第3回定例会一般質問(速報)―大竹議員



(映像は大田区議会ホームページより:40分)

【大竹議員】
質問通告に従い順次質問します。一部順番を変えましたのでご了承ください。

いのちとくらし第一の後期未来プランに

【大竹議員】
まず、いのちとくらし第一の後期おおた未来プランについて質問します。
おおた未来プラン10年が、おおむね5年を基本計画の改定時期と定められていることから、5年を経過した今年度に後期5年の未来プランの策定がすすめられ基本的な考え方が示されています。
後期計画策定の目的は、「この間に生じた社会・経済情勢の変化に的確に対応し、区民福祉の向上に資する」とし、策定の視点として、5点を挙げています。
まず策定の目的である、この間の大きな社会・経済情勢の変化では、一昨年の東日本大震災です。多くの犠牲者を出し、自治体の在り方が問われました。何よりもいのちとくらしを守る政治こそが自治体の役割です。
昨年7月実施の大田区政に関する世論調査で、区政への関心要望で防災対策が50.0%で1位でした。
東日本大震災からすでに2年がたちました。私も震災後5月10日から11日にかけて、宮城県東松島市と福島県いわき市に行き、東松島市の阿部市長と総務部長との懇談をしてまいりました。
その阿部市長の話の中で、災害時に大きな役割を果たすのが、市職員のマンパワーである。今回の大震災でこのことを痛感したと言っておられました。市ではこの間、42人の職員を削減してきた。「職員削減をした罰があたったと思っている」と語っておられたことが鮮明に記憶に残っています。
党区議団も、東日本大震災の教訓からも職員削減を行わないよう提案してきましたが、区の答弁は、「今後も職員が直接担うべき区民サービスを見きわめて、事務事業の見直しや民間活力の活用等、経営改革を進めていくとともに見直しにより確保した人員をより優先度の高い施策に振り向けるなど、適正に管理していく」との繰り返しで、職員削減をすすめています。
しかし、民営化により、全体の奉仕者としての公共サービスを担う区職員を減らし、低賃金・不安定な非正規職員に置き換えられています。災害時に、この非正規職員に対して区職員と同じように大きな役割を果たしてもらうよう求めることができるでしょうか。
●区民のいのちとくらしを守るためにも職員削減はやめ、2014年度から2016年度までに約220人削減の職員定数基本計画は撤回すべきです。お答えください。

【計画財政部長】
まず、大田区職員定数基本計画は撤回すべきとのご質問でございます。区は、健全で安定した行財政運営を継続し、おおた未来プラン10年後期計画の策定と着実な推進、更には新たな行政課題にも的確に対応していくことを目指しております。そのためには、最少の経費で最大の効果を発揮できる効率的・効果的な組織の実現及び執行体制のスリム化を図っていくことが必要です。大田区職員定数基本計画は、引き続き効率性の高い組織運営を行うため、職員定数を計画的に管理することを目的として策定するもので、採用職員数の決定や人件費見込額の推計にも活用しております。今後も職員定数基本計画に従い、適正な定数管理を確実に実施してまいります。

【大竹議員】
●また、策定時にも指摘しましたが、「地域力が区民のくらしを支え、未来へ躍動する国際都市おおた」を未来プランのタイトルにしていますが、大田区の役割を明確にすることです。地方自治体として地方自治法に定める、福祉の増進に寄与する区の役割を明確にし「大田区が区民のくらしを支え」と明確に位置づけるべきです。お答えください。

【計画財政部長】
次に、大田区の将来像「地域力が区民の暮らしを支え未来へ躍動する国際都市おおた」を「大田区が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおた」に修正すべきである、とのご意見をいただきました。大田区基本構想に掲げる大田区の将来像は、公募区民、学識経験者、区議会議員の方々などで構成された大田区基本構想審議会からの答申を基に、策定いたしました。この将来像を含め、大田区基本構想は、平成20年10月14日に大田区議会の議決をいただき制定したものです。区政運営のキーワードとしてきた、地域力と国際都市の重要性は、今後も変わるものではなく、区と地域や区民が連携・協働しながら、将来像である「地域力が区民の暮らしを支え、未来へ躍動する国際都市おおた」を実現できるよう、後期プランの策定とその推進に取り組んでまいります。

【大竹議員】
●また、後期プランでは、新空港線「蒲蒲線」や空港跡地の大型施設の建設計画の推進で「国際都市おおた」を掲げていますが、区民のいのちとくらしを第一でこそ大田区の未来への躍動があるのではないでしょうか。大規模開発からいのちとくらし第一の区政に切り替えるべきです。お答えください。

【計画財政部長】
次に、後期未来プランで、大規模開発から命と暮らし第一の区政に切り替えるべきであるとのご意見でございます。区は、平成21年に、「おおた未来プラン10年」を策定し、これまで区の発展に取り組んでまいりました。その中で地域力応援基金の活用、特別養護老人ホーム建設の補助、待機児童対策、区民の健康づくり、学校支援地域本部の設置など、ソフト面での区民生活の安定に向けた施策に取り組んでまいりました。あわせて、特別出張所の改築や公共施設の耐震化、蒲田、大森駅周辺のまちづくり、臨海部の整備、工場アパートの建設支援、京浜急行連続立体事業の推進と関連駅周辺のまちづくりなど、ハード面でも区民生活の利便性向上に取り組んでまいりました。安全で安心な、誰もが住みやすいにぎわいのある大田区を実現するためには、ソフト面とハード面が一体となった、切れ目のない施策を安定的に実施することが不可欠でございます。後期プランの策定に当たっては、少子高齢化の一層の進行や東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした国際都市にふさわしいまちづくりなど、今後の社会経済状況の変化を見据え、地域力と国際都市をキーワードとして、ソフト・ハードの両面から充実した計画を策定し、実施してまいります。

【大竹議員】
先日7月11日の策定委員の懇談会に「前期プランまでの成果及び後期プランに向けた現状と課題」が出されました。
先ず、施策「子どもを健やかに育むまちをつくります」では、3年間で千人の定員増の計画をすすめてきたものの、今年4月時点で待機児数は438人となり、保育所入所率が、4年前の策定時96.9%を下回った96.5%となっています。
現状と課題では、「待機児童の多くを占める低年齢児を中心に、保育を必要とするこどもに保育サービスを提供する環境整備が今後とも求められています。待機児童の年齢や地域分布など、保育ニーズを踏まえた計画的な取り組みが必要です。」としながら次年度以降の主な取り組みでは、家庭福祉員制度の充実、認証保育園の支援、区立保育園の改築・改修の推進などで、前期5年間行ってきたことと変わりません。また、待機児解消を平成30年度にしていることです。
今年3月7日には大田区でも、4月1日入園希望で申し込みをしたが一次選考で入所不承諾の通知を受け取った保護者が異議申し立てを行いました。
●待機児解消を1日も早くとの区民の声に応えるためには、認可保育園で待機児解消の立場で、大幅増設計画を入れるべきです。また、待機児解消を平成30年度ではなく目標を前倒して来年4月までに待機児ゼロにすべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
私からは待機児解消対策についてお答えいたします。待機児童解消対策についてのご質問でございますが、これまで、大田区保育サービス基盤拡充のための3か年プランに基づき、着実に保育サービス定員の拡充を図ってまいりました。待機児の状況が依然として厳しいことから、今年度は、定員増の目標を300名から450名に増やし、区として初めて小規模保育所を3か所開設するなど、取り組みの一層の強化を図ってまいったところでございます。その結果、450人の定員増の目標でございますが、達成できる見込みとなっております。また、平成27年に予定される子ども・子育て支援新制度の施行に向け、本年8月、大田区子ども・子育て会議を設置し、保育サービスなどのニーズ調査を実施した上で、子ども・子育て支援事業計画を策定することとしております。今後の待機児童の解消対策についても、こうした取り組みの中で、お示ししたいと考えております。

【大竹議員】
施策「誰もが健康に暮らせる街をつくります」では、特定健診の受診率を、修正版では受診率の目標を2013年度70%から38%に、2018年度75%から41%に下げ、後期プランの目標にしていることです。
特定健診は、生活習慣の改善を自ら取り組むことを促し、生活習慣病の予防につなげ、その結果として、医療費の抑制につなげていくことが目的です。
現状と課題でも「特定健康診査の重要性をさらに周知するとともに、―――――早期に生活習慣病予防対策に取組むことができるように、受診勧奨を充実させるとともに、検診機会を拡充しながら、個々別に質の高い情報提供を行っていきます。」と述べています。
しかし、都内23区中の2011年度実績では、墨田区は47.8%で23区の中では一番高く、大田区は34.8%で下から3番目の21番目です。
受診率引き上げの各区の取り組みが行われています。大田区でも昨年から年度後半にはがきでの勧奨を行っていますが約6万件です。品川区では区が住民へ電話連絡し昨年度は約4万5千人全員に5月下旬から1か月間で連絡し、今年度は、五月下旬から1か月間で昨年度の未受診者に連絡して、効果があると担当者が答えています。受診期間も5月下旬から3月末までの通年です。
●受診率の目標を引き下げたことは問題です。低い受診率だからこそ、区民の健康を守る立場から、目標引き下げはせず。区民への毎年の通知と受診へのあらゆる機会の周知、通年検診と拡充しながら、受診率引き上げをすすめるべきです。お答えください。

【区民部長】
特定健康診査の受診率の向上等に関するご質問について、お答えいたします。生活習慣病の予防を目的とした特定健診につきましては、平成20年度から、40歳から74歳までの国民健康保険加入者を対象に実施しております。制度開始の平成20年度の受診率は30.1%、5年後の24年度は36.6%となっており、これまで受診率を高めるため、受診期間の延長や未受診者全員に対する、はがきでの受診勧奨を行ってまいりました。今年度は更に、年2回、今年度未受診者に加え過去2か年の未受診者に対し、はがきによる個別の勧奨を行う予定でございます。受診率の今後の目標につきましては、着実に向上するよう対策を検討した上、「おおた未来プラン10年」の後期プランに反映してまいりたいと考えております。

【大竹議員】
また、がん検診について現状と課題で、「がん検診で早期発見、早期医療につなぐことが大切です」と述べながら、先日医師会や医療団体との懇談会で、がん受診券が一日でなくなってしまうと圧倒的に足りないことや、区民からの電話による苦情が医師会や医療団体にきて電話対応で手が取られている状態とのことです。
●お隣品川区では、希望者全員が受けられるようにしていますので、大田区でも希望者全員が受けられるようにすべきです。お答えください。

【保健所長】
私からは、がん検診を希望者全員が受けられるようにすべきとのご質問にお答えいたします。大田区のがん検診のうち、受診を希望しても受診できない方があった検診は、24年度実績では胃がん検診だけです。この胃がん検診を例に品川区との比較をしてみますと、東京都の精度管理に基づく24年度の実績では、品川区は、受診率4.0%となっており、一方大田区は、受診率5.0%となっております。なお、医療機関によっては、複数種類の検診が同時に受けられること、また、精密検査の設備を完備しているなどの理由から受診希望が多く、初日で予定数に達してしまう場合もあると聞いております。区のがん検診は、実施期間や受診予定者数については、毎年、医師会との協議により定めています。今後とも、より多くの区民の皆様ががん検診を受診できるよう協議してまいります。

【大竹議員】
施策「高齢者の安心できる暮らしを支えます」については、現状と課題では、「在宅生活が困難となった方が施設でニーズに応じた介護を受けられるよう、必要な施設数を整備していく必要があります。」と述べられています。
しかし、2018年度までの介護保険施設等の入所定員数目標は、特養ホーム・老健施設・グループホームの合計で3300人となっていますが、今年4月の最新値の入所定員数が2457人なので、2018年度との差は843人です。
●この目標では特養ホームだけでも1500人の待機者がいる現状からみても、現状に見合った目標になっていないことは明らかです。また、整備のそれぞれの計画目標を明らかにし目標を引き上げるべきです。お答えください。

【福祉部長】
最初に介護保険施設の整備についてのご質問です。特別養護老人ホームにつきましては平成24年3月と5月に2施設を整備し、認知症高齢者グループホームにつきましては平成25年4月に1施設を整備し、今年度中には、更に5施設の整備を予定しております。特別養護老人ホームなど介護保険施設等の入所定員数については、高齢者数の推移や入所申込者数などを勘案し、おおた未来プランの目標値を3300人としております。特別養護老人ホームなどそれぞれの施設の整備計画については、介護保険事業計画の中で適切に定めてまいります。今後も、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう地域包括ケアシステム体制の構築を進めると共に、入所が必要な高齢者のために、引き続き介護保険施設等の整備を進めてまいります。

【大竹議員】
今後の日程ですが、11月19日に素案が出される予定になっています。その後、12月にパブリックコメント、3月に区長決定がされる予定です。
今後の予定との関係では、策定委員の懇談会は時間を十分取って進めるべきです。
この間の懇談会で、党区議団からも福井議員が参加しています、資料の配布が遅く、当日の懇談会の発言も十分な時間が保障されず、党区議団の意見も十分述べられていない状況でした。時間が足りない分については後で文章の提出となっていますが。それでは懇談会の意味がありません。
●次回は最後の懇談会になるようですが、時間を十分取って進めるべきです。また、区民への説明責任を果たすこと。説明会を区内各地で行うべきです。お答えください。

【計画財政部長】
次におおた未来プラン後期策定懇談会の進め方、及び区民への説明責任に関するご質問でございます。これまでの懇談会においても、当日に委員からの発言をいただくほか、懇談会終了後に書面やEメールなどにより、委員の皆様から多くのご意見をいただけるよう、努めてまいりました。次回の懇談会においても、分かりやすい資料の提供や、当日の進行及び懇談会後の意見聴取など、限られた時間の中でも、様々なご意見をいただけるよう、工夫してまいります。未来プラン後期の素案を作成した後に、区民説明会の開催や、パブリックコメントの実施により、区民の皆様への説明責任を十分に果たすと共に、いただいたご意見を後期プランに反映させていく予定です。更に、未来プラン策定に向けたアンケート結果、各部局で実施した個別施策における各種調査結果の活用、日々の業務遂行の中でいただいた区民の声など、区民ニーズをきめ細かく捉え、後期プランに反映していく考えです。

公共サービスを守るため、民営化は中止を

【大竹議員】
次に、「公共サービスを守るため民営化は中止を」について質問します。
大田区でも「官から民へ」、果てしない自治体民営化がすすめられています。
指定管理者制度で120件、民間委託1万件を超えて、非常勤職員2073人、臨時職員178人、合計2251人となり、全体の35.9%に達しています。大田区でも職員が2000年に比べて今年4月まで1781人削減されました。
党区議団は、民間委託について、所得の格差が社会問題になっていますが、行政自らが不安定雇用・低賃金の官製ワーキングプアを増大させていることを指摘してしました
そもそも公共サービスは、社会福祉、教育、労働者保護など、社会を生きていく上で人間が人間らしく生きるための権利である社会権の保障を中心とする人権保障のためのものです。国と地方自治体の責任による質の高い公共サービスの充実は、経済力の格差を緩和して人々の実質的な意味での平等を保障することになるものです。
公務員が全体の奉仕者であるとされますが、公共サービスに従事する公務員は、全体の奉仕者として、社会的弱者についても社会権の保障が実現するように努める必要があります。
ところが自治体の民営化は、社会権の保障が実現できるように努めている公務員を減らし、不安定・低賃金の官製ワーキングプアという社会的弱者をつくりだしていることなのですから、行政を縮小し、公務員を減らすことを通じて、実は、社会権の保障そのものを後退・低下させるもので、行政としての社会的弱者に奉仕する機能を低下させるものです。
民営化でサービスの向上と経費削減を掲げていますが、大田区でも多くの問題が出されています。(公共サービスの質と公共性が向上しているでしょうか。)
主権者である区民の意思を反映させる前提が、公共サービスについての情報が公開されることですが、行政機関の情報は公開されますが。公共サービスを担おうとする民間事業者についは、従事者の労働条件や経験年数はサービスの質を左右する重要な要素ですが情報開示がほとんど進んでいません。
また、区民の意思を直接反映する議会が審議し改善する仕組みが必要です。そのために実施する事業の選定事態が、議会で十分審議されることが重要ですが、民間事業者の情報開示がほとんどすすまないなか十分な審議もできなくなっています。さらに、民営化が進めば進むほど、行政体制が縮小され、監督や指導が困難になり、結局議会を通じて住民の意思を反映させることも困難になることが懸念されます。
公共サービスは、住民の基本的人権の保障を担うものであり、法令を順守して行わなければなりません。ところがこの間も、委託先の職員の賃金が最低賃金基準以下の疑いがある状態があったことが、党区議団への告発でもありました。
安定性についても公共サービスは、長期間にわたり安定的に行わなければなりませんが、民間委託を受けた事業者やPFI事業者が、撤退したり経営破たんしたり廃業したりする例が全国で多発しています。民間事業者は経営リスクがつきものですし、このようなリスクによる経営破たんの対応や補填を国や地方自治体が負担することになります。
先日の民間保育園との懇談会で、3年前に委託した、児童館だったので区が保育園にリフォームを行った後に委託したものの、床はコンクリートに直貼りなので冷えて1歳児園児がしもやけになったり、壁もコンクリートで寒い、区のリフォームを節約したのでは、区に修理をお願いしたが委託したのだからと断られた、せっかく区でリフォームしてくれたのだから、保育園としてしっかり環境改善して欲しかったと訴えられました。これでは委託後は民間任せとなっている姿勢ではないでしょうか。
●この様に多くの問題点が出されていますので、公共サービスの質を守るために民営化は中止すべきです。お答えください。

【計画財政部長】
最後に、公共サービスの質を守るため民営化は中止すべきとの質問をいただきました。区は平成23年度に策定した「大田区アウトソーシング指針」に基づき「民間にできることは民間に委ねる」ことを基本に、多様な主体で区民サービスに応える仕組みづくりを推進しております。民間委託や指定管理者制度の導入に当たりましては、事業者の募集時や、契約書または協定書の締結の際に、労働基準法、労働関係法令などを遵守するよう、事業者に求めているところでございます。従業員の労働環境を適正に管理することは、区の事務事業を受注した事業者の社会的責任として、事業者が自ら主体的に取り組むべき課題でもあります。事務事業の運営状況等から、従業員の労働環境が適正に管理されていないことが疑われるような場合におきましては、事業者に状況を確認し、法令遵守の徹底を求めてまいります。今後も区民の多様なニーズに適切に応えていくため、モニタリング結果の公表や担当部局によります受託業者の適切な指導によりまして、民間委託や指定管理者制度の適切な運営に努めてまいります。私からは以上です。

安心できる介護保険へ

【大竹議員】
次に、安心できる介護保険について質問します。
8月21日、自民・公明連立の安倍晋三政権が、社会保障改悪のスケジュールを詰め込んだプログラム法案骨子を閣議決定しました。医療・介護・年金・保育等で国民に負担増と給付削減をもたらすスケジュールが目白押しです。
そのなかの介護では、要支援1・2の人たちを保険給付の対象から外し、一定所得以上の人の利用料を2割以上に、特別養護老人ホーム入居を「要介護3」以上にし要介護1・2の人たちを追い出し、ディサービスも「重度化予防に効果があるもの」に限るなどの大改悪を来年初めの通常国会に法案を提出し、再来年に実行する段取りを描いています。
現在の社会保障「改革の起点」となっているのが、「社会保障・税一体改革であり」、今後の具体的な方向を定めた「社会保障推進法」は、これまでの社会保障の「改革」の延長線ではなく、社会保障の変質・解体に向けて新たな局面を担うものであり、その手口は、「社会保障推進法」の第二条「基本的な考え方」に端的に示されています。
具体的には、第一に、「自助・共助・公助」論を社会保障の理念の中心に据えることで、社会保障から公的責任を葬り去ること、第二に、重点化・効率化を徹底して進めて費用を抑制することを基本とすることで、社会保障を機能不全の状態におとしめること、第三に、年金・医療・介護は、社会保障(=共助)を基本とすることで公費負担を例外扱いとすること、第四に、社会保障の財源を消費税で賄う仕組みに変えることで、消費税増税の覚悟をすることなく社会保障の充実はあり得ない「地獄の道」へと引きずり込むことです。
大田区には、今年6月現在で要支援1が3640人、要支援2が4131人合計で7771人いますが、保険給付の対象外になります。
特別養護老人ホームの要介護1・2の人数は区立で62人、民立で140人いるわけですから、合計で202人が施設から追い出されることになります。また、施設入所者が途中で介護度が変わる場合の対応はどうなるのでしょうか。
さらに、利用料の引き上げにより、今年6月現在でも限度額に対する利用率は平均で51.8%ですが、利用率の減少も予想されます。これで安心できる介護保険なのでしょうか。
●今回の法改悪は介護保険についても自治体としては黙って入れない内容です。国に対して負担増と給付削減を中止すべきとの意見を上げるべきです。お答えください。

【福祉部長】
次に、介護保険の制度改革について国に意見を上げるべきとのお尋ねです。この社会保障制度改革は、安定した財源を確保しつつ受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るために進められているところです。介護保険の分野では、保険給付の対象となる介護保険サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図ると共に、低所得者を中心に国民の保険料に係る負担の増大を抑制するという方針で検討が行われています。先の社会保障制度改革国民会議の報告を受け、現在は制度改革の詳細について社会保障審議会介護保険部会で検討が進められているところであり、区としては、引き続き、今後の議論の方向を見守りたいと考えております。

【大竹議員】
今決算が第5期事業の最初の年度の決算となります。当初予算414億円余で執行額409億円余となり、5億円余が執行残額となり、国・都・区の清算の後1億9千万円余を介護給付費準備基金に積み立てています。
保険料の基準額が第1期3070円、第2期3200円、第3期3900円、第4期4100円、第5期4900円に、第1期から1830円、約1.6倍になり、第5期事業は前期事業から800円の値上げになり、第1期から第5期事業まで最大の引き上げとなりました。
私は2012年度予算を審議する予算特別委員会で、第5期事業計画期間中に、保険料引き下げのために、準備基金から13億9千万円余のうち約9億9千万円を取り崩す予定で、残り4億円は給付費の不足に備えるとして基金に残していたことから、基金をすべて取り崩してさらなる保険料の引き下げを求めました。
●今回の決算からも基金のすべて取り崩しができたことが証明されました。事業途中からでも保険料の引き下げを行うべきです。お答えください。

【福祉部長】
次に、基金を取り崩し、保険料の引き下げを行うべきとのお尋ねです。介護保険事業計画は、3か年の計画で、その期間中の介護給付費と保険料が均衡するよう策定されております。平成24年度からの第5期計画においては、1号被保険者、要介護認定者も逓増傾向を示しており、それに伴い、給付費も毎年およそ20億円規模で増加すると見込みました。計画期間中の保険料は一定ですので、初年度は余剰金を基金に積立て、次年度、最終年度は基金を取り崩し、収支を均衡させるよう計画しております。

【大竹議員】
また、保険あって介護なしの状況も続いています。
家事援助サービスでホームヘルパーの時間60分から45分になったことにより、「焼き魚が煮魚になり好きな焼き魚が食べられなくなった」訴えられました。
先日も医療団体のみなさんとの懇談で、介護ヘルパーの確保が大変、60代70代で回している、若い人がいない、介護報酬の引き上げをおこない、若い人が働ける仕事にすべきとの意見が出されていました。2012年度から介護報酬が上がりましたが、わずか1.2%です。
ヘルパー派遣も家族がいれば制限される。老老介護で悲惨な事件が起こっています。家族が日中働いて日中独居の状態でも家族がいるからと制限されています。特養ホームもポイントが低く入れません。家族の現状に見合った制度への改善が求められています。
●制度の改善を国に求めるべきとともに、区民の声に応え区独自でも家事援助サービスの時間延長や介護報酬への援助を余った財源で行うべきです。お答えください。

【福祉部長】
最後に、家事援助サービスや介護報酬に関するご質問です。平成24年度の介護報酬改定では、訪問介護における生活援助について、サービス提供の実態を踏まえた上で、介護に従事する限られた人材を有効に活用し、より多くの利用者に対して、適切な生活援助サービスが提供されるよう時間区分が見直されたものです。また、介護職員の処遇改善については、介護報酬改定において介護職員処遇改善加算が創設されるなど、取り組みが進められました。更に、今般、社会保障制度改革国民会議の報告書では、処遇改善に向けた取り組みを強化していく方向性が示されております。引き続き、国の動向を見守ってまいりたいと思います。

以  上

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