第2回定例会一般質問(速報)―佐藤議員



(映像は大田区議会ホームページより:21分)

ものづくり産業・商店街の実態調査の結果を踏まえ、区内中小業者への支援策の抜本的強化について

【佐藤議員】
ものづくり産業・商店街の実態調査の結果を踏まえ、区内中小業者への支援策の抜本的強化について質問します。
大田区のホームページ「ようこそ大田区へ」の項を開くと、…大田区は「東京の縮図」ともいわれ、高度な技術力を持つ多くの企業、賑わいのある商店街、田園調布に代表される美しいまちなみや多摩川などの自然、歴史ある伝統文化、手軽に楽しめる多国籍グルメなど、首都東京の多彩な魅力があふれるまちです。…と松原区長自身が大田区の魅力として高度な技術力を持つ多くの企業と賑わいのある商店街を挙げています。
また、今年4月に策定された、「大田区企業立地促進基本計画・第二次」では大田区製造業の特徴として、「全国随一の ものづくり中小企業の集積であり、この集積は、高度なものづくり基盤技術を有する企業中心に形成されている。これらのもづくり中小企業が、我が国の製造業の基盤を支えている。…と、大田区のものづくり技術の集積が日本の製造業の基盤・屋台骨を支えていることを認めています。また、2010年3月の予算特別委員会において党区議団の質問に松原区長が答え、「私は、当然、中小企業というのは日本の宝であるとともに、日本経済の生命線と考えております。」との認識を示され、更に「本当に国内の中小企業をどう守るかということが非常に大事なことだと思いますし、私自身、大田区というのは、日本で有数の屈指のものづくり工場地帯ですから、これは何としても守っていきたいと、そういう気持ちがあります。」と述べられています。
●松原区長にお聞きします。その気持ち、認識は今も変わっていないでしょうか。お答えください。

【産業経済部長】
私からは産業施策についてのご質問に関してお答えいたします。まず区内中小企業を守っていくという姿勢についてのご質問でございますが、区の姿勢はいささかも変わっておりません。日本は人口減少と共に少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少へと向かっております。社会経済状況の変化に対応し、医療・福祉、環境・エネルギー、航空宇宙など成長分野への進出や多品種少量生産の高付加価値型の製品づくりを行っていくことが必要です。こうした考えから、今年度の予算では、成長産業認証等取得補助やファブレス企業等の立地助成を創設いたしました。また、東京都と共同で策定しました第二次企業立地促進基本計画では、第一次の計画に引き続き、産業集積の維持・拡充に努めることを謳っております。区はこれまで、工場の立地支援や新製品・新技術開発支援など、様々な事業を通じまして工場の新規立地や新分野進出などを推進し、区内ものづくり企業の集積、発展に取り組んでまいりました。そうした効果もあり、リーマンショックや東日本大震災などによります厳しい経済状況の中にあっても区内ものづくり中小企業は、大変な努力もありまして、事業を継続され集積が守られております。思いやプランを形にするのがものづくりでございます。様々な注文にも応じることができる確かな技術が、大田区の中小企業にはあると考えております。今後も、大田区の中小企業の発展のために努めてまいります。

【佐藤議員】
日本共産党は、中小企業は日本経済の根幹であり、「社会の主役として地域社会と住民生活に貢献」する存在だと考えています。中小企業は企業全体の99.7%を占め、働く人の3人に2人が働いている雇用の担い手でもあり、多国籍化した大企業が国内で大規模な首切りや生産拠点の閉鎖をすすめ、日本経済や国民生活への社会的責任を放棄しているとき、地域に根をおろし、モノづくりやサービスでの需要にこたえ雇用を生み出している中小企業の役割はますます大きくなっています。中小企業が元気になってこそ、日本経済再生の道がひらかれるのではないでしょうか。“大企業がよくなれば中小企業もよくなる”という、大企業中心の経済政策を根本的にあらため、中小企業を根幹とした日本経済の再生を目指すべきです。
しかし、自民・公明党による安倍政権がすすめる経済政策―アベノミクスは、更なる消費税の大増税、社会保障の改悪で、中小企業にあらたな困難を押し付けようとしています。消費税増税による物価高にくわえて、金融緩和政策によってつくりだされた円安は、原材料費や燃料費の値上げで中小企業の経営を圧迫しています。
大企業は、景気が悪いときにも労働者の賃金や下請け単価を抑えてもうけを確保し、さらに増やしてきました。若干の賃上げに踏み出したとはいっても、賃上げ率は消費税増税分にも及びません。その結果、賃上げから増税や消費者物価上昇分を差し引いた労働者の実質賃金は昨年度まで4年連続マイナスなるなど落ち込んだままです。さらに、消費税の税率が引き上げられた昨年4月以来1年間の国内総生産(GDP)が、実質で0.9%のマイナスとなり、2008年、2009年の「リーマン・ショック」以来のマイナス成長で、消費税の増税が国民の暮らしと経済に破たんをもたらしているのは明らかです。安倍政権は経済が持ち直してきているようにいいますが、数字はごまかせません。区内の製造業も厳しい状況で、「大田区の景況」では昨年は7段階指標のうち最悪のGランクからFランクに低迷しています。コメント欄には「アベノミクスが中小の企業に全くと言ってよいくらい浸透しておりません。何とか打開して頂かないと日本の中小企業は馬鹿らしくて経営を投げ出してしまうのではないでしょうか」<輸送用機械器具>、「円安による輸入品の高騰。材料の高騰。アベノミクスにやられました」<金属製品、建設用金属、金属プレス>、「あの人が廃業!という驚き!腕のある町工場が消えてゆく。安倍首相はアベノミクスで倒産は減ったというが、現実は倒産(債務超過)の前に廃業の道を選んでいる残念な状況」<精密機械器具>など抜き差しならない深刻な状況が続いています。
大田区は昨年度、区内の製造業と商店街の本格的な実態調査を行いました。製造業については、区内ものづくり企業の集積維持、発展を図る有効な施策を立案するとして、基盤技術集積の受発注構造の変化の把握、事業の継続、事業継承の実態と見通しの把握等の調査。商店街については、商店街や商店、個店、区内消費者の実態について調査し、後継者や空き店舗の状況など商店街の実態の把握と、商店街や個店経営者と区内消費者の実態について調査分析し、今後の経営方針を提示するとしています。
製造業では20年以上行われていなかった本格的な全数調査に踏み出すなど、区内製造業と商店街の実態、現状把握の調査で、現在の区内製造業と商店街の実態と課題が鮮明になったのではないでしょうか。
まず、「ものづくり産業等実態調査」についてです。区内の工場数は1983年の9177事業所をピークに減少し続け、現在・2014年では3481事業所まで落ち込んでいることが明らかになりました。業種では、「一般機械」と「金属製品」などを中心に機械・金属加工系の事業所が80%以上を占めています。事業所規模では個人経営18.2%、資本金500万円以下が33.1%、500~1000万円以下が24.2%と個人経営を含む資本金で1000万円以下の規模の事業所が全体の75.5%、従業者規模では、「3人以下」が51.1%、「4~9人」が27.8%で「9人以下」の事業所が全体の約80%を占め、まさに小規模な町工場が大田区の工業の主力となっていることが改めて浮き彫りになりました。
●大田区では1993年に大田区産業ビジョン委員会を設置し1995年に「大田区産業ビジョン」を策定しました。さらに、2007年度に行った「大田区の産業に関する実態調査」に基づく「大田区産業基本戦略」を学識経験者や区内産業関係者などで構成される検討委員会を設置して策定してきました。今回の実態調査で明らかになった課題、特に小規模事業所・町工場の存続・事業承継の課題への対応を図るために、これまでも行ってきたような検討委員会を当事者でもある小規模事業者・町工場の代表も入れて設置し、有効策・打開策を検討するよう求めます。お答えください。

【産業経済部長】
次に小規模事業所・町工場の存続・事業承継等の課題に関するご質問でございます。小規模事業所における事業所の存続、事業承継は、今回の調査結果で重要な課題として把握をしているところでございます。こうした課題に対しまして、調査結果の中で、例えば、従業者の高齢化に備えました技能継承や若手人材確保の取り組みで成果を上げている事例の収集と区内企業へのフィードバック、取引関係にある企業間での事業承継支援など、今後の政策の方向性を打ち出しているところです。また、大田区産業振興協会の受発注相談員が情報収集の一環で、3年間で約2000社への企業訪問、ヒアリングを行っております。その際には、当該の中小企業の皆様から、事業存続、承継等についてのお話も伺っているところでございます。さらに、区及び産業振興協会の職員が、各種工業団体や東京商工会議所大田支部と日常的に情報交換をしたり、実際に工場を訪問をするなど、様々な機会を通じまして、中小企業の皆様から直接お話を伺い、直面する課題の把握に努めております。今後も、あらゆる機会を捉えまして、情報収集、情報交換を行い、有効な施策に結び付けてまいります。現時点では、委員ご提案の検討委員会の設置は考えてございません。

【佐藤議員】
●ものづくり産業等実態調査≪調査結果の概要≫には、調査結果の報告と同時に今後の施策の方向性と「大田区企業立地促進基本計画(第二次)の概要」が掲載されています。2010年度から14年度の5年間に取り組まれた企業立地促進基本計画(第一次)では、企業立地件数は目標50件を超える124件となりましたが、区内製造業付加価値額増加額は174億円を目標にしましたが結果はマイナス1612億円と大きく落ち込むなど、区内産業の集積を守るには不十分と言わざるを得ません。大田区ものづくり基盤の主力・小規模な町工場を守り発展させる施策の拡充が求められます。特に、今がんばって営業を続けている事業所が先の展望が持てる施策が必要です。
「大田区は2011年度から、ものづくり企業の新製品・新技術開発の支援に視点を置いた事業を展開し、企業の製品開発力の強化、技術力の向上、さらには新分野進出、販路開拓等の面から経営改善を促す」とし、「大田区工業の集積維持・発展に取り組んでいる」と、今年の予算特別委員会で産業経済部長が答えられています。今ある集積維持・発展のための施策に、この新製品・新技術開発支援を据えるならば、現在の年間20社程度しか支援を受けられない制度を改善し、制度の抜本的な拡充が求められます。お答えください。

【産業経済部長】
新製品・新技術開発支援制度に関するご質問でございます。申請案件の採択に当っては、事業目的を達成するに相応しいかどうかを、専門家の意見、判断を参考にしながら、新規性、優位性、市場性、開発体制、開発スケジュール、資金計画などの観点から審査を行い、できるだけ多くの企業に助成金を有効に活用していただけるよう取り組んでおります。残念ながら不採択となった企業には、その理由を書面にして通知をしており、その内容を参考に、不採択となった開発案件の再構築に役立てたり、次回のチャレンジに活かしていただくことを、期待をしております。また、採択案件につきましては、開発後の取り組みも重要であると考えております。区は、専門家によるフォローアップの機会を設け、市場投入等に向けた支援にも注力しているところでございます。このように、新製品・新技術開発に取り組もうとする意欲的な企業を継続的に支援し、事業効果の向上に努めております。

【佐藤議員】
●次に技術・技能の継承、後継者問題です。現在の事業所を「現状のまま継続」したい事業所が8割を超えている一方、区内の製造業事業者の6割強が事業の継承者を「決めていない」としています。特に、従業者規模が小さいほど、事業の継承者を決めていない事業者の割合が高く、従業者数3人以下では78.9%・約8割が事業継承者が決まっていません。高い技術を持った熟練の職人が高齢化のため退職したり、事業所が廃業する中で急速に技術の集積が衰退する危険にさらされています。向こう数年間の思い切った後継者育成対策や技術・技能の継承対策の強化を求めます。その際、大胆な施策の展開を進めるためにも大幅な予算額の増額を求めます。お答えください。

【産業経済部長】
次に後継者育成対策や技術・技能の継承対策など大幅な予算の増額というご指摘でございます。区は後継者育成対策として、「次世代ものづくり人材育成事業」の中で、技術や経営に関する講習会等を実施し、後継者等の育成を支援しております。特に、「次世代経営者セミナー」については、毎年見直しを行い、社会経済状況の変化に即したテーマを設定しております。事業の継承につきましては、専門家による事業承継セミナーのほか、本年2月に「後継者育成で、製造業の明日を作ろう!」をテーマに実施をいたしました。さらに、「ビジネスサポート事業」では、事業承継に関する個別具体的な案件に対し、課題に即した専門家を企業へ派遣し、法律面から実務面まで、総合的なサポートを行っております。技術・技能の継承対策としては、技術指導講習会を実施し、それに対しまして、工業団体が行う場合には、講習経費の一部を、区が負担をしております。大田区ものづくり等実態調査の結果を分析し、今後もニーズに即した後継者育成と技術・技能継承施策の構築を行ってまいります。

【佐藤議員】
次に大田区商店街調査についてです。報告書では「大田区の商店街では店主の高齢化や後継者不足、売上や集客力の低下など、基盤を揺るがす問題に直面しており、急激に進む少子高齢化や、インターネット販売などの購買環境の変化に合わせて、商店街自らの変化が求められている」とし、「商店街は~地域住民、企業、学校などと価値観を共有し、変化する地域社会に応じて事業を創造する店舗が集積し、にぎわいを生み出す商店街への変化が必要である。」と結論付けています。
この変化する地域社会に応じた事業を創造する店舗が集積する商店街をつくるためにも、これまで遅れていた個店への直接支援の強化が求められます。
群馬県高崎市で行われ、全国の自治体に広がっている(まちなか)商店リニューアル助成事業があります。高崎市では店の改装や備品購入費用の50%・最大100万円助成する制度で、一昨年に創設され、昨年度は1年間で申請件数494件、助成額は3億4902万円で、総工事費は8億4870万円余で、直接の経済波及効果だけでも2.4倍にもなります。助成事業の活用主体は小売、飲食業などの商店ですが、仕事を請け負うのは建設や空調、給排水など地元業者です。制度を活用する商店だけでなく、工事の請負業者の両方が元気になる制度で、商業の活性化と建設業者の仕事起こしの一石二鳥になると注目を集めています。
大田区では、区内の小売業、飲食業、サービス業を営む事業者に繁盛店創出事業を実施しています。専門家が店舗、事業所などの改修の無料診断を行い、診断結果に基づいて改修を行う場合に、その改修費用が40万以内の場合は、その費用の3分の2を上限として上限20万円まで、また改修費用が40万円を超える場合はその費用の2分の1、上限50万円を助成する制度です。昨年度の実績は、無料診断、店舗改善費用助成ともに11店舗でしたが、今年度は予算額で昨年度の555万2千円から1058万円9千円に増額するなど拡充が図られました。繁盛店創出事業は、複数の繁盛店を生み出すことで、商店街全体の売り上げ増と集客増をねらった施策ですが規模も対象も小さすぎるのではないでしょうか。
●私は、せっかく税金を使って行う事業ですから、大きな経済的効果と利用された事業者や区民にしっかりその施策が還元される事業にすることが肝要だと考えます。そのために、抜本的な予算規模の増額と内容の拡充を求めます。例えば、高崎市のように補助金の対象に備品購入などを加え、更に物品購入も改修工事も区内業者を活用した時にのみ補助金交付の対象にするなど、区内でのお金が回る仕組みをつくるよう提案します。お答えください。

【産業経済部長】
最後に、繁盛店創出事業に関して予算規模の増額に関するご質問でございます。区は、平成27年度当初予算で、繁盛店創出事業予算を大幅に拡充いたしました。今後も、「建築工事あっせん事業」の紹介も含め、区内事業者によります対応を案内するとともに、今年度の事業効果をしっかりと検証しまして、次年以降の事業計画を立案してまいる考えでございます。なお、現時点では、各店舗に資産として残る備品購入などを補助対象の経費にすることについては、考えておりません。繁盛店創出事業は、個店の支援ではございますが、一つの商店街に複数の繁盛店を生み出すことで、商店街全体の売上増と集客増を図ることで、商店街と地域の活性化、にぎわいの創出につなげていきたいと考えております。

以  上

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