第2回定例会代表質問(速報)―佐藤議員



(映像は大田区議会ホームページより:57分)

【佐藤議員】
日本共産党大田区議団を代表して質問します。
質問に入る前に水井達興議員のご冥福をお祈り申し上げます。

平和憲法を擁護する大田区政の実現について

【佐藤議員】
まず、平和憲法を擁護する大田区政の実現についてです。自民党、公明党の安倍政権の暴走政治は、消費税大増税の強行、医療・社会保障改悪、労働法制改悪、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加、教育委員会制度改悪、原発推進、「秘密保護法」強行、集団的自衛権行使容認策動、沖縄の新基地建設など、とどまるところを知りません。しかし、その一つ一つが国民との矛盾・世界との矛盾を広げ、自らの墓穴を掘りつつあるのが本当の姿です。
暴走政治の中でとりわけ、集団的自衛権行使容認問題では、歴代内閣の憲法解釈を公然と覆し集団的自衛権行使容認を進める―。国際秩序も戦後の保守政治も否定する「極右政権」ともいうべきものになっています。良心的な保守の人々からも批判の声があがっています。 
5月15日に安保法制懇の報告書の提出を受け憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認への閣議決定のための与党内協議を始めました。安倍首相は今国会会期末の6月22日までに与党議論が整えば閣議決定を行うと述べ強い意欲を表明しています。安倍政権はこれまで憲法9条2項を変えて、「国防軍」をつくることを公言していますが、積極平和主義を看板に明文改憲の前にも解釈改憲によって集団的自衛権の行使を可能にしようとしています。安倍首相は著書『この国を守る決意』で「軍事同盟は血の同盟です。……しかし、今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです」と述べるなど大変危険な考えを持っています。6月3日に政府与党による「安全保障法整備に関する与党協議」が行われ、自衛隊の「戦闘地域」での活動拡大方針がが示され、アメリカ軍などへの支援を拡大するため海外での武力行使の「歯止め」としてきた「非戦闘地域」や「後方地域」という枠組みを廃止し、戦地・紛争地域での後方支援を丸ごと可能にする案が協議されています。「非戦闘地域」の歯止めは、他国の武力行使と一体化しないための担保として、イラク派兵などに際して派兵法に明記されたものですが、安倍内閣はこれに代わるものとして「一体化」の新たな基準を設けこの基準に該当する場合以外は武力行使との一体化にあたらないとしてこれらの活動が憲法違反ではないとする考えです。
憲法を改正することなく憲法解釈の変更で集団的自衛権行使に道を開くことに様々な考えや立場の方から声があがっています。
歴代の内閣法制局長官経験者からも批判の声が出ています。
第2次・第3次小泉内閣時の長官・阪田雅裕(まさひろ)氏、昨年8月まで長官だった山本庸幸(つねゆき)氏、第1次安倍内閣時の長官だった宮崎礼壱(れいいち)氏の3人は、この間の記者会見や新聞社のインタビューなどで憲法解釈の変更は「難しい」「できない」などと明言しています。
阪田氏は、「朝日」新聞(8月9日付)で「集団的自衛権の行使とは海外で戦闘に加わるということだ」と指摘。「集団的自衛権の問題は日本国憲法の三大原理の一つ、平和主義に関わる。…(国会の憲法論議の)蓄積を無視し、今までのは全部間違っていたということがあっていいのか」と語っています。
自民党の山崎拓元幹事長は時事通信のインタビューに応え「海外で武力行使をしようとしているが、これは日本の防衛政策の大転換だ。戦前への回帰でもあり、将来に大きな禍根を残すのではないかと心配している」と述べられました。
自民党の加藤紘一元幹事長は日本共産党が発行するしんぶん「赤旗」日曜版5月18日号に登場し、「集団的自衛権の行使容認をすれば、アメリカの要請で自衛隊が、地球の裏側まで行くことは十分に想定されます」と指摘。解釈改憲に「憲法解釈の変更などという軽い手法ではなく、正々堂々と改憲を国民に提起すればいい。立憲主義は守るべきです」と厳しく批判しています。
現職の衆院議員・自民党役員からも声があがっています。自民党の野田聖子総務会長は雑誌『世界』6月号で、安倍首相が狙う集団的自衛権行使容認に向けた解釈改憲に対し疑問を示しています。野田氏は「集団的自衛権が行使できる、武力行使ができるとなれば自衛隊は軍になる。軍隊は殺すことも殺されることもある。いまの日本に、どれだけそこに若者を行かせられるのでしょう」と提起。「国際情勢という大きな状況と、人を殺す、人が殺されるかもしれないというリアリズムを語るべきです」とのべています。石破茂 自民党幹事長が集団的自衛権の行使で自衛隊員が死ぬ、血が流れることも政治家が覚悟しなければならないとしていることに「それこそが、私たちが憲法解釈で60年間超えられなかったところだったのではないでしょうか」と指摘しています。
日本経済新聞などが5月23~25日に行った世論調査では憲法改正ではなく憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使の容認することに「反対」が51%、毎日新聞が5月17・18日に行った同様の調査でも、反対が56%と過半数を超える人が解釈改憲による集団的自衛権行使に反対しています。大田区内でも5月25日に、集団的自衛権行使に反対する「戦争なんてしたくない!おおたピースパレード」が行われ400人を超える人が集まりました。政府はこの声に耳を傾けるべきです。
日本共産党は、①集団的自衛権はいかなる意味でも「自衛」とは無関係な大国による無法な侵略戦争、軍事介入の口実に使われてきたこと、②日本の政治の歴史でも、集団的自衛権は、アメリカの海外での戦争へ日本の派兵との関係でもっぱら問題になってきたこと、③その現実的な狙いは、従来の海外派兵立法の「歯止め」をはずして、自衛隊が戦闘地域にまで行って、アメリカ軍とともに戦争行動を行うことにあること――を広く明らかにしてきました。集団的自衛権行使容認を憲法解釈の変更によって行うことは重大な国のあり方の大転換――「海外で戦争する国」への大転換を、一内閣の閣議決定で、憲法解釈の変更という手段で強行するなど、立憲主義の否定でもあり、絶対に認めることはできません。
●松原区長は区議会議員当時の議会質問で大田区での平和都市宣言を提案をするなど平和都市宣言の実現に積極的役割を果たしてきました。また私の2010年の予算特別委員会での質問に答え「平和というものは、守るのは ものすごく勇気と努力がいると思っております。そういった意味で、私の在任中はしっかりとやっていきたいと思っております。」と意気込みを表明されました。安倍政権が憲法の解釈変更によって集団的自衛権行使容認することに反対を表明すること求めます。お答えください。

【松原区長】
憲法の解釈変更によります集団的自衛権行使容認に関するご質問でございますが、現在、集団的自衛権をめぐりまして、国会において様々な議論が行われております。大田区は、世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言を行っております。次世代に向け、平和な都市を築いていくことは、我々の最も重要な使命であると考えております。一方、現行憲法の制定から60年以上が経過し、様々な意見が展開されていることも事実でございます。憲法全体にわたって国民的議論が行われるべきであると考えます。まずは、国民の代表機関である国会において十分な議論が行われることが肝要であり、その動向を注視してまいりたいと思います。

【佐藤議員】
大田区のホームページに、「大田区平和都市宣言」の項があります。開いてみると、『平和って なあにしあわせな ことよ…しあわせって なあに 自由で楽しいくらしができること だから 世界中の人と 力をあわせて 大切な 平和を守らなければ いけないの 地球上どこへ行っても 笑顔があるように… この人類共通の願いをこめて 大田区は 平和憲法を擁護し核兵器のない 平和都市であることを宣言する』で始まると、大田区平和都市宣言の宣言文とともに平和都市関連の12事業が紹介されています。そのうち、平和都市宣言事業と直接関係すると考えられるのは、花火の祭典(5千100万円余)と平和映画キャラバン、平和と原爆のパネル展、平和首長会議への加盟の4事業ではないでしょうか。
●今年度の4事業の予算額は5千100万円余ですが、ほぼ花火の祭典の予算です。大田区も加盟している平和首長会議のHPには、「加盟都市の活動」が紹介されています。その中で紹介されている新宿区の平和啓発の取り組みでは、戦争を記録する写真等のパネルを展示する「平和展」や区が広島に区民の親子を派遣する「親と子の平和派遣」、戦争と平和に関する史跡をめぐる「平和ウォーキング」、すいとんを食べながら戦争体験者のお話を聞く「すいとんの会」など多彩な取り組みを行っています。今年平和都市宣言を行ってから30周年を迎える大田区の平和事業の取り組みの強化を求めます。多彩な事業に取り組みながら大田区から「大切な 平和を守らなければ いけない」思いを発信するよう求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、平和事業の取り組みの強化と大田区から「大切な平和を守らなければならない」思いを発信するよう求めるとのご意見でございますが、大田区は世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、昭和59年8月15日に「平和都市宣言」を行いました。以来30年、各種の平和事業を積極的に推進するとともに、国際理解、国際交流も深めてまいりました。また区内の様々な行事や活動と連携協働を図ることで、平和への取り組みを定着させております。今後も、平和都市宣言の精神をより深め、命の尊さ、平和の大切さを多くの区民に発信していく思いは、変わらないところでございます。

区民不在の国家戦略特区ではなく地域経済振興策強化について

【佐藤議員】
次に、区民不在の国家戦力特区ではなく地域経済振興策強化についてです。4月の消費税増税で物価が急上昇するなど区内経済への深刻な影響が出始めています。今、この時期にどのような産業政策、地域経済振興策が区内経済に求められているのでしょうか。
5月1日、内閣総理大臣決定で国家戦略特別区域の指定区域が発表され、全国で6か所、その一つに、千葉県成田市、東京都の9つの区並びに神奈川県の区域が指定され、その中に大田区が入りました。4月28日の国家戦略特区ワーキンググループによるヒアリングが行われ、大田区は、「羽田発ビジネス再生・強化戦略へ国際都市おおた」と題し、特区の規制改革事項を活用した取り組みに関する考え方として8プロジェクトの提案を行ったことが報告されました。
国家戦略特区は国主導で推進するため大田区の提案が区域計画に反映されるかどうかは未定ですが、区長は地域指定を歓迎しています。規制緩和による大田区民、区内労働者へのマイナス部分・弊害については、大田区は検討していないと答えていますが、大田区全体のプラスになる計画でしょうか。その一つの、蒲田駅周辺のリニューアルでは、蒲田駅周辺の整備を容積率緩和で新たなビジネス空間を創造する提案ですが、だれが一番恩恵をうけることになるのでしょうか、まさに駅ビルの建て替え推進させものです。(JRの利益につながる計画)また、蒲田グランドデザインをすすめるもので、駅周辺の建て替え推進など従来通りの手法行わられれば、住み慣れた町に住めなくなる街づくりをすすめることになります。京急蒲田・糀谷駅前再開発では、賃貸借人のほとんどが、土地所有者も含めて全体の4割の住民が住み慣れた土地・まちから出なければならない状況になっています。
蒲田駅周辺、新空港線周辺、羽田空港跡地開発で活用される容積率の規制緩和は高層建築物を増やすことに繋がり、周辺住民の生活環境に多大な影響が出る可能性があります。また、外国人労働者の在留資格の見直しは、中小企業の技術者が低賃金で確保できなく外国人労働者で確保するためとの説明ですが、低賃金の職場は外国人に押し付け、低賃金を固定化するとともに、国民の雇用拡大につながらないことは区内労働者の雇用縮小・賃金の引き下げに繋がる可能性があります。区長はこれらの点についても区民に説明責任があります。
さらに、新空港線の整備や羽田空港跡地の産業交流施設の整備など、多額の税金投入になる計画推進を提案していることです。新空港線整備資金積立基金15億円余、羽田空港対策積立基金171億円余を区内中小企業・業者の支援、区民の医療、介護、子育て安心のために使ったらどれだけ区民の生活と営業を支援することができるでしょうか。
国家戦略特区構想は、安倍政権が「成長戦略」を推進するため「大胆な規制改革」を起爆剤として位置づけ、大企業、多国籍企業、グローバル企業が邪魔とみなした規制を徹底的に見直し撤廃することが主眼です。国民の暮らしと安全を守るのに無くてはならないルールを成長という名目で取り払ってしまうのが狙いです。
●このような「ルールなき無法地帯」に区民が巻き込まれる国家戦略特区ではなく、区内中小・小規模企業を支援し、区民の家計を豊かにし、医療、介護、子育て安心で「世界一暮らしやすい街大田区」の区政が求められます。お答えください。

【松原区長】
次に、国家戦略特別区域を活用することなく、区内中小企業等を支援していくべき、とのご質問でございますが、中小企業等に対して、特区の金融支援が予定されております。この金融支援は、資金調達が容易ではない中小企業等を支援することで、「産業の国際競争力の強化」を図ることなどを目的とする制度でございます。このように、国家戦略特区には、中小企業等への支援についても明確にうたわれております。国家戦略特区における取り組みを進めることは、大田区の中小企業振興につながるものと確信をしております。

【佐藤議員】
安倍政権は「世界で一番ビジネスしやすい環境をつくる」と大胆な規制緩和、法人税大減税などで大企業を優遇し日本経済を再生させるとしている一方で、切り捨てられてきた小規模企業に再び光を当てざるを得なくなり、小規模企業を救う「小規模企業振興基本法」を制定しようと国会審議がすすんでいます。製造業・建設業等で20人以下、商業・サービス業で5人以下の企業を小規模企業とし、地域経済を支え雇用を担う小規模企業の持続発展を支援する画期的な法案です。
小規模企業は海外展開など大きな成長発展は考えていないがしっかりと地域に根ざし、地域を支え、雇用を守っている。大企業の多国籍企業化による空洞化や長引く不況の中、事業を維持していること自体に意義があります。
個人事業主や家族経営の零細企業は地域経済を支える主体でありながら事業所としての組織体系は弱く外部環境の変化に弱いため、より個々の状況に沿った支援が求められる。という観点です。法案では国は基本計画を策定しなければならず、また地方自治体は、その区域の自然的 経済的 社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施する責務規定がおかれています。
●大田区は国家戦略特区構想で活性化をめざすのではなく、現在 衆議院を通過し、参議院で審議中の小規模企業振興基本法案を大いに活用することが区内工業・商業・建設業等区内全産業の活性化に繋がります。国家戦略特区指定地域からの撤退をすべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、小規模企業振興基本法案を活用して区内全産業の活性化を図り、国家戦略特別区域からの撤退をすべき、とのご質問でございますが、ご質問の小規模企業振興基本法案は、小規模企業振興の基本原則として「事業の持続的発展」を掲げるとともに、国が講じる基本的施策を盛り込んでおります。全国の中小企業、中でもその約9割を占めます小規模事業者は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在であります。その活力を最大限に発揮させることこそが必要不可欠であります。その意味で、国家戦略特別区域制度か、あるいは小規模企業振興基本法案のどちらかという二者択一ではなくて、双方の仕組みの特徴を踏まえ、地域の特牲や課題に応じた活用を図っていく姿勢が重要であると考えております。なお、小規模企業に対する支援でございますが、大田区産業振興協会が、中小企業を主たる取引先とする金融機関であります城南信用金庫、さわやか信用金庫との間で、この6月5日に「業務協力協定」をそれぞれ締結し、連携して取り組むこととなりました。区といたしましては、様々な支援策の展開を通じて、区内企業の活性化に努めてまいりたいと思います。

【佐藤議員】
そこで、地域経済振興策を強化するのためにいくつかの提案を行いたいと思います。まずはじめに、区内産業の実態調査についてです。大田区は今年度、区内の製造業と商店街の本格的な実態調査を行う予定です。製造業については、区内ものづくり企業の集積維持・発展を図る有効な施策を立案するとして、全事業所を対象として①基盤技術集積の受発注構造の変化の把握 ②事業の継続、事業継承の実態と見通しの把握 ③区内企業のマーケットの把握等をアンケート及びヒアリング・聞き取り調査によって行います。商店街については、顧客に求められる新しい商店街を運営していくために商店街や商店・個店、区内消費者の実態についてヒアリング・聞き取りやアンケートなどによって調査し、後継者や空き店舗の状況など商店街の実態の把握と商店街や個店経営者と区内消費者の実態について調査・分析し、今後の経営方針を提示するとしています。
●製造業でも20年以上行われなかった全数調査に踏み出すなど、区内製造業と商店街の実態・現状把握の調査でありとても重要な事業で評価しますが、高い技術力がありながら人材確保や資金繰りに苦労し、また事業拡張に踏み切れない小規模な事業所の実情を正確にリアルに把握するためにも、そこで働く労働者の雇用形態、賃金実態、賃上げ状況などの労働実態調査は欠かせません。ぜひ、調査項目に加えるよう提案します。お答えください。

【松原区長】
次に、製造業、商店街の調査に、雇用形態や賃金の状況等労働実態調査を加えていただきたいとのご要望でございますが、製造業につきましては、研究開発型の事業者や設計、デザイン業などを含めたものづくりに関わる全事業所を調査いたします。リーマンショック後の厳しい経済状況を経た受発注構造の変化や事業継続の見通し、また、新たな形のものづくり企業である、製品の企画設計を主体といたしますファブレス企業の実態、新市場開拓の状況、区外からの新たな立地などについて把握します。さらに、ものづくりに関連する事業所との関わりなど、大田区のものづくりを多角的に捉えた調査を実施し、次世代のものづくり産業のビジョンを策定いたします。商店街調査につきましては、商店街の調査に加え、個店、消費者動向など、商店街を取り巻く環境分析なども行い、空き店舗対策や商店街個々の新たな取り組み、顧客獲得につながる施策の展開など、今後の商店街振興策を策定するために実施してまいります。いずれの実態調査も、今後の有効な産業施策を立案していくための調査として、調査対象や調査項目を設定しております。雇用形態や賃金等は、個々の店舗や企業が個別に判断していくものであり、本調査の趣旨からすると、対象とする考えはもっておりません。

【佐藤議員】
●国は小規模企業振興基本法を充実させるための前段階として、昨年度補正予算を組んだ「小規模事業者持続化補助金」は、人口減少や高齢化などに応じた経営の取り組みを支援し、地域の原動力となる小規模事業者の活性化を図るための経費の一部を最大100万円まで補助するものです。2009年・2010年度に大田区で実施された「大田区ものづくり経営革新緊急支援事業」が、難しい計画書などの書類作成のために専門家の派遣もされ、経営状況の厳しい区内中小企業・業者を支援し、高く評価されました。直接支援が今こそ求められています。この大田区の制度をモデルにしたような中小企業庁による「小規模事業者持続化補助金」を大田区は「国の事業だから」と広く区内事業者への広報に取り組まなかったことは問題です。国は1万件の予算がほぼ終了したとして、5月27日に第2次受け付けを締め切りましたが、大田区が区内中小企業・業者の支援強化を進める立場に立つならば「小規模事業者持続化補助金」の拡充を国に強く求めるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、「小規模事業者持続化補助金」の拡充を国に強く求めるべきとのご質問でございますが、「小規模事業者持続化補助金」は、国から委託を受けた日本商工会議所及び全国商工会連合会において公募を行い、外部有識者等による審査を経て事業を採択する制度で、平成26年2月27日から第1次募集が開始されました。各事業者の作成する経営計画に基づき、商工会議所や商工会の支援を受けながら実施する販路拡大等のための事業、例えば、集客力を高めるための店舗改装、商談会・展示会への出展などの費用につき補助金が支給きれるものでございます。東京商工会議所大田支部におきましても、チラシに加え、本補助金を含めた「助成金・補助金」セミナーのご案内ファックス等により、区内事業者約2,000社への周知を行っております。これまでの第一次受付分、第二次受付分で、計61件の応募があったと確認しております。小規模事業者への支援につきましては、東京商工会議所大田支部をはじめ、関係機関とも情報を共有し、連携して取り組んでまいりたいと考えております。

【佐藤議員】
次にプレミアム付き商品券についてです。
●大田区では過去4回プレミアム付き商品券を発行しています。その効果については区が行ったアンケートなどで70%以上の商店街の中で経済効果があったと答えています。また、昨年の決算特別委員会で、産業振興課長は「プレミアム商品券について…、これまで緊急経済対策の一環として、その緊急性を勘案して予算計上をしてまいりました。現在は、著しい緊急性とまでは言えないこと、また、参加予定商店街の規模や商店街全体の執行体制が未整備なことなど、全区民への効果が期待できないことを理由に、補正予算への計上を見送った」と補正予算に計上しなかった理由を答えていますが、消費税増税の影響が区内経済に大きな影響が予想される中で、今がまさに、緊急経済対策としてプレミアム付き商品券発行の時期ではないでしょうか。プレミアム付き商品券を発行することを求めます。その際、区が行ったアンケートからも課題が明らかなように地元商店街への印刷など負担を軽減し、地域経済に還元されるものになるよう求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、緊急経済対策としてプレミアム付き商品券の発行を求めるとの質問でございますが、大田区として、緊急経済対策が必要と判断する場合には、適切な時期に必要な方策を検討し、対応してまいります。緊急経済対策としてプレミアム付き商品券も選択肢の一つではありますが、実施する場合には、効果を検証したうえで、実施方法の改善について研究していく必要があるものと考えます。

【佐藤議員】
次に、住宅・店舗の改修等に関わっての提案です。
●大田区では2011年度から住宅リフォーム助成制度を始め、今年度で4年目になりました。開始当初に比べ助成率を5%から10%に、上限額を10万円から20万円にそれぞれ引き上げ、予算額も今年度は4000万円と拡充してきました。区内建設業者の仕事起こしの観点からも更なる助成率と助成額の拡充を求めます。また、商業の活性化と建設業者の仕事起こしの一石二鳥になると注目を集めているのが群馬県高崎市が昨年度から始めた「まちなか商店リニューアル助成事業補助金」です。店の改装や備品購入費用の50%を助成する制度で、昨年4月に創設され一年間で申請件数738件、助成額は4億4000万円で総工事費は10億2700万円余で、直接の経済波及効果だけでも2.3倍にもなります。助成事業の活用主体は小売り、飲食業などの商店ですが、仕事を請け負うのは建設や空調、給排水などの地元業者です。制度を活用する商店だけでなく、工事の請負業者の両方が元気になる制度になっています。大田区でも商店・工場のリフォーム・リニューアルに活用できる制度導入を提案します。お答えください。

【松原区長】
次に、住宅リフォームの助成制度についてのご質問でございますが、今年度は、同様の制度を他に6区が実施していますが、予算額は大田区の4000万円が最も高くなっています。また、大田区の制度ではバリアフリー、エコ、防犯・防災の工事が含まれれば工事全体が助成対象となり、さらに、耐震補強工事や高齢者住宅改修工事など他の助成制度と併せた助成も行っており、条件が手厚くなっております。区民の皆様には、この制度を有効に活用していただきたいと考えております。なお、助成率、助成額の更なる引上げは考えておりません。
次に、大田区で商店・工場のリフォームやリニューアルに活用できる制度導入についてのご質問でございますが、商店につきましては、公益財団法人大田区産業振興協会が、区内の小売業、飲食業、サービス業を営む事業者に対し、繁盛店創出事業を実施しております。具体的には、専門家が事業所の改修について無料診断を行い、その診断結果に基づいて店舗・事業所の改修を行う場合には、その改修費用の一部を助成するものでございます。平成25年度は10件の利用実績となっています。また、工場につきましては、事業規模の拡張や事業の高度化のために行う工場の新設や増設に係る経費の一部を助成する、ものづくり工場立地助成事業が平成20年度から開始されております。平成25年度は新たに9件を認定し、ものづくり産業の集積の維持に寄与する事業効果があるものと考えております。

【佐藤議員】
次に、公契約条例の提案です。
●今年3月19日に千代田区議会にて、千代田区公契約条例が全会一致で成立しました。都内では多摩市、渋谷区、国分寺市、足立区に続いて5番目に労働条項の定めがある条例となっています。公契約条例は「公共事業の現場で働く全ての労働者に対して、賃金の最低基準額を条例により保証する」という考え方です。 国際的にはILO(国際労働機関)により条約が採択されており当たり前の考え方だと言えますが、いわゆる公共の契約で働く人たちの賃金水準を確保しようという考えです。区長は昨年の第3回定例会でのわが党区議団の代表質問に答え「23区におきましても公契約条例の対応に動きがあるところであり、その動向についても今後注視してまいります。」と表明されましたが、公共の契約の場で働く労働者の適正賃金の確保が以前にもまして重要になっている時期だけに23区で千代田区でも成立した公契約条例を今こそ大田区でも条例化するよう求めます。お答えください。

【松原区長】
「公契約条例」について、条例化するようにとのご質問ですが、本来、賃金等労働条件は、労働関係法規に基づき、労使間で決定されるものであるとの考えに変わりはありません。しかしながら、近年の建設工事をとりまく情勢を振り返りますと、技能労働者の雇用環境は大きく変化しており、下請けも含めた労働者の適正な労働条件の確保は重要な課題となっております。そうした中、国では、平成26年2月1日以降に契約を行う工事のうち、旧の労務単価を用いて予定価格を積算した工事について、新労務単価に基づく契約に変更できるよう、特例措置を定めました。23区でも「公契約条例」への対応は、様々であると認識をしております。今後も、国の動向や他の自治体の状況を把握するなど、引き続き研究をしてまいります。

区民の安心・安全第一の大田区について

【佐藤議員】
次に、区民の安心・安全第一の大田区についてです。
日本共産党区議団は6月3日、松原区長へ「国民健康保険に関する申し入れ」を行いました。内容は①国民健康保険料値上げを中止すること。②保険料を抑えるために、国民健康保険への国庫負担割合を増やすことを国に求めるとともに、東京都にも財政支援を求めること。また、大田区でも支援を強化すること。③区民からの問い合わせに臨時体制をとり十分な対応をとること。また、生活や営業に支障をきたすような差押えはしないことを求めました。
今年度(2014年度)の一人当たりの平均保険料は年間で4,638円増の103,103円となります。昨年度も国民健康保険料は値上げされましたが、昨年6月に納付通知書を発送して、7月までの一か月の間に窓口に直接来られた方
4,040人、電話での問い合わせをした方7,320人で合計11,360人の区民が納付通知書を受け取って保険料などについて問い合わせ・抗議をされています。
国民健康保険料は3年前の2011年度(H23年度)から賦課方式の変更が行われ、それまでの住民税を基に賦課額を算出する住民税方式から所得に応じて賦課額を決める「旧ただし書き方式」に変更されました。この変更によって、それまで保険料の算定に入っていた扶養控除や障害者控除など各種控除が適用されなくなったため、控除を受けていた低・中所得世帯、障害者や家族人数の多い世帯で保険料負担が重くなりました。その結果、国保運営協議会に示さた資料などを基にモデル世帯ケースの保険料を試算してみると、年収300万円の40~64歳の夫婦と子どもが1人の給与所得者の3人世帯で保険料が319,836円にもなります。4年前と比べると実に131,440円もの値上げになっています。この保険料は年収の10.6%になります。 さらに年収400万円の40~64歳の夫婦と子どもが2人の給与所者得者4人世帯では、保険料が437,565円で4年前の保険料と比べて172,783円値上げとなっています。年収の10.9%に相当する保険料となるなど、家族が4人の世帯になると年収が300万円から500万円の世帯で収入の1割を超える保険料です。これはいくらなんでも払える金額ではありません。4月からの消費税率8%への増税も重なり、大変厳しい区民生活の実態があるのではないでしょうか。私は2011年(H23年)今から3年前の予算特別委員会で、「国保料の算定方式の変更で国保料の大幅な負担増が見込まれる」「2年間の激変緩和の経過措置後に保険料が年収の1割になる」ことを指摘し、松原区長の認識をお聞きしました。当時、松原区長は「今回お示ししましたモデルケースは、平成22年度(2010年度)の保険料算定と、23年度(2011年度)の保険料算定をモデルケースにおいて比較したもの、2年後を想定しているものではありません。…保険料算定は、毎年度、そのときの国保加入者の医療費の額、所得の状況等により決定しております。経過措置後においても、加入者にとって過大な負担とならないように、適切な保険料の設定に努めていきたいと思っております。」と答えられています。
全日本民主医療機関連合会が行った「2013年国保など経済的事由による手遅れ死亡事例調査」の報告によりますと、加盟病院、診療所の患者、相談者のうち医療費支払い困難等の経済的事由で治療が遅れ、亡くなった方は昨年・2013年は56人でした。亡くなった56人のうち、国民健康保険料(税)を滞納したために保険証を取り上げられ、代わりに窓口でいったん医療費の全額を払わなければならない資格証明書や、有効期間の短い短期保険証を発行されるなど無保険状態にあった人が32人で、57%を占めました。そのうち資格証明書や短期保険証さえ持たない無保険の人は23人で、その内訳は、国保料が高すぎるために国保加入の手続きをしなかった人が48%、滞納したために保険証を取り上げられた人が30%で、合わせて78%を占めています。
保険証がないため受診にいたらずガン等の病気の悪化で死亡されています。全日本民医連はこのような死亡は医療にかかることが厳しく制限されたことによる「社会的に作り出された早すぎる死」であるとし、このような犠牲者を二度と出してはならないと強く訴えています。高すぎる保険料を引き下げることは、命と健康をまもることに繋がります。医療を受ける権利をすべての人に保障することが強く求められます。
●区長、私が3年前に指摘したとおり、今や大田区の国民健康保険は収入の1割にもなる保険料になっています。これが区長が3年前におっしゃった「加入者にとって過大な負担とならないように適切な保険料」なのでしょうか。早急に大田区独自でも適正な保険料の抑制策を打ち出すことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、国民健康保険料についてのご質問でございますが、平成26年度の国民健康保険料については、住民税の非課税の方を対象に、23区独自の軽減策を実施しております。均等割についても低所得の方への影響を緩和する措置を講じております。国保財政は、厳しい財政運営を続けており、一般会計から多額の法定外の繰入を行ってきております。国民健康保険料については、十分に時間をかけて検討し、23区共通基準に基づく統一保険料方式により算定しております。区独自で軽減策を行うことは、他の医療保険者との負担の公平の観点から、困難であると認識をしております。

【佐藤議員】
報道によりますと、5月18日午後1時ごろ京急電鉄 空港線 穴守稲荷駅で、車いすに乗った区内在住の百歳の女性がホームから線路上に転落する事故が発生しました。女性は顔の骨を折るなど重傷を負いましたが、駅の利用客数人が協力して女性を救出し、大事には至りませんでしたが一歩間違えると命を落とす重大事故です。 この事故を受けて、日本共産党区議団は5月29日 かち佳代子都議会議員と一緒に京浜急行電鉄本社に行き緊急要望を行ってきました。要望は京浜急行本線、空港線に可動式ホームドア設置等を求め、またホームドア設置に必要な課題を聞いてきました。京急側は事故後の対応策として、注意喚起に力を入れていること、ホームドアも含めた設備改善も検討していることを表明されました。しかし、ホームドア設置の課題については電車ドア数を4ドアから3ドアに統一することや定位置停止装置・TASC(Train Automatic Stop-position Controller)タスクの設備導入への予算の問題があるとのことでした。東京都交通局は5月16日に相互直通運転をしている京王電鉄株式会社との正式な合意に至り、都営地下鉄新宿線全21駅でホームドアの整備をすることを発表しました。2020年東京五輪・パラリンピック前の19年度までに順次工事を完了させる方針で、総事業費は約140億円。これで都営地下鉄4線全106駅のホームドア設置率は81%となり、京急が乗り入れている浅草線のみが不整備になっています。舛添知事は5月16日の定例記者会見で「今後とも高齢者や障害者、外国人などすべての人が安心して利用できる都営地下鉄を目指したい」と述べていますが、羽田空港から直通区間である京急空港線や京急本線でのホームドア設置は桝添知事の「すべての人が安心して利用できる」公共交通の確立につながります。
●日本共産党区議団はこれまで、繰り返し京急など区内の駅・ホームにホームドアを設置するよう求めてきました。特に、京急線が高架化されるにあたり駅の改良工事が進められる中でホームドアの設置は絶好の機会でした。今からでも区内の駅・ホームの安全確保を速やかに進めるために、ホームドアを全駅に設置するよう東京都、京急電鉄など鉄道事業者に緊急に申し入れを行ってください。その際、都営新宿線の全駅ホームドア設置に東京都が整備費を京王電鉄に助成した例も大いに活用するよう求めます。お答えください。

【松原区長】
ホームドアに関する質間でございますが、ホームドアの設置は、利用者の電車との接触、視覚障害者・車いすの方・ご高齢の方などのホームからの転落を防止し、安全かつ安心して円滑に利用できるようにするために重要であると認識しております。区といたしましては、駅の安全性を向上させるため、区内に駅を有するJR東目本、東急電鉄、京急電鉄等の各鉄道事業者に対してホームドア設置に向けた働き掛けを行うなど、環境の整備に努めてまいります。

【佐藤議員】
成年後見制度は認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方の不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、これらのことをするのが難しい場合に、利用される方が不利益な契約を結んだり、悪徳商法の被害にあわないように、判断能力の不十分な方々を保護し、支援する家庭裁判所が選任した成年後見人が、利用者の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人または成年後見人が、本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができる制度です。この成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に後見等の開始の申し立てを行い、家庭裁判所に後見人を選任してもらわなければなりません。申し立ては本人、配偶者を含む四親等以内の親族、身近に成年後見等の申立を行う親族がいない等の場合で、「福祉をはかるため、特に必要があると認めるとき」は市区町村長が申立をすることができます。これまで大田区では、成年後見人や保佐人または補助人の報酬に対する助成を区長申し立てに限って行ってきました。しかし核家族化や格差と貧困が広がる中で、例え親族申し立てができた制度利用者の中にも後見人等への報酬を支払うことが困難な利用者が増えてきています。現在、東京23区では10区で区長申し立てに加え、親族申し立てにまで後見人への報酬助成を行う自治体が広がるなど高齢化社会への対応・体制整備が求められます。
●これまで区長申し立てに限ってきた成年後見人等への報酬助成を親族申し立てまで広げるよう提案します。その際、多くの区民が利用できるよう予算額を拡充し、現在要綱になっている「大田区成年後見制度利用支援事業要綱」を条例化するよう求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、成年後見人に対する報酬助成制度の拡充及び条例化についてのご質問でございますが、区は、これまでも区長申立ての場合で後見報酬を負担することが経済的に困難な方に対して、報酬助成を実施してまいりました。今後は、本人または親族申立ての場合についても、本制度のさらなる利用促進を図り区民の権利擁護の充実を推進するため、適切に対応してまいります。また、本制度は、現在、大田区成年後見制度利用支援事業要綱により適切に実施しており、条例化は考えていないところでございます。

【佐藤議員】
4月から消費税率が8%へ増税されるなかで、区内の小中学校の学校給食にも影響が出ていることが考えられます。
総務省統計局が5月30日公表した4月の全国消費者物価は指数は昨年4月に比べ3.2%も上昇し、3月からの上昇率もバブル期以来の伸びを示しています。一方で、厚生労働省が6月3日に発表した今年4月の毎月勤労統計調査によると基本賃金を示す「所定内給与」は0・2%減の24万3989円と、25カ月連続でマイナスになりました。正社員を指す一般労働者が(0・1%増)、非正規を指すパートタイム労働者(0・6%増)とも1人当たり賃金は増加しました。しかし、一般労働者に比べ、賃金の低いパートタイム労働者の割合が増え、全体としては減少傾向から抜け出せていません。区内経済も引き続き厳しい環境におかれ、区民生活も消費税増税の大波を受け苦しい状況がこれらの数字からも読みとれます。大田区教育委員会は今年度、学校給食の値上げは行いませんでした。増税と物価高で苦しむ区民生活から考えれば歓迎されることですが、区内の複数の小中学校に食材を納入している業者の方からは、学校から「4月以降も値上げしないでください」と言われたとの声が党区議団に寄せられるなど、増税分のやりくりは学校現場に押し付けられています。学校給食法では、「学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものであることにかんがみ、学校給食及び学校給食を活用した食に関する指導の実施に関し必要な事項を定め、もつて学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ることを目的とする」として、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること など7項目にわたって学校給食実施あたっての目標を掲げています。
●今回の消費税増税による急激な物価上昇の中で質・量をしっかり確保し、安定した学校給食が継続されるよう大田区としての支援策を強化することを求めます。お答えください。

【津村教育長】
私からは、学校給食に関する2点のご質問にお答えをいたします。まず、給食の質・量を確保し、安定した学校給食が継続されるよう、支援策を強化すべき、とのご質問でございます。今春、消費税率が改定されましたが、区では、給食費の改定は行いませんでした。これにより給食の質や量に影響が出ないよう、教育委員会では、栄養や食育に配慮するとともに、食材費についても、きめ細かな試算により作成した標準給食献立を各校に配布するなど、給食の質の維持に努めているところでございます。特に、食材費の試算につきましては、実際に学校で購入している価格を定期的に調査し、給食費の範囲内で質を維持した給食を提供できるよう努めているところでございます。今後も引き続き、食材費の価格の動向の把握に努めながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

【佐藤議員】
●私は憲法26条で「義務教育は、これを無償とする」の立場から本来学校給食も無償と考えます。品川区や葛飾区では区立小中学校に3人以上の児童・生徒が在籍する世帯へ保護者負担を軽減するために、3人目以降の児童・生徒の給食費実費相当を補助する区独自の制度をつくり少子化対策に取り組んでいます。また、他の区でもひとり親家庭への区独自の給食費への補助制度を設けています。大田区でも区独自の軽減措置をつくり給食費助成を求めます。お答えください。

【津村教育長】
次に、子どもの多い世帯やひとり親世帯に区独自の給食費補助を実施すべき、とのお尋ねでございます。学校給食法及び同法の施行令では、給食にかかる人件費と施設整備の費用は設置者の負担、それ以外の費用である食材費は保護者の負担とすると規定しております。本区におきましても、この規定に則って給食を実施しているところでございます。また、本区では、一定の所得以下の世帯に対し、給食費相当額を就学援助費として支給することで給食費の補助を行っております。給食費などの就学に関する経費の補助は、保護者の子育てにかかる費用負担を軽減することを目的とするものですから、補助基準は、ひとり親かどうか等ではなく、その世帯の所得により定めることが合理的であると考えております。さらに、現行の就学援助費制度補助基準では、世帯の構成や世帯員の年齢により、きめ細かく所得制限を定めており、子どもの多い世帯への配慮も行っているところでございます。したがいまして、新たな区独自の補助制度を設ける考えはございません。

以  上

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