区議団ニュース2017年4月号(No.262)――みなさんとの共同で新年度予算で実現(区議会第1回定例会報告)


PDFファイル大田区議団ニュース2017年4月号(No.262)

  • 子どもの学習支援事業(貧困対策)
    …中学生に加え、高校生の学習支援を開始します
  • 児童相談所開設準備
  • 保育士人材確保支援事業
    …保育士応援手当 月1万円(新規)
    …保育士宿舎借り上げ支援の拡充(在職年数制限廃止)
  • 認可保育園の整備(11施設)等で700人の定員拡充
  • 特別養護老人ホームの整備(千鳥84床、ショートステイ12床)
  • 認知症高齢者グループホームの整備
  • 障がい者のグループホーム整備
  • 障がい者サポートセンター第2期建設
    …重度の障がい者対応緊急一時保護機能を含む短期入所機能・発達障がい児支援
  • JR蒲田・大森駅のホームドア設置補助
  • 大森駅東口下りエスカレーター設置助成
  • 未婚のひとり親家庭に寡婦控除のみなし適用
    …保育園保育料・区営住宅使用料等に適用(4月から)

大田区学校給食費助成条例(案)を提出

党区議団は第1回定例会で学校給食費助成条例を少数会派と共同提出しました。
子どもの貧困が社会問題化する中で、学校給食の無償化が有効であるとの意見もあり、大田区も区の財政で給食費に直接助成を行うことが必要と考え条例提案を行いました。
自民・公明・民進・維新等の反対多数で否決されました。

駅ホームドア整備を求める意見書が全会一致で可決

「転落事故防止のためのホームドア等整備促進を求める意見書」を全会一致で可決しました。
意見書は国や鉄道事業者に対して、ホームドア整備を急ぐとともに、視覚障害等のある方への対策を求める内容となっています。
党区議団は利用客の安全を守るホームドアを区内のすべての駅に設置することを求め、実現のために引き続き頑張ります。

2017年度予算の問題点

新年度予算案には、評価できる点もあります(上記参照)。
しかし、党区議団は以下の問題を指摘し反対しました。

問題点1 区民への負担増の押し付け

4月から年額で、学校給食(1億4千万)・施設使用料(2千万)・国民健康保険料(介護分を含めて一人平均9662円)・後期高齢者医療保険料の値上げ、9月からは保育園保育料・学童保育保育料の値上げ(1億7千万)など、区民へ負担を押し付けています。

問題点2 不要不急の事業、大規模開発事業を推進

4割の住民しか残れない京急蒲田駅、糀谷駅に続き雑色駅前再開発、新空港線や羽田空港跡地に不要不急の大規模開発を進めようとしています。新空港線では、10億円の積立てを行います。
また、区民から批判が上がっている区議会議員の海外親善訪問調査も引き続き行います。

問題点3 公的責任の放棄、外部委託推進

大田区は組織・職員定数の基本方針で、「外部化の再検証」で一層の民営化と「適切な非常勤職員の設置及び臨時職員の活用」を進めています。例えば、区立保育園の民間委託や児童館学童保育について昨年夏に突然発表した「児童館のあり方」の名による業務委託と51人もの非常勤職員の雇い止めであり、許せません。大田区自らがワーキングプアを生み出し、労働環境の悪化になり、その結果区民へのサービスが低下という悪循環になっています。非常勤職員での活用、民間委託はやめ大田区が直接雇用を進めることです。
以上の3点の問題点を指摘し、営業とくらしを守るための予算の組み替え(下表)を提案しましたが、賛成者少数で否決され、一般会計などは賛成多数で可決されました。

組替項目 修正増額 修正減額
議員の海外親善訪問調査の中止 ▲2164万
同和対策に係る経費の減額 ▲453万
75歳以上高齢者外来医療費半額助成 34億1027万
特養ホーム建設費助成(小規模10カ所) 11億4400万
認可保育園建設補助(20か所) 19億5767万
学校給食費の無料化 16億4000万
全数調査検討委員会(15名) 75万
仕事確保職員(10名) 7000万
工場家賃支援 3億
ものづくり経営革新緊急助成 2億7500万
中小事業者の後継者支援 4億
羽田空港跡地の産業交流拠点の形成の廃止 ▲1億4580万
新空港線整備資金積立金の廃止 ▲10億0206万
新空港線の整備主体の設立の廃止 ▲1億8000万
新空港線の整備促進事業の廃止 ▲290万
空港跡地利用の推進の廃止 ▲6673万
京急関連駅周辺のまちづくりの廃止 ▲2782万
合計 91億9769万 14億5148万
修正増減額 77億4621万

第三セクター方式の新空港線(蒲蒲線)計画は更に区の負担が増える恐れ

新空港線(蒲蒲線)の整備案イメージ図(大田区実施計画(平成29年度~31年度)より)

大田区は昨年の国交省・交通政策審議会で新空港線が「高い評価を得た」と一方的に解釈し、新年度予算で第三セクター(自治体と民間事業者が共同出資する事業体)を想定した整備主体の設立の予算を計上しました。
しかし、区は「新空港線」と呼びながら矢口渡~京急蒲田間の先行整備としており、京急蒲田~大鳥居間の整備については第2期工事とし、具体的な計画を示していません。
しかも、区内の駅がほとんど素通りで、過密ダイヤのため開かずの踏み切りが増え、現在の列車の運行数を減らして新空港線の列車を割り込ませることにもなりかねません。
また、総事業費1080億円(2005年試算)でしたが、今回示された再試算では1260億円に増え、費用負担は国・地方(都・区)・整備主体で3分の1ずつの負担となり、大田区は最高で420億円となります。更に第三セクターの整備主体にも出資することになり、区は最高で3分の2の負担になります。
しかも第三セクターは全国で失敗の例が相次いでおり、大田区でも失敗したらどれだけの負担になるかわかりません。こうした見通しのない無謀な計画に10億円の更なる基金積み立てはやめるとともに、基金総額の40億円を区民の社会保障の充実と中小企業など区民の生活向上に充てるべきです。

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