第3回定例会代表質問(速報)―すがや議員



(映像は大田区議会ホームページより:63分)

【すがや議員】
日本共産党区大田議団を代表して質問します。

安倍政権の暴走と対決し、暮らしと福祉最優先の区政へ

【すがや議員】
参院選後、安倍政権の暴走が際立っています。
まず、10月1日に決めようとしている消費税大増税は国会の論議を踏まえず区民への大きな負担を押し付ける大暴走です。来年4月から消費税率を5%から8%引き上げ、増税分3%は約8兆円、今回の経済対策5兆円は消費税分の2%に相当します。それも、経済対策には、東京五輪開催に向けた公共事業や設備投資減税が盛り込まれています。さらに、経済対策の素案には「近い将来に法人税を5~10%軽減」と明記しています。庶民から8兆円しぼり取り、大企業には大減税と公共事業を行うのは、まさに「天下の愚策」です。
政府は、消費税率引き上げの判断とする4月期~6月期の国内総生産(GDP)改定値を3.8%増と大幅修正しましたが、成長率がプラスになったのは公共事業の増加や自動車など輸出産業、株価が上がって設けた富裕層が高額な買い物をしたことなどによるものです。一方、国内総生産の6割を占める個人消費は0.8%から0.7%へ下方修正されました。個人消費が伸びないのは労働者の賃金が伸びていないからです。設備投資もマイナスです。
厚生労働省の毎月勤労統計調査では、労働者の年間平均賃金は消費税が3%から5%に引き上げた1997年の446万円をピークに減少し、2012年には377万円と15年間で約70万円も下落しました。基本給に当たる所定内給与は14か月連続の減少です。
庶民は給料や年金は上がらないのに、ガソリン、マヨネーズ、乳製品などの値上げで暮らしはますますたいへんです。この連休中も、区民の皆さんから「選挙で消費税増税に賛成したのではないのに」「前と同じようなばらまきしても、くらしや景気はよくなっていない」と怒りは広がっています。
共同通信、毎日新聞、日経新聞8月23~25日に行った世論調査では消費税増税来年4月から実施すべきでないが7~8割です。ここにも、自公政権と国民のねじれが出ています。もともと、消費税増税は財政再建と社会保障の拡充が口実でした。ところが高齢者など福祉の充実にお金がまわるどころか、介護など負担増と給付削減の連続です。病院や介護施設からも締め出され「老人漂流社会」など痛ましいことばまで生まれています。消費税増税が社会保障拡充のためという口実はもはや成り立つ余地がありません。
●区長は第1回定例会党区議団の消費税に対する質問に「…低所得者に配慮の観点から軽減率制度等の措置、商工業者向けの側面としましても、…中小業者が適切に転嫁できるような法制上の具体化を実現するもの、影響に配慮がなされると理解する。…注視する」とこたえていますが、現時点でもこの立場ですか。区長は町を歩いて区民のくらし営業を見てこられていると思います。私が訪問した町工場のご主人は「売り上げが伸びず、まだ半期分の消費税が払えていない。払いたくても払えない」「消費税が上がったら廃業するしかありません」と言っていました。このような中で、消費税が増税されたら区民のくらしや中小商零細企業はつぶされてしまいます。景気対策というのなら、来年4月からの消費税増税をきっぱり断念することこそ、最大の景気対策です。
区長は国の動き注視という毎回の傍観はやめて、国に消費税増税しないよう意見を上げるときです。おこたえください。

【松原区長】
消費税増税に関するご質問でございます。来年4月の消費税増税につきましては、経済指標や有識者の方々の意見に基づき、最終判断がなされると認識しております。この増税は、急激な少子高齢化に対応して、社会保障制度の安定財源を確保するために行われるものでございます。消費税の増税に当たりましては、経済等に与える影響を考慮し、新たな経済対策も併せて検討されております。また、消費税の増税が商工業者に与える影響に配慮して、中小企業が消費税率の引き上げ分を販売価格へ適切に転嫁できるよう、法が整備され、実行に向けた調整が進められております。当区といたしましては、国による、税率引き上げへの対策の具体化により、国民生活への影響に一定の配慮がなされるものと理解しております。区民が住み慣れた地域で安心して暮らすために、国の動向を視野に入れつつ、社会状況の変化に柔軟に対応し、区民生活の安定と区内産業の活性化を図ってまいりたいと考えております。

【すがや議員】
日本共産党は消費税増税は仕方がないけれども来年4月は困るなどいろいろな立場の方と「来年4月からの消費税増税ストップ」の一点共同を呼びかけ頑張ります。
次に、平和の問題です。安倍首相は、歴代内閣が「憲法9条違反」としてきた「集団的自衛権」について、日本が攻撃されなくても他国(アメリカ)が起こす戦争に自衛隊も参戦できる―――の解釈を変える、そのために内閣法制局長官を強制的にすげ替えるというクーデター的やり方をしたことは断じて許されません。
8月6日、9日の平和式典では安倍政権に対し、被爆国としての原点に立ち戻ることが訴えられました。党区議団代表も参加した長崎の式典で田上市長は「4月のNPT再検討会議準備委員会で、非人道性を訴える共同声明は80か国に賛同が広がるなか、政府は、唯一の被爆国でありながら署名を拒否した」また、「NPTに加盟していない核保有国であるインドとの原子力協定は自己の検証より再稼働が先行している」など批判しています。15日の終戦記念式典では、アジア諸国への加害の反省や不戦の誓いには一言も触れませんでした。これら平和を壊す安倍政権の思想は、アジア諸国をはじめ、世界からの孤立国になってしまいます。沖縄では、米軍のヘリコプターが事故を起こし、原因も明らかにされていないのにオスプレイの再配備が進められ、さらに、横田基地にオスプレイ配備が押し付けられようとしています。党区議団は、8月15日松原区長に、羽田空港をかかえる大田区としてオスプレイを横田基地に配備させないよう国に申し入れることを求めた「緊急の申し入れ」をし、22日は躍進した国会議員団・都議会議員団と外務省要請行動に参加しました。
「集団的自衛権」やオスプレイの横田基地への配備問題は、区民の命にかかわる大問題です。平和都市宣言をかかげ、平和首長会に参加している松原区長は、これまでのように「国の動向を見守る」のでなく、70万区民の命くらしを守るため、憲法9条を遵守するよう、横田基地にオスプレイ配備しないよう働きかけるときです。
原発では、次々に問題がおきています。安倍首相は、オリンピック招致で「東京は安全で全く問題がない」と発言したことを福島の皆さんはどのような思いで聞いたでしょうか。いまだに15万人の人が自分の家に戻れません。
非常事態を認識し、安倍首相は収束宣言を撤回し、東電が破綻しているもとで政府の責任で汚染の実態や原因の調査・把握・公表して内外の集団的英知を総結集した抜本的な対策を立て直すことが急務です。
●今、世論調査では原発、消費税増税、憲法でも国民は、過半数を超えて反対です。国民とねじれをおこしているのは自民党です。区長、安倍自公政権の憲法改悪や社会保障改悪などの暴走は、区民に痛みを押し付けるものです。区民の声を良く聞き、区民の命とくらしを守ることを最優先とする立場に立つことです。お答えください。

【松原区長】
次に、区民の声を良く聞き、区民の命と暮らしを守る最優先の立場に立つべきとのご質問でございますが、消費税増税や社会保障改革などは、今後の国の形をどのようなものとしていくかにも関わる、重要な課題であります。国民の一人ひとりが自らのこととして考えていくべきものと理解しております。その意味では、昨年末以来の2回にわたる国政選挙により、国民の考え方の一端が示されたものと考えております。しかしながら、地方分権への時代の流れや、住民主体のまちづくりの理念は、選挙の結果いかんに関わらず、どの政党が国政を担ったとしても変わるものではございません。基礎自治体としての本区が果たすべき役割は、区民の安心と安全、そして区内産業の活性化や魅力ある地域社会の実現を図っていくことにあります。そのために、基本構想で定める大田区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおた」の実現に向け、区民の皆さんの声をしっかりと伺いながら、地域力と国際都市をキーワードとするまちづくりを、今後も着実に推進してまいりたいと考えております。

【すがや議員】
さて、次に区民のくらしについてです。
値上げされた国民健康保険料の問い合わせは10149人、滞納世帯数は5月末現在37893世帯、前年度より1000世帯以上増えています。差し押さえは96件、資格証発行、短期証発行世帯数共に減っていますから、いかに収納強化がと行われているかわかります。
生活保護受給者は13135世帯16560人(今年6月現在)、特養ホームに入りたくても入れない数は1500人を超え、保育園に入れない数は438人など区民のくらしがたいへんな時、安倍政権は8月21日、公的介護・医療・年金・保育の諸制度を大改悪していく手順を定めた「プログラム法案」の骨子を閣議決定し、秋の臨時国会に提出する方向です。
介護では、要支援者を保険給付からはずすなど、150万人にのぼる要支援者全体を保険給付の対象外にしてしまう介護保険制度の大改悪の計画です。
医療では、70歳から74歳の患者負担(現在原則1割)の2割負担への引き上げを2014年度に実施です。また、医療費削減のため「病床の機能分化」などの名目で病床数を抑止するシステムを作り上げる法案を提出することも盛り込みました。15年には、国民健康保険の運営主体の都道府県への移行や紹介状無しで大病院を外来診療する際の患者負担増を行うとしています。
年金では、年金支給額を毎年減らすマクロ経済スライドの実施や、公的年金控除の縮小などによる課税強化に「検討を加え必要な措置をする」としました。
保育分野では、公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」や株式会社の参入を促進する「待機児童解消加速化プラン」の「着実な実施」、「新システム」の実施は15年4月を予定です。
このような社会保障の全面的な改悪へ突き進む手順をあらかじめ定めるのは異例のことであり、安倍政権の暴走です。
社会保障改悪の先取りが生活保護の問題です。この8月から引き下げがはじまり、3年で67億円引き下げです。今回の引き下げは、食費、衣料、光熱費など生活扶助であり、ほとんどの世帯に影響しました。特に母子家庭や若い子どものいる世帯に大きな影響です。生活保護の切り捨ては、就学援助や国保減免など影響を及ぼし、就学援助は試算でも4人家族で基準が13万円引き下がります。
85歳の女性は、冷暖房機器のないアパートに生活しており、「熱中症で倒れるのではないかと心配だ」と近所の方が心配して連絡がありました。この夏は特に暑く、生活福祉課にも実情を話しましたが、活用する制度がないということです。お金を貯めるしか方法がありません。しかし、たまるまで待てない異常気象です。私たちは、避難的に図書館やクールスポットを利用するように勧めましたが、高齢で出歩くのが大変です。
生活保護受給者の7割が高齢者、働けなくなり、年金が足りないなどの理由で受けざるを得ないのです。昨年夏に始まった生活保護受給者へのバッシングに肩身の狭い思いをして生活しています。憲法25条「誰でもが文化的な生活を営む権利」すら保障されない貧しい国になろうとしています。社会保障は、ほどこしではありません。憲法に基づく権利です。
さらに、自公政権は、公立学校授業料の無償化に所得制限900万円を導入することを決定しました。昨年9月に採択した国際人権規約のA規約第13条にも違反です。これは、私立学校の就学支援金に影響します。都立学校や、私学でも、学費の問題で退学する生徒が減ってきている中で、所得制限を持ち込むことは許されません。
これら、安倍首相とこれを進める自公政権の暴走は「これから先、いったいどうなってしまうのだろうか」「精一杯頑張ってきたのにひどすぎる」など区民のみなさんに怒りが広がっています。
●これからくる社会保障の改悪のオンパレードは、区民に大きなしわ寄せとなります。まず、国に対して社会保障改悪をしないよう求めることです。また、生活保護費の引き下げについては、5月16日に厚生労働省事務次官名で「生活保護基準見直しに伴い他制度に及ぼす影響について」通達を出していますが、大田区は、通達に基づく対策をしたのでしょうか。生活保護を廃止された世帯は何世帯ですか。生活が良くなっているのではないですから、廃止された世帯への特段の手立てをするべきです。
さらに、介護・医療・年金・保育・就学援助・公立学校の所得制限など区民の何人に影響が及ぶのか、あわせて、このような改悪に対し区長は、区民の命を守るために、国の防波堤となる支援策を考えているのかお答えください。就学援助について「現行水準を維持する」と世田谷区長は答えています。教育の機会均等を守る上でも現行水準を維持することが求められます。おこたえください。

【松原区長】
次に、生活保護基準の影響に関するお尋ねですが、生活保護基準の見直しに伴う他の制度への影響については、平成25年5月16日の厚生労働省事務次官通知で対応方針を示しております。通知において、それぞれの制度の趣旨や目的実態を十分に考慮しながら、出来る限り見直しの影響が他の制度に及ばないよう対応することを基本的考え方としております。地方単独事業については、各自治体で通知の趣旨を理解し、判断することになっております。なお、今回の生活保護基準見直しに伴い生活保護廃止となった件数は、現在のところ3件でございます。
次に生活保護基準見直しに伴う区民への影響と支援策についてのご質問ですが、生活保護基準の見直しに伴い、介護や医療、年金など他の制度をご利用になっている区民の方々に影響が及ぶことが想定されております。生活保護基準の見直しに伴う影響については、それぞれご利用になっている制度の趣旨や目的、実態を十分に考慮しながら判断すべきと考えております。区といたしましては、これまで同様、区民の皆様が健やかに安心して生き生きと暮らしていくために、必要な支援を、必要な人に適切に提供させていただく考えでございます。
【清水教育長】
それでは、教育に関連する質問にお答えいたします。就学援助費の支給について、現行水準を維持するべきではないかとのお尋ねでございます。就学援助費は、生活保護世帯等のほか、世帯の所得が生活保護基準の1.2倍未満の世帯の児童・生徒の保護者を対象としています。新たな生活保護基準については、本年8月から3年間かけて段階的に実施されることとなっておりますが、平成26年度以降の取り扱いについては、国・都の動向も注視しながら、適切な時期に判断してまいりたいと存じます。

2012年度決算からみた大田区政について

【すがや議員】
2012年(平成24年)度の一般会計は、歳入決算額2326億円余、歳出決算額2223億円余で歳入歳出差し引き額は103億円余となり、翌年度へ繰り越す財源を差し引いた実質収支額は89億円余となりました。
2012年度の予算編成に当たって区は、特別区税と特別交付金の基幹財源が減少方向にある一方、雇用環境の悪化や少子高齢化等に伴う社会保障関係費が増加傾向にある、厳しい財政状況の中で、聖域なき事業見直しや未来プランの点検を行い、厳しい財政運営の中で編成したとし、2年連続の5%マイナスシーリング、前年度比、1.9%減の予算でした。その結果、当初見込みの183億円から財源不足を65億円まで圧縮しました。
予算には、小児救急支援事業、高齢者肺炎球菌ワクチン助成の拡充、都市型軽費老人ホームの整備、(仮称)障害者サポートセンターの設置・建設、待機児童対策の充実に認可保育園建設、耐震診断、耐震助成事業など区民の要求にこたえたものがあり、党区議団は評価しました。
しかし、2012年度予算について、政府が進める暮らしと経済破壊の政治に追い討ちをかける内容であり、3つの転換を提案し予算組み替えを提出し、反対しました。その結果が決算に表れています。
まず第1の転換は、くらし、福祉、営業など区民のいのち、くらしを守るということです。
2012年度は、40事業が廃止、縮小されました。高齢者、障害者、ひとり親家庭の社会的弱者支援の住み替え家賃助成制度の廃止、電話訪問、福祉電話、準福祉電話の大幅削減です。子育て家庭に喜ばれていた出産こども一時金は、国保の4万円増の常設化を理由に廃止、生活保護受給者への入浴券は50枚から30枚に削減しました。年間30枚では週に1回も入ることができません。今年の夏は特に暑く入浴券は増やす必要があります。人間らしく生活したいという思いに応えることです。
これら廃止、縮小された事業は学識経験者や自治会役員、民生委員、公募区民による事務事業外部評価、大田区版「事業しわけ」を手法としました。党区議団は大田区版「事業しわけ」事務事業外部評価中止することをこれまでも求めました。区民にとってかけがえのない事業を切り捨てたことは断じて許せません。反省し、切り捨てた施策を元に戻すことです。
産業経済費は、予算で増額した主なものは東糀谷6丁目工場アパートの借り上げ使用料1億9000万円余、新製品・新技術開発支援事業の拡充、訪日外国人旅行者受け入れ環境整備事業などでした。決算では、1億7000万円余の不用額です。後で産業政策はのべますが、この不況下でがんばっている中小企業、商業に対して、プレミアム付き商品券発行、固定費補助など補正を組んで支援することができたのです。大田区の産業経済費予算を大幅に増やして、自然エネルギーの開発など大田区のものづくり支援のため予算を拡充することです。
●決算から言えることは、歳入では、個人所得や給与所得は減っているのに特定扶養控除廃止や各部局による収納対策の強化によって収入が増えるという区民への負担増になっているということです。歳出では上で述べたような区民にとってかけがえのない施策、特に高齢者や弱者への施策が削られました。よって、決算は、党区議団が予算編成で示した区民のくらし、福祉、営業切捨ての決算になっています。おこたえください。

【松原区長】
次に、平成24年度決算についてのご質問です。平成24年度予算は、社会保障関係経費が増加傾向にある一方、特別区税と特別区交付金の基幹財源が減少傾向にあり、当初から多額の財源不足が見込まれる、大変厳しい財政環境での編成となりました。この難局ともいえる状況の中、区民生活や、区民経済を守り抜くという決意のもとに、区民の皆様にとって必要不可欠なサービスを継続すること、同時に財政の健全性を維持することについて全力で取り組んでまいりました。収納対策の強化はその一環であり、公平性の観点から、負担いただく税金・保険料等をきちんと収納させていただけるよう取り組んだものでございます。平成24年度決算でございますが、高齢者への対応、区民の健康づくり、待機児童対策、教育環境の整備など、区民生活と区民経済に必要不可欠な行政サービスを安定的、継続的に提供する一方、東日本大震災の教訓を踏まえた総合防災力強化事業にも積極的に取り組み、事業目標は十分に達成できたものと考えております。今後も厳しい財政状況が見込まれておりますが、区民生活の安全・安心の確保と、区の、未来へ向けた歩みを着実に進めるために、福祉や健康、まちづくり、産業振興など、様々な施策を、バランスよく進めてまいります。

【すがや議員】
次に第2の転換は、区が、区民サービス向上とコスト削減、民間にできるものは民間へ外部委託や民間委託、指定者管理制度などアウトソーシングを進め、管制ワーキングプアを拡大し続けていることをやめることです。
8月13日総務省発表の4~6月期平均の労働力調査詳細集計では、役員を除く雇用者のうち非正規雇用者数は前年同月期に比べ106万人増加し、1881万人でした。2002年調査開始以来最多となりました。うち男性は603万人、女性は1278万人です。正規雇用者は前年同時期比53万人減少し、3317万人で、2年連続で減少しています。大田区もこれに加担しているのです。
2013年4月現在区直接雇用の非常勤職員数2073人、臨時職員178人合計2251人(2012年1860人)が働いており、大田区全体では35.9%に達しています。保育園職場では非常勤保育士は41.4%、児童館では52.3%です。
民間委託は11000件、指定管理者制度119施設をこえ、最高時清掃事務事業が移管された2000年(H12年)4月現在6170人いた大田区の職員は本年(H24年)4月4389人に減っています。公務の正規職員が不安定雇用に拡大しています。これは、大田区への税収減にも直結しています。
大田区は「民間委託や指定管理者制度など事務事業のアウトソーシングについては、民間にできることは民間にゆだねる」「民間事業者の豊富な人材やノウハウを活用することで区民サービスの向上と効率的な運営が図られる」「…選定におきましては、…幅広い視点で審査を行ったうえで事業者を選んでおります」と答えています。
われわれ党区議団はくりかえし、区立保育園の民営化で株式会社など保育士が定着しないのは、株式会社の儲けを、働く人の人件費でなく、株の配当や他の事業に転嫁していること、結局低賃金で働かされていることなど指摘し、大田区が低賃金、不安定雇用助長の民間委託をやめるよう求めてきました。
待機児童ゼロにしたと注目をあびた横浜市は、保育園運営の多くが株式会社立です。日本共産党横浜市議団が決算で人件費比率を求めたところ、社会福祉法人立の7割で働かせていたということが明らかになりました。
また、参院選挙の青年の訴えの中で日本共産党に特に強い共感が寄せられたのは、原発や憲法問題と共に、雇用の問題でした。若者を使い捨てにする「ブラック企業」をなくせという訴えは、選挙の大争点となり、期待と関心を大きく広げました。日本共産党の追求が政府にブラック企業4000社調査を実現させました。若者の使い捨てが疑われる企業や過重労働させている企業の監督指導の強化などです。大田区には、2013年8月11日ブラック企業大賞に選ばれたワタミ本社があります。
●国任せにせず、まず、大田区の仕事をしている民営化された職場や指定管理者制度の職場の実態を調査・公表し、必要なところは指導すること、違法なところは入札に参加させないなどすることです。足立区では、違反業者への是正措置を盛り込むなど「公契約条例」が今議会に提出されます。大田区でも働く人たちの労働条件やくらしを応援するため、「公契約条例」を作ることを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、指定管理者を含め、民営化を実施した職場における労働環境の実態調査並びに指導に関するご質問でございますが、民営化を実施した事業につきましてはモニタリング等を通じ、より良い区民サービスの維持・向上に努めているところです。従業員の労働環境の適正な管理は、区の事業を受注した事業者自らが取り組むべき問題と考えております。仮に労働条件が守られていない状況などが見受けられた場合におきましては、状況を確認し、法令遵守の徹底を図ってまいります。
次に、公契約条例についてのご質問をいただきました。受注者における従業員の賃金など労働条件は、労働関係法規に基づき、労使間で決定されるものであると考えております。区では、ダンピング等を防止するための最低制限価格の設定や工事成績評定の実施、さらに第三者委員による入札監視委員会を設け、過度な価格競争の防止と契約の質の確保に努めているところです。一方で、23区においても公契約条例の対応に動きがあるところであり、その動向については今後も注視してまいります。

【すがや議員】
第3は、区民にとってかけがえのない施策は削りながら、大型開発には聖域を作り、京急蒲田駅西口広場215億円、糀谷駅、雑色駅などの開発や「空港線「蒲蒲線」総額1080億円、積み立ては補正・今年度あわせて10億円、蒲田駅・大森駅周辺グランドデザイン、国際戦略総合特区、羽田空港跡地開発は国から購入する土地代などを含めると400億円余など区民の大切な税金をつぎ込む計画を進めていることからの転換です。
東京都がオリンピックの招致を受けて松原区長は、羽田空港跡地の利用や羽田空港跡地第1ゾーンを区域の一つに組み込んだ国家戦略特区(仮称)羽田グローバルアライアンスセンターの提案などを発表しました。新空港線「蒲蒲線」の開発が進むよう国土交通大臣に申し入れをしました。町では期待の声がある一方「オリンピックにかこつけて、様々な開発に税金がつぎ込まれるのではないか」と心配の声が広がっています。オリンピックで開発が進んでも、区民が苦しい生活や本当に必要な施設改修が後回しはごめんです。日本共産党はオリンピック・パラリンピック招致にむけて、2つのことが大事と考えます。1つは、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するオリンピック精神の実現に努めることです。もう1つは、国民や都民の暮らし、環境と調和のとれた無理のない取り組みを進めることです。リニア新幹線、東京外環道など便乗型の大型開発はやるべきでないと考えます。
●党区議団が行っている予算要望の懇談会では「補聴器の電池代の補助」や「要約筆記のロール代の補助」など切実な願いも「予算がない」といわれてあきらめています。この先どうなるかわからない新空港線「蒲蒲線」開発に10億円つみたてるよりも、16カ所の保育園を作り、待機児童解消をすることが区民の幸せになります。ですから予算の組み換え提案をしたのです。実現すればお母さん方も、どんなに喜んだでしょうか。保育園に入れず、困り果てて不服申請しなくても済んだのです。
区民の方から「大田区はお金がない区なのでしょう」とよく言われますが、監査委員の意見書でも健全財政と発表しています。
基金と区債は、すべての事業の見直しなどで970億円近く溜め込み、区債は最高で1300億円から478億円に減らしています。基金では、羽田空港開発171億円、新空港線「蒲蒲線」10億円などをやめて学校施設の改修や区民施設など必要な計画に活用することです。
大型開発など税金のムダ使いをやめて区民の切実な願いにこたえることです。お答えください。

【松原区長】
次に、大型開発など税金のムダ使いをやめ、区民の切実な願いにこたえるべきとのご意見でございますが、私は、平成21年に、「おおた未来プラン10年」を策定し、これまで区の発展に取り組んでまいりました。その中で特別養護老人ホーム建設の補助、待機児童対策、区民の健康づくり、学校支援地域本部の設置など、ソフト面での区民生活の安定に向けた施策に取り組んでまいりました。あわせて、蒲田、大森駅周辺のまちづくり、臨海部の整備、工場アパートの建設支援、京急関連駅周辺のまちづくりの推進など、ハード面で区民生活の利便性向上にも取り組んでまいりました。私は、しっかりと未来を見据えたまちづくりの指針を持って、区政運営を進めていく必要があると考えております。そうした方針のもと、福祉や教育の分野でも、まちづくりや都市基盤整備分野でも、区民の安全・安心の向上と、にぎわいのある暮らしやすいまちづくりを、これまで実践してまいりました。厳しい財政状況の中で、事業の必要性、緊急性を常に意識しながら、行財政運営を進めておりますので、ご指摘のような無駄遣いはございません。

【すがや議員】
日本特殊鋼工場移転の後にできた大森東団地は約35年になります。同時期にできた保育園は、老朽化とともに、ビル風、園庭の砂が少なくなって土よりマンホールが高くなり、そこに子どもたちがつまずいて、擦り傷が絶えないなど保護者も心配しています。学校施設の老朽化が目立つようになってきました。「拭き掃除をしていたらとげが刺さった」「板がめくれている」など保護者から「いつ改修するのでしょうか」と問い合わせもあります。
●老朽化した公共施設や橋の架け替え工事、空洞化した道路の補修整備など10年間で2000億円かかるとしています。これらは、安全や防災対策からも待ったなしであり、区内の業者の方々への仕事おこしにもなります。区長は、安全対策を最優先し計画的に改修計画を持つことです。
加えて、医師会から予算要望懇談会でだされた冷水器の設置をはじめ、現在東京都が8割の補助をだす公私立学校への「学校フレッシュ水道事業」は2016年度(H28年度)3年後で終了します。給水を直結型にして少しでもおいしい水をという施策です。現在区立小学校20校、区立中学校3校に設置です。全校実施することを都に要求するととともに前倒しで行うことです。おこたえください。

【清水教育長】
次に、東京都が行っている、小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業いわゆる学校フレッシュ水道事業について、28年度の事業終了に合わせ、全校実施するよう都に要求してはどうかとのお尋ねでございます。小中学校の水飲栓直結給水化モデル事業は、東京都が安全でおいしい水を子どもたちに提供するため、平成19年度から展開した補助事業でございます。区では、この補助金を受け、各学校の配管等の状況を調査した上で、自主設計により直結化工事を実施してきております。水道直結化工事については、これまでも、設計及び工事にかかる業務量、また他の工事と合わせた全体的な工事量、工事の優先度を考え、計画的に進めてまいったところです。今後もこの事業を活用し、計画的に工事を進めてまいりたいと考えています。

【すがや議員】
●今年の夏は猛暑続きで、熱中症で病院に運ばれる方々が多く出ました。また、地方では、突然の豪雨で家屋が流され、竜巻で飛ばされるなどこれまでにない被害の状況が出されています。首都直下型地震に対する防災対策は待ったなしです。区民の願いは防災や安全対策ですから、災害が起きた時のための復興財源として「防災基金」の設立を提案します。いかがですか。お答えください。

【松原区長】
復興財源としての防災基金の設立提案に関するご質問ですが、一般的に防災基金は、災害に強いまちづくりを推進するため、災害の予防、応急対策及び復旧に要する経費の財源に充てるために設置されています。他の自治体での防災基金の状況について、調査・確認したところ、平成24年以降、東北地方の自治体を中心に東日本大震災からの復興を目的に寄付金を財源とする基金や南海トラフの津波対策事業費に充てるための基金が新設されているようです。大田区では災害に強いまちの実現のために総合防災力強化検討委員会の提言に基づいて大田区総合防災対策を10ヵ年計画で実施してきているところです。既に区では、大田区財政基金を設置しております。大田区財政基金条例第6条において災害復旧時には、基金の全部または一部を処して使えるように規定しております。したがいまして、重ねて同様の基金を設置する考えはございません。

【すがや議員】
来年度の予算編成に当たって、7月25日副区長名で通知が出され、「…今後も徹底した行財政構造の質的転換にむけた取り組みを進めなければならない」としています。党区議団は来年度の予算編成に向けて医師会、障害者団体など各団体と懇談会を行い意見要望を聞いてきました。決算特別委員会でも提案をしますが、国の政治が悪いときこそ区民のくらし営業を最優先にすべきです。

区内中小企業支援の強化を

【すがや議員】
リーマンショックから5年がたちましたが、いっこうに区内の中小零細企業には景気回復の兆しは見えて来ません。アベノミクス効果とマスコミが騒いでも効果が出ることは期待できません。更に消費税の増税が強行されれば、壊滅的な不況にさらされます。
区内町工場を訪問して話を伺うと「どうして、大田区は中国やタイの工場団地に工場をつくって出ていくのを支援するのか」「一度出て行ったものを取り戻すのは難しのにわざわざ海外に求めていくからこんな状況になった」など「仕事がほしい」「仕事を取り戻してほしい」という声がどんどん出てきます。仕事を取り戻すために、大田区は何をしましたか。工場アパートを作ることなどの5施策も大切です。
●国の工業統計調査は従業員4人未満は調査していません。まず、大田区内の中小企業の営業等の実態をしっかり把握するために調査をすべきです。また、区内企業・業者に仕事を取り戻すためには区長を先頭に部課長が区内に本社があるキヤノンなど大企業に直接、仕事を出すよう申し入れることです。お答えください。

【松原区長】
次に、区内の中小企業の実態をしっかり把握するために調査することと併せて、大企業から中小企業へ直接、仕事を出すよう区長が先頭になって申し入れては、とのご質問ですが、ご指摘のとおり、産業施策を効果的に進めていく上で、実態を正確に把握することは重要であると感じております。ただ、全数調査を行わなくなったのは、事業所の負担をなくすためであると聞いておりますので、調査による企業側への過度な負担は避けなければなりません。また、実施するにしても調査項目やそれにかかるコストや態勢なども勘案する必要があります。今後、そのような調査の必要性も含めて研究してまいりたいと考えております。これまでも機会を捉えて私や管理職が大企業に対して売り込みを行っております。大企業の仕事を区内中小企業が受注するなど、大田区のものづくりと地域経済の発展につながるよう、今後も機会を捉えてトップセールスを行ってまいりたいと思います。

【すがや議員】
私の知り合いのIさんは奥さんと太陽光発電機の部品を加工しています。単価が下がっているため、同じ金額を稼ぐためには、前の倍以上の仕事をしなければなりません。土日も休まず仕事をしています。
区内で9000件を超えていたものづくりの中小零細企業が4000件をきったといわれています。大田区は、羽田空港跡地に国際戦略総合特区を作り産業の集積をはかるとしています。(仮称)羽田グローバルアライアンスセンターを作り、海外からの150社を呼び寄せるとしていますが、今、何とか頑張ろうとしている区内の町工場に仕事が増えるでしょうか。
西の東大阪市、東の大田区といわれたものづくりの集積を取り戻すことが必要です。私が訪問した部品加工の町工場は2代目の若社長が継いでいます。しかし、自分の子どもには継がせられないといいます。今の単価では低すぎてできない、仕事の展望がもてないといいます。以前は、自分の工場でできない部分は知り合いにまわしながら製品を作り上げてきたが、今は仕事を辞めている人が多くなり、名古屋に出して作ってもらっている。大田区は図面を紙飛行機にして飛ばすと製品が出来上がって戻って来ると言われたくらい、ものづくり中小企業の集積が有名でした。
この夏も「2機の冷房機が突然壊れてしまった。特殊な設備が必要で直すには200万円がかかる」「色々助成制度を調べているけれどもあう内容がない」と言っていました。また、別の町工場では、家賃の支援、リニューアルするための支援があればといいます。
●今こそ、使い勝手の良い、緊急の経営支援補助事業を行い、仕事のまわしなどを特徴とする高い技術の異業種の集積を守る施策の大胆な拡充を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、緊急の経営支援補助事業を行うことで、仕事回しを特徴とする高い技術集積の維持のための施策を拡充すべき、とのご質問ですが、区では、これまでも区内中小製造業が取り組む新製品・新技術開発に対する助成を行っております。この助成制度を活用した開発案件の多くは、開発の過程で区内企業への外注や加工依頼が発生しております。また、昨年度から、ものづくり工場が、高付加価値化を図り、産業競争力を高めるために行う設備投資助成も実施しております。これにより、生産性の向上や新規の受注開拓、新たな製品・技術開発等の促進を目指しております。さらに、本事業では、当該企業の成長と共に、区内企業への外注等を増やしていく効果を期待しているところです。今後も、区内の高い技術集積の維持・向上に向けた有効な施策を研究し、展開してまいります。

【すがや議員】
●融資制度の改善問題では、金融円滑化法を活用したため倒産や廃業を免れましたが、新規の融資を申し込もうとすると「信用保証協会が保証してくれない」「返済期間を6か月の短期間の融資でないと貸してくれない」「信用金庫が直貸しの融資をしてくれたので借りたが100万円で年利9.5%の金利、200万円借りると年利14%の金利」で高利貸しです。ぜひ、利用しやすく低金利の融資制度などの拡充を求めます。
あわせて、円安などによる原材料高や物価の高騰は、長期のデフレ不況などによって弱体化している、区内の中小零細企業・業者の経営基盤を今まさに窮地に追い込まれています。相談窓口の開設や特別融資の創設など、原材料の高騰に対する緊急対策を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、低金利の融資制度の拡充及び円高による原材料高や物価の高騰による区内中小・零細企業者の窮地に対応する緊急対策についてのご質問ですが、区では、金融機関との協定により、区内中小企業が低金利で利用できる大田区中小企業融資あっせん制度を設けており、必要に応じて見直しや拡充を行っております。今後もその時代のニーズに合わせた制度の拡充に努めてまいると同時に金融機関に対して、制度の積極的な利用促進のPRに努めてまいります。また、松原議員の質問にもお答えしましたように、昨年11月に開設した緊急金融特別相談窓口を10月以降も継続し、原材料高や物価の高騰による資金繰りの相談にも応じると共に、9月30日までの期限で設定している売り上げ減少にも対応できる融資制度である経営強化資金の要件緩和も、当面の間、期間を延長し、更なる利用促進に努めてまいります。

【すがや議員】
下町ボブスレーは区の職員が提案し、区内の町工場の方々の60社以上の協力で前進し、現在も挑戦が続いています。
●新しい産業をどう開発・発展させていくのかも大切な課題です。世界や日本で原発に頼らないエネルギー開発が注目されるなかで、大田のものづくりを生かした自然エネルギーの開発を大田区で支援することです。先日、大森西にある大森学園高校の屋上についた小型式風力発電機を見学調査しました。2機で2.7キロワットの発電、回る羽の音がほとんどなく、小型式風力発電機は羽、発電機など200種類の部品で組み立てられています。これこそ、大田のモノづくりが力を発揮することができます。大田区が支援し、仕事おこしにつなげ、大田のブランドとして、中小業者の皆さんに展望を示すことです。お答えください。

【松原区長】
次に、区内中小企業に自然エネルギーの開発を促すと共に、その支援を、とのご質問ですが、区内中小企業がその技術力を新たな製品や技術の開発に活用することは、企業の成長につながり、区内ものづくり産業の活性化に寄与するものとして非常に重要であると考えております。そのため区としては、様々な分野での中小企業の製品・技術開発を促せるよう新製品・新技術開発支援事業を実施しており、この中で自然エネルギーを活用する新技術開発も支援してまいりたいと考えております。

【すがや議員】
ものづくりの後継者育成の施策についての課題では、訪問した2件の町工場ではどちらも、親の仕事を継いだ2代目40代の社長ががんばっていました。「今は機械化で、きつくもなければ、汚くもない。だが、将来に展望が持てない現状では自分の子どもには継がせられない」という返事でした。
●松原区長が認識を示された「日本の経済の生命線」である中小企業を区内で存続させることがどうしても必要です。後継者育成のため、中小企業・業者が後継者育成として青年を雇用した場合、指導、教育、訓練などの費用として1人年間200万円の助成金制度の実施を提案します。おこたえください。

【松原区長】
次に、後継者育成のため、中小企業・業者が後継者育成として青年を雇用した場合、指導、教育、訓練などの費用として、一人年間200万円の助成金制度の創設を、とのご質問ですが、後継者育成は、区内ものづくり産業の集積維持・発展に向けて、重要な課題であると認識しております。国では、若年者人材育成・定着支援奨励金という35歳未満の非正規雇用の若者を自社の正社員として雇用することを前提に自社内での実習と座学を組み合わせた訓練を実施する事業主に対して、訓練及び正社員雇用時に奨励金を支給しております。その他にも訓練に係る費用の一部を事業主に助成する制度もございます。区では、こうした制度の申請窓口であるハローワーク等と連携を図り、区内中小企業の皆様に広く周知を図ると共に、今年度から実施している大田の工匠を活用した技術指導・相談事業の実施を通して、後継者育成にもつなげてまいります。また、若者と中小企業のマッチング事業、求人情報サイトおしごとナビ大田区、次世代ものづくり人材育成事業等により、ものづくり人材の確保と育成に努めてまいります。したがいまして、これらの事業に加えて、更にご提案の事業を区が実施することは困難と考えます。

子どもの命・育ちを最優先にした保育政策を

【すがや議員】
子どもの命・育ちを最優先にした保育政策をについてです。
2012年8月子ども子育て関連3法案が成立し、安倍政権は、2015年4月から「子ども・子育て新支援制度」(新システム)実施をめざしています。
新制度の実施主体である市区町村は国の方針を踏まえ、2014年度10月から認定手続きなど新制度の具体的作業に入るよう求めています。国のスケジュールに従えば、市区町村は来年の夏までに新制度に係わるさまざまな基準や保育料などを条例で定め住民に周知しなければなりません。国と同様、大田区も子ども・子育て会議を設置し、8月2日に第1回目、9月7日に2回目が開かれました。子育て会議第1回目は委員の紹介程度、7日に行われた子ども子育て会議で「区市町村子ども・子育て支援事業計画」の作成に向けたニーズ調査の検討がおこなわれました。議論の内容は、アンケート調査のとり方についてで、ITを使った方が良い、情報管理が心配などという意見、また調査項目については、国のひな型を使わなければならない条件のもとで、資料をしっかり読み込んで意見を言う委員、委員会の進行を気にする委員、意見を言わない委員など、内容も多岐にわたり、子ども子育て会議の回数5回だけでは大田区の乳幼児期すべての子どもたちの施策を作り条例化は無理と感じました。結局は、見切り発車で、国の施策をまねるだけにとどまるのではないでしょうか。
大田区の子どもたちの状況を調査するのは大切であり、結果の公表とプランつくりに生かすことです。
●大田区の子どもたちの施策を作るにあたって、区民と十分議論することが求められています。国に対して、結論を来年の夏としないよう求めると共に、大田区でも早急な条例化はやめることです。お答えください。

【松原区長】
次に、子ども・子育て新制度についての質問でございますが、この制度は、子どもと子どもを養育している方に必要な支援を行い、一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的として制定されたものと認識してございます。本制度実施に向け、本年8月に大田区子ども・子育て会議を設置し、子ども・子育て支援事業計画の策定に向け、現在、準備を進めているところでございます。今後も、新制度に関わる国の動向を注視し、制度の実施に必要な条例制定の準備を着実に進めると共に、大田区子ども・子育て会議での議論も踏まえながら、子育て支援の充実に努めてまいります。

【すがや議員】
新制度では保護者が市区町村に保育の認定をし、認定証の交付、保育時間もそれをもとに決められ、現時点では短時間と長時間に2区分を予定しています。これまでよりも、保育が短くされたり、障害を持つ子どもが認定されないなどの問題が心配されています。利用時間の区分で保育時間が細切れになり子どもの生活リズムが崩れてしまいます。施設が受け取る補助額は、保育時間に左右されるため経営が不安定になり、人件費削減や正規職員の数が減らされるなど保育の質が低下します。さらに営利企業参入など、新制度には多くの問題を抱えています。
●国はこれまでも、保育の特定財源を一般財源にするなど国の責任を後退させてきたので、待機児童対策も進みませんでした。大田区は国に対し、子どもの命や発達を保障するという観点を貫き、若い子育て世代を支援するために予算の拡充を求めることです。大田区の施策は、国の施策に左右されず、これまで以上の保育の質を確保することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、国に予算拡充を求めること、また、これまで以上の保育の質を確保することとのご質問ですが、国への要望については、特別区長会として、待機児童解消対策の強化を求める緊急要望をとりまとめ、本年4月国に要望を行ったところでございます。また、保育の質の確保については、重要な課題であると認識しており、保育施設の整備に当たり、開設計画の精査や、開設後の指導の強化を実施しております。引き続き、国に対し必要な要望を行うと共に、保育施設に対し適切な指導、支援を行い、質の確保された保育サービス基盤の整備に努めてまいります。

【すがや議員】
待機児童対策は待ったなしです。日本共産党東京都議団は、認可保育園を増設するため用地購入費を都が補助する条例を今議会に提案します。1カ所10億円上限で、4年間で200億円、8000人の定員増です。また、われわれ党区議団は、財務省、日本郵便株式会社に、国の売却している用地を不足している保育園や特養ホーム建設のため市区町村に活用させることを直接交渉しました。今回、萩中2丁目にある「東京税関官舎」の跡地に社会福祉法人ではありますが特別養護老人ホーム建設の住民説明会があり区民から期待されています。国、東京都の用地を活用するなどして保育園増設を求めます。
厚生労働省は9月13日認可保育所に入れない待機児童数は、今年4月1日時点で、前年度の同時期より2084人少ない2万2741人と発表しました。大田区も待機児童対策本部を設置し、目標1000人の3か年プランを掲げて対策をおこないましたが、結果は待機児童439人、待機児童が多い市区町村で6位です。
厚生労働省が「待機児童」とするのは、認可保育所への入所申し込みがあり、入所していないケース。親が入れないとあきらめ求職をやめたり、自治体が運営費を補助する認可外保育施設を利用したりするケースは待機児童とみなさないため正確な待機児童の数をつかまないから、待機児童は解消しないのです。
●保育所の待機児童をゼロにしようと国が掲げた「待機児童解消加速化プラン」には351市区町村が参加、特に待機児童数の多い東京23区が参加します。保育所の緊急整備に動き出す自治体は国が5年間で40万人分6000億円投じる方針です。参加する自治体には、待機児童の減少目標数と保育整備目標量を定めた計画の提出が求められています。大田区の計画をおこたえください。まさか、2018年(H30年)の待機児童ゼロということはないでしょうね。来年4月にはゼロの見通しを持つことです。また、小規模保育所は有資格者が2分の1でよいとしています。全国的に有資格者の少ない劣悪な環境での乳児死亡事故が増えていますから、保育の質の確保や園庭、非常階段など環境の整備を強く求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、国の待機児童解消加速化プランについてのご質問でございますが、このプランの整備見込み数については、平成25年4月の大田区の保育サービス定員11、322人に対し、平成27年4月の整備見込み数を暫定値で12、151人としているところです。待機児解消については、区政の喫緊の課題として、大田区待機児解消対策本部を設置し、平成23年度に策定した大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プランに基づき、全力を挙げて取り組んでまいりました。本年度についても、待機児ゼロを目指し、4月の待機児数438人を上回る450人を定員増の目標として取り組んだ結果、目標を達成できる見込みとなっています。引き続き、集中的に保育サービス基盤の拡充に努めてまいります。
次に、保護者の実態把握及び小規模保育の環境の整備についてですが、保護者の実態把握については、保育園の入所申し込みの際に状況を確認しております。また、小規模保育所の人員配置や施設設備の基準は、保育士資格を有する者の割合など一部を除き、原則として、認可保育所の基準に準拠しております。引き続き保護者の状況確認などに努めると共に、小規模保育所における保育の質の確保に資するよう適切な指導・支援を行ってまいります。

【すがや議員】
最後に、保育料の値上げが板橋区や中野区で示されました。若い子育て世代を支援し、少子化対策としても保育料の値上げはやめることです。
以上で質問を終わります。

以  上

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