くも廃業したと言われています。認可保育園待機児や特養ホーム待機者は一向に減らず、労働者の賃金は5年連続実質賃金が下がり、購買力も2年連続落ち込み、連鎖倒産を加速させているのがアベノミクスと消費税増税で、経済も家計もめためたにされたのです。アベノミクスも消費税増税も完全に破綻し、自民党執行部も、引くも地獄、進むも地獄と認めました。ところが、驚くことに安倍首相は、伊勢志摩サミットで、世界経済がリーマンショック前に似ていると、世界経済を理由に、突然、10%増税を2019年10月まで先送りすると発表しました。アベノミクスも消費税増税も破綻したのです。
●区長は、今後も区民の社会保障、福祉予算に消費増税に期待しているのでしょうか。答弁を求めます。

【松原区長】
次に、消費税の増税に関するご質問でございますが、来年4月に予定されていました消費税率10%への引き上げ時期につきましては、平成31年10月へと2年半延期されました。地方消費税の引き上げ分は、社会福祉、社会保険、保健衛生の施策に要する経費等に充てるものと地方税法に規定されているとおり、消費税は社会保障制度の根幹を支えていく重要な財源であります。なお、特別区長会では、消費税8%から10%へと引き上げられることに伴いまして、地方消費税交付金として、特別区全体で約600億円の歳入増加が見込まれると試算をしております。区といたしましても、消費税は、子育て支援や医療・介護事業をはじめ、区民の暮らしを守る様々な施策を円滑に行うために必要不可欠なものであると考えております。

【藤原議員】
日本共産党は、税金の集め方、使い方、働き方について提案しています。消費税は廃止し、消費税に頼らない国民の生活と社会保障関連予算の財源を示しています。お金持ち富裕層から正当な納税、タックスヘイブンなどの税逃れを許さない、大企業への法人税率引き下げをしないです。世界のトヨタと言われているトヨタ自動車の場合、2008年から2012年までの5年間、法人税を1円も払っていませんでした。一方、区内でも中小零細業者は、ぎりぎりの厳しい経営の中でも、消費税を身銭を切って納税し、できない場合には家や屋敷の差し押さえさえされています。消費税こそ世紀の悪税です。消費税は増税先送りでなく、中止、廃止の声を国に明確に述べるべきです。

大田区中小企業・ものづくり産業の課題と展望について

【藤原議員】
中小企業問題についてです。
大企業が史上最高の利益を上げても賃上げに回らず、アベノミクスの根本的な政策が破綻しています。富の集中と格差拡大は、日本社会と経済にとってよいことは一つもありません。ものづくり中小企業のまち大田区の経済では、大田区の景況にあるように、景気悪化が続き、この十数年間、99%が大雨のFのマークが続いています。大田区は日本の縮図と言われ、大田区の特に産業、中小企業を見れば景気動向がわかると言われております。世界に誇れるものづくり加工のまち大田区が厳しい状況下に追い込まれております。区内の工場や商店を訪問し、対話してみれば、アベノミクス効果などないよ(工場経営者)、消費税も払えないよ(商店)との声ばかりです。
このような中で、一昨年から大田区は工場・商店全数調査を行い、2015年3月にその結果が発表されました。報告書には、区内中小企業の工場・商店街数、現在の経営状況、これからの販路拡大や受発注、区内で経営していく問題点、後継者問題、行政に期待する問題など、調査内容と今後の施策の方向性が出されているにもかかわらず、大田区は、区長の新春のつどい、第1回定例会所信表明でも、新たに取り組む姿勢や積極的な提案も計画もありませんでした。本年度予算には具体的な提案もありません。日本共産党大田区議団が、中小企業・業者が廃業、倒産の危機にあり、直接支援の必要性を提案し、工場家賃助成、後継者育成、空き店舗活用、繁盛店への支援でも、個人資産を理由に、支援はしない理由にしています。今の大田区にあるものは、利益の出ない産業、工場には支援しない、中小企業、小企業の倒産、廃業は時代の流れと言って、廃業も倒産も仕方ないとの姿勢だからです。
今回の実態調査では、1983年の9190社から3481社に大幅に減少しているものの、生き残っている中小零細企業の特徴は、NC型の大量生産ではなく、高付加価値型の少量・特注品中心である専門加工業的であり、中堅企業でも高度な加工技術でユニット受注が特徴であることがわかります。短納期に応え、難加工をこなしています。大量生産の大企業ではできない、他自治体にもない区内中小企業の特徴は今後も必要とされ、守らなければならない分野です。
●調査をよく分析すれば、こうした評価が生み出されるはずです。そうすれば、この特徴を生かし、次の大田区の打つべき施策が出てきます。区はこの分析をしているのでしょうか。お答えください。

【答弁なし】

【藤原議員】
短納期に耐え、難加工をこなし、小ロット化への対応力をつけ、製品開発型企業への転換を支援する大田区の役割です。
3481社に減ってもなお有効な機能を果たしているこの分野を位置づけて、多様な加工機能・技術が多様な企業によって担われ、誰でも使えない内製的大企業の技術と違い、誰でも使える外部に開かれた一種の公共財としての機能を果たしているのは、大田区ならではの財産です。大田区のものづくり中小企業は、公共財、公共の財産として、大田区はもちろん、国や都でも全力を挙げて守る必要、責任があるのです。このことが日本経済の発展、すぐれた製品加工によって、景気回復につながる経済の好循環をつくり出すことができます。
大田区ものづくり中小企業がなぜ公共財の役割なのかといえば、一つ一つは小さい工場だが、あそこは研磨が得意だ、ここは溶接が得意だなど、広く社会に開かれたそれぞれの役割を持ち、仕事回しも自転車で1回りできるネットワークがあり、公共財として存在していることが調査からも見てとれます。
●ものづくり基盤の復活、再生の前提となる中小企業の分野での起業や新分野開拓、新製品開発の必要不可欠な条件は、多様で高度な専門特化した生産・加工技術の公共財としての地域的集積であり、大田区の財産、宝なのであります。こうした公共財としての位置づけを区は認めるのでしょうか。お答えください。

【答弁なし】

【藤原議員】
実態調査で指摘されているとおり、区内中小企業の特徴は、約37%が借地、24%が賃貸です。大田区の地価公示価格は、川崎市や東大阪市と比べても3倍、4倍で、地価の高さが高賃料になり、競争力、相続問題に作用しております。
●固定資産税引き下げの特別区指定をして、中小企業向け優遇税制を設けることを提案します。緑地や農業用の土地への軽減があるように、公共財としての取り組みを行うならば、例えば台風や地震、自然災害で国の指定、激甚救済制度の指定がありますように、政府や都政にも強く求めることができると思います。お答えください。

【松原区長】
次に、ものづくり産業に対する国や都の支援に関するご質問をいただきました。大田区のものづくり産業は、金属加工をはじめとした幅広い基盤技術を有する企業群によって構成されております。我が国の基幹的な産業であります製造業を支えてきたものと認識しております。区は、ものづくり産業の集積維持・強化につなげるために、企業立地の継続性や新たな企業の誘致促進を目的とした助成制度など、様々な施策を実施してまいりました。これらの施策では、いわゆる企業立地促進法の枠組みや東京都産業集積活性化支援事業など、国や東京都の制度を活用するとともに、平素から情報提供、連絡を密にし、連携しながら取り組んでまいったところでございます。最近では、3月に石原大臣が、4月に入って諸外国の要人の視察が相次いでおりまして、仲間回しに代表される大田区のものづくり産業の特徴をご覧いただいているところでございます。こうした動きは、これまで大田区のものづくり産業の強化に取り組んできたことのあらわれだと思いますし、その評価の裏打ちであります。世界的にも注目されるものと認識をしております。今後も引き続きまして、このような大田区の特性を生かした独自の中小企業施策を展開するとともに、国や東京都をはじめとする関係機関と連携強化を図ってまいりたいと思います。

【藤原議員】
実態調査から直ちに大田区でも具体化できることについて質問します。
●新製品・新技術開発支援事業の申請数が昨年の倍以上と聞いておりますが、新年度予算額を見る限り、前年と約同じ金額ですが、住宅リフォーム予算に学んで、申請対象者数にふさわしい補正予算を組むことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、新製品・新技術開発支援事業に関するご質問をいただきました。新製品・新技術開発支援事業は、区内ものづくり企業の技術力、製品開発力の向上を図り、高付加価値を生み出すことで、区内工業集積の維持発展に結びつけていくことを目的としており、公益財団法人大田区産業振興協会で実施をしているところでございます。申請案件の採択に当たっては、事業目的を達成するにふさわしいかどうかを、専門家の意見、判断を参考にしながら、新規性、優位性、市場性など、多角的な観点から審査を行っており、予算の範囲内で対応できるものと考えております。今までに採択されたテーマの一例には、ソーラーパネル用の防汚塗料の開発や、心臓手術用の機器の試作、開発など、環境や医療に役立つ技術がございます。また、採択された案件には、開発後も専門家によるフォローアップの機会を設け、市場投入等に向けた支援にも注力をしているところでございます。区といたしましては、このような新製品・新技術開発に取り組む意欲的な企業の出現を期待しているところでございます。

【藤原議員】
実態調査から直ちに取り組まなければならない問題の大きな一つとして、9人以下の工場では、約8割が後継者問題を抱えており、現状では見通しもなく、数年で企業も従業員も技術もなくなってしまいます。このままでは廃業せざるを得ないという訴えをしております。これらの声に応えるために、公共財の立場に立って、これまでの工業会や産業振興協会に任せるのではなく、育成事業の大きな柱として取り組む必要があります。
青年後継者が、町工場はきつい、危険、汚いことを理由に集まらないのではありません。1955年から1970年ごろまでは、小さな企業でも金の卵として育成できる資金や環境もありました。私もその中の一人です。若者、青年も、ものづくり加工への思いもあり、挑戦したいと思っているからです。だからこそ、下町ロケットや下町ボブスレーなども大田区が舞台になっているのではないですか。製品を生産し、社会に役立てたいとの思いがあり、そのためには、働く環境、技術を学べるセンター、住宅、福利厚生などが必要です。
●小規模工場では、仕事減、安い加工賃では後継者育成まで給料を支払うことはできないのです。そのために、1人につき年200万円を3年間、期限つき支援を行政で援助も行うことを求めます。お答えください。

【答弁なし】

【藤原議員】
働く労働者、勤労者のまちとして、労働者や従業員、あるいは同じ業種の方などが交流する場がありません。かつては、勤労者が交流できる会館、勤労福祉会館が区内にありました。集会やスポーツ、囲碁、将棋、音楽室など、勤労者、経営者が集う場所がなくなりました。労働者、勤労者の減少があったとはいっても、一般区民と同室で、仕事が終わってから土日の余暇を使ってと思っても会場はとれません。
●働くまち、中小企業のまちとして、旧勤労福祉会館型の集会施設の建設を検討すべきと思いますが、その考えについてお答えください。

【松原区長】
次に、勤労福祉会館のような施設の整備に係るご質問でございますが、勤労福祉会館は、文化、健康、余暇等の面から勤労者の福祉向上を図る目的で設置され、昭和54年に東京都から移管された施設でございます。区内在住・在勤の皆様に有効に活用していただいてきましたが、施設の老朽化が進んだことなどから、平成16年4月に閉館したものでございます。区では、勤労福祉会館が閉館になる前から、各文化センター、大田区民プラザ等で勤労者が参加できる類似の事業を実施してまいりました。その後も、大森スポーツセンター、区民ホールアプリコ、大田区総合体育館と新たな施設を開設してまいりました。また、公益財団法人大田区産業振興協会で実施している大田区勤労者共済は、区内中小企業で働く勤労者及び家族に対し、各種福利厚生事業や慶弔見舞金の給付事業を実施しているところでございます。現在、1675事業所、4546人の皆様に加入していただいております。これらの事業が担う役割は、質、量ともに旧勤労福祉会館を大きく上回っており、今後、同様の施設を整備する必要はないと考えております。

【藤原議員】
中央防波堤について、第1回定例会での全会派の賛成で意見書を採択しましたが、日本共産党大田区議団は、意見書賛成の討論で述べたとおり、大型開発、国家戦略特区などの利用には賛成しません。
大田区は、昭和島、京浜島、城南島と、中小企業の集積地として存在しております。これらの3島内でも、経営が困難になっている企業、撤退した企業もあり、羽田空港に近いことを理由に、関連する3島と中央防波堤を結んで、羽田空港臨海部一体の大規模開発の種地とすることについては反対し、中央防波堤が大田区に帰属する場合には、海苔漁場であったことも考えて、都民、区民が憩える大型公園など、環境を最大限に生かした中央防波堤の活用を求めるものです。

大規模災害、震災から区民の命・財産を守る対策強化について

【藤原議員】
次に、防災対策について質問します。
4月に熊本県を中心に起きた地震は、震度7が2回、6強から5強が16回も起こり、死者49人、関連死の疑い20人、行方不明1人、負傷者1654人、避難者8589人、住宅被害10万4139棟で、死亡された被災者に心からご冥福を申し上げます。我が党も賛成した国の補正予算の活用と全国各地からの支援により、一日も早い復興、生活再建を心から願うとともに、日本共産党も全党挙げて復興支援に取り組んでおります。
そこで、大田区の防災対策について、災害時には直接区民を救済し、平時には保育や介護、建築、教育などの分野で仕事を行う正規の職員を増やすことを求めます。
熊本県の被災地の間でも取り組みに差が出たことは新聞等でもわかりますが、合併しない小さな町、人口1万1000人ほどの甲佐町では、車中避難者も含めて、朝夕2200食を被災者全員に届けている。なぜできたのか。食事を届ける仕事は行政と消防団員が行い、家族や家財の被害実態を目視で確認し、対策を直ちにとるなど、きめ細かい取り組みがされているそうです。行政や消防団などの公的団体と住民の間に顔の見える関係があり、自治体として一番大事な住民とのつながりがしっかり確立されているからこそと話されています。突然の地震に見舞われたら、初動の段階で何よりも住民の生命、安全を守るためには、日ごろからの備えがいかに大事かを痛感させられるもので、大田区も防災対策については、この間、取り組みをされていますが、行政として、区民の安全・安心を守ることは、一人ひとりの備えも大事でありますが、いつでも身近に職員がいてできることです。
2015年12月1日、東松島市の職員数のあらましの中で、定員管理の状況について発表され、市では、合併後、集中改革プランに基づき、職員の削減を行ってきましたが、震災による膨大な復興業務に当たるために、定員適正化計画を一時的に凍結することにしました、他自治体から自治法派遣職員や任期つき職員の採用など、復興に向けた人材確保に向けて、適正な定員管理を行っていきますと改正しました。
そこで、区民の願いに逆行している区職員配置の例として、区立保育園と働く保育士についてです。防災を考えても、大きな問題を抱えております。健やかな成長と、緊急時には体を張って命を守る使命を持っている区立保育士を毎年削減していることです。1990年代後半から事務事業適正化の名目で職員定数削減を行い、約6000名の職員を約4000名に、全体で約2000名も削減しました。その中で一番多いのは保育士です。
大田区発行の「保育園防災のてびき」には、2015年3月改定で、職員の心構えについて、大地震が起きたときには、職員が適切な指示を与えて、恐怖を静めることが大切である。そして、地域住民にも、防災行政無線装置その他から正確な情報を収集し、提供することも一つの役割である。非常の場合には、園児が職員の指示に従って安全行動ができるように、日ごろから訓練を積み重ねておくこと、そのためには、日常の保育の中で、一人ひとりを理解し、温かい目を注ぎ、相互の信頼関係を育てておくことが大切であるなど、事細かく区の職員として果たすべき役割が書かれています。手引には、臨時避難所として保育施設の利用があり、一時避難生活が困難だと思われる乳幼児のいる世帯の人のために、乳幼児の施設が整っている区立保育園を福祉避難所として開設する、保育士、栄養士による相談窓口を設置するなどがあります。
日本三名城の一つ、熊本城が、今回、地震で屋根瓦も崩れ、石垣も崩れるなど、震度7の破壊力を見せつけられました。熊本県甲佐町での体験や、東日本大震災の後、党区議団が東松島市を視察した際に、市長が、職員を減らしたことは間違っていたと反省しております。東日本大震災、熊本地震からの教訓も生かし、区職員を計画的に増やすべきです。
●保育園でも、障がい施設、高齢者施設でも、基本的に正規の区職員で、防災の際には区職員が先頭に立ち、平時はその職場で行き届いた仕事を行う、区民へのサービスを行うためにも、職員を削減すべきではありません。防災上も、また、区民が願う区民サービス充実のためにも、区職員の削減でなく、増やすことを求め、答弁を求めます。

【松原区長】
次に、計画的に職員を増やし、区民の安全・安心に向け、万全の体制を整備すべきとの質問でございますが、区では、これまでも区民の生命、財産を守るために、防災対策などの施策強化や新たな行政課題に取り組む体制を整備してまいったところでございます。また、4月の組織改正におきましては、総務部に危機管理室を設置し、緊急事態における区長のトップマネジメントの強化及び区の内部における連携強化を図ったところでございます。大田区職員定数基本計画におきましても、民間活力の活用と優先度の高い施策への配置など、計画的な定数管理を行っております。今後も、アウトソーシングによる成果の十分な検証を行いまして、その効果的な活用を図るとともに、選択と集中に基づく適正な職員配置ができるように努めてまいりたいと思います。

【藤原議員】
昨年の大田区政に関する世論調査の中で、区の施策の中で特に力を入れてほしいとする項目で一番関心が高いのは防災対策です。
●そこで、大田区の行っている対策の中に、家具転倒防止の取り組みがあります。すぐにできる問題です。2008年から2015年までに、65歳以上で大田区の対象資格に当てはまる方の中で、1202人にしか家具転倒防止器具が支給されていません。地震で人口密集地域では家具の転倒による圧死が一番多いという結果が発表されており、65歳以上の全ての希望される世帯に家具転倒防止器具の設置を求めるものです。全ての高齢者が、地震、台風による家具転倒での犠牲者を大田区内から出さないよう、全世帯を対象にした支給を強く求めるものです。

【松原区長】
次に、家具転倒防止器具の高齢者世帯への支給についてのご質問でございますが、平成7年の阪神・淡路大震災では、亡くなりました方の8割以上が圧迫死でございました。家屋の倒壊とともに、家具の転倒もこの要因の一つとなっております。このことから、区は、各家庭で区民に行っていただきたい防災対策の一つとして、家具の固定の必要性を広く区民に周知しているところでございます。また、自分では取りつけが困難なご高齢の方で、かつ、経費の負担が重い非課税を中心とする世帯には、器具の支給とあわせ、取りつけまで区が無料で行っているところでございます。高齢者世帯のほかには、障害者手帳や愛の手帳をお持ちの方がいる世帯も対象としております。
この支給取付事業は、平成20年度以降、通年で行っていまして、高齢者世帯に関し、この8年間で約1300件の申請があったところでございます。普及啓発の方法といたしましては、区報やポスター、ホームページ、デジタルサイネージで年間を通じて区民にご案内をさせていただいているほか、地域訓練や各イベントにおきましても、たんすと転倒防止器具の見本を展示しまして、区民に実物を見ていただくことで、家具固定の重要性をお知らせしているところでございます。このほか、地震による危険度の高い地域につきましては、区の取付事業をお知らせする勧奨通知を作成しまして、個別に郵送で呼びかけ、平成28年度は既に355件の申請を受け付けているところでございます。なお、この取付事業の支給対象にならない区民向けの啓発といたしましては、自治会・町会の回覧を従来の年1回から年2回に増やしまして、防災用品のあっせんの周知をしております。また、あっせん品目の器具は3種類ありまして、各家庭の家具の状況に合わせた選択ができるよう配慮をしております。今後も、地域での訓練のほか、様々な防災のイベントを活用し、積極的に区民に周知をしてまいりたいと思います。

【藤原議員】
●もう一つは、感震ブレーカーに対する設置助成です。世田谷区では、5年間で5800件の設置目標、今年度は870件の設置助成をする予定です。目黒区、文京区、足立区などでも取り組んでおります。電源が原因で火災が起きるなどがありますので、設置は急務です。答弁を求めます。

【松原区長】
次に、感震ブレーカーに関するご質問をいただきました。区では、震災時の火災発生原因が通電火災によるものが多いことから、感震ブレーカーの普及が重要と考えております。既に自助による対策といたしましては、大田区商店街連合会の協力を得て、平成27年1月から防災用品のあっせんに感震ブレーカーを取り入れたところでございます。おかげさまで多くの方々にご購入いただいております。また、防災訓練や講話等の機会を通じまして、より多くの区民の方々へ感震ブレーカーの重要性についての周知活動を実施しております。今後も引き続きまして、防災訓練や防災講話の機会を活用して、感震ブレーカーの重要性の周知に努めてまいりたいと思います。

区民の安全を脅かす新飛行経路について

【藤原議員】
次に、羽田新飛行ルートについて質問します。
羽田新飛行ルートは、羽田国際空港の機能強化、利用増大に合わせて、これまでの海上空路の離発着は限界に達し、南風時に都心上空から羽田空港に向けて、午後3時から7時まで、1時間当たりの離発着について、80便を今後は90便にする計画で、8月には決定したいと国土交通省航空局では言っております。大田区以外にも、品川区、港区、目黒区、文京区、板橋区、北区、江東区、江戸川区などの区民から、都心上空飛行は中止してほしいと運動が起こっています。羽田空港は大田区にあり、大田区民は騒音や環境、交通などで一番影響を受けており、これ以上の離発着は、空港内だけでなく、区内の安全問題にもなり、どんな理由にしろ、これ以上の離発着は中止すべきです。最近も大韓航空機のエンジン火災事故が起き、数分遅れれば大事故になったことも考えられ、羽田空港が一時離発着全面禁止になったことでもわかります。
沖合移転の合意は、騒音は海側だけで、内陸には影響を与えないと約束しました。左旋回飛行などもまだ解消されておりません。それ以外でも大田区と区民への約束は守られず、空港と航空会社の要望は受け入れるなど、とんでもないことです。北風時の左旋回飛行、市街地への騒音まき散らしや、沖合移転後に跡地利用も、大田区が計画したにもかかわらず、跡地200ヘクタールの合意も70ヘクタールの合意も55ヘクタールに狭められ、今では大田区が使用できるのは約18ヘクタールで、産業交流施設などの建設で、区民、地元住民が自由に使える広場はもっと少なく、その理由は、羽田空港の需要が優先され、今度も東京オリンピック、その後は外国人観光客や外国企業の利用を優先するために、都民は騒音を我慢しろ、航空機事故があっても我慢しろと言っていることに等しいのです。
●羽田空港のあり方の基本は、区民と空港が共栄共存の立場に立って、都心飛行については、区民の安全・安心の立場から、これまでの約束からも、国土交通省や航空会社の言いなりでなく、羽田空港機能強化に伴う都心上空飛行計画は中止を求めるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、羽田空港の新飛行ルートについてのご質問をいただきました。これまでも繰り返し申し上げてまいりましたけれども、現在でも、北風時のA滑走路北向き離陸左旋回や、ゴーアラウンド、深夜早朝時間帯におけます航空機の運用などによる騒音をはじめとした区民生活への影響が生じており、大田区といたしましては、今回の国の提案を重要な問題であると認識をしているところでございます。国は昨年の7月以降、関係自治体において、羽田空港の機能強化にかかわる説明会を実施し、大田区におきましても、区役所本庁舎を含みます延べ6会場で説明会が開催され、参加者は合計で1196名を数えたところでございます。国はこの4月に、これまで実施してきましたこのような説明会でのご意見、ご要望を集約、整理し、ホームページなどで公表するとともに、この夏までに環境影響に配慮した方策づくりを進めるとしております。大田区といたしましては、引き続き東京都や周辺自治体と連携し、歩調を合わせながら、騒音影響の軽減方策の検討や十分な安全管理を担保するよう、国に強く求めてまいります。

再質問

【藤原議員】
区長に再答弁を求めます。
憲法の問題で、平和憲法を遵守するということは大事なので、そこはどうなのかと。8月の行動その他はわかっています。それはやってください。
●問題は、今の憲法でどういう立場に立っているかということをお聞きしています。

【企画経営部長】
憲法についてお答えをいたします。
憲法につきましては、地方自治体、大田区としても、遵守をしていくことが基本だと考えてございます。大田区では、松原区長就任以来、平和ということを大きな区政の柱として据えております。先ほど区長からもお話がございましたとおり、次世代に向けて、平和な都市を築いていくことは、大田区として重要な役割だと考えてございます。以上でございます。

【藤原議員】
●もう1点は、新製品・新技術開発については、ふるいにかけないで、どんな小さい問題でも、それを生かしていくということをするためにも、やっぱり補正を組んで、申し込まれている方の救済をすべきだと思います。

【産業経済部長】
新製品・新技術開発支援事業に関する再質問でございます。先ほど区長がお答えしましたとおりでございまして、専門家の意見、判断を参考にしながら、多角的な観点から審査を行っておりまして、予算の範囲内で対応できるものと考えてございます。よろしくお願いします。

以  上

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