第4回定例会代表質問(速報)―杉山議員(11月29日)



(映像は大田区議会ホームページより:37分)

【杉山議員】
日本共産党大田区議団を代表して質問します。
まず最初に、ロシアによるウクライナ侵攻によって犠牲になられた方々及びパレスチナのイスラム組織ハマスの攻撃により犠牲になられたイスラエルの方々、イスラエルの報復攻撃によりパレスチナ自治区ガザで犠牲になられた方々に哀悼の意を表します。

ガザの人道的危機回避に向け国際社会に働きかける大田区の責任について

【杉山議員】
それでは、質問に入ります。ガザの人道的危機回避に向け、国際社会に働きかける大田区の責任について伺います。
10月7日にイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以来、11月23日までにイスラエル軍による病院や難民施設などの攻撃で、ガザでは1万4800人以上が殺害され、犠牲者の4割以上が子どもとなっています。イスラエル政府は、約1200人がハマスに殺害されたとしています。ガザでは、約150万人が住まいを失い、食料、燃料、医療資材の不足で深刻な人道危機に陥っています。
国連安全保障理事会は11月15日、イスラエルによる大規模攻撃が続くパレスチナ自治区ガザをめぐって緊急会合を開き、イスラエルとイスラム組織ハマス双方に戦闘の緊急かつ人道的な中断を求める決議を、15理事国のうち日本やフランスなど12か国が賛成し採択をしています。国内では、ジャーナリストであり、映画監督の土井敏邦さんは、「欧米諸国や日本は、ロシアによるウクライナ侵攻と占領を激しく非難する一方、イスラエルによるパレスチナ占領を止めようとしていません。全くの欺瞞、ダブルスタンダードです」と述べているように、岸田政権がイスラエルの国際法違反を批判せず、即時停戦・休戦も求めない姿に抗議の声が上がっています。
日本共産党は11月6日に、ガザでのジェノサイド(集団殺害)を許すな、ガザ攻撃中止と即時停戦に向けての各国政府への要請を発表し、ハマスによる無差別攻撃はもとより強く非難し、人質の釈放を求めている。同時に、どんな理由があったとしても、イスラエル軍のガザへの大規模攻撃、ジェノサイドは許すわけにはいかないと、各国大使館や国際機関に即時停戦に向けて緊急行動を求める要請を行っています。
日本共産党は政府に対し、第1に、ガザの状況について、難民キャンプに対する空爆に続いて、病院に対する攻撃が深刻化している。日本政府として、イスラエルの軍事行動を国際法違反だとはっきりと批判し、民間人を多数犠牲にする軍事行動を直ちに中止することを求めること。第2に、国連安全保障理事会で人道的な戦闘の中断を求める決議が採択され、重要な決議であり、一歩前進、同時に、これだけでは解決にならない。人道的中断(ポーズ)にとどまらず、日本政府として即時停戦(シースファイア)を国際社会に求めるべきだと提起しました。
地方からは、11月8日に東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県の知事と5政令市の市長による九都県市首脳会議が開催され、戦闘が激化するパレスチナ自治区ガザをめぐって、即時の一時的な戦闘休戦などを求める緊急人道アピールを発表しています。また、静岡市議会は、ガザ地区における平和の実現を早期に求める決議を発表しました。静岡市議会としては、世界平和を希求する静岡平和都市宣言決議の下、このたびの紛争に対し、1、いかなる理由があろうとも、一般市民への攻撃と非人道的行為は正当化できない。2、これ以上、人道危機が悪化しないよう、国際法に基づき、事態の早期鎮静化と人道状況の改善を図ることを求めた決議を11月20日に全会一致で可決しています。
イスラエルとイスラム組織ハマスが戦闘を4日間中断することなどを取決めが合意され、11月24日午前7時に発効し、人質の解放が始まり、さらに戦闘中断は2日延長されています。戦闘の一時中断にとどまらず、恒久的な停戦につなげ、国際社会が一つになって中東和平へと進むことが必要です。
●そこで伺います。前区長は2022年3月4日に、ロシアのウクライナの軍事侵攻に抗議する声明で、大田区は、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言をしている自治体であり、ロシアは軍を直ちに撤退させ、一刻も早い平和的解決に向け、国際法に基づく誠意を持った外交努力を強く求めました。区長においては、ガザ地区における人道状況の改善と恒久的な停戦を求める声明を出すことを求めます。お答えください。

【鈴木区長】
パレスチナ・ガザ地区における人道状況の改善や即時停戦に向けた区の働きかけに関するご質問ですが、イスラム組織ハマスとイスラエルの衝突が始まって1か月半以上が経過しました。報道によれば1万人以上が死亡し、その半数以上が子どもだとされています。ガザ地区の現状について、国連のグテーレス事務総長は、人道危機を超えた人類の危機だとして強い危機感を示しています。国連安全保障理事会では、これまでの各国の対立などから、事態の打開を目指す決議案が4回にわたり否決されてきましたが、11月15日に緊急会合が開かれ、子どもの人道状況の改善に焦点を当てることで各国が歩み寄り、初めて決議が採択されました。上川外務大臣は、我が国がこれまで働きかけてきた人道的休止や人道回廊の設置などの内容が含まれている決議が採択に至ったことを歓迎し、全ての当事者が決議に基づいて誠実に行動することを求めるとし、その上で、「事態の早期鎮静化に向け、安保理が引き続きしかるべき責任を果たす必要があると考えている」と述べました。
区といたしましては、基礎自治体として、引き続き国際社会の動きを見守りながら、区民の皆様とともに平和都市実現に向け、着実な歩みを進めてまいります。

物価高騰やコストカット型経済から区民の暮らしと営業をまもる対策について

【杉山議員】
次に、物価高騰やコストカット型経済から区民の暮らしと営業を守る対策について伺います。
時事通信が11月10日から13日に実施した世論調査によると、岸田首相が打ち出した所得税・住民税の計4万円減税に対し、「評価しない」が51%と半数を超え、「評価する」は23.3%、消費税減税については、「賛成」が57.7%、「反対」が22.3%、「どちらとも言えない・分からない」が20%と報道しています。減税しても、その後の増税が見え隠れしている状況では「評価しない」が大勢を占めています。
2023年7月から9月期の実質国内総生産(GDP)が前期比0.5%減と9か月ぶりにマイナスになりました。GDPの5割強を占める個人消費が0.04%減と、前期に続いて落ち込んだことが主な要因です。企業の設備投資も0.6%減と2年連続のマイナスです。物価高騰から暮らしを守る緊急の対策を求めるとともに、経済の長期停滞を打開する改革が待ったなしです。
消費が減っている最大の原因は、物価上昇に賃金が追いついていないことです。岸田首相は、30年間のコストカット型経済から転換を図るとの触れ込みで、総合経済対策と補正予算案を閣議決定しました。1年間だけの所得減税では中身は全く脆弱です。その一方で、消費税減税はかたくなに拒んでいます。こうした政策しか打ち出せないのは、国民にコストカットを押しつけてきた政治に反省がないからです。労働者の権利を守る法制度を切り崩し、低賃金の非正規雇用を拡大したのも、大企業を優遇して法人税減税を繰り返してきたのも自民党政治です。社会保障費は自然増まで抑え込む異常な切下げが行われています。賃上げを実現するためには、政治の責任で何をやるのか具体的に示さなければなりません。将来に希望が持てる社会を実現するためには、経済の持続的発展が必要です。そのために、財界、大企業の利益を優先させてきた政治の転換が欠かせません。
日本共産党は、大企業にため込まれた内部留保の直近10年分に年2%、5年間の時限課税で10兆円の財源をつくり、中小企業労働者の賃上げ支援に、賃上げ分には課税しない仕組みとして、大企業自身の賃上げも促進することを提案しています。時給1500円の最低賃金を全国で実現する抜本的方策です。名ばかりの個人事業主など、労働者の権利を保障されていない働き方も含め、非正規ワーカーの処遇を改善する法律をつくることも喫緊の課題です。非正規の多くは女性です。男女の賃金格差をなくす上でも非正規ワーカーの権利保障が不可欠です。
暮らしを守り、格差を是正する税財政本来の役割を取り戻すことも重要です。消費税率を緊急に5%に下げることは最も有効な物価対策です。所得の少ない人ほど負担が重い消費税を減税することは、公正な税制を築く上でも前進となります。また、免税事業者やフリーランスに増税となるインボイス制度は中止すべきです。増える年金をはじめ、安心できる社会保障を実現することや、重過ぎる教育費負担の軽減はすべきです。これらの改革を進めることで消費を活発にし、経済の好循環を生み出します。
北区では、多子世帯子育て支援臨時給付金をひとり親世帯で児童扶養手当受給者等の世帯に児童1人当たり5万円、ひとり親世帯以外の住民税均等割非課税の子育て世帯に児童1人当たり5万円の支給が始まっています。小金井市では、製造業・運輸業・卸売業者に対し、燃料代などを上限10万円の補助金の支給が始まっています。一般会計第4次補正予算では、財源として地方創生臨時交付金を活用する予定ですが、2022年度決算では40億円余の予算を余らせていることから、物価高騰から区民の暮らし・営業を支える財源は十分にあります。
●そこでお聞きします。一般会計第4次補正予算で、区独自事業で産業経済費、運送事業者支援を計上されたことは評価しますが、物価高騰対応としては不十分です。大田区の産業と子育て支援のためには、以前にも行ったものづくり経営革新支援事業の再開などや、他区が実施する多子世帯子育て支援事業などを行うことを求めます。お答えください。

【鈴木区長】
次に、産業と子育て支援に関するご質問です。まず、ものづくり経営革新支援事業の再開についてお答えします。現在、区や大田区産業振興協会における各種経営支援事業の実施に加え、国や東京都においても同様の助成事業を実施していることから、ご質問にある事業を再開する予定はございません。
次に、子育て支援についてですが、ご質問の給付事業を区が行う考えはありません。区といたしましては、例えば子どもの生活応援など子どもの貧困対策、待機児童解消や病児・病後児保育の充実などの子育て施策、産後ケアなど母子保健施策、おおたグローバルコミュニケーションの新設など学校教育の充実、区立小中学校の給食費の無償化など、実情を把握し、補正予算(第4次)に計上するまでもなく既に積極的に取り組んでおります。今後も、区として充実すべきニーズを見極め、多子世帯を含む子育て世帯に必要とされる支援の充実を求めてまいります。

【杉山議員】
「大田区の景況」で調査対象事業所に対するアンケート調査による2023年7月から9月期の予想では、製造業は業況の悪化傾向が大きく強まる。小売業では今期並みの厳しさが続く。建設業、運輸業においては、悪化傾向は変わらず、業況が「よくなる」と回答したところがなく、先行きが見通せません。経営上の問題点は、全ての業種で売上げの停滞・減少、原材料価格の上昇、人材不足が上位に挙げられています。このような中で、コロナ禍で事業継続のために借りた、新型コロナウイルス対策特別資金等で元金の返済の要らない据置期間を利用してきた事業者の返済も始まっており、今後の資金繰りなど厳しい状況に置かれます。
北区では、原油価格・物価高騰対策緊急資金、新型コロナウイルス感染症対策緊急資金借換資金の融資あっせんを開始しています。融資限度額2000万円、融資期間10年以内(据置期間12か月含む)、信用保証料の半額助成、利子補給を助成するものです。
区が「大田区の景況」の調査を委託している東京商工リサーチの友田信男情報本部長は、ゼロゼロ融資利用後の中小企業の倒産をめぐる現状と今後について、コロナ禍4年目の現在、中小企業の倒産が拡大する危機はこれからが本番と見ています。しかも、コロナの猛威が一定収まった中でも、中小企業の半数がコロナ前の水準まで売上げが回復していません。そこへ円安、物価高騰が襲いかかり、売上げが伸びても利益が出ないという状況になっていると述べています。
●そこでお伺いします。区内産業を守るためにも、物価高騰やコロナ禍で疲弊している区内事業者への支援の強化が必要です。融資を受けた事業者の返済が始まり、このままでは廃業せざるを得ない事業者が続出するおそれがあり、これを食い止める手だてをすることが求められます。大田区として、融資の借換え支援や利子補給、かつて大田区が行った債務保証、信用保証料の補塡など、あらゆる有効な手だてを取るべきです。お答えください。

【鈴木区長】
次に、区内事業者支援の強化に関する質問ですが、現在、国においては、物価高騰対策も含む様々な事業実施に伴う補正予算の審議が続いています。また、東京都においても新たな物価高騰対策の実施を予定しているとの報道がございます。一方で、今般、区において補正予算案に計上した運輸業支援については、一義的には燃料費等の高騰に対する支援ではなく、2024年問題への対応に関する支援として実施するものでございます。
物価高騰やコロナ禍に対する事業者支援については、国や東京都などの動向を注視しながら、基礎自治体としての役割に応じた対応を行っており、有効な対策は講じていると考えております。融資制度においても、コロナ禍における特別資金や一般運転資金の利子補給加算など、区ではその役割を強く意識して、必要な対策をちゅうちょなく実施しており、現時点で債務保証、信用保証料の補塡を実施する考えはございません。

【杉山議員】
次に、とても厳しくなっている区民の生活状況ですが、新型コロナの影響が長引く中で、さらなる物価高騰で命と暮らしや営業が深刻な危機に直面しています。商店街やライブハウス、町工場の方々から、仲間の店が次々に閉めていく、大田区のものづくりの灯が消えてしまう、自己責任と言われてもう限界、助けてほしいなど、悲鳴が上がっています。JR蒲田駅西口で行われたフードバンクを訪れた、小学2年と3年の子どもがいるという女性は、「光熱費が高く、食べ盛りの子どもとの生活には少しでもうれしい」と話しています。大学1年の男子学生は、親の負担を減らしたいと奨学金を借りてアルバイトをしています。「時給がよいところを探したけれど、それでも足りない」と訴えています。また、10月1日から始まったインボイスの影響で、インボイス登録ポスターを貼り出していないと客が来ない、このままだと事業・仕事の見通しが悪い、廃業以外の選択肢はなかった、年末には閉店するなどの声が聞こえてきます。
●そこでお聞きします。今年もあと1か月で年越しです。物価高騰から生活を守るためにも、職を失った方や事業を廃業した方などが年を越せるように、年末年始の閉庁時に臨時窓口の開設と周知を行い、支援することを求めます。また、社会福祉協議会と連携して年末年始にも食料支援などを行うことを求めます。

【鈴木区長】
次に、年末年始の閉庁時の対応に関する質問ですが、生活困窮者への年末年始の支援につきましては、大田区社会福祉協議会をはじめ、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTAや福祉事務所などへ早めに相談にお越しいただくよう、ホームページなどを通じてご案内します。臨時窓口の開設は考えておりませんが、居場所を失った方に対しても、特別区の事業として宿所や食事の提供を行う自立支援センターの年越し利用がございます。食料の支援が必要な方には、日頃より大田区社会福祉協議会において1週間分の食料配付を行っております。例年、年末年始には病院や施設などからの連絡が福祉事務所に入るため、職員の連絡体制も整え対応しております。区といたしましては、生活に困難な課題を抱える区民の皆様に、関係機関とも連携しながら、引き続き寄り添った支援を実施してまいります。

安心して暮らすことができ、子育てしやすい大田区にするための新年度の予算について

【杉山議員】
次に、安心して暮らすことができ、子育てしやすい大田区にするための新年度予算についてお聞きします。
区内各団体や区民の皆様からいただいた声と区民アンケートに寄せられた意見などを477項目にまとめ、2024年度予算要望書を党区議団は11月28日に区長へ提出しました。大企業・ゼネコン奉仕の不要不急な大規模開発ではなく、保育園待機児ゼロ、特養ホーム待機者ゼロ、75歳以上の高齢者医療費ゼロ等をはじめ、新自由主義を終わらせ、コロナ対策から学んだ保健所体制の強化など、ケアに強い大田区、気候危機打開、防災まちづくり、ジェンダー平等、住まい・子育て・教育の安心など、物価高騰から区民の命、暮らし、営業を守るために、予算の重点を切り替えるよう求めます。
区の新年度予算編成方針では、事務事業の見直しを一層強化する方針です。また、受益者負担、負担の公平を理由とした公共施設の使用料値上げなど負担増押しつけは、地方自治体の在り方としてふさわしくないものです。一方で、新空港線計画と鉄道沿線のまちづくり(区内全駅を対象)を強硬に推し進めようとしています。さらに、DXや公民連携の推進などで住民福祉の増進という自治体の役割を後退させています。物価高騰の今こそ、区民の暮らしと福祉を守るという地方自治体の原点に立った予算編成に改めることが強く求められています。
特に、子育て世代では学校給食費の問題です。今年度は23区全てで学校給食の無償化が発表されています。子育て世代には本当に喜ばれています。来年度以降も学校給食の無償化を恒久的に行うことが求められています。世田谷区では10月27日、今年度から始めた区立小中学校の学校給食費無償化について、来年度以降も続けることを発表しました。保坂展人区長は会見で、「国による給食費無償化が早期に実現することを求めつつ、それまでは区として継続したい」と話しています。鈴木区長は、区長選の公約に学校給食の無償化を掲げて当選しました。単年度限りの公約ではないはずです。
●そこでお伺いします。子育て世代に選ばれる大田区とするためにも、世田谷区のように、国や都による給食費無償化が早期に実現することを求めつつ、それまでは区として給食費無償化を継続することを求めます。また、公会計に移行し、その際には学校における献立作成、食材購入に支障を来さないようにすることを求めます。お答えください。

【鈴木区長】
次に、給食無償化に関するご質問ですが、私は区長として、就任早々の臨時会にて、物価高騰が区民生活に多大な影響を及ぼしている状況に鑑み、学校給食無償化にいち早く取り組み、安定的な学校給食の提供を実現しました。一方で、学校給食については、本来、自治体間により格差が生じることなく、全国統一的に実施すべきであると考えており、特別区長会及び特別区教育長会を通じて国に要望しております。引き続き、その時々の景気動向をしっかりと捉えて、必要な施策を効果的に実施することで、子育て世帯を含め多くの方々から選ばれる、誰もが住みやすい魅力あふれる大田区を築いてまいります。
【小黒教育長】
私からは、学校給食の公会計化に関するご質問にお答えいたします。
文部科学省は、平成31年の中央教育審議会答申を受け、学校給食費の公会計制度の採用を推進しており、大田区におきましても、既に学校給食等の公会計化について調査・研究を行っております。公会計化の実施につきましては、様々なメリットがある一方で、新たな経費の増加に加え、現在、各学校で実施している特色ある献立づくりや豊かな食育を支える地域の食材業者を通した迅速できめ細かい日々の食材調達が煩雑になるなどの課題もございます。こうした課題への対応を含め、引き続き先行の他自治体の取組状況などを調査しながら研究してまいります。

【杉山議員】
次に、関東大震災から100年がたち、震災対策や気候の温暖化により風水災害も激甚化しており、その対策が求められています。大田区政に関する世論調査(6月実施概要版)の区施策の中で特に力を入れてほしいとの回答が、防災対策57.5%とトップになっています。地震では、家屋の倒壊や家具などの転倒により、停電後の復旧で通電火災が懸念されており、その対応として感震ブレーカーの設置が有効です。また、火災発生時には住宅用火災警報器の役割は重要であります。
2010年4月1日から全ての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務づけられました。防災危機管理課の防災用品あっせんパンフレットには、「住宅用火災警報器はなぜ必要なの?」と題して、「あなた自身はもとより、大切な家族の命を住宅火災から守るため、また火災を早期に発見することで、初期消火や通報等の行動が早まり、近隣への延焼火災も軽減できます。設置から10年過ぎている住宅用火災警報器は機器本体を交換しましょう。本体交換は設置から10年が目安です。古くなると電子部品の劣化や電池切れなどで火災を感知しなくなるおそれがあります」と記載されています。
●そこでお聞きします。本来、防災は地域全体で網羅しなければ、火災の延焼、大規模火災から地域を守れません。幅広く公の責任で行うべきです。家具転倒防止器具や感震ブレーカーの支給については、非課税世帯や低所得世帯などの一部の区民のみで、範囲・規模があまりにも小さ過ぎます。その他の区民にはあっせんしかなく、自己責任・自助で求めており、家具転倒防止器具や感震ブレーカーも支給にすべきです。特に、住宅用火災警報器は設置義務が課せられているにもかかわらず、あっせんしかありません。
住宅用火災警報器の寿命の目安が10年ですので、交換時期に来ています。火災から命となりわいを守り、まちを守るためにも、火災警報器の交換への助成が必要です。お答えください。

【鈴木区長】
次に、住宅用火災警報器に関するご質問です。住宅火災の被害を最小限に抑えるには、火災警報器による早期の感知と初期消火が重要です。住宅用火災警報器は、平成22年に都内の全ての住宅での設置が法的に義務づけられ、区では平成19年度からあっせん事業を実施しております。今年度は設置の義務化から10年が経過することから、これを機に区のあっせんチラシには点検や交換に関する注意点を掲載し、本庁舎や特別出張所等に備え付けるとともに、自治会・町会等にも回覧板などの周知啓発にご協力をいただいております。この他、区では、家庭用消火器のあっせんや街頭設置消火器の整備事業も展開しております。これらの取組と併せて、住宅用火災警報器の点検・交換を呼びかけ、万一の場合に備え、効果的な初期消火につながるよう取り組んでまいります。

京浜急行電鉄を区民が安心して利用できる交通安全対策について

【杉山議員】
次に、京急電鉄(京急)を区民が安心して利用できる交通政策について伺います。
東京都営地下鉄浅草線の西馬込駅で11月18日、ホームドアが稼働し始めました。また、来年2月には京成電鉄と共同管理している押上駅でも設置を完了する予定です。都営地下鉄4路線、三田線、大江戸線、新宿線、浅草線全106駅でホームドアの設置が完了することになります。障がい者の方々をはじめ、利用者の切実な声と粘り強い運動、一貫して求め続けてきた日本共産党都議団の取組が全駅設置に大きく貢献しました。全日本視覚障害者協議会代表理事の山城完治さんは、「ずっと運動してきた一人として本当にうれしい。視覚障がい者にとって、ホームを落ちずに歩けることは安心して外出するための第一歩です。日本中、全ての駅でホームドアの設置を当たり前の状態にしてほしい」と話しています。
特に京急では、9月25日には大森町駅、10月1日には梅屋敷駅で、10月26日には六郷土手駅で人身事故が発生しています。梅屋敷駅には2023年度中に、六郷土手駅には2024年度中にホームドアの設置が計画されていた中での事故であり、もっと早くホームドアが設置されていれば防げた事故ではないでしょうか。京急は全ての駅にホームドアの設置を2030年代中頃までに完成する予定ですが、普通列車しか止まらない駅では物すごいスピードで快特や特急、急行が通過し、危険であり、人身事故が後を絶ちません。
●そこでお聞きします。梅屋敷駅ホームドア設置が2023年度中となっていますが、区は設置事業者である京急に対し、早急に設置させること、また、2024年度中に設置予定の六郷土手駅においても前倒し設置を行い、さらに、雑色駅や大森町駅、大森海岸駅について具体的な設置計画の日程を明らかにさせることを求めます。少なくともホームドアが設置されるまでの間、利用者の安全確保を強化することを京急に求めることです。お答えください。

【鈴木区長】
次に、ホームドアの整備に関するご質問ですが、京浜急行電鉄に限らず、各鉄道事業者はご利用者の皆様に対して様々な安全対策を実施しております。ホームドアの設置につきましては、区は重要な取組であると考えております。大田区交通政策基本計画においても、駅のバリアフリー化の充実を基本的な施策と位置づけ、ホームドア設置促進に向けて、区は各鉄道事業者に対して整備意向を把握しております。なお、ホームドアやホーム柵が未設置の駅につきましては、2030年代を目途にホームドアの整備完了を目指すこととしております。区はこれまでも、区民の皆様が安全・安心に公共交通機関をご利用いただけるよう、国や東京都と連携するとともに、補助金制度なども効果的に活用し、ホームドア整備を行ってまいりましたが、引き続きホームドア設置の早期実現に向けて鉄道事業者へ働きかけてまいります。

以  上

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