第1回定例会一般質問(速報)―すがや議員(2月16日)



(映像は大田区議会ホームページより:19分)

保育の配置基準など、子どもたちの権利を尊重する子育て支援策について

【すがや議員】
日本共産党大田区議団、すがや郁恵です。
私は、まず、保育士の配置基準など、子どもたちの権利を尊重する子育て支援策について質問します。
岸田首相は、予算発表に当たり、異次元の子育て支援は最重要政策としながら、中身がないと批判され、自民党自らばらまき政策だと攻撃していた児童手当の所得制限の撤廃を言い出したのは、世論の大きな成果です。
党区議団が2022年度7月に行った区民アンケートの中間のまとめ、子育て支援に望む施策は何ですかの問いに一番多かったのが経済的支援であり、45.6%です。教育について力を入れてほしい事業は何ですかの問いでも、小中学校の給食費無料化の要望が高く、その願いに応えるのが給食費の無償化です。
区立小中学校の給食費は、1人当たり、小学校低学年月4100円、中学年で4500円、高学年で4950円、中学生5350円です。小学1年生から中学3年生まで9年間無償になりますと、1人当たり約51万7000円の支援になります。本来であれば、国が学費は無償であるの憲法に基づいて無償化すべきですし、国の軍事費43兆円を使えば、全国の区立小学校、中学校の給食費無償化は100年分できます。
大田区では、約18億円あれば、区立小中学校の給食費無償化が実現できます。大田区の予算0.6%です。区は、大田区まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本的方向、「快適で、安全・安心に暮らせる環境をつくることで、子育て世帯に選ばれるまちを目指します」としていますから、その実現のためにも予算化することです。
●そこでお尋ねします。区立小中学校の無償化について、教育委員会は自治体の判断でできると述べました。ですから、実際に自治体の判断によって、葛飾区に続いて、北区、品川区、荒川区、中央区は区独自の学校給食費無償化を、足立区は中学生の給食費の無償、世田谷区では来年度限り給食費無償化を、台東区が物価対策で1月から3月まで全額無償化するのを先延ばしするとしました。杉並区では今後考えていくとしています。大田区が無償化に決断することを求め、区長の答弁を求めます。お答えください。

【教育総務部長】
学校給食費の経費負担については、学校給食法第11条に定められており、学校給食の実施に必要な施設や設備、運営に要する経費以外の経費は保護者の負担とすることが明記されております。これは自治体の判断により保護者負担軽減のために補助を行うことを禁止した趣旨のものではないことから、一部の自治体では、無償化を打ち出していることは承知しております。大田区は、学校給食法に明記されている経費負担に関する基本的な考え方に基づき判断し、実施しております。学校給食の無償化については、自治体ごとの財政力によってサービスの格差が生じることがないよう、必要な財源の確保と社会全体での費用負担の在り方も含め、国全体で幅広く検討すべきものと考えます。このため、給食費の無償化につきましては、現時点で実施する予定はありません。なお、生活困難と認められる世帯の給食費につきましては、就学援助事業等により、実質的な負担が生じないよう支援しており、また、物価高騰の中においても、学校給食の質を確保する目的で学校給食食材費購入に係る支援を行っており、保護者負担の軽減にもつながっているものと考えております。教育委員会としましては、引き続き学校給食の質の向上や食育のさらなる推進のため取り組んでまいります。

【すがや議員】
また、党区議団は、国が3歳児から5歳児まで保育の無償化を決定したとき、ゼロ歳児は、おむつ代やミルク代などが大きな負担になるため、無償化の対象にすべきと求めてきました。東京都がゼロ歳児から2歳児は第2子を無償化したのですから、大田区はさらに上乗せして、第1子から保育の無償化を求めます。
次に、保育政策についてです。
さて、区の保育施策は、2000年以前から、区立保育園の用務職の廃止、給食調理の民間委託を行い、さらに、2000年以降は、小泉構造改革、新自由主義政策が掲げた民営化や規制緩和で経済は成長し、サービスがよくなるという下、区立保育園の民営化を進め、最終的には、特別出張所ごとに1か所、計18か所を残すという計画を進めてきました。その当時、ゼロ歳児1人当たり53万円も費用がかかる、区の財政を圧迫する、民営化はサービスがよくなるを理由にしています。こういった考えだから、子どもを産みにくい、育てにくい社会にしたのではないでしょうか。異次元の子育て支援と言うのであれば、公的保育制度こそ拡充することです。
2010年頃から保育園に入りたくても入所できない待機児童問題が始まると、区立保育園の保育室やホール、ロッカーまで含め測り直し、子どもの定員を増やして待機児童解消の対応をしました。しかし、それでも解決できず、2016年2月15日、保育園落ちたのネットでの発言がさらに社会問題になりました。また、東京都は、待機児童解消の一環として、園庭のない保育園や間仕切りだけの保育室など、小規模保育所の規制緩和を認めたため、大田区でも園庭のない狭い保育室の認可保育所が増えてしまいました。本来であれば、保育室の面積の測り直しで子どもの詰め込みをするのでなく、区が区立保育園を含め認可保育園を増やすべきだったんです。大田区は、1987年、中央八丁目保育園以降、区立保育園を建設していません。
国の最低基準は最低のルールであり、この制度の下でも各自治体の判断でこれを上回ることができますから、区は、区立保育園を建設するとき、区職員の設計担当者と保育職員が子どもの生活と遊びの場に配慮して、保育室、園庭、プールの設置などを話合いながら、保育室も基準より余裕を持たせて設計してきたと聞いています。
●そこで質問します。保育室の面積を測り直し、詰め込んできた保育施策の検証と定員の見直し、認可保育園はつくらないとした区の考えを撤回し、認可保育園の増設を求めます。区立保育園の民間委託は見直すことを求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
これまで区は、良質な保育環境を整え、保育ニーズに的確に応えるため、認可保育所に加え、小規模保育所や認証保育所など、多様な主体と連携協働し、保育基盤の整備を進めてまいりました。その結果、2年続けて待機児童を解消することができました。また、区立保育園の民営化につきましては、これまで37施設を民営化し、民間事業者のノウハウを活用することで、多様な保育ニーズに応えてまいりました。現在、子育て世帯を取り巻く環境が変化していることなどから、令和5年度以降の民営化計画を見送っているところです。今後の保育定員や施設の整備及び運営の手法につきましては、就学前人口の変化や地域ごとの保育ニーズ等を見極めながら、適切に判断してまいります。

【すがや議員】
保育園は、遅番、早番、延長保育など、保育の長時間化で11時間保育が基本となり、乳児クラスは、保護者への連絡ノートの作成、日誌、園便りの作成、月案・週案作成、アレルギーのある子どもへの食事の安全配慮、さらに、子どものうつ伏せ寝などでの突然死を起こさないために、午睡時には5分置きに呼吸や体の向きのチェック、新型コロナ感染症拡大の中で、例えばコロナ禍前は、ホールで3歳児から5歳児が一斉に午睡ができていたのに、密をつくらないために、布団を各保育室に運んで子どもたちの午睡をするなど、保育士が増えないまま大変だったと思います。また、保育中も子どもたちに密をつくらない環境に心を砕き、子どもたちが使ったおもちゃなどの消毒をするなど、保育園の業務は増える一方です。
社会状況は大きく変化し、仕事量は増えているのに変わらないのは保育士配置基準です。日本では、児童福祉施設の最低基準が75年前の1948年につくられ、1・2歳児は子ども6人に1人の保育士の配置基準は56年前にでき、4・5歳児は子ども30人に1人の保育士配置基準は75年前のままです。また、現在、3歳児から5歳児に対する配置基準が、経済協力開発機構、OECD調査国の中で最下位です。
●そこで質問します。国は配置基準について、来年度予算に定員121人を超えた保育園を対象に、4・5歳児クラスを現行の30人から25人に改善するための予算を発表しましたが、200億円かかるのに、僅か13億円しか計上していません。大田区220認可保育園のうち、121人を超える保育園は35園しかありません。さらに、保育士の平均経験年数12年以上という厳しい要件もあり、さらに対象園が少なくなります。保育は、命、安全を守るだけでなく、一人ひとり発達段階が違う、個性ある子どもたちの乳幼児期の発達を保障する大事な仕事です。国に配置基準の見直しを求めるとともに、大田区が独自に配置基準を改善する方向で見直すことです。お答えください。

【こども家庭部長】
職員配置基準は、児童福祉法第45条により定められた児童福祉施設の設備及び運営に関する基準に規定されており、その基準に則り、保育所等における児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な生活水準の確保を図っております。私立認可保育園等については、運営費として、子ども・子育て支援法における施設型給付費が支給されておりますが、定員数などに応じて算定する基本額に加え、3歳児配置加算など、職員の配置状況に応じた各種の加算が設けられております。また、既に区は、1歳児加算など基準を上回る職員配置について、区独自の加算を法外援護費として支給し、職員体制の充実を図っております。引き続き、職員配置基準につきましては、国や東京都の動向を注視するとともに、子どもたちの安全・安心な保育環境の確保に努めてまいります。

【すがや議員】
さて、子どもの命と安全を守るためには、保育士の質の確保が必要であり、保育士が一つの園に定着し、働き続ける環境は待ったなしです。区は、待機児童解消が実現できたので、保育士応援手当を見直すとしているのは問題であり、民間給与との比較では、いまだに8万円低い賃金引上げに区が責任を持つことです。
●そこで質問します。この間、保育士の切なる要望である保育士人材確保支援事業、大田区保育士応援手当補助を今年度予算に計上したことは評価します。保育士応援手当のさらなる継続と、東京都に対して宿舎借り上げ制度の継続を求めることです。お答えください。

【こども家庭部長】
区は、区独自の保育士応援手当や保育施設職員宿舎借り上げ支援など、多様な人材確保事業を実施し、保育士等の確保定着に努めてまいりました。保育士応援手当につきましては、令和5年度予算案においては、これまでと同様の算定方法で計上しております。しかしながら、待機児童が解消した現在、認可保育所の開設に伴う保育士の大量確保の必要性が薄れたことなどから、保育士の定着を図り、運営を安定させることに重点を移した見直しを行う予定でございます。また、保育施設職員宿舎借り上げ支援事業につきましては、国、東京都は令和5年度の事業予算案を示しており、区の予算案におきましても、現在の補助割合に準じた事業費を計上しております。引き続き保育を必要とする児童、保護者がより良質な保育を受けられるよう努めてまいります。

物価高騰の中で、生活困難者に寄り添う区政について

【すがや議員】
次に、物価高騰の中で、生活困窮者に寄り添う区政について質問します。総務省が1月27日に発表した1月の東京区部の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた上昇率が前年同月比4.3%と41年8か月ぶりの伸びとなりました。東京都区部は、光熱費を含むエネルギーが26.0%以上、このうち、都市ガスの伸びは39.7%、電気代も24.6%上がりました。食料は、生鮮食品を除いた伸び率が7.4%です。物価の高騰は、区民の暮らし、営業に深刻な影響を与え、岸田政権の無為無策に、年金が上がらないのに暮らしていけない、給与が上がらない、寒いけれども暖房機をつけないようにしているなどの切実な声が上がっています。
党区議団が行った区民アンケート、あなたの暮らしはこの1年でどうなりましたかの問いに、中間のまとめでは、よくなった4.1%、悪くなった48.7%でした。その後、約半年が経過していますから、さらに悪化しているのではないでしょうか。
特に生活保護世帯や所得の低い方への物価高騰の影響は深刻です。政府は予算案で2023年度の生活保護基準について、現行で据え置くことを決めましたが、物価高騰に追いつきません。
●そこで質問します。国は以前にも物価高騰のときに生活保護基準の年度途中の引上げをしましたが、今回の物価の高騰はそれに匹敵するものです。国に対して生活保護基準の引上げを求めるとともに、区として対策を取ることです。区独自支援の冬季加算と夏季加算を求めます。また、住民税非課税世帯等に対し5万円の支給を求めます。お答えください。

【福祉支援担当部長】
生活保護の支給決定の事務は、地方自治法に規定された法定受託事務でございます。生活保護法第8条で、その基準は厚生労働大臣が定めることとされております。区は、この基準に従い、保護を実施する責務があります。こうしたことから、基準額の引上げを国に申し入れる考えはございません。区独自に保護費へ加算を行うことはできませんが、ここ数年、猛暑が続いていることから、冷房代相当として夏季加算を制度として導入するよう、区は都内他自治体と共に、東京都を通じて国に意見を上げております。また、区は、住民税非課税世帯等に対する給付金事業を数次にわたり臨時的な措置として実施してまいりました。現在、大田区社会福祉協議会が申請を受け付けてきた緊急小口資金等の特例貸付けの償還については、令和5年1月から住民税非課税世帯等の償還免除が行われるなど、関係機関で様々な支援が行われております。それらの状況を踏まえて、住民税非課税世帯等に対する区独自の給付については考えておりません。引き続き、生活保護受給世帯や生活困窮世帯に対し、区と関係機関が連携して、区民の困り事に寄り添った支援を実施してまいります。

以  上

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