第4回定例会代表質問(速報)―福井議員



(映像は大田区議会ホームページより:62分)

【福井議員】
日本共産党を代表いたしまして代表質問を行います。日本共産党の福井亮二です。

失敗したアベノミクスから区民のくらしと営業を守る対策について・越年対策について

【福井議員】
まず初めに、失敗したアベノミクス、消費税増税不況から区民の暮らしと営業を守る対策について伺います。
安倍首相は消費税増税を1年半延期して、アベノミクスの信任を得るとして衆議院を解散し、総選挙になりました。アベノミクスは成長戦略と言いながら、生んだのは格差拡大と景気悪化だけでした。大企業がもうかれば国民の側に回ってくると構造改革、規制緩和をやり、格差を拡大させました。その結果、株価上昇で資産が100億円以上増えた株主が100人以上となり、トヨタも円安効果で2兆3000億円と史上最高益を上げる一方、庶民は円安による物価上昇で生活苦が襲いかかっています。26日付けの東京新聞で大田工業連合会会長が、「結論から言うと、アベノミクスの恩恵はなかった。政府は経団連の大企業と仲よくしても、わしらの声には耳を貸さなかったですから」と述べています。
安倍首相は、雇用が増え、賃金も上がっているから、アベノミクスは成果を上げていると言いますが、増えたのは派遣やパートなど2年間で非正規の労働者が123万人、逆に正規雇用の労働者は22万人も減っています。有効求人倍率1.09倍と22年ぶりの高水準と言いますが、正社員は0.67倍で、前月よりも下回りました。首相が2%も上がったという賃金も、連合調査によるものですが、全体の労働者のわずか4.8%に過ぎません。実質賃金は前年度比2.9%減で、15か月連続で減少。安倍政権発足前の2012年11月と比べ約8万9000円も減っています。
アベノミクスが進めるのは法人税減税や公的年金資金の株式市場への投入などの株価対策であり、国民の暮らしを支援する実体経済の対策はありません。さらに企業減税を進め、不足分は赤字の会社からも負担を求める外形標準課税を検討しています。この点については、政府税制調査会特別委員であり、商工会議所大田支部元会長でもある田中常雅氏が中小法人課税に関する意見メモを税制調査会会長に提出していますが、その中で、「法人事業税の外形標準課税の適用拡大には断固反対。中小企業は赤字法人であっても雇用を通じて国民生活や国の財源調達に大きく貢献し、日本経済の中でも重要な役割を果たしている」と述べています。
しかし、副区長名で出されました来年度予算編成の基本方針についての中に、「経済の現状と見通し」の項目で、3本の矢の効果もあり、長期停滞やデフレで失われた自信をようやく取り戻しつつある。景気の先行きについては、緩やかに回復していくことが期待されていると述べ、区内状況とは異なる認識です。区民の深刻な実態をしっかりと認識するべきです。
●GDPの速報値は2期連続マイナスであり、アベノミクス、そして4月からの消費税増税が区内景気、区内中小零細業者に深刻なダメージを与えていることを認識しているのでしょうか。そして、この予算編成の基本方針の認識のままなのか伺います。

【松原区長】
福井議員の代表質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。
アベノミクス及び今年4月の消費税率引き上げが区内の景気や中小企業者にダメージを与えていることを認識しているかとのご質問でございますが、大田区では、区内中小企業のうち、製造業、小売業、建設業、運輸業の四つの業種についての景況を四半期ごとに調査しております。消費税率引き上げ直後の4月から6月までについては、前期である1月から3月までと比べ、いずれの業種も悪化傾向を強めています。消費税については、アンケートでも引き上げ分の販売価格への転嫁はできているとの回答が多く、個別コメントでも差別化商品の開発などで乗り切りたいとの意見が一部に見られるものの、引き上げ前の駆け込み需要の反動が厳しい、税の支払い自体が困難との声が数多く寄せられています。7月から9月については、今月17日に発表されたGDP(国内総生産)の速報値でも、前の3か月に比べマイナス成長が明らかになったところでございます。大田区の景況調査でも、建設業が今期並みとされるのみで、他の3業種については悪化傾向を強めるとの予測が出されております。景気の変動は中期的な視点で分析していく必要もあり、通知でお示しした景気の先行きは注視していく必要があるという姿勢で予算編成を進めております。区では今後も、区内産業関係団体や事業者の直接のご意見なども踏まえて景況感を注視するとともに、国や都の経済指標を把握して、区内産業の活性化につながる支援策を、時期を逸することなく平成27年度以降も確実に実施をしてまいりたいと思っております。

【福井議員】
今定例会に補正予算が提出をされていますが、その中身を見ますと、ほとんどが給与改定に伴う増額であり、区内経済対策、中小企業対策はありませんでした。アベノミクスや増税不況から区内経済を守るのが区長の仕事です。区内業者団体が行った調査によれば、増税によって「売り上げが増えている」はわずか1.5%、「変わらない」が33%、そして「売り上げが落ち込んだ」は6割にも上ります。区内の業者の声も多く寄せられています。「切り詰めるところまで切り詰めている。10%になったらもうやめるしかない」、「税金のために汗水流して働いて働いて泣きたいくらい厳しいです。国保料も高いし、延滞の催促は次から次に来る。それでも生きるために頑張っている。もう限界」、このような声が上がっています。
●多くの業者はこのような中で必死に頑張っています。本当に深刻な状況のあらわれではないでしょうか。このような声に応えるため、党区議団は今月18日に松原区長に円安と増税から区民の暮らし、営業を守る越年対策に関する緊急要望を行いました。生活保護世帯へ円安による物価値上げ分相当の特別手当を支給すること。公共施設の改修・修繕工事の前倒し発注を行い、区内建設業者の仕事起こしを行うこと。住宅リフォーム助成の対象に省エネにつながる遮熱塗装等を加え、助成率を引き上げて年末の仕事起こしにつなげること。区内運送業者をはじめ、円安により大きな打撃を受けている区内中小零細業者のため年末特別融資を創設し、年末融資の特別体制をとること。今年は年末年始の区役所閉庁が9日間の長期となるため、閉庁時の緊急相談窓口を開設すること。生活資金の貸し付け、失業などによる住宅喪失者の緊急避難の住宅を確保すること。認可保育園4月入園申し込みの締め切り日を1月15日まで延長すること。これらを含む緊急・越年対策を補正予算を組んで取り組むことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、公共施設の改修・修繕工事の前倒し発注に関するご要望でございますが、工事の設計期間の確保と建設業法で定められた契約上必要な見積もり積算期間を考慮しますと、これから年内工事発注を追加するのは難しい状況でございます。今後も、円滑な工事の発注と施工管理を行うために、業界団体からの要望も踏まえまして、年間を通じて区内業者の業務量の平準化に配慮した計画的な工事発注に努めてまいりたいと思います。
次に、年末年始の緊急相談窓口等に関するお尋ねでございますが、年末年始期間における住宅喪失者に対する緊急的な宿泊場所の確保等の支援策につきましては、今年度も都区共同での緊急一時保護事業による宿泊場所の確保を予定しているところでございます。また、年末年始期間中の路上生活者の方々などに対しましては、例年どおり通常の夜間窓口と同様に非常食などの給付を行うとともに、緊急時の連絡体制もとることとしております。今後とも、生活や住宅にお困りの方などに対しまして適切な支援を実施してまいります。
次に、緊急・越年対策を補正予算を組んで取り組むべきとのご意見でございますが、年末年始における区民の安全・安心を支えるための様々な支援、相談等は、既に計画している事業の中で提供する体制を整えております。そのため、議員ご提案の追加で緊急・越年対策を補正予算を組んで取り組むことは考えておりません。

【福井議員】
日本経済は物価だけが上がって国民の実質所得が落ち込み、4月からの消費税増税が加わって消費が低迷する深刻な増税不況に落ち込んでいます。国内総生産(GDP)が4月から6月期に続き7月から9月期も2期連続のマイナス成長になりました。大体、安倍首相が言うようにアベノミクスがうまくいっているのなら、消費税再増税の延期など持ち出す必要がないではありませんか。
テレビ朝日の今月22・23日に行われた世論調査では、景気回復を実感しているかの質問に対し、「景気回復を実感している」と答えたのが12%、「景気回復を実感していない」は何と79%に上り、庶民にはほとんど景気回復を実感していないことがわかります。安倍首相は18日の経済財政諮問会議で、個人消費を刺激する施策の目玉として、地方自治体が配る地域商品券の財源手当てを検討との記事が時事通信に掲載されました。自分の失政をこのようなばらまきでごまかす。そしてツケは地方自治体に押しつける。臨時福祉給付金も地方自治体に膨大な仕事量を押しつけ、ほとんど効果がありませんでした。また同じ轍を踏むのでしょうか。
個人消費を刺激する施策で必要なのは国民の所得を増やし、家計を温め、大企業の内部留保を活用した賃上げ、中小企業支援と一体となった最低賃金の引き上げ、社会保障の充実など経済政策の転換です。消費税増税は暮らしが悪化し、景気が落ち込む悪循環になることは、GDPの速報値を見れば明らかです。増税不況で暮らしが大変にもかかわらず、安倍首相は1年半後には景気がどうあろうと10%に引き上げることを明言しています。これはまさに暮らし、経済を破壊する道です。
●区民の暮らし、そして中小企業の営業を守るために、首長として消費税10%は先送りではなく、きっぱりと中止を国に求めるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、消費税の再増税に関する質問でございますが、今後、少子高齢化の進展に伴いまして、社会保障制度の安定財源確保は重要な課題であります。消費税の再増税に当たっては、軽減税率についての議論も行われておりまして、そうした動向を含め、見守る必要があるものと考えております。

【福井議員】
安倍自公政権は、消費税増税、秘密保護法、集団的自衛権行使容認の閣議決定など、あらゆる分野で国民の民意に背く暴走をしてきた。この安倍政権が、国民の世論と運動に追い込まれ、2年以上の任期を残して解散せざるを得ませんでした。今月16日に投開票された沖縄県知事選挙は、新基地はつくらないことを第一の公約に掲げた、日本共産党が支援をした翁長氏が、保守・革新の壁を超えて当選されました。この結果は、県民の意思を踏みつけにして強権をもって新基地建設を強行しようとしている安倍政権への痛烈な審判です。
政治の流れが変わりつつあります。この流れを大きくして、安倍政権の暴走にストップの審判を下し、日本共産党は、消費税増税中止、アベノミクスをストップさせ経済を立て直す、海外で戦争する国づくりを許さず憲法9条の精神での平和の構築、原発再稼働ストップ、沖縄の新基地建設を許さない、基地のない平和な沖縄への転換の5点を掲げて、政治を転換するために全力を尽くします。

大型開発中止で区政の抜本的転換の新年度予算について

【福井議員】
新年度予算についてお伺いします。
日本共産党大田区議団は10月31日に区長宛てに、防災対策、子育て支援、高齢者・障がい者福祉、区内中小業者支援など245項目にわたる2015年度の予算編成に関する要望書を提出しました。党区議団が行った区民アンケートには3800通を超え、区内団体との懇談、実態調査で寄せられた多くの声を踏まえて要望を行いました。区内の実態は、倒産・廃業が後を絶たず、今年1月から9月までの数字でも59件212人、負債額は75億7500万円。生活保護受給者が1万3379世帯1万6731人となり増えています。特養ホームの待機者は1500人を超え、認可保育園に申し込んでも入れなかった待機児は1326人に上ります。給与所得は増えず、国保料、税金は上がる。これでは生活はよくなりません。新年度予算は、このような区民の実態を鑑みて、暮らし、営業を支えるものでなければなりません。
大田区の予算編成の柱はおおた未来プラン後期の着実な実行であり、その中身は、羽田空港の再国際化や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定を理由に国際都市おおたを目指すとして、JR蒲田・大森駅周辺再開発、京急蒲田駅、糀谷、雑色など駅前再開発と羽田空港跡地の大型施設の建設、新空港線蒲蒲線などのために区税投入と基金積み立てを進め、行ってきました。さらに大規模開発推進に拍車をかけていることです。
この問題を指摘した今年第1回定例会の我が党の質問に対し、区長は、「国際都市おおたの実現に向け、未来を見据えた歩みを着実に進めるための重要な事業であると考えております」との答弁でした。しかし、実際に行われている京急蒲田・糀谷駅前再開発では、賃貸借人のほとんどが、土地所有者も含めて全体の4割の住民が住み慣れた土地、まちから出なければならない状況になっています。
京急蒲田の再開発は、保留床部分は完売したと区は説明していますが、中身をよく見てみますと、大企業が一括で買い上げたためでした。そして、この大企業が個別に販売をして利益を上げようとしています。つまり、税金で建設したものを大企業が買い取り、転売して利益を出す。さらに、当初の計画にはなく、突然区立自転車駐輪場として開発ビルの一部分を購入しました。利益だけはゼネコンに行き、売れ残ったツケは大田区がかぶる。このような開発が区民の暮らしをよくするわけがありません。区民を追い出し、大手ゼネコンだけがもうける仕組みの大型開発中止で、区民の営業と暮らしを応援する区政の転換が必要です。さらに、特区の活用も区長が述べていますが、国家戦略特区は大企業の大もうけに邪魔な仕組みを岩盤規制と決めつけ、撤廃することが最大の狙いです。
●このような区民のためにならない大型開発を見直し、営業と暮らしを応援する区政の転換を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、まちづくり事業等の見直しに関するご質問にお答えをさせていただきたいと思います。
ご指摘のありました京急蒲田・糀谷駅前再開発事業は、まちの不燃化や耐震化を進め、安全で安心なまちの形成と交通結節点としての機能強化を図る事業でございます。また、土地の所有者及び借地人など土地の権利をお持ちの方は権利を継続できる仕組みとなっております。京急蒲田駅周辺では自転車駐車場が不足しており、放置自転車対策として再開発ビルの一部を購入したものでございます。これらの取り組みによりまして地域の課題を解決し、区民にとって暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。
また、区は、まちづくりの推進、区内産業と観光の振興、国際都市おおたを実現していくために、国家戦略特区の仕組みが有効な手段であると考えております。東京圏の区域計画素案に記載がありますとおり、大田区のプロジェクトは区が事業主体として計画の推進を指導しております。今後も、必要なプロジェクトを積極的に推進し、区民の皆様とともに、よりよい大田区のまちづくりを推進してまいりたいと思います。

【福井議員】
特に、JR蒲田と京急蒲田を直接つなげてほしいとの区民の願いとはかけ離れた新空港線整備について、区長は、「オリンピック・パラリンピックを契機に東京に来訪されるお客様の利便向上のためにも、早急な事業採択と整備が望まれるところです」と発言されています。しかし、10月2日の日本経済新聞によれば、東京五輪間に合わずとあり、国土交通省は新空港線の2020年までの開業を断念する方針だとの記事が掲載されました。新空港線の早期整備の理由は薄れました。1987年度から整備調査が始まり、既に調査費だけでも1億4000万円を超える税金がつぎ込まれました。この金額は認可保育所4か所分の建設費に相当します。
●新空港線は運輸政策審議会答申第18号で2015年までに整備着手することが望ましいとされていましたが、関係者の勉強会や協議会を続けているにもかかわらず、いまだに合意ができていません。2015年度整備着手は不可能です。新空港線整備は白紙撤回し、新空港線の積立基金を廃止すべきです。基金15億円余は認可保育所、特養ホーム増設、中小企業支援などに回すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、新空港線に関する質問でございますが、この整備によりまして区内の移動が便利になるほか、まちづくりへの寄与、災害時の迂回ルートの確保など、区民の暮らしや区内の地域経済活性化及び安心・安全に大きな効果が期待されるとともに、羽田空港へのアクセス強化など、東京圏全体の交通ネットワークの向上にも大きく貢献するものと考えております。運輸政策審議会第18号答申でもこの有益性が認められたと認識をしております。国の交通政策審議会鉄道部会では関係者のヒアリングを実施しておりまして、区も6月30日にヒアリングを受け、区の提案を説明してきたところでございます。
今後は、東京圏における今後の都市鉄道のあり方を論点として、平成26年度中に必要に応じて中間取りまとめを行い、運輸政策審議会第18号答申に続く次期答申について、平成27年度中に取りまとめると聞いております。この間、区では、整備に向けた確固たる意思表示と工事着手の準備資金として、平成24年度から新空港線整備資金積立基金を積み立ててきたところでございます。新空港線整備につきましては、現在、関係者間で合意形成に向けて協議中でありますが、今後とも、こうした備えを粛々と進めるとともに、次期答申を見据えながら早期実現に向けて取り組んでまいります。

【福井議員】
安心して子どもを産み育てやすい環境の整備が少子化対策には必要です。昨年1年間で区内では5168人の子どもが誕生していますが、区内分娩数は2771人であり、約半分しか区内でお産ができていない状況です。ある区内の病院では、分娩予約は月2回しかなく、平日の10時に予約申し込みを行いますが、わずか30分で予約がいっぱいになってしまいました。里帰り出産で大田区で出産したい方のためにも、やはり区内出生数を上げるために大田区が努力するべきです。
●大田区で現在、周産期医療緊急対策事業補助金があり、分娩機能の拡充への支援を行ってきました。しかし、この補助金は要綱で交付対象期間があり、5年間となっています。そして、このままですと来年の3月に終了となります。今の区内の実態を見れば、周産期医療体制の支援を引き続き行うべきだと思います。大田区周産期医療緊急対策事業補助金は今年度終了ではなく、引き続き行うことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、大田区周産期医療緊急対策事業の継続に関するご質問でございますが、この事業は、区民が区内で分娩できる環境を整えるため、医療機関が分娩施設を整備する際に必要な機器やベッドの整備に対し区が補助をするもので、平成22年から実施されているところでございます。現在までに本事業によって区内二つの医療機関に対して合計21床分の分娩ベッドや医療機器の整備補助を行いました。区内分娩率が上昇傾向にあるのは、本事業による効果もあったと考えております。本事業の継続については、平成26年第3回定例会で保健所長がお答えしたとおりでございます。

【福井議員】
次に、待機児解消についてお伺いします。
今年4月に区発表の待機児は613名でした。松原区長はスピード感を持って取り組むと我が党の質問に答えました。第3回定例会の挨拶の中で保育定員1000名増の発言を行い、7か所の認可保育園を増やすことは評価できることです。新制度になり、保育の必要性の認定が行われるようになりました。また、保育施設は認可保育所、認証保育所、小規模保育所、保育ママ、定期利用保育事業と多岐に分かれています。党区議団は国の最低基準をクリアした認可保育所の増設を繰り返し求めてきました。そして、これからも保護者の一番多いニーズである認可保育所の増設を求めていきます。
●大田区の子どもが、どの保育所に預けても安心・安全の保育ができる環境にすることが必要です。認可保育所では保育士全員が有資格者であり、認証保育所、小規模保育所などは全ての保育士に保育資格を義務づけていません。預ける保育所によって保育の質が変わることは望ましくありません。どの保育所に預けてもしっかり子どもの保育を保障する上で、認証保育所、小規模保育所の保育士は全員有資格者にすることを求めます。それに伴い必要な経費は大田区が助成することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、認証保育所等の保育職員を全て保育士有資格者にすべきとのご質問でございますが、保育サービスの提供に当たりましては、保育の質の確保は重要な課題であると認識をしております。認証保育所及び小規模保育所では保育士有資格者の配置を6割以上としておりますが、保育の質の確保に向け、巡回指導や保育施設の職員を対象とした研修の充実にも取り組んでいるところでございます。また、区立直営園18園を地域の拠点園と位置づけ、各保育施設のニーズを踏まえたきめ細かな支援に努めており、これらの取り組みを通して質の確保された保育サービスの提供は十分可能であると考えているところです。今後も、子どもの健やかな成長のために適切な環境が等しく確保されるよう努めてまいりたいと思います。

【福井議員】
保育の質を上げるためにも、保育士の職場環境の改善が求められます。今年3月に東京都が発表した東京都保育士実態調査によれば、退職理由の1番は給料が安い、次に仕事量が多い、労働時間が長いとなります。この間、大田区は保育園の民間委託を進め、保育士を正規職員としての雇用ではなく、非常勤保育士として採用しています。2015年度非常勤保育士を有資格者で募集していますが、7時間45分勤務、月17日で21万1200円です。ここから年金、社会保険など引かれますので、手取りでは17万円から18万円、1年契約でボーナスなし、年間収入は253万円となります。2013年度の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は34.7歳で310万円ほどとなっています。大田区みずからが官製ワーキングプアを生み出していることが明らかになっています。先ほどの都の報告書によれば、「保育は人である。保育士一人ひとりの力が十分に発揮できなければ、保育の質は向上せず、保育サービスの低下を招くことに繋がる。将来にわたって働き続けることができてこそ、心身ともに健やかな子供の成長・発達が可能となり、質の高い保育に繋がるのである」と展望を結んでいます。
●本来、保育士は非常勤ではなく、正規で雇用を行うべきです。保育士の正規雇用を求めます。お答えください。
現在の非常勤保育士の保育の質を上げるために報酬を引き上げ、単年度契約ではなく複数年度契約として採用することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、保育士は非常勤ではなく正規で雇用を行うべきとのご質問でございますが、現在、区立直営保育園においては多様な任用形態を活用しており、中でも非常勤保育士は貴重な戦力となっております。一方、保育ニーズが急増する中で、多様な保育ニーズに応えていくためには、多様な運営主体との連携・協働による保育サービス基盤の拡充が不可欠と考え、区立保育園の民営化計画を推進しているところでございます。区立保育園につきましては、18園を地域の保育水準の向上のための取り組みを行う拠点園と位置づけ、他の保育園については順次民営化してまいります。このような状況も踏まえながら、保育士の正規職員採用につきましては慎重に判断してまいりたいと思います。
次に、非常勤保育士の質を上げるために報酬を引き上げ、複数年度で採用すべきであるとのご質問でございますが、保育園運営において質の向上は重要な課題と認識をしているところでございます。このため、保育を担う保育園職員の育成については、大田区保育園人材育成指針に基づき、職員の計画的育成に向けて研修体制の充実強化を図っているところでございます。お話の非常勤保育士の報酬については、他の自治体の動向や経済状況等を踏まえ、適切に対応しております。なお、非常勤職員の任用期間は原則として1年以内としていますが、能力の実証を経て再度の任用も行っていることから、複数年度にわたる任用は考えてございません。

【福井議員】
保育料の保護者負担が重くのしかかり、経済的な負担となっています。特に認証保育所は0歳児で1か月約7万円前後の保育料となり、高額です。認可保育所の保育料は、0歳児の場合、最高のD21で6万3500円となります。所得税90万円以上で、収入はおおよそ1300万円以上が対象となります。つまり、認証保育所に預ける保護者の負担は、どんなに経済状況が大変でも収入1300万円以上の世帯と同じぐらいの負担をしなければなりません。例えば、30代女性の平均年収はおおよそ300万円です。月収に直すと20万円、手取りにすると17万円から18万円です。収入の多くが保育料に消えてしまいます。高額な認証保育所の保育料が生活を圧迫しています。認証保育所児童保護者負担軽減補助金制度はありますが、1人1万円、2人目は2万円では低過ぎます。
●認証保育所に子どもを預ける保護者の多くが認可保育園に入れないために、また認可保育園に入るため、選考基準ポイントを上げるために預けています。保護者負担を軽減して、子育て支援、少子化対策に取り組むべきです。補助金の助成金額を引き上げるよう求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、認証保育所保護者負担軽減補助制度についてのご質問でございますが、平成27年4月に予定されております子ども・子育て支援新制度の施行により地域型保育事業が新たに創設されるなど、保育の制度は大きく変わることとなります。一方、認証保育所は低年齢児を中心とした保育、13時間開所、駅からの利便性など区民の多様な保育ニーズに応える保育施設として、今後も重要な役割を担っていくと考えております。こうした状況を踏まえ、認証保育所保護者負担軽減補助制度につきましては、新制度への移行の中で適切に対応してまいります。

【福井議員】
高齢者対策についてお伺いします。
介護状況を見てみますと、高齢者100人当たりの利用給付費を比較してみました。ホームヘルプは23区中20位、ショートステイは23区中21位、訪問リハビリテーション23区中23位、施設の整備の面では、高齢者100人当たりの入所者数では特養ホームは23区中20位、老人保健施設は23区中20位、小規模多機能型居宅介護施設は高齢者1000人当たりの指標では23区中22位、23区と比べて遅れていると言わざるを得ません。
11月10日、NHKの「クローズアップ現代」で、「“多重介護”担い手たちの悲鳴」では、1人で複数の家族を介護する多重介護の実態が放映されました。息子さんが会社を休職して両親を介護されている大田区内の例も紹介をされました。息子さんは、睡眠時間はほとんどなく、心身ともにぎりぎりの状態でした。実態は深刻です。現在の介護保険制度では多重介護の負担を軽くする仕組みはありません。このまま介護者の負担を減らすことができなければ共倒れは目に見えています。
党区議団が行ったアンケート調査では、介護に望むことの第1位が42%で介護施設の整備でした。在宅介護の場合は使いやすいショートステイ、施設入居を望む方には年金でも入れる特養ホームや認知症グループホームの増設が求められています。
区内のある方から相談がありました。要介護4で認知症もひどく、着がえも全てできなくなった夫を介護している方からの相談でした。この女性は膝、腰を痛めており、私の力では夫を支えるのも大変。毎日泣きながら介護している。特養ホームに申し込んだが入れない。ケアマネジャーさんから神奈川のほうの有料老人ホームを紹介されたが、月18万円ぐらいかかる。夫の年金全て払っても足りない。残った私や病気のある息子の生活ができない。何とか区内の特養ホームに入りたい、こういった相談でした。また、父親の介護をしている母親が倒れそうなので、娘である自分が仕事をやめなくてはならないのか。何とかならないのか、こういった相談もありました。
このような方々を含め、区内では1500人を超える方が特養ホームの入居を待っています。4か月ごとに報告される業務状況では、毎回約20人の方が死亡により申し込みを取り下げています。待っている間に亡くなる、こういった状況をこのままにしていいのでしょうか。今、新たに3か所の特養ホームが計画をされていますけれども、まだまだ不足しています。
そのような中、法的規制のないデイサービスの施設で、お泊まりデイと言われているサービスが増えています。
多発する事故や人権無視のいわゆる雑魚寝状態の施設があるなど問題となっています。このような状態を放置してはなりません。大田区が今掲げている介護施設計画・目標は、区内の介護の深刻な実態の改善になっていません。おおた未来プラン10年後期では、介護保険施設等の整備支援の中で、最新値の入所定員数は2646人であり、2018年度までの目標値は3300人です。つまり、2018年度までの計画は判明しているのが654人分です。この目標値は特養ホーム、老人保健施設、認知症高齢者グループホームの合計の数であり、特養ホームの待機者だけで1500人を超えている。目標値が現実とかけ離れています。
●そこで質問します。目標値を引き上げ実態に合ったものとし、現在策定中である第6期介護保険事業計画に特養ホーム、ショートステイ、認知症グループホーム、老健等のそれぞれの増設計画を年度ごとに具体的な数で示すことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、介護保険施設等の整備計画を年度ごとに示すべきとのお尋ねでございますが、特別養護老人ホームなどの介護保険施設等の整備につきましては、高齢者数や入所希望者数の推移、居宅介護サービスや他の介護施設の整備状況等も十分踏まえながら進めていくことが重要と認識をしております。こうしたことを踏まえて、現在策定中の大田区高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画では、特別養護老人ホームや認知症グループホームなど個別の整備について、例えば特別養護老人ホームは平成28年度3施設195床、平成29年度に100床程度の整備を目指すなど、これまでの計画と同様に具体的にお示しをしております。今後とも、高齢者が住み慣れた地域で安全に暮らせますように地域包括ケア体制の構築を進めるとともに、在宅サービスとバランスのとれた介護保険施設等の整備を進めてまいりたいと思います。

【福井議員】
障がい者総合サポートセンター、愛称はさぽーとぴあと決まり、来年の3月開所となりました。このさぽーとぴあは、区長も区内各地の催しに参加され、挨拶の中に取り入れるなど、大田区の障がい者に関する中核的な施設と位置づけをされています。さぽーとぴあに対する期待は大きいものがあります。
●党区議団はこの間、各障がい者団体との懇談を行ってまいりました。その中で多い要望が、緊急の連絡体制をとってほしいとのことが挙げられました。夜中に障がいを持つ子どもが体調不良になり、叫んだり暴れたりする場合、すぐに救急車を呼んだほうがいいのか、落ちつかせて朝まで待って様子を見たほうがいいのかわからない。また、1人で判断ができない場合など不安の声が寄せられました。その不安の声を解消するためにも、24時間の連絡相談体制をとることを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、障がいのある方の連絡体制についてのお尋ねでございますが、地域で安心して暮らし続けるために、緊急時の連絡体制を整備することは重要なことと認識をしております。これまで本庁、地域庁舎の障害福祉の相談窓口においては、区役所開庁時間である平日の17時までの対応を行うとともに、緊急時には区職員へ連絡できる体制としてきたところでございます。また、現在、平成27年3月開設に向けて整備を進めております障がい者総合サポートセンター、さぽーとぴあでは、相談窓口を平日夜間は19時まで、さらに土曜、日曜を含む休日も開所する予定としております。引き続き緊急時の連絡体制の整備に努めてまいります。

【福井議員】
●障がい者児を抱える親の高齢化問題が深刻になっています。加齢により今まで行ってきたことができにくくなり、また、親が病気やけがなどにかかるなど増えてきています。しかし、親が治療のために通院、入院をしたくても、障がいを持つ子どもが1人で生活ができないこともあり、入院、治療もちゅうちょすることが多々あります。さぽーとぴあには緊急入所施設がありません。区内には若干の緊急入所施設がありますが、不足しているのが現状です。大森医師会館の跡地を含め、緊急時の入所施設の整備を求めます。お答えください。

【松原区長】
障がいのある方の緊急時の対応についてのご質問でございますが、地域福祉課の相談窓口において、個々の状況に応じた対応を行っているところでございます。今後とも、障がい者総合サポートセンターを中核とした取り組みを推進するとともに、お話の緊急時対応の整備についても適切に判断してまいります。

区民のいのちと健康を守る国民健康保険制度について

【福井議員】
区民の命、健康を守る国民健康保険制度について伺います。
国民健康保険は、ほかの医療保険に入ることができない全ての人が加入する最後のとりでとも言うべきものです。しかし、高い保険料のため、支払えない方、滞納が約3割になっています。国保料が毎年のように値上げされ、年収300万円、40歳から64歳夫婦、子ども1人の給与所得の場合は何と32万円となり、4年前と比べて1.7倍、13万円もの値上げです。これでは支払えるわけがありません。
この高過ぎる保険料について、今年6月に党区議団の質問で保険料の抑制を求めたところ、「区独自で軽減策を行うことは、他の医療保険者との負担の公平の観点から困難であると認識をしております」と述べています。しかし、国民健康保険法は第1条に「社会保障及び国民保健の向上」とあり、一般の保険とは違い、社会保障そのものです。また、政府の社会保障制度改革国民会議が指摘しているように、被用者保険と比べ低所得の加入者が多い、年齢構成が高いことなどにより医療費水準が高い、所得に占める保険料が高いなど、構造的な課題を抱えていると指摘しています。もともと多額の国庫負担金を前提として設計されている制度です。ですから、ほかの医療保険者と比べること自体が間違っています。住民の命を守ることが自治体の一番の仕事です。一般会計からの繰り入れで補うことについては、都の国保課長は各自治体の判断に任されると述べています。
●高い国保料が区民の生活苦に追い打ちをかけ、命まで脅かされることは絶対にあってはなりません。来年度の国保料は引き上げを行わず、一般会計からの繰り入れを増やし、保険料を引き下げることを求めます。また、経過措置に伴う軽減措置が今年度で終了となります。この軽減措置を継続すること、そして多人数世帯や生活困窮世帯を対象にした減免制度をつくることを求めます。お答えください。

【松原区長】
国民健康保険料についてのご質問でございますが、23区の国保保険料については、医療費の動向、国庫負担金及び都交付金の額、前期高齢者交付金及び後期高齢者支援金、23区全体の国保加入者数、所得状況など、基礎となる数字を踏まえて算出しています。国保の運営は、財政が依然として厳しい中で、医療保険制度の基盤である国民健康保険制度を維持し運営することを強いられる厳しい状況にあると考えております。23区では特別区独自の軽減措置を実施してきておりますが、現時点では来年度の国民健康保険料の内容については決まっておりません。区として一般会計からの繰り入れを増やすことによる保険料の引き下げについては考えておりません。平成27年度特別区共通基準に基づく国民健康保険料の算出に当たっては、制度改正の動向を踏まえながら、被保険者の過大な負担とならないように十分に検討を重ねていくべきものと考えます。

【福井議員】
国において、国民健康保険の財政安定化や負担の格差是正を図る理由で都道府県単位の広域化を進めています。それに先取るような形で東京都国民健康保険財政安定化支援方針を決め、昨年4月から進めています。その中での事業運営の課題で、給付に見合った保険料の賦課を上げています。このことは、その人にとって必要な医療を提供するのではなく、枠を決めた中で治療が決められる。もっと医療が必要ならば保険料を払えということになります。
広域化は様々な問題が指摘をされています。一つは保険料の大幅な値上げです。今も大田区で一般会計からの繰り入れは昨年度だけで82億円行っていますが、繰り入れができなくなります。不足分は保険料の上乗せとなり、そのため保険料が大幅アップとなります。二つ目に区民の声が届きにくくなります。区の仕事は加入受け付けと徴収業務だけとなり、区民が役所に相談しても権限がないので救済ができません。このことは後期高齢者医療制度を見れば明らかです。
広域化は全国知事会でも、保険者を都道府県に変えるだけでは問題を先送りするだけで、持続可能な制度の構築にはほど遠い。医療保険における最後のセーフティーネットである。財政基盤強化については、国の定率負担の引き上げによる公費負担の拡大など、先に検討すべき課題はあると発言されています。
●広域化に反対の声を上げること、そして国保料が高い一番の原因は国の国庫負担金の削減にあります。本来の国庫負担率に戻すよう国に強く求めるとともに、都に対して特別区長会でも都独自の財源支援策を講じることを要望していますが、再度東京都に求めてください。お答えください。

【松原区長】
国民健康保険の都道府県化と財政基盤の強化についてのご質問ですが、国と地方の協議の場、国保基盤強化協議会や国の社会保障審議会において、国保の財政上の構造問題の解決に向けた方策や都道府県と市町村の役割分担のあり方など、精力的に議論が重ねられているところでございます。国保制度改革に当たりましては、高齢化の進展、高度な医療の普及等による医療費の増大が見込まれる中で、国民健康保険が将来にわたり安定的に運営できるようにしていく視点が何より肝要であると考えております。国庫負担を充実し、国保の財政基盤の強化拡充と被保険者の保険料負担軽減を図ることについては、全国市長会を通じ繰り返し国に求めてきております。東京都に対しましても既に財政措置の充実強化を要望しておりますので、重ねての要望については考えておりません。

国際都市おおたにふさわしい平和への行動について

【福井議員】
国際都市おおたにふさわしい平和への行動について質問いたします。
大田区は平和都市宣言を行い、松原区長は平和首長会議にも加盟しています。国際都市を標榜する大田区として、この平和についてもっと前進をさせるべきだと思います。今年の第2回定例会の我が党の質問に対して、「今後も、平和都市宣言の精神をより深め、命の尊さ、平和の大切さを多くの区民に発信していく思いは変わらないところでございます」と区長は答弁しています。ぜひ、そのためにも具体的な行動で示していただきたいと思います。
今月10日、11日に平和首長会議は第4回国内加盟都市会議を開きました。核兵器禁止条約交渉開始の先頭に立つよう政府に求める総括文書を採択し、被爆70年の2015年、核不拡散条約(NPT)再検討会議への代表団参加を自治体首長に呼びかけました。
また、平和首長会議が2017年までの行動計画を決めていますが、具体的取り組みがいくつか挙げられています。例えば、平和の灯の分火・継承があります。これは広島平和記念公園に設置されている平和の灯を希望する加盟都市に分火・継承し、平和の象徴として燃やし続けるとともに、火を介した区民の平和意識醸成の目的です。平和の灯とは、1964年8月1日点火され、以来ずっと燃え続けており、核兵器が地球上から姿を消す日まで燃やし続けようという反核悲願の象徴となっています。
●この呼びかけに応えて再検討会議に参加する、代表団に加わり、核兵器廃絶の先頭に立つとともに、ぜひ平和の灯を分火・継承し、本庁舎、蒲田駅前など区民が見える場所に設置をしてください。お答えください。

【松原区長】
第4回平和首長会議国内加盟都市会議での呼びかけ等についてのご質問でございますが、核不拡散条約再検討会議への代表団参加につきましては、各自治体の置かれた様々な状況を考慮し、環境を整えた上で判断していく必要があると考えます。
また、広島の平和記念公園に設置されている平和の灯の分火を受け区内に設置することにつきましては、区内に設置することによる周囲への影響などにも配慮する必要があります。設置することによる効果等を含めて、今後、調査研究をしていくものと認識しているところでございます。

【福井議員】
平和都市宣言の中に「平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であること」とあります。この平和憲法の意味を辞典で調べてみますと、前文及び第9条を中心とした平和主義に着目した言い方とありました。大田区として憲法9条を擁護することを宣言しています。
しかし、国政では、安倍首相が集団的自衛権行使容認の閣議決定をいたしました。集団的自衛権行使とは、日本の国を守ることでも国民の命を守ることでもありません。アフガン・イラク戦争のような戦争でアメリカと肩を並べて戦争を行う。海外で戦争する国づくりです。集団的自衛権行使容認の撤回を求める意見書は閣議決定後も増え続け、190議会で意見書が採択をされています。集団的自衛権が使われれば、憲法9条を持つ日本でも海外で自衛隊が一緒に武力攻撃ができるようになります。これは憲法9条を事実上破棄するものです。
●集団的自衛権行使と平和都市宣言は相反するものです。平和都市宣言を行っている大田区長として、集団的自衛権行使の閣議決定を撤回するよう国に意見を上げてください。お答えください。

【松原区長】
集団的自衛権行使容認に関する質問でございます。大田区は、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言を行っております。次世代に向け平和な都市を築いていくことは我々の最も重要な使命であると考えております。一方、現行憲法の制定から60年以上が経過し、様々な意見が展開されていることも事実でございます。憲法についての国民的議論の動向を注視してまいります。

【福井議員】
大田区は国際都市の考え方の中に海外からたくさんの外国人が訪れる区として、大田区平和都市宣言を踏まえ、世界の人と力を合わせて大切な平和を守る都市であることと未来プランに明記されています。アメリカ一国だけと仲よくしていればよい時代は終わりました。みんなと手をつなぐことが求められます。
羽田空港の入国者数は、法務局のデータでは129万3083人でした。国籍別で見ると、アジアがそのうち102万2479人と、アジアの方たちが約8割を占めます。一番多いのが韓国37万人、次に中国で約20万人となっています。やはり近くの国々との連携というものが求められています。
しかし、今、大田区の中学校が使用している歴史教科書には、例えば、「アジア独立への希望」と題し、戦争初期の我が国の勝利は、東南アジアやインドの人々に独立への希望を与えましたとあります。さらに、日本は米英に宣戦布告をし、この戦争を自存自衛の戦争と宣言した上で、大東亜戦争と名づけましたとあります。そもそも、大東亜戦争は日本の自存自衛、アジアの欧米からの解放、大東亜共栄圏の建設を目的とした戦争だとされました。しかし、実際にはアジア諸国の独立の道筋を示すどころか、あからさまに日本の領土拡張を推し進め、アジア解放の美名のもと、戦争協力を押しつける。アジア侵略の戦争をアジア解放の戦争と言いくるめる。日本の戦争の歴史のあまりにも極端なねじ曲げです。アジアを侵略し、野蛮な抑圧の限りを尽くしながら、自分をアジアの解放者だと描き出す歴史のつくり変えは絶対に許されません。
満州事変の部分では、満州国は実質的には日本が支配する国でしたが、中国本土や朝鮮などから多くの人が流入し、産業が急速に発展しましたと書かれています。特攻隊員の思いとして、我々の命は講和の条件にも、その後の日本人の運命にもつながっています。そう、民族の誇りにと記載されています。つまり、自分の命を投げ出すことがお国のためである、民族の誇りである、このことを伝えています。私にも子どもがいます。子どもが、私が死ねば国のためになるんだから爆弾を抱えて死ぬよ、こういうふうに言われただけでぞっとします。大田区の子どもたちが、あの戦争はアジア解放の戦争だったんだ、満州国を発展させたんだ、このような認識でアジアの人たちと交流できるでしょうか。
また、公民の教科書でも驚くべき記載があります。例えば、少子高齢社会が現状のまま進んでいくと、文化的で落ちつきのある社会を築きやすくなるだろうと言われているとあります。「国家と私」の項目では、私たち国民は、国に守られ、国の政治の恩恵を受けていますとあります。これは国民主権でありながら、国民より国家が上にあることを意味しています。
また、同じ項目の中に、原子力発電の計画が持ち上がったと事例を紹介し、国家規模の政策についてはどのように考えればいいのでしょうかと提起され、結果として、市民が原子力発電と共存し、安心して生活ができるように国や市や事業者が全力で取り組むことが求められますと結んであります。つまり、原子力発電の問題は地域の問題ではなく国家の問題であり、地域住民の反対は国家全体を見ていないかのエゴのような印象を与えます。
憲法改正の項目では、わざわざ憲法9条を例に出して、自衛隊がPKOなど他国軍と共同で活動しているときに、万が一他国軍が攻撃された場合でも日本の自衛隊は相手に反撃することができないとの指摘があります。憲法を絶対不変のものと考えてしまうと、時代とともに変化する現実問題への有効な対応を妨げることにもなりかねませんが、あまり安易に改正されれば憲法の安定性が損なわれてしまうことも考えられますと記載があります。しかも、世界各国の憲法改正回数を一覧表にして、各国では必要に応じて比較的頻繁に憲法改正を行っていますと、日本だけが憲法改正をしないかのような印象を与えています。
法のもとの平等では、絶対的な平等を保障するものではありません。行き過ぎた平等意識はかえって社会を混乱させ、個性を奪ってしまう結果になることもありますとあります。
公平な税の負担の項では、累進課税の方式がとられています。しかし、高所得者に対して一方的に高い税率をかけることは公正に反するという意見も無視できません。消費税などの間接税は、同じ商品を買った人は同じ額の税金を支払う点で公平と考えられますとあり、税の負担で大切な所得の再分配などの役割については一切触れられていません。
●子どもたちはこのような教科書で学び、成長し、世界各国の人々と出会い、交流していきます。自存自衛の戦争、アジア解放の戦争、国民より国が上、こういった認識が世界で通用するでしょうか。これでは世界から孤立をしてしまいます。国際都市おおたにふさわしい教科書の採択が必要だと思います。国際都市おおたにふさわしい教科書の採択をすべきです。現在使用している育鵬社の教科書は来年度採択しないことを求めます。

【時間切れのため答弁なし】

以  上

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