第4回定例会代表質問(速報)―大竹議員



(映像は大田区議会ホームページより:57分)

【大竹議員】
日本共産党区議団を代表して、質問通告に従い順次質問します。

憲法を生かす区政へについて

【大竹議員】
先ず、憲法を生かす区政へについて質問します。
最初に、安保法制(戦争法)の廃止について質問します。
安倍自公政権が、9月19日、空前の規模で広がった国民運動と、6割を超す「今国会での成立に反対」という国民の世論に背いて、憲法違反の安保法制(戦争法)を強行採決したことに対して、厳しく抗議します。
何よりも、安保法制(戦争法)は、日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。盛り込まれた「戦闘地域」での兵站、戦乱が続く地域での治安活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権行使、そのどれもが、憲法9条を蹂躙して、自衛隊の海外派兵に道を切り開くものとなっています。日本の平和と国民の命をさらすような法律を、一刻たりとも放置するわけにはいきません。
また、安保法制(戦争法)に対して、圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含むかつてない広範な人々から憲法違反という批判が集中しています。この様な重大な違憲立法の存続を許すならば、立憲主義、民主主義、法の支配というわが国の存在の土台が根底から覆(くつがえ)されることになりかねません。
さらに、13日パリで発生した非道な同時テロは、フランスのシリア空爆を口実にしているとつたえられていますが、いかなる口実でも許されません。テロにかかわって安保法制(戦争法)の成立で、日本が米国からIS空爆への協力要請あったときは、断れなくなる状況になります。それによって日本国民をテロの危険にさすことにもなります。
安保法制(戦争法)廃止のため、反対の運動を通じて国民一人ひとりが主権者としての自覚的・自発的に立ち上がるという戦後かつてない、新しい国民運動が広がった、日本社会の未来にとって大きな希望です。党区議団は、この運動を更に広げるため、政党、団体、個人との共同をすすめていく決意です。
区長は第三回定例会で、党区議団の質問に「平和を希求する」と述べながら「安全保障政策は、国の専管事項に属するもので、国の代表機関である国会で、十分な議論が行なわれることが肝要である。」と答弁されました。
この答弁は、平和を希求すると述べながら、平和の問題は国が決めることと答弁していることになり、71万区民の平和に責任を持てないという事になりませんか。
●成立した安保法制(戦争法)に、71万区民の平和に責任を持つため、立憲主義、民主主義を守る立場からも、反対の表明をすべきです。お答えください。

【松原区長】
安全保障政策は、国の責務で実施している専管事項に属するものと考えております。安全保障関連法につきましては、国民の代表機関である国会におきまして、議論を重ねたうえで、議決が行われ、可決成立いたしました。平和都市宣言している自治体の長として、他の自治体の長とも意見交換をするとともに、多くの区民の方と平和について学ぶことは大切と考えております。今後も、次世代に向けた平和な都市を築いていくことが我々の最も重要な使命であると認識しております。

新年度予算について

【大竹議員】
次に、新年度予算についてです。
7月に、遠藤、幸田両副区長名で「平成28年度 予算編成、組織、職員定数の基本方針について(通知)」では、経済の現状と見通しで、「『三つの矢』からなる経済政策の効果により、1990年代初頭のバブル崩壊後、およそ四半世紀ぶりの良好な状況を達成しつつある。」とアベノミクスを高く評価しています。
しかし、内閣府が16日発表した2015年7月~9月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.8%減でした。個人消費が伸び悩み、設備投資は2期連続のマイナスでした。アベノミクス不況がいよいよ鮮明になってきました
アベノミクス前の時期と現状を比較すると、大企業はもうけを増やす一方で、労働者の疲弊は鮮明です。
大企業の1人当たり従業員給与は微増となりました。厚生労働省の「毎月勤労統計」では、実質賃金は5.5ポイントも下落しています。
所得の減では、先日4日に厚生労働省が発表した2014年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で、労働者全体に占めるパートや派遣など非正規雇用の割合は、各種調査のなか初めて4割に達しました。1987年の調査以来初めての4割です。
アベノミクスで円安や株高で大企業と大資産家だけが空前の収益をあげても、正規雇用の増加や賃金の上昇に結びついていません。さらに、消費税増税や輸入物価の上昇で、家計を圧迫しています。大企業が潤っても、国民経済全体が失速するというのがアベノミクスの特徴です。
また、区の予算編成基本方針(通知)で、「平成28年度は、このような認識に立ち、目下の喫緊の課題解決とともに、将来を見据え、区民目線に立った事業の見直しや再構築により『選択と集中』を強化する必要がある。」と述べ、この間すすめてきた、区民生活を支えてきたあらゆる分野の施策の縮小・廃止をさらに進めようとしています。
さらに、組織・職員定数方針で、「選択と集中」に基づく効果的な人員配置を掲げ、「大田区職員定数基本計画(平成26年度から28年度)に掲げる数値目標を踏まえ、効果的、効率的な執行体制の確立に向けた最適な人員配置に努める」と述べ、非正規雇用を増やす民間委託や、職員定数に基づく職員の削減をすすめようとしています。
●こんなアベノミクスを高く評価する経済の現状と見通しでは、区民のくらしは守れません。区民のくらしを守る立場からアベノミクスだのみの経済見通しを止めるべきです。また、非正規雇用を増やす民間委託や、職員定数に基づく職員の削減はやめるべきです。お答えください。

【松原区長】
予算編成においては、景気の動向を的確にとらえ、税収や税連動交付金などの歳入を正確に見積もることが重要です。国や都の経済指標を把握して、景気の変動を中期的な視点で分析していく必要があります。景気の先行きに十分注視しながら予算編成を進めています。区では、国の「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」「東京都内経済情勢報告」「月例経済報告」などに加え、区内の景気動向や指標を参考に経済の見通しと区財政への影響などを想定しております。区民サービスの向上に向けて、引き続き、国や都の経済指標など客観的な指標に基づき、翌年度の予算の適正な財政規模を把握し、それに応じた的確な予算編成を行うことによって、安定的で持続可能な責任ある財政運営に努めてまいります。
大田区職員定数基本計画では、アウトソーシングなどの内部努力を計画的に進め、これにより確保した人員を優先度の高い施策に振り向け、適正な職員配置に努めることとしています。今後も、アウトソーシングによる成果の十分な検証を行い、その効果的な活用を進めながら、職員定薮の適正な管理に努めてまいります。

【大竹議員】
いま区民の実態は、昨年4月からの消費税8%への引き上げでくらしと営業は深刻です。さらに国民健康保険料は平均年間523円の値上げ、年金給付は毎年減額、異常な円安による物価高騰が襲っています。
区に対する国保料への1万2千人余の問い合わせや怒りの声など、多くの区民から悲鳴の声が上がっています。生活保護受給者が13,447世帯16,717人(今年8月末現在)、就学援助は小学生5,488人(19.2%)、中学生3,235人(29.0%)(4月末現在)、と深刻です。特養ホームの待機者は1,586人(今年2月末現在)、4月からの認可保育園に申し込んで入れなかった児童数は1,708人となっています。
区民の所得からみても、納税者の平均で2014年度営業所得は4,04万3千円(前年より2千円減)、給与所得は385万8千円(前年より3万5千円減)であり、ものづくりのまち大田区の中小企業経営者や勤労者が一段と厳しい環境にあることが表れています。
一方で、羽田空港の再国際化や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、「国際都市おおた」をめざすとして、JR蒲田・大森駅周辺再開発、京急蒲田・糀谷・雑色駅前再開発と羽田空港跡地の大型施設の建設、新空港線「蒲蒲線」などのために、区税投入と基金積立をすすめ、大規模開発に拍車をかけています。いまこそ、「住民の暮らしと福祉を守る」という地方自治体の原点に立った予算編成に改めることが求められています。
日本共産党区議団は、先日17日に松原区長に対して2016年度予算編成対する要望を提出しました。区内各団体との懇談、実態調査で寄せられた多くの区民の声を踏まえ、検討し提出しました。要望項目244、重点項目35、新規項目29です。
●区民のくらしが大変になっているときだからこそ、安倍政権の社会保障削減、くらし圧迫の悪政から、住民を守る「防波堤」として、本来の役割を発揮すべきです。そのためにも、消費税10%への増税の中止を政府に求めるべきです。お答えください。
消費税増税に対して、今年の第1回定例会での党区議団の質問に、「消費税の再増税に当たりましては、生活必需品の消費税率を低くする軽減税率の導入に向けた実質的な議論も開始されており、そうした動向もあわせて見守る必要があるものと考えております。」と軽減税率の導入で消費税増税に肯定的な答弁をしていますが、税率が下がるわけではなく、小売業者の実務量が大幅に増える等、消費税増税の言い訳の根拠にはなりません。

【松原区長】
将来の少子化・高齢化の進展が避けられない状況から、社会保障制度の安定財源の確保は、重要な課題となっております。消費税10%への増税にあたっては、政府・与党により軽減税率についての議論も行われており、そのような動向を含め見守る必要があるものと考えております。

【大竹議員】
区民の命と健康では、がん検診や各種検診があります。昨年度から区民一人一人が受診への意識向上を図るとして一部自己負担が導入されましたが、乳がん、前立腺がん、肝炎ウイルス、緑内障検診など、受診率は上がるどころか前年度を下回る状況でした。がん検診は早期のがんの発見につながり、ひいては医療費の抑制にもつながります。
●昨年度の受診率が下がった結果から、がん検診の一部自己負担の導入を検証し、受診率を上げるために無料に戻し希望者全員が受診できるよう、受診期間の制限を無くすべきです。お答えください。

【松原区長】
国が推奨する5つのがん検診では乳がん検診のみ25年度に比べて受診者数が若干減少しましたが、その他の胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん検診については、いずれも増加しております。自己負担導入の趣旨を区民の皆様にご理解いただけたものと判断しており、無料に戻す考えはございません。また、これまで、各種検診において、実施期間の延長を図ってきており、27年度についても、胃がん、肺がん検診で2か月間延長をしていますので、現時点では、これ以上の延長については考えておりません。

【大竹議員】
次に、新年度予算との関連で、先ず産業政策についてです。
日本一と言われた高度な技術のものづくり集積地の大田区でしたが、最高で9,000社あった区内中小工場は、大企業の横暴と海外進出・産業空洞化、バブル崩壊やリーマンショックなどで、現在では3,481社となっています。倒産・廃業が依然として後を断たず、倒産件数だけでも分っているだけで、2014年度は76件、従業員数373人、負債額169億5,000万円です。
大田区の地域経済は中小企業とそこで働く労働者により支えられています。
区の4月から6月の景況でも、製造業が今期F・来期は最悪のG、小売業は今期・来期とも最悪のGとなっています。
今回の補正予算では、リフォーム助成で1500万円の増額を行ったことは、区民や党区議団の声に応えたものであり高く評価します。
●しかし、年末を控え、区内ものづくり中小企業の支援で、越年対策として、来年度予算の前倒しで、さらなる補正予算を組むべきです。お答えください。

【松原区長】
予算策定にあたっては、区の産業振興施策を推進する各種事業実施のために必要な額を精査し確保しているところです。区は、ものづくり工場立地助成、ものづくり企業立地継続補助金、研究開発企業等拠点整備助成、企業立地サポート業務、各種産業支援施設で生じた空ユニットに対する入居企業の募集など、中小企業支援策を着実に実施しているところです。公益財団法人大田区産業振興協会は、個々の企業のニーズに即した事業を推進しております。このように、区及び産業振興協会は、議会でご承認いただいた予算に即して事業を実施し、成果をあげているところです。従いまして、来年度予算を前倒しして補正予算を組む考えはありません。

【大竹議員】
また、松原区長がたびたび話題にしている、毎週日曜日テレビで放映されている「下町ロケット」の佃製作所の撮影現場として使用されている桂川精螺、ジェットエンジンを作っていた大森精工機等、区内から中堅の中小企業が、地方に移転しています。計り知れない区内経済への影響です。
特区や、工場立地操業環境整備立地事業で企業を「呼び込む」政策をすすめていますが、一方で、区内中小企業の区外への移転も続いています。
●そこで、工場立地操業環境整備立地事業で、移転せざるを得ない区内中小企業のために土地確保をして、京浜島等の工場団地のように、新たな中小企業のための工場団地をつくり、移転しない対策を講じることはできないでしょうか。区内産業を守る立場から、工場や雇用の確保、区内関連企業の仕事確保にもなります。お答えください。

【松原区長】
区は、移転や工場の拡張・改修等の要望がある中小企業に対して、工場アパートや、区内宅建業者と連携して民間貸工場・工業用地を紹介するほか、工場の新築・改築(修)・移転等の費用の一部を助成する「ものづくり工場立地助成」事業を実施しております。さらに、この事業の中では、民間による工場アパートの建設費用の一部を助成する「ものづくり工場基盤施設整備助成」事業も行っております。また、区は直接企業訪問を行い、企業が抱える立地上の課題を把握した上で、各種産業支援施策を紹介し、企業の区内留置に取り組んでいるところでございます。

【大竹議員】
また、昨年実施の「ものづくり産業調査結果」には、「新市場開拓にむけた取り組み」の設問がありますが、65%が「現状の得意先を重視」「現状の得意先の選択と集中をすすめる」と回答しています。このことは、大田区の製造業には「脱下請け」や「新分野進出」を促す議論がなじまないことを示しています。
技術・技能の継承を支援する本格な施策こそ、すすめるべきです。
●そのためにも、新年度予算に、産業経済費の大幅な予算増額を求めます。お答えください。

【松原区長】
技術・技能の継承につきましては、区内産業の集積・発展を図る上で重要な施策であると認識しております。区は、大田の工匠による技術指導・相談事業の実施や、大田工業連合会への委託事業として実施している次世代ものづくり人材育成事業を推進しております。さらに、公益財団法人大田区産業振興協会では、事業者の経営等に関する課題を解決するため、中小企業診断士を始めとする専門家の派遣を行うビジネスサポート事業に取り組むなど、必要な予算を確保しているところです。区が産業政策を立案し、協会が事業実施にあたるという連携体制のもと、今後も、区内産業の発展にとって真に必要な産業支援策を推進してまいります。

【大竹議員】
次に、新空港線「蒲蒲線」についてです。
この間、約20億円の積立金、毎年調査費が計上され、調査費だけでも14年間で1億7千万円となっています。
先日18日に、新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会が開かれ、経済波及効果についての講演もありました。
総事業費1080億円について、どれだけ東京都や大田区の経済波及効果があるのか話されました。
そもそも、総事業費1080億円は、平成16年度に環八ルート案として出されたものであり、それから11年物価の上昇や、近年の建材費や労賃の上昇、計画の変更などの影響が、全く反映されていないことになります。
しかも、今年7月東京都が発表した、広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫で、都内で早期に整備すべき5路線に入らなかったことです。
それでも早期の整備を進めていくと、今年度中に出される、国の次期答申に向けて、重要な局面を迎えているとして、新空港線の実現に向けた、ポスター、チラシ、横断幕、ポケットティッシュの配布等約100万円の広報活動を行いました。
11月13日の交通・臨海部活性化特別委員会で、東京都都市計画局都市基盤中島高志部長から、9月16日付で送られてきた回答が報告されました。
今年7月27付で、都が7月発表した「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」での、新空港線「蒲蒲線」の位置づけについて(意見照会)で、大田区まちづくり推進部交通企画町田達彦部長から東京都都市整備局都市基盤中島高志部長あてに提出され、2つの質問を行っていますが、その回答です。
大田区の質問1では、「新空港線は、評価の指標となる目標への寄与度が「B」判定となっています。大田区のこれまでの分析結果から目標への寄与度は「A」評価と考えますが、東京都のご意見をご教示ください。」
これに対して都は、「新空港線については一定の効果が見込まれるが、各路線の目標への寄与度は、検討路線の平均以上の効果が得られるかどうかで評価ししている。所要時間の短縮や乗換回数の減少についても同様であり、特定区間の時間短縮や乗換回数の削減効果を持って評価しているわけではない」。との回答です。また、整備主体が未定であることや、財源が難しいことがネックになっていましたが解決していません。
●これらのことからも明らかなように、新空港線「蒲蒲線」の破たんは明確です。白紙撤回し、今後区民の税金1円でも使うべきではありません。答弁を求めます。

【松原区長】
新空港線の整備は、区内の移動が格段に便利になることはもちろん、広域的な鉄道ネットワークが築かれ、地域の活性化や緊急時の迂回ルートの確保など、大田区及び東京都全体の発展のために必要不可欠な事業であります。去る11月18目に開催された『新空港線「蒲蒲線」整備促進区民協議会』において、高野豊島区長を始め300名を超える多くの方が参加され、力強いご声援もいただいているところであります。また、関西大学の宮本名誉教授から「新空港線がもたらす経済波及効果」のご講演をいただき、建設投資と初年度の消費支出をあわせた経済波及効果は、大田区で約1,400億円、東京都で約2,400億円と算出され、改めて新空港線の経済波及効果の大きさも示されました。皆様からいただいたご支援を力にして、新空港線の早期整備着手に向けて、私が先頭に立って取り組んでいく所存です。

【大竹議員】
次に、羽田空港跡地についてです。
国家戦略特区については、党区議団が再三にわたって問題点を指摘してきました。その根底には、企業が世界一活動しやすくする国づくり、企業のために規制するルールを取り払い企業が活動しやすくすることです。またそれは、国民を守るルールまで取り払うことになります。
現在、都市計画決定のために、住民への素案説明がはじまり、都市計画審議会にかけられることになります。都市計画の特例のため、都との協議会を持っているので、都との協議を省くことができることや、審議会の決定を区長に答申するのを省き、総理大臣決定となり国のトップダウンの決定となります。
現在の計画では、区民の願いである、多目的広場が中心の計画が、多目的広場が狭められ、おもてなしゾーン、産業交流施設、展示場に変わってしまいました。
計画(素案)では、ライフサイエンス分野等のイノベーション創出・新産業操業拠点として、川崎市殿町地区との連携で、医工連携事業を推進しようとしており、羽田空港跡地地区に、産業交流施設、展示場で、国内外の企業を「呼び込み」区内中小企業とのマッチングを行うものです。
外からの大企業「呼び込み」にたよる地域振興策は、全国各地で失敗を繰り返しています。誘致した大企業が雇用にも地域経済にも責任をとらず撤退する事態も相次いでいます。さらに最大の問題は、「呼び込み」のための大型開発・産業基盤整備等が財政を圧迫し、くらしや福祉、地域の中小企業や産業のための施策が犠牲にされ、それが地域経済の疲弊に拍車をかけています。
おもてなしゾーンで、国内外の農産物や物産等の販売で、区民や区の利益につながっていくのでしょうか。
先日行われた「羽田空港跡地第一ゾーン整備方針(素案)」へのパブリックコメントに、15人46件の意見が寄せられました。
その中で、「48時間以内の3千人からの住民の強制退去から70年、空港の沖合い移転から40年が経とうとしている。赤ちゃんの時、強制退去された方が9月で、70才になる。羽田空港跡地が地元の住民にとって水・緑・空に囲まれた心地よさを感じる空間となるよう、亡くなられた方たちのおもいとともに祈り続けている。」との意見です。
区民の願いである多目的広場は、当初の200haが、77、53、20haとどんどん狭くなり、僅か2haになりました。
●区民の願いである多目的広場が中心の計画に戻すべきです。また、積立金172億円は、区内中小企業支援に使うべきです。お答えください。

【松原区長】
跡地の土地利用は、羽田空港移転問題協議会におけるこれまでの検討が基本です。平成22年度の「羽田空港跡地まちづくり推進計画」では、「産業・文化交流機能」の導入と「多目的広場」などの施設整備を柱とする土地利用を確認いたしました。その後、東京都や国と協議・調整を行い、本年7月に「羽田空港跡地第1ゾーン整備方針」を策定し、「新産業創造・発信拠点」の形成を目指すこととしました。現在進めております都市公園施設としては2ヘクタールでございますが、跡地中央の街路に面した区画と公園とを連動させ、一体感を持った魅力ある空間にしたいと考えております。今後、本方針等に基づき取り組んでまいります。羽田空港対策積立基金につきましては、空港跡地の高いポテンシャルを活かした土地利用に向けての財源として積み立てているものでございます。産業交流拠点の形成や、防災にも資する多目的広場の整備など、跡地のまちづくりの財源として活用してまいります。

【大竹議員】
次に、京急駅前再開発についてです。
京急蒲田駅前開発が今年度竣工します。西口には20階建ての再開発ビルと駅前広場、ペデストリアンデッキ、東口には駅前広場ができ、広場にはバス停とタクシー乗り場ができます。見た目はきれいになりましたが、多額の税金も投入されました。
西口だけでも、総事業費245億円のうち、国費81億円、区費78億円です。この間の建材費や労賃の増で、2年前の試算より総額で、8億7500万円増で、国1億5300万円、区は3億900万円多く出すことになりました。
駅前がきれいになって、どれだけの住民が住み慣れた土地に残れたのでしょうか。地権者164世帯中119世帯、借家権者125世帯中14世帯、その他の権利者8世帯中0、合計で314世帯中133世帯とわずか42.4%です。
野村不動産が派手に売り出した、20階建ての再開発ビル「プラウドシティ蒲田」は完売です。ディベロッパーが巨額の利益を得ることになったではないでしょうか。
地元に残る権利変換者で権利敷地内のマンションに住んでいたAさんが、1,500万円で権利床として売却、再開発ビルを6,000万円で購入し、再開発ビルに入居しようとしたら、管理費は1万2,000円から4万390円へ、修繕積立金53万9,730円と合計58万0,120円となり、再開発ビルの入居の住民も大変というお話も伺いました。
店舗では、再入居の店舗10店舗で、等価変換で店の広さを半分にせざるを得なかった店舗もあります。
現在糀谷の駅前再開発の工事も始まりました。計画では、総事業費193億円、国費48億円、区費55億円です。ここでも、すでに権利変換が行われており、地権者110世帯中84世帯、借家権者107世帯中8世帯と合計217世帯中92世帯しか残ることができず、わずか42.4%です。
これから雑色駅前再開発も始まります。こんな区民が住み慣れた街に住み続けられなくなる街づくりはやめ、住民が住み続けられる街づくりをすすめるべきです。
●今からでも遅くありません、京急蒲田駅前再開発のような住民追い出しの雑色駅前再開発は止めるべきです、お答えください。

【松原区長】
雑色駅前のまちづくりについてですが、京急蒲田西口駅前地区と糀谷駅前地区と同様に、地域住民の皆様が主体となって、まちづくりを進めております。地域の皆様の努力によって、京急蒲田西口駅前地区では、本年12月に完成する再開発ビルの床は全て埋まりました。同時に完成するペデストリアンデッキを含む駅前広場では、人と車を分離し安全な歩行者空間が確保され、地域の皆様に喜ばれております。また、糀谷駅前地区では、再開発ビル、駅前広場が、平成28年度に完成する予定です。これらの再開発事業は、防災性を向上させるとともに、交通結節点としての機能が強化されます。また、いずれの事業も土地に権利をお持ちの方が、権利を継続できるしくみとなっております。雑色駅周辺地区では、地元地権者の皆様が、10年以上に渡り、まちづくりに熱心に取り組まれております。今月には、地権者主催のガイドライン案の説明会が開催され、多くの方々の参加がありました。区としましては、地域の皆様が目指す安全・安心で魅力あるまちづくり活動をこれからも支援してまいります。

【大竹議員】
●また、このような大企業・ゼネコン奉仕の不要不急な大規模開発ではなく、保育園待機児ゼロ、特養ホーム待機者ゼロ、75歳以上の高齢者医療費窓口負担ゼロ等をはじめ、区民のいのち・暮らし、営業を守り応援する仕事に真正面から取り組むために、予算の重点を切り替えるよう求めます。お答えください。

【松原区長】
平成27年度予算編成では、区民生活や区内経済を守るための事業など、ハード・ソフト両面からバランス良く予算を配分いたしました。総合防災力の強化に向けて、橋梁の耐震性の向上」不燃化まちづくりの取り組み、防災地図の全戸配付、緊急医療救護所の設置など、区民の皆様が、安全で安心して暮らせるまちづくりを進める予算を盛り込んでいます。健康・福祉・医療の分野では、高齢者の在宅サービスを支える24時間サービスの拡充、地域包括ケア体制の推進、介護予防事業の充実、重度の障がいのある方に対応できる緊急一時保護機能を備えた新たな施設の建設、がん検診の充実など、暮らしの安心を支える予算を重点的に配分しました。産業分野では、商店街活性化推進事業、飲食店の魅力アップを図るための繁盛店創出事業、成長産業認証取得補助の創設など区内産業振興に取り組んでまいります。まちづくりにおいては、区全域を「国際都市おおた」にふさわしい魅力あるエリアとして進化させ、未来の大田区の遺産となるよう整備を進めてまいります。平成28年度予算編成においても、4つの重点課題を掲げ、待機児童対策、防災力・防犯力の強化、公共施設の更新やにぎわいのあるまちづくり、様々な産業振興施策など、区民の誰もが、安全・安心で生き生きと暮らせるまちづくりを進めております。70万区民の福祉の増進のため、地域力の向上、国際都市の推進を目指し、安全・安心で暮らしやすく、にぎわいのあるまちづくりを一層力強く前進させ、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる国際都市おおた」を実現するための予算を取りまとめてまいります。

安心できる国民健康保険について

【大竹議員】
次に、安心できる国民健康保険についてです。
1958年に国民健康保険法が制定され、61年から全国の市町村で国民保険事業が始まり、「誰でも」「いつでも」「どこでも」保健医療を受けられる体制が確立されました。
国保は、社会保障制度であり、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入し、お互いの医療費を支え合う「国民皆保険制度」を支える基礎として重要な役割を果たしており、国が責務を果たすため一定の国庫負担を制度化しています。
しかし、いま国保をめぐっては、負担能力をはるかに超える保険料の問題があります。低所得者の方々が多く加入しているなど構造的な問題があるからです。
大田区でも、区の取り立て強化の中、国保滞納者41,318世帯、短期証発行4,514世帯、資格証明書発行698世帯(今年9月現在)となっています。
今年5月10日の参議院厚生労働委員会で、日本共産党小池晃参議議員が、介護保険には、保険料を賦課されて生活保護基準以下になった場合は保険料を免除する境界層措置があるが、国保にはない。「国保にも介護保険と同様に設けるべき」との質問に、厚生労働大臣は「検討する」と答弁しました。
また、均等割により、東京都23区の場合では、子どもが一人だと4万3200円、二人だと8万6400円、三人になると12万9600円となり、子供の数が増えていくほど保険料が上がっていく問題についても、「これは子育ての逆行じゃないですか。人頭税ですよ」と制度の見直しの求めに、大臣は「引き続き検討していく」と答弁しました。
さらに、全国知事会から、高すぎる国保料をせめて協会けんぽ並みにと、1兆円の財政投入をと要望が出されています。
●境界層措置や、均等割により子どもの人数に比例して保険料が上がる制度の見直し、国の抜本的な国庫負担の増額を、国に求めるべきです。お答えください。

【松原区長】
23区の国民健康保険料は、所得割の割合を高くし、均等割の割合を低く抑え、所得の低い方の負担を配慮したものとなっております。平成27年度は、国の制度改正により、所得割の賦課限度額が上がった一方で、均等割の軽減措置の対象となる方が広がっています。子どもの数に応じた均等割の軽減措置の導入については、全国知事会・全国市長会・全国町村会から提案が行われ、平成30年度の国保制度改革に向けた国と地方の協議の場「国保基盤協議会」などで協議が行われております。今後も高齢化が進展し医療費の増大が見込まれる中で、国民健康保険制度を将来的に持続可能な制度としていくことが何より大切です。国庫負担を充実し、国保財政の基盤の強化拡充と被保険者の保険料負担軽減を図ることについては、引続き、全国市長会を通じ、国に求めて参ります。

【大竹議員】
今年2月厚生労働省は、国民健康保険の改革による制度の安定化として、公費負担の拡充で毎年3400億円の国の財政支援の拡充等により、国保の抜本的な財政基盤の強化を図るとしています。
具体的には今年度から、低所得者対策の強化のため、保険料の軽減対象となる低所得者数に応じて1700億円の財政支援の拡充が実施されました。これに加えて、更なる国費投入が今年度から、国の国保財政に対する責任を高める観点からの財政調整機能の強化、国民皆保険の基礎としての役割を果たしている国保において、自治体の責めによらない要因により医療費が高くなっていること等への財政支援の強化で700~800億円規模の支援策が出されましたが、23区の保険料は引き上げられました。
先ほどの参議院厚生労働委員会の場で大臣は、国保の抜本的な財政基盤強化を図るとして3400億円の財政支援について、「3400億円の追加的な財政支援というものを行うことにしているわけであって、保険料の伸びの抑制などの負担軽減にこれをどうきちっとつなげていくかということが大事というふうに当面は思う」と答弁しています。
●区長、国は国の財政支援で保険料は引き下げにつなげていくと答弁しています。なぜ今年度引き下げなかったのか、来年度は引き下げるべきです。お答えください。

【松原区長】
平成27年度から実施された「保険者支援制度」の拡充は、国保制度改革に関連して、財政状況が厳しい中で一般会計から多額の繰入により国保制度を維持運営している市町村国保に対し、所得の低い方への軽減措置に対し保険者への財政支援として実施しているものです。この財源として、国は消費税率の引上げによる増収分を充てることとしています。この制度に基づく国と都の負担金は、区の負担分と併せて、一般会計から国保事業特別会計へ繰入れ、所得の低い方を対象とした保険料の均等割額・軽減措置の拡充に充てております。区では、一般会計から国保事業特別会計への繰入金のうち、財源不足のため繰り入れる法定外繰入金は、平成26年度決算で約56億5千万円となっており、一般会計から多額の繰入を行って国民健康保険を維持し運営をしております。特別区共通基準に基づく保険料の算定にあたっては、医療費の動向、国及び都の交付金の額、前期高齢者交付金及び後期高齢者支援金、国保加入者数、所得状況など基礎となる数字を踏まえ、国の制度改正による影響も勘案して、被保険者の方に過大な負担とならないように検討を重ねてまいります。

民泊条例で区民の安心・安全は守れるかについて

【大竹議員】
次に、通称民泊条例で区民の安心・安全が守られるかにつてです。
民泊については、今定例会で条例案が提出されていますので、区の考え方についてお聞きします。
今回提出されている条例案は、国家戦略特別区域法13条 旅館業法の特例で、「国家戦略特別区域計画について、内閣総理大臣の認定を受けたときは、当該認定の日以後は、外国人滞在施設経営事業を行おうとする者は、その事業が国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に該当することについて都道府県知事の認定を受けることにより、当該事業については、旅館業法の規定は適用しないこととする。」の規定を適用させるものです。
条例案では、施行日は規則で定めるとなっています。
議会運営員会で、施行日の区の考え方を聞いたところ、副区長が「規則の整理が整った後の1月中を考えている」との答弁でした。
また、その理由として「今ある違法な民泊を早く規制していきたいので、早く条例を制定したい」との答弁でした。
確かに、連日のマスコミでも違法な民泊が報道され、地域住民とのトラブルになっている状況も出されています。
なぜ、そのような状況になっているのでしょうか、国が旅館業法の特例、いわゆる民泊を打ち出したから更に拍車がかかりました。
●違法な民泊を規制するためには、旅館業法違反での取り締まりこそ必要ではないでしょうか、お聞きします。

【松原区長】
現在報道されている民泊については、いろいろな形態が見受けられ、その対応について、現在、国でも検討されているとのことですので、その推移を注視しているところです。ただ、ご指摘のように近隣トラブルが生じているとのマスコミ報道があることも承知しており、区内で、そのような状況が生じた場合には、現地を確認して旅館業法の観点から指導することとしています。さらに悪質な場合は警察と連携して旅館業法違反での取り締まりも検討してまいります。

【大竹議員】
次に、民泊条例による区民の安心・安全との関係についてです。
区民の安心・安全について、条例案に明記されている項目は、第3条の立入調査等、第4条事業計画の周知だけです。それ以外は、「施行に関して必要な事項は、規則で定めるとなっています。」ので、規則に定めることになります。
厚生労働省規則、内閣府・厚生労働省通知に基づいて、規則の整理を行っているとの事ですが、区民には判りません。
パブリックコメントでも、事業の実施、周辺への影響、認定要件、近隣との調整など、数多くの不安が出されています。
また、条例案では、第2条で、条例で定める期間を7日としました。施行令第12条第2号は、施設を利用させる期間が7日から10日までの範囲において施設の所在地を管轄する保健所を設置する特別区の条例で定めるとなっています。
外国人滞在施設経営事業の滞在期間について、かつて国では、公衆衛生や善良な風俗の保持の要請や、ホテル・旅館との役割分担等も考慮し、一定期間以上滞在期間を求めており、その期間を10日と考えていました。
滞在期間7日についても守られる保証はまったくありません。
また、認定事業者の取消はあるものの罰則規定がないことです。
さらに、党区議団の「低廉な公共住宅の建設を」の再三の要望に対して、「区内には6万戸の空き家があるのでその活用で対応したい」と答弁しており、今条例案により、空き家が民泊として活用され、低所得者で住宅に困窮する人に対する住宅対策を縮小することにならないかとの声も上がっています。
大阪府は9月に条例制定されましたが、施行日は4月1日となっています。
大阪府や大阪市では、昨年9月に条例提案されましたが、住民の安心・安全について不十分と議会で否決となり、その後国との協議を行い、国の法律改正に繋げながら、再度今年度の提案で、住民の安心・安全について十分な論議をすすめながら大阪府は成立したものです。
●今規則の整備を進めているとのことですが、区民の安心・安全の部分については、殆どが規則で定めることになります。区民の不安は解消されません。規則ではなく条例にして、区民に明らかにすべきです。区民の安心・安全が確保されなければ条例制定は行うべきではないと考えます。お答えください。

【松原区長】
国家戦略特区法第13条の旅館業法特例については、政令の要件として最低日数のみ条例で定めることとなっております。大阪では、認定要件の取消事由の確認のため立入権について、国と協議して条例で定めることが認められました。大田区では、さらに区民の不安を除去する観点から近隣住民への周知について条例に規定します。また、平成27年7月31日付の厚生労働省、内閣府共同の通知では、警察との連携、認定事業者における苦情窓口の設置等が示されており、この内容を規則、運用等に定めることで、区民の安心・安全の確保に努めてまいります。

以  上

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