第2回定例会一般質問(速報)―和田議員



(映像は大田区議会ホームページより:33分)

高齢者の実情にもとづいた介護保険制度について

【和田議員】
はじめに介護保険について質問します。
介護保険制度が導入されて15年目になります。介護保険は「家族の介護負担を軽減する介護の社会化と重度化を防ぐ」という理念のもとにつくられました。この間、2006年の介護保険改悪で「要支援1・2」がつくられ、要介護1の6割が要支援2に切り下げられ、介護ベッドなどの介護福祉用具が取り上げられるという問題が起きました。2009年の介護認定の見直しでは介護給付削減のために軽度判定が出るように認定システムが変えられました。同様に給付費削減のために訪問介護の時間短縮などの改悪が進められてきました。 
安倍内閣が進める「医療・介護総合法案」は要支援者への訪問介護と通所介護を介護保険から外し、自治体の地域支援事業に移行させ、ボランテァなどを活用して安上がりにすることを狙うものです。また、特別養護老人ホームの入所者を要介護3以上に制限する、さらに一定の所得があれば利用料を1割から2割へ負担を2倍にするというもので、これまでの介護保険の改悪の中でも歴史に残る大改悪です。
政府は自立を支援し重度化を防ぐとして「要支援者」向けサービスをつくったはずです。今回の保険外しには全く道理がありません。
国会の審議から、医療・介護の今までの仕組みを根本から壊し、国民の安心を奪う法案の中身が明らかになり、住民と身近に接して医療・介護を担っている地方自治体からは異議申し立てが噴出し、地方議会からの異議申し立て意見書可決は5月14日現在で210にも達しています。
昨年12月に行った東京社会保障推進協議会の都内自治体の緊急調査によれば、要支援者の訪問介護、通所介護を自治体として提供することが「可能」と答えたのは4自治体で9%、(全国では17・5%)「不可能」9自治体で21%、「判断できない」30自治体70%と9割が見通しを持てないでいます。
見通しが持てない理由には①すべての予防給付を地域支援事業に置き換えることは、財政やマンパワー不足で難しい②事業者の指定・認定業務等、自治体の事務処理量の大幅な増加が見込まれるが、それに対応する人員配置等のめどが立たない③従来通りのサービスを提供する財源確保に見込みがつかないなどがあげられています。
さらに、訪問介護、通所介護が保険給付から外されることで、利用者などにどのような影響が出るのか、全日本民医連が行ったケアマネージャーへの調査によれば、外出などの機会が減り閉じこもり気味になるが66・4%、日常生活ができなくなり、介護度が上がるが60・8%、買い物ができなくなるが50・3%などが予測されています。
 昨年度の保健福祉委員会で私の「移行してからのサービス提供の受け皿はどう考えているのか」との質問に担当課長は「既存の事業者を活用する」と答弁しました。しかし、政府は、訪問介護・通所介護を自治体の「地域支援事業」に置き換えることで、現行制度のままなら毎年5~6%のペースで伸びていく要支援者向け給付費の自然増を、3~4%(後期高齢者の人口の伸び率)に抑え込むという方針を掲げています。そうなれば既存事業者への委託単価が切り下げられることになります。事業者の確保は十分できるのでしょうか。
●政府は要支援者の訪問介護、通所介護を介護保険から外して、自治体の地域支援事業に移行させようとしています。「介護保険から外されたらどうなるのか」と区民は不安になっています。大田区は区の責任で、要支援者の訪問介護、通所介護のサービスを後退させないでこれまで同様提供すべきです。財政的にも体制的にも提供できる見通しを持てているのでしょうか。お答えください。

【福祉部長】
要支援者の訪問介護及び通所介護の地域支援事業への移行についてのお尋ねでございます。平成26年度の介護保険法等の関連法令の改正案の内容につきましては、国は、既存の介護事業者によるサービスに加えて、地域の実情に合わせ、多様なサービスが多様な主体により提供されることにより、利用者がこれまで以上に自分にふさわしいサービスを選択できる仕組みづくりをするために見直しを行うこととしております。さらに、訪問介護・通所介護事業が地域支援事業へ移行した場合であっても、これらの事業は引き続き介護保険制度内のサービスの提供となることから、その財源の構成も変わらないものとしております。区といたしましては、法案が成立していない現時点においては、国から法改正後の具体的な制度設計や詳細な事業内容につきまして説明されておりませんので、今後、法案の成立を受け、国から発出されます政省令や通知等を踏まえ、適切に判断してまいります。

【和田議員】
区内で介護サービスを提供している事業者さんに今回の制度改正について聞いてみました。
「地域支援事業に移行された場合、大田区はどのようにサービス提供しようとしているのかわからない」「どんな状況の下でも大田区が責任を持って欲しい」「自分たちはホームヘルパーの資格を取ることを求められたのに、今度はボランティアの活用で対応しようとしているのはおかしい」「事業所が存続できるのかという不安もある。ぜひ大田区には話を聞く機会を持ってほしい」など切実な思いが語られました。
●区は介護保険制度の改悪でそれぞれ不安を抱えている利用者と家族、介護従事者、事業者の声をぜひ聴きとって応えるべきです。お答えください。

【福祉部長】
次に、介護保険制度の改正に伴い、利用者や事業者などからの意見聴取についてのお尋ねでございます。現在、国におきまして介護保険法の改正など制度の見直しについて議論されているところでございますが、区といたしましては、この見直しの方向を注視しつつ、高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画の策定についての検討作業を進めているところです。この計画の策定に当たりまして、第5期介護保険事業計画の策定時と同様に高齢者福祉計画・介護保険事業計画推進会議を開催し、関係者からのご意見をいただくこととしております。さらに計画素案の策定後には、パブリックコメント及び区民説明会の開催、介護事業者からの意見・要望をお聴きする場の設定などを予定しているところでございます。区といたしましては、高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画の策定にあだっては、介護保険制度の改正状況を踏まえ、適切に対応してまいります。

【和田議員】
政府は、要支援者の介護サービス提供はNPOやボランティアでもよいとしていますが要支援者こそ専門の丁寧なケアが必要です。
ヘルパーには、ひとり暮らしで食事がまともに取れず、やせてきていないか、着替えや入浴ができているか、正確に薬が飲めているか、同じものを買い込んでいないかなど生活実態を注意深く観察する目と見極める力が要求されます。これらにいち早く気づき、専門機関につなぐなど経験や専門性が要求される介護サービスをボランティアでは困難です。
厚生労働省の介護予防モデル事業(市町村介護予防強化推進事業)として、法案の内容を先取りして実施している13の自治体の中では、国民から必要な介護サービスを奪っている実態が明らかになっています。
東京・荒川区では、要支援1と認定され10年以上「生活援助」を受けていた女性が、地域包括支援センターの職員に、介護保険で受けられる「生活援助」をやめてボランティアの「家事支援」に変更するよう再三迫られ、変更させられました。ボランティアの「家事支援」は介護サービスに比べ3倍近い利用料と2,000円の年会費をとられました。
同じ荒川区の要支援の別の女性は、足腰の痛みから杖なしでは歩けないのに、デイサービスから「卒業して」と繰り返し迫られました。医療・介護総合法案が通れば、このやり方が全国に広がります。
法案は国会で審議中ですが、日本共産党の小池晃参議院議員の指摘で、利用料引き上げの根拠となるデーターに誤りがあることがわかり、厚生労働大臣はこれまでの論拠を全面撤回しました。前代未聞の重大事態の中での成立強行は許されません。法案は撤回するしかありません。
●「国の制度だから」と要支援者の介護サービスの後退は許されません。大田区で介護難民や介護心中などを絶対に出さないという立場に立って、制度改悪をしないよう国に強く要望すべきです。お答えください。

【福祉部長】
次に、介護保険制度の改正に伴う国への要望についてのお尋ねでございます。介護保険制度の改正に伴う国への要望については、平成25年12月11日付で特別区長会から厚生労働大臣あて「介護保険制度の見直しにかかる緊急要望」を提出しているところでございます。この要望書では、1点目として、新制度の設計にあたり各自治体の実情を踏まえて準備のための十分な時間を確保すること、2点目として、人件費や物件費が著しく高いという特別区の実清を考慮し、地域包括システムの実現に向けた地域包括支援センターの機能強化等に必要な財源措置や支援策を講じること、3点目として、「新しい総合事業」の創設にあたり、介護人材やボランティア等確保に向けた支援や財源措置を行うこと、について要望したところです。区といたしましては、現時点におきましては加えて要望することは考えてございません。今回、介護保険制度の改正に対する区の対応につきましては、今後、法案の成立を受け国から発出される政省令や通知等を踏まえ、適切に判断してまいります。

【和田議員】
大田区の特別養護老人ホームに申し込んでも入れない待機者は約1,500人で待機者解消は進んでいません。日本共産党区議団は、これまでにも大田区の特養ホーム整備計画は待機者数に合わない計画であることを指摘し、待機者ゼロをめざし、特養ホームをはじめ、グループホームなど介護施設の増設を求めてきました。
今後、萩中、西馬込、大森西に特養ホームの開設が予定されており、評価できますが、まだまだ足りません。
2014年3月現在、区内の待機者の中で、要介護4と認定された方が476人、要介護5の方が419人、合わせて895人、待機者の57・7%は介護度が重く、必要性も緊急性も高いのに入所できないという深刻な状況です。 また、65歳以上の人口に対して特養ホームのベッド数がどれだけあるかという「整備率」は大田区は0・98で、東京23区中19位です。1位の港区1・81の54%しか整備されていないことになります。
昨年度大田区が行った「高齢者等実態調査」で、「特別養護老人ホームになかなか入所できない場合、あなたは、どこで介護を受けたいと思いますか」との問いに、「特養ホーム以外は利用したくない」と答えた方は24・3%で1位でした。昨年度の実態調査は、調査用紙を郵送で配布し、回収するという方法ですが、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯については、直接訪問して要望を聞き取る調査が必要です。介護度の高い方や認知症の方の在宅介護や高齢者が高齢者を介護する老老介護などの実態は本当に深刻な状況です。入所できなければ介護者が先に倒れてしまいます。
●大田区は、特養ホームに申し込みながら、やむなく在宅介護になっている高齢者の実態を訪問調査し、1500人の待機者をなくすために、早期に実態に合った特養ホームの「整備計画」をつくることと計画にもとづいた増設を求めます。東京都も民有地を含めて、公有地を積極的に活用するといっていますので活用すべきです。お答えください。

【福祉部長】
次に、特別養護老人ホームの整備に関するご質問でございます。特別養護老人ホームの整備につきましては、高齢者が在宅困難となった場合、介護保険施設でサービスを受けられるよう、引き続き必要な定員数を確保していく必要があると考えており、おおた未来プラン10年後期においても、その整備支援を重要な事業に位置付けております。また、特別養護老人ホームの申込者の実態把握につきましては、平成25年11月から12月にかけて既に大田区高齢者等実態調査を実施したほか、入所申込書に記載された本人の身体状況や介護者の状況、介護支援専門員の意見により行っているところでございます。特別養護老人ホームの整備につきましては、こうした実態把握のほか、高齢者数や入所申込者数の推移、グループホーム等や居宅サービスの整備状況など、総合的な観点から検討が必要となります。現在、高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画の策定作業を進めているところでございまして、特別養護老人ホームの整備計画につきましても、今年度の介護保険制度の改正の動向や介護給付費の推移などの状況を踏まえ、適切に検討してまいります。

【和田議員】
港区は、専門家の協力も得て、高齢者の1人暮らしや2人暮らしを調査しました。待機者の実態に目を向けて、2015年4月から既存の介護施設を増築して、特養ホームのベッド数を増やして緊急対応をするそうです。23区の中で最も特養ホームの整備率が高い港区が、さらに増築してベッド数を増やす理由は、高齢者の実態を認めているからではないでしょうか。
●大田区も特養ホームの増設を進めながら、緊急な対策として既存の施設にベッド数を増やすことが可能かどうかの検討も含め、待機者解消に全力をあげてほしいと考えます。お答えください。

【福祉部長】
次に、特別養護老人ホーム待機者解消に向けた既存施設の増築についてのお尋ねです。特別養護老人ホームの整備につきましては、現在、馬込、大森西、萩中の3箇所におきまして計195床の整備に向け、事業を進めているところでございます。既存の特別養護老人ホームの増築につきましては、建物の構造、土地の利用条件などによる建築基準法や消防法などの関係法令による制限などの課題があると考えております。区といたしましては、現時点では増築に関しまして、区内の社会福祉法人から具体的な相談はございませんので、具体的な相談がございましたら、諸課題を整理しつつ適切に対応してまいります。今後とも、特別養護老人ホーム待機者解消に向け、居宅介護の状況、他の介護施設の整備状況等も十分考慮し、整備を進めてまいります。

【和田議員】
特養ホームの待機者が増え続ける大本には、高齢化とともに高齢者の貧困化があります。現在、国民年金の平均受給額は月49,000円、厚生年金も女性の平均受給額は月11万円です。厚生労働省の「年金制度基礎調査」によれば、年金受給者の48%は年金額100万円以下の低年金者です。
こうした低年金の人が要介護状態となったときに、最期まで入居できる施設は特養ホームしかありません。
ところが、政府は、介護給付費抑制のため、特養ホームの増設を抑え、月15万~25万もの負担が必要な「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者住宅」など、低所得者が利用できない施設の整備ばかり応援してきました。
待機者を解消するには、低所得者でも入所できる特養ホームの増設へ大きく方向転換するしかありません。ましてや特養ホーム入所を「要介護3以上」に限定するなど、政府自ら行き場のない「介護難民」を増やす改悪は直ちにやめるべきです。
●区内の高齢者が最後まで人間として尊厳ある人生を全うできるために、国に対して、待機者解消計画の策定と廃止された特養ホーム建設に対する国庫補助の復活、用地取得への支援など特養ホーム増設を推進するよう求めるべきと考えますがお答えください。

【福祉部長】
次に、国に対し、特別養護老人ホーム待機者解消に向け、建設に対する国庫補助の復活、用地取得への支援などを求めるべきとのご意見でございます。議員お話の特別養護老人ホームの整備を促進するための国の用地費補助につきましては、平成20年度に廃止となっており、これまでも特別区長会として国や都に対し、用地取得の困難さを踏まえた補助制度の拡充などについて要望してきているところでございます。区としましては、特別養護老人ホームの整備は重要な課題であると認識しておりまして、平成20年度から独自に施設整備費補助を拡充するとともに、さらに平成22年度からは貸付金の制度を創設し、整備の促進を図ってまいりました。また、国に対しましては、萩中二丁目の未利用地の売り払いについて、特別養護老人ホームの整備に活用できるよう要望するなど、積極的な取り組みも進めてまいりました。今後とも在宅サービスと施設サービスのバランスを図りながら、未利用公有地等の活用等も考慮し、必要な施設整備に努めてまいります。

区民の願いに応える蒲蒲線について

【和田議員】
 次に新空港線蒲蒲線について質問します。
JR蒲田駅と京急蒲田駅間を便利にしてほしいというのは長年の区民の願いです。ところが、いま大田区が進めようとしている新空港線は、東西鉄道「蒲蒲線」から新空港線「蒲蒲線」、さらに「新空港線」と名称が変更されてきたように、目的も区民の利便性より羽田空港と首都圏西南部方面を結ぶ路線としての利便性や渋谷、新宿、六本木地域などへの交通ネットワークとしての鉄道事業になっています。 国家戦略特区に指定され、国主導になれば、ますます区民不在の鉄道事業になる可能性もあります。
この鉄道事業の総工費は1,080億円で3分の2は税金を使うことになっています。さらに区は、2012年度から「新空港線整備資金積立基金」を開始し、今年度で15億円もの基金積み立てをしています。
 区民のみなさん、特に東急多摩川線を利用しているみなさんからは、今利用している駅から乗車できるのか、騒音や振動問題は起きないか、開かずの踏切にならないかなど不安の声が寄せられています。連合町会長さんたちにもお聞きしてきましたが、「区は、便利になる。街が活性化するなどプラスの面しか話さないが、本当にそうなのか。マイナス面も説明してほしい」「何十年も同じことを言い続けているが、やれないのならはっきりとやらないと決めてほしい。」などの声が寄せられています。
 大田区は、1987年度から新空港線「蒲蒲線の」整備調査をはじめ、調査委託料は2000年の運輸政策審議会答申以降だけでも合計で1億4千77万円余にも上っています。
これまでは、区は、多摩川線の線路を使って10両編成で1時間に上り下り3本づつ現在のダイアに組んでいく、東急蒲田地下駅で京急に乗りかえるなど説明してきましたが、「プラス面だけでなくマイナス面も説明してほしい」という区民の声に対して、「決まらなければ説明できない」と昨年度の委員会で答えています。これまでの説明は大田区の素案であって、合意した後は変更するかもしれないとのことですが、今までの調査や報告はなんだったのでしょうか。
●1,080億円という多額の事業費であることや特養ホームや認可保育園が不足している中で15億円もの積立を行っていること、さらに20数年間も調査を続け、調査委託料だけでも1億4千万円もの区民の税金をつぎ込んできたのですから、決まらなければ説明できないでは区民は納得できません。また、説明できないものを強引に推進することは許されません。白紙に戻すべきです。お答えください。

【交通企画担当部長】
新空港線の実施に向けた進捗状況につきましては、これまでも折に触れ、区議会の所管委員会、あるいは整備促進区民協議会、あるいは区報やホームページを活用した広報活動、パンフレットの作成・配布などで、整備のあらましや効果などをお知らせするよう継続的に努めております。ご質問にあった「マイナス面」につきましては、当該事業の合意形成が図られ、運行主体となる鉄道事業者が実際の運行形態やダイヤなどを作成することで明らかになるため、現時点で明示することは困難でございます。

【和田議員】
新空港線「蒲蒲線」整備促進のために国、都、区、東急、京急の関係者で2007年度から7年間、22回の勉強会を重ねてきました。しかし7年前も現在も残されている課題は「関係者の合意」に至っていないということです。
東京都議会では、舛添知事が就任して初めての議会答弁でも、「多額の事業費を要することなどから、現場を見て、関係機関などの意見も聞きながら、鉄道ネットワーク全体のあり方を検討する中で総合的に検討する」と一般的な内容でしたし、まだ現場を見に来たとも聞いていません。
また、都は、「東京の総合的な交通政策のあり方検討会」を設置し、5月30日に第1回が開かれましたが1回目に示された課題は3環状のインフラ整備や自転車の利用、外国語表記などでした。
運政審18号答申では、新空港線「蒲蒲線」のほかにも都営地下鉄大江戸線の大泉学園町方面延伸や地下鉄8号線延伸など2015年度までに整備着手する線路に位置付けられていますが、どれも具体化が進んでいません。
「2015年度(平成27年度)までに整備着手ができなければ、リセットされてしまう」と7区の区長連名で東京都に要望書を提出したり、突然議会で意見書を採択させるなど半ば脅かしで推進するやり方は認められません。
●これまで7年間も関係者で勉強会を行い、毎年のように整備調査を行ってきたのに、いまなお「関係者の合意」ができていません。これ以上区民の大切な税金をむだに費やすことは今すぐ止めて、区民が必要としている認可保育園や特養ホームなどの建設を優先すべきです。15億円の積立金は、緊急性必要性の高い区民施策を優先すべきです。お答えください。

【交通企画担当部長】
次に、積立基金をやめて、他の区民施策を優先すべきという質問でございますけれども、新空港線の整備は、鉄道ネットワークの広がりにより区民の利便性が高まるほか、大田区のまちづくりにも寄与するものであります。また、平成25年度に実施した「おおた未来プラン10年(後期)」策定に伴う区民アンケート調査において、「住みやすいまちづくりに向けた大田区の課題」という設問では、「蒲田におけるJR・東急電鉄と京浜急行電鉄との接続」が第2位になっておりまして、新空港線整備に関する区民の皆様からの期待は大変大きいものと捉えております。こうした皆様の期待に応えるため、新空港線の早期実現に向けた整備資金として「新空港線整備資金積立」を行っているところでございます。

区民の命と健康を守る国民健康保険制度について

【和田議員】
最後に国民健康保険料について質問します。
国民健康保険料は、毎年値上げをされて区民にとって大きな負担になっています。高すぎる保険料は支払いたくても支払いないのが実情です。
2013年度の滞納世帯は55,674世帯で前年比約20,000世帯増と急増しています。資格証発行数は400世帯、短期証発行数は4,356世帯、差し押さえ件数は171件です。 
4月からの消費税8%への増税と社会保障の切り捨てで区民の暮らしはますます深刻になる一方です。厚生労働省の発表した4月の勤労統計調査によると、基本賃金は25か月連続でマイナスになりました。
一方、4月の全国消費者物価指数では、前年の同月比で3・2%も上昇し、物価は11か月連続で上がっています。国民健康保険料の値上げは、くらしが厳しくなった区民にさらに追い打ちをかけるものです。
国民健康保険制度は、憲法25条にもとづいた「国民皆保険」の制度です。低所得世帯でも医療を受けることができる制度が、保険料が高すぎて支払えず保険証を取り上げられれば、医療を受けられないという区民の命にかかわる大問題です。
国が国庫負担を削減してきたために、保険料の値上げが行われています。国庫負担を増やし、誰でも払える保険料設定にすべきです。また、支払うお金があるかないかを確かめずに差し押さえると生活ができなくなり、生活保護を増やすことにもなります。
今年も6月12日の今日、国民健康保険料の納付書が発送されます。昨年は国保料値上げの通知が届いてから、1万件を超える区民からの問い合わせや抗議の声、怒りの声が届きました。今年も多くの区民から声が届くことが予想されます。
日本共産党区議団は、区民の命と健康を守るため、6月3日、区長にたいして緊急申し入れを行いました。
①国民健康保険料の値上げを中止すること。
②保険料を抑えるために、国民健康保険への国庫負担割合を増やすことを国に求めるとともに、東京都にも財政支援を求めること。また、大田区でも支援を強化すること。
③区民から区民からの問い合わせに臨時体制をとり充分な対応をすること。また、生活や営業に支障をきたすような差し押さえはしないこと。
●区の今年度予算の国民健康保険の歳入で、保険料は前年度比6億8,300万円の増です。財源はあります。財政基金425億円、新空港線整備積立基金15億円などを活用すれば値上げしないで済みます。区民の命と健康を守るために、保険料の値上げ中止と差し押さえをやめること、国に対して国庫負担割合を増やすことを強く求めるべきです。お答えください。

【区民部長】
国民健康保険料についてのご質問にお答えします。平成26年度の国民健康保険料については、住民税非課税の方を対象に、所得から25%を控除する23区独自の軽減策や、保険料負担が厳しい世帯に配慮した賦課割合の据え置き、低所得者の均等割軽減の拡充など、被保険者の過大な負担とならないよう措置を講じていることから、適切なものと考えております。国保財政は、医療費の増加、加入者の高齢化等により、厳しい財政運営を強いられており、法定外の一般会計からも多額の繰入を行ってきています。国に対しては、全国市長会を通じ、国庫負担の充実、国保財政基盤の強化拡充を求めてきております。被保険者の皆様に負担していただいている保険料は、国からの交付金とともに保険財政の重要な財源です。被保険者の皆様に対しては、国民健康保険料の滞納に至らないように、個別に納付相談を行い、生活状況や、特別な事情があるかよくお聴きして、現在も丁寧に対応しており、今後も丁寧に対応してまいります。

以  上

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