第1回定例会代表質問(速報)―黒沼議員



(映像は大田区議会ホームページより:60分)

【黒沼議員】
日本共産党区議団を代表して、質問項目に沿って順次区長に質問します。

安倍内閣の暴走から区民の命と暮らしを守ることについて

【黒沼議員】
まず最初に、安倍自公政権の暴走から区民の命と暮らしを守ることについて伺います。
安倍自公政権は、消費税大増税、社会保障切り捨て、原発推進、集団的自衛権行使容認、秘密保護法強行など全て多数の民意に逆らい、暴走しています。とりわけ、消費税大増税と一体の大企業へのばらまき政治は、社会保障のため、財政再建のためという従来の増税合理化論をみずから壊す結果となっています。2014年度政府予算案の特徴は、まさに法人税減税の大企業栄えて民滅ぶ、軍事費2年連続で2.8%増額の暮らしを犠牲に戦争する国へという安倍内閣の暴走を象徴する予算案となりました。
4月から8%の消費税増税で8兆円の負担増が押しつけられます。重大なのは、消費税増税で拡大した財源が全て社会保障に使われるという触れ込みでしたが、大企業の減税や大型公共事業、軍事費の増額で、消費税増税分のわずか10%しか社会保障に予算計上されていません。社会保障分野は逆に削減と抑制を列挙しました。年金給付の連続削減、70歳から74歳の医療費窓口負担の2倍化、生活保護費の給付削減、介護制度の改悪、国保料、後期高齢者医療保険料全て値上げなど、社会保障改悪がめじろ押しとなっています。
●区長はこれまで、消費税は社会保障のためと答弁してきましたが、その間違った立場を改めるべきです。お答えください。

【松原区長】
消費税についてのご質問でございますが、消費税率の引き上げに当たりましては、社会保障制度改革推進法の定めによりますと、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点等から、社会保障給付に要する費用に係る主要な財源には、消費税の収入を充てるとされております。平成26年度の国の予算では、消費税率引き上げに伴う増収分を含む消費税の全てが社会保障の充実のほか、その制度の安定化のために充てられております。こうしたことから、消費税収の全てが社会保障の財源とされているものと認識をしております。

【黒沼議員】
次に、アベノミクスで景気が回復傾向について伺います。
物価は上がり続けているのに収入は増えず、暮らしは立ち行くのか、仕入れにかかる消費税は増えても、そう簡単に値上げできそうにない、結局は身銭を切ることになる。景気回復はかけ声倒れです。大田区商連の機関誌の年頭挨拶で、会長は次のように述べています。昨年はアベノミクスで景気が上向きと言われました。しかし、商店街をめぐる環境は決して楽観視できるような状況ではありません。4月以降の消費の落ち込みが懸念されるところです。大田工連会長の年頭所感でも、アベノミクが経済を立て直したという記事が書かれている一方、日本商工会議所会頭が、ものづくり中小企業の経営が思わしくない状況を鑑み、至急調査するよう指示を出したという記事もあったと疑問の声を上げています。
ある商店会の新年会に自民党の国会議員が、アベノミクスで景気がよくなってきていますと挨拶すると、まちには少しもよくなっていないよ、大きい企業だけではないかと参加者から大きな声が出ましたが、その国会議員は口を濁してしまいました。私が訪ねた八百屋さんは、今でも野菜の値段など高騰しお客が買え控えていて、蓄えを持ち出しながら営業を続けているが近所も潰れている、もう商売なんてやらないほうがいいと思っている、何がアベノミクスかと怒りをあらわにしています。
しかし、区長は、今定例会開会の挨拶で、景気は回復に向かっている、内閣府の景気ウォッチャー調査でも売れ行き好調との引用をしました。企業倒産数が減ったことだけを強調しました。しかし、実態は倒産よりも廃業が多いのです。倒産が少ないからといって、一概に景気回復の指針とするわけにはいきません。17日に発表された2013年12月のGDPは、駆け込み需要と円安効果があったにもかかわらず0.3%増にとどまり、民間予測を大きく下回りました。総務省の家計調査でも、2人以上の世帯消費支出は3か月連続減です。一方、東証一部上位企業はもうけを膨らませ、リーマンショック以前の利益をさえ上回りました。厚生労働省が18日に発表した毎月勤労統計調査によると、基本給と残業代を合わせた決まって支給する給与は、前年同月比マイナス0.2%と26万739円で、19か月連続減です。アベノミクスの恩恵は、一部の富裕層と大企業にとどまっています。
●区長の引用したデータは、大企業の目から見たものです。区長は区民の声、区商連、工連の立場で、さらに区内中小零細企業の立場で区政を担うべきです。お答えください。

【松原区長】
まず、区長は、区民の声、区商連、工連の立場で区政を担うべきとのご意見でございますが、区の産業振興の展開につきましては、国や東京都の様々な経済指標を参考にしながら、大田区商店街連合会や大田工業連合会などの産業団体の意見も拝聴いたしまして、各種の中小企業振興策を実施しているところでございます。可能な限り個別の事業者の抱える課題をも把握しながら、大田区全体の経済の活性化につながっていきますよう努めてまいりたいと思います。

【黒沼議員】
その立場に立つなら、決して消費税増税の容認はできないはずです。逆に、今なすべきことは、賃上げと年金支給額引き上げ、適切な下請単価の引き上げで国民の購買力を高め、内需拡大の政治にかじを切りかえることです。そうしてこそ、大田区の不況打開にもなります。区長は、この立場にしっかりと立つべきです。
日本共産党は、消費税増税に頼らず、日本経済に好循環をもたらすには次の4点の政策を掲げています。第1に、働く人の所得を増やす経済改革で経済危機を打開する。第2に、消費税大増税に反対し、税財政と経済の民主的改革で財源を賄う。第3に、社会保障の解体攻撃と戦い、社会保障再生・充実を図る。第4に、内需主導の健全な成長をもたらす産業政策への転換を図る。
提案の第1の働く人の所得を増やすことは、今や大きな国民世論になっており、政府も経済界に内部留保の活用を提起するほどになっています。連合も6年ぶりに1%以上のベースアップを要求するなど、新しい局面が生まれています。大企業がため込んだ内部留保は270兆円にもなります。この内部留保が市場に出回ることが必要です。その際、内部留保のない中小企業の賃上げはどうするかです。今こそ最低賃金など賃金アップで経済の好循環を、こんな声が海の向こうのアメリカオバマ政権から聞こえてきました。同じ動きはヨーロッパからも聞こえてきています。オバマ政権がしているように、中小企業予算を政府が抜本的に増やして、賃上げを援助することです。アメリカに学んで、大田区の中小企業を救うためにも、政府に中小企業予算を増やすことと最低賃金のアップで、政治の力で賃上げを実現すべきと意見を上げることです。
●また、区長は、機会を捉えて申し上げているとこれまで答弁してきましたが、賃上げの要望はしていません。キヤノンをはじめ、大田区内に本社のある大きな企業に直接出向いて要望することです。お答えください。

【松原区長】
次に、経済の好循環を生み出すために、区内企業に対し賃上げを要望すべきであるというご質問でございますが、賃上げは民間企業内において労使間で決定すべき事項と認識をしております。現在、国においても賃上げについて経済関係団体への協力を要請しておりますので、区といたしましても、この推移を見守ってまいりたいと考えております。

【黒沼議員】
安倍暴走政権に対して、こんな荒廃した社会にしてしまっていいのかという怒りと不安の声が上がっています。必ず国民の矛盾が噴出してくるでしょう。生活保護改悪に関しては、日弁連、司法書士会、ソーシャルワーカー協会なども反対を表明しています。受給者1万人が不服審査に立ち上がっています。介護保険改悪に関しても、厚生労働省に協力してきたNPOや有識者からも批判が続出しています。年金削減に対しては、12万5,000人が不服審査で立ち上がっています。日本共産党大田区議団も、これらの人々と手を結んでともに頑張ります。

区民のための「未来プラン」の提案について

【黒沼議員】
次に、区民のためのおおた未来プラン10年(後期)素案の提案について伺います。
●後期素案の基本として、地域力と国際都市を位置づけていることが問題です。地域力では、地域力と大田区との連携でまちづくりを進めると、連携という文言で区民と大田区を同レベルにして、財政保障という区の責務を放棄しているのが特徴です。つまり、地域力の名のもとに様々なことを区民に押しつけながら、予算を減らしていることです。例えば、住宅の耐震補強工事、不燃化事業、区民の備蓄、家具転倒防止器具の設置など、区の計画どおり進んでいないことが証明しています。自助と共助が地域力ですが、十分に必要な財源も保障し、自治体としての責務を果たすことです。区民に無理な負担を押しつけず、地方自治法第1条の住民の福祉の増進を図るという本来の責務を果たすことです。お答えください。

【松原区長】
次に、自助という名のもとに地方自治の責務を放棄しているのではというご質問でございますが、大規模地震発生直後は、自分の命や安全はみずから守る自助、そして、隣近所の協力や地域の支え合いによって助け合う共助が重要となります。平成26年度当初予算におきましては、区民の命を守るために、新型D級ポンプの入れかえ、建築物の耐震診断・改修助成、福祉避難所における防災物品の配備など、また、最低限の生活を守るために、学校防災活動拠点の整備や消防団の環境整備など、そして、災害対策本部機能の強化として、河川及び水門監視カメラの設置、生活再建支援システムの導入など、総合防災力を強化するための事業費を計上しております。区は、公助としての役割を十分に認識し、責任を持って総合防災力の強化に当たっているところでございます。

【黒沼議員】
次に、国際都市について伺います。
区は国際都市として取り組むものに次の3点を挙げています。一つ目に、空港跡地開発計画。二つ目に、便数の増える空港と結びつけての新空港線の設置。三つ目に、京急蒲田、糀谷、雑色各駅前再開発などの大型開発で大企業奉仕の計画になっています。
●このことから、国際都市とは大規模開発になっていることです。こうした開発は真の国際化ではありません。本当の国際化とは、お産難民解消、待機児解消で暮らしやすく働きやすい大田区、特養の待機者解消で介護しやすい大田区ではないでしょうか。若者が働きやすく、結婚できる大田区ではないでしょうか。実現し、真の国際都市、世界に恥ずかしくない大田区にしようではありませんか。お答えください。

【松原区長】
区は国際都市と言いながら、その内容は空港跡地などの大型開発で、大企業奉仕の計画になっているとのご指摘でございますが、空港跡地は、新空港線整備、京急線駅前再開発、国際化が進む羽田空港を有する大田区が、国際都市おおたの実現に向け、未来を見据えた歩みを着実に進めるための重要な事業であると考えております。平成26年度予算では、国際都市おおたの実現に向けて、国際理解教育の推進、区内企業の海外取引拡大支援、インバウンド誘致、観光マーケティング調査など、国際都市関連の様々な事業を展開いたします。限られた財源を効果的かつ効率的に活用できますように、施策の緊急性、重要性などを見極め、区民にとって必要な施策を着実に推進し、魅力的なまちづくりを目指してまいります。

【黒沼議員】
●以上、プランに述べられている快適で安らぎにあふれる暮らしやすい魅力あるまちづくりという真に国際都市にふさわしいまちづくりにするためには、保育園の待機児解消を2018年度まで延ばすのではなく、特養ホームの待機者解消のため、公的土地の活用も含め、独自財源も含めて、いずれも早期実現、区営住宅等の建設計画などを具体化することです。お答えください。

【松原区長】
未来プランに関するご質問をいただきました。待機児童解消については、多様な保育ニーズに対応するため、待機児童ゼロを目指し、計画化を進めています。平成26年度予算案では、330人分の定員増を計上しております。介護保険施設等の入所定員数について、未来プランの目標値を3,300人としています。平成26年度予算案では、特別養護老人ホーム3か所の整備支援を計上しております。区営住宅等の建築計画につきましては、建設計画を策定する予定はございません。

区民の命と暮らしを守る予算への転換について

【黒沼議員】
次に、区民の命と暮らしを守る予算への転換について伺います。
まず、2月20日に日本共産党区議団が区民の暮らし・健康を守り、教育を充実させるための緊急要望として以下の6項目を区長に申し入れました。
1 国民健康保険料を値上げしないこと。また、保険料を抑えるために国庫負担割合を増やすことを国に求めるとともに、東京都にも財政支援を求めること。区独自の軽減策である一般財源での高額療養費の措置の縮小、廃止をせず継続すること。
2 東京都後期高齢者医療広域連合に保険料の値上げをしないよう求めること。
3 東京都に対し、大気汚染医療費助成制度を継承するよう求めること。
4 都・都教育委員会に対して少人数学級の拡充を図ること。
5 消費税増税により、保育園、区立小中学校の給食の質を落とさないよう対応すること。給食費を値上げしないこと。
6 認可保育園待機児を出さないようあらゆる手だてを尽くすこと。
●以上、党区議団の要望に区長の見解を簡潔にお答えください。

【松原区長】
次に、国民健康保険料と後期高齢者医療保険料についてのご質問ですが、国保会計は依然として厳しい財政運営が続いており、また、国保運営の都道府県化を見据え、来年度以降、高額療養費を段階的に算入することといたしました。国保料の算定に当たっては、特別区独自の軽減策など過大な負担とならないように措置を講じているところでございます。国や都に対しては、引き続き国保財政の基盤強化、拡充を求めてまいります。次期後期高齢者保険料については、広域連合が独自の保険料抑制策を行うなど、できる限りの方策を講じた上で算定したものと理解をしております。
東京都に対し、大気汚染医療費助成制度の継続を求めよとのことでございますが、本制度は東京大気汚染訴訟の和解に基づき、東京都が条例によって実施している医療費助成制度でございます。この制度は、昨年東京都から18歳以上を対象とした経過措置を含めた制度の見直し内容が発表されております。区といたしましては、都の動向を注視するとともに、認定されている区民の皆様に正確で丁寧なご案内に努めてまいります。
次に、消費税増税により保育園の給食の質を落とさないよう対応すること、待機児童解消に向けてあらゆる手だてを尽くすべきとのご質問でございますが、まず、保育園給食につきましては、子どもたちの健やかな成長に資するために、これまでも質を確保し、安心・安全な給食の提供に努めてきたところでございます。引き続き適切に対応してまいります。
次に、待機児童解消につきましては、これまでと同様に多様な主体と連携・協働し、既存保育資源の有効活用など、様々な手法を用いて待機児解消対策の充実に努めてまいります。
【津村教育長】
まず、少人数学級についてでございますけれども、現在、大田区立小中学校では、国や都の方針を踏まえ、特にきめ細かな教育が必要とされる小学校第1・第2学年及び中学校第1学年のクラス編制を、原則として35人以下としております。少人数学級につきましては、様々な意見があるところでございまして、その他の学年についても35人以下で学級を編制していくべきかどうかにつきましては、現状では国や都の動向を見守ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、学校給食についてでございますが、給食費は給食の食材費のみを保護者に負担いただいているもので、小学校1・2年生は月額3,800円、3・4年生は4,200円、5・6年生は4,600円、中学校は全学年一律で5,000円としております。これは1食当たり220円から300円となります。消費税率改定の影響や、ここ数日は雪害による野菜価格の高騰などによりまして、現行の金額で給食を提供していくことは極めて厳しい状況になっているところでございますが、当面はメニューの工夫などによりまして、給食の質に十分配慮いたしながら、現行の徴収額を維持してまいりたいと考えているところでございます。私からは以上でございます。

【黒沼議員】
新年度予算の一般会計予算規模は2,420億2,000万円余で、前年度比4.2%、98億5,000万円余の増となりました。評価できる点として、約20倍の経済効果が前年度明らかになったリフォーム助成の拡充、区内製造業と商店街の実態調査、学校避難所備蓄物の充実、わがまち防災ネットシステムの導入、生活再建支援システムの導入、児童館、福祉避難所等における備蓄物品等の整備、自転車等駐車場の整備、大森駅東口エレベーター設置調査、買い物弱者支援対策等の商店街活性化のための新事業、待機児童対策の拡充のための老朽化した区立保育園の改築による定員増、認可保育園の開設支援、食物アレルギー対応用の食器及びトレーの購入、3か所の特別養護老人ホーム、1か所の老人保健施設の整備支援、つばさ教室の増設、特別支援員の配置時間の増については評価できます。なお、(仮称)障がい者総合サポートセンターの開設も評価できますが、管理運営の委託はしないことを特別に求めておきます。
しかし、予算案の問題の第1は、2011年度から3年連続マイナスシーリングし、100以上の事業の廃止、縮小に続いて、新年度も区民に親しまれた事業を廃止、縮小したことです。予算編成方針で区の全ての施設及びその執行方法について、大田区経営改革推進プランを踏まえ、必要性、効率性、優先度等の検証、評価を厳格に行い、事務事業の見直し、再構築を主体的に断行することとし、事業を廃止、縮小し、見直した事業の主なものは次のとおりです。募集倍率の高い借り上げ型区営住宅建設補助の廃止、生活保護世帯に出産時、乳児に粉ミルクの支給14万1,000円の廃止、寿祝金の削減、小規模企業等健診助成、中小企業勤労者生活資金融資。さらに、本議会には、大田区の誇れる事業であった限度額300万円の小規模融資制度の廃止条例が出されています。
●見直しの中で最も怒りが沸いたのが、寿祝金を5,000円から3,000円にしたことです。つい最近まで1万円だったのです。その総額は556万2,000円のけちけち削減です。長生きを祝えない大田区になったのでしょうか。地方自治法第1条の任務から見て、高齢化社会にふさわしい仕事をすべきです。「祝金を届けてもらったとき、自分が社会的に存在していることを認めてもらっていると感じ、今後の生きる支えになっている」と言ってくれた高齢者を今も忘れられません。これらの削減してならないものはならないのです。お答えください。

【松原区長】
次に、寿祝金についてのご質問でございますが、社会福祉協議会は、26年度から贈呈品を毛布から区と同様の区内共通商品券に変える予定とのことでございます。このことを踏まえて、区は寿祝金事業の再構築を行い、26年度は社会福祉協議会と区とであわせて5,000円の区内共通商品券を、小学生からの感謝の気持ちを込めたメッセージカードを添えてお届けをする考えでございます。

【黒沼議員】
予算の第2の問題は、職員定数基本計画です。2004年度から2013年度の10年間で定数を累計で1,283人削減し、さらに新年度から2年間で227人の削減を計画し、ひたすら民営化、アウトソーシングを進めています。新年度の民間委託として大森、羽田、池上の3特養ホーム、都南、志茂田、第五小の3小学校給食調理、累計で51校になりました。池上第二、高畑の2保育園、累計で21園になりました。大森北、田園調布の2児童館、累計で6館になりました。この民間委託です。新年度で指定管理者152件、民間委託は1万件以上となり、身分も不安定で低賃金の非正規労働者に置きかえられています。その結果、常勤職員が62%になり、残り38%が非常勤職員等で区の業務を支えていることになります。
指定管理者制度などのアウトソーシングは民間のノウハウを生かすよりも安上がりの目的が大きく、官製ワーキングプアを生み出しているのが実態であり、深刻です。そのことは、常に募集広告の給与が最低賃金ぎりぎりなのが証明されています。例えば、保育園委託企業の民間企業の募集広告では、一般職で時給890円、専門職の保育士でさえ月給18万7,700円です。これを官製ワーキングプアと呼ばないで、何と言うのでしょうか。そうしたことが専門性と質の低下を生み出してきました。
そのため、次のことが起きています。委託保育園では離職率が相変わらず激しいこと、区の会議室を利用した区民からは、次の声が聞かれます。委託担当者から早く片づけてと言われ、時間いっぱい使えないなどの苦情が絶えないなど、サービス低下の声は枚挙にいとまがありません。
●公務員の全体の奉仕者としての役割を生かして、さらに区民に喜ばれ、安心した区政にすべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、事務事業のアウトソーシングについてご質問をいただきました。社会経済状況の変化に伴い、区民ニーズは多様化、複雑化してきております。このため、行政課題の解決に向けた公民連携と民間活力の活用は必須であると考えております。事務事業の外部化に当たりましては、区は受託事業者等の指導、管理を行うほか、労働基準法等関係法令の遵守を求めています。大田区が真にみずから執行すべき事業を見極めながら、大田区アウトソーシング指針に基づき、今後も適切な行政サービスの提供に努めてまいります。

【黒沼議員】
第3の問題は、区民の暮らし、福祉を切り詰めながら、一方で大規模開発事業が予算を圧迫していることです。都市整備費は前年度比21.6%、29億円余の増で、款別で最大の伸びとなり、過去最高の167億円余となりました。その中で、京急関連駅周辺まちづくり事業に前年度比22億円増の67億8,400万円です。住民追い出しのまちづくりを進めるもので、京急蒲田駅西口駅前再開発では、地権者、借地権者、その他など、従前314件のうち約6割の181件が転出しています。国際戦略特区では、特区を活用した成長戦略拠点空港跡地の整備8,248億円では、2020年を目途に空港跡地への産業交流施設、多目的広場などの整備を進めるものとなっていますが、総額300億円から400億円の財政投入になり、与党からも一自治体の仕事ではないと批判されています。新年度は跡地第2ゾーンとの相乗効果を狙った官民連携スキーム、国内のえりすぐりの資源を集積し、海外へ発信する拠点形成などを調査検討するものですが、いよいよ官民連携に手をつけようとしています。
●2月10日月曜日、日本共産党大田区議団は内閣官房室と国土交通省を訪ねました。レクチャーを受けてきましたが、大田区だけで約300から400億円もの計画であることを一切否定しませんでした。このような無謀な計画はやめるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、空港跡地の事業と大田区の財政に関するご質問でございますが、空港跡地につきましては、戦後の強制退去などの歴史的な経緯があり、また、国際化が進む羽田空港に隣接する貴重な土地でありますので、国際都市おおたの実現とともに、国内はもとより、海外を視野に入れた広域的な視点からも有効に活用したいと考えております。
空港跡地のまちづくりにつきましては、現在建物の基盤施設の内容、事業手法など全体の事業スキームについて検討を進めております。大田区といたしましては、東京都や国と連携し、特区制度をはじめ交付金、補助金制度を活用するなど、区財政への影響に十分留意しながら事業を進めてまいります。

【黒沼議員】
特区構想とは、法人事業税の免除など大幅な減免によって外国企業を呼び込もうとするものです。しかし、内閣府の企業行動に関するアンケート調査によると、企業が海外に生産拠点を置く理由の第1位は、「現地・進出先近隣国の需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる」で、回答の50.8%を占めているのです。法人税減税が企業立地の鍵とならないことがわかります。外国企業が魅力を感じるのは、減税ではなく市場なのです。さらに、対日投資につながるとの見方もありますが、多国籍企業を潤すだけで投資できず、内部留保がたまるだけの日本に投資につながる保障はありません。
●外国企業を呼ぶのは根拠がありません。特区による減税での効果だけに頼るのではなく、極端に輸出に頼る経済から内需拡大できる経済に変えるべきです。国内で販路拡大の道を進むべきです。それができないのであれば見直すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、特区構想によります跡地の取り組みは見直すべきだとのご指摘でございますが、言うまでもなく、地域経済の担い手は中小企業でございます。また、成長産業を下支えしているのも中小企業でございます。大田区は、この中小企業に光を当て、市場の開拓や技術力の向上に資するための仕組みをつくりたいと考えております。アジアヘッドクォーター特区では、東京都が外国企業にヒアリングを行い、ビジネス環境や社員、家族が住みやすい生活環境の整備ニーズを確認した上で取り組んでいると聞いております。こうした東京都の取り組みとあわせて、誘致した海外企業と大田区内のものづくり企業を結びつけ、基盤技術の集積強化を図るほか、国内中小企業とのネットワークを構築して、広域的な波及につなげるのが空港跡地の産業交流施設でございます。国の取り組みや、東京都や大田区など自治体の取り組みとが連動し、相乗効果を生み出していくことが重要であると考えております。

【黒沼議員】
しかも、この特区に選ばれた地域において、解雇特区も盛り込まれようとしているのです。労働者の人権より市場の論理優先の手法を使っています。企業が一番活動しやすい国づくりとしての目玉の一つです。このように、特区構想そのものが多国籍企業のためであり、一番肝心な内需拡大には悪循環であり、悪影響です。今こそ冷静な判断で、足元からよりよい大田区に変えていくことが求められています。
●そこでお聞きします。現在の約3,000余と言われる大田区の町工場で、どれだけ海外との取引があるか、海外マーケティングや区内中小企業全体マーケティングを行い、説得力ある裏づけをした上で、ゲートウェイ構想でそれをどこまで伸ばそうとしているのか、数値目標をお聞きします。見通しが立てられなければ、これまた見直すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、ゲートウェイ構想における海外取引の数値目標についてのご質問でございますが、現時点では数値目標を設定する段階にはございませんが、海外企業の誘致や国際的受発注のコーディネート機能により、海外取引の拡大を含め、産業の活性化を図ってまいりたいと考えております。

【黒沼議員】
新空港線の積立金は、2014年度も5億円積み立て計画で合計15億円になります。厳しい財政、限られた財政と言いながら、新しい赤い表紙のパンフレットからは蒲蒲線の名称が消え、新空港線のみとなりました。24時間国際拠点空港化が進む羽田空港を結ぶ新しいアクセスルート新空港線と国際都市東京との位置づけになり、池袋、埼玉方面へが強調され、区民のため便利は消えてしまいました。それは、今年2月7日に港区、新宿区、品川区、目黒区、渋谷区、豊島区、大田区の関係7区として7区長連名で新空港線早期整備着手に関する要望書を東京都知事に提出していることが裏づけられています。
そしてパンフレットには、羽田に一番近いおもてなしにぎわい拠点蒲田と、素通りされないための何の対策の記載もなく、取ってつけたようにバラ色に描かれています。多摩川線の各駅素通りも解決されず、逆にあかずの踏切になりかねない計画、東急蒲田駅地下で京急線と乗り換えしなければならない問題も解決されず、京急蒲田とJR蒲田をつなぐという蒲蒲線から遠くかけ離れてしまいました。まさに蒲蒲線が消えたゆえんです。区民の願う蒲蒲線とは異なるものとなってきているのではないでしょうか。だからこそ、連合町会の予算要望のまちづくり関係で、新空港線蒲蒲線については、プラス面だけでなくマイナスの影響とその解決策を明示し、近隣住民の納得を得ながら整備を進めることとしています。大田区が地域力の要としている連合町会に疑問を持たれているのです。
●これまでの基金10億円と新年度の5億円積み立ても即刻やめ、区民のために活用すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、新空港線の基金に関する質問でございますが、新空港線整備により区内の移動が便利になることはもちろん、地域間の交流の拡大やまちづくりへの寄与、羽田空港へのアクセス強化、災害時の迂回ルートの確保など、区民の生活や地域経済活性化にも大きな効果が期待されているところでございます。また、先に行いましたおおた未来プラン10年(後期)策定に伴う区民アンケート調査の住みよいまちづくりに向けての質問では、JR・東急電鉄と京急電鉄の接続改善は、耐震化に次ぐ2番目であります。新空港線の早期整備に対する区民の皆様の期待は大きいものと感じております。こうした皆様の期待に応えるため、新空港線の早期実現に向けた整備資金として、新空港線整備資金積立基金を積み立てているところでございます。

【黒沼議員】
次に、再開発に関連してまちづくりについて伺います。
日本共産党は住民のためのまちづくりを目指しています。まちづくりは、人間らしい生活と住み続けられる条件を保障することです。しかし、区が進めている京急蒲田西口再開発事業は住民本位にはなっていません。それは、人々の居住区を取り壊し、オープンスペースで囲まれた商業建築と高層アパート群に置きかえる方式です。本来のまちとは、住民に見合う商店地区を配置し、公園、レクリエーション用地など確保し、保育園、高齢者施設、医療施設があり、住民がそこで生涯生活することを保障されることです。
京急蒲田西口再開発との関係で、地域情報紙「かまた東」の第43号、昨年8月23日付け発行の1面に載った京浜蒲田町会長の文章には、「今、街は大きな変貌を遂げようとしておりますが、効率、利便性に走らず、地域の子どもを中心とした街作り、さらに次世代につながる街づくりになることを願って、努力を続けていきたいと思います。」とあります。
住み続けられる開発になっていないことは、先ほど言いましたように、権利変換で地権者は27%、借家権者は89%など、58%が転出です。半分以上が残れなかったのです。さらに、残ると決めた人たちから相談が来ています。完成後管理費は30平米で月1万4,160円、年16万9,920円、50平米で月2万3,600円、年28万3,200円です。年金生活者からの相談ですが、払い切れないとの相談です。近隣の同レベルマンションの2倍となることがわかりました。これでは住み続けられないとの悲痛な声に、私も胸が痛みました。58%の立ち退きに加え、残ろうとした人も立ち退かざるを得ないとなれば、何が再開発でしょうか。
●そこで伺います。今からでも住み続けられるための計画に見直すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、京急蒲田西口再開発事業についてのご質問でございますが、京急蒲田西口駅前地区第一種市街地再開発事業は、長い年月をかけて地元地域住民の皆様がまちづくりの創造と選択を重ね、まちの不燃化や耐震化を求め、安心で安全なまちの形成と交通結節点としての機能強化が図られた事業でございます。また、再開発地域に権利をお持ちの地権者の多数の方が住み続けられる開発になっております。管理費及び修繕積立金につきましても、地権者の皆様が検討中と聞いております。当事業は、権利変換を終え、駅前広場などの公共施設及び再開発ビルの建設中であり、区といたしましては、引き続き再開発事業完了を目指してまいります。

【黒沼議員】
次に、減債基金について伺います。
区債は、2004年度1,058億円から2012年度478億円と580億円も減っているのに、それに活用すべき基金の減災基金は、2004年度120億円から2012年度175億円、何と58億円も増やしているのです。とても不思議なことです。膨大な返済を行ったのに、減債基金は逆に増となっています。
●減債基金の適正化が必要です。区債の残高を考えれば、これほどの減債基金は必要ないと判断せざるを得ません。これらを活用し、区民生活を支えてきた事業の廃止、縮小はやめ、さらなる区民施策の充実こそ行うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、減債基金を適切に活用して、区民生活を支えてきた事業の廃止、縮小はやめ、さらなる区民施設の充実を行うべきとの質問でございますが、平成26年度税制改正の大綱において、法人住民税法人税割の一部を国税化することが示されました。今後、特別区財政調整交付金の大幅な減収が見込まれるなど、区は基幹財源の先行きに不透明な要素を抱えております。おおた未来プラン(後期)に掲げた事業を着実に実施していくためには、特別区債の活用が欠かせないところでございます。このような観点において、減債基金の現在高は適切なものと考えております。

大田区の宝、中小企業振興について

【黒沼議員】
次に、大田区の宝、中小企業振興政策について伺います。
アベノミクスが言い続けている大企業が成長すれば日本経済はよくなり、いずれ中小企業もよくなるという考え方ですが、大企業は空前のもうけを上げているのに、中小企業の倒産、廃業が続いています。この考え方はもはや成り立たないのです。中小企業を直接応援する制度に変えるべきです。そのためには、中小企業憲章を生かす必要があります。ヨーロッパでは既に2000年に打ち立てられています。ものすごく格調高いものです。中小企業はまさに日本経済の根幹であり、中小企業が栄えてこそ大企業を含めて経済全体が栄えるし、国民の暮らしも栄えるという考え方です。こういうやり方に180度転換する必要があります。
大田区の特徴は部品加工ですが、技術水準の高さとともに、中小企業白書にも書かれているように、全国に取引先を持っていること、つまり日本全体を支えていること、子どもの育成など、地域の公共財としての役割を持っていることです。この宝が途絶えかねない深刻な危機にさらされています。バブル経済のときは担い手が30代、40代でしたが、今は60代、70代が支えていて困難に拍車をかけています。
●解決しなければならない一つ目は、単価を異常に引き下げたり、消費税分を押しつけるなどの下請いじめの一掃です。二つ目は、親会社が適正な利益を生むよう仕事を発注しなければならないという下請振興法に基づいて守られるようにすることです。そのためには、日本だけの不平等とされる需要に合わせて生産を増減する生産の調整弁の役割を一手に背負わされてきたゆがみを正すことです。予算に盛られた全数調査は、こうした実態、要求をつかめるようにしていただきたいのですが、いかがでしょうか。つかめるようにして、中小企業庁や公正取引委員会などに強く要望することです。お答えください。

【松原区長】
来年度の予算案に盛り込まれた全数調査についてのご質問ですが、製造業に関する調査については、減少が続く大田区製造業の新たな方向性を見出すために、全事業所を対象に、大田区の強みであるネットワーク型の取引構造の変化や開発型企業の動向、立地に関するニーズ等を把握してまいります。このような動向把握を通じて、企業間の取引促進や研究開発型企業の誘致など、大田区中小企業の発展に向けた有効な施策を検討したいと考えております。そのため、ご意見のありました内容については、調査を実施する考えはございません。

【黒沼議員】
●次に、産業経済部の予算もふさわしいものにすべきです。一般財源の5%、約100億円にして、次の3点を実施するよう提案します。第1に、人材育成、後継者育成を本格的に支援することです。ここは最も財源を必要とするところです。経営者も応援し、ネットワークも支援することです。日本共産党区議団は、1人につき200万円の給料も含めた支援制度をつくり、区内中小企業の製造業で現存する後継者に数年で仕事の基本を身につけていただく制度を求めます。お答えください。
中小企業白書にも記されています。中小企業が連携して経営資源の強みを持ち寄り、成功の可能性を高めていくことも重要である。このよい例がボブスレーです。ボブスレーの取り組みに励まされ、新たに挑戦している11社の異分野中小企業が有機的に連携し、安価ですぐれた小型風力発電機の開発チームを知っています。100人の工匠に選ばれた方も5名も参加しています。部品を担当し、持ち寄って組み立てて、発電できるまでに進んでいます。お答えください。
高技術、専門集団で新しい事業分野が開拓され、単なる部品加工でなく製品となるのです。この支援が必要です。このような支援のためには、予算も件数も増やす必要があります。東糀谷工場アパートで行っているのは、実際は家賃助成なのに支援名目は違います。同じように、工夫して中小企業への家賃、機械のリースなど固定費を直接支援し、貴重な技術が消えないようにすることです。お答えください。

【松原区長】
次に、産業経済部の予算についてのご指摘でございますが、大田区では人材育成、後継者育成のため、大田工業連合会の機動力を活用した次世代ものづくり育成事業や、工匠の技術指導事業を実施しております。また、企業間ネットワークについても積極的に推進し、さらにそのネットワークによる製品化開発には新製品・新技術開発支援事業で支援させていただいております。事業の実施のためには必要な予算を確保しているところであり、今後も区内産業の活性化につながる支援策を実施してまいります。

【黒沼議員】
次に、2014年度組織改正について伺います。
●組織改正の目的は、おおた未来プラン10年(後期)素案を実現するためとしています。地域力推進部の新設は防災機能の強化、観光・国際都市部の新設に伴って産業経済部から商業振興担当課長のポストが消えました。理由は、空き店舗を子育て支援的活用などとして考えるため、様々な業種との連携が必要であり、産業振興担当としたとのことです。しかし、商業は商業としてさらに力を入れなければならないのであり、区の言うことを尊重すれば、商業振興担当係長ポストと産業振興担当係長ポストを二つ置くべきです。二つ一緒ではどうしても商業振興がおろそかになりかねません。お答えください。

【松原区長】
次に、産業振興担当係長と商業振興担当係長を併設すべきとのご質問でございますが、区内には運輸業、不動産業、建設業、情報通信産業など多種多様な業種の企業が経済活動を行っております。今回の組織改正においては、工業を除く全ての産業を包括的に担当し、様々な業種との連携など産業振興施策を柔軟に推進する体制を整備するために産業振興担当係長を新設いたします。このことにより、様々な業種との連携などが加速され、これまでの商業振興施策を含めた産業振興施策がさらに推進できると考えております。ご提案の産業振興担当係長と商業振興担当係長の併設は考えておりません。

【黒沼議員】
また、最近兼務する区幹部の皆さんが多くなっています。兼務は大きな負担となり、十分な仕事ができにくいか、こなそうとすると重荷になり過ぎないか、いずれにしても、今後の大田区の幹部構成を考えた場合に改善が必要だと要望しておきます。

介護制度の後退をさせず充実させることについて

【黒沼議員】
次に、介護制度の後退を許さず、充実こそについて伺います。
厚生労働省の社会保障審議会が昨年末にまとめた介護保険制度の見直し案では、保険あって介護なしと批判されています。要支援者に対する訪問介護と通所介護を保険給付から外し、サービスを受ける保障をなくします。要支援者向けサービスの6割削減で、まさにデイサービス解体です。介護保険の利用者負担も、一定以上の所得があれば2割に引き上げられます。65歳以上の20%が対象です。特養では、居住費、食費の補助が縮小されます。これが実施されると、年30万円から80万円も負担が増えかねません。それこそ介護難民を生み出しかねません。
また、介護事業所にも介護職員にも大打撃を受けます。利用者が大幅に減ってしまうため、賃金や労働条件を引き下げる要因になります。現在の介護労働者の平均月収は21万円、訪問介護職員は18万円と全産業平均の32万円を大きく下回っています。介護現場で働く私の知り合いは、「人手がとても足りないのだけれども、とても一緒に働かないかと誘う気持ちになれない。自分もいつまで働けるのか」と語っています。これでは職員の確保も難しくなります。特養は要介護3以上だけの案です。待機者のうち、要介護1・2は31%にも上ります。何年も待っていたのにひどいの声が上がっています。しかも、利用料は2倍に、そして特養などの居住・食事補助は縮小です。まさに保険料は取るが介護はなしで、国家的詐欺だとの声が上がっています。
要支援のサービスを利用している高齢者は、歩く力が弱く、判断能力が多少落ちている人のほか、脳梗塞で軽い麻痺が残る人などです。そのため、掃除や買い物など訪問介護員に手伝ってもらいながら日常生活を送っているほか、通所介護では介護予防を目的とした運動に取り組んでいます。また、認知症の人にとっては、初期の段階でしっかりとしたケアを受けることが重症化の予防になっています。しかし、利用者や地方自治体、事業者などから反対世論と運動が急速に広がり、要支援者を丸ごと保険給付から外す企ては見直しに追い込まれ、訪問看護などサービス費の4割を残すことになりました。たたかえば変えられるのです。たたかいはこれからです。
●このように、要支援者を対象とした介護予防事業をしっかり進めれば、介護が必要な高齢者の増加を抑制することができます。要支援者への保険給付を引き続き継続することを政府に意見書を上げることを求めます。同時に、区でできる横出しは区民の保険料負担を軽減するため行うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、要支援者への予防給付に関して政府に意見書を上げること及び区独自サービスについてのご質問でございますが、まず、政府への意見書についてでございますが、現在、介護保険法の改正案が国会に提出されたところであり、区といたしましては、この動向を見守っていきたいと考えております。

【黒沼議員】
●これまでの区の答弁は、注視、いわゆる注目というものでしたが、区民に責任を持たない冷たい答弁ではなく、保険料を払って制度を活用しようとの立場に立つ区民を受け止め、後退させないとの基礎的自治体としての責務を果たすべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、保険料負担を伴わない区一般財源での独自サービスについてですが、地域包括ケアシステムを推進するため、高齢者福祉計画・第6期介護保険事業計画を策定する推進会議の中で検討していくものと考えております。いずれにしましても、区の高齢者が地域の中で様々なケアを受け、自分らしく安心して暮らせるまちづくりに取り組んでまいりたいと思います。

【黒沼議員】
次に、さわやかサポートセンター、包括支援センターの増設について伺います。
現在、20か所のさわやかサポートセンターで区内15万1,683人の対象者にして活動しています。介護保険法では、3,000人から6,000人に1か所に社会福祉士、ケアマネジャー、看護師あるいは保健師の最低3人が基準です。現実には、職員定数141人で行われています。仕事の内容は、高齢者サービス申請受け付け、要支援の方の介護予防プラン作成、介護予防教室の実施・案内、成年後見・財産管理などの相談、高齢者虐待に関する相談など、驚くほど多い仕事の内容です。
区は、サポートセンターを増やさず、1か所ごとの人数を増やして努力していますが、現場の声は人を増やそうにも事務所が狭く、机も増やせないのが20か所の大方の状況であり、必要に応じてセンターを増やすことです。扱う件数と仕事の内容が多過ぎて、あまりにもきつ過ぎる仕事に、残念ながら退職する職員が絶えません。6,000人担当を超える地域は、大田区で11もあります。例えば、南六郷の皆さんは、新しくできた雑色の複合施設、六郷地域力推進センター内のさわやかサポートセンターではなく、すごく遠い環八沿い、南蒲田三丁目にあるさわやかサポートセンター六郷東を訪ねなければなりません。このまま放置できません。
●この事態を解決するには、日本共産党が予算要望したように、少なくとも中学校区に一つ、つまり28か所、あと8か所増を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、さわやかサポートの増設に関するお尋ねでございますが、今後の高齢社会に対応していくためには、地域力を生かした高齢者支援のネットワークの構築が急務と考えております。その中核となりますさわやかサポートは、地域力の拠点となっている特別出張所の区域を基本に設置しているところでございます。また、必要に応じまして、人員配置等環境整備にも努めてまいりたいと思います。したがいまして、中学校区域を範囲としたさわやかサポートの配置は考えていないところでございます。

以  上

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