第4回定例会一般質問(速報)―村石議員(11月29日)



(映像は大田区議会ホームページより:20分)

【村石議員】
日本共産党大田区議団の村石まい子です。私からは2つの点について質問いたします。

どの子にもゆきとどいた教育を進めるための教職員の働き方の改善について

【村石議員】
はじめに、どの子にもゆきとどいた教育を進めるための教職員の働き方について伺います。
教員の「働き方改革」が言われてもう何年もたちますが、退勤時間は早くなっても持ち帰り仕事や休日出勤が増えるなど、業務量は逆に増えていると感じている教員も多く、なかなか働き方改革が進んだとはいえません。
子どもたちに豊かな教育を進めるためには、教員にゆとりが必要です。そのために、日本共産党は、中学校でも早期に35人学級にすること、OECD諸国の学級規模の平均の1学級あたり20人程度に向けて、さらに少人数学級を進めること、また、教職員定数を改善し、正規の教職員を大幅に増やして一人あたりの教員の持ち時数を減らすことなどを提案しています。
今年度大田区は、代替教員不足解消のために独自に会計年度任用の「おおたみらいティーチャー」事業を開始し、2892万円の予算をかけて4名の教員採用を計画しましたが、採用はまだ2名にとどまっています。「先生がいない」という事態を一刻も早く解消させるために、課題を明らかにし、引き続き区独自の採用を行うことを求めます。
一方で、2020年から小学校に英語の免許を持たない教員の元での英語教育の導入、さらにコロナ禍の中でのICT教育推進のためのタブレットの導入、超多忙な勤務状態の上に、新たな授業準備や研修が組み込まれることで学校はますます負担が大きくなりました。自分の授業準備をする前に、こうした新しい施策の準備と、区や都から来る膨大な事務作業に追われる学校の働き方に「ブラック」という言葉が定着してしまいました。そしてさらに、来年2025年度から全校実施になる大田区独自教科「おおたの未来づくり科」のために、今多くの小学校がその準備に追われています。
教師の本務は日々の授業です。目の前の子どもたちが生き生きと授業に参加し、「できた、分かった」と目を輝かせるような授業がしたいと、時間をいとわず、資料を調べたり、サークルや研修会に参加して授業の準備をしたりしてきました。それが教師のやりがいでした。しかし、最近では目の前の子どもたちの思いをくみ取る余裕がないほど業務に追われ、仕事にやりがいをもてなくなっている教員が増えています。こうした中、子どもたちの不登校、いじめ、校内暴力、自死が最多を更新し続けています。不登校は全国で約35万人と言われていますが、保健室登校などを入れると苦しんでいるこども達はもっと多いと考えられます。「先生に話を聞いてもらえない」「勉強についていけない」「先生が何を言っているのかわからない」など、子どもたちから悲痛な声が挙がっています。
この上更に、今年はこんなことが起こっています。毎年8校が指定される区の研究指定校で、普通なら1つのテーマを決めて1年、2年かけて研究し発表してきたものが、1年間に複数の研究をしなければならなくなっています。ある学校は、勤務経験が1校目、2校目という若い教員が多いのですが、みらい科の研究と、さらに区や都の指定する研究を2つも受け、3つの研究を同時進行で進めているそうです。これは今までにない異常な事態です。この学校では、来年度に当たって半数の教員が異動希望を出しているそうです。
これらの状態が続けば、さらに病休や退職の教職員が出て、学校運営に穴が開く事態が広がりかねません。その結果、子どもたちの教育を受ける権利が損なわれてしまいます。そこで伺います。
●教員不足の状態がこれからも続き、残業時間も過労死ラインを超えている教員がまだたくさんいるという中で、今やるべきことは、先生方が子どもたちとじっくり向き合う時間を作るために、研究の在り方も含め、現場の声を聞きながら、業務縮減、教職員の大幅増員など、区として、あらゆる手立てをとることではないでしょうか。お答えください。

【教育総務部長】
1人1人の教員が児童・生徒に寄り添い向き合う時間を確保するためには、働き方改革を推進し、充実した教育活動をやりがいを持って実践できる環境づくりが大変重要です。教育委員会は令和2年3月に大田区立学校における働き方改革推進プランを策定し、教員の業務負担軽減に様々取り組んでまいりました。これまで副校長アシスタントや教員の事務等を補助する教員支援員を全校配置した他、部活動指導員や読書学習司書、学校特別支援員、特別支援学校介添員等の専門スタッフを充実させてまいりました。また日々の事業で使うタブレット端末の操作方法等のアドバイスや活用事例を紹介するICT支援員を各学校に訪問させるなど、教員の業務負担軽減と教育活動を支える体制作りを進めてまいりました。将来にわたりより一層の負担軽減を進めるためには、学校・教員が担う業務を一層精査することが重要です。文部科学省は学校・教員が担う業務の適正化のため、「学校の業務ではあるが必ずしも教員が担う必要のない業務」の例として体育施設の貸出・開放といった学校施設の維持管理等を挙げ、また「教員の業務ではあるが負担軽減が可能な業務」の例としては学校行事の企画・手配などを挙げております。今後はそのような事例も参考にし、当事者である教員の声を聞きながら大田区立小中学校の実情にあわせ、学校・教員が担う業務を整理してまいります。引き続き、これまでの取組で成果を上げつつある部活動の地域連携・地域移行やコミュニティスクールの推進などに加え、公務のDX化を含めた業務改善を進め、教員の負担軽減につなげてまいります。

【村石議員】
次に、中学校の教員の負担となっている部活指導についてです。部活動は思春期を迎える中学生にとって、挫折や失敗を経験しながら大きく成長する場の一つです。指導する教員も、生徒たちが生き生きと活動し成長する姿から、部活動の意義を感じ、熱心に指導されてきました。しかし、依然として過労死ラインを超える働き方をせざるをえない教員が多い中で、部活動まで見ている余裕はないので、持ちたくないという方が増えているのだと思います。
平日は4時過ぎから6時過ぎまで部活指導をした後に自分の仕事をするので、退勤は9時10時になってしまいます。また、休日は試合があれば一日がかり、次の日も審判などの仕事で試合に参加しなければならないことも多くあります。指導経験がない部活動を持つとなれば、なおさらのこと負担が大きくなります。国の「部活動ガイドライン」に基づき大田区教育委員会からは、平日、週休日それぞれ1日以上の休養日を作ることと、活動時間は平日2時間、休日は3時間などの方針が明確に示されて、改善されてきた面もありますが、まだまだ教員の負担軽減になっていないのが現状です。
部活を持つ先生方の声です。「大会のシーズンは土日がほとんどない状態です。週末は練習や大会があり、身体と心の休養ができない。お金はもらえなくてもいいので、休みがほしい。」「週休日の部活動指導に特勤手当が出るが、4時間以上で4000円だったものが、ガイドライン改定に伴い、3時間以上で3000円になった。単なる予算削減でしかない。」「『部活動の時間設定は任意であり、強制ではない』という区教委の見解に納得がいかない。」「無給なのに責任は重い。教員の善意に甘え、不当労働行為を見て見ぬふりはやめてほしい。」「区で採用されている外部指導員に、技術指導はお願いできるが、最終的な責任は顧問であることに変わりはない。」などの声が上がっています。
今年度から始まった「部活動の地域連携・地域移行」では、民間事業者に委託するパターン、部活動外部指導員が指導するパターン、教員、校外指導員が指導するパターンの3通りの部活動指導を、モデル事業として5校で実施しています。「大変助かっている」という声が上がり期待されていますが、生徒指導の面や学校との連携、多くの指導員が必要となるなど、今後考えていかなければならない課題も多いと思います。そこで伺います。
●中学校の教員の大きな負担となっている部活動指導を、生徒たちの成長の場として保障していくために、モデル事業での課題を明らかにし、生徒や教員、保護者の声を聞きながら、改善することを求めます。お答えください。

【教育総務部長】
教育委員会は子どもたちのスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会の確保や教員の働き方改革等のため、地域や学校の実態に応じた部活動の地域連携・地域移行に向けた取り組みを進めています。今年5月から総合型地域スポーツクラブの人材や区の部活動指導員、熱意を持って引き続き指導に当たりたい教員等を指導者としたモデル事業を中学校5校で実施しています。7月に実施したモデル校でのアンケート調査では、部活動に参加した約9割の生徒から専門的な指導が受けられており、部活動の雰囲気に満足しているという声が聞かれました。
また、これらの部活動に関わる約8割の教員から負担が軽減したという声があるなど、成果が得られました。一方で将来の部活動のさらなる地域移行を見据えると、質の高い人材を安定的に確保することや、財源の確保等の課題があります。今後はこれらの課題を解決するため、生徒や教員、保護者等の声を聞き、効果検証しながらモデル事業を拡充してまいります。
加えて有識者や学校関係者、地域の代表、大田区スポーツ推進委員協議会などの関係者からなる「大田区立中学校部活動の地域連携・地域移行に関する検討会」の中で議論を重ね、大田区にふさわしい部活動の地域連携・地域移行のあり方を整理してまいります。

【村石議員】
学校現場には、様々な職種の方がおり、教員の負担軽減や、多様化した子どもの状況に対応するため、校内の仕事を受け持ってくださっています。子どもたちに多くの大人がかかわり見守っていくことは一人一人の子どもの成長にとって、とても大切なことです。しかし、そのほとんどが非正規雇用で、本来なら正規雇用すべき講師、読書学習司書、特別支援員、カウンセラーなどの会計年度任用職員が5年たつと次々と退職してしまうという状況では、子ども達も保護者もせっかく信頼関係がつくれたところで変わってしまうので大変負担になっています。また、プール指導、学習指導補助、理科支援員などの補助員は、交通費も出ない、休暇制度もないという大変低い処遇となっています。そこで伺います。
●学校で働く非正規職員である補助員を、ボランティア的な扱いではなく、仕事に見合った処遇に改善することを求めます。

【教育総務部長】
現在各小中学校では学習補助員、部活動校外指導員、生活指導補助員、登校支援員等の教員の補助や、児童生徒の支援を行うことを目的として設置している補助員等の方々に様々な業務に従事して頂いております。教員や児童生徒に補助や支援が生き渡るよう、このようにきめ細やかに量的にも質的にも充実した人員を配置することで、円滑な学校運営や子どもたちの生き生きとした学校生活が支えられております。補助員等は各小中学校において支援が必要となった場合に、迅速かつ短時間の従事など柔軟に学校への配置ができるよう、謝礼を支払う形態としております。報酬額につきましては、現在も職務内容や最低賃金等を考慮しながら必要に応じて見直しを行っており、引き続き補助員等の処遇につきましては、近隣自治体の動向や社会情勢を踏まえて適切に対応してまいります。

SDGsの目標の1つであるジェンダー平等を進めることについて

【村石議員】
次に、SDGsの目標の一つであるジェンダー平等を進めることについて伺います。
女性差別撤廃条約が日本で批准されて39年がたちますが、ジェンダーギャップ指数は146カ国中118位と大きく立ち遅れています。日本共産党は、ジェンダー平等の社会をめざして、生涯賃金の差が1億円にもなる男女の賃金格差の解消、性別役割分業から解放され、女性の社会進出を進め、男性も女性も働きやすい社会をめざしています。
大田区のワーク・ライフバランス推進プランでは、2025年までに女性管理・監督職の割合を22%以上にするという数値目標を掲げていますが、23年度で管理職全体の14.9%にとどまっています。女性の管理職を増やすために、超過勤務時間の縮減や子育て支援などを含めた施策の充実が喫緊の課題となっています。
一方で、非正規雇用を理由とする賃金・労働条件の差別が社会問題になっています。非正規労働者には女性が多く、雇用形態を通じたジェンダー不平等、女性差別にもなっています。小池都知事は、今年行われた都知事選の選挙公約の中で、「男女の賃金格差の解消」「非正規雇用の処遇改善」を掲げていました。大田区でも当事者である労働者の意見をよく聞き、改善を図ることが求められます。
大田区は職員定数を引き下げる一方、非正規である会計年度任用職員を増やし、2023年度時点で1575人になっています。区民にとって必要な仕事を安い賃金で会計年度任用職員に担わせています。しかし、大田区人事白書には、正規職員の職種別、職層別の性別配置状況は載せていますが、区で働く職員の4分の1以上を占める会計年度任用職員の実態を明らかにしていません。都の会計年度任用職員の調査を見ると、現役世代の会計年度任用職員の約7割が女性でした。ジェンダー平等の視点からも、改善が必要です。そこで伺います。
●人事院は、国の非正規公務員の更新の制限撤廃を各省庁に通知しました。都内でも、7割の自治体が撤廃や見直しを検討しています。大田区も、現在4回までとなっている「公募によらない再度の任用」の回数の上限を撤廃することを求めます。そして、会計年度任用職員の処遇を改善するとともに、継続的に必要な仕事をする職員は、希望に応じて正規雇用とすることを強く求めます。お答えください。

【総務部長】
現在、当区の会計年度任用職員の再度の任用につきましては、臨時的・一時期的な職等を除きましては4回までとしておりますが、再度の任用を保証するものではございません。令和6年6月28日に総務省から発された「会計年任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル第2版の改正について」では、「再度の任用が想定される場合の能力実証及び募集についても各地方公共団体において平等の取り扱い及び成績主義を踏まえ、地域の実情に応じつつ適切に対応されたい」、及び、「選考においては公募を行うことが法律上必須ではないが、できる限り広く募集を行うことが望ましい」と記載されているところでございます。区といたしましては、このことを踏まえるとともに、東京都や他区の動向も注視しつつ適切に対応してまいります。

以  上

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