日本共産党大田区議団は1日、大田区長に対し、認可保育園の面積基準緩和を行わず、保育水準の維持・拡充を求める要望書を提出しました。松原区長、遠藤副区長が応対しました。
認可保育園の面積基準緩和を行わず、保育水準の維持・拡充を求める要望
2011年9月1日
大田区長 松原忠義様
日本共産党大田区議団
本年4月28日の「地域主権改革」一括法の成立を受け、厚生労働省は7月15日、2012年4月から3年間、一部自治体が独自に認可保育所の面積基準を設定することを認める方針を固めました。対象は、待機児童数が100人以上で、地価の高い地域となる都市部の35市区で、大田区も対象自治体になっています。
現行の保育制度は、国と自治体の公的責任、最低基準の遵守、公費による財源保障、応能負担を制度の柱にし、子どもの保育を受ける権利を保障してきました。
厚労省の委託を受けて設置された「機能面に着目した保育所の環境・空間にかかわる研究事業調査研究委員会」の報告書では、基準引き下げについて「1人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難とする」と指摘し、「食寝分離」を保障するためには、2歳未満では1人当り4.11㎡、2歳児以上で2.43㎡が必要だと結論づけています。
国の責任を自治体任せにする面積基準の緩和は、児童福祉法24条に基づく区市町村の保育実施責任を大幅に後退させ、保育の地域格差に拍車をかけることになります。それは、子どもたちの生命と心身の成長に直接影響を及ぼします。
また、東日本大震災の教訓から「正規職員が少ないと助けられる生命も救えない」との声が保育や介護の現場から寄せられています。
さらに重大なのは、厚労省が、「地域主権」の名のもとにすすめる「子ども・子育て新システム」は、法律で定める保育所の「面積基準」「職員配置基準」等を自治体の条例に委ね国の「最低基準」をなくすものであり、①保護者が自己責任で保育所を探して直接契約をする、②親の所得に応じた現行の負担から利用時間に応じた負担に変える、③市区町村が親の労働時間に応じて保育の必要度を認定し、認定された時間を超えた利用は別料金になる、④事業者の指定制を導入し営利目的の株式会社などの参入を促進する、など国や自治体の公的責任をなくし、保育園づくりを企業まかせにできるようにするものです。
保育が「もうかるビジネス」となるよう、保育料などの収入を株の配当や他の事業にまわせる規制緩和を推進しようとしています。
子どもの貧困や子育て困難が広がる中で、急激な少子化の進行にもかかわらず、都市部では保育所の待機児童が急増しています。今、必要なことは、国と自治体の公的責任において、保育・子育て支援を拡充し、すべての子どもに質の高い保育を保障することです。
そのために、日本共産党大田区議団は、下記のことを要望します。記
1、 国や地方自治体の公的責任を放棄する「子ども・子育て新システム」は、法制化しないよう国に求めること。
2、 認可保育園の面積基準の緩和を行わず、現在の区の保育水準を維持・拡充すること。
3、 保育園の待機児童解消のため、「つめ込み」ではなく、認可保育園を増設すること。
4、 民間事業者が運営する認可・認証保育所への監督・指導を強化し、保護者の不安を払拭すること。
5、 区立保育園の民営化は見直し、直営に戻すこと。以上