第2回定例会一般質問(速報)―福井議員


一般質問映像(大田区議会ホームページ)

【福井議員】
日本共産党大田区議団の福井りょうじです。質問通告にしたがって順次質問します。

待機児ゼロの大田区を

【福井議員】
保育園の待機児の問題です。
大田区は4月1日現在、待機児童数を438人と発表しました。
大田区として、待機児対策として3か年プランで1000人の定員増で取り組んできました。この2年間で認可保育所を新規に7箇所増設したことは評価できるところです。
しかし、昨年と比べて待機児数が増えているのが現実です。昨年の392人から46名増の438人です。そのうちの一人のある保護者は保育園に入ることができず、後期高齢者の祖母が面倒を見ていましたが、腰を痛めて面倒を見ることが出来なくなりました。母親はフルタイムからパートタイムに変更を申し出たところそんなことをいうのならば雇えないとい言われました。今は有給休暇と一時利用でしのいでいますが、このままでは仕事を辞めざるをえないと話されました。
●まず、初めに伺います。
大田区が待機児として発表した438人は認可保育所、認証保育所などに入れていません。この438人が保育所に入れずにどのような状況になっているのか緊急に調査をすべきです。
児童福祉法24条では保育に欠ける児童は適切な保護をしなければならないとあります。大田区としてこの待機児438人に対して保育所に入れる対策を取るべきです。併せてお答えください。

【こども家庭部長】
それでは私からは、待機児解消対策、また児童館の運営に関する質問につきまして、順次お答えさせていただきます。まず今年4月の待機児に対しまして、どのような状況にあるのか、緊急に調査すべきというご質問でございます。これに関しましては、保育所入所申し込みの際に、入所不承諾となった場合のお子さんの保育の状況について、すでに確認しております。また、平成25年4月時点の待機児につきましては、大変厳しい状況となってございますので、できる限り早急に待機児対策に取り組むため、5月に古川グループ保育室を開設し、また、9月から10月にかけまして、保育施設3施設の開設を予定するなど、年度途中での保育施設の開設に、鋭意取り組んでいるところでございます。さらに、大森西グループ保育室を新たに開設する計画のほか、東京都のスマート保育事業の実施を検討するなど、保育サービス基盤の拡充に努めてまいります。

【福井議員】
今年の3月7日には認可保育所に入れなかった保護者の皆さんから大田区に対して異議申し立てが行われました。この異議申し立ては杉並区や足立区、渋谷区などでも行われました。
保育園入園を求める、ある保護者は、保育園に入園できなければ子どもだけを埼玉の実家に送り、両親に面倒を見てもらうことを考えていると言っていました。週末だけ実家に戻り、数日間だけ子どもと過ごす生活になります。家計を支えるためには仕事を続けるほかなく、泣く泣く子どもを実家に預けるしかないと話されました。乳児期に母親と子どもが離れ離れになることがどれほどつらいことなのか、想像にかたくないことです。多くの保護者が家族の今後の人生をかけて、認可保育園への入園を切望しています。
また別のある母親は、洋服会社のデザイナーを務めています。やっとつかんだ夢の職業でした。子どものころは人間関係や勉強がうまくいかず、中学校3年間を不登校で過ごしました。そんなときに日々を支えたのが絵をかくことでした。大好きな絵を仕事にしたいと、高校生から学校に通うようになり、やっとつかんだ仕事で、今ではチーフデザイナーとなり頑張っています。夫婦は共働きで、それでも入園できず、今仕事を失いそうになっています。子どもを授かった幸せが母親の夢を奪うことにもなる、このような矛盾が幾つも発生しています。この声を真摯に受け止めるべきです。
この異議申し立てを受けて大田区はマスコミなどに「保育所待機児童解消対策について」を公表しています。中身を見てみますと「大田区は3か年プランを策定し取り組んできた。大田未来プラン10年で待機児ゼロを目指している。さらに取り組みを強化していきます」とあります。
しかし、未来プランの修正版では保育園の入所率を25年度では99.5%としています。策定時は96.9%だったものが最新値は96.4%に下がっています。いくら対策をとっても下がっていいます。保育ニーズをしっかりとつかんでいないことを示しています。
保活という言葉がテレビやマスコミなどでも取り上げられています。認可保育園に入れるために保護者の皆さんが必至で情報を集め、入所選考の際に有利になるように就労条件を変更したり、入所しやすい保育所の近くに引っ越したりなど、深刻な状況です。
私は、さらに懸念するのは保育園に入所できた人とできなかった人がでます。入れなかった説明は不承諾の紙1枚。これでは「なんであの人が入れて私が入れないの」と区民の中で対立を生んでしまいます。
私はそもそも、保活をしなければならない状況がおかしいと思います。
それは児童福祉法の24条に 市町村は、児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」とあるからです。保育に欠ける児童は行政の責任で保育所に入れなければなりません。待機児がでること自体が行政の責任です。
区長は昨日のわが党の金子議員の代表質問の答弁で待機児ゼロの対策で300名から450名に引き上げることとして具体的には保育施設3か所(認可保育所1か所、認証保育所2か所)保育2か所、と発言されました。スピード感を持って取り組むとも話されました。
450名を掲げながら実際に決まっているのは156名。約300名分は未定です。
●大田未来プランでは5年後に待機児ゼロを目指しています。
区長がいうスピード感とは5年後のことなのでしょうか。
原点に立ち返り、大田区として待機児ゼロをめざすことを明確にし、5年後ではなく来年度で待機児をゼロにするようスピード感のある対策をとるよう求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
次に、来年度で待機児ゼロを目指すべき、とのご質問についてでございますが、区におきましては、「保育サービス基盤拡充のための3か年プラン」に基づきまして、保育サービス定員の拡充を図っているところでございますが、待機児の状況が依然として厳しいことから、今年度の目標を300名から450名に増やしまして、待機児解消の取り組みを強化しているところでございます。また、2年後に予定される子ども・子育て支援新制度の施行を前に、大田区でも子ども・子育て会議を設置することとなりました。今後、保育サービスを含めましたニーズ調査を行いまして、子ども・子育て支援事業計画を策定してまいります。今後の待機児解消対策につきましても、こうした取り組みの中でお示ししたいと考えてございます。

【福井議員】
大田区では多様のニーズに応えるとのことで認可、認証、保育ママなどの対策をとっています。このニーズが何かををしっかりとつかむことがなによりも大切ではないでしょうか。
●そこで質問します。保育ニーズをつかむ為に母子手帳を配布時または、出生届提出時に保育所の入所希望の有無の確認などのアンケートをすべきだと考えます。事前にニーズを把握することで対策がとれるようになります。お答えください。

【こども家庭部長】
次に、保育ニーズの把握についてのご質問をいただきました。これに関しましては、これまでも、保育サービス課窓口での保育園入園に関する相談対応などにより、保護者の就労状況ですとか様々な保育ニーズの把握に努めてまいりました。これに加えまして、先ほども申し上げましたが子ども・子育て支援新制度におきましては、保育サービスなどの利用希望を把握したうえで、「子ども・子育て支援事業計画」を策定することとなってございます。したがいまして、今後、子育て支援に関するニーズ調査を実施していく予定でございまして、この調査を通じまして、保育ニーズを把握してまいりたいと考えてございます。

【福井議員】
待機児ゼロの取り組みでは、横浜市は5月20日に保育所待機児数はゼロになったと発表しました。安倍首相も「横浜方式を広げたい」ともちあげていますが、数字のごまかしであり、真の待機児ゼロではありません。
中身をよくみてみますと横浜市の保育所申し込み数は48818人。入所児童数は47072人。入所保留児童数が1746人。入所保留児童のうち、横浜保育室や家庭的保育に入所した児童が877人いますが、親が育児休暇(203人)、自宅で求職活動(100人)、特定の保育所のみの申し込み(566人)は待機児童数から除かれています。
どうしてこれで待機児ゼロといえるのでしょうか。みかけだけの待機児ゼロと言わざるをえません。
横浜市では、急激に大量の施設をつくったため営利を目的にする株式会社・有限会社が運営する保育所が、市内認可保育所580か所のうち152か所となり、全体の26%を占めるに至っています。全国平均の2%と比べ突出しています。
そもそも株式会社の目的は、利益を出して株主配当をすることであります。利益を出して株主に配当することが目的の株式会社と、利益を出してはならない社会福祉法人に、同じ金額の保育運営費が渡ったときに、果たして同じ金額がこどもたちのために使われることになるでしょうか。
人で成り立つ保育で利益をあげようとしたら、削られるのは人件費です。
横浜市の株式会社運営の保育園の決算資料を調べてみました。ある保育園では、保育士の給与は平均して年収200万円足らずと低く抑えられ、人件費率は約40%です。政府の外郭団体「独立行政法人 福祉医療機構」の2009年の調べによれば、保育園の人件費率の平均は71.9%ですから、この保育園の人件費の水準がいかに低いのかは明らかです。
保育の質を担保する大きな要素である保育士さんの条件があまりにも違いすぎれば、そのしわ寄せは必ず子どもたちにいってしまうということは容易に想像できます。2011年度の横浜市の施設指導監査結果情報によれば、日本保育サービス主体のアスク藤が丘保育園では、一年で全ての保育士さんがやめてしまい入れ替わり、保護者から不安の声があがっております。営利企業の経営の元で、あまりにも安い給与体系で保育士さんたちを強いることで、結果子どもたちが大きな不利益をこうむるような条件を広げてしまっています。
株式会社が運営する認可保育園で働いていた保育士は「コストがかかるという理由でおかわり禁止、夏のプールは週1、2回しか入れないこと、1歳児12人を3ヵ月間1人でみたことや同時に8人が退職したこと」など実態を話してくれました。
大田区は多様なニーズに応えるためと民間委託を進めていますが、このような状態が多様なニーズに応え子どもたちのためになるのでしょうか。
保育の質をしっかりと確保するためには株式会社の参入はやめるべきです。
認可外保育室も問題点が指摘をされています。
横浜保育室は横浜独自の保育室ですが、認可保育所と比べてひとりあたり3.3㎡のところ2.475㎡。保育士の割合も2/3が資格を持っていればよいことになっています。また0歳児は認可では保育士1人に対し3人ですが、横浜保育室では1人で4人のゼロ歳児を見ています。このような保育室、認証保育所もそうですが、多くのところは年齢がことなる子供を1部屋で保育をしています。そのため食事をするところと昼寝をするところが同じになり、食事が遅い子どもは廊下で食べたり、または食事が残っているにも関わらずお昼寝をさせたりとの問題が生じているところもあります。0歳児と2歳児が一緒のため2歳児が歩き回り0歳児を踏んでしまうことも実際に起きています。また、低年齢児はうまくことばで表現できません。そのため子どもの表情を見て子どもの心境を読み取らなければなりません。そのためには経験が必要です。経験を積んだ職員が経験が浅い職員と連携をすることがとても大切になります。しかし、低賃金ではベテラン保育士が雇いづらい状況があります。
日本共産党は家庭的保育や認可外の保育施設も大変重要な役割を果たしてきたというふうに思っております。しかし、この間、認可保育所の不足という問題を脇に置いて、認可外での受入れを推進してきたこと、厚生労働省が二〇〇〇年に待機児童の定義を変えて、認可外での保育が受けられれば、認可保育所に申し込んでいても待機児童からはじいてしまうと、こういうことをやってきたことが今日の異常な事態を招いたと思います。
やはり、認可保育所の整備がなりよりも大切です。
先日、国会で日本共産党田村智子参院議員の待機児問題について質問したところ、田村厚生労働大臣は「認可というのは国が決めている最低レベルをクリアしているわけですから認可保育所の整備をさらに進めなければならないと思っている。ぜひとも、東京都も含め認可保育所の整備に協力を頂きたい」と答弁しています。
ようやく国も認可保育所の整備を進めようとしています。
東京都社会福祉協議会が行った調査によると「こどもを預ける場合どのような保育施設が良いのでしょうか」の質問に対し82%が認可保育所を望んでいます。多様なニーズという言葉でごまかすのではなく、保護者が一番望んでいるのが認可保育所への入所であることを認めるべきです。
●大田区としても保護者の一番のニーズである認可保育所の整備を中心に行うべきです。補正予算を組んででも年度内に対応するべきです。
緊急対応としては空いている区の施設の活用。例えば区の職員寮が空いているのであれば活用してください。緊急対応での保育の質を確保するため、設置基準は「認可保育所に準する」ことを求めます。
また、認可保育所に入れずに認証保育所に子どもを預けている保護者に対して一人1万円、二人目から2万円の助成では少なすぎます。この助成額の引き上げを求めます。併せてお答えください。

【こども家庭部長】
次に、認可保育所を中心に整備すべきだと、認可保育所こそ整備すべきだというご質問でございます。これに関しまして、区の保育所整備の考え方でございますけれども、認可保育所の整備だけではなくて、多様な保育ニーズに応えるため、認証保育所、グループ保育室、定期利用保育の整備などを含め、総合的な施策展開を図ってまいりたいと考えております。先ほど多様な保育ニーズに応えるとはどういうことなのかというお話もございましたけれども、認証で言いましたら13時間開所、あるいは駅近という立地条件等もございますし、また定期利用保育につきましては、パートタイム労働者の方などのニーズにも応えるものとなっているという風に考えているところでございます。
それから次に区の施設を活用した緊急対応してはどうかというご質問でございます。また、その際の保育の質の確保ということもあわせてご質問いただきました。区の施設を活用した待機児解消対策でございますけれども、区民住宅の空き室を活用し、保育ママがグループで保育を行う大森西グループ保育室を新たに開設する予定でございます。また、家庭的保育における保育の質の確保につきましては、保育サービス課が実施する巡回指導や研修などの実施により、良好な保育サービスを提供してまいります。
次に認証保育所保護者負担軽減補助金についてのご質問もいただきました。認証保育所は、入所できる児童の範囲が認可保育所とは異なりまして、「保育に欠ける」ことは入所の要件とはなっておりません。そのため、就労されてない方も認証保育所を利用することが可能でございます。また13時間開所など、提供する保育サービスも異なっておりますので、保育料の比較におきまして、必ずしも同列に論じることはできないと考えてございます。認証保育所の保護者負担軽減策につきましては、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。

どの子にも行き届いた教育のために

【福井議員】
教育の問題で伺います。どの子にも行き届いた教育のために、少人数学級の実施が必要だと考えています。大田区でも小学1・2年生、中学1年生が35人学級を行っています。保護者や生徒、児童からも喜びの声が上がっています。
文科省の検討会議で少人数学級の効果として「少人数学級については、学習行動、出欠、不登校の改善について積極的な効果が出ている」として、
学校や教員にとっては子ども達一人ひとりに目が行き届き、学習のつまずきの発見や個々の学習進度に応じた指導が可能になる。子どもたちの発言する機会が増え、自分の考えを発表したり、話し合ったりすることで表現力を高め、思考を深める授業づくりが可能となる。
家庭や保護者にとっては「先生がきめ細やかな対応」してくれることにより学校や教員に対する信頼感が強まる。家庭との緊密な連携が図られることにより、学校と家庭が密に連携をして子どもを見守り、課題に対処することが可能となる。
子どもにとってはこれまでよりも授業を理解しやすくなったり、授業が楽しいと感じるようになることにより「学習意欲の向上」、「こどもが勉強好きになった」などの効果に結びつくと説明しています。
国の動向とは別に、独自予算を組むなどして35人学級を実現する自治体も出ています。山口県では11年度から全国で初めて全小中校で35人学級を導入、山梨県は14年度に小中学全学年で少人数学級を導入する方針です。全国でも少人数学級の実現を求める意見書が多く出されています。
また、安倍政権が設置した教育再生実行会議の中でも、「きめ細かい指導の充実のために30人程度の学級定数改善が必要」との意見も出されています。
今日の子どもを取り巻く様々な社会、教育環境を考えれば、きめ細かな教育指導がより強力に求められます。そのためにも、少人数学級実現は欠かせないものであり、財務省が言っている「費用対効果」で論ぜられるものではありません。
●大田区でどのこにも行き届いた教育を保障するためにも小中学校全学年の少人数学級の実施を求めます。
そして、 国に対し,少人数学級のさらなる推進を求めるとともに,東京都として各自治体が少人数学級を推進できるよう,教員の加配を行うことを求める国と都に対して少人数学級の実現のために意見を挙げてください。

【教育総務部長】
私からは、少人数学級の実施と教員の加配につきましてのお尋ねにお答えさせていただきます。東京都教育委員会は、いわゆる小1問題、中1ギャップの緩衝という視点から教員の加配制度を進めてございます。平成25年度からは、生活指導上の課題の解決や全ての教科等で一層きめ細かな指導を充実させることを目的としまして、都独自に中学校の第一学年におきまして、35人以下の学級編成を可能とする教員の加配制度を開始したところでございます。一方では、児童・生徒が社会性を養うための教育効果の観点からは、日常の生活集団としての学級につきまして、一定の規模が必要との考えもございます。今後も少人数による指導の効果検証を重ね研究すると共に、学級編制基準の見直しや教員の加配につきまして、引き続き国や都の動向を注視してまいります。私からは以上でございます。

児童館の民間委託の中止を

【福井議員】
児童館の民間委託の問題で質問をします
大田区は今年4月、児童館の民間委託を2園行いました。大田区のホームページでは「児童館運営委託の必要性と目的は児童館における乳幼児事業の充実や学童保育事業における保育時間の延長など児童館事業の拡充を求める区民からの要望が出されています。
児童館事業に対するニーズに迅速・柔軟に対応し、効率的にサービスを提供するためには、民間事業者のノウハウを活用し、さらなるサービスの向上を図る必要があります。」と説明をしています。
先日、委託をされた児童館を視察してきました。働いている職員の皆さんは笑顔を絶やさずに子どもと接していて本当に頑張っておられました。
一方、現在の児童館の取り組みも複数の職員から話を聞きました。地域の子育て支援として乳幼児の時間、ファミリールームの活用に力を入れています。あかちゃんタイム、ベビーマッサージ、リトミック教室、読み聞かせなど、すでに乳幼児事業などの児童館事業の拡充を向けて各児童館では努力をされています。また、子育て相談、試験的ではありますが、障害を持つお子さんの受け入れを4年生からなどの事業も行われています。
●児童館で障害を持つ児童の4年生以上の受け入れを試験的に5園で昨年の10月から行っています。介助員も増やして対策を行っていますが、この介助員には必ずしも資格がいらないため、一人ひとりの障害にあった対応ができるのかの懸念が生じます。特に障害児への介助員には要資格者での対応を求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
次に児童館の民間委託をやめ、区の責任で運営することを求めるといったご質問についてでございますが、多様な主体との連携・協働により、子育て支援サービスの拡充を図るため、児童館の運営業務委託を進めているところでございます。委託に当たりましては、学童保育時間の延長など多様な子育て支援ニーズに対しまして、迅速・柔軟に対応できますよう、公募により適切な団体を選定すると共に、保護者の方には、運営業務委託について丁寧に説明しているところでございます。また、委託開始後につきましては、サービスの質の維持・向上のため、運営状況の確認など区が責任を持って対応しているところでございます。今後も、児童館の運営業務委託については、計画どおり進めてまいります。なお、職員の採用についてもご質問を頂戴いたしましたけれども、現在のところは、考えてございません。

【福井議員】
区が説明しているさらなるサービスの向上は、区の職員がすでに取り組んでいます。
6月1日号の区報1面では「児童館でのびのび子育ち&子育て」と題して乳幼児向けや児童向けの取り組みをお知らせしているのがなによりの証明です。
今回の民間委託は「厳しい財政状況の中で効率的にサービスを提供する」というものでサービスの向上ではなく、コスト削減が大きな目的です。
「サービスの質が変わらないのであれば」の前提の条件つきで、公共サービスを安上がりの民間に委託すればよいとの考え方は問題があります。
公務員が良くて、民間が悪いと論じているわけではありません。現場で働く人はみんな本当に一生懸命に働いています。
そもそも、公務労働の専門性の獲得のために長期にわたる雇用が前提にされなければならない場合が多くあります。
保育・教育・介護といった対人社会サービス労働は、現場をふんだ体験・経験が必ず必要とされ、したがって長期雇用が保障されなければなりません。短期アルバイト型雇用によってこの専門性をカバーすることはとうてい困難です。つまり、民間委託が安上がりの短期・低賃金労働の活用では、公務労働の専門性を保障することは難しいのです。
民間では終身雇用が壊されつつあり、労働法制の改悪、不安定雇用の拡大で、長期雇用を前提にした熟練形成、労働の専門性が保障されにくい状況です。学童、保育の仕事などの仕事、とりわけ人と直接ふれあう仕事はコミュニケーションを媒介にした知的熟練が非常に大事になります。
しかし、大田区は1996年以降、児童指導職の採用がなく、退職不補充のため非常勤職員で対応し現在に至り、児童館職員の平均年齢は50歳に及んでいます。組織の活性化につながらず、知識・経験・ノウハウが継承されず、今後の大田区の児童館・学童事業の水準を維持・向上できないことも危惧されます。
●子育てを地域で支える児童館の運営を民間に委託をすることはやめ、児童指導職の採用を行い、区の責任で運営することを求めます。

【こども家庭部長】
最後に、学童保育の要支援児受入れ拡充にかかわる、介助員の資格についてのご質問でございます。小学校4年生以上の要支援児保育につきましては、現在試行で実施し、検証を進めているところでございます。思春期にさしかかりまして身体が大きくなるだけではなく、内面も大きく変化する児童の保育については、個々の発達状況に合わせた対応がとりわけ重要だと考えております。そのため、児童の支援の必要度に応じて介助員を配置し、対応しているところでございます。介助員の選考に当たりましては、要支援児保育についての理解度や意欲など適性を見極めた上で採用いたしました。また、採用後には、高学年の要支援児対応などの研修を実施いたしまして、児童一人ひとりに対応したきめ細かな保育に努めてございます。今後も、4年生以上の要支援児保育につきましては、この体制のもと検証を進めてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。

ユスリカ対策について

【福井議員】
ユスリカの問題について質問します。これまでの当局の答弁は「区では、ユスリカの大量発生を抑えるために、平成21年度から呑川の清掃作業を抜本的に見直しまして、河床を走る河川清掃車を導入し、清掃回数を年間4回から43回に増やして、ユスリカ対策の強化に取り組んでまいりました。今後ともいろいろ工夫をしながら、ユスリカ対策に努めてまいりたい」また、捕虫器の試験的運用を2器から5器に増やし効果を見極めたいと、答えています。
ユスリカ成虫の大発生を根本的に抑制するために川底の藻の除去とともに水質も考えなければならないと思います。
呑川の水源の1つである新宿の落合処理場からの高度処理水が以前は1分あたり1リュウベありましたが現在では1分あたり0.42リューベで放流されています。この高度処理水でも「窒素」や「リン」は除去するのが難しく、栄養が豊かな水になっています。そのため川底には、藻類がびっしりと生えてきます。
ここに「ユスリカ」が卵を産みつけ、「蚊柱」が立って、顔や洋服にたくさん付くことになります。
●大田区として大量発生を防ぐために高度処理水のさらなる水質良化と放水量を増やすよう東京都に求めてください。
水量が増えれば河川の生態系を回復することが出来ます。魚類の生活、繁殖の場所として整備を行うことによりユスリカの成虫の捕食者である昆虫や鳥類の生活圏の確保になりさらに、人間とユスリカの生活圏の分離につながります。
そして、現在の-対策として呑川の川底の清掃をしっかりと行うとともに呑川の側面の清掃をぜひ、検討してください。答弁を求めます。

【都市基盤整備部長】
私からは、ユスリカ対策についてお答えをいたします。呑川への高度処理水の送水、それから河床清掃についてお答えします。呑川への高度処理水の送水につきましては、平成7年3月より城南河川清流復活事業が始まり、呑川、目黒川、渋谷川、古川に対し、落合水再生センターより日量約86,400㎥の高度処理水が送水されております。これは現在も変わっておりません。呑川につきましては、一番多く、その約4割にあたる日量約36,000㎥の良質な高度処理水を送水している状況でございます。施設能力から言いますと、現在のが最大値でございますので、これ以上の送水量の増加は望めない状況です。河床清掃につきましては、先生ご指摘のように、底面・側面の清掃方法等についても抜本的に見直しまして、平成21年度より河床を走る河川清掃車を導入いたしました。これによりまして、清掃回数を年間4回から43回に増やしております。ユスリカ対策につきましては、今後とも強化して取り組んでまいりたいと考えております。

(再質問)

【福井議員】
質問の中で、待機児ゼロを目指すことを明確にして欲しいと言いました。先ほどの答弁では待機児を解消するということは言ったんですけど、待機児をゼロにして取り組むということを明確にして欲しいと質問しましたので、これについてはっきりと答弁をお願いします。そして、待機児ゼロにするためには、区長の方が300名から450名に増やして対策しましたよと言っていますけども、実際に答弁していただいたものをカウントすると、はっきりしたのは156名だけなんですね。残りの300名はやるよと言っても決まっていないのが現状です。これをどうするのか、待機児ゼロにするための具体的な対策をはっきりとお答えいただきたい。

【こども家庭部長】
それではただいまのご質問についてお答えしたいと思います。待機児解消を目指す、待機児ゼロを目指す、どういう違いがあるのかなと、私ちょっとあれですけれども、待機児解消を目指して頑張っていくということでございます。
それからですね、先ほどのご質問の中で、区長答弁の中で認可保育所、認証保育所とをカウントすると数が足りないじゃないかという話でございますけれども、区長答弁の中で申し上げましたのは、今年の4月の待機児が非常に厳しいという中でですね、これを早急に対応しなければいけないということで、年度途中の開設ということで今一生懸命取り組んでいるんですね。その数が答弁の中の数ということでございます。当然これで十分だという認識ではございませんので、また来年4月のこともございますので、今待機児の状況が非常に厳しい、今日調布地域というお話もございましたけれども、そういった重点地域にですね、集中的に保育施設を整備できるよう今鋭意待機児担当の方で頑張ってるということでございます。私からは以上でございます。

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