第4回定例会代表質問(速報)―佐藤議員(11月28日)



(映像は大田区議会ホームページより:37分)

【佐藤議員】
日本共産党区大田議団を代表して質問します。

ノーベル平和賞を受賞した被団協・被爆者の声に応える「核兵器のない平和都市」大田区の取り組みについて

【佐藤議員】
日本共産党大田区議団を代表して質問をします。
先月行われた第50回衆議院総選挙の結果は、自民・公明政権を過半数割れに追い込む国民的審判がくだされたものであり、この歴史的審判をわが党は心から歓迎いたします。国民がくだした審判は、何より裏金問題への怒りであることは明らかです。同時に、その根底には、暮らしの困難への無為無策、大軍拡には巨額の税金を使いながら暮らしの予算を切り詰めるなど、経済や外交・安全保障を含む自民党政治全体に対する不信や怒りがあります。そして、この歴史的審判によって、改憲勢力が衆議院で3の2を割ったことも重要な変化です。
これは、大局的に見れば、国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索し、探求する、新しい政治プロセスが始まったことを示すものです。日本共産党は、裏金事件の真相究明と企業・団体献金の全面禁止、選択的夫婦別姓制度の導入、現行の健康保険証の廃止の凍結・中止、国立・私立大学での相次ぐ学費値上げストップなど直面する熱い問題で国民とともに要求運動にとりくみ、その実現へ全力を尽くします。同時に、自民党政治に代わる新しい政治とは何かを、国民の模索と探求にこたえ、財界・大企業優先、日米軍事同盟絶対という、日本の政治の二つのゆがみをただす日本の民主的改革の展望を広く国民に語り、政治変革に全力を尽くす決意です。
「核兵器のない平和都市」大田区の取り組みについて質問します。
今年のノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が受賞したことは、「核兵器のない世界」を願う国内外のすべての人々に大きな励ましと勇気を与えました。ノーベル賞委員会は、授賞理由として「広島と長崎の原爆生存者による、この草の根の運動は、核兵器のない世界を達成する努力、また目撃証言を通じて核兵器が二度と使われてはならないということを身をもって示してきた」と評価し、また、「日本被団協と他の被爆者の代表たちによる並外れた努力は、核のタブーの確立に大きく寄与してきた」とのべ、「肉体的な苦痛と痛切な記憶にもかかわらず、大きな犠牲を伴う自らの体験を、平和のための希望と活動にささげることを選んだすべての生存者に栄誉を授けたい」としています。日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さんは
「日本被団協がノーベル平和賞を受賞できたことは本当にうれしいです。ロシアが核威嚇を繰り返し、世界でブロック対立が起きている中、核兵器が使用されるのではないかと本気で心配していました。被爆者は、『核兵器と人類は共存できない』とずっと訴えてきましたが、そのことが多くの人に通じたのではないかと思います。被爆者が国内や世界で被爆の実相を広げ、共同のなかで核兵器禁止条約をつくらせてきました。さらに、核廃絶を目指した条約の強化に努めなければなりません。そのためには、日本政府が核兵器禁止条約を批准するだけでなく、核兵器廃絶に向け、世界のリーダーになってほしい。多くの皆さんに呼びかけたい。日本の禁止条約の署名・批准と、核兵器廃絶に向けて、一緒に声をあげ、行動してほしい。」
と受賞にあたってのコメントを出しました。
大田区は、1984年8月15日に世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、『平和都市宣言』を行いました。その宣言文で「大田区は、平和憲法を擁護し核兵器のない、平和都市であることを宣言」しています。大田区として、平均年齢が85歳を超えた被爆者の決意に応え、運動を支えることを求めます。来年は広島、長崎の被爆80年です。区内に約140人いらっしゃる被爆者の願いに沿った活動が求められています。
●区長は、大田区内在住の被爆者と定期的に面会・懇談し、要望を聞き、「平和都市宣言記念事業」に反映させるなど、その声をいかすことを求めます。お答えください。

【鈴木区長】
区は、昭和59年8月15日、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い「平和都市宣言」を行いました。このことを記念し平和の尊さや戦争の悲惨さを後世に伝えていくことを目的として、毎年8月15日に平和都市宣言記念事業を実施しております。平和都市宣言記念事業「平和のつどい」では平和都市宣言文の朗読や合唱を中心とした式典に加えて戦後抑留をテーマとした映画や語り部動画の上映を行いました。
また、平和に関するパネル展示や親子で参加できるワークショップを実施し、今まで以上に幅広く区民の皆様に平和の大切さを感じていただける内容となりました。
本事業だけではなく、関連事業として、本庁舎で行っている平和原爆パネル展や、平和の映画キャラバンなどの実施にあたっては、ノーベル平和賞の受賞など国内外の情勢も視野に入れつつ、事業を推進しております。
引き続き、平和都市宣言事業等を通じて、幅広く区民の皆様の声を聞きながら、平和都市を宣言する自治体として、平和を希求する役割を果たしてまいります。

【佐藤議員】
●「平和都市宣言」でもうたっているように「平和憲法を擁護し核兵器のない、平和都市」の永続的な実現のためにも国・政府に対して被爆者の願いである核廃絶のために核兵器禁止条約に批准するよう働きかけることを求めます。お答えください。

【鈴木区長】
世界では現在ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核ミサイル開発、さらには中東情勢なども相まって国際社会は分断と対立が進み、我が国、そして区民の生活と安全を脅かしかねない緊張状態が続いています。こうした中、11月6日・7日に開催された各軍縮に向けて国内外の有識者が議論する「国際賢人会議」にあわせて石破総理大臣はメッセージを寄せ、現在の国際社会では核抑止が必要という現実があるとした上で、核兵器のない世界の実現に向け具体的な道筋を模索する考えを強調しています。区といたしましては「核兵器のない平和都市」をうたった平和都市宣言を行った自治体として、笑顔とあたたかさあふれる平和な大田区が実現するよう、区民と心を一つにして平和関連の各種事業を着実に進めてまいります。

物価高騰などで困難さ増す区民の暮らしと営業を支える新年度予算について

【佐藤議員】
次に、新年度予算についてお聞きします。
日本共産党区議団は11月26日に、区民の皆さんから寄せられた声や、区内各団体からいただいた要望などを501項目にまとめ、2025年度予算編成に関する要望書を区長に提出しました。速やかに内容を検討し新年度予算に反映させるよう求めます。
新年度予算は7月24日に両副区長名で出された、「予算編成、組織・職員定数の基本方針について(通知)」で「心やすらぎ 豊かさと成長を実感できる 新しい次代に向け 力強く踏み出す予算」と位置づけ、基本計画・実施計画の初年度「新たなスタートライン」として、区民に身近な基礎自治体として地域特性を踏まえた価値の高い施策の構築に向け、…取り組む…として、その際、今後の財政見通しとの整合を図り、将来にわたる区民サービスの安定的提供に向けた職員の業務量にも十分配慮しつつ、施策の明確な優先順位付けと徹底した重点化、一層の効率的な実施手法を練り上げることを基本として編成するとしています。
同じく、7月に企画経営部財政課が「持続可能な財政基盤の構築に向けて」~新たな基本計画・実施計画の策定にあたって~を出して、「今後の財政見通し」などについて分析しています。
●大田区が今年7月に示した、「持続可能な財政基盤の構築に向けて」~新たな基本計画・実施計画の策定にあたって~では、投資的経費の後年度推計を行い、今後も施設の維持更新費用の増加が見込まれ、2024~27年度がピークになるとしていますが、施設整備あたっては世代間の負担の均衡の観点から必要な起債を行うべきです。同文書では、「戦略的にコントロール」が必要とし、2022年度決算で149億円、2024年度予算で312億円とあたかも区債残高が急増しているような比較をしていますが、そもそも2024年度は予算で217億円、決算で149億円で、2023年度は予算で251億円、決算で152億円と、当初予算に対し決算では大幅に減額となっています。
これらの予算を、区民の暮らしや営業にのための必要な施策として行えたはずです。お答えください。

【鈴木区長】
区有施設・都市インフラの投資的経費はその性質を踏まえ、財源として特別区債を有効に活用しておりますが、今後の財政の見通しは、歳出に対し歳入が不足する厳しい環境が継続することが想定されます。
その上で直近の令和5年度決算における実質収支額は、前年度に続き低水準になっており、これは出産・子育て、教育の充実に向けた施策など将来世代に繋いでいく上で欠かせない重点施策など、区民に不可欠な施策を着実に執行した結果、財源対策として財政基金を70億円取り崩す必要があったことが区財政の実態です。
現在基本計画の策定作業を進めておりますが、この先の未来を予測し、区民生活に必要な施策を積極的に具体化したいと考えております。施策の新陳代謝を一層促進し引き締めるべきことと、今なさなければならないことのメリハリある資源配分を行い、区長としての責任を果たしてまいります。

【佐藤議員】
予算編成の基本方針での「心やすらぎ 豊かさと成長 …」を区民が実感できるようにするためにも、長引く物価高騰で困難さを増す区民の暮らしと営業への支援が必要です。
10月16日付の東京新聞社説では、「人手不足による中小企業の倒産が急増している。…幅広い業種で広がり、放置すれば景気の大きな足かせ要因となり得る。人手の確保は企業の自助努力だけでは限界があり、国や地方自治体が協力して対策を講じなければならない。」と報じました。記事では「倒産急増の背景には、社会全体の高齢化や働き方改革による長時間労働の制限に加え、賃上げが中小企業経営の負担になっている」「今年の春闘では多くの企業で一定の賃上げが実現したが、大企業と中小企業の間では大きな差が出た。中小の場合、取引先である大企業との価格転嫁交渉が進まず、賃上げの原資が十分確保できなかったため、人材獲得を巡る競争で一層劣勢となり人手不足に拍車がかかった」「雇用の7割を支えてきた中小に人材が集まらなければ、日本経済の土台が揺らぐ。官民が一体となって創意工夫して中小の賃上げを加速させ、人手不足の根本的な解消につなげなければならない」としています。
大田区の地域経済を支える区内中小企業への思いきった支援策が重要になります。
●日本経済はもちろん地域経済のまともな発展のためには、物価上昇を上回る賃上げが必要です。そのためにも、中小事業者への賃上げ支援策が重要です。徳島県は、物価高が長期化する中、賃上げを行う中小・小規模事業者を支援することにより、労働者の所得向上を促進するため、国の「業務改善助成金」に県が上乗せして助成金を支給し、事業者の実質負担が無くなる「徳島県賃上げ応援サポート事業」を行っています。大田区も区内事業者の賃上げ状況を調査するとともに、徳島県のように国の施策への上乗せ支援など大田区独自の区内中小事業者へ賃上げ支援策を行うよう求めます。お答えください。

【鈴木区長】
先日、閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」におきまして、政府は「日本経済・地方経済の成長」を第一の柱に掲げ、中小企業を中心に、価格転嫁の円滑化など環境整備を推進するとともに、経営基盤強化・成長支援を充実する、としています。
現在、国は、賃上げ促進税制の周知広報の徹底や業務改善、設備投資への補助制度の充実、また、東京都においては、専門家派遣などの相談体制を整備しております。
さらに区においては、融資あっせん制度による資金調達や取引拡大機会の提供など、区内企業を側面から支援してまいりました。
区は、引き続き、国や東京都の施策との整合性を図るとともに、社会情勢の推移を注視しながら、限られた財源の中で効果的な支援を適時適切に行い、区内産業のさらなる発展を目指してまいります。

【佐藤議員】
NHKが今年7月に「東京の住宅価格高騰に悩む子育て世代」と題する特集記事を配信しました。記事には、民間不動産情報会社の調べで、東京23区内の中古分譲マンションの価格は最近7年で約40%上昇しており、その背景には、円安の影響で、東京都心の物件を投資目的で購入する海外の富裕層が増え、分譲マンションの価格が押し上げられていることが要因とし、その結果、住宅の購入を諦めた子育て世帯が賃貸市場に流れ、ファミリー向け物件の需要が増加。単身者向けの物件ではほとんど変動がないのに対し、ファミリー向けの物件は約35%家賃が値上がりしているとしています。不動産情報会社は「東京都心は、子育て世帯にとっては家を買うのも借りるのも難しい状況だ」と分析しています。子育て中のNさんは「共働きだったら、東京に家を買えるだろうなと思っていました。今はもう、僕たちのようなサラリーマン家庭にとっては、東京に住むこと自体がぜいたくなことなのかもしれないです」と語っていました。こうした中、より安く、広い住まいを求めて近隣の県に移り住む「脱・東京」の動きが、子育て世代に広がっています。去年、東京と神奈川、埼玉、千葉の人口移動を分析したところ、子育て世代にあたる30代と40代、その子ども世代にあたる14歳以下は、東京から3県への転出超過となると報じました。
同記事内で、OECD=経済協力開発機構が先月出したレポートを紹介し、世界的にも住宅価格の高騰が少子化に影響すると指摘しています。
●小池都知事は、手頃な価格で住めるアフォーダブル住宅の推進を今年行われた都知事選の公約に掲げました。都議会で日本共産党都議団が、知事が推進するのはどのような住宅か。住宅は払える家賃であると同時に、生活の質の向上を伴うことが大切だとその認識をただした質問に、「子育て世帯に係る住まいや手頃な価格で住める住宅については、副知事を筆頭とした体制により検討してまいります。」と答弁しています。大田区でも子育て世帯の区外への流出が課題になっており、特に子育て世帯等の住宅支援策の拡充が強く求められています。大田区での手頃な価格で住めるアフォーダブル住宅の推進など住宅支援策の強化を求めます。お答えください。

【鈴木区長】
区は、令和5年3月に「大田区住宅マスタープラン」を改訂し、区民の皆様の定住促進に向けて、住宅施策の推進に取り組んでまいりました。
昨今、社会経済情勢が大きく変化する中、区は、住宅リフォーム助成事業において、こどもが安心・安全に暮らせる住宅改修メニューの充実、若年ファミリー世帯やひとり親世帯に対する区営住宅の優遇措置の導入、中堅所得層のファミリー世帯に対する区民住宅の提供などを行っています。
さらに、「地域力を生かした大田区まちづくり条例」による住宅におけるファミリー住戸の設置のほか、空家の利活用に向けた事業の実施など、子育て世代に限らず、様々な支援を地域の実情に応じて、総合的に展開しております。
区は、これらの施策や事業について、東京都とも連携して、区民の皆様に対する住まいの支援に引き続き、取り組んでまいります。

【佐藤議員】
子育て支援施策として、区民からとても歓迎されている施策、学校給食費の無償化の取り組みについてお聞きします。
●大田区では昨年・2023年6月から区立小中学校の学校給食費の無償化が始まりました。区長は、第3回定例議会で「国が実施するまでの当面の間、都区間で連携の下、学校給食費の無償化を令和7年度以降も実施いたします」と表明されました。また、「この間、無償化を実施してきたことにより、保護者の負担軽減の効果を区民の方々から様々な場面で声として聞くことができた」と発言されています。新年度に向けて、他区でも実施している、区立学校在籍以外の学齢期児童・生徒がいる世帯に対して、給食費相当の支援を行うことや、アレルギー等により弁当持参の児童生徒や不登校の児童生徒に給食費相当額を補助することを求めます。お答えください。

【小黒教育長】
区では区立小中学校の学校給食費の無償化を令和5年度からスタートし、学校給食の質の確保と食育の推進、そして安定的な給食の継続を実践しております。
区立学校の設置者である立場から、学校の給食費無償化は小中学校の児童生徒を対象としており、国立・私立学校の児童・生徒への給食費相当分の支援は考えておりません。
本来、学校給食費の無償化は国の責任として自治体間の政策により格差が生じることがないよう、全国統一的に実施すべきものです。この考えのもと、引き続き国に対して要請してまいります。
なおアレルギー等の事情により家庭から弁当を持参している児童・生徒につきましては、給食費相当額の支給を既に学校を通じて行っております。
また、つばさ教室につきましては、先ほど椿議員の代表質問でお答えしました通り、教育委員会が設置していること、つばさ教室と在籍校で密に連携していること等を鑑み、来年度から区立小中学校在籍のつばさ教室の児童・生徒に対しても給食無償化の効果が行き届くように支援してまいります。

【佐藤議員】
次に、この間、区長は区議会でのあいさつ等でもたびたび取り上げ、重要施策として推進している新空港線事業について質問します。
●投資的経費となる新空港線整備促進事業や関連する蒲田駅周辺地区の整備事業などは、この間、区は財政課の資料「持続可能な財政基盤の構築に向けて」のなかで投資的経費の推移などを示しながら財源の確保を訴えていますが、この財政課の資料や新年度の予算編成の方針では新空港線事業など経費や財政の見通しにはいっさい触れていません。区民に見通しや今後の計画も示せない新空港線事業は区民から理解も得られず計画の白紙撤回を求めます。お答えください。

【鈴木区長】
新空港線は区内東西交通の利便性向上だけではなく、蒲田など長年更新されずに老朽化した市街地を、魅力的なまちへと変えていくための起爆剤となる事業であります。
基本計画のワークショップでも「公共交通機関の利便性向上」を求める声も多く寄せられています。
現在、新空港線については、羽田エアポートライン株式会社が事業計画の精査を行っている段階です。
また、蒲田駅周辺の基盤施設整備については、中・長期的な視点を踏まえた基盤施設の整備方針を示してまいりました。
この方針のもと、関係事業者と駅舎・駅ビルと駅前広場などの一体的な整備に向けた協議を進めております。
区としては、引き続き、これらの内容が明らかになった段階で、区民の皆様に適切なタイミングにてお知らせし、ご理解いただけるように努めてまいります。

区民が快適に、安心して利用できる公共施設について

【佐藤議員】
次に、区民が快適に、安心して利用できる公共施設についてです。
大田区は施設の維持管理や運営に要する人件費などの経費のコストを把握した原価を、適切に使用料の計算に反映するとともに、更に、施設で提供するサービスの内容に応じて、利用者の負担割合から利用料に反映させる、つまり、施設サービスを利用する人(受益者)と利用しない人との負担の公平性を確保する必要があるため、受益者負担の原則を基本とし、施設サービスを利用する人(受益者)に応分の対価を負担させるとして公共施設での使用料とする考え方を2016年に定めました。
公の施設は、地方自治法に規定されているとおり、住民の日常生活に欠くことのできない施設として地方自治体が設置しなければならない義務となっています。また、「住民は法律の定めるところによりその属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し」とあるように、住民が何人も平等に利用することができるという基本点が明らかにされています。この点からも、この大田区が行ってきた、公共施設の使用料に受益者負担の適正化として区民に負担を強いることは誤りといわなければなりません。
また、施設の設置・運営の原価に人件費と改修費用などを加えていることは大問題です。公務員である職員の人件費と税金でつくった公共施設の原価で算定した使用料を区民が利用料として支払うとなれば、大幅な値上がりになるのは当然です。これまでの2回の改定では、あまりにも大幅な値上げのために25%の上限を設ける激変緩和措置がとられましたが、これは既存の施設での措置であり、新設の施設では最初からこの原価計算などによる施設使用料が設定されるため、大きな負担が区民・利用者にのしかかります。
●施設利用料が受益者負担の適正化の観点から見直されて以来、施設利用料が「高い」、「新しい施設はなんでこんなに利用料が高いのか」の声が、多くの区民のから寄せられるようになりました。3定での党区議団の代表質問に区長は「受益者負担の適正化は、現行のサービス水準を維持・向上させつつ、徹底したコスト削減に努力することを前提に、これまでの原価計算方式に基づく共通の基準、方法をベースに進めていくことが重要です。…健全財政を維持する歳入確保という側面のほか、区民間の公平性の確保と施設サービスの維持・向上を目指し、区の行財政運営の改善を図るものでございます。区は、区民負担の公平性の下、施設サービスを将来にわたり安定的に提供し、区民生活を支え、その質を高める公共空間となるようサービス維持・向上と、行財政運営の改善を両立してまいります。」などと答弁されましたが、この間の物価高騰が区民の暮らしに大きな負担となっている中で、来年に予定されている施設使用料の見直しはやめるべきです。お答えください。

【鈴木区長】
公共施設を管理運営し、施設サービスを提供するには、維持管理費や人件費などの経費が伴います。
施設使用料収入で不足する分は、区民全体の負担となることから、公平性を確保する観点から、利用される方に一定の施設使用料をご負担いただく必要があります。
近年、公共施設は労務単価や資材価格の上昇等に伴い、施設の維持管理経費及び建築・改築経費が大きく増加しております。
施設使用料は、施設サービスコストの縮減努力を前提としつつ、共通の基準・方法により算定することで分かりやすさと公平性を確保するとともに、公共性や市場性、必需性や選択性などの観点から一定の公費負担を行うことで、利用しやすい設定としてございます。
こうした一連の取組は、健全財政を維持する歳入確保という側面のほか、区民間の公平性の確保と施設サービスの維持・向上をめざし、区の行財政運営の改善と改善を図るものであり、将来にわたる良質な公共空間の確保に資する取り組みと考え考えており、利用者が施設を快適にご利用いただけるよう、サービス提供体制の維持や機能更新を着実に進めてまいります。

【佐藤議員】
●複合施設では、駐輪場の駐車台数が利用者に比べて少なく利用しづらい現状があります。この間、整備された新蒲田一丁目複合施設「カムカム新蒲田」は、最大450名収容可能な多目的室をはじめ、中高生ひろば、地域包括支援センター、シニアステーション、子育てひろば、保育園を併設した大型複合施設です。しかし、駐輪場の駐車台数は、保育園分を除いて最大で54台となっています。これではとても少なすぎます。やっと来月・12月に開設される大森北四丁目複合施設「スマイル大森」はどうなっているのでしょうか。複合施設での自転車駐車場・駐輪場の拡充を求めます。併せて、漏水事故などトラブルが続出している、現在工事中の大森北四丁目複合施設「スマイル大森」は完成まで2年以上要することが予想されることから、その間の仮設の駐輪場を必要台数確保して整備することを求めます。お答えください。

【鈴木区長】
「自転車駐車場」につきましては、公共施設への「多様な来訪手段」の確保をはじめ、放置による「施設周辺環境の悪化」や「交通事故」の防止を果たすなど、区民の皆さまの安全で快適な生活環境を維持・向上させるための重要な施設であると理解しております。
区で公共施設整備を進める際は、関係法令はもとより、入所する各施設の利用状況なども踏まえながら、総合的な判断のもとその台数を定めており、工事期間中も、可能な限りの台数を確保しております。
「スマイル大森」におきましても、敷地の一部を活用するなど、追加対策について既に検討しております。
今後も引き続き、利便性の確保をはじめ、「効果的・効率的な施設マネジメント」による「区民サービスの維持・向上」を図ってまいります。

以  上

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