第4回定例会一般質問(速報)―福井議員



(映像は大田区議会ホームページより:38分)

中小工場の存続と開業に大胆な支援について

【福井議員】
中小工場の存続と開業に大胆な支援を求める質問を行います。
第二回定例会のわが党議員の質問に対して「中小企業は日本の宝であり、日本経済の生命線である。」との認識、区内中小企業守っていく姿勢は変わっていないとの答弁があることを踏まえて質問を行います。
日本のものづくりの技術基盤である大田区の中小零細工場、いわゆる町工場の集積が日本経済の低迷と工場数の減少により厳しい状況になっているのは区も承知のことだと思います。大田区ものづくり産業等実態調査では3人以下の事業所が全体の51%、4人~9人27.8%で9人以下の事業所が全体の79%を占めます。
雇用状態でいえば、今月、厚生労働省が発表した「雇用の構造に関する実態調査」で同調査開始以来、初めて、非正規社員が4割に達したことがわかりました。「アベノミクスによって雇用は100万人以上増えた」と安倍首相は主張しますが、増えているのは賃金が低く身分も不安定な非正規社員ということがデーターでも裏付けられました。
一方で区内の商工団体が独自に調査したデーターがあります。
この調査結果では区内町工場の従業員は実に92%が正規雇用・正社員でした。つまり小零細工場では正社員が当たり前なのです。大田区の工場集積の高度な技術力の背景にあるのは正社員があたりまえ、家族従業員も安心して働き続けられるという雇用状況にあることが明確になりました。この点から見ても大企業にはない町工場の構図が見られると思います。
さらに町工場の賃金という点では調査では事業主の72%が月20万円以下と回答しており、推定平均賃金は約21万円です。家族従業員はさらに低く82%が20万円以下で平均賃金は約17万円です。驚くことに、町工場の一般従業員の平均賃金が約24万円であることです。このことは町工場の社長さんは自分の賃金を抑え従業員の賃金に回していること。つまりそれだけ従業員を大事にしている。ものづくりの技術を守り発展していこうという姿勢が表れているのかが分かります。
このように町工場の経営者は努力をされています。しかし、実態は深刻です。
1983年には9177社あった工場数は昨年の2014年には3481社と約6割の工場がなくなりました。
特にこの6年間の工場数は、2008年に4362社、2014年では3481社と2割減少するなど今までにないペースで倒産・廃業が進んでいます。
このような状況を打破するには今までの施策の延長線上では打破できません。
スピード感を持った取り組み、早急に手を打つことが必要です。
この認識のもと中小工場の存続と開業に大胆な支援を大田区が行うことが求められます。
具体的に1つずつ提案をします。
後継者の問題では全事業所の半数である3人以下の事業所の八割が事業継承者が決まっておらず、その理由は継承者がいない、廃業を考えているが多くを占めています。
なぜ、継承者がいない、廃業を考えるのか。理由は明確で仕事が無く、将来の展望が見えないからです。
大企業が部品加工などの仕事を海外にシフトし技術も海外に流失している現状です。
この間、町工場の経営者にお話しを伺うと「融資や資金の問題ではなく仕事自体がない。本当に困っている」と話されています。仕事をつくることが必要です。
原発事故により新規性基準が出来ましたが、原子力規制委員会は、自ら「この新規制基準は原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものです。しかし、これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と述べるほどあいまいなものと言わざるを得ません。
原発に頼らないエネルギー政策の転換が求められています。その中で注目するのが再生可能エネルギーです。例えば小型風力発電は多くの部品が必要となります。1社だけでは製作できず共同で取り組みます。現在、区内の町工場10社があつまり共同開発を続けています。きっかけは仕事を作るためでした。試作品、改良品、をつくり今、実用化を目指す3号機の設計図ができました。目標は出力100W、製品と付属品合わせて20万円以内での商品化をめざし取り組んでいます。このような開発を大田区が後押しをすることにより仕事をつくり、国際都市としてクリーンエネルギーに取り組む社会的姿勢を国内外に示すべきと考えます。
●そこで提案します。大田区として小型風力発電などの再生可能エネルギーを大田区の基盤産業として位置づけ、支援を行うことを求めます。お答えください。

【産業経済部長】
再生可能エネルギーを大田区の基盤産業と位置付けて支援すべきとのご質問でございます。再生エネルギーは、航空宇宙や医療・福祉、ロボットなどとともに、今後の成長産業分野と考えられます。区内ものづくり企業が、保有する技術力を活かし、再生エネルギー分野において、研究・開発、さらには実用化等に取り組むことは、大田区のものづくり産業の活性化につながるものと考えます。
そのため、公益財団法人大田区産業振興協会では、再生エネルギー分野へのチャレンジを含む「新製品・新技術開発支援事業」や「新製品・新技術コンクール」などの事業に既に取り組んでいるところです。
平成26年度の新製品・新技術コンクールでは、22件の応募があり、9件の入賞作品を表彰しました。いずれも、大田区中小企業の高い技術力を示すもので、実用化などの視点も入れ、審査が行われたところです。引き続き、新製品・新技術の開発を支援し、再生エネルギーを含む成長産業分野への参入を後押しすることによって、大田区の基盤技術と工業集積の維持・発展に積極的に取り組んでまいります。

【福井議員】
今、下町ロケットが放映されています。その中で主人公が夢を持ち、困難を乗り越えて力を合わせてロケットの打ち上げに成功しました。大田区がこの事業支援を行い、再生可能エネルギーを大田ブランドとして全国、世界に発信しようではありませんか。町工場に仕事をおこし、仕事があれば後継者も見つかります。エネルギーの地産地消、町工場に夢と希望と仕事を起こす取り組みが必要です。大田区も情熱をもって取り組むべきです。
次に中小零細工場の受発注構造に注目しますと、中堅企業が大企業を含む全国の企業から受注し、仕事を区内の中小工場にまわし、その技術力で作られた高品質の製品・部品を全国に納品する。この受発注構造が中小零細工場に存在しています。ここで問題なのは政府の大企業優遇政策のなかで低単価と短納期、下請け切り捨てなど、下請けいじめが横行していることにあります。
下町ロケットのドラマの中でも「他にも出来るところはある」「あなたの会社でなくとも」とのシーンがありましたが、現実区内でも起こっています。
ある区内の町工場で1つ80円の部品を親企業に納めていました。金曜日に部品を納めた時、納品先の担当者から「来週から65円で納めてもらいたい」と言われました。町工場の経営者が難色を示すと「別に取引先はお宅だけではない。いやなら別に頼む」と言われました。この部品を作るのに材料代、送料などだけで65円を超えます。しかし、経営者は断るとその他の仕事も打ち切られる可能性があるので赤字でも部品を納め続けています。このような中で、消費税が5%から8%に昨年から上がりました。この親企業は消費税値上げ分を加算させずに同じ65円で納入させています。
このような大企業や親企業の一方的な単価引き下げ要求などは実際に区内に多くあります。この現状を打破するためには大企業・親企業に下請け2法などのルールを守らせることです。下請け・孫請け企業では違反があっても大企業・親企業に声をあげることができません。仕事が切られる。仕事がなくなるからです。匿名での通報は出来ますが、現実的には告発内容で事業者が判明する場合もあり、仕事をなくしてもいい覚悟を持たなければ告発をすることができません。大田区として全力で町工場を守るべきです。
●現在取り組んでいる大企業に対し下請け二法を遵守する講習会に留まらず、訪問や文書などの方式で指導し、一方的な単価切り下げや仕事切りをやめるよう求めること。大田区に相談窓口を設置して国、都と連携して町工場を守る取り組みを求めます。お答えください。

【産業経済部長】
中小企業を守るため、大田区に相談窓口を設置すべきとのご質問でございます。国が大企業と中小企業の取引を公正なものとするために制定しました「下請代金支払遅延等防止法」は、大手企業を対象に受領拒否の禁止、下請代金の支払い遅延の禁止、下請代金の減額の禁止、返品の禁止等、公正な取引遵守を徹底させるものでございます。
すでに区は都と協力して「下請代金遅延防止講習会」を開催し、受講者は大企業の購買部門の担当者に限定することで、適正取引が徹底するように努めています。
さらに、下請けの中小企業が不当な被害にあった場合には、下請取引等の紛争解決を担当する東京都の「下請センター東京」を紹介しております。また、相談窓口といたしまして東京都中小企業振興公社城南支社の相談窓口や東京商工会議所大田支部の法律相談等を紹介しております。
一方、「下請中小企業振興法」は、下請取引の発注方法の改善や取引対価の決定方法の改善などの場面で、下請事業者と親事業者がとるべき一般的な基準を定めたもので、不公正、不透明な取引が防止されることなどが期待されるものです。
「下請代金支払遅延等防止法」などの主管官庁は中小企業庁等でありまして、これらの機関が大企業に対し指導を行っております。従いまして個々の大企業に対する個別の訪問や文書の配布、区独自の相談窓口については考えておりません。

【福井議員】
現在、大田区がおこなっている産業経済の施策はベンチャーや新技術支援などの支援はありますが、今ある技術をどのように生かし広げていくのかの施策はほとんどありません。
わが党区議団は先日、ビジネスマッチングやものづくり常設展などのものづくり支援の視察で大阪市・東大阪市に行き話を伺いました。
よく、ものづくりの町では東の大田区、西の東大阪市と言われます。
その東大阪市にあるものづくりビジネスセンター大阪、通称MOBIOを視察しました。
ここには日本最大級の200ブースの常設展示場があります。ここで各社の技術・製品が一覧でき専任スタッフによる説明や企業紹介を行っています。
現物/製品を見て手にすることにより具体的な話ができ、連絡をとり受発注につなげています。その中で出店した企業からは①MOBIO経由で海外から引き合いがきた②視察にきた大手メーカー担当者と関係が作れた③展示場コーディネーターの紹介で取引が始まった。との声が上がっています。
常設展示場を求める昨年の第三回定例会のわが党議員の質問に対し、区長は「大田区でも効果がある展示が出来ている」と答えていますが、モビオと比べるとあまりにも規模が小さすぎます。
視察件数を見ますと大田区では産業振興協会を含んで51件そのうち17件が海外です。大阪はこのモビオだけで、690件で海外は367件です。視察件数では13倍の開きがあります。
常設展示について言えばモビオでは200ブースに対し大田区では、観光・産業・情報コーナー中の一部としてあるだけです。位置づけ、取り組みが違います。
国内外にアピールできるものづくりのため、ものづくり政策の拠点として行うことが大切であり、通常の取り組みの延長線上ではなく思い切った施策です。
●大田区として東京都とも連携しMOBIOなみの常設展示場を設置しものづくりの支援をすることを求めます。

【産業経済部長】
常設展示場の設置について、お答えします。
大田区と公益財団法人大田区産業振興協会は、既に「加工技術展示商談会」「おおた研究・開発フェア」「おおた工業フェア」を開催しております。それぞれの展示会の目的に即した自主展示を大田区中小ものづくり企業が行うとともに、商談会の開催によって、販路拡大につなげております。加工技術展示商談会等、いずれの展示会も、多くの来場者があるとともに、その場での商談や引き合いが盛んに行われるなど、出展者、来場者の双方から大変好評を得ております。また、これらの展示会開催にあたっては、既に区と都とで情報交換等で連携しながら進めているところです。
また、区内ものづくり企業は、優れた自社製品を国内外の展示会で展示し、高度で難易度の高い技術力を披露しております。こうした展示会でマッチングを目的に展示会を訪れた来場者に自社製品をPRすることで、より効果のある展示がおこなわれていると認識しています。さらに、工場アパートや産業プラザの2階、「観光情報コーナー」では実際に製品を展示するスペースを設けております。今後も優れた技術に基づいた中小ものづくり企業の製品の展示スペースの確保に努めてまいります。さらに、国内外からの発注拡大には、Web上で自社製品を紹介するサイトの構築が重要になってくると考えます。そのため、産業振興協会は、グローバルな情報発信を行えるようWebを活用したソフト整備を積極的に支援していく考えです。

【福井議員】
いまある町工場の技術を展示し知らせるとともに売り込みに行くビジネスマッチングを行うことが必要だと考えます。
先日視察した大阪産業創造館の取り組みでは大阪市内約13000の事業所のうち4700社以上を訪問し、データーベース化しマッチング活動回数は11000回に上ります。
この取り組みでは50名の大手企業技術系OBがマッチングナビゲーター(技術仲人)として市内の町工場の技術を売り込んでいます。このことで今までの技術を違う分野に応用し仕事を起こすことにつなげています。
大田区でも取り組みがされています。しかし、この大阪の取り組みと比べると残念ながら不十分と言わざるをえません。
例えば、職員が地域を回り発注の開拓を行う、発注開拓では大田区では93回訪問し12の案件です。専門員は2人。大阪では、447件訪問し413件のマッチング件数。専門員は50人です。受発注の商談会では大田区は2回であるのに対し大阪ではきめ細やかにテーマ別で行い年11回開催しています
私がポイントだと考えるのはこのマッチングナビゲーターです。
この方たちが町工場に連絡をとり、現地に行き話を聞きます。実際にアポがとれ会えるのは約3割との話でした。その情報を毎月行われる会議に50人が集まり情報共有をして売り込み先を議論する。この方たちが頑張っている理由は自分たちが持っている技術・知識を生かし、大阪のものづくりの支援をしたい。この思いからです。この思いは大阪も大田区も変わらないと思います。
●今ある技術を生かし広げていくには大阪の取り組みを学び情熱を持ったナビゲーターが区内町工場に足を運びものづくりの技術を広げていく取り組みが必要です。大田区でも専門家集団を作り取り組みを行い町工場を支援することです。お答えください。

【産業経済部長】
ものづくり技術を広げていくための専門家集団による町工場支援のご質問です。公益財団法人大田区産業振興協会は、企業の技術系OBを非常勤相談員として活用し、加工・製造先を探している企業と大田区企業とをマッチングする、「受発注相談事業」を既に行っています。
相談員は、区内ものづくり企業を年間500回以上巡回し、各企業の保有する技能、設備、得意分野などを把握し、窓口に寄せられる加工・製造ニーズに的確に対応できる区内企業へつなげていきます。平成26年度中の受発注あっせん相談成約件数は194件、成約金額は7千7百万円となっています。
また「モノづくり受発注商談会」、「大田区加工技術展示商談会」、「おおた研究・開発フェア」などでは、ニーズやシーズを持った企業を集め、大田区企業とのマッチング会を行っており多くの成約をあげています。
さらに、国内展示会では、産業振興協会ブースを出展しており、産業振興協会職員と受発注相談員が区内企業全体の営業マンとして、PR活動や受発注獲得を行っております。今後も区内企業がビジネスをしやすいよう、事業の充実とPRに引き続き努めてまいります。

商店街の再生について

【福井議員】
次に商店街の再生について質問をします。
大田区がおこなった商店街調査によると商店街の店舗数の減少は続いています。30店舗未満が29%。50店舗未満が60%となっています。大田区商店街調査報告書から推定すると、ひとつの商店街に3.5店の空き店舗があり区内全体では450を超し、さらに増え続ける見通しです。これでは買い物難民が増え続け地域の活力が低下するばかりです。調査報告書では、現在「商店街で空き店舗対策をとっていない」が59%、「今後も行わない」が44%になっています。対策にはお金も時間も人手もかかるため、商店街単独では困難な状況です。行政として対策をとることが必要です。
報告書では大田区の商店街が新たに出店してほしいと考えているのは鮮魚、精肉、八百屋などの生鮮三品をあげています。このことは区の報告書にある消費者の声とほぼ一致します。これらの商店街や消費者の声にこたえる施策が必要です。
●そこで提案します。空き店舗対策として商店街に生鮮三品(鮮魚・精肉・八百屋)を誘致するために区内商店街に特段の支援をすることを求めます。お答えください。

【産業経済部長】
空き店舗対策としての商店街に生鮮三品を誘致するための支援についてでございます。
大田区は、平成26年度に商店街調査を実施し、消費者として商店街に不足業種と感じている業種の回答を得ております。消費者1,062人からの回答は、あったらよいと思う店舗の上位は、第1位が書籍・文具店22.3%、第2位が菓子・パン店22%、以下、惣菜店、喫茶店・カフェ、総合スーパーの順で、鮮魚店は17.9%で第6位、精肉店は15.7%で第9位、青果物店は13.1%で第11位と、生鮮三品の業種は、必ずしも上位ではありませんでした。
空き店舗対策を進めることは、商店街の活性化とともに、コミュニティビジネスの創設につながるものであり、区と公益財団法人大田区産業振興協会が連携して取り組みを進めております。
空き店舗対策を効果的に推進するためには、入居する業種を特定するのではなく、地域の方々のアイデアや全く新しい発想によりますベンチャー思考等を生かしていくべきと考えます。そのため生鮮三品に絞った空き店舗対策は考えておりません。

【福井議員】
現在、大田区でもいくつかの事業を行っています。今まで行っている商店街の空き店舗対策を見てみますと商店街コミニュティ活性化事業はわずかに7商店街、商店街空き店舗マッチング事業は昨年の実績はわずか5件です。実績等からみると不十分であり現実にあっていないと言わざるをえません。今、行っている事業の拡充が必要と考えます
●そこで質問します。住宅リフォーム助成の対象を商店にも拡大すること、繁盛店創出事業の対象者を新規に事業を営む事業者も対象にすること、創業者支援事業の賃貸事業所賃料助成の限度額の引き上げなどの空き店舗対策を行うよう求めます。お答え下さい。

【まちづくり推進部長】
住宅リフォーム助成に関するご質問にお答えいたします。本事業は、良好な住環境の整備促進に向けた住宅施策の中の事業として位置付けてございますので、対象は住宅に限っており、商店にまで拡大することは考えておりません。

【産業経済部長】
空き店舗対策としての繁盛店創出及び創業者支援事業についてでございます。
空き店舗を活用した繁盛店創出と創業者支援は、商店街の活性化、地域経済の活性化に重要な施策と考えております。空き店舗を活用した新規出店への事業拡充については、まずは、利用者ニーズ等に関する調査研究や既存事業との整合性を分析する必要があると考えます。また、新規に事業を営む方の助成につきましては、空き店舗を活用した創業者支援については、開業資金の無利子制度をすでに創設しているところでございます。この融資制度の利用状況を踏まえ、賃貸事業所賃料助成事業の利用促進を図っていく考えです。

安心して住み続けられる介護保険制度について

【福井議員】
大田区でも地域包括ケア体制の構築をすすめています。
重点項目の中に認知症施策の推進があります
国の統計では、65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は、2012年時点で約462万人、さらに、今年1月厚生労働省は、10年後の2025年の認知症患者は、現状の約1.5倍となる700万人を超えるとの推計を発表しました。
この認知症施策の推進が大きなポイントの1つになります。
認知症施策推進総合プラン・新オレンジプランのなかに早期発見・早期対応のために、かかりつけ医の対応力向上と認知症サポート医の養成が挙げられています。
認知症サポート医は全国で2013年度3257人です。大田区では公表されている名簿ではわずか29名しかいません。 大田区で2万4千人が認知症を発症していると推計できます。一人のサポート医が通常業務の他に、平均で300人以上の認知症患者の企画・立案・相談を行い多忙を極めます。そのためなりてがいません。
やはり今後の体制を考えるとこのサポート医を支援することが不可欠です。認知症サポート医になるためには、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが実施する2日間の研修を受けることです。費用は5万円です。
●そこで質問します。大田区としてサポート医の支援として研修費の一定額の支援を行うとともに、サポート医を大田区が独自に雇用を行い、地域包括支援センターとの連携を強化し、認知症施策の推進強化を行うよう求めます。お答えください。

【福祉部長】
認知症施策の推進強化のご質問ですが、超高齢社会の到来に伴い、認知症の人の数も増加すると見込まれ、その支援は、区としましても重要な課題と認識しております。
区ではこれまで、認知症の人やその家族への総合的な支援策として、認知症への理解を深めるための認知症講演会の開催や認知症サポーターの養成、また、認知症の早期発見・早期診断のために設置している認知症疾患医療センターの認知症アウトリーチチームと連携してまいりました。
特に、医療と介護の連携は、認知症の人の支援には欠かせないものであり、その中での認知症サポート医の担う役割は大変重要と考えております。今後、認知症サポート医への支援につきましては、地域包括支援センターと連携し、認知症サポート医の活躍の場の提供を含めて、適切に対応してまいります。

【福井議員】
国の新オレンジプランでは、「認知症の人の介護者への支援」の中で認知症カフェ等の設置を推進と明記されています。
認知症対策の推進で先行している京都で、京都式オレンジプランをつくり「認知症総合対策ブロジェクト」として取り組んでいます。
京都式オレンジプランのおわりにこのように書いてあります。「孤立せずに個人の尊厳が十分に尊重され、……認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができる社会をオール京都体制で実現していきたい」と結んでいます。大田区もこの立場で取り組むべきです。
●そこで質問します。大田区として認知症カフェの設置を早急にすすめること。将来的には各出張所単位での認知症カフェの設置支援をすることを求めます。

【福祉部長】
認知症カフェについてのご質問ですが、認知症カフェにつきましては、国が今年の1月に公表した、認知症施策推進総合戦略―新オレンジプラン―」の七つの柱の一つ「認知症の人の介護者の負担軽減」の中で、地域の実情に応じた実施が求められております。
区としましても、認知症の人の家族への支援は、本人の生活の質の改善にもつながることから、必要な事業と考えております。現在、特別養護老人ホームや地域包括支援センターを運営している区内の社会福祉法人が取り組んでいる「オレンジカフェ」や他自治体の例を参考に、すでに、事業実施に向けた検討に着手しているところです。

【福井議員】
次に介護保険の保険料について伺います。
今年の4月より保険料があがりました。この問題では今年の第一回定例会においてわが党議員が「値上げをすべきではない」との質問に対し「介護保険制度は国民共同連帯の理念に基づき運営されている。介護保険事業は保険料と公費を財源として実施しているもので安定的な運営のためご理解をお願いしたい」との回答でした。
わが党は高すぎる保険料が暮らしを圧迫することは必然でありこれからも引き下げを求めて行きます。現在、保険料では第5段階:基準額の方は所得金額80万円に対して年間67200円です。その10倍所得800万円の場合は174,720円、100倍所得8000万円の場合は215,040円です。所得に占める保険料の割合でみると80万円の方が8.4%、800万円の方は2.1%、8000万円の方は0.2%です。
所得が大きくなればなるほど所得にしめる保険料の割合が低くなります。今の保険料のあり方はこの点からもわかるように低所得者には重い負担。高額所得者には軽い負担となっています。これが大田区が言う国民共同連帯の理念でしょうか
このような高い保険料が払えない場合も出てきています。
しかし、現在、介護保険の減免制度は生活保護基準以下になった場合に保険料が免除される境界総措置はありますが、約16万人の被保険者に対し2012年度は29件、2013年度は31件、2014年度は22件しか適用されていませんでした。
例えば住民税課税世帯の世帯主が失業し貯金もなく保険料が納められない場合の減免制度はありません。
また、以前、実施をされていた100歳以上保険料の免除制度がなくなりました。
●区民のくらしをまもるために、失業者などへの減免制度の実施を求めます。お答えください。

【福祉部長】
介護保険料の減免についてのご質問ですが、大田区介護保険条例には、世帯の生計を主として維持する方の収入が、失業等により著しく減少した場合や災害により住宅、家財等について著しい損害を受けた場合などにおいて、保険料を減免する規定があります。必要な要件としては、資産活用を図ったにもかかわらず生活困窮となり、保険料の納付が困難になったと認められる場合に加え、世帯の合計実収入平均月額が基準生活費に満たない揚合に該当します。
従いまして、失業された方などが保険料の減免を受けられる場合もありますので、窓口等で相談が来たときには適切に対応してまいります。

公的責任を果たし子育てしやすい保育制度について

【福井議員】
次に保育について伺います
10月1日より保育所の来年4月入園・転園申し込みが行われています。
入園申し込みにあたり大田区では昨年度から申し込み業務については業務委託で対応しています。
申し込み締切日を見てみますと10年前の申し込み締切日は1月10日、5年前は12月28日、今年は12月10日です。どんどん申し込み締切日が早まっていますしっかりと申し込み期間を確保し保護者に選択できる時間を保障することは行政の責任です。
●そこで質問します。子育てしやすい環境整備のために、体制を強化し現在の12月10日の締切日を来年の1月15日まで延長することを求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
認可保育所等の申込み締切日の延長についてのご質問ですが、4月入所に向けた認可保育所等の申し込みについては、10月1日から12月10日の期間で受付を行っているところです。
この間は、本庁舎及び各地域庁舎での通常の受付に加え、休日受付を2回実施するなど、保護者の利便性に配慮した対応を行っているところです。現在の申込み締切日については、入園選考後の保護者への内定通知や児童の健康診断などの入園準備に要する日数を考慮した上で、設定しているものでございます。
今後も、受付窓口での丁寧な案内や、保育サービスアドバイザーによるきめ細かな相談対応など、窓口サービスの向上に努めてまいります。

【福井議員】
現在、保育園・学童保育保育料検討委員会が行われています。わが党区議団からも委員として参加をしています。保育料の見直し検討の視点として3点挙げていますが、その中で「受益者と負担の関係性の視点」があります。受益と負担の関係性の視点の問題ではそもそも保育所に子どもを預けることが保護者の利益と考えること自体が間違っています。
自治体には児童福祉法24条で、「保育を必要とする場合において、保育所において保育しなければならない。」と義務付けされています。
子どもを預けることが出来れば保護者は働くことができ、消費が増えGDPが増え税金を納めることができ、子どもは成長すれば納税者となります。
受益者との観点で見れば一番の受益者は国であり自治体だと考えます。
保育料の値上げは子育て支援とは逆行します。
●そこで質問します。保育料の値上げは保護者の家計に重くのしかかります。子育て支援というならば保育料の値上げではなく値下げをし、保護者への負担を減らすことではないでしょうか。お答えください。

【こども家庭部長】
保育料の見直しについてのご質問ですが、今年度、そのあり方について「保育園・学童保育保育料検討委員会」を設け検討しているところです。
当検討委員会は、学識経験者、区議会議員、子育て支援事業関係者、区民委員で構成され、様々な角度から見直しについての検討を進めているところでございます。今後、検討委員会での検討結果を踏まえ、区として保育料の見直しについて適切に対応してまいります。
なお、区は昨年度、『待機児解消緊急加速化プラン』を策定し、1,049名の保育サービス定員の拡充を図り、待機児解消を大きく進めることができました。今年度も、引き続き「質の確保された」保育サービス基盤の拡充に取り組んでまいります。

【福井議員】
大田区は今年4月の待機児数を154人と発表し昨年の613名から大幅に減ったとしています。
取り組みの中で例えば小規模保育所があります。この小規模保育所は1歳と2歳のみであり、3歳になった時に新たに保育所探しをしなければならず、次の保育所に入れる保証はありません。問題の先延ばしであり抜本的解決とは言えません。
今年の4月入園申し込みの二次不承諾数は、1,708人でした。大田区が発表している待機児数154名と大きな開きがあります。わが党は繰り返し保護者の一番多いニーズは「認可保育所」であり、認可保育所の増設を根幹にすえての待機児解消を求めてきました。
●そこで質問します。今年の4月入園申し込みの不承諾数、つまり申し込んでも入れなかった児童数にみあった認可保育所の増設を求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
待機児解消対策についてのご質問でございますが、増加する保育ニーズに的確に対応していくためには、多様な手法を駆使しながら保育サービス基盤の拡充を図っていくことが、不可欠であると認識しています。
このため、本年度の計画においても認可保育所に加え、小規模保育所、認証保育所、グループ保育室などの整備を着実に進めてまいります。引き続き、待機児解消に向けた施策を総合的に展開することにより、地域の保育ニーズにきめ細かく対応し、保育を必要とする子どもが適切なサービスを利用できるよう、迅速に取り組んでまいります。

以  上

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