6日松原区長は、新空港線整備事業について緊急に記者会見を行い、都区で協議をしていた事業総額三分の一の地方負担分となる都区負担割合について、都区が合意したことを発表しました。
総事業費は1360億円となり、三分の一453億円の地方負担分について、都区の負担割合は、区が7割317億円、都が3割136億円となります。さらに、大田区は第三セクターを設立し、事業者となるため46億円負担することになり、合計で363億円の多額の財政投入になります。
9日の松原区長の記者会見を受けて急遽開かれた、交通臨海部活性化特別委員会での区の説明は、詳細の公表については、すべて東京都との協議が必要と述べ明らかにしなかったことは、議会への報告も不十分とも言えるものでした。
区の財政負担については、区は、合意文書で「特別区都市計画交付金制度の対象事業とするよう、東京都と大田区が調整を行う」。としているので、財政負担は大幅に圧縮できると説明していますが、その保証はありません。また、総事業費の圧縮に努めるとしていますが、まちづくり関連費用等が加算されることが予想され、見通しもありません。
区は、「区民の利便性向上」と「沿線まちづくりの整備」となると説明していますが、以下の理由で区民の利便性向上と沿線まちづくり整備で区民に役に立ちません。
- 今回の計画は京急蒲田駅までの第1期事業計画で、第2期事業計画の京急蒲田駅から羽田空港への連絡は未定となっています。
- 多摩川線蒲田駅は地下化されます。このことによりJR蒲田駅への乗り換える時間が長くなります。大田区の想定では現在の3分58秒が5分20秒になり1分22秒多くかかり、多摩川線利用者は不便になります。
- 新空港線は東横線等との相互乗り入れを想定。このことにより8~10両編成の電車となります。現在、多摩川線は3両編成。駅の改良をしない限り停車することは難しいと考えます。この点について大田区は「営業主体(東急電鉄を想定)が考えること」と述べるにとどまり、多摩川線の各駅は素通りの可能性があります。
- 下丸子の踏切解消では、新空港線の整備と共に行うと答弁しているので、新空港線の整備期間となる13年以上も整備が遅れることになります。
さらに、多額の負担は区民犠牲となりかねません。新空港線整備は350億円を超える区財政投入となり、「限られた経営資源を区民が真に必要とする施策に再配分していきます」と言いながら新空港線も積立基金は90億円となり、不足分は他の施策の削減で捻出するしかなく、くらしや福祉の切り捨てにつながり区民犠牲となりかねません。
日本共産党区議団は、区民への利便性向上や沿線まちづくりに寄与せず、多額の税金投入で区民犠牲を強いる新空港線の白紙撤回を求めます。
今後、第二回定例会をはじめ、来年4月に行われる区長・区議会選挙まで合わせて4回の定例会で徹底究明するとともに、区長・区議会議員選挙で最大の争点に押し上げ、新空港線の白紙撤回のため全力を尽くします。