(映像は大田区議会ホームページより:57分)
- 被爆・終戦80年を機に、大田区の平和のとりくみの強化について
- 参議院議員選挙の開票事務における不正行為の全容解明と再発防止策について
- 2024年度決算は、物価高に苦しむ区民を支えることができたかについて
- 新空港線事業を見直し、くらしと福祉・営業を支援する新年度予算について
- すべての子どもたちにより良い保育・教育を保障することについて
- 高齢者、障害者、若者、子育て世帯が安心して暮らせる住まいの施策について
- 「国際都市おおた」にふさわしい多文化共生社会の実現について
【清水議員】
日本共産党区議団、清水菊美です。党区議団を代表して質問を行います。
初めに、9月7日、石破茂首相が辞意を表明しました。辞任は当然です。しかし、問われているのは自民党全体の責任であり、裏金問題への無反省や物価高に対する経済無策、アメリカ言いなりの大軍拡など、自民党の政治路線や政治姿勢です。国民は衆院選に続き、参院選でも厳しい審判を下しました。首相が辞任して終わる問題ではありません。10日、野党9党は臨時国会を開くことの要望書を提出しました。239人、過半数の議員が賛成しています。参院選後1か月半にわたり続いた自民党の権力争いの政治空白を、さらに総裁選のために1か月も続けることは国民の負託に応えることにはなりません。消費税減税など国民の切実な要求やアメリカ言いなりの大軍拡など、多くの課題の解決のために直ちに国会を開くことを求めます。
被爆・終戦80年を機に、大田区の平和のとりくみの強化について
【清水議員】
質問に入ります。
まず初めに、被爆・終戦80年を機に、大田区の平和の取組の強化について伺います。
今もなおウクライナやガザでは戦闘がやまず、ガザでのジェノサイドは7万人を超える死者が出ており、大半はこども、女性、高齢者です。さらに、食料を絶たれた幼いこどもたちに餓死という人道上も許されない事態が起こっています。核兵器の使用も危惧されています。昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協は、人類が核時代に入って80年、被爆者の平均年齢は86歳を超え、残された時間は少なくなる。一方、ウクライナやパレスチナ・ガザ地区の惨状など戦争は収まらず、核使用の危機が増していると指摘。最優先の課題は、核保有国のリーダーたちを核兵器禁止条約に近づけることであり、唯一の戦争被爆国の日本政府が、同条約の締約国会議へオブザーバー参加を拒否し、防衛費を増大し、米国との核共有に進むなど、核なき世界への逆行を到底許すことはできないと強調しています。
大田区でも80年前、4月と5月に激しい空襲がありました。大田区史によると、旧蒲田区で8割消失と記録されています。軍需工場が多かったからだとのことです。私は体験した方々から、燃え盛る炎の中、蒲田から多摩川の土手に逃げた、はいつくばったときの草の匂いが忘れられない、焼夷弾の降る中、死者を乗り越えて逃げた、森ヶ崎の上空を空が見えなくなるくらいのたくさんのB29を見た、蒲田駅辺りは丸焼けだったなどの戦争体験を伺いました。若い方々に大田区内の戦争体験を聞く機会や、区内在住の被爆者から話を聞く機会をつくることを要望します。
昨年12月10日、日本被団協がノーベル平和賞を受賞された日、蒲田駅西口広場で区内の被爆者の方々のお祝いの宣伝行動に私も参加しました。生き抜いてきた被爆者の生の声に感動しました。しかし、通りかかった高校生が「ヒバクシャって何ですか」と質問してきたことに驚きました。次の世代に被爆、戦争の歴史を語り継ぐことの重大性を実感しました。大田区の平和の取組の拡充は評価しています。さらに進めていくために伺います。
●本年8月、議会総務財政委員会は長崎市、地域産業委員会は広島市へ行政視察に伺った際にいただいた平和首長会議の取組への参加、原爆展の開催、平和学習の実施(お願い)に応えるため、区長は昨年度、長崎市、今年度、広島市の平和式典に参加されていますが、さらに平和首長会議に積極的に関わり、また区民が長崎、広島両市を訪問して被爆の実相を体験する機会を設け、核兵器のない世界の実現に向けた区民のための平和学習の取組の実施を求めます。お答えください。
【鈴木区長】
平和関連事業に関するご質問ですが、区は、平和首長会議に加盟するとともに、毎年8月15日に平和都市宣言記念事業を実施し、区民の皆様との協働により平和教育を推進しております。戦争を直接経験していない世代が多くを占める現在、歴史の教訓を深く胸に刻み、未来へ継承していくことは、現代社会に生きる私たちの責務です。区といたしましては、今年開催した平和祈念式典において、長崎市長からのメッセージ動画や広島平和記念資料館からお借りした貴重な資料展示、東京大空襲体験の伝承者講話などを行い、具体的な体験として区民の皆様が自ら考え行動する機会となるよう、これまで以上に工夫をいたしました。区民の長崎、広島両市への訪問は現時点では考えておりませんが、区は、平和都市宣言を行った地方自治体として、核兵器の記憶を風化させることなく次世代に継承していけるよう、引き続き平和教育の充実に努めてまいります。
参議院議員選挙の開票事務における不正行為の全容解明と再発防止策について
【清水議員】
次に、参議院選挙の開票事務における不正行為の全容解明と再発防止策について伺います。
7月20日執行の参議院議員選挙で、大田区選挙管理委員会は不在者投票者数の二重計上(選挙区2590票、比例区2588票)により投票総数と開票数に差が生じたため、架空の白票を無効票として計上しました。8月7日の区の記者会見における説明によれば、区はこの事態を7月22日に掌握していたにもかかわらず、ネット上で指摘されるまで隠蔽していました。この行為は公職選挙法に違反する犯罪(投票増減)として刑事責任を問われかねないものです。党区議団は8月13日、緊急声明を発表し、大田区議会としても行政に対する調査権などを活用し全容解明に取り組むとともに、再発防止策の提言、区民に開かれた大田区政実現に力を尽くすことを求めました。
東京新聞は、不正の発端は開票担当者によるずさんな集計にあるが、組織としてのチェック体制も甘かった、本来、食い違いを放置せず、原因を解明した上で実際の票数を公表すべきだった、虚偽の票数を公表した動機として、開票作業を早く終えなければとの重圧があったのではないか、職員の遵法意識を高めることはもちろん、ミスをなくすことや、トラブルで開票が遅れても不正につながらないよう対応を再点検しておく必要もあるだろうと報道しました。
大田区議会では8月15日、緊急に総務財政委員会が開かれました。委員からの質問に対して、開票中は不在者投票数の二重計上は誰も気づかなかった、事務局長は架空白票処理があったことが分かったのは22日だが、開桜小学校の投票用紙の交付誤りで投票無効となった25人の方々へ謝罪の訪問をしていて上部に報告できなかった、開票場の責任者であった部長は副区長が友人からXを見たと聞いてから今回の事態を初めて知った、15日現在は警察に出す告発状を受理してもらうための努力をしているなどの答弁でした。そして区ホームページには、8月15日に警察に提出した告発状は、8月29日、正式に受理されたと掲載しています。なぜこのような事態が起きてしまったのか、二度と起こさないために、選挙管理委員会のみならず区がどのように責任を果たすか、区民に説明するべきです。
●そこで伺います。ミスを起こした犯人を探し、個人の問題として終わりにしないことが最も重要なことです。重大なミスが発生したが見逃し、投票数を白票で水増ししたことが起きた原因は、6月、7月、事務局職員全員が100時間を超える異常な長時間残業となる人手不足、投票事務と開票事務の長時間業務、派遣職員の確保と十分な研修の実施等が不十分だったなどの組織体制に問題があるのではないでしょうか。組織の責任者である区長として、原因究明と再発防止にどう取り組むのか、お答えください。
【鈴木区長】
参議院議員選挙に関するご質問ですが、選挙の投開票事務は、選挙管理委員会事務局はもちろん、区長部局、教育委員会を含め、全庁体制で職員が一丸となって、一人ひとりが一票の大切さを認識し、公務員として取り組んでいることと理解しております。そのような中、一連の不適正処理により多くの皆様にご心配とご迷惑をおかけしたことを心より重く受け止めてございます。区は選挙管理委員会と連携し、早期の信頼回復に向けた対応を進めております。既に警察へ告発状を提出し受理されたほか、必要な人事異動を実施いたしました。また、区長部局に部長級の内部統制統括官を設置し、今回の不適正処理への対応はもちろん、区役所全体のさらなる公正で適正な事務執行に取り組んでおります。区民の皆様の信頼回復のためには、選挙の執行体制も含めた全容の解明と実効性ある再発防止策の策定、実施が不可欠です。区長である私自身が先頭に立ち、選挙管理委員会との連携の下、全力で取り組んでまいります。
2024年度決算は、物価高に苦しむ区民を支えることができたかについて
【清水議員】
次に、2024年度決算は、物価高に苦しむ区民を支えることができたかについて伺います。
2024年度の区民の実態は、異常な物価高騰や円安の影響など過去最悪の状況が続き、深刻さを増していました。生活保護受給者は1万3043世帯1万5183人、就学援助は小学生4051人(13.8%)、中学生2162人(19.7%)、国保料の徴収猶予の中でも国保滞納は2万4098世帯(28.4%)などでした。区内製造業の状況は、9000社を超えていた区内中小工場は3000社を切ったと言われており、さらに物価高騰、下請単価が上がらない、融資の返済が始まるなど営業の困難が続いていました。小売業、飲食店では新型コロナ感染症の影響もまだ残っており、客足は伸びず、解散して街路灯を撤去した商店街も出ました。
このような中、2024年度第5次補正で財政基金44億円取り崩す予定をやめ、防災対策基金20億円、公共施設整備資金積立基金20億円を将来のためと積み増しました。これらの合計約84億円を活用すれば、区民の期待に応える緊急事業を行うことはできたはずですが、それをせず積立てをして、その結果、決算では実質収支額は1.5億円で、2024年度の財政は大変厳しかったとしています。
●そこで伺います。2024年度、区は物価高対策について、区民向けには給食費の無償化、デジタル商品券、融資あっせん、資金、工事費の増を重層的に行うとしました。国、都の施策は執行しましたが、異常な物価高騰により区民の暮らし、事業者の経営は大変厳しく、党区議団は、財源はあると他自治体で実施していたような区独自の物価高騰対策を提案しました。実施できたのではないでしょうか。お答えください。
【鈴木区長】
物価高騰対策に関するご質問ですが、令和6年度は、当初予算のほか5次にわたる補正予算編成を行うことで、迅速かつ柔軟に区民生活や区内経済を支援してまいりました。支援の一例としては、国、都の財源も活用しながら実施した区立小中学校の給食費無償化や、区独自の中小企業融資あっせん制度となる原油価格・物価高騰対策資金の設置に加え、第5次補正予算では、次年度を見据えた支援策として、福祉サービス事業者等への物価高騰対策助成のための経費など、真に必要な施策については区の財源をちゅうちょすることなく投じ、重層的な施策を講じてまいりました。こうした物価高騰対策の事業費は令和6年度で約186億円に上り、区民の暮らしに寄り添う施策を着実に実施してきたものと自負しております。区は引き続き、区民生活、区内経済の状況をつぶさに捉え、財源の裏づけの下、区民生活に寄り添った施策を積極果敢に展開するとともに、基金の有効活用と適正な積立てなど持続可能な財政運営を両立させ、区の責務を果たしてまいります。
【清水議員】
2024年度の主要施策の成果から防災関係について伺います。昨日11日、区内最大雨量85.5ミリの大雨が降りました。田園調布四・五丁目、呑川、丸子川流域に一時、警戒レベル5が発令され、道路の冠水や住宅の浸水などの被害が発生しました。今後も激甚化する水害についての対策はますます重要になることをまず最初に述べます。
2024年は1月、震度7の能登半島地震が発生したことから、多くの区民の防災への関心が高まっていましたが、防災施策は執行率の低いものが目立っています。災害時総合支援体制の整備39.96%、地域防犯活動の支援58.21%、災害時医療体制の整備と周知71.15%などです。個別避難計画作成については、対象者は1万5700人ですが、2024年度は優先度の高い1000人として、800人は福祉専門職へ委託、200人は区職員が作成となっていましたが、結果は237件と不十分でした。要介護3から5についてはケアマネジャーの負担になっています。障害者の方々からは、書類の記入は分かりにくく、本人や家族ではとても無理との声です。なお、この計画は風水害時の設定となっており、対象となっている区民から地震災害時の際の不安の声が出ています。
また、災害時医療体制の整備と周知についても、事業は訓練が主ですが、そもそも災害時に協力していただく病院が、物価高騰、人手不足等から病院の約8割が経営が厳しいと言われており、病院機能を縮小する例が続いています。2025年2月28日に目蒲病院が病院から診療所へ転換したことに伴い、緊急医療救護所の指定を解除し、6月に矢口中学校が軽症者救護所に指定となりました。羽田地域の渡辺病院も入院医療を終了していますので、緊急医療救護所の指定の変更が必要です。災害時の区民の命を守るためにも、区内の病院の経営状況などを把握し、何らかの支援策を要望します。
●伺います。災害時における要支援者対策の推進の個別避難計画作成については、町会・自治会や介護事業者などに任せるとせず、区が責任を果たすことを求めます。2024年度の予算の重要施策であった防災対策は、能登半島地震の発生もあり、区民の防災意識の高まりの中、関心の高い施策でした。しかし、決算では執行率が低く問題でした。防災関連事業を確実に執行することを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
次に、防災関係事業に関するご質問ですが、個別避難計画書の作成については、国の指針を踏まえ、風水害のリスクが高い方を優先し、区職員のほか、当事者の状況をよく把握し、信頼関係の構築が期待できる身近な福祉専門職が作成しています。なお、作成した個別避難計画書は、災害に備えて自治会・町会、民生委員と共有しています。引き続き、区と地域、事業者で連携し、災害対策に取り組んでまいります。
また、各事業の予算編成に当たりましては、過年度の予算執行状況や区民からの相談件数、社会情勢などを総合的に踏まえておりますが、例えば助成事業については、申請件数等が影響し、執行率が上下する場合もございます。区としましては、精度の高い予算編成と適切な予算執行に努め、防災関連事業を確実に実施してまいります。
【清水議員】
次に、介護の問題について伺います。大田区の介護保険サービス事業所は、低賃金による人手不足などに加え、物価高、介護報酬の引下げなどから経営が厳しい事態が続き、廃業が区内でも続いています。区が実施した2024年度大田区介護保険サービス事業所介護人材等に係る調査によると、高齢者等の家庭を訪問して家事などの生活援助、入浴などの身体介護を行う訪問介護職員ヘルパーさんの状況は、50代以上、非正規女性職員が48.5%で、人材は「大いに不足」が31%、「不足」が25.7%、「やや不足」15.7%で、73.5%が人材不足と答えています。直接介護を行う介護職員もほぼ同様でした。介護職員需要・供給推計では、2026年度以降、2450人から2607人の介護職員が不足であると推計しています。本調査から、区民が介護サービスを受けることが今後もさらに困難になることが予想されています。人手不足で崩壊寸前の介護事業への対策が必要です。
●そこで伺います。介護事業者への対策の不十分な事態は、区民の介護サービスの低下につながるものであり、世田谷区、品川区などでは同様の調査の結果、介護事業所への直接支援を行ったことから、私は2025年第1回定例会の代表質問で、大田区でも同様な支援が必要であると提案しましたが、まだ実現できておりません。貴重な介護人材が他区に流出しないよう、定着支援となる保育士応援手当のような介護人材定着のための直接支援を求めます。お答えください。
【鈴木区長】
次に、介護人材の定着に関するご質問ですが、人材の課題については、大田区基本計画において担い手不足を掲げており、生産年齢人口が減少する中、区は人材の確保、育成、定着に取り組んでおります。人材の定着支援としては、令和6年度から他区に先行し、介護助手導入支援事業を実施しています。加えて、今年度は導入事例を含む支援マニュアルを策定し、介護事業所に普及啓発を進める予定です。介護助手の導入により、介護従事者の皆様が専門職としての力を発揮できる働きやすい職場づくりを支援していきます。さらに、カスタマーハラスメント対策検討会を開催し、介護従事者の皆様が安心して働ける環境と多機関連携による包括的な支援体制の整備を図っております。今後も、こうした取組を通じ、人材の定着支援を着実に推進してまいります。
新空港線事業を見直し、くらしと福祉・営業を支援する新年度予算について
【清水議員】
次に、新空港線事業を見直し、暮らしと福祉、営業を支援する新年度予算について伺います。
区は、2026年度予算編成の基本方針についての通知において、厳しい財政であり、財政見通しを十分認識し、コスト精査、事務事業の適正化、受益者負担の適正化などを基本としていくとしています。しかし、新空港線の整備や沿線のまちづくりは、国際競争力強化、都市間競争に勝ち抜く、リダンダンシー(冗長性)を名目にして推進していきます。区民からは、新空港線は多摩川線沿線の区民にとっては利便性の向上にならない、区の東西交通の改善にならない、蒲田駅東口や京急蒲田駅周辺の商店街の集客が減少するのではないかなどの声が上がっています。京急蒲田駅前、糀谷駅前再開発のような、きれいなまちに見えても区民は住み続けられず、個店は商売が続けられなくなったまちを新空港線計画とともに推進することが、区長が言う2026年度予算の柱である住み続けたいまちNo.1へ、暮らしに寄り添い、笑顔と心をつなげるということになるのでしょうか。
●そこで伺います。地域公共交通計画(新空港線第一期整備区間沿線地域)の素案が提案されましたが、速達性向上計画の大臣認定後、工事着工まで約3年と見込み、開業目標は2040年頃、総工費約1248億円となっています。しかし、これだけの時間と費用をかける事業に区民からは見直しを求める声が広がっています。現在、約108億円となっている新空港線及びまちづくり積立金についても、物価高に苦しむ区民からの理解は得られていません。多額の税金を注ぎ、住み続けられないまちにしていく新空港線計画及びまちづくりを見直すことを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
新空港線とまちづくりについてのご質問ですが、新空港線は移動手段の改善だけではなく、沿線の都市機能更新を誘発し、まちの魅力を高め、都市を持続的に発展させるために重要なプロジェクトであります。鉄道整備とまちづくりを一体的に進めることが重要であり、東京圏全体の価値や国際競争力が向上し、まちづくりの機運向上が期待されます。特に、蒲田のまちは高さ制限等の影響があり、都市の機能更新が進まないという課題があります。区としましては、新空港線整備を契機として、蒲田駅周辺地区グランドデザインに示すまちの将来像の実現に向けて、都市の機能更新を進めていく必要があると考えております。地域住民の皆様との合意形成を図りながら、持続的に価値を高め、発展していくまちづくりを着実に進めてまいります。
【清水議員】
次に、公契約条例制定について質問します。公契約条例は、自治体が発注する公共工事や委託事業を民間業者と結ぶ契約において、自由競争と財政難を理由に一般競争入札の拡大、低入札による価格のたたき合い、ダンピング業者の介入、コストカットによる労働者の賃金や労働条件の低下を防ぐためにあります。党区議団は、実現に向けて条例提案や議会の質問を重ねてきました。2025年第2回定例会で区長が、公契約条例については、リーダーシップを持って検討していくと発言されたことを大いに評価します。
党区議団は8月29日、条例制定に向けて、賃金・労働条件の確保、対象には労働者に加えて一人親方や個人事業者、物品納入業者なども対象として、履行確保、周知義務、立入調査などの運営体制の必要要件について区長に申入れを行いました。今、区内の各事業者は、建築資材の高騰、人件費の上昇、アメリカ関税問題など厳しい状況にあり、区民生活を支える公共工事を担うことができない事態になりかねません。民間委託の現場で働く労働者も低賃金のため、経験の蓄積の困難さや労働意欲の低下などが生じ、提供する公共サービスの質の低下が心配されており、公契約条例が待たれています。既に23区内では15区が実施しており、さらに豊島区も今月からの第3回定例会に条例案が提出されました。
●そこで伺います。公契約条例については、建設事業者のみならず、区内中小企業や介護、障害者福祉、保育、児童館、学童などで区の委託や指定管理の事業所で働く労働者や、シルバー人材センター等で働く方々の賃金の底上げと処遇に大きなプラス効果を与えることとなり、区内の地域経済の活性化に大きく寄与することになります。早期実施に向けて、賃金条項も含んだ条例制定のために、区の行政組織、地域の建設及び関連事業、業務委託関連業者団体、地域労働組合など、公労使代表による専門委員会を立ち上げ、制定後もこの専門委員会によって実効性が確保される体制を取ることを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
公契約条例についてのご質問ですが、公共事業等の発注に当たっては、適正な労働環境の下で質の高い公共サービスが提供されることが事業者の育成につながり、地域経済の活性化に寄与するものと捉えております。物価高や人件費が高騰する社会状況下においても、公平かつ公正な入札及び契約制度の確立に加えて、適正な労働環境を確保し、区民サービスの向上を図ることを目的として大田区契約に関する検討委員会を設置し、意見交換を開始したところでございます。委員会は、契約、労働環境等に識見を有する方、事業者団体、労働者団体関係者を代表する皆様から構成されており、現在、契約の適正化に向けて意見交換を行っております。区といたしましては、公契約条例の制定の必要性が高まった場合には、委員会での意見交換の内容を踏まえ、条例の制定を視野に入れ、さらなる契約の適正化に向けて取り組んでまいります。
【清水議員】
次に、職員定数について伺います。大田区職員定数は4135人ですが、方針では2025年度の職員の現員数は3905人、2028年度にはさらに79人の減少が見込まれるとして、事業の見直しや業務の効率化に取り組み、各部局で優先度の高い取組に再配分し、経営的な判断を実施するとしていますが、ここには必要な区民サービスにどう応えていくのかの視点が見当たりません。デジタル化だけでは対応できない生活福祉、地域福祉などの業務への十分な職員配置や、長時間残業の改善やメンタルで長期休業の職員の減少などのための職員定数の改善が求められています。
●そこで伺います。2026年度予算編成、組織・職員定数の基本方針についての通知の目指すべき職員定数については、正規の職員が減っていくことを前提としており、これでは区民サービスの後退にしかなりません。さらに、会計年度職員の採用は一時的、臨時的であるとしながら、既に約4分の1となっています。目指すべき職員数は区民サービスに必要な正規職員を確保することとし、そのための方針とすることです。見直しを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
職員定数についてのご質問ですが、区では、これまでも職員定数を適正に管理するとともに、多様化、複雑化する行政需要に適時適切に対応するための職員の確保に努めてまいりました。一方、生産年齢人口の減少や定年退職を迎える職員が高水準で推移することなどを踏まえると、今後、必要な職員数の不足が見込まれます。このため、区では、大田区職員定数基本計画を改定し、事業の必要性・主体の見直しや実施手法の見直しのほか、会計年度任用職員の効果的な活用といった業務改革と執行体制の見直しに強力に取り組むことにより、業務量の適正化を図ることとしています。また、これと併せて、職員体制の強化についても取り組んでいくこととしています。引き続き、このような取組を進め、職員が働きやすい環境を構築しながら、良好な区民サービスの向上を実現してまいります。このため、職員定数の基本方針の見直しを行う予定はございません。
すべての子どもたちにより良い保育・教育を保障することについて
【清水議員】
次に、全てのこどもたちによりよい保育・教育を保障することについて伺います。
施策の成果では、保育人材の確保、保育の質の向上と評価していますが、区内民間保育園の現場からの声は全く違います。人手不足と保育士確保に大きな負担を被っているとのことです。区は、月1万円、半年ごとに6万円を直接保育士に支給してきましたけれども、2024年度からは事業を縮減して、手当支給は5年目までとして、5年ごとに一時金を10万円支給するとしました。大田区以外の経験年数は加算されません。2024年度決算では実施者数は1401人となっており、2023年度の5565人の約4分の1の保育士にしか支給されませんでした。
●そこで伺います。区は保育士応援手当を縮減した理由として、待機児童が解消され、認可保育園の整備計画がないので保育士を大量に採用することがないからとしました。しかし、区内で私立保育園を運営する私立保育園連合会は、大田区内の私立保育園では慢性的な保育士不足に困っており、保育士確保に人材紹介会社への手数料など大変な労力と費用をかけていると述べています。区の保育士応援手当が縮減された影響で、同様の手当を支給している自治体に保育人材が流出して、さらに厳しくなっているとして、保育士応援手当を元に戻すことを強く求めています。保育士不足の原因は、こどもの命を預かり、将来を担う人材を育てるという責任と価値に対して賃金が低過ぎることにあります。大田区のこどもたちの福祉の増進と最善の利益の保障の推進のため、保育士応援手当の縮減を改め、全ての保育士に支給することを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
保育士応援手当に関するご質問ですが、区は、平成29年度に保育所開設に伴う保育士確保を支援する区独自の保育士応援手当を創設しましたが、待機児童ゼロが続いている現在、保育施設の開設計画はなく、保育施策の方針も量の拡大から質の向上へと移っております。そのような中で、令和6年度に、保育士応援手当の目的を量の確保から職員の定着支援に重点を移すため、見直しを実施したところでございます。また、保育士の賃金改善は事業者の責務の下で行われるものであり、国による処遇改善が着実に進められていることなどから、制度を変更する予定はございません。
なお、国では、職業紹介事業者を利用した際に利用料金等のトラブルとなるケースが発生していることを踏まえ、本年7月には雇用仲介事業を利用する際の留意事項が示されました。区は、こうした情報を事業者に周知することにより、適正な保育人材の確保を支援してまいります。
【清水議員】
次に、義務教育の負担軽減について質問します。区立小中学校の補助教材は、学年によっては年2万円から4万円かかる場合もあり、中学入学時には制服等に約10万円、また修学旅行は中学3年で約7万円と、子育て世帯に大きな負担となっています。区長は本年第1回定例会施政方針で、他区を見ると学用品等も無償化が進められていることは承知しており、経済的意義はあると認識してございます。一方で、経済的支援だけでなく、物を大事にする心や選択の幅を確保することなどを含め、こどもたちが主体的に学び、成長につながることで教育全体の質の向上を図ることが重要であると考えていると発言されました。
憲法では、「義務教育は、これを無償とする。」と定めており、現在23区では、保護者負担の軽減、子育て支援、教育の充実などを目的として、品川、足立、台東、港、杉並、荒川、世田谷区などが制服、補助教材、宿泊行事などの費用の無償化や経済的支援が実施されております。大田区においても支援が実現できたらどんなに喜ばれることでしょう。これらにかかった税金は区内の経済波及効果となります。
●そこで伺います。真の子育てするなら大田区とするためにも、これまで保護者が負担してきた小中学校の補助教材及び制服を含む学用品、宿泊行事の支援を求めます。お答えください。
【小黒教育長】
義務教育における保護者の負担に関しましては、学校設置者の学校運営に係る経費は公費、それ以外の主に個人の所有物に係る経費や直接的利益が児童・生徒に還元されるものに関する経費は私費としております。現在、物価高騰が長期化する中、より一層の保護者負担の軽減を図り、経済的に支援していくことの必要性を認識し、既に検討を進めているところです。制度設計におきましては、各学校での教員による教材選択に制約をかけてしまう可能性や、公平性、継続性という観点のほか、様々な教育施策の充実が求められている中で、財源をどのような施策に投入すべきかということも重要な課題と考えております。各自治体で教育の無償化が拡大されている状況にあっても、課題を慎重に解決していくため、多角的かつ詳細に検討を進めていく必要があります。教育委員会といたしましては、引き続き、一人ひとりが自らの可能性を広げ、個性と能力を最大限に発揮していくことができる教育の充実を重視し、適切な保護者負担の軽減策について検討を進めてまいります。
高齢者、障害者、若者、子育て世帯が安心して暮らせる住まいの施策について
【清水議員】
次に、高齢者、障害者、若者、子育て世帯が安心して暮らせる住まいの施策について伺います。
区立・区営シルバーピアの募集が9月8日から17日まで行われています。しかし、募集数は僅か単身者用住宅10戸、2人世帯5戸です。ある区民が、どうすれば入居できるかとシルバーピアの相談員に聞いたところ、運しかないと言われたそうです。昨年度の募集は単身者12戸、2人世帯5戸、倍率は単身19.9倍、2人世帯12.4倍でした。300世帯弱が入居できませんでした。昨年の区営住宅募集も同様に、募集戸数30戸に対し997世帯の応募があり、倍率は33.2倍でした。杉並区では区営住宅に落選した区民への家賃支援を始めています。大田区も同様の事業が求められています。区のまちづくりの目標の一つに定住促進がありますが、若者や子育て世帯も家賃の負担に耐えられず、区外への流出が止まりません。
●そこで伺います。党区議団は住宅施策の充実を求めてきましたが、区は公営住宅の建設をしない理由に、民間住宅の空き家が3万戸以上あるとして、賃貸住宅への入居が円滑にできるよう支援を充実させることが重要だと答弁してきました。しかし、区民の住まいの実態はますます厳しくなり、公営住宅への要望は若者、子育て世帯などからも強くなっています。民間住宅を区立シルバーピアのような公営住宅と同等の家賃で区民が入居できる、安心して住むことができる借り上げ型公営住宅の施策を求めます。お答えください。
【鈴木区長】
借り上げ型公営住宅についてのご質問ですが、区は、これまで区営住宅や区民住宅、シルバーピアなど一定数の住宅を確保してまいりました。また、区営住宅等を良質な住宅ストックとして長期活用を図るため、適切な維持管理と維持管理費の平準化を目的に、大田区営住宅等長寿命化計画を改定し、計画的な修繕と併せ、継続して適切な管理に努めております。また、国が実施した住宅・土地統計調査では、区内には賃貸用の空き家や空き室が約3万4000戸あると推計されています。こうした住宅事情に鑑み、区といたしましては、これらの既存住宅の流通と空き家の利活用を引き続き促進してまいります。また、居住支援協議会などを通じて高齢者を含めた住宅確保要配慮者に対する民間賃貸住宅への円滑な入居に向けた支援の取組を進めていることから、借り上げ型公営住宅を増やす予定はございません。
【清水議員】
次に、特別養護老人ホームについて伺います。2024年度から2026年度の大田区介護保険事業計画において、特別養護老人ホームの整備支援では、(仮称)特別養護老人ホーム大森東118床を第9期期間中に開設予定とし、早期開設に向けて支援しますと書いてあります。そのほか計画期間において1か所80名の整備を支援しますとなっています。しかし、(仮称)大森東特養ホームの建設は、材料費、労務費等の高騰などで建設工事の入札が2回も不調となり、区は入札できるよう検討するとしていましたが、本年6月、事業者である法人との合意により整備及び運営に関する協定を解除しました。当初は2024年開設予定でしたが、全くの白紙状態となっております。
区内には多額の入居金や月ごとの利用料金が高額な有料老人ホームが次々開業していますが、年金暮らしではとても入れません。特養ホームの待機者は2024年11月、優先入所評価結果で申込件数は562で、合計1215です。現在、区内には19か所、定員1910名ですので、多くの方々が空くのを待っていますが、なかなか入れません。(仮称)大森東については、区は新たに本年8月から公募を開始して、2026年に予定法人を決定して、2027年3月に工事を開始して、2029年に開設と今後の計画予定を公表しましたが、今後も止まらない物価高騰、深刻な人手不足等により建設事業の入札の不調の懸念は消えません。
●そこで伺います。区の特養ホームは待機者数に見合う施設の確保が必要です。区は、特養ホーム建設に向けて民間事業者への補助額を抜本的に増額するか、区立として整備をすることを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
次に、特別養護老人ホームの整備に関するご質問ですが、近年、国は都道府県に対し、住生活基本計画に基づき、高齢者向け住宅が適切に供給されるよう求めております。これを受け、中重度の要介護者の受皿として有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅の整備が進んでおります。一方、特別養護老人ホームへの入所を希望される方も一定程度存在します。第9期大田区介護保険事業計画において、区内の高齢者人口はおおむね横ばいで推移するものの、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年以降、認知症高齢者や要介護者等の増加を見込んでおります。こうした状況を踏まえ、現在、(仮称)特別養護老人ホーム大森東開設のほか、計画期間において1か所の施設整備を支援することとしております。引き続き、区は、高齢者の居住系サービスが多様化する状況にあっても、大田区高齢者等実態調査におけるニーズや社会経済状況等を踏まえながら整備を進めてまいります。
【清水議員】
次に、障害者の施設、ついのすみかの切実な要望にどう応えるかについて質問をいたします。施設についてですけれども、自宅で全力で介護してきた高齢の親御さんが病気などで介護が困難になったとき、泣きながら施設の入所を決意して入所先を探しますが、ある方は5年も待ち続けたそうです。しかし、都内でもあきる野市など遠方で、さらに栃木県、群馬県など都外の施設しかありません。施設が遠くて会いに行けない、せめて月1回でも会いたい、大田区にあれば毎日会いに行けるなど、重症心身障害児(者)を守る会のアンケートには悲痛な声があふれていました。区長は誰一人取り残さないと常に発言されています。私たちは人数が少ないけれども見捨てないでいただきたいの声に応えることです。
●そこで伺います。大田区として、医療的ケアの必要な重症心身障害者のついのすみかである施設の確保の施策を持ち、東京都とも連携し区民の切実な声に応えることを求めます。お答えください。
【鈴木区長】
次に、医療的ケアの必要な重度障がい者の住まいに関するご質問ですが、区では、おおた障がい施策推進プランにおいて、重度障がい者が住み慣れた地域で希望する暮らしを継続していくための方策をさらに充実させていくとしています。区はこれまで、医療的ケアが必要な重度障がい者が利用可能なグループホームの整備への補助上限額を引き上げるとともに、医療支援を行う人件費を一部補助するなど、事業者の負担軽減を図ることでグループホームの開設を促進してまいりました。また、重度障がい者の高齢化に伴い、安心して過ごせる入所施設を確保していくためには、十分な医療体制を整える必要があることから、広域的な施策として対応するよう東京都への働きかけも併せて行っております。引き続き、区としては他の自治体の動向を注視しつつ、障がい者一人ひとりの意思を尊重し、自分らしく生きることができるよう、障がい者の居住の場の確保・充実に努めてまいります。
「国際都市おおた」にふさわしい多文化共生社会の実現について
【清水議員】
最後に、国際都市おおたにふさわしい多文化共生社会の実現について伺います。
2024年1月1日現在、130の国・地域から約2万8500人、区の総人口の3.9%の外国人が大田区で暮らしています。外国人の生活困難を解消し、トラブルを起こさず、お互い認め合って暮らしていけるためにも、法、制度、ルールなど丁寧にお知らせすることが重要です。表記の多言語化、区役所や4庁舎に外国人が気軽に相談できる窓口設置、デジタル活用などの推進と、外国人労働者の家族などへの日本語教育の支援がさらに必要となっています。
●そこで伺います。トラブルなどを未然に防ぎ、共に安心して暮らすために、外国人の生活支援、日本語支援についての拡充を求めます。お答えください。
【鈴木区長】
外国人の生活支援等に関するご質問ですが、我が国は2010年代より人口減少に転じており、これを補う形で在留外国人数は年々増加しております。我が国の活力を維持、発展していくためには、秩序と調和の取れた地域共生社会を構築していくことが重要です。その実現に当たっては、日常の安定を確保する多言語相談窓口と、言語の壁を乗り越えるための日本語教育の充実が基礎自治体に求められる役割と考えております。
区は、多文化共生推進プランに基づき、コミュニケーション支援や暮らしやすい生活環境整備といった施策を推進しております。生活支援としては、日常生活での困り事を相談できる多言語相談窓口を設置し、様々な相談に対応しております。また、日本語教育としては、学習者の日本語能力に応じた日本語教室の開催などを推進しております。引き続き、こうした施策を充実し、日本人区民と外国人区民がお互いに理解、協働し合える多文化共生社会の実現に取り組んでまいります。
【清水議員】
先の参議院選挙において、日本人ファーストを掲げ、排外主義を標榜した政党が、外国人は生活保護で優遇されている、外国人の増加で治安が悪化している、医療費を食い潰しているといった主張が声高に流されました。厚生労働省も総務省も間違った情報であると表明しました。大田区においても、生活保護世帯数は7月現在で外国人世帯2.9%、外国人は3.5%です。区内では多くの外国人が製造業、介護、飲食店、小売業、建設現場などで働いて、地域経済の担い手となっています。外国人を排斥したり、賃金を異常に安くしたり、その権利を否定したりすることは、日本人労働者の状態悪化にもつながりかねません。全国知事会が国への要望を出しているように、外国人は地域住民です。
排外主義の役割は、国民の不満や不安の矛先を外国人など自分と違う属性へそらすことにあります。生活の苦しさや生きにくい社会の要因は政治にこそ責任があります。その矛先を日本に住み働く外国人に向ける、それは社会をよくする力には全くなりません。それどころか、その矛先はいずれ自国民に向けられていく、それが歴史の教訓です。多様性を尊重する社会こそが今求められています。区内の外国人、または2世、3世といった外国にルーツのあるこどもたちへの心を傷つけるような差別、人権を侵す行為は絶対に許されません。
●そこで伺います。国際都市おおたの大田区において、区長は、デマや差別発言を認識した際には行政として迅速に対応することを求めます。差別と分断につながる排外主義が起こることがないように対策を講じるべきです。お答えください。
【鈴木区長】
排外主義への対策に関するご質問ですが、排外主義やヘイトスピーチは、属性を理由とする差別を正当化し、地域社会の分断を深めるものであり、生活の安定はもちろん、人権そのものを脅かしかねない重大な問題です。現在、区内では、日本語教室運営のボランティア活動などが行われていることなど、共生に向けた自発的な区民活動に改めて感謝しております。私は区長として、大田区で暮らす全ての人が等しく尊厳を持って、安心して暮らせる地域社会をつくることを施政方針としております。国籍にかかわらず基本的人権をしっかりと保障することが重要であります。そのため、多言語相談窓口において生活支援や法律相談など、関係機関と連携した支援を実施しております。また、学校教育においても、多様性を理解し尊重する価値観を育む人権教育を充実させるよう、教育委員会と連携して取り組んでまいります。人権を尊重し、笑顔とあたたかさあふれる未来志向の共生の地域づくりを進めてまいります。
以 上