憲法25条に基づく生活保護制度について
【福井議員】
日本共産党の福井亮二です。まず、初めに生活保護の問題について質問します。
今月12日、厚生労働省は全国の生活保護受給者が211万人を超え過去最多となったと発表しました。なぜ、生活保護が増加しているのか。主な要因として、不安定な非正規雇用の拡大、高い失業率、ワーキングプアと呼ばれる生活できない低い賃金、無年金や低年金など、雇用破壊と貧困の拡大によるものです。年収二百万円以下の給与所得者が五年連続で一千万人を超えています。貯蓄ゼロ世帯は二割を超え、ふえ続けています。
個人の要因より社会の側に多くの問題があります。
この間、経済大国GDP第三位のこの日本で餓死した事例が複数ありました。
報道によれば、さいたま市で、60代の夫婦と30代の長男の遺体が死後2か月たってから発見されました。3人の死因は、餓死とみられています。
札幌市では、40代の姉妹が亡くなっているのが発見されています。死亡していたのは42歳の姉と、40歳の妹。妹には知的障害があり、姉は失業中の身。冷蔵庫には食べ物もなくガスも止められていました。
更に立川市で、母親と知的障害のある4歳の息子の遺体が発見されている。母親がくも膜下出血で亡くなったあと、残された障害のある長男は食事をすることができず、衰弱死したとみられています。
札幌市のケースでは、報道によれば3度福祉事務所に相談に行っています。1度目の2010年6月の面談では、仕事もなく、手持ち金もわずか。2度目の2011年4月には、公共料金も滞納し、国民健康保険も未加入、残金は1000円。それに対して福祉事務所は「非常用のパンの缶詰14缶を支給したとのこと」。3度目の2011年6月には、家賃も滞納し、生命保険も解約。このときの面接受付票には、「懸命なる求職活動を伝えた」とありました。あまりにも機械的な対応です。収入は妹の障害年金の月6万円のみです。どうみても生活保護が必要だと思います。
こんなに困っていてなぜ、生活保護を受給しなかったのか。との疑問を持たれる方も多いと思います。しかし、お笑い芸人の母親の生活保護の問題の報道でもわかるように、生活保護受給者が怠け者、お荷物のように扱う。生活保護は恥ずかしいと思わせる偏見、報道の仕方、そして行政側の機械的な対応が背景にあったと思います。このことが餓死や孤独死につながったのではないでしょうか。
今の日本社会は、病気や失業すればだれもが一気に無収入になりかねない滑り台社会です。
ですから、だれもが生活保護を受給する可能性はあると思います。
国民が安心して暮らすためには生活保護制度がいつでも安心して使えることが重要です。
生活保護は憲法25条に基づいています。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。つまり生きてさえいればいいわけではありません。健康で文化的な生活を送ることはすべて国民の権利であり、国にはそれを保障する義務が課せられています。
私も、この間、数十件の生活保護の申請に同行してきました。ある相談者が「2回、相談に行っているが、今回、3回目の相談で初めて『生活保護を申請しますか』と言われた。私、一人では申請できなかったと思う」と話されました。実際に今回のケースでは3回の相談で申請となりました。生活保護は生きるための権利であり、再出発のための制度であり、最後のセーフティーネットです。
●区長は今年6月のわが党の黒沼議員の質問に対し「大田区におきましても、支援の必要な区民に対して適切に生活保護を実施してまいりたいと」と答弁をされています。
生活の相談に見えた区民に対し必要ならば生活保護の申請を促すような相談者に寄りそう福祉行政であるべきだと思います。答弁を求めます。
【生活福祉担当部長】
私からは、生活保護に関する4点のご質問にお答えをさせていただきます。
まず、生活が困窮し支援が必要な区民に対して、相談者の立場にたった相談支援体制にすべきとのご質問でございますが、生活福祉課の窓口には、生活の不安を抱え、心細い思いで来所される方も多くございます。
現在相談窓口におきましては、来所された相談者の話をよく聴き、相談者の立場に寄り添い、その方の課題解決を支援するといった、相談者の立場に立った相談支援を実施をしております。付随した相談内容につきましても、他法他施策の活用が可能な方には、地域福祉課や地域健康課の担当窓口を案内する等、他の相談窓口とも連携をして、相談者の問題解決に向けて総合的に対処をしているところでございます。
【福井議員】
生活保護の問題で「働けるのに働かない」という指摘があり他の政党は就労支援強化を挙げています。
雇用状況をみてみたいと思います。最新の今年7月の雇用状況の数値ではパートタイムを除く有効求人倍率0.68倍です。詳しく見てみますと、一番求職者が多い一般事務の職業では0.16倍。高齢者に人気の職種である清掃では0.20倍などです。
以前、私が関わったケースは、50代後半の男性で大型車のドライバーでした。リストラされて失業し、ハローワークに通って仕事を探したのですが、正社員のドライバーの仕事はまず、ありませんでした。約50社に連絡しました。年齢がネックになり面接が出来たのが3社でした。そしてなんとか配送の仕事が決まりました。しかし、フルタイムでの仕事ではなく週5回午前中のみの仕事でした。時給は1000円。月にしますと8~9万円。これでは生活が成り立ちません。ですから、ダブルワークをしました。ファミリレストランの夜勤です。夕方5時~10時までこの間は、すべて立ちっぱなしの仕事で、配膳、調理補助などを行いました。しかし、体が持ちませんでした。1週間後には腰痛に悩まされ起き上がることができませんでした。ファミレスの仕事を断り、昼間の仕事に絞りました。月8~9万では生活できませんので、私と一緒に生活保護の申請をし、生活保護を受給しました。何とか自立して生活がしたい。フルタイムの仕事が見つかれば生活保護を受けなくても済む。フルタイムの仕事が見つかるまでの間だから。と思っていました。午前中は仕事をして午後、時間があるときは、ハローワークに行きフルタイムの仕事を探しました。あれから、1年半が経ちました。残念ながらフルタイムの仕事はいまだに見つかっていません。
がんばってハローワークに通えば仕事が必ずみつかる。このような状況ではない。これが実態です。
雇用を創出しないかぎり、「働きなさい」「ハローワークに毎日通いなさい」などの就労支援では意味をなしません。今、必要なのは雇用の創出です。
しかし、雇用を確保するどころか大企業を中心に大規模なリストラが進められています。リコー、シャープ、パナソニック、NECなど、大企業のリストラが続けば労働者が生活困窮者となり、生活保護受給者が増えることは明白です。この大企業の中には黒字にも関わらずリストラをしています。このような身勝手なリストラを規制することも必要ではないでしょうか。
大田区では現在、被保護世帯数12847世帯、被保護者数は16298人です。
社会福祉法では、現業員の標準を80世帯に1人としています。事前に頂いた資料によりますと大森地域の場合は1現業員あたり84世帯、調布は85.1世帯、蒲田は85世帯、糀谷羽田地域では88世帯、大田区全体として85.3世帯。標準を超えています。この現業員は面接相談員をふくんでいますので、実際に家庭に訪問し生活指導を行うケースワーカーで考えてみますと大田区全体でケースワーカーは136人。一人のケースワーカーあたり94.4世帯。被保護者では120人に1人です。この状況では一人のケースワーカーが毎日4世帯に訪問しても稼働数22日をかけても88世帯。実際には実務作業がありますので毎日、訪問調査し生活指導をすることはできません。現場の職員は一生懸命頑張っていますが、月に1回の訪問するままならない状態で相手に寄り添い、丁寧な生活指導ができるでしょうか。
●区長は前定例会のわが党の質問に対し、社会福祉法に基づく標準数に沿って適正に人員を配置しております。と答弁をしています。しかし、その実態は面接相談員、生活支援員、就労専門相談員、資産調査員を含んでの数値であり、本来の考え方であるケースワーカー1人あたりで考えるべきです。現状では標準数を超えています。
大田区として被保護者の自立更生ためにもケースワーカーの増員を求めます。お答えください。
【生活福祉担当部長】
次に、福祉事務所における生活保護のケースワーカーの増員をすべきとのご質問でございますが、社会福祉法では保護世帯数に対する現業員は、ケースワーカーだけではなく面接員の数を含めて標準数と定めているところでございます。
大田区では現在、この社会福祉法の規定を遵守しておりますし、概ね充足しているというふうに考えているところでございます。
その上で面接員につきましても再任用、非常勤の面接員を配置しておりますし、ケースワーカーが実施している就労支援や年金等資産調査、精神障害、精神疾患がある方の支援につきましては、就労専門相談員、生活支援員、資産調査員等の非常勤職員の配置やメンタル支援業務の委託を実施をいたしまして、個々のケースワーカーの負担軽減を図り、福祉事務所として適正なケースワークに努めているところでございます。
【福井議員】
政府は8月17日の閣議で、2013年度予算の概算要求基準を決定しました。 社会保障分野については、「財政に大きな負荷となっている」と敵視し、「聖域視することなく」切り込むことを宣言。とくに、生活保護の見直しについては具体的に言及し、圧縮する方針です。生活保護基準が引き下げられる可能性もあります。小宮山厚生労働大臣が給付額引き下げや扶養義務強化の検討の意向を示しています。この動きが強化されればますます申請の足が遠ざかり、餓死、孤立死など深刻な事態を招くのではないでしょうか。国民の命と暮らしを救う最後のセーフティーネットである生活保護制度の改悪は許されません。
生活保護基準は非課税限度額など様々な低所得者対策制度と連動しています。基準の引き下げは受給者だけの問題ではありません。生活保護を受給していなくても基準の引き下げに伴い、個人負担が増加したり、今まで受けていたサービスが受けられなくなる恐れがあります。
例えば、住民税の非課税限度額が下がり、今まで無税だった人が課税をされたり、保護基準に基づいて利用条件を設定している施策が利用できなくなる。就学援助給付、介護保険利用料・保険料の減額、などが挙げられます。
●国の保護基準の引き下げの動きに区長はどのように考えますか。区民の命を守る立場から引き下げを行わないように意見を挙げるべきです。
また、生活保護は法定受託事務であり本来、国の事務です。地方への委託に係る費用は全額、国が負担すべきだと考えますが。区長会で意見をあげていますが、さらに強く求めるべきです。お答えください。
【生活福祉担当部長】
次に、生活保護基準の引き下げを行わないよう、国に対して意見を上げるべきであるとのご質問でございますが、生活保護基準の改定は、一般国民の消費水準との均衡を図るという観点から実施をされているところでございます。
生活保護基準につきましては、現在厚生労働省において全国消費実態調査のデータ等を集計をしているところでございます。この生活扶助基準が一般の低所得世帯の消費実態と適切に均衡が取れているかなどにつきまして、専門的かつ、客観的な評価・検証作業が行われて、改定の準備を進めているというふうに聞いております。
今後の改定につきましては、国の動向を注視してまいりたいというふうに考えております。
最後の生活保護にかかる費用は全額、国が負担すべきとのご意見でございますが、先ほど議員からお話しがございましたように生活保護制度につきましては、国が責任をもって実施すべきものであり、区においても法定受託事務として実施しているところでございますので、生活保護費につきましては、全額国の負担とすべきというふうに考えております。
特別区長会からも、毎年、国に対して要望しているところでございますが、今後も要望してまいりたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。
障がい者の視点に立った障がい者総合サポートセンターについて
【福井議員】
次に障がい者総合サポートセンターについて伺います。大田区は2014年度の開設に向けて計画をすすめ今年7月に保健・福祉委員会で「基本設計の概要について」の報告がありました。
この間、党大田区議団は来年度の予算についての懇談会を障がい者団体と行ってきました。
この懇談会で様々な要望が寄せられました。公的施設の磁気ループの設置、親なきあとの生活の問題、就労の場の設置、グループホーム、ガイドヘルパーの養成、会の活動費の補助などです。このサポートセンターに対する期待は大きいものがあります。
今年3月に仮称:障がい者総合サポートセンター検討委員会の報告書が出されました。この中に、24時間対応できる環境を整える必要がある。と明記をされています。懇談をした障がい者団体の方から夜中に突然に子どもの様子がおかしいが。その時に病院に行ったほうがいいのか。家で安静にしていたほうがいいのか判断できないので相談できるところが欲しい。など切望されています。
基本設計の概要には24時間体制のことが触れられていません。
ある障がい者団体の方がこのように話されました。サポートセンターは「人にやさしい建物」とあるが、建物がやさしくても中身が障がい者にやさしくなければ何もならない」サポートセンターの立ち上げ、運営についてはしっかりと当事者の声に耳を傾け、障害者の視点に立ったサポートセンターにすべきです。
●サポートセンターに、各障がい者の相談に応えられるスキルを持った人員配置で24時間相談体制の確保をするべきです。お答えください。
【福祉部長】
仮称障がい者総合サポートセンターに関連いたしまして、2点ご質問をいただきました。
まず、サポートセンターで行います相談支援等の運営体制でございますが、サポートセンターは、ご案内のとおり障害のある方やそのご家族の生活を、総合的に支援する拠点として整備するものでございまして、多様な事業を行うことを予定しております。
その中でも中心となりますのが、総合相談、専門相談などの相談支援部門でございます。
現在、どの時間帯に相談窓口や相談時間を設けたらよいか、深夜帯の対応含めて、また、スタッフの確保含めて検討を進めているところでございます。
なお、サポートセンターの建物全体としての開設時間につきましては、すでに申し上げておりますように、平日夜間や土曜・日曜につきましても、利用者の利便性を高める観点から開設することを前提に、準備を進めております。
【福井議員】
報告書の中では相談支援事業のありかたについてこのような記述がありました。
顕在化されていない、潜在的な障がい者に対する掘り起しが必要となる。とあります。
サポートセンターに行ける障がい者は適切なサービスが受けられるかもしれません。しかし、実際にサポートセンターに行けない潜在的な障がい者にも目を向けるべきではないでしょうか。特に昨年、政府は精神疾患を5大疾病(しっぺい)の1つに加えました。厚労省が実施した08年の患者調査によると精神疾患の患者数は約323万人。4大疾病で最も患者数が多い糖尿病(約237万人)を大きく上回り、がん(約152万人)の2倍に上ります。
また、年間3万人に上る自殺者の約9割が何らかの精神疾患にかかっていた可能性があるとの研究結果もあり患者の早期治療や地域の病院、診療所との連携が求められています。
この間、急増している精神障がい者は治療を途中で中断する人も多く、家に引きこもっているのが大半との声を聞きました。障がい者を抱える家族は毎日、不安を抱えて生活をしています。周囲からの目を気にしたり、引きこもるなどで病院に行けない現状があります。訪問して障がい者の生活実態は把握し、必要な治療、支援を行うべきです。
東京都は昨年から訪問型地域医療:アウトリーチ事業を行いました。アウトリ-チとは精神科医、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、心理士らで『アウトリーチチーム』を組織します。このチームが保健所などから情報を得て、必要と判断した人の家を訪問します。すでに治療を受けている人だけでなく、医療機関を一度も受診していない人や、治療を中断した人も対象とするところに特徴があります」
昨年度、中部総合精神保健福祉センターの事例は、59名。そのうち大田区では5名です。台東区の東京都精神保健福祉センター73名、多摩総合精神保健福祉センター48名、東京都全体で合計180人です。
大田区の精神障がい者保険福祉手帳の交付数だけでも平成22年度で1335人です。
●日本共産党大田区議団の昨年度の予算要望書でこのアウトリーチを求めたところ、中部精神保健センターや関係医療機関と連携して対応すると答えています。しかし、圧倒的不足しているのが現状です。大田区が訪問型地域医療(アウトリーチ)の環境整備のために支援を行うこと、そしてサポートセンターに訪問部門をつくり訪問型地域医療(アウトリーチ)を行うことを求めます。お答えください。
【福祉部長】
続きまして、精神障害の方々に対する訪問型の支援についてのご質問でございますが、アウトリーチ支援事業は、現在、都立中部総合精神保健福祉センターが実施主体となり、医師・保健師などの専門チームを編成し、各区の保健所と連携して訪問型の支援を行っております。
大田区におきましては、この中部総合精神保健福祉センターとの連携により、この事業を活用して、精神障害の方々への訪問による支援を進めているところでございます。
また、大田区保健所の取り組みといたしまして、各地域健康課の保健師が、対象者宅を訪問し、相談をお受けするなどの支援も併せて実施しております。
平成26年度中に開設を予定しております、仮称障がい者総合サポートセンターでは、障害のある方全般の相談支援について、必要に応じて、障害者宅を訪問する形の支援も想定をしております。
相談支援の実施にあたりましては、医療機関や他の専門機関との連携、機関相互の役割分担が重要でございます。緊密なネットワークを築きながら効果的な相談事業を行っていきたいと考えております。私からは以上でございます。
民間委託にかかわる電気料金と最低賃金について
【福井議員】
次にアウトソーシング・民間委託について伺います。
9月から東京電力の家庭向け電気料金の値上げが行われました。平均で8.46%です。
大田区議会では、電気料金の値上げは区民生活にも大きな影響を与えることが容易に推測される。との理由で国及び政府に対し東京電力株式会社が更なる経営の合理化、効率化を図り、経費節減を最大限に行うことによって値上げを再考し、区民生活及び区内中小企業の負担増とならないよう指導することを求める意見書を全会一致で採択しました。同様の意見書は台東区、港区、豊島区、練馬区などが意見書を挙げています。
しかし、政府はこのような区民の声に耳を傾けず、認可をしてしまいました。
東京電力の説明では火力発電の燃料費などの大幅な増加を主な理由に挙げています。しかし、例えばわが党の吉井英勝衆院議員の国会質問で明らかになりましたが、液化天然ガスの購入では、東電の子会社「TEPCOトレーディング」と三菱商事が共同出資し、オマーン産LNGの購入・販売権を有する会社は米国向けに百万BTU(英式熱量単位)あたり2ドルで販売する一方、東電には9倍も高い18ドルで販売している実態があります。また、電気料金値上げの原価には、停止中の原発費用も含まれています。東電は、日本原子力発電と東北電力から、原発の電力を購入する契約を結んでいます。今後3年間で3000億円を支払う計画です。しかし、両社の原発は停止したままです。東電は、3000億円の経費を家庭向け電気料金の値上げで賄う計画です。総括原価方式と燃料費調整制度の見直しをすべきです。今回の値上げは企業努力をせず、利用者に負担を押し付けるものであり到底認められません。認可した政府と東京電力には強く抗議したいと思います。
今回、この値上げにより大田区の業務を受託している業者にも影響が及びます。民間委託契約は年間契約です。つまり値上げ前の契約であり、今回の値上げにより負担が増えます。この負担分をどこで賄うのか。委託費の多くは人件費が占めます。電気料の値上げによるしわ寄せが労働者、すなわち賃金の引き下げになれば、それはサービスを受ける住民に影響を及ぼします。
●今回の値上げによる負担増は委託業者の責任ではありません。労働者そして住民サービスに影響がでないように、電気料金の値上げ分は大田区が補てんするよう求めます。
【経営管理部長】
私からは、アウトソーシングに関するご質問にお答えをいたします。
まず、9月からの電気料金の値上げ分についての差額は、大田区が補てんすべきであるとのご質問でございます。
指定管理者制度を導入している施設には、電気料金を区が負担している施設と、指定管理者が負担する施設がございます。
これは、建物が複合施設である場合など、事業者ごとの電気使用量の検出が構造上難しい建物につきましては、区が電気料金を負担することとしているためでございます。
また、指定管理者が電気料金等、光熱水費を負担している場合におきましても、多くの施設において、天候等の影響を勘案をいたしまして、年度当初は概算経費をお支払いし、確定後、実績に応じて精算を実施することといたしております。
利用料金制を導入している施設や地域図書館におきましては、電気料金等の精算は行っておりませんが、このような施設における今回の料金改定に係る経費負担につきましては、指定管理者との間で締結した協定書のリスク分担に関する規定等に基づき、指定管理者が負担するべきものと考えております。
指定管理者におきましては、引き続き民間の創意工夫を活かして節電に取り組んでいただくとともに、建物管理に係る情報を共有しながら、より効率的な施設運営に向けて連携をしていきたいと考えているところでございます。
【福井議員】
日本共産党大田区議団はアウトソーシングについては大田区の責任を放棄し官製ワーキングプアを産んでいる状況を指摘してきました。民間委託や指定管理者制度は悪循環を区政に持ち込んでいます。大田区は、委託の理由を民間のノウハウを活用する、サービスがよくなると説明しています。しかし、民間委託したある保育園は、1年間に3分の1の職員が退職し担任が固定されないために子どもが落ち着かなかったとの声が上がっています。働いている人の多くが不安定雇用と低賃金のワーキングプアであり、アウトソーシングによって大田区は大量に生み出した不安定雇用・低所得労働者によって支えられています。
この流れは大田区独自ではなく、国全体の流れであり、格差と貧困を生み出している主な要因です。これでは区民の所得が減り、区民税の減収をつくり出すデフレスパイラルを大田区、みずからつくり出していることになります。
厚生労働省は今月14日、2012年版「労働経済白書」を公表しました。白書は、、非正規雇用の増加が消費を押し下げてきたことなどを挙げ、賃上げや正社員化が必要だと提起しています。このことからもわかるように、アウトソーシングは中止すべきです。
アウトソーシングの問題でついて共産党大田区議団に相談がありました。
業務内容は大田区有料制自転車駐車場です。時給は最低賃金である837円です。契約期間は今年の4月1日から来年の3月31日までとなっています。10月1日から東京都の最低賃金が時給837円から850円に引き上げられます。このままだと最低賃金は守られず、法令は順守されていないことになります。引き上げられた最低賃金でも東京都、大阪府など6都道府県は生活保護基準の方が高いという逆転現象は残ります。大田区のアウトソーシングの指針では「業務に従事する従業員の適正な労働条件の確保に努めるよう指導します」とあります。最低賃金や、最低賃金すれすれの雇用契約が適正な労働条件を確保しているといえるのでしょうか。
●今回、最低賃金の引き上げに伴い賃金の見直しが必要となります。大田区は受託者に対し法令を順守させる責任があります。大田区として受託者が法令を順守していることをどのように確認しているのかお答えください。
また、大田区のアウトソーシングの指針では「業務に従事する従業員の適正な労働条件の確保に努めるよう指導します」とあります。受託者に対し、適正な労働条件が確保されているのか調査し、守られていない場合は指導するよう求めます。お答えください。
【経営管理部長】
次に、業務に従事する従業員の適正な労働条件が確保されているのか調査をし、守られていない場合は指導するようにとの質問でございます。
区は「大田区アウトソーシング指針」に基づきまして、民間にできることは民間に委ねることを基本に、多様な主体で区民サービスに応える仕組みづくりを推進しております。
民間委託や指定管理者制度の導入にあたりましては、事業者募集の際や、契約書または協定書の締結時におきまして、労働基準法等関係法令を遵守するよう、事業者に求めているところでございます。
従業員の労働環境を適正に管理することは、区の事務事業を受託した事業者の社会的責任として、当然主体的に取り組むべき問題であると考えております。
事務事業の運営状況等から、従業員の労働環境が適正に管理されていないことが疑われるような場合におきましては、事業者に状況を確認するなど、法令遵守の徹底を求めてまいりたいというふうに考えております。私からは以上でございます。
【福井議員(再質問)】
先ほど答弁いただきました、大田区としてですね、受託者が法令を遵守していることをどのように確認しているのかお答えください、と質問したことに対して、契約時に確認しているっていう答弁だったと思います。
契約時というのは、まだ仕事をしていないわけですから、仕事をしているこの、業務をしているときですよね、このときにどうやって確認をしているんですかという意味で質問しているので、ぜひそこのところをもっと詳しく説明、回答いただきたいと思います。お願いします。
【経営管理部長】
再度のご質問でございますけれども、業務の遂行している過程での確認のご質問でございます。
先ほど申し上げましたように、まず契約時、あるいは募集時のですね、段階で法令遵守を確認しているというのが、まず前提としてございます。
それから区といたしましてはですね、区の立場といたしましては、事業者にですね、サービス提供をお願いしている立場でございます。
サービス提供をお願いしている視点からはですね、例えば指定管理者で申し上げますと、毎年度モニタリングを実施をするなどですね、サービス提供の適正さをですね、チェックしているところでございます。
そういったサービス提供のですね、適正さをチェックする中で、何らかの課題があるような場合にですね、その原因を追究する中で、例えば働く条件の問題が浮き上がるというようなことは考えられるかと思っておりますし、また、通報等をですねいただければ、それに基づいて原因を、事情を確認をさせていただく、また、その中でですね、仮に法令に抵触しているようなことが認められるような場合にはですね、法令の遵守について注意を喚起するなど、所要のですね、措置を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。
【福井議員(再々質問)】
すいません、いま答弁いただいた中で大田区としてどう確認するのかということに対して、モニタリングで確認しているって言うんですけど、このモニタリングは元々利用者に聞くわけですよね。
ですからそれは答弁になってないと考えるんですが、実際にどうなっているのかということで、大田区として責任が果たすことをお願いしているんですが、その点についてどうでしょうか。
【経営管理部長】
モニタリングにつきましては、もちろん利用者アンケート等も行っておりますけれども、それぞれの指定管理者にお願いしている施設を所管している事業部局において、その事業の実施状況について確認をしているものでございますので、単に利用者にアンケート調査をして、その結果をまとめているだけのものではございません。
以 上